(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6074151
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】パレットの搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65G 1/04 20060101AFI20170123BHJP
E04H 6/30 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
B65G1/04 565
E04H6/30 B
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-88224(P2012-88224)
(22)【出願日】2012年4月9日
(65)【公開番号】特開2013-216442(P2013-216442A)
(43)【公開日】2013年10月24日
【審査請求日】2015年4月6日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】512079820
【氏名又は名称】エヌエイチパーキングシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077470
【弁理士】
【氏名又は名称】玉利 冨二郎
(72)【発明者】
【氏名】四方 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】長尾 伸司
(72)【発明者】
【氏名】安藤 信太郎
(72)【発明者】
【氏名】白水 真之
【審査官】
大野 明良
(56)【参考文献】
【文献】
特開平06−239451(JP,A)
【文献】
特開平01−284677(JP,A)
【文献】
特開昭63−071008(JP,A)
【文献】
特開2009−035423(JP,A)
【文献】
特開平02−028415(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00− 1/20
E04H 6/00− 6/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面上に複数の搬送用のパレットを縦方向及び横方向に移動可能にした搬送装置において、上記各パレットの裏面に井桁状に溝形のレールを設け、このレールの交差部分に対応した床面上の位置に旋回支軸が鉛直な旋回座を設けて、この各旋回座に上向き高所端が上記レールの交差部分に向く傾斜支軸を軸承すると共に、この傾斜支軸の高所端に外周一部が上記レールに嵌まり込むローラを設け、また、上記傾斜支軸をドライブする駆動手段を設け、さらに、方向転換作用手段により各旋回座を90度可逆旋回させる連動手段を設け、上記旋回座の旋回軸中心を、パレットのレール幅中心からずれた位置にし、上記各ローラの旋回方向が、縦方向及び横方向で対向する位置のローラが逆方向に旋回するようにしたことを特徴とするパレットの搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば自動車を載せて格納又は搬送する形式の駐車設備や、品物を載せて格納又は搬送する形式の倉庫設備に使用するパレットの搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような目的に使用するパレットを縦方向及び横方向の双方に自在に走行させる従来技術としては、例えば特許文献1及び特許文献2がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平7−29681号公報
【特許文献2】特許第4091786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のものは、パレットの裏面に設けてある井桁状のレールの各交差部分に一方向の短レールを回転自在に設け、この各短レールに対応した位置の床面上に設けてある車輪を縦方向または横方向に方向転換させることにより前記短レールを縦或いは横方向に転換させるようになっているので、パレットの下面四隅に短レールの設置が必要になると共に、パレットに対し短レールを旋回自在に軸承しなければならない。
【0005】
特許文献2のものは、トレーの下面側の略四隅にローラを軸支し、トレー移動経路を、トレー各ローラの転動によりトレーを縦方向に移動するための一対の縦方向レール及びトレーを横方向に移動するための一対の横方向レールを設け、トレーの下面の各ローラとは異なる位置に直線状の水平な回動レールを軸支し、回動レール方向転換装置により前記回動レールを縦方向又は横方向に転換させるので、トレーの下面四隅に縦方向及び横方向のローラの設置が必要になると共に、トレーの下面中央1ヶ所に回動レールが必要になる。
【0006】
上記のような構成によると、パレットやトレーの下面に可動する複数の付属品を取り付けているので、構造が複雑になって付属品の保守、点検作業が難しく、さらに部品交換に際してはパレットやトレーを駐車棚や収納棚から取り外す手間のかかる作業が必要になる。
【0007】
また、スムーズに方向転換するため、ローラとパレット側の溝又はレールの回転中心をある程度を一致させる必要があるので、稼働時は高いパレット停止位置精度が要求される問題があった。
【0008】
そこで、この発明は、パレット下面の可動部をなくすることにより構造を簡略化し、全体のコスト低減やメンテナンス性を向上すると共に、稼働時の停止位置精度を高くする必要がないパレットの搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、この発明は、床面上に複数の搬送用のパレットを縦方向及び横方向に移動可能にした搬送装置において、上記各パレットの裏面に井桁状に溝形のレールを設け、このレールの交差部分に対応した床面上の位置に旋回支軸が鉛直な旋回座を設けて、この各旋回座に上向き高所端が上記レールの交差部分に向く傾斜支軸を軸承すると共に、この傾斜支軸の高所端に外周一部が上記レールに嵌まり込むローラを設け、また、上記傾斜支軸をドライブする駆動手段を設け、さらに、方向転換作用手段により各旋回座を90度可逆旋回させる連動手段を設け、上記旋回座の旋回軸中心を、パレットのレール幅中心からずれた位置にし
