(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また本実施形態で説明される構成の全てが、本発明の必須の構成要件であるとは限らない。
【0015】
図1は、本実施形態に係る遊技機の外観構成を示す斜視図である。本実施形態の遊技機は、遊技場から貸し出された遊技球を用いて遊技を行うものであり、遊技機の外側面を形成する外枠2と、遊技機の内部に設けられ、遊技球が移動する遊技領域4を形成する遊技盤6と、遊技盤6を遊技者が視認可能かつ接触不可能にするガラスユニット8(透明板ユニット)と、ガラスユニット8が取り付けられている前枠10(扉体)を備えている。
【0016】
そして前枠10の前面のうちガラスユニット8を取り囲む部分は、光を透過する半透明の素材により構成されており、半透明の素材により構成されている部分の内部には、遊技を盛り上げるための演出光などを出力する複数の枠ランプ12が設けられている。また、前枠10の上部の左右および下部の左右には、遊技を盛り上げるための演出音などを出力するスピーカー14が設けられている。
【0017】
また前枠10の下部中央には、遊技球を貯留するための上皿16が設けられており、上皿16の内側側面の左部には、遊技機から遊技者に遊技球を払い出すための払出口18が設けられている。また前枠10の下部右側には、グリップユニット20が設けられており、遊技者がグリップユニット20を遊技機に向かって右回りに回転させる操作を行うと、遊技機内部に設けられた図示しない発射装置が作動して、遊技領域4内に遊技球が発射されるようになっている。そして上皿16の内側側面の右部には、上皿16から遊技球を発射装置に供給するための供給口22が設けられている。また上皿16の下方には、上皿16に遊技球を貯留しきれなくなった場合に余剰の遊技球を貯留しておく下皿24が設けられている。
【0018】
ここで前枠10は、前枠10の左辺および外枠2の左辺に沿った前枠軸26を中心として外枠2に対して回転可能に取り付けられている。そして上皿16の右方に設けられたシリンダー錠28(錠部)に鍵を差し込んで一方向に回転させると、施錠が解除されて前枠10を外枠2に対して開くことができるようになっている。
【0019】
図2は、前枠10が外枠2に対して開いている状態を示す斜視図である。
図2に示すように、本実施形態の遊技機は、遊技盤6などが設けられた本体30を備えており、本体30も前枠10と同様に回転軸26を中心として外枠2に対して回転可能に取り付けられている。
【0020】
そして本体30の右端(自由端)前面の上部と中央部と下部には、鉤状の前枠フック32が前方に突出するように設けられており、前枠10の右端(自由端)背面の上部と中央部と下部に設けられた前枠引掛部34に前枠フック32が引っ掛かることにより、前枠10が本体30に対して閉じた状態で施錠される。
【0021】
また本体30の右端背面の上部と下部には、鉤状の外枠フック36が後方に突出するように設けられており、外枠2の右端前面の上部と下部に設けられた外枠引掛部38に外枠フック36が引っ掛かることにより、本体30が外枠2に対して閉じた状態で施錠される。
【0022】
図3は、前枠フック32と外枠フック36の詳細を示す側面図である。
図3に示すように、3つの前枠フック32は、上下に長い板状の前枠ロック部40(施錠部)の一部を構成している。この前枠ロック部40は、本体30の右端部に設けられている上下に長いロックガイド部42に沿って上下にスライド可能にロックガイド部42に取り付けられている。
【0023】
また2つの外枠フック36は、上下に長い板状の外枠ロック部44(施錠部)の一部を構成している。この外枠ロック部44も、前枠ロック部40と同様にロックガイド部42に沿って上下にスライド可能にロックガイド部42に取り付けられている。
【0024】
また前枠ロック部40と外枠ロック部44は、ロックバネ46により連結されており、前枠ロック部40は、前枠フック32が前枠引掛部34に引っ掛かる施錠位置から上方にスライドすると、ロックバネ46により施錠位置に戻るように引っ張られ、外枠ロック部44は、外枠フック36が外枠引掛部38に引っ掛かる施錠位置から下方にスライドすると、施錠位置に戻るように引っ張られるようになっている。
【0025】
