【実施例】
【0020】
以下において、具体的な実施例を通じて本発明を更に説明するが、本発明の保護範囲はそれらに限らない。
【0021】
実施例1:
質量分数で、VA(酢酸ビニル)質量含有量が33%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(アメリカのデュポン社EVA150)100部に、開始剤である2−メチル−2−(4−モルホリノ)−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−1−アセトン(成都格雷西亜化学技術有限公司)0.05部を加え、更に開始剤である2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(百霊威科技有限公司)0.6部、架橋助剤であるトリメチロールプロパントリメタクリレート(上海淳安国際貿易有限公司HC231)0.8部、粘着付与剤であるビニルトリメトキシシラン(日本信越有機シリコン社KBM−100)0.2部、及び光安定剤である2,4−ジクロロ−6−(4−モルホリノ)−1,3,5−トリアジン(済南邦徳化工技術有限公司)0.1部を加え、かつ均一的に混合した。
【0022】
温度を90℃に制御し、得られた混合物を押出機で混合・押出し、押出物をキャスティング、冷却、分割、及び巻取りをすることにより、厚さが0.45mmのEVAフィルムを得た。該フィルムをS−1と記する。
【0023】
実施例2:
質量分数で、VA含有量が28%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(シンガポールTPC社KA−40)100部に、開始剤である2−メチル−2−(4−モルホリノ)−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−1−アセトン(成都格雷西亜化学技術有限公司)0.4部を加え、更に開始剤である2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(百霊威科技有限公司)0.4部、架橋助剤であるプロポキシグリセリルトリアクリレート(天津市天驕化工有限公司)0.8部、粘着付与剤であるγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(徳固賽化学有限公司KH570)0.3部、光安定剤であるビス−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルセバケート(上海波以爾化工有限公司)0.1部を加え、かつ均一的に混合した。
【0024】
温度を90℃以内に制御し、得られた混合物を押出機で混合・押出し、押出物をキャスティング、冷却、分割、及び巻取りをすることにより、厚さが0.45mmのEVAフィルムを得た。該フィルムをS−2と記する。
【0025】
実施例3:
質量分数で、VA含有量が33%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(アメリカのデュポン社EV150)100部に、開始剤である2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィン酸エチル(百霊威科技有限公司)0.3部、開始剤である2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(百霊威科技有限公司)0.4部、架橋助剤であるトリメチロールプロパントリメタクリレート(天津市天驕化工有限公司)0.8部、粘着付与剤であるγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(徳固賽化学有限公司KH570)0.2部、及び光安定剤であるビス−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルセバケート(上海波以爾化工有限公司)0.1部を加え、かつ均一的に混合した。
【0026】
温度を90℃以内に制御し、得られた混合物を押出機で混合・押出し、押出物をキャスティング、冷却、分割、及び巻取りをすることにより、厚さが0.45mmのEVAフィルムを得た。該フィルムをS−3と記する。
【0027】
実施例4:
質量分数で、VA含有量が26%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(台湾塑膠工業股分有限公司7470M)100部に、開始剤である2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィン酸エチル(百霊威科技有限公司)0.6部を加え、更に開始剤であるt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート(AkzoNobel社)0.8部、架橋助剤であるプロポキシトリメチロールプロパントリアクリレート(天津聯合化学試薬廠)3部、粘着付与剤であるビニルトリメトキシシラン(日本信越有機シリコン社KBM−100)1.5部、光安定剤であるビス−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルセバケート(上海波以爾化工有限公司)0.5部を加えて、かつ均一的に混合した。
【0028】
温度を90℃に制御し、得られた混合物を押出機で混合・押出し、押出物をキャスティング、冷却、分割、及び巻取りをすることにより、厚さが0.45mmのEVAフィルムを得た。該フィルムをS−4と記する。
【0029】
実施例5:
