(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、変性オルガノポリシロキサン、水溶性グリコールエーテル及び水を含む6価クロムフリー3価クロム化成皮膜又はクロムフリー化成皮膜のトップコート剤。
ポリオキシアルキレン脂肪酸エステルの含有量が1〜100g/Lであり、変性オルガノポリシロキサンの含有量が50〜450g/Lであり、水溶性グリコールエーテルの含有量が50〜400g/Lである、請求項1記載のトップコート剤。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明の3価クロム化成皮膜又はクロムフリー化成皮膜のトップコート剤用摩擦調整剤は、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステルを含む。
上記ポリオキシアルキレン脂肪酸エステルとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリイソブチレンなどのポリオキシ低級アルキレンの飽和乃至不飽和脂肪酸エステルが好ましく、具体的には例えばモノ又はジ-ステアリン酸ポリエチレングリコール、モノ又はジ-ステアリン酸ポリプロピレングリコール、イソステアリン酸ポリプロピレングリコール、モノ又はジ-オレイン酸ポリエチレングリコール、モノ又はジラウリル酸ポリエチレングリコールなどが挙げられるが、このようなポリオキシアルキレン脂肪酸エステルのHLBは、好ましくは8〜20の範囲であり、より好ましくは15〜18の範囲である。このようなポリオキシアルキレン脂肪酸エステルは市販品として容易に入手できる。上記ポリオキシエチレン脂肪酸エステルは、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また摩擦調整剤としては本発明の摩擦調整剤の効果を阻害しない範囲において、他の公知の摩擦調整剤を併用添加してもよい。
本発明のポリオキシアルキレン脂肪酸エステルを含む、3価クロム化成皮膜又はクロムフリー化成皮膜のトップコート剤用摩擦調整剤は、添加されるトップコート剤の組成については特に制限はない。しかしながら水溶性樹脂、水溶性有機溶媒及び水等が含まれる水溶性溶媒トップコート剤であることが好ましく、水溶性樹脂及び水を含む水溶媒系トップコート剤であることが更に好ましい。
【0007】
また、本発明の3価クロム化成皮膜又はクロムフリー化成皮膜のトップコート剤は、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、変性オルガノポリシロキサン、水溶性グリコールエーテル及び水を含む。
ポリオキシアルキレン脂肪酸エステルについては、上述の通りである。トップコート剤中のポリオキシアルキレン脂肪酸エステルの濃度は、好ましくは1〜100g/Lの範囲であり、より好ましくは20〜60g/Lの範囲である。
上記変性オルガノポリシロキサンは、親水性セグメントがオルガノポリシロキサンセグメントの末端又は側鎖のケイ素原子に結合してなる変性オルガノポリシロキサンである。親水性セグメントとしては、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル、N−アシルアルキレンイミン、アクリル酸、ビニルアルコール等が挙げられるが、好ましくはポリアルキレングリコールであり、特にプロピレングリコールが好ましい。したがって、好ましい変性オルガノポリシロキサンは、ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンであり、特にポリオキシプロピレン変性オルガノポリシロキサン(ポリプロピレングリコール変性オルガノポリシロキサン)が好ましい。このようなポリシロキサンは市販品のポリプロピレングリコール変性シリコーンとして容易に入手できる。上記変性オルガノポリシロキサンは、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。トップコート剤中の変性オルガノポリシロキサンの濃度は、好ましくは50〜450g/Lの範囲であり、より好ましくは150〜350g/Lの範囲である。
