(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6074044
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】ハンドオーバ手順およびリダイレクション手順のための積極的であり位置に基づくトリガ
(51)【国際特許分類】
H04W 36/32 20090101AFI20170123BHJP
H04W 36/30 20090101ALI20170123BHJP
H04W 36/14 20090101ALI20170123BHJP
H04W 16/18 20090101ALI20170123BHJP
【FI】
H04W36/32
H04W36/30
H04W36/14
H04W16/18 110
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-534892(P2015-534892)
(86)(22)【出願日】2013年9月23日
(65)【公表番号】特表2015-536102(P2015-536102A)
(43)【公表日】2015年12月17日
(86)【国際出願番号】CA2013050724
(87)【国際公開番号】WO2014053060
(87)【国際公開日】20140410
【審査請求日】2015年6月1日
(31)【優先権主張番号】13/633,287
(32)【優先日】2012年10月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391030332
【氏名又は名称】アルカテル−ルーセント
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100114915
【弁理士】
【氏名又は名称】三村 治彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120363
【弁理士】
【氏名又は名称】久保田 智樹
(74)【代理人】
【識別番号】100125139
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 洋
(72)【発明者】
【氏名】エスキシオグリュー,スアット アール.
(72)【発明者】
【氏名】マートン,チャバ
(72)【発明者】
【氏名】ディン,アラン
【審査官】
望月 章俊
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−124945(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第1830596(EP,A1)
【文献】
米国特許第6850764(US,B1)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0297979(US,A1)
【文献】
特表2015−530016(JP,A)
【文献】
国際公開第2004/112419(WO,A1)
【文献】
特表2007−504751(JP,A)
【文献】
Paul Houze, Sana Ben Jemaa, Pascal Cordier,Common Pilot Channel for network selection,Vehicular Technology Conference, 2006. VTC 2006-Spring. IEEE 63rd,米国,IEEE,2006年 5月10日,Volume:1,p.67-71
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W4/00−H04W99/00
H04B7/24−H04B7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワークにおいて呼セッションのハンドオーバまたはリダイレクションのためのトリガを提供する方法であって、
セルラー・ネットワークにおいて2つ以上のレイヤを網羅する地理的なグリッドの表現を作成するステップであって、レイヤはキャリア周波数と組になったセルラー技術を含む固有の組合せとして定義されており、前記地理的なグリッドは複数のグリッド・ゾーンに分割されている、ステップと、
前記地理的なグリッドの前記表現内の前記レイヤについて、複数のユーザ機器からデータを収集し、前記データをネットワーク・マップ・データベースに記憶するステップであって、前記データは、技術およびキャリア周波数毎に、グリッド・ゾーン毎の1つまたは複数のネットワーク・キー・パフォーマンス・インジケータ(KPI)統計値を計算するために用いられる、ステップと、
地理的な位置情報を特定のユーザ機器から取得するステップであって、前記特定のユーザ機器は所与のセルラー技術と所与のキャリア周波数とが用いられる呼セッションに関係している、ステップと、
前記特定のユーザ機器についての前記地理的な位置情報を、前記地理的なグリッドの前記表現における特定のグリッド・ゾーンにマップするステップと、
前記特定のグリッド・ゾーンについての前記1つまたは複数のネットワークKPI統計値の少なくとも1つを用いて、ターゲット・セルへの前記呼セッションのハンドオーバまたはリダイレクションをトリガするステップと、
を含み、
前記1つまたは複数のネットワークKPI統計値が、確立成功レート(ESR)、セッション・ドロップ・レート(SDR)、及び呼ドロップ・レート(CDR)のうちの少なくとも一つを含む、方法。
【請求項2】
