(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ノズルを複数設けて主走査方向に沿って延在するように配置したラインヘッドを、前記主走査方向と直交する副走査方向に間隔をおいて色別に配置し、前記副走査方向に搬送した印刷用紙の同一画素上に各色のラインヘッドの対応するノズルからのインクを着弾させて、カラー画像を前記印刷用紙上に形成する画像形成装置において、
前記カラー画像の画像データに基づいて、所定領域に属する各画素に対する前記ノズルがそれぞれ吐出するインクのドロップ数別の割合を取得する割合取得手段と、
ノズルが吐出するドロップ数別に用意されたインク吐出タイミングの各補正内容を前記割合取得手段が取得した前記割合に基づいてそれぞれ反映させた吐出タイミングの補正内容を用いて、前記所定領域に属する各画素にインクを吐出する各ノズルのインク吐出タイミングを補正する補正手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
前記重み付け手段は、前記割合が等しいドロップ数が複数存在する場合に、少ない方のドロップ数に対応する前記インク吐出タイミングの補正内容を、多い方のドロップ数に対応する前記インク吐出タイミングの補正内容よりも、高い値の重み付け係数によって重み付けすることを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
前記補正手段は、前記カラー画像の属性を示す前記画像データ中の属性データに基づいて決定される前記重み付け係数により、前記インク吐出タイミングの補正内容を重み付けすることを特徴とする請求項3又は4記載の画像形成装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、ノズル毎にインクの吐出タイミングを補正するには、ノズル毎に個別の駆動手段を持たせなければならず、回路構成が煩雑になると共に制御内容も複雑となってしまう。
【0009】
本発明は前記事情に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、ノズル毎にインクの吐出に関する個別の制御を行うことなく、着弾位置ずれによる画質の劣化を抑制することができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明は、
ノズルを複数設けて主走査方向(例えば、
図3(a)の主走査方向X)に沿って延在するように配置したラインヘッド(例えば、
図3(a)のラインヘッド110)を、前記主走査方向と直交する副走査方向(例えば、
図3(a)の副走査方向Y)に間隔をおいて色別に配置し、前記副走査方向に搬送した印刷用紙(例えば、
図1の印刷用紙S)の同一画素上に各色のラインヘッドの対応するノズルからのインク液滴を着弾させて、カラー画像を前記印刷用紙上に形成する画像形成装置(例えば、
図1のライン型インクジェットプリンタ1)において、
前記カラー画像の画像データに基づいて、所定領域に属する画素数の割合を、前記所定領域に属する各画素に対する前記ノズルがそれぞれ吐出するインクのドロップ数別の割合を取得する割合取得手段(例えば、
図5の制御ユニット10)と、
ノズルが吐出するドロップ数別に用意された、各色のインクの相対的な着弾位置ずれを所定範囲内に収めるためのインク吐出タイミングの各補正内容を、前記割合取得手段が取得した前記割合に基づいて決定した内容で反映させた吐出タイミングの補正内容を用いて、前記所定領域に属する各画素にインクを吐出する各ノズルのインク吐出タイミングを補正する補正手段(例えば、
図5の制御ユニット10)と、
を備えることを特徴とする。
【0011】
上記発明によれば、所定領域の画素にインクを吐出するノズルのインク吐出タイミングの補正に用いる補正内容に、各ドロップ数別のインク吐出タイミングの補正内容を、どのように反映させるかが、カラー画像の所定領域に属する画素に対する、各ドロップ数別の画素数の割合に基づいて決定される。そして、決定された補正内容が、所定領域の画素にインクを吐出する全てのノズルのインク吐出タイミングの補正に、一律に適用される。
【0012】
このため、所定領域内の各画素に対応する各ノズル毎にインクの吐出タイミングに関する個別の制御を行うことなく、カラー画像の所定領域について、着弾位置ずれによる画質の劣化を抑制することができる。
【0013】
なお、カラー画像の所定領域は、ラインヘッドの各ノズルがインクを吐出する対象画素で画成される領域としてもよく、カラー画像の全体に亘る領域としてもよい。
【0014】
また、本発明は、
所定領域に属する各画素にインクを吐出する各ノズルのインク吐出タイミングを補正する補正手段を、
ノズルが吐出するドロップ数別に用意されたインク吐出タイミングの各補正内容のうち、前記割合取得手段が取得した前記割合が最も高いドロップ数に対応する吐出タイミングの補正内容を用い
て、前記所定領域に属する各画素にインクを吐出する各ノズルのインク吐出タイミングを補正す
るものに変えたことを特徴とする。
【0015】
