特許第6074180号(P6074180)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6074180
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】自転車用ハンドルカバー
(51)【国際特許分類】
   B62J 23/00 20060101AFI20170123BHJP
   B62J 33/00 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
   B62J23/00 M
   B62J33/00 B
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-153695(P2012-153695)
(22)【出願日】2012年7月9日
(65)【公開番号】特開2014-15121(P2014-15121A)
(43)【公開日】2014年1月30日
【審査請求日】2015年4月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】503356451
【氏名又は名称】有限会社大久保製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100135437
【弁理士】
【氏名又は名称】坂野 哲三
(72)【発明者】
【氏名】大久保 富彦
【審査官】 常盤 務
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−285018(JP,A)
【文献】 実公昭38−022528(JP,Y1)
【文献】 実開平02−048494(JP,U)
【文献】 特開2010−228588(JP,A)
【文献】 実開平06−003790(JP,U)
【文献】 欧州特許出願公開第02006197(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 23/00
B62J 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カバー本体部にハンドル挿入口及び手挿入口が設けられ、ハンドル挿入口の近傍には本体部をハンドルに固定するための固定手段が設けられた自転車用ハンドルカバーにおいて、
カバー本体部は上面側の上面部(11)と裏面側の裏面部(12)とから成り、
手挿入口(14)を形成する上面部(11)の開口縁部から、その開口縁部の全体が延長する延長部材を設け、この延長部材の裏面側に係止部(20)を設け、
この係止部(20)と相互に係着する係止受部(21)をカバー本体部の裏面部(12)の外表面に設け、
且つこの係止受部(21)は裏面部(12)の開口縁部から所定距離離隔した位置に設け、当該離隔距離は、前記係止部(20)が前記裏面部(12)の開口縁部から離隔する距離よりも大きい距離とし、
これにより前記係止部(20)を前記係止受部(21)に相互に係着することにより、前記係止部(20)と前記係止受部(21)との中間部位で上面部(11)と裏面部(12)とが共に重ね合わされたままの状態で共に折曲され、手挿入口(14)の開口部の全体が閉鎖されることを特徴とする自転車用ハンドルカバー。
【請求項2】
前記固定手段が抜け防止部(24, 25)と開口部収束部(26, 27)とからなり、
抜け防止部(24)は帯状部材から成り、その一端は前記ハンドル挿入口(13)の一方縁部に固定され、その他端には面ファスナー等の係着部材(24f) を設け、ハンドル挿入口(13)の他方縁部にも前記係着部材(24f) と相互に係着する係着受部材(25f)を設け、これら係着部材(24f)と係着受部材(25f)を相互に係着することにより当該抜け防止部(24, 25)がブレーキレバーの支持部に掛止して本体部の抜け防止機能を発揮し、
開口部収束部(26, 27)も帯状部材からなり、その一端は前記ハンドル挿入口(13)の一方縁部に固定され、その他端には面ファスナー等の係着部材(26f)を設け、ハンドル挿入口(13)の他方縁部には前記係着部材(26f)と相互に係着する係着受部材(27f)を設け、これらの係着部材(26f)と係着受部材(27f)を相互に係着することによりハンドル挿入口(13)が収束されて本体部がハンドルに固定されることを特徴とする請求項1に記載の自転車用ハンドルカバー。
