(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
ワインは古代ギリシアの時代から生産されている。ワインは多種類の容器に貯蔵されている。これらは、木材、陶器、革を含む。ガラスビンの使用は、1リットル以下の量で貯蔵される場合は、特に、ワインの好適な貯蔵手段として発展してきた。ワインビンはほぼ普遍的に使用されているが、これは比較的重く比較的割れやすいため、世界中に輸送する場合にワインの完全性を維持することを困難にしているという欠点を有する。
【0003】
例えばビールやソフトドリンクなどのワイン以外の飲料では、金属の缶やポリエチレンテレフタレート(PET)ビンなどの代替パッケージが広く採用されている。これらは、軽量で破損に対する抵抗性が強いという利点を与える。このような代替容器にワインを貯蔵することが提唱されている。しかし、ワインの貯蔵と世界中の輸送のためにこのような種類のパッケージを使用する試みは、大体成功していない。一部の非常に低品質のワインは、貯蔵期間が短く安定性の低いポリ塩化ビニル容器に貯蔵されている。
【0004】
ワインを缶詰にすることに成功していない理由は、ワイン中の材料の比較的侵攻性の性質と、ワインの品質(特に味)に対するワインと容器の反応生成物の有害作用である。ワインは、典型的にはpH範囲が3〜4である複雑な製品である。これは、pH5以上のビールやpH3以下の多くのソフトドリンクと同等である。しかしpH自体が唯一の決定要因ではなく、pHが3と低い炭酸コーラドリンクは、寿命の短い製品であるため、PET容器に充分に貯蔵されている。低いpHは、炭酸コーラドリンク中のリン酸含量の結果である。これは、これらの飲料について、プレコーティングしたアルミニウム缶やPETボトルの満足できる使用を可能にするが、ワインやワイン製品の場合はそうではない。
【0005】
Modern Metals (1981; p28) において、Fred Churchは、窒素を用いてヘッドスペースから酸素を排除することにより、2ピースアルミニウム缶にワインをパッケージすることを提案した。ワインは貯蔵で安定ではなかったため、この初期の提案は商業的成功を収めることができなかった。
【0006】
1992年にRicerca Viticola Id Enologica no 8 p59においてFerrarini et al.は、アルミニウム缶へのワインのパッケージングを再考察した。彼らはまた、ヘッドスペース中の酸素は避けるべきであるが、缶の腐食は多くの寄与因子によるものであり、これらは検討する必要があると結論した。Ferrariniは、高い内部圧が腐食プロセスを加速する傾向に注目し、低温殺菌(pasterurization)も必要であると述べている。Ferrarini et alは、これらの提案を使用して、特定の白ワインを缶詰めできるが、これは50日間の貯蔵後100%の失敗率であったと結論した。従ってこれらの提案は、商業的に有望な製品を作り出すことはできなかった。再度これらの提案は、ワインを缶詰にして貯蔵と輸送中にその完全性を維持するという長年の問題への解決策を提供することはできず、商業的に成功した製品を提供できなかった。低温殺菌が、ワインの味やブーケに対して有害な作用を有しており、これが、さらにFerrarini提案が採用できないことを説明できるであろうとが、認識されている。
【0007】
EP1429968は、上限値の硫酸塩と塩化物とを有するワインの選択の組合せを使用して、二酸化硫黄の添加を制限し、耐食性のライナーを使用し、缶を加圧して、アルミニウム缶中にワインをパッケージする方法を開示した。これは、許容される貯蔵期間を与えた。
【0008】
WO2006/026801は、EP1429968のプロトコルに従って缶詰めにしたワインの予期しなかった炭酸化の問題を扱っている。
【0009】
極めて活動的かつ侵攻性で、その環境と絶えず相互作用しているワインやワインベースの製品などは、それらの化学的バランスを作成し、次にアルミ容器中で製品の完全性(外観、香り、味)が、ワインメーカーが意図したまま消費者に届けられるように維持されることを必要とする。ワインの世界的マーケットが開かれており、ワインメーカーは、ワインを作成したままのその製品を世界中の消費者に届けたいと思っている。これは、ワインが消費者に到達するまでの、気象条件、温度、品質、ワインの完全性を維持するための物流システムの能力の変化のために、世界的マーケットでは非常に困難である。従って、この問題を解決するためには、毎回一貫した高品質の製品を届ける実績のある統合ワインパッケージシステムに基づく世界的輸送と貯蔵条件下で、ワインの完全性を維持するための正確な均衡を提供する製品に対する必要性がある。さらに、この製品(及びこれを支持するシステム)は、総炭素排出量(carbon footprint)を最小にするために、環境的に持続可能なパッケージ方法に対する消費者の要求を反映する必要があるが、同時に、ワインメーカーからの重要なバランスとプロフィールとを維持するワインの、安定な寿命(最大及び12ヶ月超)で消費者(消費者がどこにいても)へ届けることを可能にすることは、世界的にワイン生産者やワイン販売業者の長い間の商業的要求である。