前記ハンドオーバまたはリダイレクションは、異なるセルラー技術および/または異なるキャリア周波数のターゲット・セルに対してなされる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記地理的な位置情報を取得する前記ステップは、呼セッションがドロップしたかまたは確立に失敗したときには、1つまたは複数のシグナリング・メッセージの追加の位置パラメータにおける地理的情報を受け取るステップを含んでおり、
さらに、以下のタイプのメッセージ、すなわち、無線リソース制御(RRC)接続要求、RRC接続セットアップ完了、RRC接続解除完了、RRCセル更新、RRC無線ベアラ解除完了の中の少なくとも1つにおいて前記地理的な位置情報を用いて、グリッド・ゾーン毎に、確立成功レート(ESR)統計値とセッション・ドロップ・レート(SDR)統計値とを算出するステップを含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記セルラー・ネットワーク技術が、少なくとも広帯域符号分割多元接続または4Gロング・ターム・エボリューションを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記呼セッションを、特定のセルラー技術のターゲット・セルにリダイレクトまたはハンドオーバするステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記呼セッションを、特定のキャリア周波数のターゲット・セルにリダイレクトまたはハンドオーバするステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
通信ネットワークにおいて、呼セッションのハンドオーバまたはリダイレクションのためのトリガを提供するためのシステムであって、
ネットワーク・マップ・データベースと、
1つまたは複数のプロセッサと、
を備えており、前記1つまたは複数のプロセッサは、
セルラー・ネットワークにおいて2つ以上のレイヤを網羅する地理的なグリッドの表現を作成するステップであって、レイヤはキャリア周波数と組になったセルラー技術を含む固有の組合せとして定義されており、前記地理的なグリッドは複数のグリッド・ゾーンに分割されている、ステップと、
前記地理的なグリッドの前記表現における前記レイヤについて、複数のユーザ機器からデータを収集し、前記データをネットワーク・マップ・データベースに記憶するステップであって、前記データは、技術およびキャリア周波数毎に、グリッド・ゾーン毎の1つまたは複数のネットワーク・キー・パフォーマンス・インジケータ(KPI)統計値を計算するために用いられる、ステップと、
地理的な位置情報を特定のユーザ機器から取得するステップであって、前記特定のユーザ機器は所与のセルラー技術と所与のキャリア周波数とが用いられる呼セッションに関係している、ステップと、
前記特定のユーザ機器についての前記地理的な位置情報を、前記地理的なグリッドの前記表現における特定のグリッド・ゾーンにマップするステップと、
前記特定のグリッド・ゾーンについての前記1つまたは複数のネットワークKPI統計値の少なくとも1つを用いて、ターゲット・セルへの前記呼セッションのハンドオーバまたはリダイレクションをトリガするステップと、
を実行するように構成されており、
前記1つまたは複数のネットワークKPI統計値が、確立成功レート(ESR)、セッション・ドロップ・レート(SDR)、及び呼ドロップ・レート(CDR)のうちの少なくとも一つを含む、
システム。
【請求項8】
前記セルラー・ネットワーク技術が、少なくとも広帯域符号分割多元接続または4Gロング・ターム・エボリューションを含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記1つまたは複数のプロセッサは、さらに、
特定のユーザ機器が接続状態である間に、地理的な位置情報を測定報告における前記特定のユーザ機器から取得し、
前記特定のユーザ機器について取得された前記地理的な位置情報を、前記地理的なグリッドの前記表現における特定のグリッド・ゾーンにマップし、
前記特定のグリッド・ゾーンについての前記1つまたは複数のネットワークKPI統計値の少なくとも1つを用いて、別のセルラー技術または別のキャリア周波数へのセッションのハンドオーバをトリガするように構成されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記データは、技術およびキャリア周波数毎に、グリッド・ゾーン毎の無線測定値をさらに含んでおり、前記1つまたは複数のプロセッサは、さらに、
特定のユーザ機器が接続状態に移行しつつあるとき、または、特定のユーザ機器との間でサービス確立を実行しつつあるときには、接続要求メッセージにおいて報告されている前記特定のユーザ機器についての前記地理的な位置情報を、前記地理的なグリッドの前記表現における特定のグリッド・ゾーンにマップし、
前記特定のグリッド・ゾーンについての前記1つまたは複数のネットワークKPI統計値の少なくとも1つを用いて、前記特定のユーザ機器についての呼セッションのターゲット・セルへのリダイレクションをトリガするように構成されている、請求項7に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザ機器からの地理的な位置情報をネットワーク・マップに関するデータと相関させて、ハンドオーバ手順およびリダイレクション手順をトリガする方法および装置に関する。本発明は特に、ワイヤレス電気通信の技術を対象とし、したがって、特にそれに関連して説明されるが、本発明は他の分野および適用例において有用性を有し得ることを諒解されたい。
