特許第6074054号(P6074054)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6074054CANバスシステムにおいてメッセージの受信品質を改善するための装置、および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6074054
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】CANバスシステムにおいてメッセージの受信品質を改善するための装置、および方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 3/04 20060101AFI20170123BHJP
   H04L 25/03 20060101ALI20170123BHJP
   H04L 12/40 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
   H04B3/04 A
   H04L25/03 C
   H04L12/40 Z
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-541093(P2015-541093)
(86)(22)【出願日】2013年11月4日
(65)【公表番号】特表2016-502791(P2016-502791A)
(43)【公表日】2016年1月28日
(86)【国際出願番号】EP2013072912
(87)【国際公開番号】WO2014072243
(87)【国際公開日】20140515
【審査請求日】2015年6月2日
(31)【優先権主張番号】102012220488.1
(32)【優先日】2012年11月9日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501125231
【氏名又は名称】ローベルト ボッシュ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100095957
【弁理士】
【氏名又は名称】亀谷 美明
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100128587
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 一騎
(72)【発明者】
【氏名】ニッケル、パトリック
【審査官】 後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−239091(JP,A)
【文献】 特開昭52−109319(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/119766(WO,A1)
【文献】 特表2002−507082(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0089451(US,A1)
【文献】 米国特許第07016371(US,B1)
【文献】 特開2010−105632(JP,A)
【文献】 特開2012−10177(JP,A)
【文献】 特開平8−307283(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 3/00−3/44
H04L 12/40
H04L 25/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バスシステム(1;2)の加入者局(10;30;50;60)であって、
前記バスシステム(1;2)のさらなる別の加入者局(10;20;30;50;60)が、メッセージ(41;42;43)を前記バスシステム(1;2)上で送信する場合と、前記バスシステム(1;2)のさらなる別の加入者局(10;20;30;50;60)が、メッセージ(41;42;43)を前記バスシステム(1;2)上で送信した後との一方または双方で、チャネルインパルス応答(120)を推定するための、または、前記加入者局(10;30;50;60)により受信された信号から直接的にフィルタ(544;547)の必要な機能を決定するための、推定装置(12)と、
前記推定装置(12)により推定された前記チャネルインパルス応答(120)に基づいて、または、前記推定装置(12)により決定されたフィルタ(544;547)の機能に基づいて、前記加入者局(10;30;50;60)によって受信された信号を補正するための補正装置(13)と、
を備え、
前記推定装置(12)は、予め仮説によって自身の推定結果を示すように構成され、
前記補正装置(13)は、DDFSEアルゴリズムに従って判定された受信値をさらに処理するよう構成される、加入者局(10;30;50;60)。
【請求項2】
