特許第6074188号(P6074188)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6074188
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】蓄電充電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 1/00 20060101AFI20170123BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20170123BHJP
   H02H 7/122 20060101ALI20170123BHJP
   H02H 7/125 20060101ALI20170123BHJP
   H02H 9/02 20060101ALI20170123BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20170123BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
   H02J1/00 309R
   H02J1/00 306L
   H02J3/32
   H02H7/122
   H02H7/125
   H02H9/02 D
   H02J7/00 S
   H01M10/44 Q
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-169255(P2012-169255)
(22)【出願日】2012年7月31日
(65)【公開番号】特開2014-30289(P2014-30289A)
(43)【公開日】2014年2月13日
【審査請求日】2015年4月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000217491
【氏名又は名称】田淵電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100086793
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅士
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144082
【弁理士】
【氏名又は名称】林田 久美子
(74)【代理人】
【識別番号】100167977
【弁理士】
【氏名又は名称】大友 昭男
(72)【発明者】
【氏名】徳納 樹也
(72)【発明者】
【氏名】高橋 昌伸
(72)【発明者】
【氏名】小西 啓文
【審査官】 坂本 聡生
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−147329(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/055556(WO,A1)
【文献】 特開2011−196589(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/056797(WO,A1)
【文献】 特開2006−129573(JP,A)
【文献】 特表2008−529159(JP,A)
【文献】 特開2000−092695(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M10/42−10/48
H02H 7/00
7/10− 7/20
9/00− 9/08
H02J 1/00− 7/12
7/34− 7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
系統側から蓄電池までの間に系統接続リレー、AC/DCインバータ、バスライン、およびDC/DCコンバータがこの順序で接続された充電系統(本来の充電系統)を有した蓄電充電装置であって、
前記AC/DCインバータ起動時に、前記バスラインの電圧(バスライン電圧)が所定電圧より低いときに前記蓄電池を充電するときは、前記系統接続リレーをOFFにし、前記系統側の充電電流を前記本来の充電系統とは別の充電系統を介して前記AC/DCインバータから前記バスラインに流し、前記バスライン電圧が前記充電電流により前記所定電圧以上に高くなると、前記別の充電系統をOFFにし、前記系統接続リレーをONにして、前記蓄電池への充電系統を前記本来の充電系統に切り替えるものであり、
前記別の充電系統は、前記系統接続リレーに並列に接続されたバスラインプリチャージ回路を含み、前記バスラインプリチャージ回路は、負温度係数のサーミスタである電流制限抵抗と過大電流突入防止リレーとの直列回路を含むと共に、前記バスライン電圧が前記所定電圧より低いときに前記蓄電池に充電するときは、前記過大電流突入防止リレーをONに制御する、蓄電充電装置。
【請求項2】
前記AC/DCインバータは、インバータ回路部とインバータ制御部とを有し、前記インバータ制御部が前記バスライン電圧をモニタし、前記バスライン電圧が前記充電電流により前記所定電圧以上に高くなると、前記DC/DCコンバータに電源を供給して前記DC/DCコンバータを起動する、請求項1に記載の蓄電充電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、系統側の電圧を双方向等のAC/DCインバータおよびDC/DCコンバータを介して電池モジュール等の蓄電池に充電する蓄電充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の蓄電充電装置には、AC/DCインバータのAC側に系統側を接続し、このAC/DCインバータのDC側をバスラインに接続すると共に、このバスラインに双方向DC/DCコンバータの一次側を接続し、この双方向DC/DCコンバータの二次側に電池モジュールを接続し、バスラインにはコンデンサを接続して構成したものがある。
