(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6074224
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】材料剥離防止構造を有する2ショット成形の管保持ファスナ
(51)【国際特許分類】
F16L 3/12 20060101AFI20170123BHJP
F16B 2/22 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
F16L3/12 G
F16B2/22 C
【請求項の数】20
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-240057(P2012-240057)
(22)【出願日】2012年10月31日
(65)【公開番号】特開2013-124771(P2013-124771A)
(43)【公開日】2013年6月24日
【審査請求日】2015年7月2日
(31)【優先権主張番号】13/324,079
(32)【優先日】2011年12月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504075577
【氏名又は名称】ニューフレイ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン アーロン マイアーズ
(72)【発明者】
【氏名】ロジャー イー ピロン
(72)【発明者】
【氏名】ショーン エイ トマセリ
【審査官】
黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−295585(JP,A)
【文献】
特開2010−32052(JP,A)
【文献】
実開平4−44581(JP,U)
【文献】
特開2006−46535(JP,A)
【文献】
特開2004−132394(JP,A)
【文献】
実開平1−173584(JP,U)
【文献】
欧州特許出願公開第2131084(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 3/10 − 3/137
F16L 3/02
F16B 2/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2の壁と、
長手方向キャビティを定める半円形スリーブと、
前記第1又は第2の壁の一方にそれぞれ接続され、撓んでいない状態において、前記長手方向キャビティの長手方向軸の方向に向けられた第1及び第2の撓みウィングと、
を含み、前記第1及び第2の撓みウィングの各々には、前記長手方向キャビティの長手方向軸の方向に向けられた端部によりウィング端部が形成された、
ポリマーの第1の材料の本体と、
前記半円形スリーブの弧長全体に対して固定された第1の部分と、
前記第1及び第2の撓みウィングの一方にそれぞれ固定された第1及び第2の接触端と、
各々が前記第1の部分と、前記第1及び第2の接触端の一方との間に配置され、かつ、これらの間に自由に延びる第1及び第2の自由延長部と、
を含み、前記第1及び第2の接触端が前記第1及び第2の自由延長部の端部を、それぞれ形成している、
弾性的に弾力的な第2の材料の隔離部材と、
を備え、
前記第1及び第2の自由延長部の端部をそれぞれ形成する前記第1及び第2の接触端が前記撓みウィングの前記ウィング端部に接続されたことを特徴とする管保持ファスナ。
【請求項2】
前記第1及び第2の撓みウィングの前記ウィング端部は、前記第1及び第2の自由延長部の端部をそれぞれ形成する前記第1及び第2の接触端と接触状態にある前記第1及び第2の撓みウィングの前記ウィング端部の表面積を増大させるように、第1及び第2の歯を含むことを特徴とする、請求項1に記載の管保持ファスナ。
【請求項3】
前記本体は、各々が前記第1及び第2の壁の一方から直角に延び、前記第1及び第2の撓みウィングの一方に固定されて、前記第1及び第2の壁の一方と前記第1及び第2の撓みウィングの一方との間にウィング受けキャビティを形成する、第1及び第2のウィング接続アームをさらに含み、前記撓みウィングが前記第1及び第2の壁の一方の方向に撓んだとき、対応する前記自由延長部が前記第1及び第2の壁の一方と前記撓みウィングとの間で前記ウィング受けキャビティに受け入れられるように構成されたことを特徴とする、請求項1に記載の管保持ファスナ。
【請求項4】
前記第1及び第2の撓みウィングは、前記第1及び第2のウィング接続アームに対して回転可能であり、かつ、各々が前記第1又は第2のウィング接続アームの一方の外側に配置された第1及び第2のウィング受けキャビティの個々のものの中に弾性的に撓み可能であることを特徴とする、請求項3に記載の管保持ファスナ。
【請求項5】
撓んでいない状態において、前記第1の撓みウィングと前記第1の壁との間に生成された第1ウィング受けキャビティと、前記第2の撓みウィングと前記第2の壁との間に生成された第2のウィング受けキャビティとをさらに含み、管が前記第1の撓みウィングと前記第2の撓みウィングとの間に配置されると、前記第1及び第2の撓みウィング、前記第1及び第2の接触端、及び前記第1及び第2の自由延長端部は、前記第1又は第2のウィング受けキャビティの一方の中に弾性的に撓むことを特徴とする、請求項1に記載の管保持ファスナ。