上記発明によれば、カラー画像の所定領域に属する画素に吐出されるインクのドロップ数のうち最も画素数の割合が多いドロップ数に対応するインク吐出タイミングの補正内容が、所定領域に属する各画素に対応する全てのノズルに対し、各ノズルから吐出されるインクの他の色のインクとの相対的な着弾位置ずれを所定範囲内に収めるための、インク吐出タイミングの補正内容として、一律に適用される。
【0016】
このため、所定領域内に存在する割合が一番多い画素に吐出されるインクのドロップ数に対応したインクの吐出タイミングの補正内容により、所定領域内の各ノズルによるインク吐出タイミングを一律に補正するようにして、各ノズルに一律に適用されるインク吐出タイミングの補正内容が、より高い確率で、各ノズルにより吐出されるインクのドロップ数に見合った補正内容となるようにすることができる。
【0017】
また、本発明は、前記割合取得手段が取得した各ドロップ数別の前記割合に応じた値の、各ドロップ数別の重み付け係数によって、対応する各ドロップ数のインクをそれぞれ吐出するときの前記ノズルによるインク吐出タイミングの補正内容を重み付けする重み付け手段(例えば、
図5の制御ユニット10)をさらに備えており、
前記補正手段は、前記重み付けした各ドロップ数別の前記インク吐出タイミングの補正内容を合計した内容で、各ノズルのインク吐出タイミングを補正する、
ことを特徴とする。
【0018】
上記発明によれば、所定領域に属する各画素に対してそれぞれ吐出されるインクのドロップ数別の画素数の割合に応じて、それぞれのドロップ数のインクを吐出するノズルに適したインク吐出タイミングの補正内容が重み付けされて反映された補正内容で、所定領域に属する全ての画素に対応するノズルのインク吐出タイミングが補正される。
【0019】
このため、所定領域内の各画素に対応する各ノズル毎にインクの吐出タイミングに関する個別の制御を行うことなく、カラー画像の所定領域について、着弾位置ずれによる画質の劣化をより効果的に抑制することができる。
【0020】
さらに、本発明は、前記重み付け手段は、前記割合が等しいドロップ数が複数存在する場合に、少ない方のドロップ数に対応する前記インク吐出タイミングの補正内容を、多い方のドロップ数に対応する前記インク吐出タイミングの補正内容よりも、高い値の重み付け係数によって重み付けすることを特徴とする。
【0021】
上記発明によれば、インクのドロップ数が増えると、その分だけ画素の輝度が下がり、各色のインクの着弾位置ずれによる色合いの変化が目立ちにくくなる。このため、着弾位置ずれの抑制による色合い変化の抑制効果は、ドロップ数が少ないほど顕著に現れる。即ち、着弾位置ずれの抑制により画素の色合いの変化が抑制される度合いは、インクのドロップ数が少ない画素の方がインクのドロップ数が少な多い画素に比べて大きくなる。
【0022】
そこで、所定領域に属する画素に対する画素数の割合が最も多いインクのドロップ数が複数である場合に、吐出されるインクのドロップ数が少ない方の画素に対応するノズルのインク吐出タイミングの補正内容を、吐出されるインクのドロップ数が多い方の画素に対応するノズルのインク吐出タイミングの補正内容よりも、高い値の重み付け係数で重み付けすることで、カラー画像の所定領域における輝度低下を抑制することができる。
【0023】
また、本発明は、前記補正手段は、前記カラー画像の属性を示す前記画像データ中の属性データに基づいて決定される前記重み付け係数により、前記インク吐出タイミングの補正内容を重み付けすることを特徴とする。
【0024】
上記発明によれば、カラー画像の属性には、例えば、写真やイラスト、テキスト等があり、それぞれの画質に応じて、画素に吐出されるインクのドロップ数の帯域や変動幅に特徴がある。そこで、カラー画像の属性を重み付け係数の決定要素として反映させることで、カラー画像の所定領域内の画素にインクを吐出するノズルについて、カラー画像の属性に応じた内容でインク吐出タイミングの補正を行わせて、着弾位置ずれによる画質の劣化をより効果的に抑制することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、搬送ベルトの搬送ムラによるインクの着弾位置ずれを抑制しつつ、さらに、それとは原因が異なる細かいレベルのインクの着弾位置ずれについても抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、各図面を通じて同一もしくは同等の部位や構成要素には、同一もしくは同等の符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
【0028】
図1は本発明が適用されるライン型インクジェットプリンタの概略構成を示す説明図である。
図1に示すように、本実施形態のライン型インクジェットプリンタ(以下、「インクジェットプリンタ」と略記する。請求項中の画像形成装置に相当)1は、原稿上の原稿画像を読み取って画像信号を出力するスキャナ部101と、スキャナ部101から出力された画像信号に基づいて印刷用紙S(片面又は両面)に原稿画像を印刷(記録)するプリンタ部102と、各種表示入力用のディスプレイ103と、全体制御用の制御ユニット10とを備えている。プリンタ部102における原稿画像の印刷に使用する印刷用紙Sは、給紙部105からプリンタ部102を介して排紙部109に搬送される。
