特許第6074139号(P6074139)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6074139
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】負圧ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04B 37/16 20060101AFI20170123BHJP
   F04C 25/02 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
   F04B37/16 Z
   F04C25/02 L
【請求項の数】1
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2011-285675(P2011-285675)
(22)【出願日】2011年12月27日
(65)【公開番号】特開2013-133780(P2013-133780A)
(43)【公開日】2013年7月8日
【審査請求日】2014年11月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】315019735
【氏名又は名称】オートリブ日信ブレーキシステムジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(72)【発明者】
【氏名】下園 責平
(72)【発明者】
【氏名】梶谷 高
【審査官】 新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−353296(JP,A)
【文献】 特開平02−196187(JP,A)
【文献】 特開2002−138959(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 37/16
F04C 25/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基盤としてのボディ部の一方の側面にモータにより駆動するポンプ部が装着され、このポンプ部をカバー体で覆い、このカバー体が前記一方の側面に装着され、
前記一方の側面に、前記ポンプ部から排出された排気の排気経路が設けられると共に、前記モータへ空気を供給して前記モータ内が真空になることを防止する呼吸穴が設けられている負圧ポンプにおいて、
前記呼吸穴は、前記ボディ部の一方の側面にある前記排気経路に通じる連絡経路と軸穴との間に設けられ、前記連絡経路は空気の流れを妨げる障壁を複数備え、前記連絡経路は前記ポンプ部側から見て蛇行していることを特徴とする負圧ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負圧ポンプ、例えば車両に備えられる負圧ブースタの負圧室内を負圧にする負圧ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の負圧ポンプとして、車両用の負圧ポンプが提案されている(例えば、特許文献1(図2)参照。)。
【0003】
この特許文献1の技術を図面に基づいて以下に説明する。
20は従来の負圧ポンプの分解斜視図であり、負圧ポンプ200は、ボディ部201の一方の側面202にモータ203により駆動するポンプ部204が装着され、このポンプ部204をカバー体205で覆い、このカバー体205が一方の側面202に装着される。
【0004】
負圧ポンプ200では、モータ203でポンプ部204を駆動させると、モータ軸206周辺が負圧になる。モータ軸206周辺が負圧になると、モータ203内部及びボス部207内部に設けられるベアリング近辺が真空状態になり好ましくない。
【0005】
ベアリング近辺へ空気を供給することで真空状態は解消される。ボディ部201やモータ203に通孔を設け、外部の空気をベアリング近辺へ供給することが考えられるが、通孔から外の汚水がベアリング近辺へ浸入するおそれがある。
そのために、負圧ポンプ200内の空気をベアリング近辺へ供給することが推奨される。具体的には、負圧ポンプ200内の排気経路が正圧であるため、排気経路に呼吸穴を設け、この呼吸穴を介して空気をベアリング近辺へ供給する。
【0006】