前記推定装置(12)は、LMSアルゴリズムもしくはRLSアルゴリズムに基づいて前記チャネルインパルス応答(120)の前記推定を行うように構成され、または、送信信号から直接的に前記チャネルインパルス応答(120)を決定するように構成される、請求項1に記載の加入者局(10;30;50;60)。
【請求項3】
前記推定装置(12)は、前記チャネルインパルス応答(120)の前記推定の際に、先行して受信されたメッセージ(41、42、43)のパラメータと係数との一方または双方であって、前記受信されたメッセージ(41、42、43)を送信した加入者局にメッセージ識別子(411、421、431)により割り当てられた前記パラメータと前記係数との一方または双方を利用するように構成される、請求項1または2に記載の加入者局(10;30;50;60)。
【請求項4】
前記補正装置(13)は、さらに、DFEアルゴリズムまたはBCJRアルゴリズムまたはDDFSEアルゴリズムに従って、前記加入者局(10;30;50;60)により受信された前記信号を補正するように構成される、請求項1〜のいずれか1項に記載の加入者局(10;30;50;60)。
【請求項5】
前記補正装置(13)は、前記加入者局(10;30;50;60)により受信された前記信号が補正された信号判定するための判定器(546)を備え、前記判定器(546)の入力口では、信号対雑音比が各受信時点において最大となる、請求項1〜のいずれか1項に記載の加入者局(10;30;50;60)。
【請求項6】
以前に前記DDFSEアルゴリズムに従って判定された受信値をフィルタに掛けるために更なる別のフィルタが利用可能であり、前記補正装置(13)は、前記更なる別のフィルタの出力をフィードバックするよう構成される、請求項5に記載の加入者局(10;30;50;60)。
【請求項7】
前記加入者局(10;30;50;60)は、
前記バスシステム(1;2)のバス線(40)に直接的に接続するための送信/受信装置(14)と、
前記送信/受信装置(14)により受信された前記信号を処理するため、および、前記送信/受信装置(14)により送信される前記メッセージ(41;42;43)を、信号の形態により提供するための通信制御装置(11)と、
をさらに備え、
前記推定装置(12)と前記補正装置(13)との一方または双方は、前記送信/受信装置(14)または前記通信制御装置(11)の一部である、請求項1〜のいずれか1項に記載の加入者局(10;30;50;60)。
【請求項8】
バス線(40)と、
互いに通信しうるように前記バス線(40)を介して相互接続された少なくとも2つの加入者局(10;20;30;50;60)と、
を備えた、バスシステム(1;2)であって、
前記少なくとも2つの加入者局(10;20;30;50;60)の少なくとも1つは、請求項1〜のいずれか1項に記載の加入者局(10;30;50;60)である、バスシステム(1;2)。
【請求項9】
バスシステム(1;2)の加入者局(10;30;50;60)においてメッセージ(41;42;43)の受信品質を改善する方法において、
前記バスシステム(1;2)のさらなる別の加入者局(10;20;30;50;60)が、メッセージ(41;42;43)を前記バスシステム(1;2)上で送信する場合と、前記バスシステム(1;2)のさらなる別の加入者局(10;20;30;50;60)が、メッセージ(41;42;43)を前記バスシステム(1;2)上で送信した後との一方または双方で、推定装置(12)によって、チャネルインパルス応答(120)を推定する工程、または、前記推定装置(12)によって、前記加入者局(10;30;50;60)により受信された信号から直接的にフィルタ(544;547)の必要な機能を決定する工程と、
補正装置(13)によって、前記推定装置(12)により推定された前記チャネルインパルス応答(120)に基づいて、または、前記推定装置(12)により決定されたフィルタ(544;547)の機能に基づいて、前記加入者局(10;30;50;60)により受信された信号を補正する工程と、
を含み、
前記推定装置(12)は、予め仮説によって自身の推定結果を示すように構成され、
前記補正装置(13)は、DDFSEアルゴリズムに従って判定された受信値をさらに処理するよう構成される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、バスシステム内での分岐線、誤った接続、調整不良、押し潰されたケーブルコンジット(Kabelfu(ウムラウト)hrung)による不都合な条件においても、CANバスシステム上での情報伝送の際に特に受信品質が改善される、バスシステムの加入者局と、バスシステムの加入者局においてメッセージの受信品質を改善する方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
