(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記空気逃がしデバイスが適切に機能しているかどうかを判定する工程において、前記空気逃がしデバイスの前記通気孔が適切に機能しているかどうかを判定する、請求項1に記載の方法。
前記空気逃がしデバイスのチャンバ内の前記流体レベルは、前記透析システムのレベル検出器によって検出され、前記レベル検出器は、前記空気逃がしデバイスのチャンバに隣接して配置される請求項1に記載の方法。
前記レベル検出器は、前記検出された流体レベルに関連する信号が前記透析システムの制御ユニットに送信されることができるように、前記透析システムの前記制御ユニットに接続される請求項3に記載の方法。
前記空気逃がしデバイスのチャンバに真空圧を加える工程は、前記空気逃がしデバイスの前記チャンバの上流および下流のラインを閉鎖すること、および、前記空気逃がしデバイスの前記チャンバから流体を出すためにポンプを起動することを含んでなる、請求項1に記載の方法。
前記空気逃がしデバイスの前記チャンバの上流のラインを閉鎖することにおいて、前記空気逃がしデバイスの前記チャンバを通して流体を循環させるように構成されたポンプをターンオフし、前記空気逃がしデバイスの前記チャンバの下流のラインを閉鎖することにおいて、前記空気逃がしデバイスの前記チャンバの下流のラインをクランプする、請求項6に記載の方法。
前記空気逃がしデバイスの前記チャンバから流体を出すために前記空気逃がしデバイスの前記チャンバに流体連通しているバランスチャンバのバランスを崩す工程をさらに備える、請求項7に記載の方法。
前記空気逃がしデバイスの前記チャンバに真空圧を加える工程は、前記空気逃がしデバイスの上流および下流のラインを閉鎖すること、および、前記空気逃がしデバイスの前記チャンバから流体を出すためにポンプを起動することを含んでなる、請求項1に記載の方
法。
前記透析システムは、前記空気逃がしデバイスの前記チャンバに接続された第1および第2のライン、ならびに、透析処置中に、前記第1のラインから、前記空気逃がしデバイスの前記チャンバ、前記第2のラインへと流体を循環させるように構成されたポンプを備え、前記空気逃がしデバイスの前記チャンバに真空圧を加えることは、前記第2のラインを閉鎖すること、および、前記第2のラインから、前記空気逃がしデバイスの前記チャンバ、前記第1のラインへと流体を循環させるように前記ポンプを動作させることを含んでなる、請求項1に記載の方法。
前記空気逃がしデバイスの前記チャンバ内の前記流体レベルに基づいて、前記空気逃がしデバイスが適切に機能していないと判定される場合、前記空気逃がしデバイスが適切に機能していないことをユーザに指示する工程をさらに備える、請求項1に記載の方法。
前記空気逃がしデバイスが適切に機能していないことを前記ユーザに指示する工程は、前記透析システムの1つまたは複数の機能をディセーブルすることを含んでなる、請求項12に記載の方法。
前記真空圧を加えた後に前記空気逃がしデバイスの前記チャンバに正圧を加える工程であって、前記真空圧によって前記空気逃がしデバイスの前記チャンバ内に吸引された空気が前記正圧によって前記空気逃がしデバイスの前記チャンバから押出される、正圧を加える工程をさらに備える、請求項1に記載の方法。
前記ラインは透析器に流体連通しており、透析液ラインは前記透析器に流体連通しており、前記ポンプは、前記透析液ラインに流体接続された限外ろ過ポンプである請求項26に記載の方法。
前記ポンプは薬物ポンプであり、前記薬物ポンプは、第1の方向に動作すると、前記流体ライン内に流体を導入するように構成され、第2の方向に動作すると、前記流体ラインから流体を出すように構成される請求項26に記載の方法。
前記空気逃がしデバイスの前記チャンバに真空圧を加えることは、前記空気逃がしデバイスの前記チャンバの上流および下流のラインを閉鎖すること、および、前記ラインが閉鎖される場所の間で前記ラインの一部分に流体連通している第1のポンプを起動することを含んでなる、請求項20に記載の方法。
前記空気逃がしデバイスの前記チャンバの上流の前記ラインを閉鎖することにおいて、前記ラインを通して流体を循環させるように構成された第2のポンプをターンオフし、前記空気逃がしデバイスの前記チャンバの下流の前記ラインを閉鎖することにおいて、前記空気逃がしデバイスの前記チャンバの下流の前記ラインをクランプする、請求項30に記載の方法。
前記透析システムは、前記空気逃がしデバイスの前記チャンバに接続された第1および第2のライン、ならびに、透析処置中に、前記第1のラインから、前記空気逃がしデバイスの前記チャンバ、前記第2のラインへと流体を循環させるように構成されたポンプを備え、前記空気逃がしデバイスの前記チャンバに真空圧を加えることは、前記第2のラインを閉鎖すること、および、前記第2のラインから、前記空気逃がしデバイスの前記チャンバ、前記第1のラインへと流体を循環させるように前記ポンプを動作させることを含んでなる、請求項20に記載の方法。
前記測定された圧力が所望の圧力未満である場合、前記空気逃がしデバイスが適切に機能していないことをユーザに指示する工程をさらに備える、請求項35に記載の方法。
前記空気逃がしデバイスが適切に機能していないことを前記ユーザに指示する工程は、前記透析システムの1つまたは複数の機能をディセーブルすることを含んでなる、請求項36に記載の方法。
前記真空圧を加えた後に前記空気逃がしデバイスの前記チャンバに正圧を加える工程であって、前記真空圧によって前記空気逃がしデバイスの前記チャンバ内に吸引された空気が前記正圧によって前記空気逃がしデバイスの前記チャンバから押出される、正圧を加える工程をさらに備える、請求項20に記載の方法。
前記空気逃がしデバイスの前記チャンバに真空圧を加える工程は、前記空気逃がしデバイスが適切に作動している場合には、空気が外気から前記空気逃がしデバイスの通気口を通って引き込まれ、前記空気逃がしデバイスの前記チャンバに吸入されるために、前記真空圧を前記空気逃がしデバイスの前記チャンバに加える、請求項1に記載の方法。
前記空気逃がしデバイスの前記チャンバに真空圧を加える工程は、前記空気逃がしデバイスが適切に作動している場合には、空気が外気から前記空気逃がしデバイスの通気口を通って引き込まれ、前記空気逃がしデバイスの前記チャンバに吸入されるために、前記真空圧を前記空気逃がしデバイスの前記チャンバに加える、請求項20に記載の方法。
前記空気逃がしデバイスの前記チャンバに真空圧を加える工程は、前記空気逃がしデバイスが適切に作動している場合には、空気が外気から前記空気逃がしデバイスの通気口を通って引き込まれ、前記空気逃がしデバイスの前記チャンバに吸入されるために、前記真空圧を前記空気逃がしデバイスの前記チャンバに加える、請求項45に記載の方法。
前記空気逃がしデバイスの前記チャンバに真空圧を加える工程は、前記空気逃がしデバイスが適切に作動している場合には、空気が外気から前記空気逃がしデバイスの通気口を通って引き込まれ、前記空気逃がしデバイスの前記チャンバに吸入されるために、前記真空圧を前記空気逃がしデバイスの前記チャンバに加える、請求項46に記載の方法。
前記制御ユニットは、前記空気逃がしデバイスが適切に作動している場合には、空気が外気から前記空気逃がしデバイスの通気口を通って引き込まれ、前記空気逃がしデバイス
の前記チャンバに吸入されるために前記真空圧を前記空気逃がしデバイスの前記チャンバに加えたときに測定した圧力に基づいて、前記空気逃がしデバイスが適切に作動しているか否かを判定する、請求項47に記載の透析システム。
前記制御ユニットは、前記空気逃がしデバイスが適切に作動している場合には、空気が外気から前記空気逃がしデバイスの通気口を通って引き込まれ、前記空気逃がしデバイスの前記チャンバに吸入されるために前記真空圧を前記空気逃がしデバイスの前記チャンバに加えたときに測定した圧力に基づいて、前記空気逃がしデバイスが適切に作動しているか否かを判定する、請求項48に記載の透析システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、透析システムおよび方法を与える。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様では、方法は、透析システムの空気逃がしデバイスに真空圧を加えることを含む。空気逃がしデバイスは通気孔を含む。空気逃がしデバイスに真空圧を加えた後、空気逃がしデバイス内の流体レベルが検出される。空気逃がしデバイス内の流体レベルに基づいて、空気逃がしデバイスが適切に機能しているかどうかが判定される。
【0008】
本発明の別の態様では、方法は、透析システムのデバイスに真空圧を加えることを含む。デバイスは通気孔を含む。デバイスに真空圧を加えた後、デバイスに流体接続された流体ライン内の圧力が測定される。測定された圧力に基づいて、デバイスが適切に機能しているかどうかが判定される。
【0009】
本発明のさらなる態様では、方法は、透析システムの空気逃がしデバイスに真空圧を加
えることを含む。空気逃がしデバイスは通気孔を含む。空気逃がしデバイスに真空圧を加えた後、空気逃がしデバイス内の流体レベルが検出され、空気逃がしデバイスに真空圧を加えた後に空気逃がしデバイス内の流体レベルが所与のレベルを超える場合、空気逃がしデバイスが適切に機能していないことをユーザが知らされる。
【0010】
本発明のさらなる態様では、方法は、透析システムの、通気孔を備えるデバイスに真空圧を加えることを含む。デバイスは通気孔を含む。デバイスに真空圧を加えた後、デバイスに流体接続された流体ライン内の圧力が測定され、測定された圧力がある圧力未満である場合、デバイスが適切に機能していないことをユーザが知らされる。
【0011】
本発明のなお別の態様では、透析システムは、通気孔を有する空気逃がしデバイスと、空気逃がしデバイス内の流体のレベルを検出するように構成されたレベル検出器と、レベル検出器に接続された制御ユニットとを含む。制御ユニットは、空気逃がしデバイスに真空圧が加えられるときに、空気逃がしデバイス内の検出された流体レベルに基づいて空気逃がしデバイスが適切に機能しているかどうかを判定するように構成される。
【0012】
本発明のさらなる態様では、透析システムは、通気孔を有するデバイスと、デバイスに流体接続された流体ラインと、流体ライン内の流体の圧力を測定するように構成された圧力センサと、圧力センサに接続された制御ユニットとを含む。制御ユニットは、デバイスに真空圧が加えられるときに、流体ライン内の流体の測定された圧力に基づいてデバイスが適切に機能しているかどうかを判定するように構成される。
【0013】
実施態様は、以下の特徴の1つまたは複数を含みうる。
いくつかの実施態様では、空気逃がしデバイスが適切に機能しているかどうかを判定することは、空気逃がしデバイスの通気孔が適切に機能しているかどうかを判定することを含む。
【0014】
ある実施態様では、空気逃がしデバイス内の流体レベルは、透析システムのレベル検出器によって検出され、レベル検出器は、空気逃がしデバイスに隣接して配置される。
いくつかの実施態様では、レベル検出器は、超音波信号を放出するように構成された送信機および超音波信号を受信するように適合された受信機を含む。
【0015】
ある実施態様では、レベル検出器は、検出された流体レベルに関連する信号が透析システムの制御ユニットに送信されることができるように、透析システムの制御ユニットに接続される。
【0016】
いくつかの実施態様では、空気逃がしデバイスに真空圧を加えることは、空気逃がしデバイスの上流および下流のラインを閉鎖すること、および、空気逃がしデバイスから流体を出すためにポンプを起動することを含む。
【0017】
ある実施態様では、空気逃がしデバイスの上流のラインを閉鎖することは、空気逃がしデバイスを通して流体を循環させるように構成されたポンプをターンオフすることを含み、空気逃がしデバイスの下流のラインを閉鎖することは、空気逃がしデバイスの下流のラインをクランプすることを含む。
【0018】
いくつかの実施態様では、空気逃がしデバイスから流体を出すために起動されるポンプは、限外ろ過ポンプである。
ある実施態様では、方法は、空気逃がしデバイスから流体を出すために空気逃がしデバイスに流体連通しているバランスチャンバのバランスを崩すことをさらに含む。
【0019】
いくつかの実施態様では、空気逃がしデバイスに真空圧を加えることは、空気逃がしデバイスの上流および下流のラインを閉鎖すること、および、空気逃がしデバイスから流体を出すためにポンプを起動することを含む。
【0020】
ある実施態様では、透析システムは、空気逃がしデバイスに接続された第1および第2のライン、ならびに、透析処置中に、第1のラインから空気逃がしデバイス、第2のラインへと流体を循環させるように構成されたポンプを含み、空気逃がしデバイスに真空圧を加えることは、第2のラインを閉鎖すること、および、第2のラインから空気逃がしデバイス、第1のラインへと流体を循環させるようにポンプを動作させることを含む。
【0021】
いくつかの実施態様では、方法は、空気逃がしデバイス内の流体レベルに基づいて、空気逃がしデバイスが適切に機能していないと判定される場合、空気逃がしデバイスが適切に機能していないことをユーザに指示することをさらに含む。
【0022】
ある実施態様では、空気逃がしデバイスが適切に機能していないことをユーザに指示することは、視覚信号を放出することを含む。
いくつかの実施態様では、空気逃がしデバイスが適切に機能していないことをユーザに指示することは、オーディオ信号を放出することを含む。
【0023】
ある実施態様では、空気逃がしデバイスが適切に機能していないことをユーザに指示することは、透析システムの1つまたは複数の機能をディセーブルすることを含む。
いくつかの実施態様では、方法は、真空圧を加えた後に空気逃がしデバイスに正圧を加えることであって、それにより、真空圧によって空気逃がしデバイス内に吸引された空気が正圧によって空気逃がしデバイスから押出される、正圧を加えることをさらに含む。