【請求項3】
前記ハンドル挿入口(13)からハンドルグリップ、ブレーキレバー及び変速ギヤ操作部等の付属物を挿入することができ、
このハンドル挿入口(13)の内周縁の一部分に伸縮自在の襠部(16)を配設し、当該襠部(16)を引き伸ばすことにより、ハンドル挿入口(13)の開口部が拡開され、前記ハンドルグリップ、ブレーキレバー及び付属物を挿入することができ、
その後ハンドル挿入口(13)の近傍に設けられた固定手段を固定することによって取り付けることができることを特徴とする請求項1又は2に記載の自転車用ハンドルカバー。
【請求項4】
前記ハンドル挿入口(13)の近傍で、ハンドルに装着された付属物に対応する部位に内部を見通せる透明窓部(15)を設けたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の自転車用ハンドルカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラットハンドルバーを採用しているクロスバイク等の自転車用のハンドルカバーの改良に関するものであるが、一般のシティサイクルや婦人用自転車にも使用できるものである。
【背景技術】
【0002】
現在、クロスバイクという形式の自転車が市場で人気を博している。
このクロスバイクというのは、マウンテンバイクと競技用自転車を合体させたような自転車であって、両者の長所を兼ね備えた自転車である。
つまり、マウンテンバイクは、そのハンドルがフラット(ハンドルポストに対して略直角に横方向に直線的)なタイプを用い、タイヤは太く、そのフレームも頑丈な作りを採用し、悪路を自在に走行できるものである。
他方、競技用自転車は、軽量で丈夫なフレームからなり、そのスピードを第一の目的としてタイヤも極めて細く、ダウンハンドルを採用するものである。
【0003】
そこで、これら競技用自転車とマウンテンバイクの長所を兼ね備えた、つまり頑丈でスピードも楽しめるクロスバイクが人気を得ているのである。
このクロスバイクの形態は、その車輪が、通常一般のシティサイクルより細く、強く、しかもより頑丈なマウンテンバイクで用いられているフラットハンドルを採用し、更に変速ギアも5段又は6段以上の多段変速ギアが用いられているものである。
本発明は、このようなクロスバイク用に使用されるハンドルカバー、つまりフラットハンドル用のハンドルカバーの改良を提案するものである。勿論このカバーは一般のシティサイクルや婦人用自転車のハンドルにも適用できるものである。
【0004】
下記特許文献に記載の従来の自転車用ハンドルカバーは、本願出願人が先に提案したものであるが、上記クロスバイク用のハンドルカバーの改良である。
この発明の課題は、ハンドルカバーの手挿入口内に手を挿入する際、カバーが前方に移動(回動)してしまわないようにすることであった。
そのために、カバー内部でハンドルのグリップエンドが対応する位置に、ゴム紐を配備し、このゴム紐の両端部をカバーの裏面外側に導出してこれら両端部を収束して、カバーが移動しないように固定できるようにし、上記課題を解決したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−285018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記クロスバイク等においては、フラットハンドルが採用されており、ブレーキレバーの角度調整も可能なものである。
そして、このフラットハンドルに取り付けるハンドルカバーは、ハンドル挿入口と手挿入口の挿入方向の角度は略直角方向に配置されており、このハンドルカバーを装着すると、ハンドル挿入口は横方向に、手挿入口は手前側方向、つまり後ろ向き方向に向くこととなる。
そして、上述した通り、自転車の使用者が使い易くするために、ブレーキレバーの角度も適宜調整してハンドルカバーを装着すると、カバーの手挿入口は、自然と斜め上向きとなるのである(添付の図4(A)参照)。
【0007】
このように、ハンドルカバーの手挿入口が斜め上向きになると、駐輪中や不使用時に雨が降った場合には、手挿入口から雨水等が浸入してハンドルカバーの内部が濡れてしまうという大きな問題が生じるのである。
同様に、この手挿入口が上向きであると、埃や粉塵の侵入という問題も発生する。