センサと制御装置との間の通信のために、CANバスシステムは広く普及している。CANバスシステムでは、メッセージは、ISO11898のCAN仕様書に記載されるように、CANプロトコルを利用して伝送される。このために最近では、仕様書「CAN with Flexible Data−Rate、Specification Version 1.0」(出典:http://www.semiconductors.bosch.de)に対応してメッセージが伝送されるCAN−FDのような技術がさらに提案された。このような技術では、最大可能データレートは、1Mbit/sの値を越えるデータフィールドの範囲内でより速いパルスを使用することによって、上げられる。このことは一般には、実際に存在するバストポロジを基礎とする限り、例えばビット誤り率がより高くなるという形で伝送品質への負荷となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
実際に存在するバストポロジは、バス線上における特性インピーダンスが理論とは異なる箇所で反射が起こるという趣旨で、通常では理論から外れている。このような箇所とは、例えば、実際の実現においては例えばスタブ、パッシブスターポイント等でしばしば見うけられる分岐線、誤った接続、調整不良、押し潰されたケーブルコンジットである。これにより発生する反射によって、バス線上で状態の時間的クロストークが起こり、すなわち、送信されたシンボルまたはビットが、時間的に連続するシンボルでクロストークし、場合によってはシンボルの測定に誤りが生じるという形で上記クロストークが起こる。
【0004】
ISO11898におけるCAN仕様書によれば、バス線は両側が線路インピーダンスで終端するべきであり、したがって、規定された最大ケーブル長に渡る過渡現象は、送信されたシンボル内で収まり、シンボル区間の最後には一意の状態が生じる。しかしながら、現実には、2つのCANシンボル間または複数のCANシンボル間のクロストークが回避されないことが多い。
【0005】
CANバスシステムの受信者装置は、大抵ではマイクロコントローラに組み込まれた通信プロセッサと、トランシーバ(Transceiver)とも呼ばれ、バス線と直接接続する別体のチップとして実現された送信者装置/受信者装置とで構成される。このようなトランシーバでは、大抵、受信経路は、バスレベルをバイアス調整するための分圧器が前段に接続されたコンパレータのみ含んでいる。コンパレータは、ドミナントな(dominant)バス状態からレセッシブな(rezessiv)バス状態へのバスレベルを直接的に評価し、出力口で判定を出す。
【0006】
しかしながら、信号判定を直接的に行い出力することには、バス線への反射の影響が判定に対してネガティブに作用し、信号伝送における誤った判定に繋がる可能性があるという欠点がある。このことは特に、例えば、CAN−FDの場合にそうであるように、1MBit/sの値を超える、データフィールドの範囲内でのより速いパルスの場合に該当する。ここでは、クロックレートがより低い従来のCANバスシステムでは未だ建設的に判定に寄与した反射が、ビット時間の短縮により既にネガティブな影響を与える。
【0007】
通常では、より高いインピーダンスへの接続ケーブル(Kabeluebergang)での反射によって、正の符号の反射波が生じる。これに対して、より低いインピーダンスへの接続ケーブルでの反射によって、負の符号の反射波が生じる。距離が異なる2つの反射によって、時間的なずれが発生する。
【0008】
注目している反射によって、例えば可能なトポロジ、ケーブル長等に関して、例えばCAN−FD等のようなより高速のデータ伝送を利用する目下注目している技術の応用分野が狭められる。
【0009】
受信者装置内での測定品質を改善するための等化方法は、通信技術の分野では一般に知られているとしても、これまで、CAN通信システムのための適用は知られていない。これに加えて、公知の等化方法を利用するためには、CAN通信システムのために特別な対策が必要である。なぜならば、このような対策はシステム設計時に考慮されていないからである。
【0010】
したがって、本発明の課題は、先に挙げた問題を解決するバスシステムの加入者局、および方法を提供することである。特に、実際のバス線の上記の不都合な条件においても、特にCANバスシステムであるバスシステム上で情報を伝送する際の受信品質を改善するバスシステムの加入者局、および方法が提供されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本課題は、請求項1の特徴を備えたバスシステムの加入者局によって解決される。加入者局は、バスシステムのさらなる別の加入者局がメッセージをバスシステム上で送信する場合、および/または、バスシステムのさらなる別の加入者局がメッセージをバスシステム上で送信した後で、チャネルインパルス応答を推定するため、または、加入者局により受信された信号から直接的にフィルタの必要な機能を決定するための推定装置と、推定装置により推定されたチャネルインパルス応答に基づいて、加入者局により受信された信号を補正するための補正装置とを備える。