【請求項6】
前記管が前記長手方向キャビティ内に受けられると、前記第1及び第2の撓みウィング、前記第1及び第2の接触端、及び前記第1及び第2の自由延長部は、前記第1及び第2のウィング受けキャビティから前記撓んでいない状態に弾性的に戻ることを特徴とする、請求項5に記載の管保持ファスナ。
【請求項7】
前記隔離部材は、前記半円形スリーブに固定された前記第1の部分内にのみ、複数の長手方向弾性リブを含むことを特徴とする、請求項1に記載の管保持ファスナ。
【請求項8】
前記第1及び第2の自由延長部の各々の前記接触端は、前記長手方向キャビティの長手方向軸に向かって延びることを特徴とする、請求項1に記載の管保持ファスナ。
【請求項9】
前記半円形スリーブは、90度より大きい弧長を定め、これにより前記半円形スリーブからの前記隔離部材の除去に抵抗することを特徴とする、請求項1に記載の管保持ファスナ。
【請求項10】
第1及び第2の壁と、
長手方向キャビティを定める半円形スリーブと、
前記第1又は第2の壁の一方にそれぞれ接続され、各々が、撓んでいない状態において、前記長手方向キャビティの長手方向軸の方向に向けられた自由端を有する、第1及び第2の撓みウィングと、
を含む、ポリマーの第1の材料の本体と、
前記半円形スリーブの弧長全体に対して固定された第1の部分と、
前記長手方向キャビティの方向に向けられ、前記第1の部分内にのみ配置された複数の長手方向弾性リブと、
各々が前記第1の部分から自由に延び、かつ、端部が前記第1又は第2の撓みウィングの一方の前記自由端に固定された第1及び第2の自由延長部と、
を含む、弾性的に弾力的な第2の材料の隔離部材と、
を備え、
前記半円形スリーブは、90度より大きい弧長にわたって延び、かつ、第1及び第2の弧の端点を含み、前記第1及び第2の弧の端点間の間隔は、前記隔離部材の直径より小さく、それにより前記半円形スリーブからの前記隔離部材の除去に抵抗するように構成されたことを特徴とする管保持ファスナ。
【請求項11】
撓んでいない状態において、前記第1の撓みウィングと前記第1の壁との間に生成された第1のウィング受けキャビティと、前記第2の撓みウィングと前記第2の壁との間に生成された第2のウィング受けキャビティとをさらに含むことを特徴とする、請求項10に記載の管保持ファスナ。
【請求項12】
前記第1の自由延長部及び前記第1の撓みウィングは、撓んだ状態において、前記第1のウィング受けキャビティの中に弾性的に撓み、前記第2の自由延長部及び前記第2の撓みウィングは、撓んだ状態において、前記第2のウィング受けキャビティの中に弾性的に撓むことを特徴とする、請求項11に記載の管保持ファスナ。
【請求項13】
前記隔離部材は、前記第1及び第2の撓みウィングの一方にそれぞれ固定された第1及び第2の接触端をさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の管保持ファスナ。
【請求項14】
前記本体は、前記第1の壁を前記第1の撓みウィングに一体的に接続する第1のウィング接続アームと、前記第2の壁を前記第2の撓みウィングに一体的に接続する第2のウィング接続アームとをさらに含むことを特徴とする、請求項10に記載の管保持ファスナ。
【請求項15】
第1及び第2の壁と、
長手方向キャビティを定める半円形スリーブと、
前記第1又は第2の壁の一方にそれぞれ接続され、各々が、撓んでいない状態において前記長手方向キャビティの長手方向軸の方向に向けられたウィング端部を有する、第1及び第2の撓みウィングと、
撓んでいない状態において、前記第1の撓みウィングと前記第1の壁との間に生成された第1のウィング受けキャビティと、前記第2の撓みウィングと前記第2の壁との間に生成された第2のウィング受けキャビティと、
を含む、ポリマーの第1の材料の本体と、
前記半円形スリーブの弧長全体に対して固定された第1の部分と、
前記第1又は第2の撓みウィングの一方の自由端である前記ウィング端部にそれぞれ固定された第1及び第2の接触端と、
各々が前記第1の部分から前記第1及び第2の接触端の一方まで自由に延びる第1及び第2の自由延長部と、
を含み、前記第1の自由延長部及び前記第1の撓みウィングは、撓んだ状態において、前記第1のウィング受けキャビティの中に弾性的に撓み、前記第2の自由延長部及び前記第2の撓みウィングが、撓んだ状態において、前記第2のウィング受けキャビティの中に弾性的に撓む、弾性的に弾力的な第2の材料の隔離部材と、
を備え、
前記第1及び第2の接触端が前記第1及び第2の自由延長部の端部を、それぞれ形成しており、前記第1及び第2の自由延長部の端部をそれぞれ形成する前記第1及び第2の接触端が前記撓みウィングの前記ウィング端部に接続されたことを特徴とする管保持ファスナ。
【請求項16】
前記本体は、
第3及び第4の壁と
第2の長手方向キャビティを定める第2の半円形スリーブと、
前記第3又は第4の壁の一方にそれぞれ一体的に接続され、各々が、撓んでいない状態において、前記第2の長手方向キャビティの長手方向軸の方向に向けられた自由端を有する第3及び第4の撓みウィングと、
をさらに含むことを特徴とする、請求項15に記載の管保持ファスナ。
【請求項17】
前記第2の半円形スリーブに固定された第1の部分と、
前記第3及び第4の撓みウィングの一方にそれぞれ固定された第3及び第4の接触端と、