【0008】
上記水溶性グリコールエーテルとしては、アルキレングリコールアルキルエーテル類が好ましく、例えばモノアルキレングリコールモノモノアルキルエーテル、モノアルキレングリコールジアルキルエーテルであり、より好ましくはエチレングリコールモノアルキルエーテル(セロソルブ類)である。具体的には、例えばエチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(2−メトキシー1−プロパノール、1−メトキシー2−プロパノールなど)、ブチレングリコールモノメチルエーテル(2−メトキシー1−ブタノール、3−メトキシー1−ブタノール、1−メトキシー2−ブタノールなど)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル(ジメチルセロソルブ)、エチレングリコールジエチルエーテル(ジエチルセロソルブ)などが挙げられる。これらのうちでは、特に好ましくはエチレングリコールモノブチルエーテル、ブチレングリコールモノメチルエーテルである。上記水溶性グリコールエーテルは、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。トップコート剤中の水溶性グリコールエーテルの濃度は、好ましくは50〜400g/Lの範囲であり、より好ましくは100〜200g/Lの範囲である。
【0009】
本発明のトップコート剤は、さらにコロイド状金属酸化物を含んでもよい。コロイド状金属酸化物としては、好ましくは酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミ、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、三酸化二クロム(Cr
2O
3)などである。上記コロイド状金属酸化物は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。トップコート剤中のコロイド状金属酸化物の濃度は、好ましくは150g/L以下であり、より好ましくは10〜100g/Lの範囲であり、さらに好ましくは20〜50g/Lの範囲である。
本発明のトップコート剤は、さらに任意の塗料用着色化剤、例えば着色用顔料乃至染料を含んでもよい。トップコート剤中の着色用顔料乃至染料の濃度は、通常5〜100g/Lの範囲であり、より好ましくは7〜30g/Lの範囲である。例えば、黒色化のための黒色化剤としては、カーボンブラック顔料、塗料用に用いられる炭素系黒色顔料、或いは塗料用に用いられる有機溶剤及び水等の溶剤に溶解する溶剤可溶性黒色染料、例えばクロム錯塩アゾ系染等の金属錯塩染料などが挙げられる。黒色化剤は、カーボンブラック顔料と黒色染料を組み合わせると黒色がより良好となり好ましい。この場合、カーボンブラック顔料と黒色染料の割合はカーボンブラック顔/黒色染料:90/10〜10/90の範囲が好ましい。
【0010】
本発明のトップコート剤は、さらに紫外線吸収剤を含んでもよい。紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、ヒドロキシベンゾフェノン、ヒドロキシフェニルSトリアジン、シュウ酸アニリドの誘導体などが挙げられる。上記紫外線吸収剤は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。トップコート剤中の紫外線吸収剤の濃度は、好ましくは150g/L以下であり、より好ましくは5〜100g/Lの範囲である。