ところで、ポンプ部204には回転体(ベーンやロータ)が内蔵され、この回転体が壁に摺接するため、僅かであるが摩耗粉が発生する。この摩耗粉が排気に混じって呼吸穴からベアリング近辺へ侵入することがある。摩耗粉はモータ故障の要因となるため、モータへの侵入を防止する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−236503公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、摩耗粉がモータ内へ吸い込まれることを抑制することができる負圧ポンプを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、基盤としてのボディ部の一方の側面にモータにより駆動するポンプ部が装着され、このポンプ部をカバー体で覆い、このカバー体が前記一方の側面に装着され、前記一方の側面に、前記ポンプ部から排出された排気の排気経路が設けられると共に、前記モータへ空気を供給して前記モータ内が真空になることを防止する呼吸穴が設けられている負圧ポンプにおいて、前記呼吸穴は、前記ボディ部の一方の側面にある前記排気経路に通じる連絡経路と軸穴との間に設けられ、前記連絡経路は空気の流れを妨げる障壁を複数備え、前記連絡経路は前記ポンプ部側から見て蛇行していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明では、ボディ部の一方の側面に、ポンプ部から排出された排気の排気経路が設けられると共に、モータへ空気を供給してモータ内が真空になることを防止する呼吸穴が設けられる。この呼吸穴は、ボディ部の一方の側面にある排気経路に通じる連絡経路と軸穴との間に設けられ、連絡経路は空気の流れを妨げる障壁を複数備え、連絡経路はポンプ部側から見て蛇行している。
呼吸穴をボディ部の一方の側面にある排気経路に通じる連絡経路と軸穴との間に配置したので、摩耗粉を含む排気が直ちに呼吸穴に到達することはなく、摩耗粉がモータ内へ吸い込まれることを抑制することができる。結果、モータの耐久性を向上させることができる。
【0013】
加えて、連絡経路に障壁を設けたので、排気に含まれる摩耗粉は障壁に妨げられ、摩耗粉が除去された排気を呼吸穴に導くことができる。
【0014】
加えて、連絡経路が蛇行されているので、連絡経路が長くなり、より効率的に摩耗粉が除去される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る負圧ポンプの配置例を示す図である。
図2】負圧ポンプの斜視図である。
図3】負圧ポンプの部分断面図である。
図4】負圧ポンプの分解斜視図である。
図5】ポンプ部の分解斜視図である。
図6】負圧ポンプの正面図である。
図7図6の7−7線断面図である。
図8図7の8−8線断面図である。
図9図7の9−9線断面図である。
図10】連絡経路の部分拡大斜視図である。
図11図8の11−11線断面図である。
図12図11の12−12線断面図である。
図13】接続管からポンプ部までの吸気の流れを説明する図である。
図14】ポンプ部から排気管までの排気の流れを説明する図である。
図15】結露により発生した水の排出を説明する図である。
図16】呼吸穴への空気の流れを説明する図である。
図17図11の別態様を説明する図である。
図18図7の別態様を説明する図である。
図19図12の別態様を説明する図である。
図20】従来の負圧ポンプの原理図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【実施例】
【0017】
先ず、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本発明の負圧ポンプ10は、車両に備えられる負圧ブースタ11の負圧室12内を、負圧にする真空ポンプの一種である。
負圧ポンプ10を作動させると、負圧管13、負圧室12内及び変圧室14内が負圧になっている。この状態でブレーキペダル16を踏むと負圧室12と変圧室14とが遮断され、変圧室14に空気が導入され、負圧室12と変圧室14との差圧により、ダイヤフラム17がリターンばね18を圧縮させる側へ変形し、プッシュロッド19を押し出す。結果、小さな踏力で大きな制動力が得られる。
【0018】
負圧ポンプ10の内部構造は後述の図7で説明する。図2では負圧ポンプ10の外観を説明する。
図2に示すように、基盤としてのボディ部30と、このボディ部30の上面にカバー体50が取付けられ、ボディ部30の下面にモータ70取付けられる。ボディ部30の幅狭の面31に吸気用の接続管21がビス22により取付けられ、ボディ部30から複数(この例では3個)の腕部32が延ばされ、腕部32にブッシュ33が嵌められる。このブッシュ33は車両に取付ける際、ラバーマウントの役割を果たす。