【0029】
図2は、本実施形態に係るインクジェットプリンタ1のプリンタ部102において、画像形成が行われる画像形成経路CR1を側方から示す説明図であり、
図3(a)は、画像形成経路CR1の上方に配置される
図2のヘッドホルダ500を下方から示す説明図であり、
図3(b)は、ヘッドホルダ500の側断面を拡大して示す説明図である。
【0030】
本実施形態に係るインクジェットプリンタ1のプリンタ部102は、画像形成部であるラインヘッド110を色別に有している。
図3(a)に示すように、各色のラインヘッド110は、主走査方向Xに沿ってそれぞれ延在し、副走査方向Yに等間隔をおくようにそれぞれ配置されている。また、各色のラインヘッド110は、主走査方向Xに複数のヘッドブロック110aを並べて構成されている。
【0031】
図2に示すように、本実施形態に係る印刷装置は、その搬送経路として画像形成経路CR1を含んでおり、この画像形成経路CR1では、搬送ベルト160によって、印刷条件により定められる速度で印刷用紙S(
図1参照)が副走査方向Yに搬送される。この画像形成経路CR1の上方には、各色のラインヘッド110が、搬送ベルト160に対向配置され、ラインヘッド110に備えられた各ヘッドブロック110aのノズルから、搬送ベルト160上の印刷用紙Sに対し、ライン単位で各色のインクを吐出し、複数の画像を互いに重なり合うように形成する。
【0032】
詳述すると、画像形成経路CR1は、無端状の搬送ベルトである搬送ベルト160、搬送ベルト160の駆動機構である駆動ローラ161及び従動ローラ162等から構成される。この画像形成経路CR1の上方には、ヘッドホルダ500が設けられ、このヘッドホルダ500に各色のラインヘッド110のヘッドブロック110aが保持されている。
【0033】
搬送ベルト160は、駆動ローラ161により周回移動され、ヘッドブロック110aと対向する範囲において摺動し、印刷用紙Sを搬送する。具体的に、この搬送ベルト160は、主走査方向にそれぞれ延在する一対の駆動ローラ161及び従動ローラ162間に掛け回されて、駆動ローラ161の駆動力により、副走査方向Yに周回される。
【0034】
ヘッドホルダ500は、ヘッドホルダ面500aを底面に有する函体であり、各色のラインヘッド110のヘッドブロック110aを保持して固定するとともに、ヘッドブロック110aからインクを吐出させるための他の機能部分をユニット化して収納する。また、このヘッドホルダ500の底面であるヘッドホルダ面500aは、搬送経路に対して平行となるように対向配置されている。このヘッドホルダ面500aには、取付開口部500bが複数配列されている。各取付開口部500bは、ヘッドブロック110aの水平断面と同形状に形成されている。複数のヘッドブロック110aは、各取付開口部500bにそれぞれ挿通されて、その吐出口をヘッドホルダ面500aから突出させている。
【0035】
ヘッドブロック110aは、
図3(a)及び(b)に示すように、C(シアン)、K(ブラック)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)の色別にそれぞれ複数個ずつ設けられている。各色のヘッドブロック110aは、副走査方向Yに間隔をおいてそれぞれ配置されている。各色の複数のヘッドブロック110aは、主走査方向Xに並べて配置されており、かつ、1つおきに搬送方向の位置をずらして配置されている。これにより、隣り合う2つのヘッドブロック110aの最端部のノズル(図示せず)どうしの間隔が、各ヘッドブロック110aの隣り合うノズルの間隔と一致するようにしている。
【0036】
各ヘッドブロック110aは、インクの吐出ドロップ数を変えることができる。この吐出するドロップの数(液滴数)によりドットの濃度が変化する。なお、本実施形態のインクジェットプリンタ1は、ドロップのサイズを液滴量として調整する機能を備えている。ヘッドブロック110aにおける液滴量の調整は、ヘッドブロック110aの駆動電圧を調整することにより行うことができる。
【0037】
ところで、各色のヘッドブロック110aの対応する各ノズルから印刷用紙Sの同じ画素位置にそれぞれ着弾させる2色以上のインク液滴には、印刷用紙Sの搬送により生じる気流から受ける影響等によって着弾位置にずれが生じ、その画素の色味が本来とは異なる色合いに変わってしまうことがある。そして、各色のインクのドロップ数が異なると、印刷用紙Sの搬送により生じる気流から受ける影響の違い等から、各色のインク液滴の着弾位置のずれに違いが生じ、その画素において生じる色合いの変わり具合も異なる場合がある。
【0038】
例えば、
図4の説明図に示すように、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の3色のインク液滴が着弾する画素において、本来なら
図4(a)に示す理想的な着弾状態となるはずの画素に生じる着弾位置ずれは、