【0003】
そして、系統側の電圧(系統電圧:例えば200V)を電池モジュールに充電する際は、その系統電圧をAC/DCインバータによりAC/DC変換したうえで、バスラインのコンデンサを充電し、このバスラインの電圧が系統電圧より同等以上の電圧、例えば240Vになると、双方向DC/DCコンバータを介して電池モジュールに充電するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−056462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような蓄電充電装置において、系統電圧を電池モジュールに充電するときに、バスライン電圧が系統電圧より例えば極端に低いような場合には、系統側からAC/DCインバータには過大な電流が流れ込み、AC/DCインバータ内部の回路素子が破壊されてしまう虞れが高い。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、系統電圧を電池モジュール等の蓄電池に充電するときに、バスライン電圧が系統電圧より低くても、AC/DCインバータ内部の回路素子が破壊されることなく、電池モジュール等の蓄電池に充電できる蓄電充電装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、系統側から蓄電池までの間に系統接続リレー、AC/DCインバータ、バスライン、およびDC/DCコンバータがこの順序で接続された充電系統(本来の充電系統)を有した蓄電充電装置であって、前記バスラインの電圧(バスライン電圧)が前記系統側の電圧(系統電圧)より低いときに前記蓄電池を充電するときは、前記系統接続リレーをOFFにし、前記系統側の充電電流を前記本来の充電系統とは別の充電系統を介して前記AC/DCインバータから前記バスラインに流し、前記バスライン電圧が前記充電電流により前記系統電圧より高い所定電圧以上に高くなると、前記別の充電系統をOFFにし、前記系統接続リレーをONにして、前記蓄電池への充電系統を前記本来の充電系統に切り替えることを特徴とする。
【0008】
好ましくは、前記本来の充電系統は、前記系統側と前記AC/DCインバータとの間に系統接続リレーを含み、前記別の充電系統は、前記系統接続リレーに並列に接続されたバスラインプリチャージ回路を含み、前記バスラインプリチャージ回路は、電流制限抵抗と過大電流突入防止リレーとの直列回路を含むと共に、前記蓄電池に充電するときに前記バスライン電圧が前記系統電圧より低いときに、前記過大電流突入防止リレーをONに制御する。
【0009】
好ましくは、前記AC/DCインバータは、双方向AC/DCインバータである。
【0010】
好ましくは、前記電流制限抵抗は、負温度係数のサーミスタである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、系統電圧をAC/DCインバータ、バスライン、DC/DCコンバータを介して電池モジュール等の蓄電池に充電するために、前記AC/DCインバータを起動するとき、系統側の電圧がバスライン電圧より低いときは、系統接続リレーをOFFにし、かつ、前記系統接続リレーに並列のバスラインプリチャージ回路内のスイッチをONにし、かつ、前記系統側側から前記AC/DCインバータにはバスラインプリチャージ回路内の抵抗を介して突入電流が流れる。そのため、AC/DCインバータの起動時には、前記抵抗により前記突入電流は減衰される。その結果、AC/DCインバータ内の回路素子は、前記突入電流により破壊されることはなくなる。
【0012】
なお、本発明において、前記抵抗を負温度係数のサーミスタで構成すると、突入電流が流れ続けることでサーミスタの抵抗値が減少し、これにより、通常の抵抗を接続した場合と比較して、電力損失が低減される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の実施形態に係る蓄電充電装置のブロック回路図である。
図2図2は、図1の蓄電充電装置の動作説明に供するタイミングチャートである。
図3図3は、図1の蓄電充電装置の動作説明に供するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施の形態に係る蓄電充電装置を説明する。
【0015】
図1を参照して、蓄電充電装置全体の構成を説明すると、1は系統側、2は家庭内負荷、3はACブレーカ、4は系統接続リレー、5はバスラインプリチャージ回路、6は双方向のAC/DCインバータ、7は制御電源、8は制御部、9はバスライン、10はコンデンサ、11は双方向DC/DCコンバータ用の電源、12は双方向のDC/DCコンバータ、13は接続リレー、14は蓄電池モジュールである。
【0016】
バスラインプリチャージ回路5は、制御部8によりON/OFF制御される過大電流突入防止リレー5aと、過大電流の突入防止用抵抗として負温度係数を有するサーミスタ5bとから構成される。
【0017】
AC/DCインバータ6は、双方向にAC/DC変換が可能なインバータ回路部6aと、制御部8と通信してインバータ回路部6aの動作を制御するインバータ制御部6bとを有する。インバータ回路部6aは、例えば4つのIGBTがフルブリッジ接続され、各IGBTに逆並列にダイオードが接続された構成を有する。
【0018】
制御電源7は、系統側1の電圧を直流電圧に変換し、この変換した直流電圧を蓄電充電装置全体を制御する制御部8にその作動電源として供給するか、または、バスライン9の直流電圧を別の直流電圧に変換し、この変換した直流電圧を制御部8にその作動電源として供給する。
【0019】
制御部8は、バスラインプリチャージ回路5、双方向AC/DCインバータ6のインバータ制御部6b、および双方向DC/DCコンバータ装置12と通信してそれらを制御する。
【0020】