【0010】
貯蔵寿命は、ワインがその意図された外観、香り、及び味を保持し、消費者によりおいしいと見なされる可能性のある、パッケージ後の期間と定義される。貯蔵寿命の概念は、時間が経つと、ワインが、設計され目的とする品質やスタイルの特性を示す製品から、品質が著しく低下しているかスタイルの異なった製品に変化することがあることを内包する。この変化は、使用されるパッケージ媒体、特にワインが貯蔵され輸送されるアルミニウム容器、に大きく起因し、アルミニウム容器は、いったんパッケージされたワインが、これらの基本的なワインの特性に悪影響を与えることがあり、6ヶ月以内に大きな変化が起きる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、アルミニウム容器中でワインの品質が、貯蔵や輸送で大きく悪化せず、貯蔵寿命が最大2年以上安定したままであるように、アルミニウム容器にワインをパッケージすることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、ワインを含む充填アルミニウム容器であって、ヘッドスペースの最大酸素含量が1v/v%であり、そしてワインが充填前に精密ろ過され、そして前記アルミニウム容器充填工程を通して溶存酸素レベルが最大で0.5mg/Lまでに維持され、そして最終レベルの溶存CO
2が、前記容器に充填前に、白ワイン及びスパークリングワインに関して少なくとも50ppm〜及び赤ワインに関して50ppm〜400ppmである、前記容器を、ある形態で提供する。
【0013】
本発明は、ワインの溶存CO
2レベルを制御することが、ワインの品種特性を維持するのに必須であるという発見に基づく。溶存CO
2の推奨される最小レベルはワインの酸素含量を低下させ、ワイナリーからアルミニウム製容器への充填機へのバルクワインの輸送中の酸化からワインを防御することを支援する。無発泡性白ワインについて、好適な溶存CO
2は50ppm〜1200ppmである。
【0014】
本発明はまた、ワイン中の酸素制御が、ワインの品質と完全性を維持するために考慮すべき重要な因子であるという認識に基づいている。溶存酸素レベルは、ワイン製造工程中の任意の時点でワインが保持する酸素通気の量である。驚くべきことに、缶詰ワイン中の溶存酸素(DO)レベル0.5mg/L未満の維持を最小の溶解CO
2と組み合わせることが、製品の品質、安定性および寿命を達成するのに重要であることが見出された。
【0015】
好ましくは、ヘッドスペースの最大酸素含量は1v/v%である。
好ましくは、容器を栓で密封後のヘッドスペースは、窒素80〜97v/v%で二酸化炭素2〜20v/v%の組成を含むか又は有する。250ml容器中では、ヘッドスペース容量は3ml未満、好ましくは2ml未満、さらに好ましくは約1mlである。一般にヘッドスペース容量は、容器の密封容量の1%未満、好ましくは0.5%未満である。
【0016】
好ましくは、アルミニウム容器本体に栓をする直前に、液体窒素が加えられる。
あるいは、ワインは、アルミニウム容器に充填される前に炭酸化され、こうして密封後のヘッドスペースは主に二酸化炭素となる。
【0017】
アルミニウム容器内の圧力は、好ましくは、4℃で15psi超に維持され、従って、アルミニウム容器内の耐食ライニングは、貯蔵及び輸送で外部からの容器損傷の結果としての割れ目又は亀裂を生じるヒビが発生しにくい。さらに、容器の壁は座屈(これは、内部ライニングを損傷させ、これが次にワインの完全性を損傷することがある)が起こりにくい。
【0018】
本発明の精密ろ過において、充填前にワインから細菌や酵母を除去するために、(好ましくは滅菌グレード)精密ろ過が用いられる。精密ろ過は一般に、1.0μm以下の孔サイズを使用するろ過として理解される。好ましくは、微生物細胞の除去は、ワイン中に見出される可能性が高いがワインの完全性は損傷させない、すべての酵母および細菌を除去するのに充分に小さい孔を有するグレードを使用して、多段階インライン無菌グレード膜ろ過システムを実施することにより、最もよく達成される。この目的のための好適な孔径は、第1段ろ過ハウジングでは約0.60μmであり、少なくとも1つ後段のろ過ハウジングでは0.20μm〜0.45μmである。フィルタの完全性試験は、細菌を保持するフィルタの能力が損なわれていないこと、及びワインへの微生物細胞の通過を可能にする損傷を受けた膜(孔)が存在しないことを、保証する。