【背景技術】
【0002】
背景として、セルラー電話通信などのワイヤレス電気通信の分野では、システムは通常、システムによってサービスされるべき領域内に分散された複数の基地局を含む。次いで、固定またはモバイルの領域内の様々なユーザは、基地局のうちの1つまたは複数を介して、システムおよび、したがって、他の相互接続された電気通信システムにアクセスすることができる。通常、ユーザが移動するとき、ユーザは、ある基地局と、次いで別の基地局と通信することによって、ユーザが領域を通過するときのシステムとの通信を維持する。ユーザは、最も近い基地局、最も強い信号を有する基地局、通信を受け入れるのに十分な容量を有する基地局などと通信することができる。
【0003】
ワイヤレス・ネットワークにおけるユーザの体感品質(QoE)は、加入者を引き付け、加入者を引き留めるのに役立ち、また、顧客ロイヤルティを築く要素のうちの1つであるので、ネットワーク事業者にとって重要である。体感品質をその最も高い水準に保つために、ワイヤレス・ネットワーク事業者は、ネットワーク・リソース使用量、特に、希少で高価なリソースである無線スペクトル使用量を最適化することに特に注意を払っている。
【0004】
スマートフォンの幅広い浸透およびそのエンドユーザからの高スループットの需要をサポートするために、多くのワイヤレス・ネットワーク事業者は、その既存の広帯域符号分割多元接続(W−CDMAまたはWCDMA)ネットワークおよびモバイル通信用グローバル・システム(GSM)ネットワークに加えて、ロング・ターム・エボリューション(LTE)規格を配備している。そのネットワークの多くの部分では、高スループット、最適な体感品質、および多数の加入者からの常時接続の需要をサポートするために、W−CDMAネットワークおよびLTEネットワークに2つ以上のキャリア周波数が配備されている。言い換えれば、加入者からの容量の需要と体感品質の需要の両方によって、ワイヤレス・ネットワーク事業者は、これらの需要を満たすために、いくつかのW−CDMAキャリア周波数およびLTEキャリア周波数を配備することを余儀なくされた。
【0005】
そのような環境では、ワイヤレス・ネットワーク事業者にとっての課題は、たとえば、様々なネットワーク・キー・パフォーマンス・インジケータ(KPI)統計値によって定義されたエンドユーザの体感品質を維持しながら、異なる技術および/またはそれぞれの技術内の異なるキャリア周波数の間で、無線スペクトルおよびネットワーク・リソースを完全に利用することである。
【0006】
したがって、加入者に最適な体感品質も提供しながら、すべての利用可能なリソースを効率的に利用するための最良のセルおよび技術をいつ、どのように選択すべきかを知ることが役立つ。当然ながら、これは、異なる技術間の多くのキャリア周波数が配備されている複雑なネットワーク配備シナリオにおいて達成されなければならない。一例として、ワイヤレス事業者は、そのネットワークに、異なる技術間の8つのキャリア周波数、たとえば、2つのLTEキャリア周波数、5つのW−CDMAキャリア周波数および1つのGSMキャリア周波数を配備することができる。技術とキャリア周波数の固有の組のそれぞれは、レイヤとして定義される。この例では、ネットワークは8つのレイヤを有していると言うことができる。
【0007】
さらに、モバイル無線ネットワークの機能とは、モビリティをサポートすること、すなわち、移動局が、ある基地局の受信範囲から別の基地局の受信範囲に移動しているときであっても、その移動局の移動無線接続を維持する、という能力である。この目的のため、いわゆるハンドオーバが始動され得るのであって、すなわち、基地局Aへの移動局の接続が、ある定義された時点において、基地局Bに手渡(ハンドオーバ)されるのである。
【0008】
セルおよび/またはキャリア周波数のリダイレクションまたはハンドオーバ手順を始動させる多数の反応性(reactive)のトリガが、ワイヤレス・ネットワークに配置されている。卓越した反応性トリガには、無線状態と、リソース不足または輻輳とが含まれる。無線状態が、所与のスレショルド(絶対値スレショルド、または、2つの候補セルもしくはキャリア周波数の無線状態の間の相対的スレショルドのいずれか)よりも低いレベルにまで劣化すると、ネットワークにおいて、セッションをリダイレクトもしくはハンドオーバする先の、別のセルまたはキャリア周波数を選択するという判断がなされる。無線または他のリソースの不足がモビリティのためのトリガとして用いられるときにも、同様のロジックが適用される。
【0009】
よいネットワークKPI数がこれらの反応性トリガを用いて達成され得たとしても、改善の余地は依然として存在するのであって、その改善は、たとえば積極性トリガを用いて達成され得る。無線状態の劣化とネットワークの輻輳とに基づくトリガでは、ネットワークは、単に、既に生じた条件に反応しているに過ぎない。いくつかの場合、たとえば、無線状態が、セッションをより優れたセルもしくはキャリア周波数にリダイレクトまたはハンドオーバすることが不可能でさえあるようなレベルまで既に劣化しているときには、そのセッションを救済するための正しい決定を下すには、遅すぎることがあり得る。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】3GPP仕様23.032