本発明のトップコート剤は、さらに塗料用添加剤、金属表面処理剤等に用いられる、いわゆるシミ防止のためのシミ防止剤、カビ発生防止のためのカビ抑制剤、仕上げ外観の均一性と光沢性向上のための界面活性剤や水溶性樹脂、変色防止剤などを含んでもよい。本発明のトップコート剤の上記成分以外の成分は水である。また、トップコート剤は、通常の塗料と同じく、塗装作業性、保存性、塗膜厚調整等の理由により、例えば水と水溶性有機溶剤、例えば水とブチルセロソルブで適度の濃度に希釈して使用することができる。例えばそのトップコート剤希釈液中のトップコート剤濃度は30−100wt%、好ましくは50−80wt%である。
【0011】
3価クロム化成皮膜又はクロムフリー化成皮膜上に形成されるトップコート皮膜は、上記トップコート剤に部材を浸漬するか、又は部材に上記トップコート剤をスプレー塗布し、遠心でトップコート剤を良く振り切った後、皮膜を十分に乾燥することで得られる。遠心振り切りは、200〜1000rpmが好ましい。また、振り切り時間は、2〜5分が好ましい。乾燥温度は、100〜220℃が好ましい。また、乾燥時間は、10〜60分が好ましい。この乾燥温度範囲よりも低いと耐食性が低下し、また高過ぎても耐食性が低下する。乾燥時間が10分より短いと耐食性が低下する。また、乾燥時間が長すぎると経済的でない。また、トップコート皮膜の乾燥方法としては、予備乾燥、ついで本乾燥する2段階の乾燥方法が好ましい。予備乾燥は、乾燥温度30℃〜80℃、乾燥時間3〜30分が好ましく、本乾燥は、乾燥温度100℃〜220℃、乾燥時間10〜60分が好ましい。80℃以下で予備乾燥することにより、高温乾燥時に皮膜が収縮して皮膜切れや未着のような皮膜欠陥を防止することができるので好ましい。
また上記トップコート皮膜の厚さは、通常0.8〜5μmであり、好ましくは1〜3μmである。厚みをこのような範囲とすると、外観に優れた高耐食性のものとすることができ、また液だまりやシミの発生、並びに寸法精度の低下を防止することができる。
【0012】
本発明で用いられる金属基体としては、鉄、ニッケル、銅、アルミニウムなどの各種金属、及びこれらの合金、あるいは亜鉛置換処理を施したアルミニウムなどの金属や合金の板状物、直方体、円柱、円筒、球状物など種々の形状のものが挙げられる。
上記金属基体は、常法により亜鉛又は亜鉛合金めっきが施されてもよい。基体上に亜鉛めっきを析出させるには、硫酸浴、ホウフッ化浴、塩化カリウム浴、塩化ナトリウム浴、塩化アンモニウム折衷浴等の酸性・中性浴、シアン浴、ジンケート浴、ピロリン酸浴等のアルカリ性浴のいずれでも良く、特に挙げるとすれば、ジンケート浴が好ましい。また、亜鉛合金めっきは、塩化アンモニウム浴、有機キレート浴等のアルカリ浴のいずれでもよい。また、亜鉛合金めっきとしては、亜鉛−鉄合金めっき、亜鉛−ニッケル合金めっき、亜鉛−コバルト合金めっき、錫−亜鉛合金めっき等が挙げられる。亜鉛や亜鉛合金めっきの厚みは任意とすることができるが、1μm以上であるのが好ましく、より好ましくは5〜25μmである。
本発明のトップコート剤は、上記基体金属上に形成される3価クロム化成皮膜又はクロムフリー化成皮膜と必要に応じてその上層に形成されてもよい各種皮膜のトップコートとして用いられる限りその使用方法は特に制限されない。本発明のトップコート剤の使用方法としては、例えば、上記基体金属を、又は基体金属上に亜鉛又は亜鉛合金めっきを析出させた後、必要に応じて適宜、前処理、例えば水洗、または水洗後、硝酸等の活性処理してから、3価クロム化成皮膜又はクロムフリー化成皮膜を形成するための処理溶液を用いて、例えば浸漬処理等の方法で化成処理を行い、その後更に必要に応じて、化成皮膜上に例えば特開2005−23372号公報、WO2012/137680号公報等に記載の仕上げ処理した後に、トップコート剤として用いられる。
【0013】