そこで、本発明においては、このようにハンドルカバーの手挿入口がたとえ上向きに装着されたとしても、雨や埃、塵埃等からその内部を防御することをその第一の課題とするものである。
また、カバーの装着の簡易化、ハンドルグリップ周辺に装着されている変速ギヤの操作部の操作や電動アシスト車のバッテリー表示部の確認等を容易に可能とすることも本発明の課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の第1のものは、カバー本体部にハンドル挿入口及び手挿入口が設けられ、ハンドル挿入口の近傍には本体部をハンドルに固定するための固定手段が設けられた自転車用ハンドルカバーにおいて、カバー本体部は上面側の上面部と裏面側の裏面部とから成り、手挿入口を形成する上面部の開口縁部から、その開口縁部の全体が延長する延長部材を設け、この延長部材の裏面側に係止部を設け、この係止部と相互に係着する係止受部をカバー本体部の裏面部の外表面に設け、且つこの係止受部は裏面部の開口縁部から所定距離離隔した位置に設け、当該離隔距離は、前記係止部が前記裏面部の開口縁部から離隔する距離よりも大きい距離とし、これにより前記係止部を前記係止受部に相互に係着することにより、前記係止部と前記係止受部との中間部位で上面部と裏面部とが共に重ね合わされたままの状態で共に折曲され、手挿入口の開口部の全体が閉鎖されることを特徴とする自転車用ハンドルカバーである。
【0009】
本発明の第2のものは、上記第1の発明において、前記固定手段が抜け防止部と開口部収束部とからなり、抜け防止部は帯状部材から成り、その一端は前記ハンドル挿入口の一方縁部に固定され、その他端には面ファスナー等の係着部材を設け、ハンドル挿入口の他方縁部にも前記係着部材と相互に係着する係着受部材を設け、これら係着部材と係着受部材を相互に係着することにより当該抜け防止部がブレーキレバーの支持部に掛止して本体部の抜け防止機能を発揮し、開口部収束部も帯状部材からなり、その一端は前記ハンドル挿入口の一方縁部に固定され、その他端には面ファスナー等の係着部材を設け、ハンドル挿入口の他方縁部には前記係着部材と相互に係着する係着受部材を設け、これらの係着部材と係着受部材を相互に係着することによりハンドル挿入口が収束されて本体部がハンドルに固定されることを特徴とする自転車用ハンドルカバーである。
【0010】
本発明の第3のものは、上記第1又は第2の発明おいて、前記ハンドル挿入口からハンドルグリップ、ブレーキレバー及び変速ギヤ操作部等の付属物を挿入することができ、このハンドル挿入口の内周縁の一部分に伸縮自在の襠部を配設し、当該襠部を引き伸ばすことにより、ハンドル挿入口の開口部が拡開され、前記ハンドルグリップ、ブレーキレバー及び付属物を挿入することができ、その後ハンドル挿入口の近傍に設けられた固定手段を固定することによって取り付けることができることを特徴とする自転車用ハンドルカバーである。
【0011】
本発明の第4のものは、上記第1乃至第3の何れかの発明において、前記ハンドル挿入口の近傍で、ハンドルに装着された付属物に対応する部位に内部を見通せる透明窓部を設けたことを特徴とする自転車用ハンドルカバーである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の第1のものにおいては、カバー本体部にハンドル挿入口及び手挿入口が設けられ、ハンドル挿入口の近傍には本体部をハンドルに固定するための固定手段が設けられた自転車用ハンドルカバーにおいて、カバー本体部は上面側の上面部と裏面側の裏面部とから成り、手挿入口を形成する上面部の開口縁部から、その開口縁部の全体が延長する延長部材を設け、この延長部材の裏面側に係止部を設け、この係止部と相互に係着する係止受部をカバー本体部の裏面部の外表面に設け、且つこの係止受部は裏面部の開口縁部から所定距離離隔した位置に設け、当該離隔距離は、前記係止部(20)が前記裏面部(12)の開口縁部から離隔する距離よりも大きい距離とし、これにより前記係止部を前記係止受部に相互に係着することにより、前記係止部と前記係止受部との中間部位で上面部と裏面部とが共に重ね合わされたままの状態で共に折曲され、手挿入口の開口部の全体を閉鎖できるように構成したものである。
【0013】
これにより、手挿入口は閉鎖されるために、駐輪中等にたとえ雨が降ったとしても、ハンドルカバーの内部に雨水が侵入することがなく、また埃や塵埃等の侵入も防止でき、カバー内部の水濡れ、汚れ等を防止することができるのである。