【0012】
加入者局は、例えばCAN−FD等のようなより高速のシステム内で使用するためにも適している。受信信号に関する加入者局の機能は、一実施形態において、特に、送信者装置/受信者装置内、または、トランシーバもしくはCANトランシーバもしくはトランシーバ・チップセットもしくはCANトランシーバ・チップセット内での事前処理として実現されてもよい。特に、注目している機能は、別体の電子モジュール(チップ)としてトランシーバに組み込まれるということが可能であり、または、電子モジュール(チップ)が1つだけ存在する集積トータルソリューション(integrierte Gesamtloesung)に埋め込まれるということが可能である。
【0013】
加入者局は、CAN通信システム内での改善された受信のために動作可能であり、したがって、より高い信頼性を提供する。その際に、バス信号は、従来のようにコンパレータ等によって直接的に判定されるのではなく、例えば以前に判定された受信値の追加的なフィルタリングおよびフィードバックによって、(予め)補正される。さらに、仮説によって判定を示し、判定された受信値もさらに処理するということも可能である。
【0014】
加入者局の有利なさらなる別の構成は、従属請求項において示される。
【0015】
推定装置は、LMS(LMS=least mean squares。最小二乗平均)アルゴリズムまたはRLS(RLS=recursive least squares filter。再帰的最小二乗フィルタ)アルゴリズムに基づいてチャネルインパルス応答の推定を行うように構成され、または、チャネルインパルス応答を直接的に決定するように構成されてもよい。
【0016】
推定装置は、チャネルインパルス応答の推定の際に、先行して受信されたメッセージのパラメータまたは係数であって、メッセージ識別子によって対応する送信局に割り当てられた上記パラメータまたは上記係数を利用するように構成されてもよい。
【0017】
推定装置は、予め仮説によって自身の推定結果を示すように構成されてもよい。補正装置は、例えばDDFSE(Delayed Decision Feedback Sequence Estimation。遅延判定帰還型系列推定)アルゴリズムに従って判定された受信値をさらに処理するように構成されてもよい。
【0018】
補正装置は、DFE(Decision−Feedback Equalization。判定帰還型等化)アルゴリズムまたはBCJRアルゴリズムまたはDDFSEアルゴリズムに従って、加入者局により受信された信号を補正するようさらに構成されるということも可能である。
【0019】
さらに、補正装置は、加入者局により受信された信号を補正するためのフィルタを備えてもよく、その際に、フィルタの入力口では、例えば信号対雑音比が、各判定時点において最大化となりまたはその趣旨で最適化されている。その際に、DDFSEアルゴリズムに従って以前に判定された受信値をフィルタに掛けるためにさらなる別のフィルタを利用してもよく、補正装置は、フィルタの出力をフィードバックするよう構成されてもよい。
【0020】
好適に、加入者局は、バスシステムのバス線に直接的に接続するための送信/受信装置と、送信/受信装置により受信された信号を処理するため、および、送信/受信装置により送信されるメッセージを信号の形態により提供するための通信制御装置とをさらに備え、その際に、推定装置および/または補正装置は、送信/受信装置または通信制御装置の一部である。
【0021】
先に記載した加入者局は、バス線と、互いに通信しうるようにバス線を介して相互接続された少なくとも2つの加入者局とをさらに備えるバスシステムの一部であってもよい。その際に、少なくとも2つの加入者局の少なくとも1つは、先に記載した加入者局であってもよい。
【0022】
先に挙げた課題は、さらに、請求項10に記載のバスシステムの加入者局においてメッセージの受信品質を改善する方法によって解決される。本方法は以下の工程を含み、すなわち、バスシステムの加入者局においてメッセージの受信品質に影響を与える方法は、バスシステムのさらなる別の加入者局が、メッセージをバスシステム上で送信する場合、および/または、バスシステムのさらなる別の加入者局が、メッセージをバスシステム上で送信した後で、推定装置によって、チャネルインパルス応答を推定する工程、または、推定装置によって、加入者局により受信された信号から直接的に、フィルタの必要な機能を決定する工程と、補正装置によって、推定装置により推定されたチャネルインパルス応答に基づいて、加入者局により受信された信号を補正する工程と、を含む。
【0023】
さらに、本方法は、例えばCAN−FD等のようなより高速のシステム内での使用のために適しており、一実施形態において、特に加入者局内での事前処理として実現される。さらに、本方法は、例えばFlexRay等のような類似した構造を有する他のシステムでも利用することが可能である。
【0024】