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、複雑なネットワーク配置において、積極的な態様で、最適なセルへのハンドオーバまたはリダイレクションをトリガする方法に対する必要性が存在している。グリッド・ゾーン毎の履歴KPI統計値を、ハンドオーバおよびリダイレクションを決定するための積極的なトリガとして用いることが可能である。ハンドオーバおよびリダイレクションの手順のためのこのタイプのトリガは、セル毎よりもさらにきめ細かい形態で利用可能な関連データを、特に、セルにおけるユーザの位置に応じて変化するデータを用いる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
例示的な実施形態は、ユーザ機器の地理的な位置での情報を使用して、ハンドオーバ手順およびリダイレクション手順のトリガを支援する。このプロセスは、セルラー・ネットワーク上に論理的にオーバーレイされた地理的なグリッドおよび関連付けられたデータベースを構築して、無線測定値をキャプチャし、地理的な位置毎、すなわち、グリッド・ゾーン毎のKPI統計値を算出することと、次いで、モビリティの決定をトリガするためにこのデータを使用することとを伴う。
【0013】
一実施形態では、通信ネットワークにおいて呼セッションのハンドオーバまたはリダイレクションのためのトリガを提供する方法が、提供される。方法は、セルラー・ネットワークにおいて2つ以上のレイヤを網羅する地理的なグリッドを作成するステップであって、レイヤがキャリア周波数と組になったセルラー技術を含む固有の組合せとして定義され、地理的なグリッドが複数のグリッド・ゾーンに分割される、ステップを含む。セルラー・ネットワーク・グリッド内のレイヤのそれぞれについて、複数のユーザ機器からデータが収集され、ネットワーク・マップ・データベースに記憶される。収集されたデータは、少なくとも、技術およびキャリア周波数毎に、グリッド・ゾーン毎のネットワーク・キー・パフォーマンス・インジケータ(KPI)統計値を計算するために用いられる。いったん地理的なグリッドが作製されデータが記憶されると、特定のユーザ機器からの地理的な位置情報が取得される。特定のユーザ機器についての地理的な位置情報は、地理的なグリッドにおける特定のグリッド・ゾーンにマップされる。呼セッションのハンドオーバまたはリダイレクションは、特定のグリッド・ゾーンについてデータベースに記憶されている履歴キー・パフォーマンス・インジケータ(KPI)記録または統計値に基づいて、トリガされる。ハンドオーバまたはリダイレクションは、異なるセルラー技術および/または異なるキャリア周波数のターゲット・セルへ、なされ得る。
【0014】
別の実施形態では、通信ネットワークにおいて呼セッションのハンドオーバまたはリダイレクションのためのトリガを提供する方法が、提供される。方法は、セルラー・ネットワークにおいて2つ以上のレイヤを網羅する地理的なグリッドを作成するステップであって、レイヤがキャリア周波数と組になったセルラー技術を含む固有の組合せとして定義され、地理的なグリッドが複数のグリッド・ゾーンに分割される、ステップを含む。セルラー・ネットワーク・グリッド内のレイヤのそれぞれについて、複数のユーザ機器からデータが収集され、ネットワーク・マップ・データベースに記憶される。収集されたデータは、少なくとも、技術およびキャリア周波数毎に、グリッド・ゾーン毎のネットワーク・キー・パフォーマンス・インジケータ(KPI)統計値を計算するために用いられる。特定のユーザ機器が接続状態にある間は、その特定のユーザ機器からの地理的な位置情報が取得される。特定のユーザ機器についての地理的な位置情報が地理的なグリッドにおける特定のグリッド・ゾーンにマップされる。特定のグリッド・ゾーンについてデータベースに記憶されている履歴KPI統計値は、別のセルラー技術または別のキャリア周波数へのセッションのハンドオーバをトリガするために用いられる。
【0015】
さらに別の実施形態では、通信ネットワークにおいてモビリティ決定のためのトリガを提供する方法が、提供される。方法は、セルラー・ネットワークにおいて2つ以上のレイヤを網羅する地理的なグリッドを作成するステップであって、レイヤがキャリア周波数と組になったセルラー技術を含む固有の組合せとして定義され、地理的なグリッドが複数のグリッド・ゾーンに分割される、ステップを含む。セルラー・ネットワーク・グリッド内のレイヤのそれぞれについて、複数のユーザ機器からデータが収集され、ネットワーク・マップ・データベースに記憶される。収集されたデータは、少なくとも、技術およびキャリア周波数毎に、グリッド・ゾーン毎のネットワーク・キー・パフォーマンス・インジケータ(KPI)統計値を計算するために用いられる。特定のユーザ機器が接続状態に入ろうとするとき、接続要求メッセージで報告された特定のユーザ機器についての地理的な位置情報が地理的なグリッドにおける特定のグリッド・ゾーンにマップされる。特定のグリッド・ゾーンについてデータベースに記憶されている履歴KPI統計値は、その特定のユーザ機器のための呼セッションのターゲット・セルへのリダイレクションをトリガするために用いられる。
【0016】
