(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6074090
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】ポンプディスペンサー付き液体容器
(51)【国際特許分類】
B65D 83/00 20060101AFI20170123BHJP
【FI】
B65D83/00 K
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-79430(P2016-79430)
(22)【出願日】2016年4月12日
【審査請求日】2016年4月26日
(31)【優先権主張番号】実願2016-462(U2016-462)
(32)【優先日】2016年2月2日
(33)【優先権主張国】JP
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】713012530
【氏名又は名称】大口 元気
(72)【発明者】
【氏名】大口 勝雅
【審査官】
長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−245958(JP,A)
【文献】
実開平06−053443(JP,U)
【文献】
特開2014−231362(JP,A)
【文献】
実用新案登録第2528894(JP,Y2)
【文献】
実開平05−044854(JP,U)
【文献】
特表2002−521177(JP,A)
【文献】
特開2005−132463(JP,A)
【文献】
特開2006−206094(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の溶着部分とマチが形成された下部の溶着部分を有するパウチの左右の下部は前記両溶着部分が一体に溶着された4枚溶着部分とされるとともにその内部に液体を充填した前記パウチを収納するパウチ収納部を有するポンプ付容器であって、パウチ収納部の底部にパウチの底部溶着部分に係合する突起を設け、前記突起はパウチの4枚溶着部の両上端の左右から、パウチの底部中央に向かって直線的に伸びるV字形状をなしており、正立時の通常形状よりもパウチの底部の中央部をより低く変形させることを特徴とするポンプ付容器
【請求項2】
前記突起は放射状または平行に配列されたリブ構造であることを特徴とする請求項1のポンプ付容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件発明はシャンプーや洗剤などの容器として家庭用・業務用などに広く普及している、ポンプディスペンサー付き液体容器(以下ポンプ付容器と表記)の改良に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
シャンプー、リンス、ボディソープなど家庭用の粘稠な液体製品はほぼ100%ポンプ付容器に充填されて使用されている。また粘性の低い液体製品ではスプレーポンプ付容器も使われている。 これらの製品の内容液を使い切った時、内容液を再充填し、ポンプ付容器をリユースするように柔弱な袋に内容液だけを密封したものが「詰め替え用」として販売されており、そのほとんどはスタンディングパウチ(以下パウチと表記)である。
これらポンプ付容器またはスプレーポンプ付き容器とパウチの2種の包装形態を組合わせて同一液剤を併売することが液剤製品の主流な販売スタイルとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−165737
【特許文献2】特願平10−189934
【特許文献3】特開平5−85560
【特許文献4】特開平7−172466
【特許文献5】特開2007−297075
【特許文献6】特開平11−334758
【特許文献7】実開平6−54543
【特許文献9】特開平9−86564
【特許文献10】特開平10−35707
【特許文献11】特願2010−195383
【特許文献12】特開2011−68388
【特許文献13】特開平8−310575
【特許文献14】特開2002−46754
【特許文献15】特開2004−51224
【特許文献16】特許第4250037号
【特許文献17】特開2000−203611
【特許文献18】実開平7−40515
【特許文献19】実登3165984
【特許文献20】特開2013−60231
【特許文献21】特開2003−237817
【特許文献22】特開2000−70776
【特許文献23】実開平6−25149
【特許文献24】特願2009−087876
【特許文献25】実開平06−030065
【特許文献26】特願2009−087876
【特許文献27】実開平06−030065
【非特許文献】
【0004】
花王株式会社 2015年11月10日 ニュースリリース
使いやすさと環境配慮を両立した新容器 つめかえ用“ラクラクパック”を開発
http://www.kao.com/jp/corp_news/2015/20151110_001.html
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ポンプ付容器はシャンプーや洗剤などの容器として家庭用・業務用などに広く普及している。本発明は液剤の面倒な詰め替え作業を解消すると同時にパウチ内に残留する液剤を可及的に減少させことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決するためポンプ付容器の液剤収納容器部(以下 パウチ収納部と表記)にパウチ底部の溶着部分に係合する突起を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のポンプ容器によれば、面倒な液剤の詰め替え作業から解放され、また短時間転倒させてもパウチ収納部内に液剤を漏出させず、そしてパウチ内に残留する液剤の量をも最少限まで少なくでき、しかも外部から湯水がパウチ内に侵入せず、清潔に最後まで使い切れる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】スタンディングパウチの標準的な全体外観を示す図