各々が前記第1の部分と前記第3及び第4の接触端の一方との間に配置され、これらの間で自由に延びる第3及び第4の自由延長端部と、
を含む、前記弾性的に弾力的な材料の第2の隔離部材をさらに含むことを特徴とする、請求項16に記載の管保持ファスナ。
【請求項18】
前記隔離部材は、前記長手方向キャビティの方向に向けられ、前記第1の部分内にのみ配置された複数の長手方向弾性リブを含むことを特徴とする、請求項15に記載の管保持ファスナ。
【請求項19】
前記第1及び第2の撓みウィングの各々は、前記第1及び第2の接触端の中に延び、これらにそれぞれ固定された第1及び第2の歯を含み、それにより前記第1及び第2の接触端と接触状態にある前記第1及び第2の撓みウィングの表面積が増大されることを特徴とする、請求項15に記載の管保持ファスナ。
【請求項20】
前記本体は、個々の半円形スリーブの長手方向キャビティを定め、かつ、個々の対向する壁に一体的に接続され、各々が、撓んでいない状態において、前記半円形スリーブの長手方向キャビティの1つの長手方向軸の方向に向けられた自由端を有する、対向する撓みウィングをそれぞれ含む、複数の半円形スリーブをさらに含むことを特徴とする、請求項15に記載の管保持ファスナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、管及び電気配線を保持し引き回すために自動車用途に用いられるファスナに関する。
【背景技術】
【0002】
この節は、必ずしも従来技術ではない、本開示に関連する背景情報を提供する。
自動車において、油圧、真空、燃料及び同様の用途のために用いられる金属又はゴム管、及び、電線、ケーブル、並びに配線束のような管形状の物体を保持するために用いられるクリップ及びファスナが知られている。車両の上流側部品又は下流側部品から伝達される振動及び音が、ファスナを通して、ファスナが接続される車体パネルに伝えられ、それによって望ましくない騒音が引き起こされることがある。これらのファスナに備えられている弾性材料の挿入体は、騒音の伝達を低減させる。管形状の物体をファスナに挿入できるようにするために、弾性の挿入体材料は、挿入に際してファスナ材料が撓むようになる領域において局所的に省かれるか、又は挿入中に押しつぶされ、或いは剥がれることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、既知の設計においては、管形状の物体が取り付けられた後における、管形状の物体と接触する弾性挿入体材料の存在範囲は、最適なものとなっていない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この節は、本開示の一般的な概要を提供するものであり、本発明の全範囲又は特徴の全ての包括的開示ではない。
【0005】
本開示の幾つかの実施形態によると、管保持ファスナは、ポリマーからなる第1の材料の本体を含む。本体は、第1及び第2の壁と、長手方向キャビティを定める半円形スリーブとを含む。本体の第1及び第2の撓みウィングが、第1又は第2の壁の一方に個別に接続され、撓んでいない状態において、長手方向キャビティの長手方向軸の方向に向けられる。
第1及び第2の撓みウィングの各々には、長手方向キャビティの長手方向軸の方向に向けられた端部によりウィング端部が形成される。弾性的に弾力性を有する第2の材料の隔離部材が、半円形スリーブ
の弧長全体に対して固定された第1の部分と、第1及び第2の撓みウィングの一方に個別に固定された第1及び第2の接触端とを含む。隔離部材の第1及び第2の自由延長
端部はそれぞれ、第1の部分と、第1及び第2の接触端の一方との間に配置され、これらの間に自由に延びる。
第1及び第2の接触端が前記第1及び第2の自由延長端部の端部を、それぞれ形成する。
【0006】
さらに別の実施形態によると、管保持ファスナは、ポリマーからなる第1の材料の本体を含む。該本体は、第1及び第2の壁と、長手方向キャビティを定める半円形スリーブと、を含む。第1及び第2の撓みウィングが、第1又は第2の壁の一方にそれぞれ接続され、これら撓みウィングの各々は、撓んでいない状態において、長手方向キャビティの長手方向軸の方向に向けられた自由端を有する。弾性的に弾力性を有する第2の材料の隔離部材が設けられ、該隔離部材は、半円形スリーブ
の弧長全体に対して固定された第1の部分と、長手方向キャビティの方向に向けられて該第1の部分内にのみ配置された複数の長手方向弾性リブと、を含む。隔離部材の第1及び第2の自由延長
端部はそれぞれ、第1の部分から自由に延び、第1又は第2の撓みウィングの一方の自由端に固定される。
半円形スリーブは、90度より大きい弧長にわたって延び、かつ、第1及び第2の弧の端点を含み、該第1及び第2の弧の端点間の間隔は、前記隔離部材の直径より小さく、それにより前記半円形スリーブからの前記隔離部材の除去に抵抗するように構成されている。
【0007】
他の実施形態によると、管保持ファスナが、ポリマーからなる第1の材料の本体を含む。該本体は、第1及び第2の壁と、長手方向キャビティを定める半円形スリーブと、を含む。該本体の第1及び第2の撓みウィングが第1又は第2の壁の一方にそれぞれ一体的に接続され、該撓みウィングの各々が、撓んでいない状態において、長手方向キャビティの長手方向軸の方向に向けられた自由端を有する。撓んでいない状態において、第1のウィング受けキャビティが、第1の撓みウィングと第1の壁との間に生成され、第2のウィング受けキャビティが、第2の撓みウィングと第2の壁との間に生成される。弾性的に弾力性を有する第2の材料の隔離部材が設けられ、該第2の隔離部材は、半円形スリーブ