【0019】
次に負圧ポンプ10の内部について説明する。
図3に示すように、ボディ部30の上面に負圧を発生するポンプ部80が取付けられる。このポンプ部80は、カバー体50に設けられた収容室51に囲われる。カバー体50の内部に内壁63を設け、内壁63とカバー体の外壁52との空間を消音室53として形成する。
【0020】
次に負圧ポンプ10の構造を詳しく述べる。
図4に示すように、負圧ポンプ10は、基盤としてのボディ部30と、ボディ部30の上面34(本発明における一方の側面34)に設けられている複数(この例では4個)の雌ねじ穴35に長いボルト81をねじ込むことで取付けられるポンプ部80と、吸入ポート(詳細後述)に接続される接続管21と、ポンプ部80を覆うと共に、ボディ部30の上面34(本発明における一方の側面34)に設けられている複数(この例では4個)の雌ねじ穴36にビス54をねじ込むことで取付けられるカバー体50と、このボディ部30の下面37(他方の側面37)に複数(この例では2本)のビス71で取付けられ、モータ軸72がインボリュートスプライン軸であるモータ70とからなる。
【0021】
モータ70の側部に、モータ70へ給電する中間コネクタ(図7、符号73)が設けられる。
ボディ部30は、モータ70をマウントするため及び車両に接続するための基盤であるため、厚くて剛性に富む、例えば鋳物などの金属製とすることが望まれる。ボディ部30の中心部にモータ軸72が挿入される軸穴38が設けられる。
【0022】
ボディ部30の一部は、カバー体50の消音室53と一体となる消音室53が形成される。ボディ部30のうちポンプ部80が取付けられる側面を、上面34とする。この上面34の外周及び消音室53の外周に沿ってシール材41が嵌められる。
【0023】
また、上面34に、軸穴38の上方から下方にかけて、軸穴38を中心とする半円形の吸気溝42が設けられており、この吸気溝42を囲うようにOリングなどのシール材43が上面34に嵌められる。
【0024】
カバー体50は、有底円筒の一部に傾斜部55が設けられた形状を呈し、ボディ部30の上面34に対向する底部56と、この底部56から上面34に向けて延びる筒部57と、この筒部57の端部に鍔状に形成されるフランジ部58とからなる。
【0025】
図5はポンプ部80の分解斜視図であり、ポンプ部80は、非円断面のロータ室82及び複数(この例では4個)のボルト穴83が設けられるケース84と、複数のベーン溝85が放射状に設けられ、中心にインボリュートスプライン穴86が設けられ、非円断面のロータ室82に回転自在に収納されるロータ87と、複数のベーン溝85に各々移動自在に収納されるベーン88と、複数(この例では4個)のボルト穴91及び上下2個の吸気孔92、93を有する吸気プレート94と、複数(この例では4個)のボルト穴96及び上下2個の排気出口97、98を有する蓋体101と、ボルト穴96、83、91に通される複数(この例では4本)の長いボルト81とからなる。
【0026】
図6は負圧ポンプ10の正面図であり、負圧ポンプ10は、ボディ部30の上面34に設けられ負圧を生成するポンプ部(図4、符号80)と、ボディ部30の上面34に設けられポンプ部80を囲うカバー体50と、ボディ部30の下面37に設けられポンプ部80を駆動するモータ70とからなる、縦型の負圧ポンプである。詳細は後述するが、接続管21から吸引された空気は、負圧ポンプ10内部を通り、ボディ部30から下方に延びる排気管111から排出される。
【0027】
負圧ポンプの内部構造を図7図8に基づいて、さらに詳細に説明する。
図7は、図4及び図5に基づいて組立てられた負圧ポンプ10の断面図である。
図7に示すように、軸穴38に転がり軸受102が設けられており、この軸受102にモータ軸72が支持される。モータ軸72の先端部は、ロータ87のインボリュートスプライン穴86に嵌り、先端が蓋体101の近傍まで達する。
【0028】
カバー体50のフランジ部58はシール材41の全周に接しており、このシール材41によってカバー体50内の気密性が確保される。
一方、シール材43の全周に吸気プレート94の表面が接しており、このシール材43と吸気プレート94で吸気溝42の開口が塞がれ、吸気通路103が形成される。結果、接続管21、吸入ポート24、吸気通路103及び2個の吸気孔(図5、符号92、93)からなる吸気経路が形成される。
【0029】
他方、ポンプ部80の排気出口97、98からの排気は、収容室51に放出される。収容室51とポンプ部80との間の空間は、排気経路104の一部を形成する。この排気経路104は図8にも現れる。