具体的には例えば、亜鉛や亜鉛系合金めっき層を有する金属基体に3価クロム化成皮膜を形成する場合、通常、金属基体を3価クロム化成処理溶液に、例えば10〜80℃の液温で5〜600秒間浸漬し3価クロム化成皮膜を、0.1〜0.3μm程度の厚みで亜鉛や亜鉛系合金めっき層上に設ける。なお、金属基体に亜鉛めっきが施されている場合では、3価クロム化成皮膜の光沢を増すために、通常3価クロム化成処理前に被処理物を稀硝酸溶液に浸漬させることが行われるが、本発明ではこのような前処理を用いてもよいし、用いなくてもよい。さらに、このようにして形成された3価クロム化成皮膜を仕上げ処理する場合は、3価クロム化成皮膜を有する金属基体を、水洗した後または水洗することなしに、その3価クロム化成皮膜を水溶液の形態にある仕上げ剤に接触させ(好ましくは仕上げ剤水溶液に浸漬し)、仕上げ剤を付着させ、水洗なしに脱水乾燥して、3価クロム化成皮膜上に仕上剤の層を形成させる。仕上げ処理の接触温度(好ましくは浸漬温度)は通常10〜80℃であり、接触時間(好ましくは浸漬時間)は3〜30秒、乾燥温度は50℃〜200℃、乾燥時間は5分〜60分である。また、仕上層の厚みは、任意とすることができるが、0.05〜0.3μm程度であるのが好ましい。
【0014】
本発明においては、3価クロム化成皮膜又はクロムフリー化成皮膜を形成するための処理溶液は特に制限はなく、公知の亜鉛乃至亜鉛合金用、アルミニウム乃至アルミニウム合金用などの各種の化成処理溶液を用いることが出来る。例えば、3価クロム化成処理液としては、米国特許第5,415,702号明細書、特開2003-166074号公報や特開2003-166075号公報、特開2002-053975号公報、特開2005-171296号公報、特開2004-285373号公報などに記載の種々の3価クロムメート処理液を用いて行うことができる。また特開2003−26856号公報、特開2007−100206号公報、WO2007/094496号公報、WO2007/100135号公報などに記載された黒色3価クロムメート処理溶液は特に好ましいものである。
また、例えば、クロムフリー化成処理溶液としては、特開2010-031332号公報、特開2009-138132号公報記載のクロムフリー化成処理溶液などが挙げられる。
【0015】
このような化成処理溶液について、例えば、亜鉛又は亜鉛合金めっき用3価クロム黒色化成処理液について更に詳細に述べると、3価クロムイオンの供給源としては、3価クロムイオンを含むいずれのクロム化合物も使用することができるが、好ましくは塩化クロム、硫酸クロム、硝酸クロム、燐酸クロム、酢酸クロムなどの3価クロム塩を使用することができる。上記3価クロムの供給源は、1種あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。処理液中の3価クロムの濃度に性能的な制限はないが、排水処理の観点からは可能な限り低濃度化するのが好ましい。よって、耐食性能等も考慮に入れると、処理液中の3価クロムイオンの濃度は、好ましくは0.5〜20g/Lの範囲であり、より好ましくは1〜10g/Lの範囲である。このような範囲の3価クロムイオン濃度とすることにより、排水処理の観点で、また経済的にも有利である。なお、上記3価クロム黒色化成処理液は、一般に6価クロムフリー3価クロム黒色化成皮膜と呼ばれる皮膜を形成させるための3価クロム黒色化成処理液である。
上記3価クロム黒色化成処理液はキレート剤を含まなくてもよい。しかしながら、キレート剤を含んでいるとより均一な化成皮膜が得られるので好ましい。キレート剤としては、キレート形成能のある有機カルボン酸及びその塩などが挙げられる。また、有機カルボン酸の中でも、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、クエン酸、アジピン酸などのジカルボン酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸などのオキシカルボン酸及びトリカルバリル酸などの多価カルボン酸が好ましく、これらは塩(例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム等の塩)の形態であってもよい。上記キレート剤は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。処理液中のキレート剤の濃度は、好ましくは1〜40g/Lの範囲であり、より好ましくは5〜35g/Lの範囲である。またキレート剤を含む場合、3価クロムイオンに対するキレート剤のモル比[(キレート剤濃度(モル/L)/3価クロムイオン濃度(モル/L)]は、好ましくは0.2〜4、より好ましくは1〜2である。また、3価クロム化合物とキレート剤の混合方法については特に制限はないが、予め例えば温度60℃以上で加熱混合して錯体形成を促進した後、使用してもよい。