の弧長全体に対して固定された第1の部分と、第1及び第2の撓みウィングの一方
の自由端であるウィング端部にそれぞれ固定された第1及び第2の接触端とを含む。隔離部材の第1及び第2の自由延長
端部はそれぞれ、第1の部分から自由に延び、第1又は第2の撓みウィングの一方の自由端において、第1及び第2の接触端の一方に固定される。第1の自由延長
端部及び第1の撓みウィングは、弾性的に撓まされ第1のウィング受けキャビティの中に入り込んで、撓み状態となり、第2の自由延長部及び第2の撓みウィングは、弾性的に撓まされ第2のウィング受けキャビティの中に入り込んで、撓み状態となる。
第1及び第2の接触端が、第1及び第2の自由延長端部の端部を、それぞれ形成しており、
該第1及び第2の自由延長端部の端部をそれぞれ形成する前記第1及び第2の接触端が前記撓みウィングの前記ウィング端部に接続されている。
【0008】
さらなる適用可能分野は、本明細書に与えられる説明から明らかになるであろう。本概要における説明及び特定の例は、例示の目的のみを意図しており、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
本明細書に記載される図面は、選択された実施形態を例示することのみを目的とするものであり、全ての可能な実施構成を示すものではなく、本開示の範囲を限定することを意図するものでもない。
図面の幾つかの図全体を通して、対応する符号は対応する部品を示す。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示による管保持ファスナの右正面斜視図である。
【
図6】部分的に取り付けられた位置の管を示す、
図1のファスナの部分背面図である。
【
図7】完全に取り付けられた位置の管を示す、
図6の部分背面図である。
【
図9】本開示による管保持ファスナの第2の実施形態の右正面斜視図である。
【
図11】本開示による管保持ファスナの第3の実施形態の右正面斜視図である。
【
図13】本開示による管保持ファスナの第4の実施形態の左正面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで、添付図面を参照して、例示的な実施形態をより完全に説明する。
図1を参照すると、管保持ファスナ10が、剛性を与えるためにポリアミド又はポリオキシメチレンなどの第1のポリマー材料の本体12を含む。本体12は、第1の端壁14と、底壁16と、第2の端壁18とを含む。管保持ファスナ10は、少なくとも1つの、及び幾つかの実施形態による、以下にまとめて「管」と呼ばれる、油圧作動油、燃料、真空又は同様の自動車用途の管類、又は、1つ又はそれ以上の電線、ケーブル、又は電線路などの第1、第2及び/又は第3の管形状の物体又は管20、21、22を保持するように用いられる。第3の管22が、本体12内に生成された第1、第2及び/又は第3の保持キャビティ24、26、28内に、本体12の材料と直接接触した状態で受けられる。第3の管22は、第3の管22の取り付けを可能にするように弾性的に撓み、かつ、保持のために、図示される、撓んでいない位置まで弾性的に戻る、本体12の材料から生成された第1、第2及び/又は第3の保持アーム30、32、34を用いて、第1、第2及び/又は第3の保持キャビティ24、26、28内に保持される。第1及び第2の保持アーム30、32は、第2の端壁18に近接して配置された第1の保持アーム支持部材36を用いて、共に本体12に接続することができる。第3の保持キャビティ28の第3の保持アーム34は、底壁16から離れるように延びる第2の保持アーム支持部材38を用いて、底壁16に接続される。
【0011】
第1及び/又は第2の保持キャビティ24、26内に支持される第3の管22のサイズは、第1及び第2の管20、21より小さいため、底壁延長部40を、底壁16に対して斜めに配向することができ、従って、第1、第2及び第3の管20、21及び22の長手方向軸(第3の保持キャビティ28内に保持される第3の管22は除いて)を、互いに同一平面上で位置合わせし、底壁16から等しく離間配置することができる。第1及び第2の保持キャビティ24、26の各々は、半円形状のスリーブ41、42などの半円形スリーブとして、本体12内に生成される。半円形スリーブ41、42の各々は、複数のウェブ44を用いて、底壁延長部40に剛に接続される。同様に、第3の保持キャビティ28が、半円形スリーブ43として本体12内に生成される。半円形スリーブ43は、複数のウェブ44’を用いて、底壁16に剛に接続される。ウェブ44、44’は、いずれかの2つのウェブの間、又は、ウェブと第1又は第2の端壁14、18の一方若しくは底壁16との間に複数の本体キャビティ45を定める。
【0012】
使用中、第1及び/又は第2の管20、21は、上流又は下流の車両構成部品又は機器から、管保持ファスナ10が接続された車体構造体(