そしてロックガイド部42の下部には、シリンダー錠28が設けられており、シリンダー錠28の後端には、シリンダー錠28に差し込まれた鍵が回転されることに伴って回転する回転部48が設けられている。そしてシリンダー錠28に差し込まれた鍵が左回りに回転されると、回転部48が前枠ロック部40の下部に設けられている前枠解錠孔50に引っ掛かって前枠ロック部40を施錠位置から上方にスライドさせる。すると、前枠フック32が前枠引掛部34から外れて、前枠10を本体30に対して開くことができる。
【0026】
一方、シリンダー錠28に差し込まれた鍵が右回りに回転されると、回転部48が外枠ロック部44の下部に設けられている外枠解錠孔52に引っ掛かって外枠ロック部44を施錠位置から下方にスライドさせる。すると、外枠フック36が外枠引掛部38から外れて、本体30を外枠2に対して開くことができる。
【0027】
こうして本実施形態の遊技機では、前枠10が本体30に対して開閉可能となっているとともに、本体30が外枠2に対して開閉可能となっている。
【0028】
ここで
図1に示すように、前枠10が本体30に対して閉じている状態でシリンダー錠28の不具合や鍵の紛失などが発生すると、前枠10を本体30に対して開くことができなくなってしまう。この場合には、本体30にネジ止めされているシリンダー錠28を、ドライバーなどの工具を用いて本体30から取り外せば、シリンダー錠28と前枠ロック部40の連結が解除され、ドライバーなどの工具を用いて前枠ロック部40を強制的に上方にスライドさせて前枠フック32を前枠引掛部34から外すことにより、前枠10を本体30に対して開くことができるようになる。
【0029】
しかし、シリンダー錠28の不具合や鍵の紛失などが発生した場合には、前枠10を本体30に対して開くことができない以上、シリンダー錠28を本体30に固定しているネジにアクセスするためには、シリンダー錠28の周囲を覆う部分を破壊しなければならない。すると、シリンダー錠28の周囲を前枠10が覆っている場合には、前枠10の一部を破壊することになるため、シリンダー錠28を修理・交換するとともに、前枠10も全体的に新しい物に交換しなければならない。
【0030】
そこで本実施形態の遊技機では、
図2に示すように、シリンダー錠28の鍵穴を露出させつつシリンダー錠28の周囲を覆うプラスチック製の錠カバー54(カバー部)を本体30に取り付けている。そして前枠10には、前枠10の自由端(右端)の一部が錠カバー54の形状に合わせて切り欠かれた切欠部56が形成されている。
【0031】
これにより、
図1に示すように前枠10を本体30に対して閉じた状態では、切欠部56と錠カバー54とが嵌り合い、前枠10を本体30に対して閉じた状態であっても、シリンダー錠28の鍵穴とともに錠カバー54の一部が露出するようになっている。そして、前枠10を本体30に対して開くことができなくなってしまった場合には、錠カバー54のうち露出している部分をニッパーなどの工具で破壊することにより、シリンダー錠28を本体30に固定しているネジにドライバーなどの工具がアクセスできるようにしている。
【0032】
図4は、本体30に取り付けられた錠カバー54の正面図である。
図4に示すように、錠カバー54は、シリンダー錠28の鍵穴を露出させるための開口である鍵穴開口部58(開口部)と、鍵穴開口部58の外縁を形成し、前枠10を本体30に対して閉じた状態でも露出するカバー露出部60と、カバー露出部60の外縁を形成し、前枠10を本体30に対して閉じた状態では前枠10に覆われて露出しない被覆部62を備えている。そしてカバー露出部60は、被覆部62よりも前方に突出するように形成されており、
図1に示すように前枠10を本体30に対して閉じた状態において、前枠10の前面よりも前方に突出しないがシリンダー錠28に鍵を差し込みやすいようになっている。
【0033】
図5は、本体30から錠カバー54を取り外した状態を示す斜視図である。
図5に示すように、本体30から錠カバー54を取り外すと、シリンダー錠28を本体30に対して固定している錠ネジ64が露出する。そしてシリンダー錠28の周囲には、部品等が設けられておらず、前方からドライバーなどの工具が錠ネジ64にアクセスできるように作業空間66が設けられている。
【0034】
図6は、錠カバー54を背面側から見た斜視図である。本実施形態の錠カバー54は、