【0019】
フィルタ孔の大きさは、フィルタのサイズ排除特性を示し、すなわち0.60μmの孔サイズを有するフィルタは0.60μm超の粒子を濾別するであろう。フィルタ孔の大きさは、市販の製品に示されており、当業者に公知の標準的な方法によって決定することができる。
【0020】
膜ろ過の成功を確実にするために、フィルタは使用前に滅菌され、完全性について試験される。滅菌時間と温度条件は好ましくは80℃で20分である。
【0021】
膜ろ過した後、ワインの無菌缶詰の成功には、滅菌機器を通して充填することが必要である。最終的な膜フィルタから下流の施設内のワイン貯蔵タンクを含むすべての機器(ライン、弁、充填機等)は、好ましくは滅菌され、無菌状態で操作される。好ましくは、起動する前に充填ヘッドは70%エタノールを噴霧され、充填機の休止時間が10分を超えた時は、これが繰り返される。充填機が4時間を超える休止時間を受けた場合、好ましくは完全な滅菌処理が行われる。
【0022】
SO
2分子は、抗菌作用を有する遊離SO
2の一形態である。国際ワイン機関や、Australian Wine Research Institute(AWRI)などの規制機関は、細胞の生存能力を排除するために、ワイン中の少なくとも0.825mg/LのSO
2分子を推奨する。
【0023】
二酸化硫黄(SO
2)をワインに加えることができる抗酸化剤である。本発明においてSO
2の添加は、酸素とワインとの反応を抑制し、ワインの完全性(色、香りと風味化合物)への損傷を防止するためである。本発明は一部は、過剰レベルの遊離SO
2が、現代の缶製造で使用される缶及び缶ライニング上の、ワインの腐敗作用を強化するという発見に基づく。さらに本発明者らは、遊離SO
2がまた、最終製品中のワインの臭い(臭い硫化物性)と味(シャープ、渋い)に影響を与えることを発見した。低レベルの遊離SO
2はそれだけで、最終製品中のワインの貯蔵寿命、安定性、及び品質を低下させるであろう。そこで我々は、これらの競合する作用を、本特許で概説されるアルミニウム容器内のワインでバランスさせる製品を発明した。
【0024】
本発明において、アルミニウム容器中のワインについてSO
2の機能は、微生物問題の制御を含み、アルミニウム容器内のワインに影響を与える酸化を最小限に抑えることを含む。35ppm未満の遊離SO
2レベルを有する充填時のワインについて、ワイナリーを出るワインは、38〜44ppmの遊離SO
2レベルを有することが好ましく、この最終ppmレベルは、ワイナリーから充填プラントまでの距離に依存する。輸送中及び充填施設で貯蔵中の遊離SO
2の枯渇速度は約2〜3ppm/日であり、ワイナリーから充填施設への輸送のためにワインを製造する時には、これを考慮する必要がある。
【0025】
pH3.5で、35mg/Lの遊離SO
2を有するワインは、0.70mg/LのSO
2分子を含み、これは、細胞の生存能力を排除するために推奨されるAWRI最小値より低い。本発明に従って充填されるワインは、細胞の生存能力を排除するための充分な遊離SO
2を含まないであろう。
【0026】
これらの構造のワインは、好ましくはアルミニウム容器内のワインの完全性に悪影響を与えることなく微生物増殖を抑制するのに充分なSO
2分子を含むであろう。所定の1次制御機構が無菌グレードの膜ろ過と好ましくは充填機ろ過であることを考慮すると、このレベルのSO
2分子は、微生物腐敗を防止するための補助剤として適切であることがわかっている。
充填アルミニウムワイン容器内の微生物細胞を不活性化するために、パッケージ後の低温殺菌(加熱)を使用する必要はない。
【0027】
低アルコール含有量のアルミニウム容器内のワインは、微生物による腐敗を特に受けやすい。ワインが9v/v%未満のアルコールを含有する本発明において、抗菌剤ソルビン酸が、90mg/L超、好ましくは120mg/L超のレベルで加えられる。この添加は、貯蔵および輸送中の製品の微生物の増殖や腐敗を防止することを支援するであろう。
【0028】
充填前又は充填時の条件への言及は、好ましくは容器の充填直前又は充填時を意味する。
好ましくは耐食性コーティングは熱硬化性コーティングであり、ソフトドリンクやビールをパッケージするために使用されるアルミニウム容器(これはワイン/ワイン製品には適さない)内の業界で一般的なライニング規格とは異なり、より厚い。