図4(b)に示す、各色のドロップ数がnドロップのときと、
図4(c)に示す、n−2ドロップのときとでは異なる場合がある。
【0039】
図4(b)に示すnドロップの場合の着弾位置ずれでは、マゼンタ(M)が副走査方向Yに着弾位置ずれし、シアン(C)及びイエロー(Y)のドットとは重ならずその外側にはみ出るマゼンタ(M)のドットの面積が増えるので、その画素の色味が赤みがかった色合いに変化してしまう。
【0040】
一方、
図4(c)に示すn−2ドロップの場合の着弾位置ずれでは、マゼンタ(Y)が副走査方向Yに着弾位置ずれし、シアン(C)及びマゼンタ(M)のドットとは重ならずその外側にはみ出るイエロー(Y)のドットの面積が増えるので、その画素の色味が黄色がかった色合いに変化してしまう。
【0041】
このようなインクの着弾位置ずれは、ノズルからのインクの吐出タイミングを補正する(早める又は遅らせる)ことで抑制することができる。但し、
図4(b),(c)に示すように、発生する着弾位置ずれの内容は、吐出するインクのドロップ数が異なると変わってしまう。そのため、例えば、
図4(b)に示すnドロップの場合の着弾位置ずれに合わせた内容で、n−2ドロップのインクを吐出するノズルの吐出タイミングを補正しても、
図4(c)に示す着弾位置ずれを抑制することはできない。
【0042】
したがって、着弾位置ずれするインクのノズルからの吐出タイミングを、そのノズルから吐出されるインクの吐出ドロップ数に応じた内容で補正することが必要になる。但し、各ノズルから吐出されるインクのドロップ数はそれぞれ異なり、それに合わせて各ノズル毎に独立した駆動回路を持たせると、回路構成が増大し、かつ、各駆動回路を個別に制御するため制御系の負担も大きくなる。
【0043】
そこで、本実施形態のインクジェットプリンタ1では、印刷用紙Sに印刷するカラー画像の各画素に吐出されるインクのドロップ数の分布に応じて、インクの吐出タイミングの補正内容を決定し、ドロップ数に関わらず、その補正内容でカラー画像の全画素に対応する全てのノズルのインクの吐出タイミングを、制御ユニット10により一律に補正するようにしている。
【0044】
図5は、
図1の制御ユニット10の電気的構成を示すブロック図である。
図5に示すように、制御ユニット10には、外部インタフェース部11を介して、後述するクライアント端末14の外部インタフェース部15が接続されている。この接続には、例えば、100BASE−TXの有線LANが用いられる。このクライアント端末14から制御ユニット10は、原稿画像の印刷ジョブを受け取る。この印刷ジョブは、ポストスクリプトデータと印刷環境データとを含んでいる。制御ユニット10は、受け取った印刷ジョブのポストスクリプトデータにより原稿画像のラスタデータを生成する。インクジェットプリンタ1は、印刷ジョブの印刷環境情報において指定された条件で、原稿画像の印刷用紙Sへの印刷をプリンタ部102において実行する。
【0045】
また、制御ユニット10のCPU90には、ディスプレイ103が接続されている。このディスプレイ103は、
図1に示すように、インクジェットプリンタ1の上部に配置されている。このディスプレイ103は、スキャナ部101によって印刷用紙Sから画像を読み取るスキャナモードでインクジェットプリンタ1を使用する場合に、読み取った画像の電子データ化や自己診断等のメニューをユーザが選択入力する入力操作部として利用することができる。
【0046】
上述したプリンタ部102に印刷動作を行わせるインクジェットプリンタ1の制御ユニット10は、
図5に示すように、CPU90を備える。このCPU90は、ROM91に格納されているプログラム及び設定情報に基づいて、ディスプレイ103から入力設定される内容に応じたスキャナ部101やプリンタ部102の動作を制御する。
【0047】
なお、制御ユニット10にはRAM92が設けられており、RAM92にはディスプレイ103から入力されたメニュー選択内容等が随時記憶される。また、RAM92にはフレームメモリ領域が設けられている。このフレームメモリ領域には、クライアント端末14から制御ユニット10に入力された印刷ジョブのポストスクリプトデータからCPU90が生成する、原稿画像のラスタデータが、プリンタ部102に出力されるまでの間、一時的に記憶される。
【0048】
また、制御ユニット10には外部記憶装置93が設けられている。この外部記憶装置93には、ディスプレイ103、プリンタ部102のプリンタエンジン、並びに、スキャナ部101のファームウェアが、使用する領域を分けてそれぞれ記憶されている。
【0049】
さらに、外部記憶装置93(請求項中の記憶手段に相当)には、ノズルからのインクの吐出タイミングを補正するための補正プロファイルデータが記憶されている。この補正プロファイルデータで定義する補正内容は、例えば、各色のインクの各吐出タイミングにおける搬送ベルト160のホームポジションからの実測回転距離と、各吐出タイミングにおける各色のインクの着弾位置ずれ内容とから決定することができる。
【0050】