図2を参照してパネル110として図示され説明される)へと、以下にまとめて「騒音」と呼ばれる振動、音、及び/又は動きを伝えることがあり、従って、第1及び第2の管20、22は、本体12内に生成された第1及び第2の半円形スリーブ50、52に固定された弾性的に撓み可能な弾性材料の第1及び第2の隔離部材46、48を用いて、管保持ファスナ10内にさらに支持される。第1及び第2の隔離部材46、48の材料は、TPE(熱可塑性エラストマー)とすることができる。本体12と第1及び第2の隔離部材46、48との間のデュロメータ硬度及び密度の差は、管保持ファスナ10を通る騒音の伝達を減衰させ、従って最小化する。付加的なウェブ54及び本体キャビティ56、58が、第1及び第2の半円形スリーブ50、52と、第1若しくは第2の端壁14、18又は底壁16との間に生成される。
【0013】
管保持ファスナ10は、第1及び第2の隔離部材46、48により、第1及び第2の管20、21の約70乃至90パーセントの周方向の封入を与える。このことは、第1及び第2の半円形スリーブ50、52の弧長全体に対して第1及び第2の隔離部材46、48を固定し、さらに、第1及び第2の管20、21の保持手段として与えられた撓みウィングの自由端と接続するように、第1及び第2の隔離部材46、48の材料の自由延長部を与えることによって達成される。幾つかの態様によると、第1の自由延長部60が、第1のウィング受けキャビティ61を通って、第1の撓みウィング64の自由端62まで延び、第1の接触端66において自由端62にしっかりと接続される。第1の撓みウィング64の自由端62は、第1の接触端66と接触する撓みウィングの自由端62の表面積を増大させる、少なくとも1つの、及び幾つかの態様によると、第1及び第2の歯68、70を含み、これにより、第1及び第2の歯68、70は、材料剥離防止特徴部を定める。
【0014】
本体12のスリーブ/本体コネクタ71は、半円形スリーブ50を第1の端壁14に一体的に接続し、第1の端壁14と共に、第1のウィング受けキャビティ61に関する部分的境界を形成する。第1のウィング接続アーム72は、第1の撓みウィング64を第1の端壁14に一体的に接続する。第1のウィング接続アーム72、第1の撓みウィング64、及び第1の自由延長部60により、第1のウィング受けキャビティ61の境界が完成する。補強部材74が、第1の端壁14の外面76から外向きに延びる。補強部材74は、第1の管20が受けられ、第1の撓みウィング64が撓んだときに、第1の端壁14が外向きに撓むのを制限する。
【0015】
第2の自由延長部75は、第1の自由延長部60の鏡像を定める形状であり、従って、本明細書において、共通の特徴は詳細には論じない。第2の自由延長部75は、
図6を参照してより詳細に示され説明されている、本体12の第1の内壁152に一体的に接続された第2のスリーブ/本体コネクタ78から離れる方向に延びており、半円形スリーブ50に一体的に接続されている。幾つかの態様によると、第2の自由延長部75は、第2のウィング受けキャビティ80を通って、第2の撓みウィング82の自由端まで延び、第2の接触端84において該自由端に固定的に接続される。第2の撓みウィング82の該自由端は、少なくとも1つの、及び幾つかの態様によると、第1及び第2の歯68、70と同様の第1及び第2の歯を含み、該自由端上の該第1及び第2の歯は、第2の接触端84に接触する第2の自由延長部75の表面積を増大させ、したがって、第1及び第2の歯68、70は、材料剥離防止構造を構成する。
【0016】
本体12の第2のスリーブ/本体コネクタ78は、半円形スリーブ50を第1の内壁152に一体的に接続し、第1の内壁152と共に、第2のウィング受けキャビティ80に関する部分的境界を形成する。第2のウィング接続アーム85は、第2の撓みウィング82を第1の内壁152に一体的に接続する。第2のウィング接続アーム85、第2の撓みウィング82、及び第2の自由延長部75により、第2のウィング受けキャビティ80の境界が完成する。
【0017】
幾つかの態様によると、第2の隔離部材48は、第1の隔離部材46と類似しているか、又はその鏡像とすることができる。第2の隔離部材48の第1及び第2の自由延長部86、88は、第1の隔離部材46の第1及び第2の自由延長部60、75と類似している。第3及び第4の撓みウィング90、92は、設計及び機能が、第1及び第2の撓みウィング64、82と類似している。第1及び第2の隔離部材46、48の各々は、複数の長手方向の弾性リブ94を含む。リブ94の自由端は、第1又は第2の管20、21が第1及び第2の隔離部材46、48に受けられると、接触し弾性的に撓むことができる。幾つかの実施形態によると、第1及び第2の隔離部材46、48両方の複数の長手方向弾性リブ94は、半円形スリーブ50、52に固定された第1及び第2の隔離部材46、48の第1の部分95、95’内にのみ配置される。
【0018】
管保持ファスナ10には、管保持ファスナ10を車体又はパネルに取り付けるのに用いられる接続手段がさらに設けられる。平坦な取り付けフランジ96を第1の隔離部材46と第2の隔離部材48との間に配置することができる。ファスナ係合部98は、
図2を参照してより詳細に示され説明される、ファスナを受けこれと係合するように適合された平坦な取り付けフランジ96内に生成される。第1及び第2の隔離部材46、48と同じ材料で生成されたフランジシール100が、取り付けフランジ96の周縁部101に近接して配置される。フランジシール100は、管保持ファスナ10に対して付加的な騒音の減衰を与え、車両のファスナがファスナ係合部98内に延びる場合に、付加的に流体境界シールを与えることができる。