【0024】
ある実施態様では、透析システムは血液透析システムである。
いくつかの実施態様では、方法は、血液透析処置中に実施される。
ある実施態様では、方法は、血液透析処置前に実施される。
【0025】
いくつかの実施態様では、空気逃がしデバイス内の流体は生理食塩水である。
ある実施態様では、空気逃がしデバイス内の流体は血液である。
いくつかの実施態様では、空気逃がしデバイスは、ドリップチャンバおよびドリップチャンバから延在する圧力センサ組立体を含み、圧力センサ組立体は、通気孔を収容する変換器保護器を含む。
【0026】
ある実施態様では、空気逃がしデバイスが適切に機能しているかどうかを判定することは、変換器保護器の通気孔が適切に機能しているかどうかを判定することを含む。
いくつかの実施態様では、空気逃がしデバイス内の流体レベルを検出することは、ドリップチャンバ内の流体レベルを検出することを含む。
【0027】
ある実施態様では、測定された圧力は、信号の形態で、透析システムの制御ユニットに送信される。
いくつかの実施態様では、制御ユニットはマイクロプロセッサである。
【0028】
ある実施態様では、圧力は、透析システムの圧力センサによって測定される。
いくつかの実施態様では、圧力センサは圧力変換器である。
ある実施態様では、圧力センサは、透析システムの透析機に取付けられ、流体ラインに整列する。
【0029】
いくつかの実施態様では、真空圧は、ポンプを起動することによって空気逃がしデバイ
スに加えられる。
ある実施態様では、ラインは透析器に流体連通しており、透析液ラインは透析器に流体連通しており、ポンプは、透析液ラインに流体接続された限外ろ過ポンプである。
【0030】
いくつかの実施態様では、ポンプは薬物ポンプであり、薬物ポンプは、第1の方向に動作すると、流体ライン内に流体を導入するように構成され、第2の方向に動作すると、流体ラインから流体を出すように構成される。
【0031】
ある実施態様では、真空圧を加えることは、薬物ポンプを第2の方向に動作させることを含む。
いくつかの実施態様では、デバイスに真空圧を加えることは、デバイスの上流および下流のラインを閉鎖すること、および、ラインが閉鎖される場所の間でラインの一部分に流体連通している第1のポンプを起動することを含む。
【0032】
ある実施態様では、デバイスの上流のラインを閉鎖することは、ラインを通して流体を循環させるように構成された第2のポンプをターンオフすることを含み、デバイスの下流のラインを閉鎖することは、デバイスの下流のラインをクランプすることを含む。
【0033】
いくつかの実施態様では、第1のポンプは限外ろ過ポンプである。
ある実施態様では、方法は、デバイスに真空圧を加えるために、デバイスに流体連通しているバランスチャンバのバランスを崩すことをさらに含む。
【0034】
いくつかの実施態様では、透析システムは、デバイスに接続された第1および第2のライン、ならびに、透析処置中に、第1のラインからデバイス、第2のラインへと流体を循環させるように構成されたポンプを備え、デバイスに真空圧を加えることは、第2のラインを閉鎖すること、および、第2のラインからデバイス、第1のラインへと流体を循環させるようにポンプを動作させることを含む。
【0035】
ある実施態様では、デバイスは、測定された圧力が所望の圧力未満である場合、不適切に機能していると判定される。
いくつかの実施態様では、方法は、測定された圧力が所望の圧力未満である場合、デバイスが適切に機能していないことをユーザに指示することをさらに含む。
【0036】
ある実施態様では、方法は、真空圧を加えた後にデバイスに正圧を加えることであって、それにより、真空圧によってデバイス内に吸引された空気が正圧によってデバイスから押出される、正圧を加えることをさらに含む。
【0037】
いくつかの実施態様では、デバイスは空気逃がしデバイスである。
ある実施態様では、デバイスは、圧力変換器保護器を含む。
実施態様は、以下の利点の1つまたは複数を含みうる。
【0038】
いくつかの実施態様では、デバイス(たとえば、空気逃がしデバイス)は、処置が始まる前に試験される。結果として、デバイスが、不適切に機能していると判定される場合、システムのオペレータは、処置が中断されないように、処置の前にデバイスを置換または修理できる。処置の前に(たとえば、透析システムのプライミング中に)デバイスを試験することはまた、透析システムのオペレータが、デバイスを迅速に置換または修理するために存在することを保証するのに役立つ。たとえば、多くの臨床設定において、透析システムのオペレータは、処置の自動化部分が始まった後にシステムから遠くに移動する傾向がある。そのため、こうした臨床設定では、処置の前にデバイスを試験することは、デバイスに関して識別されるどんな問題をも補正するために、システムのオペレータが周りに
いることを保証するのに役立つ。
【0039】
ある実施態様では、デバイス(たとえば、空気逃がしデバイス)は、処置中に定期的に試験される。結果として、処置中にデバイスに起こる損傷が検出されうる。たとえば空気逃がしデバイスの場合、この技法は、空気逃がしデバイスから大気への空気または他のガスを排気する通気孔の能力に悪い影響を及ぼしうる、空気逃がしデバイスの通気孔が詰まったかどうかを検出するために使用されることができる。デバイスが不適切に機能していると判定される場合、オペレータは、うまく動作しないデバイスによって処置が悪い影響を受けないことを保証するのに役立つ対策を迅速にとりうる。たとえば、デバイスが、血液透析システムの空気逃がしデバイスである実施態様では、ユーザは、空気または他のガスを含む可能性があるさらなる流体(たとえば、薬物)の血液回路内への導入を回避しうる、または、ユーザは、処置を一時的に停止し、空気逃がしデバイスを置換または修理しうる。これは、処置中に、空気が患者に導入されないことを保証するのに役立ちうる。
【0040】
いくつかの実施態様では、デバイス(たとえば、空気逃がしデバイス)の試験は自動化される。結果として、システムのオペレータは、ほとんど労力なしで、デバイスが不適切に機能しているかどうかを識別しうる。これは、システムのオペレータが、欠陥のあるまたはその他の点でうまく動作しないデバイスを見落とさないことを保証するのに役立つ。
【0041】
ある実施態様では、透析システムのある機能は、デバイス(たとえば、空気逃がしデバイス)が適切に機能していないと判定すると、ディセーブルされる。ディセーブルされる機能は、たとえば、処置を実施するために必要とされる機能とすることができ、それにより、うまく動作しないデバイスが修理または置換されるまで、処置が実施されることができない。いくつかの実施態様では、たとえば、機械のポンプがディセーブルされて、デバイスが置換または修理されるまで、機械が流体を循環させることを防止しうる。これは、患者の処置が、うまく動作しないデバイスによって悪い影響を受けないことを保証するのに役立つ。
【0042】
他の態様、特徴、および利点は、説明、図面、および特許請求の範囲から明らかになる。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1および
図2を参照して、血液透析システム100は、血液回路を形成する使い捨て血液コンポーネントセット104がそこに接続される血液透析機102を含む。血液透析中、血液コンポーネントセット104の動脈および静脈患者ライン106、108は、患者に接続され、血液コンポーネントセット104の透析器110を含む、種々の血液ラインおよびコンポーネントを通って血液が循環する。同時に、透析器110ならびに血液透析機102に接続された種々の他の透析液コンポンーネントおよび透析液ラインによって形成される透析液回路を通って、透析液が循環する。これらの透析液コンポーネントおよび透析液ラインの多くは、血液透析機102のハウジングの内部に位置し、したがって、
図1および
図2では見えない。透析液は、血液と共に透析器110を通過する。透析器110を通過する血液および透析液は、透析器110の半浸透性構造(たとえば、半浸透性膜および/または半浸透性ミクロチューブ)によって互いから分離される。この配置構成の結果として、毒素が、患者の血液から取除かれ、透析液に集められる。透析器110を出るろ過済み血液は、患者に戻される。透析器110を出る透析液は、血液から取除かれた毒素を含み、「使用済み透析液(spent dialysate)」と一般に呼ばれる。使用済み透析
液は、透析器110から排出部に送られる。
【0045】
血液コンポーネントセット104のコンポーネントの1つのコンポーネントは、空気逃がしデバイス112である。空気逃がしデバイス112は、液体が通過することを抑制(たとえば、防止)しながら、空気が通過することを可能にする自己シール通気孔組立体114(
図5に示す)を含む。結果として、処置中に血液回路を通過する血液が空気を含む場合、空気は、血液が空気逃がしデバイス112を通過するとき、大気に排出されることになる。空気逃がしデバイス112は、適切に機能していることを保証するために、処置の前または処置中に試験されうる。空気逃がしデバイス112を試験するために、空気逃がしデバイス112のチャンバ116(
図5に示す)に真空圧(vacuum)が加えられ、逃がしデバイス112のチャンバ116内の液体レベル(たとえば、生理食塩水レベルまたは血液レベル)および/または空気逃がしデバイス112を含む血液回路の一部分内の圧力が監視される。加えられる真空圧に応答して、逃がしデバイス112のチャンバ116内の液体レベルが実質的に下がらない、かつ/または、空気逃がしデバイス112を含む血液回路の一部分内の圧力がある値より下がる場合、これは、不十分な量の空気が逃がしデバイス112に入っていることを指示し、それは、空気逃がしデバイス112の通気孔組立体114が閉塞している可能性があることをさらに指示する。応答して、オペレータは、不適切に機能する空気逃がしデバイス112または空気逃がしデバイス112がその一部である血液コンポーネントセット104全体を置換または修理できる。これは、処置中の血液回路内の空気が、患者に達する前に大気に漏出することを許容されることを保証するのに役立つ。空気逃がしデバイス112を試験する方法は、以下でより詳細に述べられる。
【0046】
依然として
図1および
図2を参照して、血液透析機102は、タッチスクリーン118および制御パネル120を含む。タッチスクリーン118および制御パネル120は、オペレータが、異なる処置パラメータを血液透析機102に入力し、血液透析機102をその他の方法で制御することを可能にする。さらに、タッチスクリーン118は、血液透析システムのオペレータに情報を伝達するためのディスプレイとして役立つ。スピーカ122は、タッチスクリーン118の下に配置され、システム100のオペレータにオーディオ信号を提供するように機構する。そのため、血液透析機102は、使用中にシステム100のオペレータに、タッチスクリーン118を介した視覚警報とスピーカ122を介し
たオーディオ警報の両方を提供することが可能である。スピーカ122が、タッチスクリーン118の下に配置されるものとして述べられるが、スピーカ122は、血液透析機102上の種々の他の場所の任意の場所に配置されうることが理解されるべきである。
図1および
図2に示すように、透析液容器124は、透析液供給ライン126を介して血液透析機102に接続される。排出ライン128および限界ろ過ライン129はまた、血液透析機102から延在する。透析液供給ライン126、排出ライン128、および限界ろ過ライン129は、透析液回路の一部を形成する血液透析機102のハウジングの内部の種々の透析液コンポーネントおよび透析液ラインに流体接続される。血液透析中に、透析液供給ライン126は、透析液容器124から血液透析機102の内部に位置する透析液回路の部分に新鮮な透析液を運ぶ。先に述べたように、新鮮な透析液は、透析液回路を形成する、透析器110を含む種々の透析液ラインおよび透析液コンポーネントを通って循環する。透析液は、透析器110を通過するとき、患者の血液から毒素を集める。結果として得られる使用済み透析液は、排出ライン128を介して透析液回路から排出部に運ばれる。処置中に、限界ろ過が実施されるとき、使用済み透析液および患者から引出された過剰の流体は、限界ろ過ライン129を介して排出部に運ばれる。
【0047】
血液コンポーネントセット104は、血液透析機102の前に取付けられたモジュール130に固定される。モジュール130は、血液回路を通して血液を駆動することが可能な血液ポンプ132を含む。モジュール130はまた、血液回路を通って流れる血液を監視することが可能な種々の他の機器を含む。モジュール130は、扉131を含み、扉131は、閉鎖されると、
図1に示すように、モジュール130の前面と協働して、血液コンポーネントセット104を受取るサイズに形作られた区画を形成する。閉鎖位置では、扉131は、血液コンポーネントセット104のいくつかの血液コンポーネントを、モジュール130の前面で、露出された対応する機器に押し付ける。以下でより詳細に述べるように、この配置構成は、血液回路を通る血液の流れの制御および血液回路を通って流れる血液の監視を容易にする。
【0048】
図3および
図4は、血液コンポーネントセット104の、それぞれ、正面図および背面図である。
図3および
図4に示すように、血液コンポーネントセット104は、キャリア本体134に固定された、空気逃がしデバイス112を含む種々の血液ラインおよび血液コンポーネントを含む。キャリア本体134は、種々の血液ラインおよびコンポーネントを捕捉し保持するための一連のアパーチャおよび窪みを形成する。キャリア本体134は、窪んだ部分(
図3の左側と
図4の右側に示す)および平坦な部分(
図3の右側と