、上記各ローラの旋回方向が、縦方向及び横方向で対向する位置のローラが逆方向に旋回するようにした構成を採用する。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、この発明のパレットの搬送装置によれば、パレットの下面にパレットの搬送可動部がないので、極めて構造が簡素化され、全体のコスト低減や保守、点検作業が容易になってメンテナンス性を向上させることができる。
【0011】
そして、パレットの搬送ローラの傾斜支軸は傾斜させてあるので、荷重支持と水平方向の案内を兼用することができると共に、支軸の傾斜にともない支軸の低所下位端に駆動手段としてのモーターを接続して、モーターとパレット下面との干渉をなくすることができ、かつ小径のローラを使用することができる。
その結果、パレットの安定した搬送が可能になる。
【0012】
また、旋回軸中心を、パレットのレール幅中心からずれた位置にしてあるので、ローラがレール(内)の交差部分を通過する際、ローラとレールの側面との間隙に余裕が生まれてローラが回転しながら旋回するときの旋回抵抗が少なくなって、スムーズな旋回ができる。
【0013】
さらに、各(左右一対の)ローラの旋回方向を、対称方向にしてあるので、パレットの旋回時に横すべりがなくなって、安定したスムーズな転換ができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】パレットの搬送装置を示す一部切欠平面図である。
【
図5】ローラとレールの関係を示す縦断正面図である。
【
図6】駆動側ローラを示す一部切欠拡大正面図である。
【
図7】従動側ローラとガイドとの関係を示す拡大下面図である。
【
図8】ローラとガイドとの関係を示す拡大底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
この発明の第1の実施形態を示す
図1から
図8のAはパレットである。
【0016】
上記のパレットAは、例えば自動車を載せて格納又は搬送する形式の駐車設備や、品物を載せて格納又は搬送する形式の倉庫設備に使用するもので、このパレットAの裏面(下側面)には、井桁状に溝形のレールaが設けてある。
【0017】
上記レールaの溝形は、図示の場合平行する両側が下方に向かう程広がる(富士山形や台形)形状にしておくことで、レールaに後述するローラ5が嵌まり込む際、レールaにお開放下縁にローラ5が引っかかることなくスムーズな嵌まり込みを保障できるが、かならずしも限定されず、コ字状の形状であってもよい。
【0018】
また、パレットAの搬送路となる床面1上のレールaの各交差部分に対応した位置には、旋回支軸が鉛直な旋回座2が設けてある。
【0019】
さらに、この旋回座2には、上向き高所端がレールaの交差部に向く傾斜支軸3が軸受4により軸承してあり、各傾斜支軸3の高所端には、レールa(溝)に、周面の一部を嵌め込むローラ5が設けてある。
【0020】
また、傾斜支軸3の低所端に駆動手段としてのモーター6が接続してあり、モーター6の運転によりローラ5をドライブする。
【0021】
なお、上記モーター6は、図示の場合、並列する縦方向の片側列の一方と、もう片側列の一方のみをドライブするように(駆動と従動とになるように)設けたが、限定されない。
【0022】
さらに、各旋回座2は、方向転換作用手段Cにより連動手段Dを介し90度可逆旋回するようになっている。
【0023】
上記の作用手段Cとしては、図示の場合、モーター7の運転により可逆回動する回転軸8と、この回転軸8に中間を固定した回動板9とで構成し、上記の連動手段Dとしては、図示の場合、縦方向の片側列の両旋回座2に末端を固定した突片10と、縦方向のもう片側列の両旋回座2に中間部を固定した板片11と、縦方向両端の突片10と板片11の片側突出端とをピン12を介し両端を連結した第1ロッド13と、回動板9の突出端と板片11の残る片側突出端とをピン14を介し両端を連結した第2ロッド15とで構成し、モーター7により板片11を回動し、板片11の回動にともない第1ロッド13を介し突片10を回動させて、各旋回座2を90度旋回させて、旋回座2のローラ5を縦方向の送りと、横方向の送りとに方向転換するように同調させたが、上記方式に限定されず、他の方式を採用して各ローラ5の縦方向と横方向との送りに旋回させてもよい。
【0024】
また、左右のローラ5の旋回方向を、同方向ではなく対称方向に旋回させるので、
図4に示すように各旋回座2の旋回方向が
図4の矢符方向(イ)になって、各ローラ5は対称方向に旋回するため、例えば縦方向から横方向への方向転回の際のパレットAの横すべりの送り出しがなくなって、安定したパレットAの搬送方向の転換ができる。
【0025】
上記のように構成すると、
図4に示すようにローラ5の回転方向を縦方向とすることによりパレットAを縦方向に搬送することができ、また
図3に示すようにローラ5の回転方向を横方向にすることによりパレットAを横方向に搬送することができ、そしてレールaの各交差部分に各ローラ5が到達すると、作用手段Cにより連動手段Dを介し各旋回座
2を90度旋回させる。
【0026】
すると、旋回座2と共にローラ5が90度旋回して、ローラ5の回転方向が縦方向から横方向に、或いは横方向から縦方向に方向転換し、パレットAの搬送方向を変える。
図中16は旋回座2に軸受4及びモーター6を取り付ける支持板である。
【0027】
この発明の実施形態では、
図7に示すように、旋回座2の旋回中心を、パレットAのレールaの幅中心からずれた位置となるように設置してある。
【0028】
上記のように構成すると、
図8に示すようにローラ5がレールaの交差部分を通過する際、ローラ5とレールaの側面との間隙に余裕間隙Xが生まれてローラ5が回転しながら旋回(ローラ5の移動軌跡Yに示す)するときの旋回抵抗が少なくなって、スムーズな旋回を保障することができる。
【符号の説明】
【0029】
A パレット
a レール
C 作用手段
D 連動手段
1 床面
2 旋回座
3 傾斜支軸
4 軸受
5 ローラ
6 モーター
7 モーター
8 回動軸
9 回動板
10 突片
11 板片
12、14 ピン
13 第1ロッド
15 第2ロッド