本方法は、加入者局との関連で先に挙げた効果と同様の効果を奏する。
【0025】
本発明のさらなる別の可能な実現は、以前にまたは以下で実施形態に関して記載される特徴または実施形態の、明示的には挙げられてない組み合わせも含む。その際に、当業者はさらに、個々の観点を本発明の各基本形態への改良または補足として付け加えるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
以下では、本発明が、添付の図面を参照して、実施形態を用いてより詳細に記載される。
図1】第1の実施形態に係るバスシステムの簡素化されたブロック図を示す。
図2】第1の実施形態に係るバスシステムの送信/受信装置の電気回路図を示す。
図3】第1の実施形態に係るバスシステムを介して伝送される送信信号の信号推移を示す。
図4図3に示された信号推移におけるチャネルインパルス応答の第1の例を示す。
図5図4に係るチャネルインパルス応答の際に図2の送信/受信装置により受信される受信信号の信号推移を示す。
図6図3に示された信号推移におけるチャネルインパルス応答の第2の例を示す。
図7図6に係るチャネルインパルス応答の際に図2の送信/受信装置により受信される受信信号の信号推移を示す。
図8】第1の実施形態に係る方法のフロー図を示す。
図9】第2の実施形態に係るバスシステムの簡素化されたブロック図を示す。
図10】第2の実施形態に係るバスシステムの推定装置および補正装置の機能を解説するためのブロック図を示す。
【0027】
図では、特に明記しない限り、同一の構成要素または機能が同一の構成要素には、同一の符号が付される。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、バスシステム1を示しており、このバスシステム1は、例えばCANバスシステム、CAN−FDバスシステム等であってもよい。バスシステム1は、車両内、特に、自動車内、飛行機内等で、または病院内で利用される。
【0029】
図1では、バスシステム1は、バス線40にそれぞれが接続された複数の加入者局10、20、30を有する。バス線40を介して、メッセージ41、42、43が信号の形態で、個々の加入者局10、20、30間で転送されうる。メッセージ41、42、43はそれぞれ、メッセージ識別子411、421、431を有する。加入者局10、20、30は、例えば、車両の制御装置または表示装置であってもよい。
【0030】
図1に示されるように、加入者局10は、通信制御装置11と、推定装置12と、補正装置13と、送信/受信装置14とを有する。これに対して、加入者局20は、通信制御装置11と、送信/受信装置14とを有する。加入者局30は、加入者局10のように、通信制御装置11と、推定装置12と、補正装置13と、送信/受信装置14とを有する。図1では示されていないが、加入者局10、20、30と送信/受信装置14とはそれぞれバス線40に直接的に接続されている。
【0031】
通信制御装置11は、各加入者局10、20、30と、バス線40に接続された他の加入者局10、20、30との間のバス線40を介した通信を制御するために用いられる。推定装置12および補正装置13は、後に詳細に記載するように、送信/受信装置14により受信されるメッセージ41、42、43の受信品質を改善するために用いられる。通信制御装置11は、従来のCANコントローラのように実現されてもよい。送信/受信装置14は、その送信機能について、従来のCANトランシーバのように実現されてもよい。したがって、送信/受信装置14により受信された信号であって、メッセージ41、42、43のうちの1つに基づく上記信号の品質は、2つの加入者局10、30によって改善される。これに対して、加入者局20は、その送信機能および受信機能について、従来のCAN加入者局に相当する。
【0032】
図2は、例として、加入者局20の送信/受信装置14の構造をより詳細に示している。送信/受信装置14は、メッセージ41、42、43のうちの1つに基づく信号を受信するための受信経路140を有する。この受信経路内には、第1入力端子141および第2の入力端子142と、2つの抵抗器143、144と、コンパレータ145と、処理部146と、出力端子147と、が配置されている。抵抗器143は、コンパレータ145の(正の電位に置かれた)第1の入力口と、第1の入力端子141との間に配置される。抵抗器144は、コンパレータ145の(負の電位に置かれた)第2の入力口と、第2の入力端子142との間に配置される。
【0033】
図3図7は、送信/受信装置14の送信信号/受信信号の例を示している。これらの例では、図3に示されるように、加入者局10、20、30の送信/受信装置14のうちの1つによって、メッセージ41、42、43のうちの1つが、信号の形態によりバス線40上で供給される。ここでは、図3図7の縦軸はそれぞれ、メッセージのレベル差を表しており、レベル差は、μsで示される時間の経過(横軸)と共に示されている。