特に、フラットハンドル形式の自転車にあっては、カバーの手挿入口が上向きとなるために極めて大きな効果を発揮することとなり、また、フラットハンドルばかりでなく、その他の形式のシティサイクルや婦人用自転車等のハンドルに関してもこの効果は発揮されるのである。
【0014】
本発明の第のものは、ハンドル挿入口の近傍に設けた固定手段をより限定したものであって、この固定手段が抜け防止部と開口部収束部とから構成されたものである。
そして、抜け防止部は帯状部材から成り、その一端は前記ハンドル挿入口の一方縁部に固定され、その他端には面ファスナー等の係着部材を設け、ハンドル挿入口の他方縁部にも前記係着部材と相互に係着する係着受部材を設け、これら係着部材と係着受部材を相互に係着することにより当該抜け防止部がブレーキレバーの支持部に掛止して本体部の抜け防止機能を発揮するのである。
即ち、この抜け防止部により、本発明に係るハンドルカバーがハンドルグリップから抜け落ちる心配が無くなるのである。
【0015】
他方、開口部収束部も帯状部材からなり、その一端は前記ハンドル挿入口の一方縁部に固定され、その他端には面ファスナー等の係着部材を設け、ハンドル挿入口の他方縁部には前記係着部材と相互に係着する係着受部材を設け、これらの係着部材と係着受部材を相互に係着することによりハンドル挿入口が収束されて本体部がハンドルに固定される。
即ち、この開口部収束部は、ワンタッチで相互にその端部が係着され、簡単に固定を完了することができるものとなる。
【0016】
本発明の第のものは、上記ハンドル挿入口の内周縁の一部分に伸縮自在の襠部を配設し、当該襠部を引き伸ばすことにより、前記ハンドルグリップ、ブレーキレバー及び付属物を挿入することができ、その後ハンドル挿入口の近傍に設けられた固定手段を固定することによって取り付けることができるものである。
即ち、上記伸縮自在の襠部を設けることにより、簡単にカバーを自転車のハンドルに装着でき、装着後にはかかる襠部が収縮して、手挿入口の隙間を少なくし、防寒及び防水の効果を発揮することができる。
【0017】
本発明の第のものにおいては、前記ハンドル挿入口の近傍で、ハンドルに装着された付属物に対応する部位に内部を見通せる透明窓部を設けたため、変速ギヤの選択操作や電動アシスト車のバッテリー表示部の視認も容易に可能となり、便利なものとなるのである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係るハンドルカバーの一実施形態を示す全体説明図であって、その(A)が上面側から見た説明図、その(B)裏面側から見た説明図である。
図2】上記実施形態に係るハンドルカバーを自転車のハンドルに装着する手順を示す説明図であり、その(A)がハンドル挿入口を拡開してハンドルグリップ部に挿入しようとする状態を示し、その(B)がハンドルカバーをハンドルグリップ部分に被覆した状態を示し、その(C)がハンドルカバーをハンドルに取り付け完了した状態を示している。
図3】上記実施形態に係るハンドルカバーがハンドルに取り付けられ固定された状態を示す説明図であり、その(A)が手挿入口が開放されている状態を示し、その(B)が手挿入口が閉鎖されている状態を示しており、手挿入口側から見た図である。
図4】上記実施形態に係るハンドルカバーがハンドルに取り付けられ固定された状態を示す説明図であり、その(A)が手挿入口が開放されている状態を示し、その(B)が手挿入口が閉鎖されている状態を示しており、その側面方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下添付の図面と共に、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明に係るハンドルカバーの一実施形態を示す全体説明図であって、その(A)が上面側から見た説明図、その(B)裏面側から見た説明図である。
このハンドルカバー10は、フラットハンドル形式の自転車のハンドルグリップ及びブレーキレバー並びに各種の付属物(変速ギヤ操作部や電動アシスト車のバッテリー表示部等以下、単に「付属物」という。)の全体を被覆できるような形状を有している。
【0020】