【0030】
図8に示すように、排気出口97、98からの排気を通す排気経路104は、収容室51のうちカバー体50とポンプ部80との間の空間と、収容室51と消音室53とを結ぶ連通路105と、消音室53と、消音室53の底59に設けられる凹部61と、この凹部61に接続される排気管62とからなる。連通路105はボディ部30に設けられる。
【0031】
次にボディ部30の一方の側面34について説明する。
図9に示すように、ボディ部30の一方の側面34には、排気経路104から離れた位置に、モータ軸72近傍からモータ(図7、符号70)へ空気を供給する呼吸穴121が設けられる。呼吸穴121は、モータ70へ空気を供給してモータ70内が真空になることを防止するために設けられる。
【0032】
また、一方の側面34に、排気経路104から呼吸穴121へ空気を導く連絡経路122が設けられる。連絡経路122は、底面部123と、この底面部123より一段高い障壁124と、この障壁124より一段高く吸気プレート(図7、符号94)に密着する上面部125とからなる。さらに、連絡経路122は、ポンプ部(図7、符号80)側から見て、蛇行した形状を呈する。
【0033】
図10に示すように、連絡経路122において、呼吸穴121は、底面部123より一段高い障壁124上に設けられ、水や異物の浸入し難い位置に設けられている。すなわち、排気経路104から呼吸穴121に到達するまでに、連絡経路122が蛇行しており、且つ、呼吸穴121が底面部123より一段高い位置にあるので、水や異物の浸入を防止することができる。
【0034】
次に排気経路104を連通路105の軸に沿って切った断面図に基づいて説明する。
図11に示すように、ボディ部30は、収容室51を形成する上面34に下方に窪む収容室側凹部126が設けられる。この収容室側凹部126の最も低い位置に連通路105が設けられる。連通路105は、収容室側凹部126と消音室53とを結び、図左から右へ下方に傾斜される。なお、連通路105は、ボディ部30の幅狭の面31に穴加工することで形成され、開口部は鋼球127で塞がれる。
【0035】
次に消音室53について説明する。
図12に示すように、消音室53に、連通路105が設けられる。消音室53は、カバー体50と、ボディ部30に設けられる消音室の底59とに囲まれる空間である。消音室の底59に、下方へ窪む凹部61が設けられ、この凹部61の排気管62が接続される。消音部の底59は連通路105の連通部から図右に向かって下方に傾斜される。即ち、消音部の底59の最も低い位置に凹部61が設けられ、凹部61から下方に延びる排気管62が設けられる。
【0036】
次に、負圧ポンプ10の消音作用を説明する。
図13に示すように、モータ(図7、符号70)が作動すると、ポンプ部80の吸引作用により、外気が接続管21内に吸入される。この吸気は、吸入ポート24に吸入される(矢印(1))。
【0037】
吸入ポート24に入った吸気は、吸気孔92からポンプ部80に入り、加圧されて排気出口97から排出される(矢印(2))、又は、吸気通路103を通って吸気孔93からポンプ部80に入り、加圧されて排気出口98から排出される(矢印(3))。上下の排気出口97、98から排出された排気は、収容室51に流入する。
【0038】
図14に示すように、ポンプ部80で圧縮された空気は、収容室51に吐出される。この排気は、連通路105へ導かれ、連通路105を通って消音室53に放出され急激に膨張する(矢印(4)、(5)、(6))。空気は急に膨張することで音響エネルギーを消耗する。消音された排気は、排気管62から下方の大気中に放出される(矢印(7))。
【0039】
次に負圧ポンプ10の排水作用を説明する。
図15(a)に示すように、負圧ポンプ10内に結露により生じた水は、上面34に落ちる。上面34に落ちた水は、収容室側凹部126から連通路105を通って消音室53に流れる(矢印(8))。(b)に示すように、連通路105を通り抜けた水は、消音室の底59を流れ(矢印(9))、凹部61に集められ、排気管62から下方に排出される(矢印(10))。
【0040】
次に負圧ポンプ10の摩耗粉の除去作用を説明する。