質量分数で、VA含有量が33%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(アメリカのデュポン社EVA150)100部に、開始剤である2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィン酸エチル(梯希愛(上海)化成工業発展有限公司 )1部、開始剤であるt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート(AkzoNobel社)0.4部、架橋助剤であるプロポキシトリメチロールプロパントリアクリレート(天津聯合化学試薬廠)3部、粘着付与剤であるγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(南京聯珪化工有限公司KH−570)1.5部、及び光安定剤であるビス−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルセバケート(上海波以爾化工有限公司)1部を加え、かつ均一的に混合した。
【0030】
温度を90℃に制御し、得られた混合物を押出機で混合・押出し、押出物をキャスティング、冷却、分割、及び巻取りをすることにより、厚さが0.45mmのEVAフィルムを得た。該フィルムをS−5と記する。
【0031】
実施例6:
質量分数で、VA含有量が28%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(シンガポールTPC社KA−40)100部に、開始剤である2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィン酸エチル(梯希愛(上海)化成工業発展有限公司 )0.01部、開始剤であるt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート(AkzoNobel社)1部、架橋助剤であるプロポキシペンタエリスリトールトリアクリレート(上海淳安国際貿易有限公司EM2421)0.6部、粘着付与剤であるγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(南京聯珪化工有限公司KH−570)0.2部、0.1分の光安定剤である2,4−ジクロロ−6−(4−モルホリノ)−1,3,5−トリアジン(済南邦徳化工技術有限公司)を加え、かつ均一的に混合した。
【0032】
温度を90℃に制御し、得られた混合物を押出機で混合・押出し、押出物をキャスティング、冷却、分割、及び巻取りをすることにより、厚さが0.45mmのEVAフィルムを得た。該フィルムをS−6と記する。
【0033】
実施例7:
質量分数で、VA含有量が28%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(シンガポールTPC社KA−40)100部に、開始剤である2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィン酸エチル(梯希愛(上海)化成工業発展有限公司)、1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(百霊威科技有限公司)0.01部、架橋助剤であるプロポキシネオペンチルグリコールジアクリレート(上海淳安国際貿易有限公司HC2251)1部、粘着付与剤であるγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(南京聯珪化工有限公司KH−570)1部、0.6分の光安定剤である2,4−ジクロロ−6−(4−モルホリノ)−1,3,5−トリアジン(済南邦徳化工技術有限公司)を投じて、かつ均一的に混合する。
【0034】
温度を90℃に制御し、得られた混合物を押出機で混合・押出し、押出物をキャスティング、冷却、分割、及び巻取りをすることにより、厚さが0.45mmのEVAフィルムを得た。該フィルムをS−7と記する。
【0035】
実施例8:
質量分数で、VA含有量が28%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(シンガポールTPC社KA−40)100部に、開始剤である2−メチル−2−(4−モルホリノ)−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−1−アセトン(成都格雷西亜化学技術有限公司)0.2部、開始剤であるt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート(AkzoNobel社)0.2部、架橋助剤であるエトキシグリセロールトリアクリレート(成都格雷西亜化学技術有限公司)0.6部、粘着付与剤であるγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(南京聯珪化工有限公司KH−570)、0.1分の光安定剤であるビス−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルセバケート(上海波以爾化工有限公司)を加え、かつ均一的に混合した。
【0036】
温度を90℃に制御し、得られた混合物を押出機で混合・押出し、押出物をキャスティング、冷却、分割、及び巻取りをすることにより、厚さが0.45mmのEVAフィルムを得た。該フィルムをS−8と記する。
【0037】
比較例1:
ブリヂストンS11 EVAフィルムをD−1と記する。
【0038】
比較例2:
実施例1において、0.8部の架橋助剤トリメチロールプロパントリメタクリラート(上海淳安国際貿易有限公司HC231)に代えて、0.8部の硬化剤1,3,5−トリ−2−プロペニル−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン(AkzoNobel社)を用い、他は同じ方法で得られたEVAフィルムをD−2と記する。
【0039】
