特許第6074214号(P6074214)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6074214フレームとシートレールを兼ねるバスの側面パネルアセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6074214
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】フレームとシートレールを兼ねるバスの側面パネルアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   B62D 31/02 20060101AFI20170123BHJP
【FI】
   B62D31/02 A
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-224462(P2012-224462)
(22)【出願日】2012年10月9日
(65)【公開番号】特開2014-19427(P2014-19427A)
(43)【公開日】2014年2月3日
【審査請求日】2015年9月3日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0077809
(32)【優先日】2012年7月17日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 相 圭
【審査官】 林 政道
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−291144(JP,A)
【文献】 特開2012−091678(JP,A)
【文献】 実開平05−078678(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 31/00−39/00
B62D 17/00−25/08
B62D 25/14−29/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バスの側面下部を形成する下部パネル部と、前記下部パネル部の上端からつながり、内部が中空のパイプ形態に形成されるフレーム部と、前記フレーム部の内側に位置して前記バスの室内側に前記バスの長手方向に沿って横向きに開口する溝の形態に形成され、シートが装着されるシートレール部と、が一体に形成される下部パネルと、
前記下部パネルの上方に位置し、下端が前記フレーム部の上端を収容するように前記フレーム部に結合される上部パネルと、が備えられ、
前記上部パネルは、バスの側面上部を形成する上部パネル部と、前記上部パネル部の下端に一体に形成され、前記フレーム部に結合される把持部と、からなり、
前記シートレール部には、前記シートレール部の内部に挿入された締結ボルトのヘッドの離脱を防止する把持突起が形成されると共に、
前記シートレール部に締結ボルトのヘッドが挿入され、前記締結ボルトのねじ部が前記シートレール部から突出して設けられ、前記締結ボルトのねじ部が前記シートの一側に締結された連結ブラケットを貫通し、前記連結ブラケットを貫通した締結ボルトのねじ部に締結ナットが締結され、前記連結ブラケットが前記シートレール部に固定されることを特徴とするフレームとシートレールを兼ねるバスの側面パネルアセンブリ。
【請求項2】
前記把持部は、
前記フレーム部の上部が前記把持部の内側に位置するように前記フレーム部を把持し、前記下部パネルと前記上部パネルとの間が気密になるように結合されることを特徴とする請求項1に記載のフレームとシートレールを兼ねるバスの側面パネルアセンブリ。
【請求項3】
前記フレーム部の上部には、前記フレーム部の内部側に段差を付けて形成され、前記把持部の下端がそれ以上挟まれないように制限するストッパが形成されることを特徴とする請求項2に記載のフレームとシートレールを兼ねるバスの側面パネルアセンブリ。
【請求項4】
前記下部パネルと前記上部パネルは、押出(extrusion)工程で製作されることを特徴とする請求項1に記載のフレームとシートレールを兼ねるバスの側面パネルアセンブリ。
【請求項5】
前記下部パネルと前記上部パネルは、アルミニウム合金からなることを特徴とする請求項1に記載のフレームとシートレールを兼ねるバスの側面パネルアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バスの側面パネルに係り、より詳しくは、バスの側面パネルが側方向に設けられるサイドフレームとシートを装着させるシートレールを兼ねるようにしたフレームとシートレールを兼ねるバスの側面パネルアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
バスの側面の外形を形成するパネルは、その内側に剛性を維持するために設けられた複数のフレームの外側に装着され、シートを装着するためのマウンティングブラケットも前記フレームに締結されるようにする。(例えば特許文献1参照方)