【0016】
上記3価クロム黒色化成処理液は、さらに3価クロムイオン以外の他の金属イオンを含有させてもよい。このような金属イオンとしてはCo、V、Ti、W、Zr、Mn、Mo、Ta、Ce、Sr、Fe及びAlからなる群より選ばれる金属イオンを含んでいてもよい。金属イオンの供給源としては、金属イオンの塩化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、酸素酸塩などが挙げられる。上記金属イオンは、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。処理液中の金属イオンの濃度は、好ましくは0.1〜50g/Lの範囲であり、より好ましくは0.5〜20g/Lの範囲である。
上記の他に、亜リン酸、次亜リン酸及びそれらのアルカリ塩、またはリン酸アルキルエステル、亜リン酸アルキルエステルのようなリン酸エステル、亜リン酸エステルから選ばれた1種以上を添加してもよい。この場合、処理液中の濃度は、好ましくは0.1〜50g/Lであり、より好ましくは0.5〜20g/Lである。
さらに、硫黄化合物を含んでいても良い。硫黄化合物としては、無機硫黄化合物、有機硫黄化合物が挙げられ、これらのうち有機硫黄化合物が好ましい。特にチオ尿素、チオ酢酸、チオグリコール酸、チオリンゴ酸、チオマレイン酸、ジチオグリコール酸、及びそれらのナトリウム塩、アンモニウム塩が好ましく、処理液中の濃度は、好ましくは0.1〜10g/Lである。
【0017】
上記3価クロム黒色化成処理液は、化成処理に伴い亜鉛イオン濃度は増加するが、使用中の処理浴の亜鉛イオン濃度としては、20g/L以下であり、好ましくは亜鉛イオン濃度は0.1g/L〜20g/Lの範囲であり、かつ、初期(建浴時)においては、亜鉛イオン濃度が0.1g/L〜10g/Lの範囲である。処理浴中の亜鉛イオン濃度が高すぎると耐食性や黒味が低下し、好ましくない。また、化成処理中の亜鉛イオン濃度を管理するための亜鉛イオンの測定方法は、特に制限はなく、滴定分析、イオンプラズマ分光分析、原子吸光分析等の公知の方法により精度よく管理することが出来る。また、3価クロムイオン濃度も同様の方法で管理することが出来る。
上記3価クロム黒色化成処理液は、さらに亜リン酸、次亜リン酸及びそのアルカリ塩、或いはリン酸アルキルエステル、亜リン酸アルキルエステル以外の、リンの酸素酸イオン、塩素イオン、硝酸イオン及び硫酸イオンなどの群から選ばれる1種以上の無機酸イオンを含んでいても良い。無機酸の供給源としては、リン酸、次亜リン酸、塩酸、硝酸、硫酸又はそれらの塩などが挙げられる。上記無機酸は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。処理液中の無機酸イオンの濃度は合計で、好ましくは1〜80g/Lの範囲であり、より好ましくは2〜20g/Lの範囲である。
上記3価クロム黒色化成処理液のpHは、好ましくは0.5〜5であり、より好ましくは1〜4である。pHの調整には、上記無機酸を用いてもよく、また水酸化アルカリ、アンモニア水などのアルカリ剤を用いてもよい。上記3価クロム黒色化成処理液における上記成分の残分は水である。
例えば、本発明のトップコート剤から形成されるトップコート皮膜が黒色化剤を含む黒色トップコート皮膜である場合、下層に用いられる3価クロム黒色化成皮膜は、Znイオン濃度が20g/L以下の6価クロムフリー3価クロム黒色化成処理液を用いて形成されることが好ましい。また、3価クロム黒色化成皮膜のクロムイオン付着量は好ましくは0.2〜3.0mg/dm