さらに別の実施形態では、通信ネットワークにおいて呼セッションのハンドオーバまたはリダイレクションのためのトリガを提供するシステムが、提供される。このシステムは、少なくとも、ネットワーク・マップ・データベースと、1つまたは複数のプロセッサとを含む。この1つまたは複数のプロセッサは、セルラー・ネットワークにおいて2つ以上のレイヤを網羅する地理的なグリッドを作成するステップであって、レイヤはキャリア周波数と組になったセルラー技術を含む固有の組合せとして定義されており、地理的なグリッドは複数のグリッド・ゾーンに分割されている、ステップと、セルラー・ネットワーク・グリッドにおけるレイヤのそれぞれについて、複数のユーザ機器からデータを収集し、データをネットワーク・マップ・データベースに記憶するステップであって、収集されるデータは、少なくとも、技術およびキャリア周波数毎に、グリッド・ゾーン毎のネットワーク・キー・パフォーマンス・インジケータ(KPI)統計値を計算するために用いられる、ステップと、を実行するように動作し得る。この1つまたは複数のプロセッサは、さらに、地理的な位置情報を特定のユーザ機器から取得するステップであって、この特定のユーザ機器は所与のセルラー技術と所与のキャリア周波数とが用いられる呼セッションに関係している、ステップと、特定のユーザ機器についての地理的な位置情報を、地理的なグリッドにおける特定のグリッド・ゾーンにマップするステップと、特定のグリッド・ゾーンについてデータベースに記憶されている履歴KPI統計値に基づいて、ターゲット・セルへの呼セッションのハンドオーバまたはリダイレクションをトリガするステップと、を実行するように動作し得る。
【0017】
場合によっては、前述の実施形態のいずれかに関して、セルラー・ネットワーク技術は広帯域符号分割多元接続および/または4Gロング・ターム・エボリューションを含み得る。さらに、前述の実施形態のいずれかが、呼セッションがドロップしたかまたは確立に失敗したときには、位置情報を運ぶ1つまたは複数のシグナリング・メッセージに追加の位置パラメータを追加するステップと、以下のタイプのメッセージ、すなわち、無線リソース制御(RRC)接続要求、RRC接続セットアップ完了、RRC接続解除完了、RRCセル更新、RRC無線ベアラ解除完了の中の少なくとも1つにおいて位置情報を用いて、グリッド・ゾーン毎に、確立成功レート(ESR)統計値とセッション・ドロップ・レート(SDR)統計値とを算出するステップと、をさらに含み得る。さらに、上述した地理的なグリッドは、セルラー・ネットワークにおける実質的にすべてのレイヤを網羅し得る。
【0018】
本発明の適用性のさらなる範囲は、以下で与えられる詳細な説明から明らかとなろう。ただし、本発明の趣旨および範囲内の様々な変更および修正が当業者に明らかとなるので、詳細な説明および具体的な例は、本発明の好ましい実施形態を示すものではあるが、例示のみとして与えられることを理解されたい。
【0019】
本発明は、デバイスの様々な部分の組立て、配置、および組合せ、ならびに方法のステップに存在し、それによって、企図される目的が、以下でより完全に記載され、特許請求の範囲において具体的に指摘され、添付の図面に示されるように達成される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の態様を実施するのに適した例示的な通信システムのブロック図である。
【
図2】本発明の諸態様に従い、ユーザ機器の地理的な位置を用いて、呼セッションのハンドオーバまたはリダイレクションをトリガする例示的な方法の流れ図である。
【
図3】本発明の態様による、関連付けられたデータベースおよびそのエントリを備えるグリッドおよびグリッド・ゾーンを伴う、異なるセルラー技術およびキャリア周波数のレイヤを特徴とするセルラー・ネットワークの透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、表示が、特許請求される主題を限定するためではなく、例示的な実施形態のみを示すためのものである図面を参照すると、
図1は本発明の態様による例示的な通信システム100を示している。
【0022】
本明細書で説明されるように、通信システム100は一般に、ユニバーサル地上無線アクセス・ネットワーク(UTRAN)などの無線アクセス・ネットワーク102を含む。UTRANは、ユニバーサル移動体通信システム(UMTS)無線アクセス・ネットワークを構成するノードB104および無線ネットワーク・コントローラ(RNC)106の集合的用語である。UMTSは、3GPP内で開発された第3世代(3G)無線技術の包括的用語である。無線アクセス仕様は、周波数分割複信(FDD)および時分割複信(TDD)の変形を提供し、いくつかのチップ・レートがTDDオプションにおいて提供され、UTRA技術が広範囲の帯域で動作し、他の無線アクセス技術と共存するのを可能にする。UMTSは、当初のW−CDMA方式を含む。
【0023】
無線アクセス・ネットワーク102は、GSMコアからの進化形であるコア・ネットワーク108に接続する。この通信ネットワークは、リアルタイムの回線交換からIPベースのパケット交換まで、多くのトラフィック・タイプを搬送することができる。UTRAN102は、ユーザ機器(UE)110とコア・ネットワーク(CN)108との間の接続性を可能にする。
【0024】
より具体的には、UTRAN102は、一般にノードB104と呼ばれるいくつかの基地局と、無線ネットワーク・コントローラ(RNC)106とを含む。RNC106は、制御機能を1つまたは複数のノードB104に提供する。RNC106およびそれに対応するノードB104は、無線ネットワーク・サブシステム(RNS)112を構成する。UTRANにおいて2つ以上のRNSが存在していてもよい。
【0025】
RNS112は、UTRAN全体またはUTRANの一部のみのいずれかであり得る。RNSは、特定の無線リソースの割振りおよび解除を行って、UE110とUTRAN102との間の接続の手段を確立する。無線ネットワーク・サブシステム112は一般に、1つのRNCを含み、リソースならびにセルのセットにおける送信および受信を受け持つ。