【
図2】スタンディングパウチの底部形状の斜視図と断面図
【
図3】ポンプ付容器の全体図、パウチ固定具はクランプ型を搭載した例
【
図4】ポンプ付容器の各部形状を示す図、パウチ収納部の底部および吸上げパ イプ先端の倒立王冠形状を断面で示す図
【
図5】ポンプ付容器の底部突起41の別形態を示す図
【
図6】パウチ固定具6Y、船型タイプの形状を示す図
【
図7】パウチにねじ式開口部がある場合のねじ式固定具及び、スリーブ65、 吸い上げパイプと外気導入路を一体に成型した場合のパイプ断面形状 3例
【
図8】クランプ型のパウチ固定具6の図、閉じ状態と半開状態の3面図
【
図10】パウチ底部の形状、正立時の通常形状(円筒形状)および
請求項1の 突起によりパウチ中心部がさらに低く変形された形状を示す図
【符号の説明】
【0009】
1 :ポンプ吐出部/押し下げ部
2 :蓋
3 :ポンプ取り付けねじ
4 :液剤収納容器部(パウチ収納部)
5 :ポンプシリンダー
6 :パウチ固定具・クランプ型
6X :パウチ固定具・ゴム栓型
6Y :パウチ固定具・船型
7 :吸上げパイプ
8 :スタンディングパウチ(パウチ)
11 :ステム
12 :蓋取付けねじ
41 :パウチ底部固定突起
42 :空気取り入れ孔
43 :水抜き孔
51 :外気導入パイプ「シリンダーと一体に作られた例」
51a:外気導入穴上部開口
51b:外気導入穴下部開口
61 :パウチ固定具、ポンプシリンダーまたは吸い上げパイプ挿入部
62 :パウチ固定具クランプ部
62a:パウチ固定具クランプ突起
65 :ねじキャップ用スリーブ
71 :吸上げパイプ先端王冠部
81 :溶着部分
82 :4枚溶着部分
83 :2+2枚溶着部分
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1ないし
図2にスタンディングパウチの1例を示す。パウチ8はフィルムが袋状に形成されその下部に「マチ」が形成されている。そしてその外周でフィルムが溶着されて溶着部分81となっている。左右の溶着部分83の下部はマチを形成するフィルムも一体的に溶着され、4枚溶着部82となっている
図3ないし
図4は第一実施例を示すものである。
図1ないし
図2に示すようなパウチ8の底部形状を自立形状のまま保ち、かつパウチ収納部4の中央にパウチ底部の溶着部分81、82に係合する突起41を設けることで、転倒時にもパウチ8が自重潰れをしにくくなり、内容液の漏出がしにくくなる。またこの突起41は吸上げパイプ先端71とほぼ接する高さにありパイプ先端71との間にパウチ底部のフィルムを挟み込む。 パウチ底部の最深部で吸上げパイプ7と接することで、パウチに残留する液剤を最少にする。また突起41により転倒時にもパウチ底部形状が保たれて、正立に戻した時の最深部からの吸い上げ機能を保つ働きをする。
また使用中にパウチ8内に負圧が発生するとパウチを形成するフィルムが近接または密着し液剤が毛管現象により残留しやすくなるが、パウチ8の底部形状が突起41により規制されているため、フィルムの近接又は密着も抑制でき、液剤の残留を可及的に減少できる。
容器内の減圧を防ぐため、吐出した液剤の容積分だけ外気を導入することが望ましいが、飛散水がパウチに浸入する可能性を出来る限り少なくするため、ポンプ容器の上部ではステム11の摺動部、ポンプ-容器蓋接合部とも水を遮断する構造とする一方、下部ではパウチ開口部より十分に低い位置で空気取り入れ穴42を設けて積極的に外気を取り入れる構造として負圧発生による上部の密閉破れを防止する、しかも下部空気取り入れ穴42から飛散水が浸入しても底部から排出するように水抜き穴43をも設け、万一にも侵入した水や結露が貯まらないようにして、転倒などさせた場合で もパウチ開口部に侵入水が触れないようにする。
パウチの開口部を高い位置に固定するため固定具6を設ける。液剤の吐出につれてパウチが潰れてフィルム密着により液剤が毛管現象で残留するのを防ぐために、パウチ内部に外気を導入するように固定具6またはポンプには外気流入経路を設けるが、この流入経路から転倒時にも液剤が漏出しないよう、逆流防止弁あるいはポンプ上部に達する長い管路51のいずれかを設ける。
吸上げパイプ7の長さを前述の突起41の中央にほぼ接する長さに設け、パイプ先端を水平カットのうえ71の例のような倒立王冠形状とし、パウチの深部から残留をほとんど なく吸上げできるパイプとする。
図5は突起41の変形例を示すものである。第一実施例では突起41をパウチ収納部4の底部形状で形成したが、図のようなリブで形成しても良い。
図10はリブ形状の変形例を示すものである。この突起41は中央部が直線状のV字形状に切り欠かれることでパウチ底部のフィルムを同形状にするものである。これによりパウチ底部の最も低い領域が小さくなり、より液剤の残留を少なくできる。
【産業上の利用可能性】
【0011】
家庭用液体洗剤のいくつかのカテゴリーで市場普及のほぼ全てを占める使用形態の容器であり、過去も現在も多くの改良が試みられているテーマであり、利用されることは必然である。
【要約】 (修正有)
【課題】ポンプディスペンサー付き液体容器(以下ポンプ付容器と表記する)について以下3項目を改良する。(1)液剤入りのパウチを内装可能とする(2)液剤をパウチ内に残さず最後まで使いきる(3)外部から水がパウチに浸入しない
【解決手段】パウチ8収納部の上部で断面積が十分大きい位置に蓋2を脱着するねじ部3を設け、ここに脱着する蓋2にポンプ部5を組み付ける。加えてパウチ8の底部形状と底部の位置を保持するための突起41をパウチ8収納部の底部に設け、さらにパウチ開口部をポンプ5に固定しながら外気をパウチに導く穴又は管路51を持った固定具61を設ける。そして上記突起41等で固定され形状を保持されたパウチの底部に接する長さの吸い上げパイプ7を設け、その先端を逆王冠形状として吸上げパイプ7先端の円周上何か所かでパウチ底部に接しながら、閉塞することなく残留量1〜2mmの深さまで液剤の吸上げができるようにする。
【選択図】
図3