図6に示すように、肉厚が1.5mmほどで内部が空洞となるように成形されている。そしてカバー露出部60の内側面には、鍵穴開口部58を取り囲むように円筒状の円筒部材68(抑制部)が設けられており、円筒部材68の内側にシリンダー錠28の円筒部分が収まるようになっている。
【0035】
ここで
図5に示したように、シリンダー錠28は、奥側の端部の上下2カ所で錠ネジ64により本体30に固定されているため、シリンダー錠28に鍵を差し込んで回転させるごとにシリンダー錠28の手前側が揺り動かされてしまうと、シリンダー錠28の奥側の固定部分に多大な負荷がかかってしまう。
【0036】
そこで本実施形態では、
図6に示すようにカバー露出部60の内側面に円筒部材68を設け、錠カバー54が本体30に取り付けられると、シリンダー錠28の円筒部分の手前側の端部が円筒部材68の内側に収まることによりシリンダー錠28の手前側の揺動を抑制するようにして、シリンダー錠28の奥側の固定部分に多大な負荷がかからないようにしている。
【0037】
そして
図6に示すように、錠カバー54の内部は、円筒部材68とカバー露出部60の内側面との間に、カバー露出部60をニッパーなどの工具で破壊する際に、円筒部材68やシリンダー錠28が障害にならずにニッパーなどの工具の先端が侵入できる余剰空間70が設けられている。すなわち錠カバー54は、
図1に示すように前枠10を本体30に対して閉じた状態においてカバー露出部60をニッパーなどの工具で破壊しやすいように、鍵穴開口部58に対してカバー露出部60の面積を十分に大きくし、錠カバー54の内部の余剰空間70が大きくなるように形成されている。
【0038】
また錠カバー54あるいは前枠10は、
図1に示すように前枠10を本体30に対して閉じた状態において、カバー露出部60と切欠部56との間に隙間が形成されるように形成されている。これにより錠カバー54は、前方に突出するカバー露出部60を有していても、前枠10を本体30に対して閉じるときにカバー露出部60が前枠10に干渉することがないようにするとともに、カバー露出部60をニッパーなどの工具で破壊する際に、前枠10に傷をつけないようにすることができる。
【0039】
図7(A)は、前枠10を本体30に対して閉じた状態でカバー露出部60が破壊された状態を斜め上方から見た斜視図であり、
図7(B)は、斜め下方から見た斜視図である。
図7(A)および(B)に示すように、ニッパーなどの工具によりカバー露出部60が切り取られると(破壊されると)、シリンダー錠28を本体30に固定している2つの錠ネジ64(固定部)を遊技機の外部から視認できるようになる。
【0040】
詳細には本実施形態では、本体30に取り付けられている錠カバー54がシリンダー錠28の周囲を覆う範囲のうち、カバー露出部60が覆う範囲が、シリンダー錠28を本体30に固定している2つの錠ネジ64の位置まで達している。従って本実施形態の錠カバー54は、カバー露出部60をニッパーなどの工具で破壊すると、シリンダー錠28を本体30に固定している錠ネジ64にドライバーなどの工具が遊技機の外部からアクセスできるとともに、本体30から取り外したシリンダー錠28を外部に摘出できるようにする作業口72が形成されるようになっている。
【0041】
すなわち錠カバー54は、鍵穴開口部58に対してカバー露出部60の面積を十分に大きくすることにより、カバー露出部60をニッパーなどの工具で破壊したときにシリンダー錠28を本体30から取り外しやすいように作業口72を大きく形成できるようになっている。
【0042】
そして錠カバー54の内部は空洞となっているとともに、シリンダー錠28の周囲には作業空間66が設けられているため、作業口72からドライバーなどの工具を遊技機の内部に差し込んで、シリンダー錠28を本体30に固定している2つの錠ネジ64を外して、シリンダー錠28を本体30から取り外すことができる。
【0043】
そして、シリンダー錠28を本体30から取り外せば、シリンダー錠28と前枠ロック部40および外枠ロック部44の連結が解除され、ドライバーなどの工具を用いて前枠ロック部40を強制的に上方にスライドさせて前枠フック32を前枠引掛部34から外すことにより、前枠10を本体30に対して開くことができるようになるとともに、外枠ロック部44を強制的に下方にスライドさせて外枠フック36を外枠引掛部38から外すことにより、外枠2を本体30に対して開くことができるようになる。