図4の左側に示す)を含む。窪んだ部分は、血液コンポーネントのほとんどを保持するように構成され、一方、平坦な部分は、透析器110を支持するように構成される。
図4に示すように、突出部135が、キャリア本体134の後面から延在する。これらの突出部135は、モジュール130の前面に形成された窪んだ領域と協働して、キャリア本体134、したがって血液コンポーネントセット104をモジュール130に固定する。突出部135はまた、血液コンポーネントセット104をモジュール130の前面に適切に整列させるのに役立ち、それにより、血液コンポーネントセット104がモジュール130に固定され、モジュール130の扉131が閉鎖されると、血液コンポーネントセット104の種々の血液コンポーネントおよび血液ラインが、モジュール130の前面上の関連する機器に動作可能に嵌合する。
【0049】
空気逃がしデバイス112は、キャリア本体134に形成されたアパーチャ内に保持される。空気逃がしデバイス112は、たとえば、キャリア本体134に形成されたアパーチャにスナップ嵌めしうる。いくつかの実施態様では、キャリア本体134から延在する指部は、空気逃がしデバイス112をキャリア本体134にしっかり保持するために、空気逃がしデバイス112の周りに部分的に延在する。空気逃がしデバイス112は、先に述べたように、空気などのガスが、血液回路内の血液から、チャンバ116の上部に配置
された通気孔組立体114を通って空気逃がしデバイス112のチャンバ116から漏出することを可能にする。
【0050】
空気逃がしデバイス112の種々の異なる図を示す
図5〜8を参照して、空気逃がしデバイス112は、空気逃がしチャンバ116を形成するハウジング136を有する。チャンバ116は、底部領域138および上部領域140を有する。入口ポート142および出口ポート144は、ハウジング136の底部表面に形成される。フィルタ145は、出口ポート144に配置される。フィルタ145は、チャンバ116内の血餅が、空気逃がしチャンバ116を出ることを抑制(たとえば、防止)する。ダム146が、ポート142と144との間のハウジングの底部表面または床から上に延在するため、入口ポート142に入る全ての流体は、出口ポート144から流れ出る前に、ダム146からあふれ出る。
【0051】
空気逃がしチャンバ116の自己シール通気孔組立体114は、ハウジング136の上部に位置する。通気孔組立体114は、液体がチャンバ116から漏出することを抑制(たとえば、防止)しながら、空気がチャンバ116から漏出することを可能にするように設計される。通気孔組立体114は、微多硬質膜148および通気孔構造150を含む。微多硬質膜148は、(たとえば、血液または他の循環する液体からの気泡からの)ガスがチャンバ116から大気に排出されることを可能にする。同時に、微多硬質膜148内の孔は、異質粒子および有機体が外気からチャンバ116に入らないようにするのに十分に小さい。いくつかの実施態様では、膜148は、ポリテトラフルオロエチレン(PTEE)(たとえば、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTEE))などの疎水性材料を含む。ある実施態様では、膜148は、その上部に、ePTEEまたは他の微多硬質材料が塗布される艶消しでかつ織られた(matted and woven)層を有する繊維質キャリアである。疎水性微多硬質膜148は、チャンバ116が液体で実質的に満たされると、液体がチャンバ116から漏出しないようにし、空気が疎水性微多硬質膜148を通過することを可能にする。膜148は、約0.05ミクロン〜約0.45ミクロン(たとえば、約0.22ミクロン、約0.2ミクロン)の平均孔サイズを有する。適した膜は、Versapor(登録商標)マークの下でPall Corporation(ニューヨーク州イーストヒルズ(East hills, New York))から、また、W.L.Gore&Associates(デラウェア州ニューワーク(Newark, Delaware))から入手可能である。
【0052】
通気孔構造150は、濡れる場合、自動的にシャットダウンシールする(seal shut)。
結果として、通気孔構造150は、膜148が破断する場合に、血液がチャンバ116から漏出すること、または、他の流体がチャンバ116に入ることを防止しうる。いくつかの実施態様では、通気孔構造150は、空気がチャンバを通過しチャンバから漏出することを可能にする、約15ミクロン〜約45ミクロンの平均孔サイズを有する固体多硬質ブロックである。ある実施態様では、通気孔構造150は、ポリエチレン(たとえば高密度ポリエチレン(HDPE))とカルボキシメチルセルロース(CMC)の混合物、ポリスチレンとメチルエーテルセルロースの混合物、あるいは、ポリプロピレンベース多硬質材料またはポリエチレンベース多硬質材料から形成される。こうした材料は、Porex Corporation(ジョージア州フェアバーン(Fairburn, Georgia))から入手可
能である。1つのこうした製品は、90重量%のポリエチレンおよび10重量%のカルボキシメチルセルロースを含有し、約30ミクロン〜約40ミクロンの平均孔サイズを有する。しかし、材料の他のパーセンテージならびに他の材料および他の孔サイズが使用されうる。たとえば、通気孔構造150は、約80重量%〜約95重量%の高密度ポリエチレンおよび約5重量%〜約20重量%のカルボキシメチルセルロースを含みうる。
【0053】
通気孔構造150が液体に接触すると、通気孔構造の膨潤剤(たとえば、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース成分)が膨張し、それにより、通気孔構造150のポリ
マー成分(たとえば、高密度ポリエチレン)内の孔を閉鎖する。通気孔構造150は、膜148が通気孔構造150とチャンバ116との間に位置するように、膜148に隣接しかつ膜148の真上に搭載される。通気孔構造150は、凝縮が膜148上に蓄積し、膜148に接触することを抑制(たとえば、防止)する。たとえば、凝縮が通気孔構造150上に蓄積し始める場合、通気孔構造の孔は閉鎖し、それにより、凝縮が膜148に達するのを抑制する。通気孔構造150は、同様に、液体がチャンバ116から漏出することを抑制(たとえば、防止)する。たとえば、膜148が破断し、液体が、破断した膜148を通過する場合、通気孔構造150の孔は、液体に接触すると、自動的に閉鎖することになる。
【0054】
空気逃がしデバイス112のチャンバ116が血液を含むとき、血液中のたんぱく質が膜148上に蓄積することを抑制(たとえば、防止)することは、膜148の疎水性特性を維持できる。血液と膜148との間に生理食塩水を設けることによって、血液全体が膜148から保たれうる。チャンバ148の高さおよび形状は、血液/生理食塩水界面152を維持し、したがって、界面152の上の生理食塩水が、界面152の下の血液と実質的に混合することを抑制(たとえば、防止)するのに十分である。
【0055】
適した空気逃がしデバイスは、参照により本明細書に組込まれる、「Safely Vent Structures for Extracorporeal Circuit」という名称の米国特許出願公報第2009/0071911号により詳細に記載される。
【0056】
図3および
図4を再び参照して、動脈および静脈圧力センサカプセル154、156または、血液コンポーネントセット104のキャリア本体134に形成されたアパーチャ内に配置される。圧力センサカプセル154、156はそれぞれ、
図4に示すように、薄い膜159、161が固定される環状剛性部材155、157を含む。カプセル154、156の環状剛性部材155、157および薄い膜159、161は、血液が使用中にそこを通して流れる圧力センサチャンバを共に形成する。血液コンポーネントセット104が、血液透析機102のモジュール130の前面に固定されると、圧力センサカプセル154、156の薄い膜159、161は、モジュール130の前面に向く。圧力センサチャンバ内の圧力は、使用中にモジュール130の前面上の圧力センサ(たとえば、圧力変換器)によって薄い膜159、161を通して検出されうる。適したカプセルは、参照により本明細書に組込まれる米国特許第5,614,677号「Diaphragm Gage for Measuring the Pressure of a Fluid」にさらに記載される。
【0057】
動脈患者ライン106は、
図3および
図4に示すように、キャリア本体134に形成された窪み内に含まれる。動脈患者ライン106の一端は、処置中に患者の動脈に流体接続される。動脈患者ライン106はまた、圧力センサカプセル154に流体接続される。動脈患者ライン106は、窪みを通して第1のポンプラインアダプタ158まで延在し、第1のポンプラインアダプタ158は、動脈患者ライン106をU状ポンプライン160の一端に接続する。ポンプライン160の他端は、第2のポンプラインアダプタ162に接続され、第2のポンプラインアダプタ162は、透析器入口ライン164に流体接続される。透析器入口ライン164は、チューブアダプタを介して、透析器110の血液入口ポート166に接続される。透析器110の血液出口ポート168は、別のチューブアダプタに接続され、別のチューブアダプタは、透析器110を透析器出口ライン170に接続する。圧力センサカプセル156は、透析器出口ライン170に沿って、空気逃がしデバイス112の上流に配置される。圧力センサカプセル156は、空気逃がしデバイス112の入口ポート142(
図5に示す)に流体接続される。圧力センサカプセル156は、透析器110の静脈側の血液圧力が、処置中にモジュール130の前面上の嵌合する圧力
センサによって検知されることを可能にする。静脈患者ライン108は、空気逃がしデバイス112の出口ポート144(
図5に示す)に接続される。静脈患者ライン108は、空気逃がしデバイス112から延在し、処置中に患者の静脈に流体接続される。
【0058】
依然として
図3および
図4を参照して、上述した主血液回路を形成する血液ラインに加えて、生理食塩水送出ライン172および薬物送出ライン174は、血液回路内に生理食塩水および薬物(たとえば、ヘパリン)を導入するために血液回路に接続される。生理食塩水送出ライン172は生理食塩水バッグ176に接続される。薬物送出ライン174は、薬物を含むシリンジ178に接続される。生理食塩水送出ライン172は第1のポンプラインアダプタ158に、薬物送出ライン174は第2のポンプラインアダプタ162に接続される。
【0059】
種々の血液ライン、生理食塩水送出ライン172、および薬物送出ライン174は、種々の異なる医療等級材料の任意の材料で形成されうる。こうした材料の例は、PVC、ポリエチレン、ポロプロピレン、シリコン、ポリウレタン、高密度ポリエチレン、ナイロン、ABS、アクリル、イソプラスト、ポリイソプレン、およびポリカーボネートを含む。いくつかの実施態様では、血液コンポーネントキャリア本体134は、PVC、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、および/または高密度ポリエチレンで形成される。種々の血液ライン、生理食塩水送出ライン172、および薬物送出ライン174は、通常、キャリア本体134に形成される窪んだチャネル内に保持される。窪んだチャネルは、ラインが摩擦嵌め合いでチャネル内に保持されるように、ラインの径に等しいまたはそれよりわずかに小さい径を有しうる。別法としてまたは付加的に、種々の他の技法の任意の技法が、ラインをキャリア本体134に固定するために使用されうる。たとえば、機械式取付けデバイス(たとえば、クリップまたはクランプ)が、キャリア本体134に取付けられ、ラインを保持するために使用されうる。別の例として、ラインは、キャリア本体134に付着されうる、または、熱接合されうる。
【0060】
適した血液コンポーネントセットおよびその関連コンポーネントは、参照により本明細書に組込まれる、「Dialysis Systems and Related Components」という名称の米国特許出願公報第2009/0101566号により詳細に記載される。
【0061】
図9は、血液透析機102のモジュール130の拡大正面図であり、モジュール130の扉が開放し、血液コンポーネントセット104がモジュール130から取外されている。
図9に示すように、血液ポンプ132は、血液透析機102のモジュール130の前面から延在する。血液ポンプ132は、蠕動ポンプであり、血液コンポーネントセット104がモジュール130の前面に固定されると、キャリア本体から横に延在するU状ポンプライン160が蠕動ポンプの周りに配置されるように配列される。
【0062】
血液透析機102のモジュール130はまた、血液コンポーネントセット104がモジュール130の前面に固定されると、空気逃がしデバイス112に整列するレベル検出器182を含む。レベル検出器182は、空気逃がしデバイス112内で液体(たとえば、血液および/または生理食塩水)のレベルを検出するように適合される。モジュール130の扉131は、血液コンポーネントセット104がモジュール130の前面に固定され、扉131が閉鎖されると、空気逃がしデバイス112をレベル検出器182に対して圧迫する突出部183を含む。突出部183は、空気逃がしデバイス112の丸い外部表面を受取るように適合した窪んだ領域を含む。窪んだ領域は、扉131が閉鎖されると、空気逃がしデバイス112がレベル検出器182に関して適切に配置されることを保証するのに役立つ。レベル検出器182は、扉131が空気逃がしデバイス112をレベル検出器182に押し付けると、空気逃がしデバイス112の外側表面に接触する比較的軟質の