【0019】
図2及び再び
図1を参照すると、管保持ファスナ10は、第1のウィング受けキャビティ61内への第1の撓みウィング64及び第1の自由延長部60のための最大変位接触を与える、第1の端壁14の内面102を含む。第1の自由延長部60の第1の接触端66は、第1の隔離部材46に受けられたときに、第1の管20の曲率半径に適合するように、形状を凹形とすることができる、接触面104をさらに含む。接触面104の位置は、第1のウィング接続アーム72のアーム幅「C」により確立され、これはまた、第1の撓みウィング64が撓んだときの、第1の撓みウィング64と内面102との間の垂直方向の隔離距離にも等しい。
【0020】
幾つかの態様によると、第2の隔離部材48は、第1の隔離部材46の幾何学的形状と実質的に同一であるか、又は、第1の隔離部材46に対して異なる寸法を有することができる。管保持ファスナ10内の第2の隔離部材48の構成は、第2の管21が第2の隔離部材48に受けられたときに、同様の動作特性を与える。例えば、第3のウィング受けキャビティ106は、回転された第3の撓みウィング90を受け、第4のウィング受けキャビティ108は、回転された第4の撓みウィング92を受ける。従って、第3及び第4のウィング受けキャビティ106、108の幾何学的形状は、第1及び第2のウィング受けキャビティ61、80と類似している。
【0021】
幾つかの態様によると、少なくとも第1及び第2の管20、21は、管保持ファスナ10の取り付け前に、第1及び第2の隔離部材46、48に挿入される。次いで、図示のように、取り付けフランジ96及びフランジシール100をパネル110に近接して配置することにより、管保持ファスナ10を自動車のパネル110に解放可能なように取り付けることができる。ファスナ114のねじ付きシャンクなどのシャンク112が、シャンク受けキャビティ116において本体12内に受けられる。ファスナ114にかけられるトルクにより、シャンク112が、シャンク受けキャビティ116内に配置された、少なくとも1つの、及び幾つかの態様によると、複数のシャンク係合部材118と係合される。フランジシール100は、パネル110の面と直接接触すると、シャンク112が、シャンク112の挿入のためにパネル110を通って生成された孔(図示せず)を通って延びる場所において、流体密封境界を与える。第1及び第2の管20、21の挿入と同時に、従ってパネル110との取り付け前に、第3の管22を挿入することもでき、又は、特に第3の保持キャビティ28の場所において、管保持ファスナ10の取り付け後に第3の管22を挿入することができる。ファスナ識別特徴部120が、管保持ファスナ10の本体12の成形時に生成される。ファスナ識別特徴部120は、底壁16の下面122から離れるように延びる。ファスナ識別特徴部120は、
図10に関して図示され説明されるような、類似した保持ファスナの設計を物理的にも視覚的にも識別する。ファスナ識別特徴部120は、管の設置者により用いられるファスナ取り付けジグ(図示せず)内に配置されたときに、正しい保持ファスナが用いられていることを確認する。
【0022】
第1及び第2の隔離部材46、48の各々に設けられた複数の長手方向弾性リブ94は、種々の弾性リブの場所に応じて、異なるサイズ及び異なる角度配向を有する。第1及び第2の隔離部材46、48の実質的に両側に配置された第1及び第2のリブ124、126は、
図2に見られるように、第1及び第2の管20、21の取り付け中の摩擦抵抗を制限するように、下向きに角度が付けられている。第3及び第4のリブ128、130は、第1及び第2のリブ124、126より長く、かつ、第1のリブ124又は第2のリブ126のいずれかに近接して配置される。第5、第6、及び第7のリブ132、134、136は、(
図2に見られるように)第1及び第2の隔離部材46、48の底部に配置され、それぞれ、第1のリブ124、第2のリブ126、第3のリブ128、又は第4のリブ130のどれよりも長さが長い。第1の隔離部材46又は第2の隔離部材48のいずれか又は両方に用いられる長手方向弾性リブ94の数量は、示されるものから変更して、より多い又は少ない長手方向弾性リブ94を含むようにすることもできる。
【0023】
図3を参照すると、管保持ファスナ10のファスナ係合部98が、対向して配置された第1及び第2のシャンクガイド部材138、140の各々をさらに含むことができる。第1及び第2のシャンクガイド部材138、140は、
図2を参照して図示され説明されるシャンク112を軸方向に位置合わせし、個々のシャンク係合部材118と適切に係合する。第1及び第2のシャンクガイド部材138、140間の間隔は、シャンク112上に設けられたねじの谷径に適合するように予め定めることもできる。
【0024】
図4を参照すると、補強部材74、フランジシール100、取り付けフランジ96、及びファスナ識別特徴部120をそれぞれ、本体の中央軸141に対して同軸に位置合わせすることができる。このことにより、管保持ファスナ10についての一貫した位置決め及び一貫した本体幅が保証される。
【0025】
図5及び再び