【0029】
酵母は、そのアルコール、低pH、及び嫌気的条件に対する耐性のために、パッケージされたワインの微生物腐敗の原因となる可能性が最も高い。我々は、アルミニウム容器内のワインにおける酵母増殖が大量の二酸化炭素により阻害されることを発見した。本発明に従ってパックされたスパークリングワインは、高レベルの二酸化炭素、好ましくは3.3〜3.8容量を含む。本発明のプロトコルを使用してパッケージされたスパークリングワイン中の酵母の増殖は、極めてまれである。
好ましくは、ワインは充填前に冷却される。
【0030】
0.5mg/L未満の溶存酸素の最大レベルと少なくとも50ppmの溶存二酸化炭素の最小レベルを使用することから得られる利点は、以下を含む:
− 必要なSO
2がより少量である、
− 貯蔵寿命が延びる、
− 低SO
2レベルのために、腐食感受性が低い、
− ワインの安定性が上昇する、
− ワインプロフィール(臭い、味、色)が維持される。
【0031】
本発明は、無発泡性炭酸化ワイン及びスパークリングワイン(強化、甘口、半甘口ワインを含む)、及びミネラルウォーター、ジュース、フレーバーなどと混合したワインに使用することができる。
【0032】
本明細書において本発明の特徴又はプロトコルへの言及は、これらの特徴が純粋な代替でない限り、単一の特徴の全ての可能な組み合わせを含むと理解されるべきである。従って、単一の特徴は、添付の特許請求の範囲によって決定されるように、本発明の範囲内で組み合わせ可能である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に本発明の好適な態様が説明される。
ワインをアルミニウム容器に充填する時には、ワインを充填時の状態に維持し、ワインの微生物による劣化を防ぐ必要がある。ビン詰めしたワインでは、微生物劣化を制御するために二酸化硫黄が使用されているが、コルク栓のビンは、二酸化硫黄を過剰に消散させてしまう。アルミニウム容器の密封された環境では、過剰の二酸化硫黄はワインに影響を与えることがあり、また容器やライナーを腐食させて、ワインの品質および貯蔵寿命にさらに悪影響を与えることがある。
図1は、この問題を示す。
【0035】
本発明の好適な態様で使用されるブドウの品種が表1に示される。
本明細書で使用されるすべての表において、個々の結果は組合せて平均化されている。pH、遊離の硫黄、アルコール含量の範囲への言及は、特定された範囲内のワインのすべてが観察された特徴を有することを反映する。すべてのワインの分析結果は、世界で認められているNATA認定研究所により決定される。すべての結果は、ISO/IEC17025の要件を含むNATA認定要件に従って発行され、測定の国家標準に遡ることができる。
【表1】
【0036】
ワイン充填プロトコル
ワインの前充填用のアルミニウム容器のすすぎで始まり、充填後のアルミニウム容器に続き、次に加温トンネルを介する容器のすすぎの、これらすべての手順は、水と、空の容器又は充填された最終製品との相互作用を必要とする。
【0037】
水は、規制の観点から最も厳密に管理される成分である。これは、飲料に適し(安全)受け入れられる(良い味)ものでなければならない。
水は、ワインの官能プロファイルとアルミニウム容器内の安定性に直接影響を与えることができる。これは、ホースとフィルタが高品質のろ過水で洗浄されていない場合に起きる。これはまた、プロセス機器が、清浄な高品質ろ過水でリンスされていない場合にも発生する。
【0038】
本発明におけるフィルタ洗浄及び充填機械洗浄のための処理水は:
− すべての該当地域の基準やガイドラインを満たしていなければならない。
− 世界保健機関(WHO)の健康ガイドライン値を満たしていなければならない。
− アルミニウム容器内のすべてのワインの安定性、貯蔵寿命、および官能プロフィールに関連する製品特異的なすべての要件を満たしていなければならない。
【0039】
また、処理水は、好ましくは表2中の成分の最大レベルに適合するであろう。
【表2】
【0040】
塩素は、機器を消毒するために使用することができるが、好ましくはワインに対して機器を使用する前に、塩素は水ですすぐことにより完全に除去される。
使用前に酸化剤を用いて空のアルミニウム容器をすすぎと、SO
2と反応する残基が生成される。プロトコルでは、アルミニウム容器は好ましくは、ろ過した水でのみすすがれる。
【0041】
充填前:水質が上記した規格より下に落ちた場合は、生じている可能性のある微生物負荷は、ワインの品質の完全性、充填された製品の安定性及び寿命に悪影響を与えるであろう。