このデータは、同一の画素に着弾するシアン(C)に対するマゼンタ(M)のインクの着弾位置ずれ量と、シアン(C)に対するイエロー(Y)のインクの着弾位置ずれ量との差をなくすためのものである。そして、この補正プロファイルデータは、対象の画素に吐出されるインクのドロップ数別に設けられている。
【0051】
例えば、ノズルから吐出するインクのドロップ数が0〜7ドロップの8段階に変わる場合は、1〜7ドロップ吐出する場合にそれぞれ適用される7種類の補正プロファイルデータが、外部記憶装置93に記憶される。
【0052】
ここで、補正対象の画素にインクを吐出するノズルに適用する補正プロファイルデータは、画素の色合いの変化に関係するシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各有彩色のヘッドブロック110aに共通して、(ア)各色のドロップ数の平均値又は中央値に対応する補正プロファイルデータ、(イ)各ドロップ数のうち最大値に対応する補正プロファイルデータ、あるいは、(ウ)特定色(例えばシアン)のドロップ数に対応する補正プロファイルデータ、等を適用することが考えられる。また、各色のヘッドブロック110a毎に、(エ)各色のドロップ数にそれぞれ対応する補正プロファイルデータを個別に適用することも考えられる。
【0053】
本実施形態では、各色のヘッドブロック110aのノズルにそれぞれのドロップ数に対応する補正プロファイルデータを適用する、上述した(エ)のパターンとする場合について説明する。
【0054】
なお、補正プロファイルデータは、各色のラインヘッド110のヘッドブロック110a単位で定義してもよく、各色のラインヘッド110の全ヘッドブロック110aに共通するものとして定義してもよい。
【0055】
また、補正プロファイルデータは、印刷用紙Sの種類毎にそれぞれ設けることが望ましい。印刷用紙Sの種類が異なるとドットゲインが変わり、ドロップ数が変わった場合と同じく着弾位置ずれの内容が変わって、発生する色合いの変化の内容が変わるからである。
【0056】
この補正プロファイルデータは、例えば、インクジェットプリンタ1の出荷前に、各インクジェットプリンタ1毎に取得して、外部記憶装置93に記憶させることができる。補正プロファイルデータの内容とする、例えば、K(ブラック)を除く各有彩色のラインヘッド110の同じ列のヘッドブロック110aのノズルからそれぞれ吐出されるインク液滴の吐出タイミングの補正量は、実際の印刷用紙Sに対するテストパターン画像の印刷結果から取得することができる。
【0057】
また、補正プロファイルデータは、ヘッドブロック110aや画像形成経路CR1の交換等、各有彩色のインク液滴の着弾位置ズレパターンに変化が生じる事象が新たに発生した際に、更新してもよい。
【0058】
クライアント端末14は、PC(パーソナルコンピュータ)等によって構成されるものであり、ROM17に格納された制御プログラムに基づいて各種の処理を実行するCPU16と、CPU16のワーキングエリアとして機能するRAM18と、キーボードやマウス等から構成される入力部19と、液晶ディスプレイ等から構成される出力部20とを備えている。
【0059】
CPU16には、上述した外部インタフェース部15の他に、外部記憶装置21とディスクドライブ22とが接続されている。外部記憶装置21には、各種のデータやプログラム、原稿画像のデータの格納領域等が確保されている。
【0060】
CPU16は、外部記憶装置21のアプリケーションプログラムを起動させ、例えば、外部記憶装置21の原稿画像のデータの印刷指令が入力された場合に、印刷対象の原稿画像の印刷ジョブを生成して、生成した印刷ジョブを外部インタフェース部15から制御ユニット10の外部インタフェース部11に出力する。この印刷ジョブは、外部記憶装置21に格納されたプリンタドライバプログラムをCPU16が実行することによって、制御ユニット10に出力することができる。
【0061】
また、CPU16は、クライアント端末14のディスクドライブ22により光学ディスク等のディスク状記録媒体50から各種プログラムやデータを読み取って、外部記憶装置21にインストール(記憶)させたりインクジェットプリンタ1側に伝送することができる。
【0062】
次に、外部記憶装置93の補正プロファイルデータのプロファイリング手順、即ち、プロファイルデータの生成手順について説明する。
図6はプロファイルデータの生成手順を示すフローチャートである。
【0063】
補正プロファイルデータの生成に当たっては、まず、
図6のステップS1において、各画素の着弾位置ずれを検出するためのテストパターンを、インクジェットプリンタ1によって印刷する。
【0064】
このテストパターンは、各用紙種類、各ドロップ数毎にあり、印刷用紙Sの全面に亘って各画素に対応するノズルから規定されたドロップ数で吐出させた、少なくともシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各有彩色のインク液滴により、ドットを形成したものである。
【0065】
次に、