【0034】
第1の例に係るチャネルインパルス応答が図4で示されるように推移する場合には、加入者局20の通信制御装置11は、図5に示されるような信号を受信する。
【0035】
これに対して、第2の例に係るチャネルインパルス応答が図6で示されるように推移する場合には、加入者局20の通信制御装置11は、図7に示されるような信号を受信する。
【0036】
これに対して、図3図7で示された第1の例では、加入者局10、30の通信制御装置11は、その推定装置12および補正装置13に基づいて、図3の送信信号に非常に類似しまたは図3の送信信号とほぼ同じ信号を受信する。
【0037】
図8は、バスシステム1の加入者局10、30において、メッセージ41、42、43の1つに基づく信号の受信品質を改善する方法を示している。本方法は、加入者局10が加入者局30にメッセージ41を送信するという一例を用いて解説される。
【0038】
これに応じて、図8のステップS1において、加入者局30の推定装置12は、実際に敷設されたバス線40の場合に両加入者局の伝送チャネル(チャネルインパルス応答)について通常予期されるチャネルインパルス応答120を推定する。このために、推定装置12は、送信者装置としての加入者局10と、受信者装置としての加入者局30との間の伝送の経過において得られた経験に基づく仮説を立てる。したがって、推定装置12の仮説は、学習プロセスの結果と呼んでもよい。
【0039】
CANバスシステムでは、複数の加入者局10、20、30がアクティブ(aktiv)であり、これら複数の加入者局10、20、30は、自身のメッセージ41、42、43を、メッセージ識別子411、421、431を用いて送信する。このメッセージ識別子411、421、431は、調停段階において調停のために利用される。調停の後で、加入者局10、20、30のうちの1つの加入者局のみが、メッセージ41、42、43のうちの1つまたは複数の形態による信号をバス線40で送信する。この瞬間から、(聞いている)各加入者局10、20、30は、バス信号またはメッセージ41、42、43を監視し、当該バス信号またはメッセージ41、42、43に基づいて、自身の推定装置12を用いてチャネルインパルス応答120を推定することが可能である。この推定は、適合的(adaptiv)に、および、検出または測定の間に行われてもよい。この場合には学習システムが存在する。
【0040】
加入者局30の推定装置12は、補正装置13に、推定されたチャネルインパルス応答120を提供する。これに応じてステップS2において、補正装置13は、加入者局30により受信された信号であって、メッセージ41に基づく上記信号を、推定装置12によって推定されたチャネルインパルス応答120に基づいて補正する。この後に、本方法は終了する。
【0041】
信号またはメッセージ41、42、43の遅延は基本的には無い。なぜならば、この遅延は、CANプロトコルにおいて許容される時間フレーム内に収まるからである。しかしながら、上記遅延を、最適化の措置によって、例えば仮説と遅れた判定とを含む方法において、適用によって許容される限りにおいて利用することが可能である。その際には、1〜2個のシンボルクロック分の遅延で既に十分でありうる。
【0042】
加入者局30の推定装置12は、加入者局20が加入者局10にメッセージ41、42、43のうちの1つを送信した場合には類似した形態で動作する。さらに、加入者局10の推定装置12は、自身が加入者局20、30のうちの1つからメッセージ41、42、43のうちの1つを受信する場合には、類似した形態で動作する。
【0043】
したがって、バスシステム10内の分岐線、誤った接続、調整不良、押し潰されたケーブルコンジットのような不都合な条件においても、バスシステム1上での情報伝送における受信品質が改善される。
【0044】
図9は、第2の実施形態に係るバスシステム2を示している。バスシステム2は、第1の実施形態において構成されたような少なくとも1つの加入者局10の他に、少なくとも1つの加入者局50と、少なくとも1つの加入者局60とを備える。第1の実施形態のように、加入者局10、50、60はそれぞれバス線40に接続されている。第1の実施形態のように、バス線40を介して個々の加入者局10、50、60間で、信号の形態によるメッセージ41、42、43を伝送することが可能である。ここでも、メッセージ41、42、43はそれぞれ、メッセージ識別子411、421、431を有する。さらに、加入者局50、60は、例えば車両の制御装置または表示装置等であってもよい。
【0045】
図9に示されるように、加入者局10、50、60のそれぞれは、推定装置12と補正装置13とを有する。しかしながら、加入者局50では、推定装置12と補正装置13とは、送信/受信装置54の一部である。加入者局60では、推定装置12と補正装置13とは、通信制御装置61の一部である。上記以外の点では、加入者局50の通信制御装置11は、加入者局10の通信制御装置11と同じである。さらに、加入者局50の送信/受信装置54は、推定装置12と補正装置13とが当該送信/受信装置54の一部であること以外は、加入者局10の送信/受信装置14と同じである。