増加した微生物負荷はまた、ワイン中の遊離SO
2レベルを枯渇させ、結果として、より短い貯蔵寿命、安定性、及び貯蔵や輸送上の腐敗のための余分な可能性をもたらす。
【0042】
充填後:水質が上記した規格より下に落ちた場合は、生じている可能性のある微生物負荷は、缶/容器蓋のタブスコアラインの完全性に影響を与え、「漏洩物」及びアルミニウム容器の爆発を引き起こすであろう。我々は、アルミニウム容器に対するこの微生物負荷の増加が、アルミニウム容器中のワインの全輸送の喪失の原因であり、重要な商業的損害を引き起こすことを発見した。
【0043】
さらに、適切な水質管理が行われないと、容器の裂け目にカビが発生する可能性がある。この微生物問題はまた、貯蔵および輸送中の漏洩物からの腐敗を増加させる原因である。
【0044】
この目的のために好ましい滅菌グレードフィルタの孔径は、アルミニウム容器内のワインのこれらの微生物問題を制御するための統合ワインパッケージングシステムの本発明の一部として、0.30〜0.45μmである。好ましくは、総生菌数、酵母やカビ、及び乳酸菌のレベルは、全て1CFU未満である。
【0045】
本発明の制限とプロセスは、すべての製品が微生物学的に安定であり、ワインの完全性(製品の商業性を損なう可能性があるキーノート(外観、臭い、味))に影響を与えることが無いことを保証する。低温殺菌はまた、アルミニウム容器内のワインのキーノート(完全性)を損なう可能性がある。
【0046】
以下の表3aと
図3bは、本特許のプロトコルで概説した進歩性が解決するアルミニウム缶/容器中にパッケージされると、ワインの完全性に及ぼす、我々が発見した微生物増殖と硫黄レベルの影響を概説する。表3aは、pH2.9〜3.5未満及び9%超のアルコールでの、ワインパラメータ(官能、腐食、微生物)を示す。
【表3a】
以下の表3bは、異なる微生物レベルを用いた官能検査の結果を示す。
【表3b】
【0047】
好適な例のろ過:2段階ライン滅菌ろ過微生物学制御システム。
ワインフィルタ管理
本発明は、微生物細胞を不活性化するためのパッケージング後低温殺菌(加熱)を利用しない。むしろ、微生物細胞は充填前に除去される。微生物細胞の除去は、ワインで発見される可能性が高い酵母と細菌とを除去するのに十分に小さい孔を有する滅菌グレードを使用する(膜)ろ過により達成される。
多段ろ過方法は、好ましくは2つの段階を用いて使用されるが、追加の段階を使用してもよい。
【0048】
フィルタ(好適な態様に従う)
ステージ1:
酵母の蓄積と腐敗(容器内の2次発酵に伴う大きなリスクを含む)を防ぐために、ワインから酵母細胞を除去するための1次フィルタとして、好ましくは0.60μmのフィルタが使用される。
【0049】
最初の(例えば0.60μmフィルタ)ろ過レベルの使用は、外来微生物及び培養微生物の再生成を除き制御することと、細菌と酵母細胞の除去とにより、ワインを微生物学的に安定化させるために必須である。この段階は、ワインの完全性を損なうことなく、ワイン中の大部分の細菌と酵母細胞を除去するために計画される。
【0050】
ステージ2:
好ましくは、アルミニウム容器最終製品内のワインに発生する微生物問題を防止するために、充填前に、0.30〜0.45μmの滅菌グレードフィルタがワインの以後のろ過で使用される。
第2のステージ(0.30〜0.45μm)は、細菌および酵母細胞が完全に除去され、アルミニウム容器中に充填されたワインに発生する2次発酵と腐敗の可能性が排除される無菌性を保証することである。再度、要件は、ワインの完全性を損傷しないことである。この段階が完了すると、貯蔵および輸送中の爆発につながる可能性のアルミニウムのワイン容器の内部で発生する2次発酵の可能性を除去する。この2次発酵もまた「漏洩物」の原因となり得る。
【0051】
このシステムは、ワインの完全性に悪影響を与えるだろうが本発明では必要とされない、ワインを微生物学的に安定させるための低温殺菌を使用する必要性を排除する。
【0052】
以下の表は、本特許で概説されるプロトコルを使用して構築されたワインの結果を概説する。
表4aは、2段階の微生物学的ろ過とゼロ(<5)の遊離SO
2を用いた官能検査の結果を示す。
表4bは、官能検査の結果(ゼロ微生物学的ろ過)を示す。
表4cは、2段階無菌グレード微生物学的ろ過を用いた赤(無発泡性及びスパークリング)ワインの官能検査の結果を示す。
表4dは、2段階無菌グレード微生物学的ろ過を用いた白(無発泡性及びスパークリング)ワインの官能検査の結果を示す。
【表4a】
【表4b】
【表4c】
【表4d】
【0053】