図6のステップS3において、スキャナ部101でテストパターンを読み取り、さらに、ステップS5において、その画像データを制御ユニット10で解析して、テストパターン画像上の各画素のドットの着弾位置を取得する。そして、制御ユニット10が予め認識している、印刷用紙Sの各画素に対する正規の着弾位置との比較により、各画素における着弾位置ずれ(副走査方向Yへの)を算出する(ステップS7)。
【0066】
そして、インクの着弾位置ずれ(シアン(C)−マゼンタ(M)間、シアン(C)−イエロー(Y)間の所定範囲を超える相対位置ずれ量)を解消するための、インクの吐出タイミングの補正値を定義した補正プロファイルデータを生成し(ステップS9)、生成した補正プロファイルデータを外部記憶装置93に記憶させる(ステップS11)。
【0067】
ここで、吐出タイミングの補正値は、シアン(C)−マゼンタ(M)間の着弾位置ずれ量と、シアン(C)−イエロー(Y)間の着弾位置ずれ量との差が、所定範囲内に収まるようにするための値としてもよい。
【0068】
また、吐出タイミングの補正値は、搬送ベルト160による印刷用紙Sの搬送方向である副走査方向Yにおいて上流側に位置する色のラインヘッド110からの吐出インクによるドットの着弾位置に、下流側に位置する色のラインヘッド110からの吐出インクによるドットの着弾位置を近づけるようにするための値に設定してもよい。
【0069】
具体的には、例えば、シアン(C)のドットの着弾位置に、マゼンタ(M)やイエロー(Y)のドットの着弾位置が近づくように、マゼンタ(M)やイエロー(Y)のノズルからのインクの吐出タイミングについて補正値を設定するようにしてもよい。
【0070】
そのようにすれば、印刷用紙Sに先に着弾する色のインク液滴の着弾位置に、他の、後から印刷用紙Sに着弾する色のインク液滴の着弾位置を近づけるようにして、各色の吐出タイミングの補正量を決定しやすくすることができる。
【0071】
さらに、ヘッドブロック110aのノズルから吐出できる最大ドロップ数n(例えば、7ドロップ)までの補正プロファイルデータを生成したか否かを確認し(ステップS13)、生成していない場合は(ステップS13でNO)、ステップS1にリターンして、ドロップ数を1つ増やしたテストパターンの印刷から、ステップS1以降を繰り返す。生成した場合は(ステップS13でYES)、一連の手順を終了する。
【0072】
次に、インクジェットプリンタ1で印刷用紙Sに画像を印刷する際に、外部記憶装置93の補正プロファイルデータを用いて制御ユニット10が行う、インクの吐出タイミング補正の手順について、
図7のフローチャートを用いて説明する。
【0073】
まず、制御ユニット10は、画像の印刷に用いる印刷用紙Sの種類の設定情報を取得する(ステップS21)。この種類の設定情報は、例えば、クライアント端末14からの印刷ジョブ中の印刷環境情報に基づいて、RAM92の対応するエリアに設定される。そして、印刷するの画像データをRGB→CKMY変換(カラープロファイル変換)する(ステップS23)。
【0074】
次に、制御ユニット10は、カラープロファイル変換した画像データから画像の色情報を取得し(ステップS25)、さらに、印刷ジョブの印刷環境情報から画像の印刷に使用する印刷用紙Sのサイズを取得する(ステップS27)。そして、印刷ジョブから画像の属性情報(写真、イラスト、テキスト等)を取得し(ステップS27)、取得した属性情報が、画像が重色(有彩色を含むカラー画像)又はハーフトーン(階調有り)を含むもの(例えば、写真やイラスト)であるか否かを確認する(ステップS31)。
【0075】
画像が重色又はハーフトーンを含まない場合は(ステップS31でNO)、印刷する画像が階調のない全体的に均一ドロップ数で形成されるテキスト等であるものとして、印刷する画像を印刷する際のドロップ数に対応する補正プロファイルデータを適用して、インクを吐出する全てのヘッドブロック110aのノズルからのインク吐出タイミングを補正する(ステップS33)。このとき、補正プロファイルデータに定義された補正値の符号によって、吐出タイミングを早めたり遅らせたりする。そして、後述するステップS43に進む。
【0076】
なお、画像を印刷する際のドロップ数は、例えば、印刷ジョブの印刷環境情報で定義された、画像の濃度やテキストに使用するフォント、ポイント数等の設定に応じて特定することができる。
【0077】
一方、画像が重色又はハーフトーンを含む場合は(ステップS31でYES)、印刷する画像が階調のある写真やイラスト等であるものとして、カラープロファイル変換した画像データから印刷する画像のドロップデータをハーフトーン処理によって取得する(ステップS35)。このとき、整数に満たないドロップ数は、誤差拡散処理によって周辺画素に拡散する。
【0078】
そして、取得した画像のドロップデータから、画像中の各画素に対して吐出するインクのドロップ数の分布情報を各色別に取得する(ステップS37)。ここで、各色別に取得する各画素のドロップ数の分布情報について説明する。
【0079】
インクのドロップ数の分布情報は、吐出されるインクのドロップ数が同じである画素をドロップ数別に集計し、画像の全画素の数で割った割合を分布で示すものである。例えば、画素に吐出されるインクのドロップ数が0〜7ドロップである場合は、