カバー本体部は、その上面側の上面部11とその裏面側の裏面部12の生地の周縁部を適宜縫製して、上面部11の図中左側にハンドル挿入口13を設け、上面部11の図中下側に手挿入口14を設けている。ハンドルがフラット形式のため、ハンドル挿入口13と手挿入口14の開口方向は略直角の関係となる。
この図に示したカバーは、右側のものであるが、左側のものはこれと対称形のものとなる。
【0021】
上面部11のハンドル挿入口13の側の部分は、透明の合成樹脂素材を使用して透明窓部15を形成している。
この透明窓部15により、その内部に位置することとなる変速ギヤ操作部や電動アシスト車のバッテリー表示部等のハンドルグリップ根元部に装備される各種の付属物を外部から視認することができることとなる。
【0022】
本発明においては、ハンドル挿入口13の下方部分には、伸縮自在な素材から成る襠部16が設けられている。
この襠部16は、ハンドル挿入口13の開口周縁部の一部である下方部分に設けられ、ポリウレタンとポリエステル生地とが接合された1枚の伸縮自在なシート状体のものから形成されている。
【0023】
従って、このハンドル挿入口13自体が小さな開口部からなるものであっても、その開口部を拡開させてハンドルグリップ、ブレーキレバー及び付属物を容易に挿入させることができる。
逆に、この開口部をより小さなものとすることにより、カバーをハンドルに取り付けた際にそのハンドル挿入口13の隙間をより小さなものとすることができるのである。
【0024】
そして、本発明の第一の特徴部分は、手挿入口14の開口部分の構成である。
この手挿入口14の開口部は、その上面部を少し長く延長して延長部14eを設け、この延長部14eの裏面に雌留めホック20からなる係止部又は係止具を設け、これに対応する係止受部としての雄留めホック21を裏面部12の表面に設けている。
これにより、雌留めホック20を雄留めホック21に係止又は係着することにより、手挿入口14の部分が裏面部側に折り曲げられ、手挿入口14の開口部を閉鎖又は封鎖させることができるのである。
【0025】
フラットハンドルに装着する本発明に係るハンドルカバーにおいては、そのカバーの手挿入口14が斜め上方に向いてしまい、それにより手挿入口14から雨水や埃等が浸入するという問題があったが、上記のように手挿入口14の開口部が閉鎖されることにより、このような問題を解消させることができるのである。
尚、上記係止受部としての雄留めホック21は、この実施形態では、帯状部材21bに設けているが、この雄留めホック21を裏面部12に直接取り付けることもできる。
勿論、雌留めホック20と雄留めホック21は、それぞれ逆に取り付けることもできる。
【0026】
ハンドル挿入口13の近傍には、このハンドルカバーを自転車のハンドルに固定するための固定手段が設けられている。
この固定手段は、抜け防止部24、25と、開口部収束部26、27とから成る。
抜け防止部24は帯状部材からなり、その一端は上記ハンドル挿入口13の開口縁部に固定され、その他方端には係着部材としての面ファスナー24fが設けられている。
【0027】
この抜け防止部24と対向するハンドル挿入口13の開口縁部にも、前記面ファスナー24fと相互に係着する係着受部材としての面ファスナー25fが設けられ、これらの面ファスナー24f、25f同士を相互に係着することにより、ハンドル挿入口13の開口部を横断するように(掛け渡されるように)抜け防止部24が固定されるのである。
この抜け防止部24によって分割された開口部の一方(前方部)にはブレーキ用ワイヤー及び変速ギヤ用ワイヤー等が挿通され、開口部の他方(後方部)にはハンドルバーが挿通して、この抜け防止部24はブレーキレバーの根元部の支持部に引っ掛かる(掛止する)こととなり、抜けてしまうことが無くなるのである。
【0028】
次に、開口部収束部26、27を相互に係着することにより、ハンドル挿入口13の開口部をより小さく収束させて、当該ハンドル挿入口13の部位で固定されることとなる。
この開口部収束部26、27の構成も上記抜け防止部24、25と同様の構成である。
即ち、この開口部収束部26は帯状部材からなり、その一端は上記ハンドル挿入口13の襠部16が設けられている縁部で、且つ開口部の開口縁部の周方向に固定され、その他方端部には係着部材としての面ファスナー26fが設けられている。
【0029】