【0003】
例えば、図1のI−I線に沿って切開し、図2に断面で示しているように、バスの側面で構造体の役割を果たす複数のフレームをバスの長手方向に設け、前記フレームの外側にパネルを設ける。つまり、車両の長手方向に設けられ、フレームの役割を果たせるように、ウエストレール111、スキッドレール112、スカートレール113および補強パイプ114を設け、前記ウエストレール111、前記スキッドレール112、前記スカートレール113および前記補強パイプ114の外側に側面パネル121、122を装着する。この時、前記側面パネルは、上部パネル121と下部パネル122に分けられて装着される。
【0004】
しかし、前記のような従来技術に係るバスの側面パネルは、バスの側面構造を維持するフレームとシート装着のためのシートマウンティングブラケット131、131’が別途に設けられていて、必要な部品の数が多く、これを溶接によって一つに連結しなければならないため、作業工数が増加する問題があった。
【0005】
つまり、図3に示しているように、上部パネル121と下部パネル122は、スキッドレール112にそれぞれ溶接される構造を有する。前記上部パネル121、下部パネル122およびスキッドレール112を三重に重畳させた状態で、溶接することが難しいため、前記上部パネル121の下端と下部パネル122の上端はそれぞれスキッドレール112に溶接させる。この時、下部パネル122の上端は、固定フラップ122aを用いてスキッドレール112に溶接する。また、前記上部パネル121の下端と下部パネル122の上端がスキッドレール112に溶接で連結される部分には、防水のために、モールド(図示せず)が追加的に具備されていなければならなかった。
【0006】
また、図4および図5に示しているように、シートマウンティングブラケット131、131’が定められた位置に位置していて、シートの配列、間隔を多様にすることができなかった。つまり、座席数を増加または減少させるために各シート間の間隔を縮小または拡大することができず、シートは、前記シートマウンティングブラケット131、131’が設けられた、定められた箇所にしか設けることができなかった。これにより、シートの数字、配列を調整することができず、各購入者別に所望のとおりシートの個数、間隔などを調整することができなかった。
【0007】
同時に、車寄子を固定するための空間を設けるために、一部のシートを装着する必要はないが、位置が固定され、購入者が所望の位置、数量に従って車寄子固定のための空間を設けることができない問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平7−291144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は前記のような点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、バスの側面パネルが剛性を維持するフレームとシートを装着するシートレールを兼ねるように一体型構造からなるフレームとシートレールを兼ねるバスの側面パネルアセンブリを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述したような目的を達成するための本発明によるフレームとシートレールを兼ねるバスの側面パネルアセンブリは、バスの側面下部を形成する下部パネル部と、前記下部パネル部の上端からつながり、内部が中空のパイプ形態に形成されるフレーム部と、前記フレーム部の内側に位置して前記バスの室内側に前記バスの長手方向に沿って横向きに開口する溝の形態に形成され、シートが装着されるシートレール部と、が一体に形成される下部パネルと、前記下部パネルの上方に位置し、下端が前記フレーム部の上端を収容するように前記フレーム部に結合される上部パネルと、が備えられ、前記上部パネルは、バスの側面上部を形成する上部パネル部と、前記上部パネル部の下端に一体に形成され、前記フレーム部に結合される把持部と、からなり、前記シートレール部には、前記シートレール部の内部に挿入された締結ボルトのヘッドの離脱を防止する把持突起が形成されると共に、前記シートレール部に締結ボルトのヘッドが挿入され、前記締結ボルトのねじ部が前記シートレール部から突出して設けられ、前記締結ボルトのねじ部が前記シートの一側に締結された連結ブラケットを貫通し、前記連結ブラケットを貫通した締結ボルトのねじ部に締結ナットが締結され、前記連結ブラケットが前記シートレール部に固定されることを特徴とする。
【0013】
また、前記把持部は、前記フレーム部の上部が前記把持部の内側に位置するように前記フレーム部を把持し、前記下部パネルと前記上部パネルとの間が気密になるように結合されることを特徴とする。
【0014】
前記フレーム部の上部には、前記フレーム部の内部側に段差を付けて形成され、前記把持部の下端がそれ以上挟まれないように制限するストッパが形成されることを特徴とする。
【0015】