図8の説明図に示すように、各ドロップ数のインクが吐出される画素数の割合を、統計的な分布として取得する。
【0080】
例えば、画像が、
図9(a)に示すように、テキストを主とするものである場合、各画素のドロップ数の分布情報は、
図9(b)に示すように、テキストの画素に吐出される5ドロップの割合がその他のドロップ数の割合よりも相対的に高い分布となる。
【0081】
また、例えば、画像が、
図10(a)に示すように、写真を主とするものである場合、各画素のドロップ数の分布情報は、
図10(b)に示すように、階調を有する写真の画素に吐出される1〜6ドロップに割合が分散した分布となる。
【0082】
さらに、例えば、画像が、
図11(a)に示すように、イラストを主とするものである場合、各画素のドロップ数の分布情報は、
図11(b)に示すように、イラストの階調に応じた2ドロップと4ドロップとが他のドロップよりも高い割合を示す分布となる。
【0083】
なお、本実施形態では、インクのドロップ数の分布情報を、上述したように、画像の全体を対象領域として取得するようにしている。しかし、例えば、
図10(a)中の破線で囲んだ領域A(請求項中の所定領域に相当)のように、着弾位置ずれによる色合いの変化を特に抑制したい領域を指定して、その領域Aに属する画素のみについて、インクのドロップ数の分布情報を取得するようにしてもよい。領域Aの指定は、例えば、ディスプレイ103に表示させた
図11(a)の画像に対するユーザのタッチ操作等によって、行うことができる。
【0084】
次に、取得したドロップ数の分布情報から、画像の印刷に適用するインク吐出タイミングの補正内容を決定し、インク吐出タイミング補正テーブルを作成する(ステップS39)。
【0085】
例えば、
図8の分布情報では、1ドロップ及び7ドロップの分布割合が0.01、2ドロップ及び6ドロップの分布割合が0.08、3ドロップ及び5ドロップの分布割合が0.25、4ドロップの分布割合が0.32となっている。したがって、この分布割合をそのまま重み付け係数とし、この重み付け係数で、各ドロップに対応する補正プロファイルデータの補正内容(T(1)〜T(7))を重み付けする。
【0086】
つまり、1ドロップ及び7ドロップに対応する補正プロファイルデータの補正内容(T(1),T(7))の重み付け係数を0.01、2ドロップ及び6ドロップに対応する補正プロファイルデータの補正内容(T(2),T(6))の重み付け係数を0.08、3ドロップ及び5ドロップに対応する補正プロファイルデータの補正内容(T(3),T(5))の重み付け係数を0.25、4ドロップに対応する補正プロファイルデータの補正内容(T(4))の重み付け係数を0.32とする。
【0087】
そして、各重み付け係数で重み付けした補正内容を合計した補正内容で、各ノズルからのインクの吐出タイミングを補正する。これが基本的な吐出タイミングの補正内容の決定方法である。しかし、その他にも、吐出タイミングの補正内容を決定する方法はいくつか考えられる。
【0088】
例えば、
図9(a)に示すテキストを主とする画像については、5ドロップの割合が他のドロップ数よりも明らかに高いので、画像の全画素に対応するノズル(ヘッドブロック110a)に、外部記憶装置93の5ドロップに対応する補正プロファイルデータの補正内容を適用して、ノズルからのインクの吐出タイミングを補正することが考えられる。
【0089】
また、
図10(a)に示す写真を主とした階調を有する画像の場合は、各ドロップ数に対応する画素の全画素に対する割合が、特定のドロップ数に集中せず分散している。このため、それぞれのドロップ数に対応する補正プロファイルデータの補正内容(T(1)〜T(7))を反映した内容で、ノズルからのインクの吐出タイミングを補正することが考えられる。
【0090】
具体的には、
図10(b)に示す分布情報の割合(0〜1.0)をそのまま重み付け係数とし、この重み付け係数(0〜1.0)で、各ドロップ数に対応する補正プロファイルデータの補正内容(T(1)〜T(7))を重み付けする。そして、重み付けした各ドロップ数の補正内容を合計した補正内容を、画像の全画素に対応するノズル(ヘッドブロック110a)に適用して、ノズルからのインクの吐出タイミングを補正する。
【0091】
図11(a)に示すイラストを主とした階調を有する画像の場合にも、上述した
図10(a)の写真を主とした画像の場合と同様にして、
図11(b)に示す分布情報の各割合から決定した重み付け係数(0〜1.0)で重み付けした、各ドロップ数に対応する補正プロファイルデータの補正内容(T(1)〜T(7))の合計による補正内容を適用して、ノズルからのインクの吐出タイミングを補正することが考えられる。
【0092】
なお、
図11(b)に示す分布情報では、2ドロップと4ドロップが共に0.4の割合で、全てのドロップ数の中で最も高い割合となっている。そのため、2ドロップと4ドロップにそれぞれ対応する補正プロファイルデータ(T(2),T(4))の重み付け係数をそれぞれ0.4とすることになる。