先端(たとえば、スポンジ先端)を有する円筒部材である。レベル検出器182の先端は、空気逃がしデバイス112内の液体のレベルを決定するための超音波信号送信機および受信機を含む。使用中、送信機は、空気逃がしチャンバ116内の内容物から反射する超音波信号を放出する。反射信号は、その後、受信機によって検出される。反射信号は、レベル検出器182のレベルにおける空気逃がしチャンバ116内の内容物を判定するために使用されうる。受信機は、たとえば、液体と、空気と、液体と空気との組合せ(たとえば、泡)を区別するように適合される。結果として、レベル検出器182は、チャンバ116内に空気が入ったために、チャンバ116内の血液レベルが下がるときを検出できる。
【0063】
レベル検出器182の先端は、別個の送信機と受信機を含むものとして述べられたが、いくつかの実施形態では、レベル検出器は、送信する機能と受信する機能の両方を実施する送信機/受信機を含む。
【0064】
依然として
図9を参照して、血液透析機102のモジュール130はまた、血液コンポーネントセット104がモジュール130の前面に固定され、モジュール130の扉131が閉鎖されると、血液コンポーネントセット104の圧力センサカプセル154、156に整列する動脈および静脈圧力変換器184、186を含む。圧力変換器184、186は、カプセル154、156を通して流れる血液の圧力を測定することが可能である。圧力変換器184、186は、モジュール130の前面上に露出した実質的に平坦な表面を有する円筒部材である。扉131は、血液コンポーネントセット104がモジュール130の前面に固定され、扉131が閉鎖されると、扉131とモジュール130の前面との間で圧力センサカプセル154、156の環状剛性部材155、157(
図4に示す)を圧迫するばね式プランジャ187、189を含む。結果として、圧力センサカプセル154、156の膜159、161(
図4に示す)は、圧力変換器184、186に押し付けられ、薄い膜159、161およびモジュール130の前面のそれぞれの周辺の間にシールが生成される。圧力センサカプセル154、156の膜159、161の中央領域は、圧力変換器184、186の平坦表面に接触する。流体圧が、圧力センサカプセル154、156内で変化すると、圧力センサカプセル154、156によって圧力変換器184、186に加えられる圧力の量も変化する。圧力変換器184、186は、使用中にこれらの圧力変化を検出することが可能である。
【0065】
気泡検出器188もまた、モジュール130の前面から延在する。血液コンポーネントセット104がモジュール130の前面に固定されると、静脈患者ライン108が、気泡検出器188を通過する(たとえば、そこを通ってねじ込まれる)。気泡検出器188は、静脈患者ライン108がそこに受取られるチャネルを形成するハウジングを含む。モジュール130の扉131は、扉131が閉鎖されると、ハウジングのチャネル内にかつ気泡検出器188のセンサに静脈患者ライン108を押し付けるフィン191を含む。気泡検出器188は、静脈患者ライン108内の気泡を検出することが可能である。いくつかの実施態様では、気泡検出器188は光検出器である。たとえば、Optekによって作られたOPB350気泡検出器が使用されうる。別法としてまたは付加的に、種々の他のタイプの光検出器の任意の検出器が使用されうる。同様に、超音波技術を利用するセンサなどの他のタイプのセンサが、気泡検出器として使用されうる。
【0066】
気泡検出器188の下流で、静脈患者ライン108が、閉塞器またはクランプ190を通過する(たとえば、そこを通してねじ込まれる)。気泡検出器188と同様に、閉塞器190は、静脈患者ライン108がそこに受取られるチャネルを形成するハウジングを有する。モジュール130の扉131は、扉131が閉鎖されると、閉塞器190のハウジングのチャネル内に静脈患者ライン108を押し付けるフィン193を含む。閉塞器190は、起動されると血液が静脈患者ライン108を通過することを防止するために、閉塞
器190内に配設された静脈患者ライン108の部分をクリンプするように構成される。閉塞器190は、たとえば、気泡検出器188が静脈患者ライン108内で気泡を検出すると起動されるように、気泡検出器188に接続されうる。こうした配置構成は、空気逃がしデバイス112が血液から1つまたは複数の気泡を取除くことができない場合に、気泡が全く患者に達しないことを保証するのに役立つ。いくつかの実施態様では、閉塞器190は、ソレノイドベースラムである。別法としてまたは付加的に、他のタイプの自動化閉塞器が使用されうる。
【0067】
簡潔に
図1を参照して、薬物ポンプ192はまた、血液透析機102の前から延在する。薬物ポンプ192は、血液コンポーネントセット104のシリンジ178を保持するように構成されたクランプ機構を含むシリンジポンプである。薬物ポンプ192はまた、シリンジ178の軸に沿ってシリンジ178のプランジャを移動させるように構成されたステッパモータを含む。ステッパモータのシャフトは、ステッパモータが第1の方向に動作すると、シャフトがプランジャをシリンジ内に押し込み、第2の方向に動作すると、シャフトがプランジャをシリンジ178から引き抜くようにプランジャに固定される。そのため、薬物ポンプ192は、使用中に、薬物送出ライン174を介してシリンジ178から血液回路へ液体薬物(たとえば、ヘパリン)を注入するために、または、使用中に薬物送出ライン174を介して血液回路から液体を吸引しシリンジ178に入れるために使用されうる。
【0068】
以下でより詳細に論じるように、液体薬物を血液回路に注入するために、または、血液回路から液体を吸引するために、シリンジポンプと組合せて薬物含有シリンジを使用することの代替としてまたはそれに加えて、システムは、液体薬物を薬物バイアルから血液回路内に圧送する、かつ/または、血液回路から液体を吸引しバイアル内に入れるように適合されうる。
【0069】
レベル検出器182、圧力変換器184、186、タッチスクリーン118、およびスピーカ122は、血液透析機102の制御ユニット(たとえば、マイクロプロセッサ)に接続される。これらのデバイスは、デバイスからマイクロプロセッサに、また、逆に、信号が送信されることを可能にする任意の方法で、マイクロプロセッサに接続されうる。いくつかの実施態様では、マイクロプロセッサを機器に接続するために、電気配線が使用される。無線接続が、別法としてまたは付加的に、使用されうる。以下で述べるように、マイクロプロセッサは、レベル検出器182によって検出される液体レベルが所望の液体レベル範囲外であることを指示する信号を受信すると、および/または、圧力変換器186によって検知される圧力が所望の圧力範囲外であるという信号を受信すると、スピーカ122およびタッチスクリーン118を使用してオーディオおよび視覚警報を起動しうる。所望の範囲外であると検出される液体レベルおよび圧力は、以下でより詳細に論じるように、空気逃がしデバイス112(たとえば、空気逃がしデバイス112の通気孔組立体114)が適切に機能していないことを示しうる。
【0070】
依然として
図1を参照して、透析液回路は、血液透析機102のハウジングの内部に配置され複数の透析液コンポーネントおよび透析液ラインならびに血液透析機102のハウジングの外に配置される透析器110、透析機入口ライン200、および透析機出口ライン202によって形成される。透析機入口ライン200は、透析器110の1つの端領域に接続するように適合したコネクタを含み、透析機出口ライン202は、透析器110の別の端領域に接続するように適合したコネクタを含む。
【0071】
図10は、血液透析システム100の血液回路および透析液回路に入る、そこを通る、またそこから出る流体の流れ経路を示す図である。
図10の右側を参照して、血液透析機102のハウジングの内部に位置する透析液回路の透析液コンポーネントは、第1の透析
液ポンプ204、バランスデバイス206、圧力センサ208、等化デバイス210、第2の透析液ポンプ212、および限界ろ過ポンプ214を含む。これらの透析液コンポーネントは、一連の透析液ライン216を介して互いに流体接続される。
【0072】
透析液ポンプ204は、透析液供給ライン126を介してバランスチャンバ206に透析液を圧送することが可能である。いくつかの実施態様では、透析液ポンプ204は、蠕動ポンプである。しかし、任意の種々の他のタイプのポンプが、別法としてまたは付加的に使用されうる。他の適したタイプのポンプの例は、隔膜ポンプおよびギアポンプを含む。
【0073】
バランスデバイス206は、柔軟性膜222によって第1チャンバの半分218および第2チャンバの半分220に分割される球チャンバを含む。流体は、第1チャンバの半分218に流入するにつれて、第2チャンバの半分220から押出される、また、その逆である。このバランスデバイス構成は、バランスデバイス206に入る流体の体積が、バランスデバイス206を出る流体の体積に等しいことを保証するのに役立つ。これは、以下でより詳細に述べるように、処置中に所望されると、透析液回路を入る新鮮な透析液の体積が、透析液回路を出る使用済み透析液の体積に等しいことを保証するのに役立つ。
【0074】
血液透析中に、第2チャンバの半分220を出る透析液は、透析器110を通り等化チャンバ210に向かって送られる。透析器110を等化チャンバ210に接続する、透析液ライン216に沿って位置する圧力センサ208は、透析器110を出る使用済み透析液の圧力を測定するように適合される。透析器110から等化チャンバ210に流れる(pass)使用済み透析液の圧力を測定することが可能な種々の異なるタイプの圧力センサの任意の圧力センサが、使用されうる。
【0075】
使用済み透析液は、等化チャンバ210内に集まる。透析液ポンプ212は、等化チャンバ210からバランスデバイス206の第1チャンバの半分218に使用済み透析液を圧送するように構成される。いくつかの実施態様では、透析液ポンプ212は蠕動ポンプである。しかし、任意の種々の他のタイプのポンプが、別法としてまたは付加的に使用されうる。他の適したタイプのポンプの例は、隔膜ポンプおよびギアポンプを含む。バランスデバイス206の第1チャンバの半分218が使用済み透析液で満ちると、第2チャンバの半分220内の新鮮な透析液が、透析器110に向かって吐出される。その後、第2チャンバの半分220が新鮮な透析液で再び満たされると、第1チャンバの半分218内の使用済み透析液が、排出ライン128を通して排出部に押出される。
【0076】
限界ろ過ライン129は、等化チャンバ210の出口に接続される。限界ろ過ポンプ214は、限界ろ過ライン129に動作可能に接続され、それにより、限界ろ過ポンプ214が動作すると、使用済み透析液が、等化チャンバ210から引出され、限界ろ過ライン129を介して排出部に送られる。透析液ポンプ212を同時に動作させながら、限界ろ過ポンプ214を動作させることは、等化チャンバ210を透析器110に接続する透析液ライン216内の真空圧の増加をもたらし、したがって、透析器110内の真空圧の増加を生成する。この真空圧の増加の結果として、透析器110の半浸透性構造(たとえば、半浸透性膜または半浸透性ミクロチューブ)の前後で血液回路から透析液回路にさらなる流体が引き込まれる。ある実施態様では、限界ろ過ポンプ214は蠕動ポンプである。しかし、任意の種々の他のタイプのポンプが、別法としてまたは付加的に使用されうる。他の適したタイプのポンプの例は、隔膜ポンプおよびギアポンプを含む。
【0077】
図1および
図10を参照して、血液透析処置のための血液透析システム100を調製するための方法がここで述べられる。血液透析処置が始動される前に、血液回路をプライミングするために、生理食塩水が、生理食塩水送出ライン172を介して生理食塩水バッグ
176から血液回路に導入される。生理食塩水バッグ176から血液回路に生理食塩水を吸引するために、生理食塩水送出ライン172に沿う弁が開口され、透析液供給ライン126に沿う弁が閉鎖され、血液ポンプ132がターンオンされる。生理食塩水は、ポンプラインアダプタ158(
図3および
図4に示す)を介して血液回路に入り、その後、血液ポンプ132に係合するU状血液ライン160を通って流れる。血液ポンプ132は、血液回路を通して透析器110に向かって生理食塩水を押出す。生理食塩水は、透析器110を通って流れ、透析器出口ライン170を介して透析器110を出る。生理食塩水は、透析器出口ライン170を通って空気逃がしデバイス112に向かって流れると、静脈圧力センサカプセル156を通過する。次に、生理食塩水は、空気逃がしデバイス112の入口ポート142を通って流れ、空気逃がしデバイス112のチャンバ116を満たす。チャンバ116を完全に満たすために、空気逃がしデバイス112から遠くに導く静脈患者ライン108は、生理食塩水がチャンバ116内に強制的に入れられる間、クランプされる。空気逃がしデバイス112の通気孔組立体114が適切に機能している場合、生理食塩水がチャンバ116を満たすときに、空気が、チャンバ116の上部から、また、通気孔組立体114を通して押出される。通気孔組立体114の膜148が疎水性であるため、通気孔組立体114が適切に機能している場合、生理食塩水は、通気孔組立体114を通過しない。
【0078】
空気逃がしデバイス112の通気孔組立体114が適切に機能していない場合、血液回路内の空気は、使用中に空気逃がしデバイス112のチャンバ116から漏出することを許容されない場合がある。こうした不適切に機能する空気逃がしデバイス112は、プライミングプロシージャ中に気付かれない可能性がある。たとえば、プライミングが起こるとき、比較的少ない体積の空気が血液回路内に存在する場合、空気逃がしデバイス112のチャンバ116内に捕捉されることになる、その少ない体積の空気は、血液透析システム100のオペレータによって気付かれない可能性がある。したがって、プライミングの後でかつ処置の前に空気逃がしデバイス112の操作性を試験することが有利である。
【0079】