【0026】
ユーザ機器(UE)110は、携帯電話、スマートフォン、携帯情報端末(PDA)、ラップトップ・コンピュータ、タブレット・コンピュータ、デジタル・ページャ、ワイヤレス・カード、および基地局104を介してデータ・ネットワークにアクセスすることが可能な任意の他のデバイスを含む、様々なモバイル・デバイスのいずれかの形態をとることができる。
【0027】
一般に、RNC106は、RNC106が接続される基地局104を制御し、基地局104に協調するように動作する。
図1のRNC106は一般に、複製サービス、通信サービス、ランタイム・サービス、およびシステム管理サービスを提供する。RNC106は、図示の実施形態では、呼経路の設定および終端などの呼処理機能を処理し、それぞれのUE110と基地局104のそれぞれによってサポートされるそれぞれのセクタとの順方向リンクおよび/または逆方向リンク上でのデータ送信レートを決定することが可能である。
【0028】
UE110は、複数のノードB104と通信する。ノードB104は、順方向誤り訂正符号化、変調、拡散、およびベースバンドからアンテナから送信されたRF信号への変換などの物理レイヤ処理を受け持つ基地局である。ノードB104は、1つのセルからいくつかのセルへの送信および受信を処理することができる。1つのRNCは、複数の(最大で数千の)ノードBを制御することができる。
【0029】
図1は、UE110が、UTRAN102の代わりにE−UTRAN(進化型UTRAN)120に接続され得ることも示している。3GPPは、UMTSおよびGSMから進化するロング・ターム・エボリューション(LTE)も開発した。進化型ノードBとしても知られ、eノードBまたはeNBと略されるE−UTRANノードB122は、UMTSのUTRANにおける要素ノードBの進化形である、LTEのE−UTRAN120における要素であることにも留意されたい。従来、ノードBは最小限の機能(HSPAを除く)を有し、RNCによって制御される。しかし、eノードBには、別個のコントローラ要素がない。このことはネットワーク・アーキテクチャを簡易化し、より速い応答時間を可能にする。
【0030】
一般に、CN108は、データ・ネットワーク(図示せず)および/または公衆交換電話網(PSTN)(図示せず)へのインターフェースとして動作する。CN108は、ユーザ認証などの様々な機能および動作を実行するが、CN108の構造および動作の詳細な説明は、本発明の理解および諒解に必要ではない。したがって、CN108のさらなる説明は、本明細書では提示されない。
【0031】
したがって、当業者は、通信システム100がUE110とデータ・ネットワークおよびPSTNとの間の通信を容易にすることを諒解されよう。ただし、
図1の通信システム100の構成は事実上例示的なものであることと、本発明の趣旨および範囲を逸脱することなく、より少ないまたは追加の構成要素が通信システム100の他の実施形態において用いられ得ることとを理解されたい。
【0032】
セルラー・サイトは、ユーザ機器が「話しかける」ものである。セルラー・サイトは、1つまたは複数の送信アンテナおよび受信アンテナを含む。それぞれのアンテナは、特定の地理的な領域を網羅する。ワイヤレス・サービス・プロバイダは、小さいコミュニティにおいて1つのみのセル・サイトを有してもよいが、広い都心において数百または数千ものセル・サイトを有してもよい。
【0033】
モバイル・ネットワーク事業者(ワイヤレス・サービス・プロバイダ、ワイヤレス・キャリア、セルラー会社、またはモバイル・ネットワーク・キャリアとしても知られる)は、無線スペクトル割振り、ワイヤレス・ネットワーク・インフラストラクチャ、バックホール・インフラストラクチャ、課金、顧客ケアおよびプロビジョニング・コンピュータ・システムおよびマーケティング、顧客ケア、プロビジョニングおよび修理組織を含むサービスをエンドユーザに販売および配信するのに必要な要素を所有または制御する、ワイヤレス通信サービスのプロバイダである。
【0034】
セルは、タワーまたは基地局の周りの半径範囲において(または、より一般的である、セクタ化された配備において)カバレージを提供することができる。その半径範囲内の携帯電話のユーザは、ワイヤレス・サービスにアクセスすることができる。半径範囲が網羅する距離は、とりわけ、セル・サイトの電力出力、背景雑音の量、および他の環境干渉によって決定される。実際の環境では、セルは、地理的な特徴および建物からの干渉により、半径方向のカバレージを提供しない。比較的平坦な地形を有し、全方向性アンテナを備えた場所であれば、完璧に近い円のカバレージを放射状に広げるセルを有するであろう。起伏の多い地形または大きい人工物体(たとえば、建物)を有する位置におけるセル・タワーは、ゆがんだセル・カバレージを有する可能性がある。
【0035】
例示的な実施形態は、ユーザ機器100と関連する地理的な位置情報を用いて、呼セッションのターゲット・セルへのハンドオーバまたはリダイレクションをトリガする。このプロセスは、たとえば、ユーザ機器100から捕捉されたデータのデータベースを構築する際に役立つネットワーク・グリッドを定義するステップと、そのデータを用いて地理的な位置毎にKPI統計値を計算するステップと、さらには、モビリティ決定をトリガするために履歴KPI統計値を用いるステップとを含む。
【0036】