【0093】
しかし、本実施形態では、後述する理由から、ドロップ数の少ない2ドロップに対応する補正プロファイルデータの重み付け係数(T(2))を、ドロップ数が多い4ドロップに対応する補正プロファイルデータの重み付け係数(T(4))よりも高い値にしている。この場合、本来ならばT(2)=T(4)=0.4となるところを、例えば、T(2)=0.45、T(4)=0.35とする。
【0094】
つまり、インクのドロップ数が増えると、その分だけ画素の輝度が下がり、各色のインクの着弾位置ずれによる色合いの変化が目立ちにくくなる。このため、着弾位置ずれの抑制による色合い変化の抑制効果は、ドロップ数が少ないほど顕著に現れる。即ち、着弾位置ずれの抑制により画素の色合いの変化が抑制される度合いは、インクのドロップ数が少ない画素の方がインクのドロップ数が少な多い画素に比べて大きくなる。
【0095】
そこで、
図11(b)に示す分布情報のように、画像中に存在する割合が最も多い画素に吐出されるインクのドロップ数が2ドロップと4ドロップである場合に、2ドロップに対応する補正プロファイルデータの補正内容を、4ドロップに対応する補正プロファイルデータの補正内容よりも、高い値の重み付け係数で重み付けすることで、画像の輝度低下を抑制することができる。
【0096】
なお、画像中の領域A(
図10(a)参照)を指定し、その領域Aのみについて、インクのドロップ数の分布情報を取得した場合は、上述したようにして決定した補正内容を、領域Aに対応するヘッドブロック110aのノズルからのインクの吐出タイミングの補正に適用することになる。
【0097】
したがって、領域Aの指定は、1つのヘッドブロック110aに設けられたノズルから吐出されたインクが着弾する画素の範囲を単位として行うことになる。
【0098】
以上のようにして、ドロップ数の分布情報から画像の印刷に適用するインク吐出タイミングの補正内容を決定したならば、決定した補正内容を適用して、インクを吐出する全てのヘッドブロック110aのノズルからのインク吐出タイミングを補正する(ステップS41)。そして、ステップS43に進む。このとき、決定した補正内容の補正値の符号によって、吐出タイミングを早めたり遅らせたりする。
【0099】
そして、ステップS43では、補正後の吐出タイミングでノズルを駆動する駆動信号を生成し出力し、その後、一連の手順を終了する。
【0100】
以上の説明からも明らかなように、本実施形態では、制御ユニット10が、請求項中の割合取得手段、補正手段、重み付け手段、位置ずれパターン取得手段、補正内容決定手段に対応している。
【0101】
(作用・効果)
このような本実施形態によれば、インクジェットプリンタ1で印刷したドロップ数別のテストパターン画像をスキャナ部101で読み取って算出した各画素の着弾位置ずれの内容から、インクの吐出タイミングの補正値を規定した補正プロファイルデータを、ドロップ数別に生成するようにした。
【0102】
そして、印刷する画像の各画素にそれぞれ吐出されるインクのドロップ数の分布情報を、画像の印刷において用いるドロップデータから取得し、画像中の全画素に対する、吐出されるインクのドロップ数別の画素の割合から決定した重み付け係数で、各ドロップ数別の補正プロファイルデータの補正内容を重み付けし、それを合計した補正内容を、画像の各画素にインクを吐出するノズルのインク吐出タイミングの補正に適用するようにした。
【0103】
このため、カラー画像の各画素に吐出されるインクのドロップ数のうち最も割合が多いドロップ数に対応するインク吐出タイミングの補正内容を反映した補正が、画像の各画素に対応する全てのノズルに対して、各ノズルから吐出されるインクの他の色のインクとの相対的な着弾位置ずれを所定範囲内に収めるための、インク吐出タイミングの補正内容として、一律に適用される。
【0104】
よって、各画素に対応する各ノズル毎に、各ノズルが吐出するインクのドロップ数に応じた個別のインク吐出タイミングに関する制御を行うことなく、カラー画像の着弾位置ずれによる画質の劣化を抑制することができる。
【0105】
なお、上述した各実施形態では、各色のラインヘッド110のヘッドブロック110a単位又は画像単位で、各色のインク液滴の着弾位置ズレとそれに対応する吐出タイミングの補正値を決定するものとした。しかし、各色(のラインヘッド110)単位で、各色のインク液滴の着弾位置ズレとそれに対応する吐出タイミングの補正値を決定するようにしてもよい。
【0106】
したがって、上述した各実施形態のように、ラインヘッド110が複数のヘッドブロック110aによって構成されたもののほか、ラインヘッド110が単一のブロックによって構成された場合にも、本発明は適用可能である。
【0107】
また、上述した各実施形態では、K(ブラック)の他にM(マゼンタ)、Y(イエロー)、C(シアン)の3つの有彩色を用いてフルカラー印刷を行うインクジェットプリンタ1を例に取って説明した。しかし、本発明は、少なくとも2つの有彩色を用いてインクジェット方式でカラー印刷を行う画像形成装置に広く適用可能である。