【0044】
こうして本実施形態の錠カバー54では、錠カバー54の内部の余剰空間70を大きくするとともに、作業口72を大きく形成できるように、鍵穴開口部58に対してカバー露出部60の面積を十分に大きくしているため、シリンダー錠28の不具合や鍵の紛失などが発生した場合に破壊する部分を錠カバー54に限定することができる。従って本実施形態の遊技機では、シリンダー錠28を修理・交換した後には、錠カバー54を新しい物に交換すればよく、前枠10を交換する必要がないようにすることができるため、部品交換に必要なコストを低減することができる。
【0045】
また本実施形態の遊技機は、遊技機の電源がON状態である場合には、前枠10あるいは本体30が開いていることを検出して報知するセキュリティ機能が作動するが、遊技機が店舗に設置されている状態では夜間になると電源がOFF状態にされるため、遊技機単独では電気的なセキュリティ機能が作動しなくなる。そこで本実施形態の遊技機では、遊技機の電源がOFF状態である場合には、鍵があってもシリンダー錠28を解錠できないようにしている。
【0046】
図8は、遊技機の電源がOFF状態である場合にシリンダー錠28を解錠できないようにする規制装置74の正面図である。
図8では、規制装置74の周囲を覆う規制装置カバー76のうち前面部が取り外されている状態を示している。
図8に示すように、本実施形態の遊技機では、シリンダー錠28の右側に隣接して前枠ロック部40がロックガイド部42に対して上下にスライド可能に設けられているとともに、前枠ロック部40の右側に隣接して外枠ロック部44がロックガイド部42に対して上下にスライド可能に設けられている。そしてシリンダー錠28の下方に規制装置74が設けられており、規制装置74は、スライドピン78(規制部)と、ソレノイド80(駆動部)と、スライドピン78とソレノイド80の駆動ピン82とを連結するプラスチック製の連結部84を備えている。
【0047】
スライドピン78は、規制装置カバー76に設けられているピンガイド部86に沿って左右にスライド可能に設けられている。そして
図3に示すように、前枠ロック部40の下部には第1貫通孔88が設けられ、外枠ロック部44の下部には第2貫通孔90が設けられ、ロックガイド部42の下部には第3貫通孔92が設けられており、
図8に示すように、スライドピン78が移動範囲の右端に位置している状態では、スライドピン78の右端が、規制装置カバー76の上部に設けられているカバー貫通孔94を貫通するとともに、第1貫通孔88と第2貫通孔90と第3貫通孔92を貫通するように形成されている。
【0048】
またスライドピン78の左端には、解除バネ96(付勢部)の右端が取り付けられており、解除バネ96の左端は、規制装置カバー76に取り付けられている。そして
図8に示すように、スライドピン78が第1貫通孔88と第2貫通孔90とを貫通している状態では、解除バネ96がスライドピン78を左方に引っ張るように付勢している。
【0049】
また連結部84は、本体30に対して連結軸97を中心として回転可能に取り付けられており、連結軸97よりも上部においてスライドピン78に連結され、連結軸97よりも下部においてソレノイド80の駆動ピン82に連結されている。
【0050】
またソレノイド80は、自己保持型とされ、遊技機の電源がOFF状態である場合には、ソレノイド80の内部に設けられている永久磁石の磁力により、駆動ピン82が引き込まれた収納状態に維持され、遊技機の電源がON状態である場合には、ソレノイド80の内部に設けられているコイルに永久磁石の磁力を打ち消す磁力が発生するように通電されることにより、駆動ピン82が収納状態に引き込まれなくなるように制御される。
【0051】
従って本実施形態の規制装置74では、遊技機の電源がOFF状態である場合には、
図9(A)に示すように、駆動ピン82が収納状態に維持されることにより、連結部84が右回りに回転するように付勢され、解除バネ96の付勢力に抗してスライドピン78が移動範囲の右端にスライドして、スライドピン78が第1貫通孔88と第2貫通孔90を貫通する状態(規制状態)に維持される。
【0052】
一方、遊技機の電源がON状態である場合には、