図1を参照すると、複数のシャンク係合部材118’、118’’の各々が、シャンク112のねじの頂部間に受けられる、ねじ係合先端部142を含む。本体12の半円形スリーブ50、52の第1の部分95、95’の各々は、第1及び第2の隔離部材46、48、並びに、第1及び第2の管20、21についての個々の長手方向軸144、145を定める。管が第1及び第2の隔離部材46、48内に完全に受けられたとき、複数の長手方向弾性リブ94の各々、並びに、第1及び第2の隔離部材46、48の両方の第1及び第2の接触端66、84は、第1又は第2の管20、21の一方に直接接触する。第1及び第2の隔離部材46、48を半円形スリーブ50、52内に保持するのをさらに助けるために、半円形スリーブ50、52の第1の部分95、95’の各々は、90度より大きい回転弧αを定めて、第1又は第2の隔離部材46、48の除去に抵抗する。
【0026】
第1及び/又は第2の管20、21が第1及び第2の隔離部材46、48に挿入されるとき、第1及び第2の管20、21は、最初に、第1及び第2の撓みウィング64、82の各々、並びに、第3及び第4の撓みウィング90、92の各々の延長端148、148’に遭遇する。撓みウィングの延長端148、148’は、第1及び第2の接触端66,84、66’、84’の個々の端面146、146’を超えて延び、従って、第1又は第2の管20、21の直接接触は、第1及び第2の隔離部材46、48のより柔らかい材料、即ち弾性材料に対して直接にではなく、本体12の剛性材料に対して生じる。このことは、管の取り付け中、第1及び第2の管20、21と第1及び第2の隔離部材46、48の材料との間の摩擦接触を低減させるのをさらに助け、それによって、第1又は第2の隔離部材46、48のより柔らかい材料が個々の撓みウィングから離れるように裂ける可能性がさらに低減される。その後、第1及び第2の管20、21と接触面104の各々との間の直接接触により、第1及び第2の半円形スリーブ50、52により定められる管受け長手方向キャビティ150、150’内の取り付け位置からの、第1の管20又は第2の管21のいずれかの移動が防止される。
【0027】
図6を参照すると、第1の管20の取り付け中に生じる第1及び第2の撓みウィング64、82の対向する撓みの例示的な描写が示される。第1及び第2の撓みウィング64、82について示される最大撓み位置において、第1及び第2の自由延長部60、75は、左右に配向された第1及び第2の撓みウィング64、82の厚さと共に、実質的に第1及び第2のウィング受けキャビティ61、80の各々を埋める。第1の管20は、管取り付け方向「E」に挿入され、これは直接、第1の撓みウィング64及び第1の自由延長部60の両方の第1のウィング撓み方向「F」における弾性撓みと、第2の撓みウィング82及び第2の自由延長部75の第2のウィング撓み方向「G」における反対方向の弾性撓みと、をもたらす。この弾性撓みは、第1及び第2のウィング撓み方向「F」、「G」に対して反対に作用する付勢力をもたらす。第1の自由延長部60は、第1の端壁14に直接接触するまで撓み、第2の自由延長部75は、第1の内壁152に直接接触するまで弾性的に撓む。前述のように、第1及び第2のウィング受けキャビティ61、80の間隔又は寸法は、この最大撓み状態中の撓みウィング及び自由延長部の厚さを収容するように予め定められる。
【0028】
図7及び再び
図6を参照すると、第1の管20が、管受け長手方向キャビティ150の中に管取り付け方向「E」に完全に挿入された後の状態が示される。この時点で、第1の管20は、第1、第2、第3、第4、第5、第6及び第7のリブ124、126、128、130、132、134、136を含む個々の弾性リブの各々に直接接触する。さらに、幾つかの態様によると、随意的に設けられる第8及び第9のリブ135、137もまた、第1の管20に直接接触する。第1の撓みウィング64及び第1の自由延長部60の弾性撓み中の生じる付勢力は、これらの構成部品を、第1のウィング戻り回転弧「H」において変位させ、図示される、撓んでいない状態に戻すように作用する。この弾性付勢力は、第1の自由延長部60を、第1の端壁14の端壁の内面153との接触から離れるように移動させ、第1の撓みウィング64を、第1のウィングの回転軸154に対して回転させる。同じような、しかしながら反対の回転においては、第2の自由延長部75は第1の内壁152の外面155との接触から離れるように移動し、第2の撓みウィング82は、第2のウィング戻り回転弧「J」において第2のウィングの回転軸156に対して回転する。第1及び第2の自由延長部60、75の第1及び第2の接触端66、84を、第1及び第2のウィング受けキャビティ61、80内に自由に受けることを可能にすることによって、第1及び第2の接触端66、84をそれぞれの撓みウィングから引き離す傾向にある力が減少され、それによって、図示される完全に取り付けられた位置における、第1の管20と接触状態にある第1及び第2の接触端66、84の利用可能な表面積が最大にされる。
【0029】
図8、及び再び
図1及び