2であり、クロムイオン付着量をこのような範囲とすることで、黒色外観に優れた高耐食性のものとすることができる。
次に、実施例及び比較例により本発明を説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【実施例】
【0018】
皮膜の測定は以下の方法に従い行った。
(トップコート剤安定性評価方法)
トップコート剤を500mLポリビンに500mL入れ、室温にて1週間放置する。その後、目視にて液の分離を判定する。
(トップコート皮膜厚さ測定方法)
ボルトの頭部二面幅中央を切断し、電子顕微鏡にて膜厚を測定する。
(仕上がり外観評価方法)
目視にて外観の色を判定する。
(耐食性試験方法)
JIS Z2371に従う塩水噴霧試験を行い、白錆発生までの時間を評価した。
(総合摩擦係数)
JIS B1084に従う締付試験方法にて総合摩擦係数を測定する。
【0019】
(実施例1)
M6のボルト(鉄)にジンケート亜鉛めっき(ディップソール(株)製 NZ−110浴を使用)を厚さ8μm施したものを用い、3価クロム化成処理液(ディップソール(株)製 ZT−444DSMTタイプ、ZT−444DSM1:75mL/L、ZT−444DST:1mL/L、化成処理条件35℃×20秒間)を用いて3価クロム化成皮膜を形成した。次いで、ボルトを遠心脱水機にかけた(700rpmで3分間)。その後、摩擦調整剤を添加した下記表1に示したトップコート剤を用いてトップコート皮膜を形成し、遠心脱水機にかけ(700rpmで3分間)、乾燥(200℃10分)した。
得られたボルトについて、トップコート皮膜の厚さ、仕上がり外観、耐食性、耐傷つけ性、及び総合摩擦係数を測定した。
【0020】
(実施例2)
実施例1で用いたものと同様の亜鉛めっきボルトに、3価クロム黒色化成処理液(ディップソール(株)製 ZTB−447S123C3タイプ、ZTB−447S1:50mL/L、ZTB−447S2:20mL/L、ZTB−447S3:7mL/L、化成処理条件30℃×40秒間)を用いて3価クロム黒色化成皮膜を形成した。次いで、ボルトを遠心脱水機にかけた(700rpmで3分間)。その後、摩擦調整剤を添加した下記表1に示した黒色トップコート剤を用いて黒色トップコート皮膜を形成し、遠心脱水機にかけ(700rpmで3分間)、予備乾燥(40℃5分)を行い、続いて本乾燥(200℃10分)した。
得られたボルトについて、トップコート皮膜の厚さ、仕上がり外観、耐食性、耐傷つけ性、及び総合摩擦係数を測定した。
【0021】
(実施例3)
実施例1で用いたものと同様の亜鉛めっきボルトに、3価クロム黒色化成処理液(ディップソール(株)製 ZTB−447S123C3タイプ、ZTB−447S1:50mL/L、ZTB−447S2:20mL/L、ZTB−447S3:7mL/L、化成処理条件30℃×40秒間)を用いて3価クロム黒色化成皮膜を形成し、さらに仕上げ処理(ディップソール(株)製 ZTB−118タイプ、ZTB−118:150mL/L、45℃、10秒間)を行った。次いで、ボルトを遠心脱水機にかけた(700rpmで3分間)。その後、摩擦調整剤を添加した下記表1に示した黒色トップコート剤を用いて黒色トップコート皮膜を形成し、遠心脱水機にかけ(700rpmで3分間)、乾燥(200℃10分)した。
得られたボルトについて、トップコート皮膜の厚さ、仕上がり外観、耐食性、耐傷つけ性、及び総合摩擦係数を測定した。
【0022】
(比較例1)
実施例1で用いたものと同様の亜鉛めっきボルトに、3価クロム化成処理液(ディップソール(株)製 ZT−444DSMTタイプ、ZT−444DSM1:75mL/L、ZT−444DST:1mL/L、化成処理条件35℃×20秒間)を用いて3価クロム化成皮膜を形成した。次いで、ボルトを遠心脱水機にかけた(700rpmで3分間)。その後、下記表1に示したトップコート剤を用いてトップコート皮膜を形成し、遠心脱水機にかけ(700rpmで3分間)、乾燥(200℃10分)した。