この開口部収束部26の面ファスナー26fに対応する襠部16が設けられた開口部の他方縁部にこの面ファスナー26fと相互に係着する係着受部としての面ファスナー27fを設け、これら面ファスナー26fと27fを相互に係着することによりハンドル挿入口13がより小さく収束されて、ハンドルバーに本発明に係るハンドルカバー10が装着され、固定されるのである。
【0030】
図2は、上記実施形態に係るハンドルカバーを自転車のハンドルに装着する手順を示す説明図であり、その(A)がハンドル挿入口を拡開してハンドルグリップ部に挿入しようとする状態を示し、その(B)がハンドルカバーをハンドルグリップ部分に被覆した状態を示し、その(C)がハンドルカバーをハンドルに取り付け完了した状態を示している。
【0031】
図2(A)に図示した通り、本発明に係るハンドルカバー10のハンドル挿入口13の開口部の縁部を両手で把持して、拡開する。襠部16が伸張して開口部は大きく広がる。
開口部を大きく広げることにより、ハンドルグリップHGやブレーキレバーB及び付属物をカバーの内部に挿入することができる。
【0032】
図2(B)に図示した通り、ハンドルカバー10を装着すると、カバー内部には、ハンドルグリップ、ブレーキレバーそして各種付属物がその内部に納められた状態となる。
この状態ではまだハンドル挿入口13は収束され、固定されていない。
また、透明窓部15から内部の付属物を外部から視認することができる。
【0033】
図2(C)に図示した通り、抜け防止部24の先端を抜け防止部25に係着することにより、ハンドル挿入口13は2分割され、その一方にブレーキワイヤー等が挿通され、他方にハンドルバーが挿通される。
次に、開口部収束部26の先端を開口部収束部27に係着することにより、ハンドル挿入口13の開口部がより小さく収束されて固定されるのである。
【0034】
以上により、本発明に係るハンドルカバーは、抜け防止部24、25によりハンドルから抜け落ちる恐れが無くなり、開口部収束部26、27によりハンドル挿入口13もより小さく収束され、固定されるのである。
また、この状態において透明窓部15を通して内部の付属物を透視することができるのである。
【0035】
図3は上記実施形態に係るハンドルカバーがハンドルグリップに取り付けられ固定された状態を示す説明図であり、その(A)が手挿入口が開放されている状態を示し、その(B)が手挿入口が閉鎖されている状態を示しており、手挿入口側から見た図である。
上記実施形態に係るハンドルカバー10においては、その上面部11の延長部14eの部分に雌留めホック20を設けており、その裏面部12の対応する位置に雄留めホック21を設け、これらを相互に係止することにより、ハンドルカバー10の手挿入口14が閉鎖される構成である。
【0036】
図3(A)は、その手挿入口14が開放されたままの状態、つまり使用時の状態を図示しており、この図からは明瞭には見て取れないが、この手挿入口14の開口部は斜め上方に向いている(次図で説明する。)。
そして、上記係止部及び係止受部としての雌留めホック20と雄留めホック21とを相互に係止することにより、手挿入口14の開口部が下方に折れ曲がった状態で閉鎖されるのである。
このようにして、駐輪時等に手挿入口14から雨水や埃・塵埃等の侵入を防止することができるのである。
【0037】
図4は、上記図3と同様、上記実施形態に係るハンドルカバーがハンドルグリップに取り付けられ固定された状態を示す説明図であり、その(A)が手挿入口が開放されている状態を示し、その(B)が手挿入口が閉鎖されている状態を示しており、その側面方向から見た図である。
【0038】
これらの図から解る通り、フラットハンドルに本発明に係るハンドルカバーを装着するとその手挿入口14は、図中右上(図中矢印D)の方向を向く。即ち、斜め上方方向を向くのである。
この斜め上方に向く角度は、自転車の使用者がそのブレーキレバーの角度を自分が使用し易いように調整を行うことにより、自ずとその角度は決定される。
【0039】
そして、自転車の不使用時には、手挿入口14の延長部14eに設けられた係止部としての雌留めホック20をカバーの裏面部12の対応する部位に設けられた雄留めホック21に係止することにより、カバーの手挿入口14の部分が裏面部側に折り曲げられた状態で、その開口部が封鎖されるのである(図4(B)の状態)。
これにより、雨水や粉塵・埃等が手挿入口14からカバー内部に侵入することが防止されることとなるのである。
【0040】