特に別段の定めがない限り、またはそうでなければ説明から明らかなように、「処理する」または「計算する」または「算出する」または「決定する」または「表示する」または「予測する」などの用語は、コンピュータ・システムのレジスタおよびメモリ内で物理量、電子量として表されるデータを操作し、コンピュータ・システムのメモリまたはレジスタあるいは他のそのような情報記憶デバイス、情報送信デバイスまたは情報表示デバイス内で物理量として同様に表される他のデータに変換するコンピュータ・システム、または類似の電子計算デバイスのアクションおよびプロセスを指す。
【0037】
本明細書で使用される「位置」という用語は、ジオロケーションとも呼ばれ得る、ユーザ機器の地理的な位置を指す。ジオロケーションは、楕円体点LatitudeおよびLongitude(3GPP仕様23.032を参照)を使用して、地理座標系で説明され得る。この新たなネットワーク機能は、たとえば、(a)接続状態の間、または(b)接続状態に移行しつつある、もしくは、サービス確立を実行しつつある間に、ジオロケーション情報を用いて、呼セッションのターゲット・セルへのハンドオーバまたはリダイレクションをトリガする。
【0038】
例示的なモビリティ・トリガは、セル・カバレージ・エリアの中のユーザ機器の位置に依存するのであるが、履歴KPI統計値に基づく。履歴KPI統計値は、たとえば、確立成功レート(ESR)、セッション・ドロップ・レート(SDR)、および呼ドロップ・レート(CDR)のうちの1つまたは複数を含み得る。当然ながら、他のタイプのKPI統計値も用いられ得ることを理解されたい。
【0039】
ユーザ機器110の地理的な位置を用いることにより、セル情報のみを用いる場合よりもきめ細かい見解が提供され、したがって、より正確なKPI統計値を、ハンドオーバまたはリロケーション・トリガとして用いられることが可能になる。
【0040】
図2を参照すると、例示的な方法は、セルラー・ネットワークにおいて、レイヤを網羅する地理的なグリッドを作成するステップを含む(210)。セルラー・ネットワークは複数の技術を含み得るのであって、さらに、それぞれの技術は複数のキャリア周波数を含む、ということに注意すべきである。たとえば、ある所与のセルラー・ネットワークはLTEおよびW−CDMA技術を組み入れていることがあり得るし、それぞれの技術は複数のキャリア周波数を有するのである。技術とキャリア周波数との固有の組は、それぞれが、レイヤとも称される。
【0041】
例示的なネットワーク・グリッド300が、
図3に示されている。グリッド300は、セルラー・ネットワーク・マップ308(たとえば、セルi、セルj、セルkなど)上で垂直グリッド線304と水平グリッド線306の交差によって形成された、いくつかのグリッド・ゾーン302(たとえば、グリッド・ゾーンi、グリッド・ゾーンi+1、グリッド・ゾーンi+2、グリッド・ゾーンi+3など)を含む。例として、グリッド・ゾーン302は、約0.001373度である寸法を有する正方形とすることができる。ただし、長方形など、他の寸法および形状を用いることができることを理解されたい。たとえば、グリッド・ゾーン302の指標は(北半球では)グリッド・ゾーンの南東の角とすることができ、以下のように算出され得る。
Latitude: reported degreesLatitude Mod 128
Longitude: reported degreesLongitude Mod 64
【0042】
このプロセスは、セルラー・ネットワーク312におけるそれぞれのレイヤ310(たとえば、LTE F1、LTE F2、W−CDMA F1、W−CDMA F2、W−CDMA F3など)について、反復され得る。
【0043】
次に、セルラー・ネットワーク310におけるレイヤ310および/またはグリッド・ゾーン(または位置)312のそれぞれについて、データが収集され、必要な場合には計算がなされ、そして、ネットワーク・マップ・データベース314に記憶される(220)。ある所与のグリッド・ゾーン[i]についての例示的なマトリックス316が、
図3に示されている。
【0044】
収集され計算されたこれらのデータは、限定されることはないが、無線測定値と履歴KPI統計値とを含み得る。無線測定値は、たとえば、共通パイロットチャネル(またはCPICH)の帯域内干渉合計で除したチップ当たりのエネルギー(またはEc/No)、W−CDMAネットワークのCPICH基準信号の受信信号符号電力(RSCP)、ならびにLTEネットワークの受信電力(RSRP)および基準信号受信品質(RSRQ)のうちの1つまたは複数を含み得る。当然ながら、他のタイプの無線測定値も使用され得ることを理解されたい。ESR、SDR、およびCDRなどの履歴KPI統計値については、先に述べた。
【0045】
無線リソース制御(RRC)プロトコルは、3GPPプロトコル・スタックに属し、UE(ユーザ機器)110とUTRAN102またはE−UTRAN120との間のレイヤ3の制御プレーン・シグナリングを処理する。以下のRRCメッセージに追加の位置パラメータを含めて、セッションがドロップしたか、または確立に失敗したときに位置情報を受信し、その次に、メッセージにおける位置情報を使用して、グリッド・ゾーン毎にESR統計値、SDR統計値、およびCDR統計値を算出することができる。
・ RRC接続要求
・ RRC接続セットアップ完了
・ RRC接続解除完了
・ RRCセル更新
・ RRC無線ベアラ解除完了
【0046】
すべてのレイヤ310のグリッド300は、そのレイヤ上のUE110から受信された測定値を使用して構築される。データは、複数のUE110から、リアルタイムでまたは1つもしくは複数の指定された時間周期で、収集され得る。