前記下部パネルと前記上部パネルは、押出(extrusion)工程で製作されることを特徴とする。
【0016】
同時に、前記下部パネルと前記上部パネルは、アルミニウム合金からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
上記の構成を有する、本発明に係るフレームとシートレールを兼ねるバスの側面パネルアセンブリによれば、バスで側面の外形を形成するサイドパネルがフレームの役割とシートマウンティングブラケットの役割を果すように一体に形成され、溶接などの方法によって各構成要素を互いに締結する過程が不要になり、部品数を減少することができる。
【0020】
また、前記サイドパネルが押出によって製造されるため、溶接部位が発生せず、アルミニウム合金を材質とするため、下塗塗装作業を省略することができる。
【0021】
同時に、側面上部パネルを側面下部パネルに嵌合する結合により、前記側面上部パネルと側面下部パネルとの間が別のシーリング部材なしにもシーリングが可能になり、特に、シーリング構造が二重に提供され、シーリング性能を向上することができる。
【0022】
シートを装着するにあたっても、従来技術では、フレーム上の定められた位置にシートマウンティングブラケットが設けられ、シートマウンティングブラケットが設けられた位置でしかシートを装着することができなかったが、バスの長手方向に沿ってシートレール部が形成されていて、車体の構造変更なく、所望の位置にシートを装着することができる。このように、所望の位置にシートを装着することができるため、乗車人員によって車両毎にシートの間隔、配列を異ならせることができ、車寄子を固定させるためにシートを装着しない空間を所望の位置に設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】通常のバスの構造を示す側面図である。
図2】従来技術に係り、側面パネル、フレームおよびシートマウンティングブラケットを示す図1のI−I線に沿った断面図である。
図3図2のA部分の拡大図である。
図4図2のB部分の拡大図である。
図5】従来技術に係り、シートマウンティングブラケットが形成された状態を示す斜視図である。
図6】本発明に係るフレームとシートレールを兼ねるバスの側面パネルアセンブリを示す断面図である。
図7図6のC部分の拡大図である。
図8】本発明に係るフレームとシートレールを兼ねるバスの側面パネルアセンブリを用いてシートを装着した状態を示す部分切開斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付した図面を参照して、本発明に係るフレームとシートレールを兼ねるバスの側面パネルアセンブリについて詳細に説明する。
【0025】
図6および図6のC部分を拡大して図7に示すように、本発明に係るフレームとシートレールを兼ねるバスの側面パネルアセンブリは、それぞれ一体に形成された下部パネルと上部パネルを設け、互いに結合させることによって達成可能である。
【0026】
下部パネル10は、バスの外部側面を形成する下部パネル部11と、前記下部パネル部11の上端に位置し、剛性を発揮するフレーム部12と、前記フレーム部12の一側に溝の形態に形成され、シートSを締結させることができるシートレール部13とを含む。
【0027】
下部パネル部11は、バスの外部側面を形成する。前記下部パネル部11は、プレートの形態に形成することにより、バスの外部側面を形成する。
【0028】
フレーム部12は、前記下部パネル部11の上端に形成されるが、前記下部パネル部11からつながるように形成される。前記フレーム部12は、剛性を発揮するための部分であって、内部は中空に形成され、前記フレーム部12の全体的な形状は四角パイプの形態を有することにより、剛性を発揮することができる。
【0029】
前記フレーム部12は、後述する上部パネル20との結合のために、前記フレーム部12の断面において前記フレーム部12の上部の内側と外側は段差を付けて形成することが好ましい。前記フレーム部12の上部は、フレーム部12の内部側に段差を付けて形成することにより、上部パネル20の把持部22の下端がそれ以上挟まれないように制限するストッパ11aが形成される。
【0030】
前記のように、フレーム部12の上端の内側と外側が段差を付けて形成されていて、前記下部パネル10が上部パネル20と結合した時、結合部位面が一定になるようにする。
【0031】
シートレール部13は、前記フレーム部12の一側に溝の形態に形成される。前記シートレール部13は、前記フレーム部12でバスの内部、つまり、前記フレーム部12で下部パネル部11に連結する部分の反対側に形成される。
【0032】
前記シートレール部13の断面をみると、前記フレーム部12の内側に凹んだ溝の形態に形成されるが、シートSを固定するために前記シートレール部13に挿入される締結ボルト32のヘッドが抜けないようにするための把持突起13aが突出して形成される。
【0033】