図9(B)に示すように、駆動ピン82が収納状態に引き込まれなくなることにより、解除バネ96の付勢力によってスライドピン78が左方にスライドして、スライドピン78が第1貫通孔88と第2貫通孔90を貫通しなくなる(解放状態)とともに、連結部84が左回りに回転するように付勢され、駆動ピン82が突出状態に引き出される。
【0053】
そして、遊技機の電源がON状態からOFF状態となる際には、遊技機の電源がOFF状態となる前に、ソレノイド80の内部に設けられているコイルに永久磁石の磁力を補強する磁力が発生するように通電されることにより、
図9(A)に示すように、解除バネ96の付勢力に抗して駆動ピン82が収納状態に引き込まれる。すると、連結部84が右回りに回転するように付勢され、解除バネ96の付勢力に抗してスライドピン78が右方にスライドして、スライドピン78が第1貫通孔88と第2貫通孔90を貫通する。
【0054】
そして、その後で遊技機の電源がOFF状態となることにより、永久磁石の磁力により駆動ピン82が収納状態に維持され、スライドピン78が第1貫通孔88と第2貫通孔90を貫通する状態に維持される。
【0055】
詳細には本実施形態の連結部84は、
図9(A)に示すように、連結軸97よりも上部がスライドピン78を上下に貫通しており、スライドピン78のスライド方向に直交して設けられた作用ピン98が、連結部84の上部に設けられた連結開口100を前後に貫通している。そして遊技機の電源がOFF状態である場合には、
図9(A)に示すように、連結部84が右回りに回転するように付勢されることにより、連結開口100の外縁を構成する外縁部102の左内側面が作用ピン98を右方向に押すようにして、スライドピン78を右方にスライドするように付勢する。
【0056】
一方、遊技機の電源がON状態である場合には、
図9(B)に示すように、解除バネ96の付勢力によってスライドピン78が左方にスライドするように付勢されることにより、作用ピン98が外縁部102の左内側面を左方向に押すようにして、連結部84を左回りに回転するように付勢する。
【0057】
こうして本実施形態の規制装置74は、遊技機の電源がOFF状態である場合には、
図9(A)に示すように、スライドピン78が第1貫通孔88と第2貫通孔90を貫通することにより、前枠ロック部40および外枠ロック部44が施錠位置からスライドしないようにして、前枠10を本体30に対して開くことができないようにするとともに、本体30を外枠2に対して開くことができないようにしている。
【0058】
一方、遊技機の電源がON状態である場合には、
図9(B)に示すように、スライドピン78が第1貫通孔88と第2貫通孔90を貫通しないことにより、前枠ロック部40および外枠ロック部44が施錠位置からスライドできるようにして、前枠10を本体30に対して開くことができるようにするとともに、本体30を外枠2に対して開くことができるようにしている。
【0059】
なお本実施形態の規制装置74には、
図9(A)および(B)に示すように、遊技機の電源がON状態である場合に、スライドピン78が第1貫通孔88と第2貫通孔90を貫通する状態であるか否かを検知するセンサ103が設けられている。そして遊技機の電源がON状態であるにも関わらず、スライドピン78が第1貫通孔88と第2貫通孔90を貫通する状態となっていることを検出した場合には、エラー信号を出力するように形成されている。
【0060】
ここで本実施形態の規制装置74では、遊技機の電源がON状態にならないトラブルや、遊技機の電源がON状態となってもソレノイド80に通電されないトラブルなどにより、スライドピン78が第1貫通孔88と第2貫通孔90を貫通したままになってしまう事態が発生すると、鍵があっても前枠10を本体30に対して開くことができなくなるとともに、本体30を外枠2に対して開くことができなくなってしまう。
【0061】
そこで本実施形態の規制装置74は、
図9(A)に示すように、連結部84の上端部104(連結露出部)が規制装置カバー76の上部から上方に突出するようにしており、スライドピン78が第1貫通孔88と第2貫通孔90を貫通している状態では、
図5に示すように、シリンダー錠28を本体30に固定している錠ネジ64の近傍に連結部84の上端部104が位置するように形成されている。
【0062】
そして、スライドピン78が第1貫通孔88と第2貫通孔90を貫通したままになってしまった場合には、シリンダー錠28の不具合や鍵の紛失などが発生した場合と同様に、