【0046】
図10は、コンパレータ145(図2)の代わりに使用される、送信/受信装置54の推定装置12および補正装置13の構造を示している。その際に、補正装置13は、例えば、図10で示されるように、以下ではDFE構造とも呼ばれる判定帰還型等化(Decision Feedback Equalization)構造を成している。ここでは推定装置12は、信号b(k)によって表すことが可能な、補正のために必要なチャネルインパルス応答120を供給する。
【0047】
図10は、前段にチャネルモデルが存在するDFE構造の原則的な構成を示している。チャネル上またはバス線40上の干渉は、信号n(k)と、離散的時系列g(k)をz変換したものに相当する伝達関数G(z)を有するフィルタ541とによって示される。加入者局10、50、60での受信信号は、送信信号a(k)から、伝達関数H(z)を有するフィルタ542によりモデル化されたチャネルの通過後に得られる。ポイント543で、得られた信号が合算され、その後でフィルタ544に供給される。すなわち、フィルタ544はその入力口で、加入者局50により受信された信号を受信する。フィルタ544は、送信/受信装置54内の伝達関数F(z)を有する想定可能な追加的フィルタであって、信号エネルギーの集中化のために利用可能な上記追加的フィルタであるが、例えばF(z)=1のような一定の伝達関数を用いる単純化した考察のために想定される。続いて、ポイント545で、フィルタ544から出力された信号から、モデル化された干渉が減算される。正規化されたチャネルインパルス応答120は、結果的に得られた全体チャネル(Gesamtkanal)として、フィルタ542によりモデル化されたチャネルと、フィルタ544の出力とで構成される。実時間補正された(laufzeitkompensiert)全体チャネルは、B(z)によって、b(k)をz変換したものとして図10に示されている。k=0の箇所での値は、判定のための考察されるメインタップを表し、k>0の箇所での後続の値は、先行するシンボルのタップに対応する。チャネルインパルス応答120の係数b(k)については、b(k)=0が有効であり、したがって、フィルタ547のメインタップは消去され、このことが、B(z)−1により与えられるフィルタ547の項「−1」によって示される。その後で、加算段545の後に補正信号による補正から得られる信号(下記の数式1で表される。)が、第1の実施形態のコンパレータ145に対応する判定器546に与えられる。続いて、補正装置13により補正された受信信号が、通信制御装置11のためのさらなる処理のために提供される。図10では、項kは、フィルタに掛けられた信号のフィルタ544の後での遅延kを有する判定遅延を表し、この判定遅延は、伝達関数F(z)を有するフィルタ544によって最適化することが可能であり、ここではk=0による単純化された考察が想定される。
【0048】
【数1】
【0049】
例えば、以下のことが有効である。すなわち、
−例示的なチャネルインパルス応答h(k)=δ(k)+0.5δ(k−1)+0.2δ(k−2)
−前置フィルタインパルス応答f(k)=δ(k)=>F(z)=一定
−判定遅延k=0
【0050】
この場合については、b(k)=h(k)は有効な解であり、B(z)−1は、チャネルインパルス応答b(k)−δ(k)=h(k)−δ(k)=0.5δ(k−1)+0.2δ(k−2)に相当する。ここでは、既に判定された既知のシンボルがフィードバックのために利用されることが容易に分かる。というのは、現在の判定時点はkに対応し、上記インパルス応答は、過去に存在した受信値(k−1、k−2)に関する項のみ考慮するからである。
【0051】
推定装置12および補正装置13は、送信/受信装置54内に非常で簡単に実現可能ではあるが、通信制御装置61によって示されるように、通信制御装置11内での推定装置12および補正装置13の実現も可能である。
【0052】
本実施形態に係る方法は、伝送中のCANバス信号を監視し、先に示したDFE構造を用いて信号を補正する。その際に、第1の実施形態で記載したように、送信者装置と受信者装置の対に依存するチャネルインパルス応答についての知識は有利である。チャネルインパルス応答は、第1の実施形態で記載したように決定することが可能である。
【0053】
バスシステム1、加入者局10、20、30、および方法の以前に記載された全ての実施形態は、個別にまたは可能な組み合わせにおいて利用される。追加的に特に以下の変更が構想されうる。
【0054】