尚、本発明に係るハンドルカバーは、左右対称のものを一組として製品化されるものであり、その説明の都合上、上記図1及び図2においては、その右側のものを図示し、上記図3及び図4においては、その左側のものを図示している。
また、ハンドルカバー10の上面部11と裏面部12の周縁縫着部、並びに、ハンドル挿入口13及び手挿入口14の開口周縁部には、カバリングとして合成繊維製の帯状生地を用いて縫着している。
上記の周縁部のカバリングは、縁部の補強と外観の向上の役目ばかりでなく、ハンドル部や手の挿入を容易にさせるために寄与する。
【0041】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明においては以下の通りその形態を種々変更することができる。
まず、本発明に係る上記実施形態においては、フラットハンドルに適用するものとしてハンドル挿入口と手挿入口が略直角方向に位置するものとして説明したが、本発明に係るハンドルカバーは、通常のシティサイクルや婦人用サイクル等にも適用できる。
即ち、ハンドル挿入口と手挿入口が上記のように略直角でなく、同じ方向に一直線上に配置されるものにおいても適用可能なものである。
【0042】
ハンドルカバーの外形形状は、ハンドルグリップ及びブレーキレバー並びに各種の付属物を覆うことができる形状に種々任意に設計変更することができる。
要するに、グリップ及びブレーキレバー部分及びその中央寄りの変速ギヤ操作部等の付属物を適切に被覆できる形状であれば、種々変更してその形態を設計することができる。
【0043】
その素材も、ハンドルカバーとして適切に利用できる素材であればよく、即ち、保形性、耐候性、防水性等を考慮して、適宜適切なものを選択して使用することができる。
襠部の素材も自由に選択することができ、伸縮性を有するものであれば、どのようなものであっても良いが、防水性を有するものが極めて好ましい。
勿論、この襠部は必ずしもシート状のものでなくともよく、伸縮自在であればよい。
襠部のサイズも適宜必要に応じて設定することができる。
【0044】
固定手段を構成する抜け防止部及び開口部収束部もその幅や長さ等適宜必要に応じて設定でき、その係着部材や係着受部材も面ファスナーでなく、留めホックやボタン等の他の形式の相互に係着又は係止できる部材を利用することも可能である。しかし、相互に係着できる部位が特定されない面ファスナーが極めて好ましい。
係着部材及び係着受部材は相互に逆に設けることも自由である。
【0045】
カバー上面部に設けた透明窓部は任意な構成要素ではあるが、付属物を見通すために、これを設けることが極めて好ましいものであり、その設ける広さも必要に応じて決定することができる。
【0046】
カバー上面部に設けた係止部又は係止具と、裏面部に設けた係止受部は、上記実施形態では、雄留めホックと雌留めホックとから形成したが、これら係止部等及び係止受部は他の形態をもの、例えば、ボタンや鉤部材又は面ファスナー等を採用することもできる。
また、これら係止部等及び係止受部として採用する手段はそれぞれ反対に設けることもできる。
【0047】
上記実施形態においては、係止部又は係止具を上面部の延長部に設けたが、この延長部は、上面部の縁部から帯状に延長する帯状部材又は適宜幅の延長部材(シート材、舌片等)であってもよく、これら上記係止部又は係止具を設けることも可能である。
更に、本発明においては、この係止部又は係止具は、上記実施形態において裏面部の側に設け、係止受部を上面部の側に設けることもできる。
即ち、通常のシティサイクルや婦人用自転車の場合には、ハンドル挿入口と手挿入口が前後方向に、同一方向になるが、手挿入口はその内側又は外側の何れの側にも折り曲げることが可能だからである。
【0048】
以上、本発明は、簡易な構成ではあるが、ハンドルカバーを自転車のハンドルに取り付けた後、手挿入口を折り曲げてその開口部を閉鎖することができ、駐輪時等の不使用時に手挿入口からの雨水、塵埃、埃等の侵入を有効に防止することができるハンドルカバーを提供することができたものである。
【符号の説明】
【0049】
10 ハンドルカバー
11 上面部
12 裏面部
13 ハンドル挿入口
14 手挿入口
14e 延長部
15 透明窓部
16 襠部
20 雌留めホック(係止部)
21 雄留めホック(係止受部)
24、25 抜け防止部
26、27 開口部収束部
24f、25f、26f、27f 面ファスナー
図1
図2
図3
図4