空気逃がしデバイス112を試験するために、血液ポンプ132がターンオフされ、静脈患者ライン108がクランプされ、限界ろ過ポンプ214が始動される。血液ポンプ132は、ターンオフされるため、動脈患者ライン106上で閉鎖したクランプとして働く。したがって、血液回路は、実質的に閉じた流体回路として働き、空気逃がしデバイス112の通気孔組立体114は、空気または他のガス用の唯一の入口点および出口点である。限界ろ過ポンプ214を運転することによって透析器110の半浸透性構造の前後で生成される真空圧は、生理食塩水を、血液回路から透析液回路に引き寄せる。動脈および静脈患者ライン106、108がクランプされるため、血液回路に対する唯一の流体アクセスは、空気逃がしデバイス112の通気孔組立体114を通して行われる。したがって、空気逃がしデバイス112の通気孔組立体114が適切に機能している場合、空気は、真空圧のために、通気孔組立体114を横切って、空気逃がしデバイス112のチャンバ116内に引寄せられることになる。十分な真空圧が透析液回路に加えられて、レベル検出器182を起動させるのに十分な空気が空気逃がしデバイス112(空気逃がしデバイス112が適切に機能すると仮定する)内に吸引されるまで、限界ろ過ポンプ214が運転し続ける。換言すれば、空気逃がしデバイス112内の生理食塩水レベルを、レベル検出器182のレベルより下に下げるのに十分な量の空気が、適切に機能する空気逃がしデバイス112の通気孔組立体114を通して引寄せられるまで、限界ろ過ポンプ214が運転し続ける。通常、限界ろ過ポンプ214は、血液回路にあまりに多くの空気を吸引するため、空気が静脈患者ライン108に達し、気泡検出器188および閉塞器190を起動させることがないように、レベル検出器182を起動させるのに十分な量の空気を、適切に機能する空気逃がしデバイス内に吸引するように動作する。
【0080】
種々の異なるパラメータが、適切に機能する空気逃がしデバイス112のチャンバ11
6に引寄せられる空気の体積に影響を及ぼす。たとえば、限界ろ過ポンプ214の動作時間、限界ろ過ポンプ214のポンプ速度、空気逃がしデバイス112の通気孔組立体114の半浸透性などは、空気逃がしデバイス112内に引寄せられる空気の体積を左右する。いくつかの実施態様では、限界ろ過ポンプ214は、試験プロシージャ中、約10秒〜約1分(たとえば、約30秒)の間、動作する。ある実施態様では、限界ろ過ポンプは、約1L/時間〜約4L/時間(たとえば、約2L/時間〜約3L/時間)の流量で流体を圧送するように動作する。
【0081】
空気が空気逃がしデバイス112のチャンバ116に吸引されるにつれて、チャンバ116内の液体レベルが下がる。レベル検出器182が配置されるレベルより下に液体レベルが下がると、レベル検出器182は、空気逃がしデバイス112のチャンバ116内の液体をもはや検出しないことになる。結果として、レベル検出器182の高さに空気逃がしデバイス112内の液体が存在しないことを指示する信号を、レベル検出器182がマイクロプロセッサに送信することになる。限界ろ過ポンプ214を、所望の時間の間かつ所望の速度で運転した後、空気逃がしデバイス112のチャンバ116内に液体が存在しないことをレベル検出器182が検出する場合、これは、空気逃がしデバイス112が適切に機能していることを指示する。しかし、限界ろ過ポンプ214を、所望の時間の間かつ所望の速度で運転した後、空気逃がしデバイス112のチャンバ116内の液体が依然として存在することをレベル検出器182が検出する場合、これは、空気逃がしデバイス112が適切に機能していないことを指示する。限界ろ過ポンプ214を、所望の時間の間かつ所望の速度で動作させた後、チャンバ116内の液体レベルがレベル検出器182のレベルより下に下がらなかったという信号をレベル検出器182から受信すると、血液透析機102のマイクロプロセッサは、視覚およびオーディオ警報信号を起動するように構成される。特に、マイクロプロセッサは、タッチスクリーン118に視覚信号を放出させ、スピーカ122にオーディオ信号を放出させる信号を、タッチスクリーン118およびスピーカ122に送信する。これらの視覚およびオーディオ信号は、空気逃がしデバイス112の故障(たとえば、空気逃がしデバイス112の通気孔組立体114の故障)の可能性をシステム100のオペレータに報知する。
【0082】
空気逃がしデバイス112が適切に機能しているかどうかを判定した後、空気逃がしデバイス112に吸引された空気が大気に戻るように押出される。そうするために、限界ろ過ポンプがターンオフされ、血液ポンプ132がターンオンされる。静脈患者ライン108が、このとき依然としてクランプされるため、血液ポンプ132の動作は、血液回路内にかなりの量の圧力をもたらす。この圧力は、空気逃がしデバイス112のチャンバ116内の空気を、空気逃がしデバイス112の通気孔組立体114を介してチャンバ116から強制的に出させる。
【0083】
試験プロシージャ中に空気逃がしデバイス112が適切に機能していないと判定された場合、空気逃がしデバイス112は、置換されうるまたは修理されうる。いくつかの実施態様では、たとえば、オペレータは、血液コンポーネントセット104の血液ラインおよび血液コンポーネントの全てを単に外し、その全体の血液コンポーネントセット104を排気する。新しい血液コンポーネントセット104が、その後、血液透析機102に接続されることになる。あるいは、空気逃がしデバイス112だけが、血液コンポーネントセット104のキャリア本体134から外され、新しい空気逃がしデバイス112と置換されうる。別の代替法として、故障している空気逃がしデバイス112の通気孔組立体114が、空気逃がしデバイス112から取外され、新しい通気孔組立体114と置換されうる。新しい通気孔組立体114を有する空気逃がしデバイス112は、その後、血液コンポーネントセット104の残りに再接続されることになる。空気逃がしデバイス112を置換または修理した後、上述したプライミングおよび試験プロセスが、血液透析処置を始める前に繰り返されることになる。
【0084】
いくつかの実施態様では、血液透析機102のマイクロプロセッサは、システム100のオペレータが故障している空気逃がしデバイス112の通気孔組立体114が置換または修理されたことを指示するまで、または、血液透析機102自体が、(たとえば、その後の試験中に、空気逃がしデバイス112のチャンバ116内に許容可能なレベルの液体を検出することによって)故障している空気逃がしデバイス112の通気孔組立体114が置換または修理されたことを確認できるまで、血液透析機102のある機能をディセーブルするように適合される。マイクロプロセッサによってディセーブルされる機能は、たとえば、血液透析処置を実施するために必要とされる機能とすることができる。これらの機能をディセーブルすることは、故障している空気逃がしデバイスを有する血液コンポーネントセットを使用して処置が実施されないことを保証するのに役立ちうる。
【0085】
血液回路をプライミングし、空気逃がしデバイス112が適切に機能していることを確認した後、動脈および静脈患者ライン106、108が、
図11に示すように患者に接続され、血液透析が始動される。血液透析中、血液は、血液回路(すなわち、血液コンポーネントセット104の、透析器110を含む種々の血液ラインおよび血液コンポーネント)を通って循環する。同時に、透析液は、透析液回路(すなわち、透析器110を含む種々の透析液ラインおよび透析液コンポーネント)を通して循環する。
【0086】
最初に、
図11の左側に示す血液回路に的を絞ると、血液透析中、血液ポンプ132が起動され、血液を、血液回路を通して循環させる。血液は、上述した生理食塩水のルートと同じ基本ルートに従い、大部分は、血液回路内の残留生理食塩水を、種々の血液コンポーネントおよび血液ラインを通り、患者に戻るように押出す。血液は、動脈患者ラインを介して患者250から吸引され、動脈圧力センサカプセル154まで流れる。モジュール130の前面上の動脈圧力センサ184(
図9に示す)は、圧力センサカプセル154に整列し、動脈側の血液回路を通って流れる血液の圧力を測定する。血液は、その後、血液ポンプ132に動作可能に係合するU状ポンプライン160を通って流れる。ポンプライン160から、血液は、透析器110まで流れる。透析器110を出た後、血液は、静脈圧力センサカプセル156を通って流れ、カプセル156で、静脈側の血液の圧力が、モジュール130の前面上の関連する圧力センサ186(
図9に示す)によって測定される。
【0087】
ある実施態様では、ヘパリンなどの薬物は、薬物ポンプ192を起動することによって、薬物送出ライン174を介して血液に注入される。血液にヘパリンを注入することは、血液回路内に血餅が形成されるのを防止するのに役立ちうる。他のタイプの薬物は、別法としてまたは付加的に、シリンジ178から血液回路に注入されうる。こうした薬物の例は、ビタミンDおよびVenofer(登録商標)およびEpogen(登録商標)などの鉄補給剤を含む。
【0088】
次に、血液は、空気などの任意のガスが漏出できる空気逃がしデバイス112の入口ポート142を通して流れる。血液は、空気逃がしデバイス112のチャンバ116に入ると、プライミングプロシージャによってチャンバ116内に残っているチャンバ116の底部の生理食塩水を、空気逃がしデバイス112の出口ポート144を通して押出す。しかし、血液は、チャンバ116内の生理食塩水の全てを変位させない。チャンバ116のサイズおよび形状のために、血液は、チャンバ116に入り、再び下へと流れ出口ポート144を出る前に、チャンバ116の高さの一部を横断するだけである。生理食塩水と血液との間の界面152(
図5に示す)は、チャンバ116内での大部分の血液の最も遠い範囲を描く。血液と生理食塩水は、非混合性でないため、界面152の周りに2つの流体間に、ある程度の量の混合が存在する。
【0089】
生理食塩水は、血液が、通気孔組立体114の膜148に接触することを実質的に防止する。しかし、一部の血液は、処置を妨げることなく生理食塩水内に存在しうる。すなわち、空気逃がしデバイス112が、(たとえば、血液中の気泡からの)ガスが血液回路から排出されることを可能にすると共に、血液回路内に液体を保持するために、生理食塩水は、血液を完全になくす必要がない。主に生理食塩水である溶液は、通気孔組立体114の膜148が、通気孔組立体114を詰まらせうるたんぱく質でコーティングされることを防止し、空気逃がしデバイス112のチャンバ116から大気に空気または他のガスを排出する空気逃がしデバイス112の能力を減少させる。空気逃がしデバイス112のチャンバ116が十分に細長い場合、血液がチャンバ116を通して流れるとき、生理食塩水は比較的停滞しているため、血液は、チャンバ116の上部分で生理食塩水と混合しない。
【0090】
透析器110またはシリンジ178によって導入される空気などの、血液中に存在する任意の未束縛のガスまたは空気は、空気が最終的に、通気孔組立体114を通して排出するまで、血液および生理食塩水内の小さな気泡として生じる。血液は、チャンバ116の底部を真っすぐに横切るのではなく、上に移動しダム146を超える。血液の流れを上方に向けることによって、空気を含む血液は、少なくともダム146の高さより高い高さまで上方に流れなければ、チャンバ116内に流れ、直接戻るようにチャンバ116を出ることがきでない。ダム146の表面エリアおよびチャンバ116の内壁は、微小気泡を含む空気が、血液から分離し、通気孔組立体114を通して血液回路を出ることを促進する。
【0091】
空気逃がしデバイス112を出た後、血液は、静脈患者ライン108を通って移動し、患者に戻る。
ここで
図11の右側に示す透析液回路を考えて、血液透析中、新鮮な透析液は、透析液ポンプ204を運転することによって透析液供給ライン126を介して透析液容器124から透析液回路内に圧送される。新鮮な透析液は、バランスデバイス206の第2チャンバの半分220に入る。使用済み透析液は、バランスデバイス206の第1チャンバの半分218に入るため、新鮮な透析液は、第2チャンバの半分220から出て、透析液ライン216を介して透析器110に向かって押出される。患者の血液が、透析器110の半浸透性構造の反対側で透析器110を通過すると同時に、透析液が透析器110を通過する。結果として、尿素などの毒素は、患者の血液から透析液へ、透析器110の浸透性構造(たとえば、浸透性膜および/または浸透性ミクロチューブ)を横切って移送さ、これらの毒素が、透析液に集まり、使用済み透析液を形成する。透析器110を出る使用済み透析液は、透析液回路を通って等化チャンバ210まで循環する。透析液ポンプ212は、使用済み透析液を等化チャンバ210から吸引し、使用済み透析液を、バランスデバイス206の第1チャンバの半分218に送出する。使用済み透析液が第1チャンバの半分218を満たすにつれて、第2チャンバの半分220内の新鮮な透析液が、透析器110に送出される。第2チャンバの半分220が、その後、新鮮な透析液で再び満たされるにつれて、第1チャンバの半分218内の使用済み透析液が、バランスデバイス206から出て、排出ライン128を介して排出部内に押出される。バランスデバイスは、透析液回路に入る透析液を、透析液回路を出る透析液とバランスを取って、限界ろ過が実施されないときに、実質的に一定の体積の透析液が透析液回路内に残ることを保証する。
【0092】
ある処置では、限界ろ過プロセスは、患者の血液から過剰な流体を取除くために実施される。限界ろ過中に、限界ろ過ポンプ214を運転することによって、透析器110の透析液側と血液側との間で浸透性構造の前後に圧力勾配が生成される。結果として、流体が、血液回路から透析液回路へ透析器110の半浸透性構造を横切って吸引される。患者から吸引された毒素および過剰な流体を含む使用済み透析液は、限界ろ過ポンプ214によって等化チャンバ210から吸引され、限界ろ過ライン129を介して排出部に送出され