図16に示すように、ポンプ部(図5、符号80)には回転体(ベーン88やロータ87)が内蔵され、この回転体が壁に摺接するため、僅かであるが摩耗粉が発生する。この摩耗粉が排気に混じって排気経路104に流れ、さらに連絡経路122に流入する。摩耗粉は、障壁124及び上面部125により、連絡経路122の奥に流れることが阻まれる(矢印(11))。連絡経路122の入口近傍の障壁124を乗り越えた摩耗粉は、連絡経路122が蛇行しているので、途中の障壁124及び上面部125により、奥に流入することが抑制される(矢印(12)、(13))。摩耗粉が除去された空気は、呼吸穴121からモータ軸72近傍に流れ(矢印(14))、モータ(図7、符号70)内に供給される。排気経路104からモータの呼吸穴121へ連通する間に、連絡経路122が設けられ、呼吸穴121が連絡経路122内で最も高い位置である。呼吸穴121が連絡経路122内で最も高い位置にあるので、モータ70内への水の浸入を防ぐことができる。
【0041】
次に図11の別態様について説明する。なお、図11と共通する部分については、符号を流用して説明を省略する。
図17に示すように、カバー体50の内部に内壁63を設け、内壁63とカバー体50の外壁52との空間を消音室53として形成する。連通路131は、カバー体50の内壁63に貫通形成される。カバー体50に連通路131を設けることで、ボディ部30の加工を少なくし、ボディ部30の加工費の低減を図ることができる。
【0042】
次に図7の別態様について説明する。なお、図7と共通する部分については、符号を流用して説明を省略する。
図18に示すように、蓋体101にポンプ部80内から収容室51へ排気を流入させる排気出口97、98が設けられる。これらの排気出口97、98からパイプ状の導出管132、133が収容室51内へ延ばされる。ポンプ部80で圧縮された空気は、導出管132、133から排出され、収容室51で急膨張されることで音響エネルギーを消耗する。結果、収容室51でも消音効果の向上を図ることができる。
【0043】
次に図12の別態様について説明する。なお、図12と共通する部位については、符号を流用して説明を省略する。
図19に示すように、ボディ部30にて、排気管62に消音室53に延びる延長管部134が設けられる。この延長管部134に複数の微細孔135が設けられる。微細孔135により排気を共鳴させ、消音効果を向上させることができる。
【0044】
以上のように作用する負圧ポンプによれば、次に述べる効果が得られる。
図9に示すように、ボディ部30の一方の側面34に、ポンプ部80から排出された排気の排気経路104が設けられると共に、図7に示すモータ70へ空気を供給してモータ70内が真空になることを防止する呼吸穴121が設けられる。この呼吸穴121は、排気経路104から離れた部位に設けられている。
この構成により、呼吸穴121を排気経路104から離れた部位に配置したので、摩耗粉を含む排気が直ちに呼吸穴121に到達することはなく、摩耗粉がモータ70内へ吸い込まれることを抑制することができる。結果、モータ70の耐久性を向上させることができる。
【0045】
図9に示すように、ボディ部30の一方の側面34に、呼吸穴121へ空気を導く連絡経路122を設け、この連絡経路122に、空気の流れを妨げる障壁124を設けた。
この構成により、連絡経路122に障壁124を設けたので、排気に含まれる摩耗粉は障壁124に妨げられ、摩耗粉が除去された排気を呼吸穴121に導くことができる。障壁124より一段高い上面部125の壁部によっても空気の流れが妨げられ、摩耗粉が除去された排気を呼吸穴121に導くことができる。
【0046】
図9に示すように、連絡経路122は、図7に示すポンプ部80側から見て、蛇行させた。
連絡経路122が蛇行されているので、連絡経路122が長くなり、より効率的に摩耗粉が除去される。
【0047】
尚、実施の形態では負圧ポンプとしてベーンポンプを説明したが、負圧ポンプはベーンポンプに限られるものではない。
さらには、本発明の負圧ポンプは、車両に備えられる負圧ブースタの負圧室内を、負圧にするための車両用の負圧ポンプに好適であるが、用途を格別に限定するものではなく、一般機械用、汎用機械用、一般設備用に適用することは差し支えない。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の負圧ポンプは、車両に備えられる負圧ブースタの負圧室内を、負圧にするための車両用の負圧ポンプに好適である。
【符号の説明】
【0049】
10…負圧ポンプ、30…ボディ部、34…上面(一方の側面)、50…カバー体、70…モータ、72…モータ軸、80…ポンプ部、104…排気経路、121…呼吸穴、122…連絡経路、124…障壁。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20