孔サイズ0.60+0.45、0.60+0.30、又は0.60+0.20を有するフィルタを使用する最終ろ過は、無菌ろ過の達成を可能にする。孔サイズ0.20のフィルタを使用することは可能であるが、ワインから色や風味が無くなる可能性が上昇するため、適切ではない場合がある。
【0054】
ワインの単一の0.45ろ過は、
・ 生きた細胞がフィルタから押し出されて、最終ワイン中に入るリスクを上昇させるであろう。
・ 遊離SO
2レベルの上昇を必要とするであろうワイン中の多量の微生物や酵母のレベルのリスクを下げるため、余分のSO
2の投与を必要とする。
・ 高SO
2レベルの腐敗作用の上昇のために、缶中のワインの貯蔵寿命が短くなるであろう(12ヶ月未満)。
・ 高SO
2レベルの腐敗作用の上昇のために、缶中のワインの貯蔵寿命が短くなるであろう(12ヶ月未満)。
・ ワインが硫化物(H
2S)性を帯びるであろう。
・ 余分のSO
2の添加無しでは、ワインは、缶内の再発酵(酵母細胞から)と腐敗(細菌細胞)のより大きなリスクを受けるであろう。
・ 微細な沈殿物が最終ワイン中に入るリスクが上昇するであろう。これは、最終的に缶の底に現れるであろう(約6〜12ヶ月)。消費者には全く受け入れられないであろう(ザラザラした口当たり)。
【0055】
正しいフィルタとろ過ハウジングの準備は、アルミニウム容器中のワイン生産の成功へのキープロトコルである。
本発明者らは、アルミニウム容器内のワインについて、消毒不充分なまたは準備不充分なワインフィルタとろ過ハウジングが、容器内のワイン中の微生物学的複雑さにつながることを発見した。
貯蔵中に、無菌グレードフィルタは、好ましくは50ppmの遊離SO
2を有する1%クエン酸溶液で貯蔵される。これは、好ましくは新たに作製され、隔週ごとに繰り返される。
【0056】
アルミニウム容器に充填する前に、フィルタは好ましくは滅菌され、使用前に完全性について試験される。
好適な滅菌時間と温度条件は80℃で20分である。
【0057】
種々の量の添加遊離硫黄を用いる精密ろ過について、本特許で概説されたプロトコルを使用した試験の結果は、白ワインについては表5に、赤ワインについては表6に、炭酸化白ワインについては表7に、炭酸化赤ワインについては表8に示される。これらのワインは、本特許で概説したプロトコルに従って調製された。
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【0058】
ワイン中の総SO
2(遊離および結合SO
2の総量)は、ワイン製造プロセス中やワイナリーでのワインの貯蔵中に加えられるSO
2のレベルに直接比例する。
本発明によるワイン製造の実施は、全ワイン製造プロセス中で酸素相互作用を避けることを必要とし、こうしてSO
2の継続的添加が制限される。
【0059】
アセトアルデヒドはワインの過度の酸化により引き起こされる。
「酸化された」ワインへのSO
2の添加は、アセトアルデヒドを結合させ、その揮発性存在を除き、「新鮮」な香りを有するワインをもたらす。
【0060】
驚くべきことに、本発明は、酸化の頻度を制限し、SO
2添加の必要性を大きく減少させる。これは世界的に実施されている通常の商業ワイン製造法とは逆である。
本発明のある態様において、ワインは充填時に32〜35mg/Lの遊離SO
2を含有する。
「ppmの」値は、好適な態様によれば、特に断らない限り、体積当たりの重量を指す。表9は、本発明の方法に従って製造されたワイン中の総SO
2の官能評価を示す。
【表9】
【0061】
酸化:
パッケージング後のワインの酸化は、ワイン成分と酸素との反応により引き起こされる。酸素は、充填時にワイン中に存在するか、又は密封中にパッケージヘッドスペース中に存在することができる。充填時のワイン中の溶存酸素及びヘッドスペース中の酸素は、充填時の総酸素を構成する。酸素はまた、充填後にパッケージ中に入ることができる。
【0062】
酸化は、ワイン中の抗酸化剤化合物の存在により抑制される。以下の因子は、パッケージングの完了後にワイン中で起きる酸化反応の程度と速度に影響を与える。
好ましくは、充填プロセスを通して溶存酸素(DO)レベルは、最大0.5mg/Lに維持され、ワイン中の最終的な最大DOレベルが制御される。これは、最終製品のヘッドスペース内に捕捉された酸素レベルの制限と組合せて、この製品の酸化、腐食、及び分解の可能性を大幅に低下させる。
【0063】
溶存酸素レベルは、ワイン製造プロセス中の任意の時間に、ワインにより保持される酸素通気の量である。このレベルは一般に、ワインが酸素を消費するために低下し、従って酸化は発生する。従って任意の時間でDOレベルが高いほど、酸化上昇の可能性が高い。概説したワイン製造法は、酸素がワインと接触する可能性を抑制することを確実にする。このシステムでは、ワイン中の酸素制御が、ワインの品質と完全性とを維持するために考慮すべき最重要因子である。