得られたボルトについて、トップコート皮膜の厚さ、仕上がり外観、耐食性、耐傷つけ性、及び総合摩擦係数を測定した。
【0023】
(比較例2)
実施例1で用いたものと同様の亜鉛めっきボルトに、3価クロム黒色化成処理液(ディップソール(株)製 ZTB−447S123C3タイプ、ZTB−447S1:50mL/L、ZTB−447S2:20mL/L、ZTB−447S3:7mL/L、化成処理条件30℃×40秒間)を用いて3価クロム黒色化成皮膜を形成した。次いで、ボルトを遠心脱水機にかけた(700rpmで3分間)。その後、下記表1に示した黒色トップコート剤を用いて黒色トップコート皮膜を形成し、遠心脱水機にかけ(700rpmで3分間)、乾燥(200℃10分)した。
得られたボルトについて、トップコート皮膜の厚さ、仕上がり外観、耐食性、耐傷つけ性、及び総合摩擦係数を測定した。
【0024】
(比較例3)
実施例1で用いたものと同様の亜鉛めっきボルトに、3価クロム化成処理液(ディップソール(株)製 ZT−444DSMTタイプ、ZT−444DSM1:75mL/L、ZT−444DST:1mL/L、化成処理条件35℃×20秒間)を用いて3価クロム化成皮膜を形成した。次いで、ボルトを遠心脱水機にかけ(700rpmで3分間)、乾燥(200℃10分)した。
得られたボルトについて、トップコート皮膜の厚さ、仕上がり外観、耐食性、耐傷つけ性、及び総合摩擦係数を測定した。
【0025】
(比較例4)
実施例1で用いたものと同様の亜鉛めっきボルトに、3価クロム黒色化成処理液(ディップソール(株)製 ZTB−447S123C3タイプ、ZTB−447S1:50mL/L、ZTB−447S2:20mL/L、ZTB−447S3:7mL/L、化成処理条件30℃×40秒間)を用いて3価クロム黒色化成皮膜を形成し、さらに仕上げ処理(ディップソール(株)製 ZTB−118タイプ、ZTB−118:150mL/L、処理条件45℃×10秒間)を行った。次いで、ボルトを遠心脱水機にかけ(700rpmで3分間)、乾燥(80℃10分)した。
得られたボルトについて、トップコート皮膜の厚さ、仕上がり外観、耐食性、耐傷つけ性、及び総合摩擦係数を測定した。
【0026】
(比較例5)
実施例1で用いたものと同様の亜鉛めっきボルトに、3価クロム化成処理液(ディップソール(株)製 ZT−444DSMTタイプ、ZT−444DSM1:75mL/L、ZT−444DST:1mL/L、化成処理条件35℃×20秒間)を用いて3価クロム化成皮膜を形成した。次いで、ボルトを遠心脱水機にかけた(700rpmで3分間)。その後、従来のポリオレフィンワックス摩擦調整剤を添加した下記表1に示したトップコート剤を用いてトップコート皮膜を形成し、遠心脱水機にかけ(700rpmで3分間)、乾燥(200℃10分)した。
得られたボルトについて、トップコート皮膜の厚さ、仕上がり外観、耐食性、耐傷つけ性、及び総合摩擦係数を測定した。
【0027】
(比較例6)
実施例1で用いたものと同様の亜鉛めっきボルトに、3価クロム黒色化成処理液(ディップソール(株)製 ZTB−447S123C3タイプ、ZTB−447S1:50mL/L、ZTB−447S2:20mL/L、ZTB−447S3:7mL/L 化成処理条件30℃×40秒間)を用いて3価クロム黒色化成皮膜を形成した。次いで、ボルトを遠心脱水機にかけた(700rpmで3分間)。その後、従来のポリオレフィンワックス摩擦調整剤を添加した下記表1に示した黒色トップコート剤を用いて黒色トップコート皮膜を形成し、遠心脱水機にかけ(700rpmで3分間)、乾燥(200℃10分)した。
得られたボルトについて、トップコート皮膜の厚さ、仕上がり外観、耐食性、耐傷つけ性、及び総合摩擦係数を測定した。
【0028】
【表1】
残部は水である。
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】