図7(A)に示すように錠カバー54のカバー露出部60をニッパーなどの工具で破壊する。すると、連結部84の上端部104が露出するので、作業口72からペンチなどの工具を遊技機の内部に差し込んで、上端部104をつまんで前後に倒したりねじったり引っ張ったりするように力を加えると、
図10(A)に示すように、外縁部102が作用ピン98と接触する接触部105よりも連結軸97に近い部分である断裂部106で、連結部84が断裂(変形・破壊)するようになっている。
【0063】
すると、
図10(B)に示すように、スライドピン78と連結部84の連結が解除されるので、駆動ピン82が収納状態に維持されていても、解除バネ96の付勢力によりスライドピン78が左方にスライドして、スライドピン78が第1貫通孔88と第2貫通孔90を貫通しなくなる。すると、前枠ロック部40および外枠ロック部44が施錠位置からスライドできるようになり、前枠10を本体30に対して開くことができるようになるとともに、本体30を外枠2に対して開くことができるようになる。
【0064】
詳細には
図10(A)に示すように、断裂部106には、連結部84の厚さが薄くなる切れ込み108が外縁部102を横切るように設けられている。具体的には、本実施形態の連結部84の厚さは3mmとなるように形成されているが、切れ込み108が最も深い部分は厚さが1.5mmとなっている。これにより本実施形態の連結部84は、連結部84の上端部104を前後に倒したりねじったり引っ張ったりするように力を加えると、切れ込み108に沿って連結部84が断裂しやすいようになっている。
【0065】
ここで、連結部84が断裂していない通常の状態では、スライドピン78が左右にスライドする際およびスライドピン78が第1貫通孔88と第2貫通孔90を貫通している状態において、接触部105に左方向の負荷がかかるが、断裂部106の切れ込み108は負荷がかかる方向に沿って設けられている。更に本実施形態の連結部84は、上端部104から接触部105までは連結開口100の横幅が狭くなっているが、接触部105から断裂部106までは連結開口100の横幅が広がるように形成されている。
【0066】
すなわち
図9(A)に示すように、本実施形態の連結部84の外縁部102は、スライドピン78が第1貫通孔88と第2貫通孔90を貫通している状態では、上端部104から接触部105までは、接触部105にかかる左方向への力に対して直交するように形成されており、接触部105から断裂部106までは、接触部105にかかる左方向への力に対して左下方向に斜めに交差するように形成されている。これにより本実施形態では、接触部105に左方向の負荷がかかっても、断裂部106には左下方向に斜めに負荷がかかるようにして断裂部106にかかる負荷を低減させ、連結部84が断裂しないようになっている。
【0067】
こうして本実施形態の連結部84は、接触部105に左方向の負荷がかかっても、連結部84が断裂しないようにしつつ、ペンチなどの工具により上端部104をつまんで前後に倒したりねじったり引っ張ったりするように力を加えると、断裂部106で断裂するようになっている。
【0068】
なお本実施形態では、連結部84が断裂することによりスライドピン78と連結部84の連結が解除されるので、連結部84が断裂していることをもって、遊技機の電源がOFF状態である場合に、前枠10を本体30に対して開かれた、あるいは本体30を外枠2に対して開かれたことを認知することができる。
【0069】
本発明は、上記の実施形態で説明したものに限らず、種々の変形実施が可能であり、以下に変形例を紹介する。なお、上記実施形態や、以下において変形例として説明する各種の手法は、本発明を実現する制御手法として適宜組み合わせて採用することができる。
【0070】
例えば上記実施形態では、シリンダー錠28を本体30から取り外す作業を外部から行うことができるとともに、本体30から取り外したシリンダー錠28を外部に摘出できるようにする作業口72を形成することができるカバー露出部60の例を挙げて説明したが、カバー露出部60を、シリンダー錠28を本体30から取り外す作業を外部から行うことができるが、本体30から取り外したシリンダー錠28を外部に摘出できない大きさの作業口72を形成することができるものにしてもよい。
【0071】