【0064】
溶存酸素(DO)規格の厳密な遵守は、製品の品質、安定性、及び寿命を達成するのに決定的に重要である。ワインに影響を与えるすべての可能な酸素成分を排除するために、ワイン製造プロセスに関与するすべての容器内で、ほぼゼロヘッドスペースに維持することが好ましい。
【0065】
本特許で概説された統合システムは、酸素の吸収は低温でははるかに大きいため、不良の取り付具によるワインの通気を避けることにより、及び/又は、低温での酸素の吸収ははるかに大きいため、低温でのワインの通気を回避することにより、充填時のこの問題を制御する。
【0066】
充填のために製造されるタンク内のワインは、多量の溶存酸素を含むことができる。酸素はまた、タンクから充填機への輸送中、および充填プロセス中に、ワインを入ることがある。
【0067】
充填時のワイン内の溶存酸素は、パッケージ内のワインとの酸化反応のために利用でき、貯蔵寿命を制限する可能性がある。
充填時のワイン内の溶存酸素は、充填前でかつワインをパッケージに入れた後に、タンク内の最大ワイン溶存酸素を制御することにより達成される。
本発明の方法において、タンク中のワイン内の溶存酸素は、最小にされた後、ワインに窒素ガスをスパージングすることにより維持される。
【0068】
スパージング
このシステムは、充填前に窒素ガスのスパージングを使用して、ワイン中の溶存酸素の悪影響を最小限に抑える。アルミニウム容器内のワインの溶存酸素の減少は、安定性と貯蔵寿命の延長を達成し、製造、貯蔵、及び輸送下のワインの完全性を維持することが、本発明の利点である。
【0069】
過度のスパージングは、風味プロフィールを減少させ、おそらくは溶存窒素によって引き起こされる苦味を付与することにより、ワインの完全性に損傷を与えることがある。従って、好適な態様によれば、スパージングに使用される窒素の量は、ワイン1リットル当たり0.1〜0.8リットルである。
【0070】
好ましくは、ワインを容器に充填後の最大ワイン溶存酸素含量は、0.5mg/L未満である。この好適な最大レベルは、充填時のワイン中の溶存酸素による貯蔵寿命の大きな損失を防ぐであろう。
【0071】
以下の表は、ワイン中の溶存酸素の官能評価を示す。
表10aは、本発明に従って、かつ本発明のDO制御無しで製造された赤ワイン−溶存酸素レベルである。
表10bは、本発明に従って、かつ本発明のDO制御無しで製造された白ワイン−溶存酸素レベルである。
注:以下の表10aと10b中のSO
2レベルは、充填時に測定される。
【表10a】
【表10b】
【0072】
溶存二酸化炭素(DCO
2)
二酸化炭素は、ワイン発酵プロセス中に自然に生成される。貯蔵しているワインの成熟中に、大部分の溶解二酸化炭素は、完全に枯渇されるか、又は「スピリッツ」(400ppm〜800ppm)の許容レベルまで枯渇される。
好ましくは全てのワインは、ワインの溶存二酸化炭素レベルが微生物感染の結果ではないことを確認するために、クロスフローろ過される。
【0073】
溶解CO
2の推奨レベルが、ワインの酸素含有量を低減し、ワイナリーからアルミニウム容器充填機へのバルクワインの輸送中に、酸化からワインを防御することを支援することは、本発明の重要な側面である。酸化を防止することによって、最小のフリーSO
2の添加が必要とされるのみであり、ワイナリーで出荷前に最小の遊離SO
2レベルが維持されるため、これは特に重要である。
【0074】
輸送中のワインはほとんど冷蔵されていないため(例えば、ISOタンカー(26,000リットル)でも、フレキシタンク−(24,000リットル)でも、又は路上タンカー輸送(様々な区画化された/リットル容量)でも)、ワインの温度が上昇し、酵母活動の可能性が上昇する。この輸送時間中、ワインはまた、欠陥のあるシールと栓を介して空気との長時間接触により酸化されやすい。
【0075】
さらに、溶存CO
2は、充填、輸送中のワインの蒸発又は漏洩のいずれかにより、いずれか1つの特定のタンカーコンパートメント内に発生した目減り(すなわちギャップ−ヘッドスペース内の空気)により引き起こされるワインの酸化をさらに防ぐであろう。
【0076】
ワイン中の実際の二酸化炭素のレベルとその結果の有効性は、ワインの温度が上昇(輸送中)するにつれて低下するであろう。しかし、ワイナリーでのワイン中の溶存CO