る。
【0093】
血液透析処置中に空気逃がしデバイス112の通気孔組立体114を定期的に試験することも有利である。こうすることによって、処置中に通気孔組立体114に起こる可能性がある損傷を検出することが可能である。たとえば、こうした試験プロシージャは、通気孔組立体114の膜148が破断したかどうかを検出するために使用されうる。膜148の破断は、液体を、通気孔構造150に接触させ、したがって、通気孔構造150を自己シールさせる。こうした試験プロシージャはまた、たんぱく質が、血液との接触のために、通気孔組立体114の膜148上に蓄積し、結果として、空気が通気孔組立体114を通過することを可能にする通気孔組立体114の能力を著しく減じたかどうかを検出するために使用されうる。
【0094】
血液透析処置中に空気逃がしデバイス112を試験するために、血液ポンプ132および透析液ポンプ204、212が一時的に停止され、静脈患者ライン132がクランプされ、限界ろ過ポンプ214がターンオンされ、空気逃がしデバイス112のチャンバ116内の血液レベルが監視される。通常、試験は、わずか約60秒(たとえば、わずか約15秒、約10〜15秒)しか続かず、したがって、血液ポンプ132は、血液回路内の血液に悪い影響を及ぼすことなく停止されうる。限界ろ過ポンプ214を、所望の時間の間かつ所望の速度で運転した後の、チャンバ116内の血液レベルの、レベル検出器182のレベル未満への低下は、空気逃がしデバイス112の通気孔組立体114が適切に機能していることを指示し、一方、レベル検出器182の高さを超える点への血液レベルの低下または血液レベルに低下が全くないことは、通気孔組立体114が適切に機能していないことを指示する。通気孔組立体114が適切に機能していると判定される場合、処置が、単に再開される。しかし、通気孔組立体114が不適切に働いていると判定される場合、救済措置をとることができるように、血液透析システム100のオペレータは、タッチスクリーン118およびスピーカ122を介して報知される。こうした警報に応答して、オペレータは、上述した種々の技法の任意の技法を使用して空気逃がしデバイス112を修理または置換できる。ユーザが、通気孔組立体114を単に置換することによって、こうした状況下で空気逃がしデバイス112を修理することができることが有利である。これは、処置中に血液を含む血液回路の残りに対するほんのわずかの中断によって、ユーザが空気逃がしデバイス112を修理することを可能にする。
【0095】
ある実施態様では、上述した試験プロシージャは、自動化され、処置全体にわたって定期的に実施される。あるいは、血液透析機102の制御ユニットは、試験を手動で実施するときがいつかを(たとえば、タッチスクリーン118および/またはスピーカ122を介して)ユーザに単に報知するように適合されうる。いくつかの実施態様では、試験は、処置中に少なくとも2回(たとえば、少なくとも5回)実施される。試験は、たとえば、処置全体を通して、少なくとも60分ごとに(たとえば、30分ごとに、15分ごとに)実施されうる。
【0096】
患者の処置を終了した後、透析液回路内の透析液は、透析液ポンプ212および/または限界ろ過ポンプ214を使用して排出部に圧送される。血液コンポーネントセット104は、その後、血液透析機102のモジュール130から外され、廃棄され、透析液回路は、その後の処置に備えて無菌化される。
【0097】
ある実施形態が上述されたが、他の実施形態が可能である。
上述した方法は、空気逃がしデバイス112の通気孔組立体114が適切に働いているかどうかを判定するために空気逃がしデバイス112内の測定された液体レベルを使用することを含むが、他の技法が、別法としてまたは付加的に使用されうる。いくつかの実施態様では、たとえば、静脈圧力変換器186によって測定される血液圧力は、通気孔組立
体114が適切に機能しているかどうかを判定するために使用される。通気孔組立体114が適切に機能していない場合、空気逃がしデバイス112のチャンバ116に真空圧を加えると、所望の量の空気が、通気孔組立体114を介して血液回路内に引込まれない。結果として、血液回路内の圧力は、減少し、血液回路を形成する血液ラインは、圧壊し始める可能性がある。そのため、先に論じたように、空気逃がしデバイス112のチャンバ116を真空に引く間に、静脈圧力変換器186で検出される、ある値より大きい圧力減少は、空気逃がしデバイス112の通気孔組立体114が適切に機能していないことを指示する。いくつかの実施態様では、たとえば、約100mmHg以上の圧力減少は、通気孔組立体114が適切に働いていないことを指示する。他方、ある値未満の圧力降下は、通気孔組立体114が適切に働いていることを指示する。ある実施態様では、たとえば、約10mmHg(たとえば、約0mmHg)未満の圧力減少は、通気孔組立体114が適切にまたは十分に働いていることを指示する。
【0098】
いくつかの実施態様では、レベル検出器182および静脈圧力変換器186は、組合せて使用されて、空気逃がしデバイス112の通気孔組立体114が適切に機能しているかどうかを判定する。そのため、たとえレベル検出器182および静脈圧力変換器186の一方が適切に働かなかったとしても、故障している通気孔組立体114が依然として検出されうる。あるいは、血液透析機102の制御ユニットは、通気孔組立体114が適切に機能していないことを、レベル検出器182および静脈圧力変換器186が共に指示しなければ、警報が起動されないように適合されうる。これは、故障している通気孔組立体114が、システム100のオペレータに対して誤って識別されないことを保証するのに役立ちうる。
【0099】
動脈圧力センサ184および対応する動脈圧力センサカプセル154は、プレポンプ動脈圧力を測定するために血液ポンプ132の上流に配列されるものとして述べられたが、あるいは、ポストポンプ動脈圧力を測定するために血液ポンプ132の下流に配置されうる、または、さらなる動脈圧力センサおよび動脈圧力センサカプセルが、ポストポンプ動脈圧力を測定するために血液ポンプ132の下流に配置されうる。ポストポンプ動脈圧力センサが設けられる実施態様では、ポストポンプ動脈圧力センサは、静脈圧力変換器186の代わりにまたはそれに加えて使用されて、空気逃がしデバイス112の通気孔組立体114が適切に機能しているかどうかを検出する。たとえば、静脈患者ライン108がクランプされ、血液ポンプ132がターンオフした状態で、限界ろ過ポンプ214は、空気逃がしデバイス112を真空に引くように動作でき、動脈圧力センサは、血液回路内の圧力を監視できる。血液回路内の圧力が、あるレベルより下がったことを検出すると、動脈圧力センサは、その趣旨で信号を血液透析機102のマイクロプロセッサに送信し、マイクロプロセッサは、空気逃がしデバイス112が適切に機能していないことをシステムのオペレータに報知するためにオーディオアラームおよび/または視覚アラームを起動しうる。応答して、システムのオペレータは、上述した種々の異なる救済措置の任意の措置をとりうる。
【0100】
上記方法のいくつかは、空気逃がしデバイスの通気孔組立体114が適切に働いているかどうかを判定するために、血液ポンプ132の下流に位置する、静脈圧力変換器186で検知される圧力、または、動脈圧力センサで検知される圧力を使用するが、いくつかの実施態様では、通気孔組立体114が適切に機能しているかどうかを判定するために、膜間圧力差(trans-membrane pressure)(血液回路と透析液回路との間の圧力差)が使用さ
れる。測定された膜間圧力差は、静脈および動脈圧力変換器に関して先に論じた圧力範囲と比較されて、空気逃がしデバイス112が適切に排出しているかどうかが判定される。
【0101】
先に論じた方法は、空気逃がしデバイス112に真空圧を加えるために限界ろ過ポンプ214を動作させることを含むが、真空圧は、別法としてまたは付加的に、他の技法を使
用して空気逃がしデバイス112に加えられうる。ある実施態様では、たとえば、真空圧は、限界ろ過ポンプ214ではなく、透析液ポンプ204、212を運転することによって、空気逃がしデバイス112に加えられる。いくつかのこうした実施態様では、透析液ポンプ212は、離散的な量の流体が、バランスデバイス206の第1チャンバの半分218を通って透析液回路を出ることを可能にするが、流体が、バランスデバイスの第2チャンバの半分220を介して透析液回路に入ることを可能にしないようにしながら動作する。さらなる流体が透析液回路に導入されないことを保証するために、透析液ポンプ204は、流体が透析液回路を出るときにオフのままである。透析液回路から取除かれる流体の離散的な量は、バランスデバイス206の体積によって左右される。いくつかの実施態様では、バランスデバイス206は、このプロシージャ中に透析液回路から30ccの流体が取除かれるように30ccの体積を有する。流体は、置換されることなく透析液回路から取除かれるため、透析液回路内に負圧が生成される。この負圧はまた、透析器110の半浸透性膜を介して血液回路に加えられ、したがって、空気逃がしデバイス112に作用する。この負圧が空気逃がしデバイス112に加えられている間に、空気逃がしデバイス112は、上述した方法で試験されうる。空気逃がしデバイス112を試験した後、透析液ポンプ204が、(透析液ポンプ212がオフのままである間に)動作して、さらなる流体を透析液回路に圧送し、それにより、透析液回路の流体体積をその元の値に回復させる。バランスデバイス206の体積が、透析液回路に付加される流体の量を左右するため、透析液回路から以前に取除かれた流体の同じ量が、透析液回路に元通りにここで付加されることが保証されうる。
【0102】
バランス回路206の体積容量に基づいて透析液回路へ/から送出される流体の量を制御することの代替法として、他の技法が使用されうる。ある実施態様では、たとえば、圧力変換器208は、透析液回路から吸引された流体の同じ体積が、後で、透析液回路に元通りに付加されることを保証するために使用される。こうした実施態様では、血液回路に負圧を加えることによって空気逃がしデバイス112を試験するときになると、圧力変換器208の読みが採取される。この圧力の読みは、そのときの透析液回路内の流体の総体積に対応する。その後、透析液ポンプ212は、透析液回路から流体を取除くために(透析液ポンプ204がターンオフされた状態で)動作する。こうしている間、バランス回路206に関連する弁は、バランスデバイス206の第2チャンバの半分220を通して流体が流れることを防止しながら、バランスデバイス206の第1チャンバの半分218を通して流体が容易に流れることを可能にするように制御される。透析液回路から流体を取除くことは、透析液回路および血液回路内の圧力降下をもたらし、空気逃がしデバイス112が上述したように試験されることを可能にする。空気逃がしデバイス112を試験した後、透析液ポンプ204がターンオンし、透析液ポンプ212がターンオフする。さらに、バランス回路206に関連する弁は、バランスデバイス206の第1チャンバの半分218を通して流体が流れることを防止しながら、バランスデバイス206の第2チャンバの半分220を通して流体が容易に流れることを可能にするように制御される。透析液ポンプ204は、圧力変換器208の読みが、流体が透析液回路から取除かれる前に採取された読みと同じになるまで運転し続ける。同一の圧力の読みは、透析液回路内の流体の総体積が、透析液回路から流体を取除く前に透析液回路内に存在した流体の総体積に等しいことを指示する。本技法を使用して透析液回路から取除かれる、また、元通りにそこに付加される体積の量は、バランスデバイス206の体積容量に限定されないため、流体のより大きな体積が、透析液回路から取除かれ、それにより、空気逃がしデバイス112に対して増加したレベルの負圧を加える能力をもたらす。
【0103】
いくつかの実施態様では、薬物ポンプ192は、空気逃がしデバイス112のチャンバ116を真空に引くために使用される。薬物ポンプ192は、液体(たとえば、シリンジ178からの薬物)を血液回路に注入するように動作するのではなく、血液回路から液体を出すように動作する。こうするために、薬物ポンプ192は、血液回路に薬物を送出す
るために薬物ポンプ192が運転される場合と反対方向に運転するだけである。試験プロシージャを実施する前に、液体薬物を含むシリンジ178は、空のシリンジに置換され、それにより、血液回路から引出される液体が空のシリンジに集められうる。空気逃がしデバイス112の通気孔組立体114を試験するために、血液ポンプ132、透析液ポンプ204、212、および限界ろ過ポンプ214がターンオフされ、静脈患者ライン108がクランプされ、薬物ポンプ192が、血液回路から空のシリンジに液体を引くように動作する。血液ポンプ132が停止し、それにより、動脈患者ライン106に沿う閉鎖クランプとして働き、静脈患者ライン108がクランプされるため、シリンジポンプ192は、液体を空のシリンジに引く入れるとき、空気逃がしデバイス112のチャンバ116に真空圧を加える。
【0104】
ある実施態様では、血液ポンプ132は、空気逃がしデバイス112に真空圧を加えるように動作する。特に、血液回路内の液体が動脈患者ライン106から透析器110に向かう方向に圧送されるように順方向に血液ポンプ132を運転するのではなく、血液ポンプ132は、血液回路内の液体が透析器110から動脈患者ライン106に向かう方向に圧送されるように逆方向に動作する。血液ポンプ132逆方向に動作させながら、空気逃がしデバイス112を真空に引くために、静脈患者ライン108がクランプされ、透析液回路の種々のポンプがターンオフされる。結果として、血液ポンプ132が逆方向に動作すると、液体は、空気逃がしデバイス112のチャンバから透析器110および血液ポンプ132に向かって引かれる。静脈患者ライン108がクランプされるため、空気逃がしデバイス112のチャンバ116を真空に引くことは、したがって、本明細書で述べる種々の技法の任意の技法を使用して空気逃がしデバイス112の通気孔組立体114の機能を試験するために使用されうる。