すなわち、シリンダー錠28を本体30から取り外せば、シリンダー錠28と前枠ロック部40および外枠ロック部44の連結が解除されるので、本体30から取り外したシリンダー錠28を外部に摘出しない状態であっても、ドライバーなどの工具を用いて前枠ロック部40あるいは外枠ロック部44を強制的にスライドさせれば、前枠10あるいは外枠2を本体30に対して開くことができるようになる。
【0072】
また上記実施形態では、ニッパーなどの工具によりカバー露出部60を切り取ることにより作業口72が形成される例を挙げて説明したが、カバー露出部60の内側面にカバー露出部60の前面の外周に沿って切れ込みを形成しておき、ハンマーなどの工具でカバー露出部60の前面を叩くと、切れ込みに沿ってカバー露出部60の前面が余剰空間70に陥没するように分離して(破壊されて)、分離したカバー露出部60の前面を取り除くと作業口72が形成されるようにしてもよい。ここでカバー露出部60の前面が陥没する際には、シリンダー錠28の円筒部分の手前側の端部が鍵穴開口部58を貫通するようにしておけばよい。
【0073】
また上記実施形態では、連結部84の外縁部102が2カ所で断裂(変形)することによりスライドピン78と連結部84の連結が解除される例を挙げて説明したが、連結部84の外縁部102が接触部105付近の1カ所で断裂(変形)することによりスライドピン78と連結部84の連結が解除されるようにしてもよい。
【0074】
また上記実施形態では、連結部84が断裂することによりスライドピン78と連結部84の連結が解除される例を挙げて説明したが、連結部84が撓む(変形する)ことによりスライドピン78と連結部84の連結が解除されるようにしてもよい。この場合には、連結部84がスライドピン78を貫通するのではなく、スライドピン78の外側で連結部84が作用ピン98と接触してスライドピン78が連結部84と連結するように構成し、連結部84の上端部104を手前に倒したり下方に押したりするように力を加えると、連結部84が撓むことによりスライドピン78と連結部84の連結が解除されるようにしてもよい。
【0075】
また上記実施形態では、スライドピン78が前枠ロック部40および外枠ロック部44の動作を規制する例を挙げて説明したが、スライドピン78が前枠ロック部40および外枠ロック部44のいずれか一方の動作を規制するようにしてもよい。例えばスライドピン78が前枠ロック部40の動作を規制せずに外枠ロック部44の動作を規制するようにした場合には、スライドピン78が第2貫通孔90を貫通したままになってしまう事態が発生すると、鍵があれば前枠10を本体30に対して開くことができるので、錠カバー54を破壊せずに錠カバー54を本体30に対して固定しているネジを外して錠カバー54を本体30から取り外せば、連結部84を変形あるいは破壊してスライドピン78と連結部84の連結が解除されるようにすることができる。
【0076】
また上記実施形態では、スライドピン78が左右にスライドすることにより規制状態と解放状態との間で動作する例を挙げて説明したが、スライドピン78に代えて所定の軸を中心として回転することにより規制状態と解放状態との間で動作する規制部を設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0077】
2 外枠、4 遊技領域、6 遊技盤、8 ガラスユニット、10 前枠、
12 枠ランプ、14 スピーカー、16 上皿、18 払出口、
20 グリップユニット、22 供給口、24 下皿、26 前枠軸、
28 シリンダー錠、30 本体、32 前枠フック、34 前枠引掛部、
36 外枠フック、38 外枠引掛部、40 前枠ロック部、42 ロックガイド部、
44 外枠ロック部、46 ロックバネ、48 回転部、50 前枠解錠孔、
52 外枠解錠孔、54 錠カバー、56 切欠部、58 鍵穴開口部、
60 カバー露出部、62 被覆部、64 錠ネジ、66 作業空間、68 円筒部材、
70 余剰空間、72 作業口、74 規制装置、76 規制装置カバー、
78 スライドピン、80 ソレノイド、82 駆動ピン、84 連結部、
86 ピンガイド部、88 第1貫通孔、90 第2貫通孔、92 第3貫通孔、
94 カバー貫通孔、96 解除バネ、97 連結軸、98 作用ピン、
100 連結開口、102 外縁部、103 センサ、104 上端部、
105 接触部、106 断裂部、108 切れ込み、