2の初期レベルは、ワインが、ワイナリーから発送される時と同じ条件で、及び、缶詰にする前に、無発泡性白ワインについて50ppm〜1200ppm、及び無発泡性赤ワインについて50ppm〜400ppmの溶存CO
2の好適な最終レベルで、その目的地に到着することを保証する。
【0077】
ワイナリーで貯蔵中の時より、ワインの輸送と移動中に、酸化、微生物学的腐敗、及び再発酵の可能性がはるかに高いため、精密濾過による最大溶存酸素と最小溶存二酸化炭素レベルの組合せは、より低い遊離SO
2レベルを可能にし、ワインの腐敗を阻害する。さらに、輸送中は修正操作を実施することは不可能である。
【0078】
ワイン中の溶存二酸化炭素の推奨された具体的なレベルは、ワインの品種特性を維持する上で不可欠である。
【0079】
無発泡性赤ワインの溶存二酸化炭素の好適な範囲は、50ppm〜400ppm,より好ましくは200ppm〜400ppmであり、より高いレベルは、よりシャープで侵攻性のタンニン味のワインを作り出すであろう。
無発泡性白ワインの溶存二酸化炭素の好適な範囲は、50ppm〜1200ppm(ワインの品種特性と必要な新鮮さと爽やかさのレベルに依存)であり、好ましくは400ppm〜800ppmである。スパークリングワインについて、溶存CO
2の上限は、より大きいが重要ではない。
【0080】
好ましくはワイナリーでの及びタンカーにワインを移した後の溶存CO
2レベルは、0.8〜1.2g/L(800ppm〜1200ppm)である。
好ましくは缶詰にする前の充填施設の貯蔵タンク中の溶存CO
2は、最大1.2g/L(1200ppm)である。無発泡性赤ワインについて、これは好ましくは最大0.4g/L(400ppm)である。
【0081】
この好適な最大レベルは、バルクワインの輸送中の酸化の可能性を最小にすることにより、貯蔵寿命の大きな喪失、及び貯蔵及び輸送中の得られるパッケージ製品の酸化を防ぐであろう。
【0082】
表11aは、赤ワインについて溶存二酸化炭素レベルを示す。
表11bは、白ワインについて溶存二酸化炭素レベルを示す。
【表11a】
【表11b】
【0083】
低アルコールワイン/ワイン製品
低アルコールワイン(すなわち、9%未満のALC/VOL)については、ALC/VOLが9%超のワイン及びマロ乳酸代謝発酵(MLF)を受けていないワインと比較して、生存能力のある酵母細胞のリスクが上昇するため、ソルビン酸の好適なレベルが90mg/L超であるプロトコルが推奨される。もしアルミニウム容器中のワインでMLFが起きると、不快な臭い(ゲラニオール臭(ゼラニウムと同様)が発生する。
【0084】
密封環境のために、最小のソルビン酸カリウムの添加でよい。ソルビン酸カリウムの添加の前に、pH、遊離SO
2、及びアルコールレベルに注意を払うことが重要である。
このプロトコルでのソルビン酸カリウムは、2次発酵を防ぐために、好ましくは甘口ワイン及び半甘口ワイン中のメタ重亜硫酸カリウムと一緒に、少量で使用される。水に溶解されると、ソルビン酸カリウムはソルビン酸とカリウムイオンに分解する。
この規格は、無発泡性ワインとスパークリングワイン(強化、甘口、半甘口ワインを含む)、及びミネラルウォーター、ジュース、フレーバーなどと混合されたワインに推奨される。
【0085】
表12aは、低アルコール赤ワイン(<9%)でソルビン酸ゼロの時の官能検査結果を示す。
表12bは、低アルコール白ワイン(<9%)でソルビン酸ゼロの時の官能検査結果を示す。
【表12a】
【表12b】
【0086】
表12cは、低アルコール炭酸化赤ワイン(<9%)でソルビン酸ゼロの時の官能検査結果を示す。
表12dは、低アルコール炭酸化白ワイン(<9%)でソルビン酸ゼロの時の官能検査結果を示す。
【表12c】
【表12d】
【0087】
表13aは、ソルビン酸が添加された低アルコール赤ワイン(<9%)の官能検査結果を示す。
表13bは、ソルビン酸が添加された低アルコール白ワイン(<9%)の官能検査結果を示す。
【表13a】
【表13b】
【0088】
表14に列挙されるワインの種類は、前記表で利用されたワインであるが、本発明はこのような特定のワイン、特定のスタイルや、変種が選択される品種の組み合わせにも、限定されるものではない。これらのプロトコルを使用してパッケージされることができる以下のワインの表を参照されたい。これは、非包括的なリストである:
【表14】
【0089】
本明細書において、ワイン、ガス組成、寸法、容量、及び圧力の分析物の値への参照は、特に明記しない場合は、標準的な実験室条件下で測定された値を指す。本発明の精神および範囲内の修正は当業者により容易に行うことができるため、本発明は、例えば本明細書に記載された特定の態様に限定されるものではないことを理解されたい。