【0105】
先に論じたいくつかの方法は、空気逃がしデバイス112のチャンバ116を真空に引くために静脈患者ライン108をクランプすることを含むが、動脈および静脈の患者ライン106、108が取付けられる患者の腕は、あるいは、試験プロシージャ中、下げられうる。患者の腕を下げることは、静脈圧力を減少させることになり、静脈患者ライン108をクランプすることと同様の結果を達成しうる。
【0106】
上記方法のいくつかは、空気逃がしデバイス112のチャンバ116を真空に引くために、透析液回路に接続されたポンプの1つを動作させながら、血液回路または血液回路の一部分を通る液体の流れを一時的に停止させるとして述べられたが、いくつかの実施態様では、血液回路を通る液体の流れが維持される。こうした実施態様では、真空に引くために使用される透析液回路に接続されたポンプ(複数可)(たとえば、透析液ポンプ204、212または限界ろ過ポンプ214)は、血液回路を通して液体を流すにもかかわらず、血液回路を真空に引くのに十分な高いレートで動作するだけである。同様に、空気逃がしデバイス112のチャンバ116を真空に引くために、血液ポンプ132または薬物ポンプ192が逆に動作する間に、透析液回路を通る液体の流れを停止することを述べる上記方法の場合、透析液回路を通る液体の流れが停止される必要がないことが認識されるべきである。こうした場合、透析液回路を通る液体の流れは、空気逃がしデバイス112のチャンバ116に加えられる真空圧を増加させることになる。
【0107】
上記ある方法は、静脈患者ライン108がクランプされた状態で血液ポンプ132を運転することによって空気逃がしデバイス112のチャンバ116から空気を押出すことを含むが、他の技法が、別法としてまたは付加的に、空気逃がしデバイス112から空気を押出すために使用されうる。たとえば、空気逃がしデバイス112のチャンバを真空に引くために薬物ポンプ192が逆に動作する実施態様では、シリンジポンプが、その後、静脈患者ライン108がクランプされた状態で通常方向に動作しうる。これは、薬物ポンプ192を逆に運転することによってシリンジに吸引される液体を、血液回路に強制的に戻
し、血液回路内に正圧を生成することになる。結果として、空気逃がしデバイス112のチャンバ116内の空気は、通気孔組立体114を介して大気に吐出されることになる。別の例として、透析液ポンプ202、214、および/または、限界ろ過ポンプ214は、静脈患者ライン108がクランプされた状態で逆に動作して、血液回路内に正圧を生成し、空気逃がしデバイス112のチャンバ116内の空気を、通気孔組立体114を介して大気に吐出させうる。
【0108】
上述した方法は、故障しているデバイスを検出することに応答して、オーディオアラームおよび視覚アラームを起動することを含むが、あるいは、オーディオアラームだけまたは視覚アラームだけが、システムのオペレータに故障しているデバイスを報知するために使用されうる。
【0109】
ある視覚アラームは、タッチスクリーン118を介して表示されるとして述べられたが、視覚アラームは、他のタイプのデバイスを使用して表示されうる。たとえば、透析機が、データを入力するためのキーボードなどの別個のデバイスと共に従来のスクリーン(すなわち、非タッチスクリーン)を含む実施態様では、視覚アラームは、従来のスクリーンを介して表示されうる。
【0110】
レベル検出器182は、超音波信号を放出し受信するように構成された超音波デバイスとして述べられたが、空気逃がしデバイス112のチャンバ116内の液体のレベルを検出することが可能な種々の他のタイプのデバイスの任意のデバイスが使用されうる。こうしたデバイスの例は、とりわけ、光センサを含む。
【0111】
モジュール130は、血液回路内の流体圧力を検出する圧力変換器184、186を含むとして述べられたが、種々の他のタイプの圧力センサの任意のセンサが、この流体圧力を測定するために使用されうる。いくつかの実施態様では、たとえば、ライン自体の正圧および負圧を測定するように構成されたインライン圧力変換器が使用されることができる。
【0112】
薬物ポンプ192は、シリンジポンプとして述べられたが、他のタイプの薬物ポンプが使用されうる。ある実施態様では、たとえば、薬物ポンプは蠕動ポンプである。こうした蠕動ポンプの使用中に、血液コンポーネントセットの薬物送出ラインは、薬物バイアル(たとえば、ヘパリンバイアル)に接続され、ポンプのローリング部材が薬物送出ラインに動作可能に係合するように、ポンプのハウジング内に動作可能に配置される。ポンプは、血液コンポーネントセットの血液ラインを通過する血液中に薬物を注入するために第1の方向に動作しうる。あるいは、薬物送出ラインは、空のバイアルまたは排出部に接続され、ポンプは、血液ラインを通過する液体を、薬物送出ラインを介してバイアルまたは排出部に吸引するために反対方向に動作しうる。
【0113】
空気逃がしデバイス112の通気孔組立体114は、膜148および通気孔構造150を含むとして述べられたが、他のタイプの通気孔が使用されうる。いくつかの実施態様では、たとえば、空気逃がしデバイスの通気孔は膜だけを含む。
【0114】
いくつかの実施態様では、空気逃がしデバイス112ならびに他の血液コンポーネントおよび血液ラインの少なくとも1つ(たとえば、他の血液コンポーネントおよび血液ラインの全て)は、一体化された血液コンポーネントセットに組込まれる。一体化された血液回路の種々のコンポーネントは、離散的な別個のまたはモジュール式のデバイスではなく、1つの組立体または一体化モールディングで共に形成されうる。一体化された血液コンポーネントセットは、上述した血液コンポーネントセット104と同様の方法で血液透析機102のモジュール130内に取外し可能に着座するように適合されうる。
【0115】
種々の血液コンポーネントは、キャリア本体134に固定されるか、または、一体化された血液コンポーネントセットに組込まれるとして述べられたが、血液コンポーネントは、あるいは、血液ラインだけによって互いに接続されうる。こうした実施態様では、血液コンポーネントは、処置前に、血液透析機102(たとえば、血液透析機102のモジュール130)に個々に固定されることになる。血液コンポーネントの機能は、先に論じた血液コンポーネントの機能と同様であることになる。
【0116】
透析液回路は、血液透析機102に部分的に一体化されるとして述べられたが、透析液回路は、あるいは、使用中に血液透析機に取外し可能に固定されうる透析液コンポーネントセットによって形成されうる。いくつかの実施態様では、透析液コンポーネントセットは、カセットの形態であり、カセットは、引出しが閉鎖されると、カセットが血液透析機のコンポーネントに動作可能に係合するように血液透析機の引出し内に挿入されうる。こうした透析液コンポーネントセットは、たとえば、参照により本明細書に組込まれる「Dialysis Systems,Components、and Methods」という名称で2009年8月4日に出願された米国特許出願第61/231,220号に記載される。
【0117】
血液透析機102は、タッチスクリーンを含むとして述べられたが、本明細書に述べる血液透析機の任意の血液透析機は、あるいは、従来のスクリーンおよびユーザがデータを入力することを可能にする関連する制御パネルまたはキーボードを備えうることが認識されるべきである。別法としてまたは付加的に、血液透析機は、ユーザがデータを入力することを可能にするスクラッチパッドおよび/またはタッチボタンを装備しうる。
【0118】
血液の流れをもたらすために血液コンポーネントおよび血液ラインと協働し、血液回路を通る血液の流れを監視する種々の機器は、血液透析機の一部であるとして述べられたが、これらの機器は、血液透析機に一体化されうることが認識されるべきである。
【0119】
上述した試験方法は、血液透析システム内の空気逃がしデバイスに関して論じられたが、同様な方法は、空気および/または他のガスが、デバイスに入る、かつ/または、デバイスを出ることを可能にする通気孔を含む他のタイプのデバイスを試験するために使用されうる。
図12は、たとえば、プレポンプ動脈圧力センサ組立体320、ポストポンプ動脈圧力センサ組立体320’、および静脈圧力センサ組立体420を含む血液コンポーネントセットが接続される血液透析機302を含む血液透析システム302の図である。圧力センサ組立体320、320’、420は、圧力変換器保護器340、340’、440を含む流体ラインを含む。圧力センサ組立体320、320’、420は、血液透析機302に固定される圧力変換器330、330’、430を含む。圧力変換器保護器340、340’、440は、流体経路を形成する本体および流体経路に沿って配置された通気孔組立体を含む。この配置構成は、血液の通過を抑制しながら、変換器保護器340、340’、440の通気孔組立体をガス(たとえば、空気)が通過することを可能にする。結果として、圧力変換器330、330’、430は、処置中に血液に接触しない。圧力変換器330、330’、430は、空気圧力の変化を測定し、空気圧力の変化は、血液回路内の血液の圧力を決定するために使用されうる。
【0120】
変換器保護器340、340’、440の通気孔組立体は、圧力変換器330、330’、430およびこれらの変換器が搭載される透析機302が、血液回路内を流れる血液に直接接触しないようにするのに役立つ。空気逃がしデバイスに関して本明細書で論じた通気孔組立体と同様の通気孔組立体は、変換器保護器340、340’、440で使用されうる。いくつかの実施態様では、通気孔組立体はそれぞれ、(上述した膜148と同様の)微多硬質膜および微多硬質膜と圧力変換器330、330’、430との間に配置さ
れる(上述した通気孔構造150と同様の)自己シール通気孔構造を含み、血液に接触すると、自動的にシャットダウンシールするように設計される。そのため、微多硬質膜が破断し、血液がそこを流れることを可能にする場合、通気孔組立体は、シールし、したがって、透析機302が汚染されることを抑制(たとえば、防止)することになる。
【0121】
血液透析中、血液は、患者250から動脈患者ライン106を通ってドリップチャンバ315に流れる。血液は、ドリップチャンバ315内に滴下し、ドリップチャンバ315からの接続チューブは、プレポンプ動脈圧力センサ組立体320を介して血液透析機302に接続する。血液ポンプ132は、ドリップチャンバ315から透析器110に血液を圧送するために使用される。ポストポンプ動脈圧力センサ組立体320’は、血液ポンプ132から透析器110に導く血液ラインに接続される。プレポンプ動脈圧力センサ組立体320およびポストポンプ動脈圧力センサ組立体320’は、血液回路の動脈側で血液の圧力を決定するために使用される。透析器110を通過した後、血液は、空気逃がしデバイス112に流れ、そこで、血液中のガス(たとえば、空気)は、血液が患者250に継続して送られる前に漏出することができる。静脈圧力センサ組立体420は、透析器110から空気逃がしデバイス112に導く血液ラインに接続される。静脈圧力センサ組立体420は、血液回路の静脈側で血液の圧力を決定するために使用される。空気逃がしデバイス112を出た後、血液は、静脈患者ライン108を通って移動し、患者250に戻る。
【0122】
処置が始まる前に(たとえば、血液回路をプライミングした直後に)、および/または、処置中に、変換器保護器340、340’、440の通気孔組立体の機能を試験することは有益である。変換器保護器340、340’、440の通気孔組立体が適切に機能しているかどうかを判定するために、先に論じた方法と同様の方法が使用されうる。
【0123】
変換器保護器340’、440の通気孔組立体を試験するために、試験される変換器保護器340’、440を含む圧力センサ組立体320’、420は、透析機302から外され、真空圧が、試験される変換器保護器340’、440に加えられる。試験される変換器保護器340’、440に真空圧を加えながら、血液回路内の圧力が、透析機302に接続されたままである圧力センサ組立体320’、420の他のセンサ組立体によって監視されて、真空圧の結果として、空気が通気孔組立体を通して引出されるかどうかを判定する。空気が通気孔組立体を通して引出される場合、接続された圧力センサ組立体320’、420の圧力変換器330’、430によって検出される血液回路内の圧力は、所望の圧力範囲内に留まることになり、これは、通気孔組立体が適切に機能していることを指示することになる。空気が通気孔組立体を通して引出されない場合、血液回路内の圧力は、最小所望圧力より下がることになり、これは、通気孔組立体が適切に機能していないことを指示することになる。
【0124】
上述した種々の真空圧生成技法の任意の技法は、変換器保護器340’、440に真空圧を加えるために使用されうる。たとえば、血液ポンプがターンオフされ、静脈患者ライン108または透析器110を空気逃がしデバイス112に接続するラインがクランプオフされ、透析液回路内の限界ろ過ポンプおよび/または透析液ポンプが、血液回路から透析液回路へ流体を吸引し、したがって、血液ポンプ132とクランプとの間の血液回路の部分内に真空圧を生成するように動作しうる。別法としてまたは付加的に、血液ポンプ132および/または薬物ポンプは、静脈患者ライン108または透析器110を空気逃がしデバイス112に接続するラインがクランプされている間、逆に動作しうる。
【0125】
変換器保護器340の通気孔組立体を試験するために、動脈患者ライン106をクランプし、流体をドリップチャンバ315から血液ポンプ132に向かって出すように血液ポンプ132を動作させることによって、真空圧が変換器保護器340に加えられる。同時