コンデンサ10は、双方向AC/DCインバータ6と双方向DC/DCコンバータ12とで共用されるコンデンサである。
【0021】
双方向DC/DCコンバータ用電源11は、バスライン電圧を用いて双方向DC/DCコンバータ装置12に電源を供給する。
【0022】
双方向DC/DCコンバータ12は、一次側がバスライン9に接続され、二次側が蓄電池モジュール4に接続され、制御部8の指令に応答してバスライン9の直流電圧をDC/DC変換し、DC/DC変換した直流電圧を二次側から蓄電池モジュール4に出力し、また、制御部8の指令に応答して二次側に入力した蓄電池モジュール4の充電電圧をDC/DC変換し、DC/DC変換した充電電圧を一次側からバスライン9に出力する。
【0023】
蓄電池モジュール4は、双方向DC/DCコンバータ12の二次側から出力される直流電圧を充電し、また、その充電電圧を双方向DC/DCコンバータ12の二次側に入力する。
【0024】
以上の構成において、実施形態の蓄電充電装置は、系統側1から電池モジュール14までの間に、ACブレーカ3、系統接続リレー4、双方向AC/DCインバータ6、バスライン9、および双方向DC/DCコンバータ12がこの順序で接続された充電系統(以下、本来の充電系統)を有している。
【0025】
実施形態の蓄電充電装置は、バスライン電圧が系統電圧よりも高いが所定電圧よりも低いときに電池モジュール14を充電するときは、系統接続リレー4をOFFにする。そして、バスラインプリチャージ回路5の過大電流突入防止リレー5aをONにすることで、系統側1の充電電流を本来の充電系統とは別の充電系統であるバスラインプリチャージ回路5を介して、双方向AC/DCインバータ6からバスライン9に流す。これによりバスライン電圧は上昇してくる。
【0026】
次いで、バスライン電圧が系統電圧より高い所定電圧以上に高くなると、バスラインプリチャージ回路5の過大電流突入防止リレー5aをOFFにし、また系統接続リレー4をONにして、電池モジュール14への充電系統を本来の充電系統に切り替えるようにしている。
【0027】
以下、さらに、図2のタイミングチャート、および図3のフローチャートに従って、本実施形態の蓄電充電装置の動作を説明する。
【0028】
ACブレーカ3が図2(a)の時刻t0でONする(ステップn1)。
【0029】
ACブレーカ3がONすると、制御電源7に系統電圧が印加され、制御電源7から制御部8と双方向AC/DCインバータ6のインバータ制御部6bに電源が供給される。これにより、インバータ制御部6bが図2(b)の時刻t1で起動する(ステップn2)。
【0030】
インバータ制御部6bは、バスライン9の電圧をモニタしており、このモニタした電圧の情報を制御部8に通信する。
【0031】
制御部8は、モニタしたバスライン8の電圧の情報に基づいて、バスライン8の電圧(バスライン電圧)が240V以上か否かを判定する(ステップn3)。
【0032】
この場合、系統側1の電圧は200Vである。
【0033】
制御部8は、バスライン8の電圧が240V以下であると判定すると、図2(c)の時刻t2でバスラインプリチャージ回路5の過大電流突入防止リレー5aをONにする(ステップn4)。
【0034】
なお、この状態で系統接続リレー4はOFFしている。
【0035】
バスラインプリチャージ回路5の過大電流突入防止リレー5aがONすると、系統電圧がACブレーカ3、バスラインプリチャージ回路5、双方向AC/DCインバータ6を介して、バスライン9のコンデンサ10が充電され、バスライン電圧が上昇する。
【0036】
この場合、バスラインプリチャージ回路5には、サーミスタ5bが電流制限抵抗として設けられているので、双方向AC/DCインバータ6に、過大電流は流れない。
【0037】
その結果、双方向AC/DCインバータ6内の回路素子は、過大電流が突入されることによる破壊から防止される。サーミスタ5bは、温度が低いときの抵抗値は高いので、系統側1からの電流が双方向AC/DCインバータ6に流れ込むことを制限する一方、電流が流れると温度が上昇し、抵抗値が減少する。その結果、系統側1からの電流の制限量が減少し、電力損失が低減する。
【0038】
こうして系統側1からの電流が、バスラインプリチャージ回路5、双方向AC/DCインバータ6を介してバスライン9に流れる。その結果、バスライン電圧が上昇する。バスライン電圧が上昇すると、双方向DC/DCコンバータ用電源11から電源が双方向DC/DCコンバータ装置12に供給され、図2(d)の時刻t3で双方向DC/DCコンバータ装置12が起動される(ステップn5)。
【0039】
バスライン9のコンデンサ10が充電されると、図2(c)の時刻t4でバスラインプリチャージ回路5の過大電流突入防止リレー5aがOFFする(ステップn6)。
【0040】
そして、時刻t5で双方向DC/DCコンバータ12がバスライン9に放電を開始し、バスライン電圧が360V以上に維持される(ステップn7)。
【0041】
インバータ制御部6bは、バスライン電圧が360V以上に維持され、図示略のリモコンからの運転開始のための手動運転信号を時刻t6で受信すると(ステップn8)、図2(e)の時刻t6で系統接続リレー4をONにさせる(ステップn9)。
【0042】
こうして系統接続リレー4をONにすると、本来の充電系統に切り替わり、系統側1の電圧を系統接続リレー4、双方向AC/DCインバータ6、バスライン9、双方向DC/DCコンバータ12、接続リレー13を介して、電池モジュール14に充電させることができる。
【符号の説明】
【0043】
1 系統側
2 家庭内負荷
3 ACブレーカ
4 系統接続リレー
5 バスラインプリチャージ回路
5a 過大電流突入防止リレー
5b サーミスタ
6 双方向AC/DCインバータ
7 制御電源
8 制御部
9 バスライン
10 コンデンサ
11 電源
12 双方向DC/DCコンバータ
13 接続リレー
14 電池モジュール
図1
図2
図3