前記シートレール部13がバスの長手方向に形成されているため、シートSの締結時、前記シートレール部13で締結ボルト32をスライディングさせて所望の位置にシートを締結させることができる。また、前記締結ボルト32のヘッドが前記シートレール部13に挿入された時には、前記締結ボルト32のねじ部は、シートレール部13から突出した状態となる。
【0034】
一方、前記下部パネルの下端には、従来技術のスカートレールに該当する部分も、前記フレーム部12と同様に、前記下部パネル10に一体に形成できる。
【0035】
このような前記下部パネル10は、前記下部パネル部11、前記フレーム部12および前記シートレール部13が、図6に示しているように、一定形態の断面を有し、一体に形成され、押出(extrusion)工程によって製作される。
【0036】
また、前記下部パネル10は、耐腐食性に優れたアルミニウム合金を材質とする。
【0037】
上部パネル20は、前記下部パネル10の上方に位置し、前記上部パネル20の下端が前記下部パネル10の上端に結合される。前記上部パネル20は、下端に前記下部パネル10のフレーム部12に結合される把持部22と、前記把持部22から上部につながって形成され、バスの外部側面を形成する上部パネル部21を含む。
【0038】
把持部22は、前記下部パネル10のフレーム部12に結合される部分である。前記把持部22は、前記下部パネル10のフレーム部12の上端を把持する形態に形成され、前記把持部22がその内部に前記下部パネル10のフレーム部12を収容するように結合されることにより、前記上部パネル20と下部パネル10とが結合される。
【0039】
特に、前記把持部22は、フレーム部12に結合する時、前記把持部22の上端の内側端と外側端で互いに結合され、前記下部パネル10と上部パネル20との間を二重に気密する効果を得ることができ、従来技術のように別のシーリング部材を適用しなくてもよい効果がある。
【0040】
一方、前記上部パネル20の上端には、従来技術のウエストレールに該当する部分が前記上部パネル20と一体に形成できる。
【0041】
同時に、前記上部パネル20も、アルミニウム合金を材質とし、押出工程によって製作される。
【0042】
前記下部パネル10と上部パネル20を上下に結合することにより、バスの側面を形成することができる。つまり、前記下部パネル10のフレーム部12の上端に前記上部パネル20の把持部22が結合される形態で前記下部パネル10と上部パネル20を結合することにより、必要な部品の数を減少することができる。
【0043】
また、前記下部パネル10に形成されたフレーム部12によって剛性を発揮することができるため、従来技術のように別のスキッドレール112を介して上部パネルと下部パネルとを連結しなくてもよい。
【0044】
以下、前記のような構成を有する、本発明に係るフレームとシートレールを兼ねるバスの側面パネルアセンブリを用いてバスの内部にシートSを締結する方法について説明する。
【0045】
図8に示しているように、シートレール部13に締結ボルト32のヘッドを挿入し、前記締結ボルト32をシートレール部13でスライディングさせてシートSを装着させる位置まで移動させる。前記締結ボルト32がシートSを装着させようとする位置まで移動した状態で、前記締結ボルト32のねじ部が前記シートSの一側に締結された連結ブラケット31を貫通するようにした後、締結ナット33を締結ボルト32のねじ部に締結し、前記連結ブラケット31が前記シートレール部13に締結されるようにして、シートSを一定の位置に固定することができる。一方、シートの他側は、フロアパネルにボルト締めして固定する。
【0046】
前記のように、下部パネル10にバスの長手方向に沿ってシートレール部13が形成されているため、従来技術のように、シートマウンティングブラケット131、131’が設けられた位置でのみシートが装着されるようにするのではなく、シートレール部13で締結ボルト32をスライディングさせてシートSが締結された位置が決定されるようにして、バスの購入者が所望の間隔、配列および個数でシートSを配列することができる。
【0047】
また、一般シートを装着しない車寄子装着空間を所望の位置と個数に従って設定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、バスの側面パネルアセンブリに関する分野に適用可能である。
【符号の説明】
【0049】
10 下部パネル
11 下部パネル部
12 フレーム部
13 シートレール部
13a 把持突起
20 上部パネル
21 上部パネル部
22 把持部
31 連結ブラケット
32 締結ボルト
33 締結ナット
111 ウエストレール
112 スキッドレール
113 スカートレール
114 補強パイプ
121 (側面の)上部パネル
122 (側面の)下部パネル
122a 固定フラップ
131、131’ シートマウンティングブラケット
S シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8