以前に記載された第1の実施形態に係るバスシステム1および第2の実施形態に係るバスシステム2は、CANプロトコルに基づくバスシステムによって記載されている。しかしながら、第1の実施形態バスシステム1および第2の実施形態に係るバスシステムは、他の形態の通信ネットワークであってもよい。しかしながら、バスシステム1、2では、少なくとも特定の期間の間、共加入者局10、20、30、50、60による共有チャネルへの衝突の無い排他的なアクセス権が保証されることは有利であるが、必須の前提条件ではない。
【0055】
第1の実施形態に係るバスシステム1および第2の実施形態に係るバスシステム2は、特に、CANネットワークまたはTTCANネットワークまたはCAN FDネットワークである。
【0056】
第1の実施形態のバスシステム1内および第2の実施形態のバスシステム2内での加入者局10、20、30、50、60の数および構成は任意である。特に、加入者局10または加入者局50または加入者局60のみが、第1の実施形態のバスシステム1内および第2の実施形態のバスシステム2内に存在してもよい。
【0057】
第1の実施形態で記載された、推定装置12および補正装置13の判定帰還型等化構造(DFE(Decision−Feedback Equalization)構造)の代わりに、例えば、BCJRアルゴリズム(BCJRは、開発者のイニシャルの文字、すなわち、L.BahlからB、J.CockeからC、F.JelinekからJ、J.RevivからRが取られたものである)、および/または、DDFSEアルゴリズム(DDFSE=Delayed Decision−Feedback Sequence Estimation、遅延判定帰還型系列推定)のような、トレリス(Trellis)ベースの任意の等化方法も利用することが可能である。
【0058】
加入者局、および、当該加入者局により実現される方法の様々な応用分野が構想されうる。特に、CANおよびCAN FDのための使用の他に、FlexRayでの利用も構想されうる。このシステムは、従来では、受信者装置内、すなわち受信側加入者局内での等化方法を利用していない。
【0059】
本方法は、例えばCAN−FD、FlexRay等の全ての特別な適用のために別々に最適化されうる。複数の応用分野のために上記適用が自動的に認識され、対応して調整されうる。例えば、本方法は、CAN−FDでは、CANよりも迅速に実行され、したがって、各プロトコルにより許容されるより長い遅延が発生しない。
【0060】
本方法では、等化のために利用されるチャネルインパルス応答120の決定が基礎となる。これは、バス線40の伝送チャネルのチャネルインパルス応答120の推定によって獲得される。代替的に、チャネルインパルス応答120は、信号b(k)の形態により、直接的に決定または最適化されてもよい。チャネルインパルス応答120の推定は、全ての適切な方法によって行うことが可能である。トレーニング系列が提供されないため、例えば、LMSアルゴリズム(LMS=least mean squares、最小二乗平均)、および/または、RLSアルゴリズム(RLS=recursive least squares filter、再帰的最小二乗フィルタ)のような適合的な方法が特に適している。
【0061】
チャネルインパルス応答120の推定の安定化、および、チャネルインパルス応答120の精度の向上のために、受信バーストとも呼ばれる先行して受信されたメッセージ41、42、43またはメッセージ41、42、43のパケットのパラメータおよび係数が、メッセージ識別子または送信側加入者局に割り当てられ、時間的に連続して受信されたメッセージ41、42、43またはメッセージ41、42、43のパケットのために利用されうる。
【0062】
チャネルまたはそのチャネルインパルス応答120の推定に加えて、または、当該推定とは代替的に、送信/受信装置14、54、61内のフィルタ541、542、544を最適化することが可能である。このために、フィルタ544(伝達関数F(z))およびフィルタ547(伝達関数B(z)−1)、および、判定遅延kが考察される。最適化のために、例えば判定器546の入力口での信号対雑音比の最大化のような、様々な基準を利用することが可能である。
【0063】
代替的に、必要とされるフィルタ係数544、547は、推定装置によって、チャネルインパルス応答120の明示的な推定が行われることなく設定され、加入者局10、50、60により受信された信号から直接的に決定される。
【0064】
加入者局10、30、50は、特にCAN−FDについて、明らかにより速いデータレートを利用する際に通常のCAN伝送の範囲内でのCAN−FDの受信品質を上げる可能性を示している。
【0065】
本方法は、例えばトランシーバまたは送信/受信装置14、54、通信制御装置61等内での受信信号に関する機能について転用される。追加的または代替的に、本方法は、既存の製品に組み込まれてもよい。
図1
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図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10