上記の方法で製造されたEVAフィルム製品の性能指標を、下記の方法で測定する。
【0040】
1.架橋結合度
サンプル製作:サイズが150mm×150mmの厚さ3mmのガラス、EVAフィルム、及び試験用バックボードを用意し、実施例について、ガラス、2層EVAフィルムを下から上へ順に積層し、紫外線照射室に送入し、40WのUVAライトで30秒間照射し、次いでバックボードを敷き、積層機に送入し、150℃の条件で8分間硬化した。比較例1及び2について、ガラス、2層EVAフィルム、及びバックボードの順で真空積層機に入れ、150℃で8分間積層硬化した。硬化完了後、サンプルのバックボードを剥ぎ、ナイフでサンプルの中間から、ガラスから約1gの架橋結合硬化されたEVAフィルムを取って、架橋結合度測定に使用した。
【0041】
架橋結合度の測定方法は下記の通りである:
(1)原理
加熱硬化により架橋結合されたEVAフィルムについて、キシレン溶剤を使用してサンプルの未架橋結合部分を抽出することにより、架橋結合度を測定する。
【0042】
(2)計器設備
容量が500mlの24#すりガラス口付き三口丸底フラスコ。
24#すりガラス口付き回流凝縮管。
温度制御器付き電気加熱スリーブ。
精度が0.001gの電子秤。
真空オーブン。
ステンレスメッシュ袋:サイズが120mm×60mmの120目ステンレスメッシュを切り取り、それを60mm×60mmに折り、両縁をまた内側に5mmほど2回折り、かつ固定し、頂上開口のサイズが60mm×40mmのメッシュ袋に作った。
【0043】
(3)試薬
キシレン(A.R級)。
【0044】
(4)サンプル製作
上記で製作されたEVAフィルムS−1〜S−8、D−1、D−2を使用する。
【0045】
(5)試験過程
ステンレスメッシュ袋を洗浄し、乾燥させ、重量をW1(0.001gまでに精確する)とした。サンプルを0.5g±0.01g採取し、ステンレスメッシュ袋に入れてサンプル包に製作し、重量をW2(0.001gまでに精確する)とした。サンプル包の口を細い針金で封じ、標識を付け、サンプル包を三口フラスコの側口から挿入し、かつゴム栓で封じ、フラスコに1/2容積のキシレン溶剤を入れ、サンプル包を溶剤に浸入させた。約140℃までに加熱し、溶剤を沸騰させ、5時間回流させた。回流速度を20滴/分/に維持した。回流終了後、サンプル包を取り出し、掛けて溶剤液を除いた。次いで真空オーブンに入れ、温度を140℃に制御して3時間乾燥させ、溶剤を完全に除いた。サンプル包をオーブンから取り出し、針金を除いた後、乾燥器で20分間冷却後取り出し、重量をW3(0.001gまでに精確する)とした。
【0046】
(6)試験の結果
式(2)により架橋結合度を計算し、2組のサンプルの算術平均値を取り、0.1%までに精確した。
[式1]
【0047】
2.ガラス/封止フィルム粘着強度
測定方法は、国家標準GB/T2790「接着剤180°剥離強度試験方法フレキシブル材料対剛性材料」を参照した。
【0048】
サンプル製作:サイズが150mm×150mmの厚さ3mmのガラス、EVAフィルム、及び試験用バックボードを用意し、実施例について、ガラス、2層EVAフィルムを下から上へ順に積層し、紫外線照射室に送入し、40WのUVAライトで30秒間照射し、次いでバックボードを敷き、積層機に送入し、150℃の条件で8分間硬化した。比較例1及び2について、ガラス、2層EVAフィルム、及びバックボードの順で真空積層機に入れ、150℃で8分間積層硬化した。
【0049】
100mm/分の速度で引張機において測定し、引張強度数値を記録した。
【0050】
3.耐湿熱老化性能
GB/T2423.3の試験方法で湿熱老化試験を実施した。
【0051】
サンプル製作:サイズが150mm×150mmの厚さ3mmのガラス、EVAフィルム、及び試験用バックボードを用意し、実施例について、ガラス、2層EVAフィルムを下から上へ順に積層し、紫外線照射室に送入し、40WのUVAライトで30秒間照射し、次いでバックボードを敷き、積層機に送入し、150℃の条件で8分間硬化した。比較例1及び2について、ガラス、2層EVAフィルム、及びバックボードの順で真空積層機に入れ、150℃で8分間積層硬化した。
【0052】
試験条件は温度85℃、相対湿度85%、時間1000時間である。
【0053】
試験前後のサンプル黄変指数(△YI)は、国家標準GB2409「プラスチック黄色指数試験方法」に従い、HunterLab ColorQuest測色計を用いて測定され、ASTMに従って分析された。
【0054】
4.耐紫外線老化性能
GB/T19394−2003試験方法により、耐紫外線老化試験を実施した。
【0055】
試験機大小によって、ガラス、EVAフィルム、及びサンプル用バックボードを切り、実施例について、ガラス、2層EVAフィルムを下から上へ順に積層し、紫外線照射室に送入し、40WのUVAライトで30秒間照射し、次いでバックボードを敷き、積層機に送入し、150℃の条件で8分間硬化した。比較例1及び2については、ガラス、2層EVAフィルム、バックボードの順で真空積層機に入れ、150℃で8分間積層硬化した。
【0056】
試験条件は温度60℃、照射波長は280nm〜400nm、照射強度は120kWh/m
2である。
【0057】
試験前後のサンプル黄変指数(△YI)は、国家標準GB2409「プラスチック黄色指数試験方法」に従い、HunterLab ColorQuest測色計を用いて測定され、ASTMに従って分析された。測定結果を表1に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
上記の性能測定指標より、本発明の快速架橋結合EVAフィルムは、架橋結合速度が速く、剥離強度が高く、耐老化性が良いなどの特徴があり、太陽電池モジュールの封止用に適している。