【0047】
最後に、例示的な実施形態は、ユーザ機器110の地理的な位置およびグリッドについて収集されたデータに基づいて、ユーザ機器についてハンドオーバ手順またはリダイレクション手順をトリガするステップを含む。これに関して、特定のユーザ機器についての地理的な位置情報が取得される(230)。特定のユーザ機器についての地理的な位置情報は、地理的なグリッドにおける特定のグリッド・ゾーンにマップされる(240)。呼セッションのハンドオーバまたはリダイレクションは、モビリティ決定のためのトリガとして無線状態およびリソース利用可能性を用いるのとは対照的に、特定のグリッド・ゾーンについてデータベースに記憶されているデータ(たとえば、履歴KPI統計値)に基づいてトリガされる。ハンドオーバまたはリダイレクションは、異なるセルラー技術および/または異なるキャリア周波数の(250)のターゲット・セルになされ得る。
【0048】
このように、ジオロケーション情報は、特定の技術およびキャリア周波数が用いられるターゲット・セルへの呼セッションのハンドオーバまたはリダイレクションを積極的にトリガするのに、用いられる。このプロセスは、少なくとも2つのシナリオを含む。あるシナリオでは、接続状態にある間、ユーザ機器の地理的な位置が、そのユーザ機器がセッションの間にたまたま送出するRRC測定報告メッセージまたはいずれかの他のRRCメッセージにおいて、RNC106(または、eNodeB120)に報告される。メッセージにおいて報告される地理的な位置情報は、グリッド300における特定のグリッド・ゾーン302にマップされ、そのグリッド・ゾーン302についてのKPI統計値が、ターゲット・セルへのハンドオーバ手順をトリガするのに用いられる。このトリガは、グリッド・ゾーンのKPI統計値が、オペレータによって設定可能な予めセットされているKPI統計値のスレショルドよりも劣るときに、実現する。
【0049】
このように、例示的な実施形態の積極的なアプローチによると、無線状態やそれ以外の基準を必ずしも考慮することなく、地理的なグリッド・ゾーン毎のネットワークKPI統計値に基づいてハンドオーバをトリガすることによって、体感品質が改善される。
【0050】
別のシナリオでは、サービス確立を実行することを含み得るが、接続状態に移行しつつある間に、RRC接続要求メッセージの結果として、ユーザ機器の地理的な位置が、たとえばRNC106(または、eNodeB120)に報告される。メッセージにおいて報告される地理的な位置情報は、グリッド300における特定のグリッド・ゾーン302にマップされ、そのグリッド・ゾーン302についてのKPI統計値が、ターゲット・セルへのリダイレクション手順をトリガするのに用いられる。このトリガは、グリッド・ゾーンのKPI統計値が、オペレータによって設定可能な予めセットされているKPI統計値のスレショルドよりも劣るときに、実現する。このように、例示的な実施形態の積極的なアプローチによると、無線状態やそれ以外の基準を必ずしも考慮することなく、地理的なグリッド・ゾーン毎のネットワークKPI統計値に基づいてリダイレクションをトリガすることによって、体感品質が改善される。
【0051】
「プロセッサ」と標示された任意の機能ブロックを含む、図に示される様々な要素の機能は、専用ハードウェアならびにソフトウェアを実行することが可能なハードウェアを適切なソフトウェアと関連付けて使用することによって提供され得る。プロセッサによって提供されるとき、機能は、単一の専用プロセッサによって、または単一の共有プロセッサによって、またはそのうちのいくつかが共有され得る、複数の個別のプロセッサによって提供され得る。さらに、「プロセッサ」または「コントローラ」という用語の明示的な使用は、ソフトウェアを実行することが可能なハードウェアだけを指すものと解釈されるべきではなく、限定はしないが、デジタル信号プロセッサ(DSP)ハードウェア、ネットワーク・プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、ソフトウェアを記憶するための読取り専用メモリ(ROM)、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、および不揮発性記憶装置を暗に含み得る。従来のおよび/または特注の他のハードウェアも含まれ得る。
【0052】
当業者であれば、上述の様々な方法のステップはプログラムされたコンピュータによって実行され得ることを容易に認識されよう。本明細書では、いくつかの実施形態は、プログラム記憶デバイス、たとえば、デジタル・データ記憶媒体を網羅することも意図され、これらのデバイスは、機械可読またはコンピュータ可読であり、命令の機械実行可能プログラムまたはコンピュータ実行可能プログラムを符号化し、前記命令は、上述の方法のステップの一部または全部を実行する。プログラム記憶デバイスは、たとえば、デジタル・メモリ、磁気ディスクおよび磁気テープなどの磁気記憶媒体、ハード・ドライブ、または光学読取り可能デジタル・データ記憶媒体であってもよい。実施形態は、上述の方法のステップを実行するようにプログラムされたコンピュータを網羅することも意図される。
【0053】
上記の説明は本発明の特定の実施形態の開示を提供するものにすぎず、本発明をそれに限定するためのものであることは意図されていない。したがって、本発明は上述の実施形態のみに限定されない。むしろ、当業者であれば、本発明の範囲内に入る代替実施形態を想到することができることを認識されたい。