に、血液透析機上のレベル検出器は、ドリップチャンバ315内の液体レベルを検出するために使用される。レベル検出器およびドリップチャンバ315は、たとえば、レベル検出器182および空気逃がしデバイス112と同様の方法で配列される。空気が変換器保護器340の通気孔組立体を通して引出される場合、ドリップチャンバ315内の液体レベルは、レベル検出器の高さより下がることになる。これは、通気孔組立体が適切に機能していることを指示することになる。空気が通気孔組立体を通して引出されない場合、ドリップチャンバ315内の液体レベルは、レベル検出器の高さのままであるまたはそれを超えることになる。これは、通気孔組立体が適切に機能していないことを指示することになる。
【0126】
上記試験方法は、血液透析システムに関して述べられたが、同様な方法は、腹膜透析システム、輸血システム、心肺バイパスシステム、薬物注入システムなどを含む種々の他のタイプのシステムの任意のシステムの排出式デバイスを試験するために使用されうる。
【0127】
他の実施形態は、添付特許請求項の範囲内にある。
第1の実施態様によると、透析システムの、通気孔を備える空気逃がしデバイスに真空圧を加える工程と、
前記空気逃がしデバイスに真空圧を加えた後、前記空気逃がしデバイス内の流体レベルを検出する工程と、
前記空気逃がしデバイス内の前記流体レベルに基づいて、前記空気逃がしデバイスが適切に機能しているかどうかを判定する工程とを備える、方法を要旨とする。
【0128】
第2の実施態様は第1の実施態様において、前記空気逃がしデバイスが適切に機能しているかどうかを判定する工程において、前記空気逃がしデバイスの前記通気孔が適切に機能しているかどうかを判定することを要旨とする。
【0129】
第3の実施態様は第1の実施態様において、前記空気逃がしデバイス内の前記流体レベルは、前記透析システムのレベル検出器によって検出され、前記レベル検出器は、前記空気逃がしデバイスに隣接して配置されることを要旨とする。
【0130】
第4の実施態様は第3の実施態様において、前記レベル検出器は、超音波信号を放出するように構成された送信機および超音波信号を受信するように適合された受信機を備えることを要旨とする。
【0131】
第5の実施態様は第3の実施態様において、 前記レベル検出器は、前記検出された流体レベルに関連する信号が前記透析システムの制御ユニットに送信されることができるように、前記透析システムの前記制御ユニットに接続されることを要旨とする。
【0132】
第6の実施態様は第1の実施態様において、前記空気逃がしデバイスに真空圧を加える工程は、前記空気逃がしデバイスの上流および下流のラインを閉鎖すること、および、前記空気逃がしデバイスから流体を出すためにポンプを起動することを含んでなることを要旨とする。
【0133】
第7の実施態様は第6の実施態様において、前記空気逃がしデバイスの上流のラインを閉鎖することにおいて、前記空気逃がしデバイスを通して流体を循環させるように構成されたポンプをターンオフし、前記空気逃がしデバイスの下流のラインを閉鎖することにおいて、前記空気逃がしデバイスの下流のラインをクランプすることを要旨とする。
【0134】
第8の実施態様は第7の実施態様において、前記空気逃がしデバイスから流体を出すために起動される前記ポンプは、限外ろ過ポンプであることを要旨とする。
第9の実施態様は第7の実施態様において、前記空気逃がしデバイスから流体を出すために前記空気逃がしデバイスに流体連通しているバランスチャンバのバランスを崩す工程をさらに備えることを要旨とする。
【0135】
第10の実施態様は第1の実施態様において、前記空気逃がしデバイスに真空圧を加える工程は、前記空気逃がしデバイスの上流および下流のラインを閉鎖すること、および、前記空気逃がしデバイスから流体を出すためにポンプを起動することを含んでなることを要旨とする。
【0136】
第11の実施態様は第1の実施態様において、前記透析システムは、前記空気逃がしデバイスに接続された第1および第2のライン、ならびに、透析処置中に、前記第1のラインから、前記空気逃がしデバイス、前記第2のラインへと流体を循環させるように構成されたポンプを備え、前記空気逃がしデバイスに真空圧を加えることは、前記第2のラインを閉鎖すること、および、前記第2のラインから、前記空気逃がしデバイス、前記第1のラインへと流体を循環させるように前記ポンプを動作させることを含んでなることを要旨とする。
【0137】
第12の実施態様は第1の実施態様において、前記空気逃がしデバイス内の前記流体レベルに基づいて、前記空気逃がしデバイスが適切に機能していないと判定される場合、前記空気逃がしデバイスが適切に機能していないことをユーザに指示する工程をさらに備えることを要旨とする。
【0138】
第13の実施態様は第12の実施態様において、前記空気逃がしデバイスが適切に機能していないことを前記ユーザに指示する工程は、視覚信号を放出することを含んでなることを要旨とする。
【0139】
第14の実施態様は第12の実施態様において、前記空気逃がしデバイスが適切に機能していないことを前記ユーザに指示する工程は、オーディオ信号を放出することを含んでなることを要旨とする。
【0140】
第15の実施態様は第12の実施態様において、前記空気逃がしデバイスが適切に機能していないことを前記ユーザに指示する工程は、前記透析システムの1つまたは複数の機能をディセーブルすることを含んでなることを要旨とする。
【0141】
第16の実施態様は第1の実施態様において、前記真空圧を加えた後に前記空気逃がしデバイスに正圧を加える工程であって、前記真空圧によって前記空気逃がしデバイス内に吸引された空気が前記正圧によって前記空気逃がしデバイスから押出される、正圧を加える工程をさらに備えることを要旨とする。
【0142】
第17の実施態様は第1の実施態様において、前記透析システムは血液透析システムであることを要旨とする。
第18の実施態様は第17の実施態様において、血液透析処置中に実施されることを要旨とする。
【0143】
第19の実施態様は第17の実施態様において、血液透析処置前に実施されることを要旨とする。
第20の実施態様は第1の実施態様において、前記空気逃がしデバイス内の流体は生理食塩水であることを要旨とする。
【0144】
第21の実施態様は第1の実施態様において、前記空気逃がしデバイス内の流体は血液
であることを要旨とする。
第22の実施態様は、透析システムの、通気孔を備えるデバイスに真空圧を加える工程と、
前記デバイスに真空圧を加えた後、前記デバイスに流体接続された流体ライン内の圧力を測定する工程と、
前記測定された圧力に基づいて、前記デバイスが適切に機能しているかどうかを判定する工程とを備える、方法を要旨とする。
【0145】
第23の実施態様は第22の実施態様において、前記測定された圧力は、信号の形態で前記透析システムの制御ユニットに送信されることを要旨とする。
第24の実施態様は第23の実施態様において、前記制御ユニットはマイクロプロセッサであることを要旨とする。
【0146】
第25の実施態様は第22の実施態様において、前記圧力は、前記透析システムの圧力センサによって測定されることを要旨とする。
第26の実施態様は第25の実施態様において、前記圧力センサは圧力変換器であることを要旨とする。
【0147】
第27の実施態様は第25の実施態様において、前記圧力センサは、透析システムの透析機に取付けられ、前記流体ラインに整列することを要旨とする。
第28の実施態様は第22の実施態様において、前記真空圧は、ポンプを起動することによって前記空気逃がしデバイスに加えられることを要旨とする。
【0148】
第29の実施態様は第28の実施態様において、前記ラインは透析器に流体連通しており、透析液ラインは前記透析器に流体連通しており、前記ポンプは、前記透析液ラインに流体接続された限外ろ過ポンプであることを要旨とする。
【0149】
第30の実施態様は第28の実施態様において、前記ポンプは薬物ポンプであり、前記薬物ポンプは、第1の方向に動作すると、前記流体ライン内に流体を導入するように構成され、第2の方向に動作すると、前記流体ラインから流体を出すように構成されることを要旨とする。
【0150】
第31の実施態様は第30の実施態様において、前記真空圧を加えることは、前記薬物ポンプを前記第2の方向に動作させることを含んでなることを要旨とする。
第32の実施態様は第22の実施態様において、前記デバイスに真空圧を加えることは、前記デバイスの上流および下流のラインを閉鎖すること、および、前記ラインが閉鎖される場所の間で前記ラインの一部分に流体連通している第1のポンプを起動することを含んでなることを要旨とする。
【0151】
第33の実施態様は第32の実施態様において、前記デバイスの上流の前記ラインを閉鎖することにおいて、前記ラインを通して流体を循環させるように構成された第2のポンプをターンオフし、前記デバイスの下流の前記ラインを閉鎖することにおいて、前記デバイスの下流の前記ラインをクランプすることを要旨とする。
【0152】
第34の実施態様は第33の実施態様において、前記第1のポンプは限外ろ過ポンプであることを要旨とする。
第35の実施態様は第33の実施態様において、前記デバイスに真空圧を加えるために、前記デバイスに流体連通しているバランスチャンバのバランスを崩す工程をさらに備えることを要旨とする。
【0153】
第36の実施態様は第22の実施態様において、前記透析システムは、前記デバイスに接続された第1および第2のライン、ならびに、透析処置中に、前記第1のラインから、前記デバイス、前記第2のラインへと流体を循環させるように構成されたポンプを備え、前記デバイスに真空圧を加えることは、前記第2のラインを閉鎖すること、および、前記第2のラインから、前記デバイス、前記第1のラインへと流体を循環させるように前記ポンプを動作させることを含んでなることを要旨とする。
【0154】
第37の実施態様は第22の実施態様において、前記デバイスは、前記測定された圧力が所望の圧力未満である場合、不適切に機能していると判定されることを要旨とする。
第38の実施態様は第37の実施態様において、前記測定された圧力が所望の圧力未満である場合、前記デバイスが適切に機能していないことをユーザに指示する工程をさらに備えることを要旨とする。
【0155】
第39の実施態様は第38の実施態様において、前記デバイスが適切に機能していないことを前記ユーザに指示する工程は、視覚信号を放出することを含んでなることを要旨とする。
【0156】
第40の実施態様は第38の実施態様において、前記デバイスが適切に機能していないことを前記ユーザに指示する工程は、オーディオ信号を放出することを含んでなることを要旨とする。
【0157】
第41の実施態様は第38の実施態様において、前記デバイスが適切に機能していないことを前記ユーザに指示する工程は、前記透析システムの1つまたは複数の機能をディセーブルすることを含んでなることを要旨とする。
【0158】
第42の実施態様は第22の実施態様において、前記真空圧を加えた後に前記デバイスに正圧を加える工程であって、前記真空圧によって前記デバイス内に吸引された空気が前記正圧によって前記デバイスから押出される、正圧を加える工程をさらに備えることを要旨とする。
【0159】
第43の実施態様は第22の実施態様において、前記デバイスは空気逃がしデバイスであることを要旨とする。
第44の実施態様は第22の実施態様において、前記デバイスは圧力変換器デバイスであることを要旨とする。
【0160】
第45の実施態様は第22の実施態様において、前記透析システムは血液透析システムであることを要旨とする。
第46の実施態様は第45の実施態様において、血液透析処置中に実施されることを要旨とする。
【0161】
第47の実施態様は第45の実施態様において、血液透析処置前に実施されることを要旨とする。
第48の実施態様は第22の実施態様において、前記流体ラインは生理食塩水を含むことを要旨とする。
【0162】
第49の実施態様は第22の実施態様において、前記流体ラインは血液を含むことを要旨とする。
第50の実施態様は、透析システムの、通気孔を備える空気逃がしデバイスに真空圧を加える工程と、
前記空気逃がしデバイスに真空圧を加えた後、前記空気逃がしデバイス内の流体レベル
を検出する工程と、
前記空気逃がしデバイスに真空圧を加えた後に前記空気逃がしデバイス内の前記流体レベルが所与のレベルを超える場合、前記空気逃がしデバイスが適切に機能していないことをユーザに指示する工程とを備える、方法を要旨とする。
【0163】
第51の実施態様は、透析システムの、通気孔を備えるデバイスに真空圧を加える工程と、
前記デバイスに真空圧を加えた後、前記デバイスに流体接続された流体ライン内の圧力を測定する工程と、
前記測定された圧力がある圧力未満である場合、前記デバイスが適切に機能していないことをユーザに指示する工程とを備える、方法を要旨とする。
【0164】
第52の実施態様は、透析システムであって、
通気孔を備える空気逃がしデバイスと、
前記空気逃がしデバイス内の流体のレベルを検出するように構成されたレベル検出器と、
前記レベル検出器に接続された制御ユニットとを備え、前記制御ユニットは、前記空気逃がしデバイスに真空圧が加えられるときに、前記空気逃がしデバイス内の検出された流体レベルに基づいて前記空気逃がしデバイスが適切に機能しているかどうかを判定するように構成される透析システムを要旨とする。
【0165】
第53の実施態様は、透析システムであって、
通気孔を備えるデバイスと、
前記デバイスに流体接続された流体ラインと、
前記流体ライン内の流体の圧力を測定するように構成された圧力センサと、
前記圧力センサに接続された制御ユニットとを備え、前記制御ユニットは、前記デバイスに真空圧が加えられるときに、前記流体ライン内の流体の測定された圧力に基づいて前記デバイスが適切に機能しているかどうかを判定するように構成される透析システムを要旨とする。