図2を参照すると、第1のショット成形による本体12の生成が完了した後、第1及び第2の隔離部材46、48、並びに、フランジシール100の弾性材料が、第2のショット成形において射出される。より柔らかい弾性材料が、射出場所又はポート160を通して射出され、本体12内に生成された一連のチャネルを通して、第1及び第2の隔離部材46、48及びフランジシール100の後続の位置の各々を満たすように移動する。射出場所160から、材料は第1の入口チャネル162を介してチャネルの第1の分岐164に方向付けられ、それによって第1の隔離部材46が生成される。また、材料は、同時に、第1の入口チャネル162と連通するチャネルの第2の分岐166によって方向付けられて、フランジシール100を生成する。同じくこの時点で、射出場所160を通して射出された材料は、第2の入口チャネル168も介して方向付けられ、第2の隔離部材48を生成する。隔離部材及びフランジシールのより柔らかい弾性材料は、本体12の材料が依然として高温である間に射出され、従って、管保持ファスナ10を生成するのに用いられる金型(図示せず)内で、より柔らかい弾性材料と本体12のポリマー材料との間に一体的な結合又は直接的な物理的接続が生じる。従って、より柔らかい弾性材料を本体12に結合又は固定するための接着剤又は他の結合剤は必要ない。
【0030】
図9及び再び
図1を参照すると、付加的な態様によれば、管保持ファスナ170が、管保持ファスナ10に対して変更されているが、多くの類似の構成部品を与え、従って、本明細書においては違いだけをさらに論じる。管保持ファスナ170は、第1の隔離部材172と、第2の隔離部材174とを含む。第1の隔離部材172は、対応する第1の隔離部材46より大きく、従って、より大きい直径の管を受けることができる。第2の隔離部材174は、第2の隔離部材48と実質的に等しいか又はこれより小さくすることができる。第1の隔離部材172の管受けサイズの直径がより大きいため、スリーブ/本体コネクタ176は、対応する管保持ファスナ10のスリーブ/本体コネクタ71より大きい。従って、管保持ファスナ170の第1の端壁178内に生成された、より大きいスリーブ/本体コネクタ176によって、対応する端壁本体キャビティ180の空間エンベロープが低減され、端壁本体キャビティ180は、管保持ファスナ10の対応する端壁本体キャビティ58より小さくなる。
【0031】
図10及び再び
図9及び
図1を参照すると、管保持ファスナ170に設けられた補強部材182が、第1の隔離部材172により受けられる管の増大した直径、及び、第1の端壁178により吸収される、対応するより大きい撓み力のために、管保持ファスナ10の補強部材74の対応する幅より広い補強部材の幅「K」を有することができる。第1及び第2の撓みウィング184、186は、第1の隔離部材172の第1及び第2の自由延長部188、190を収容するように、管保持ファスナ10の対応する第1及び第2の撓みウィング64、82より長くすることができる。同様に、第3及び第4の撓みウィング192、194の長さを、第2の隔離部材48の対応するサイズとは異なり得る第3及び第4の自由延長部196、198を収容するような大きさにすることができる。従って、第1及び第2の管受けキャビティ173、175は、第1及び第2の隔離部材172、174の各々に受けられる管の予測される直径又は直径範囲によって予め定められる。管保持ファスナ170に設けられたファスナ識別特徴部199が、管保持ファスナ10のファスナ識別特徴部120の対応する場所とは異なる場所に配置され、管保持ファスナ10と管保持ファスナ170との間に視覚的及び物理的差異を与える。ファスナ識別特徴部199が異なる場所にあるため、管保持ファスナ170への管類の取り付けに用いられる固定具(図示せず)により、管保持ファスナ10を使用することができない。
【0032】
図11及び再び
図1を参照すると、付加的な態様によれば、管保持ファスナ200もまた、管保持ファスナ10及び管保持ファスナ170両方の幾何学的形状から変更されたものであり、従って、以下では違いだけを記載する。管保持ファスナ200は、第1の隔離部材202と、第2の隔離部材204と、管保持ファスナ10の第3の保持キャビティ28の場所に対応する単一の保持キャビティ205だけを備える。第1及び第2の保持キャビティ24、26、並びに管保持ファスナ10の底壁延長部40と関連した他の特徴部は、管保持ファスナ200の設計において排除されている。管保持ファスナ200は、第1の補強部材208を有する第1の端壁206と、第2の端壁212上に生成された、対向して配置された第2の補強部材210とを備える。管保持ファスナ10のフランジシール100もまた、管保持ファスナ200の設計において排除されており、従って、管保持ファスナ200の取り付けフランジ215は、ファスナ係合部216のみを備える。
【0033】
図12及び再び
図11を参照すると、第1の隔離部材202、204の各々を生成するための第2のショット成形プロセスは、管保持ファスナ10と比較すると、管保持ファスナ200において簡単化される。射出位置222は、材料を第1の隔離部材202に向ける第1の入口チャネル218及び材料を第2の隔離部材204に向ける第2の入口チャネル220の各々のためだけに備えられる。
【0034】
図13及び再び
図11を参照すると、幾つかの態様による管保持ファスナ224は、より大きい直径容量の第1の隔離部材226及びより小さい直径容量の第2の隔離部材228を提供するように、管保持ファスナ200から変更される。第1の隔離部材226に受けられる管の直径範囲がより大きく、かつ、より大きい直径の管を保持するのに必要とされる本体強度がより大きいため、第1の端壁232のスリーブ/本体コネクタ230は、対向する第2の端壁238内に生成されたスリーブ/本体コネクタ236の対応する第2のコネクタ厚「M」より厚い第1のコネクタ厚「L」を有する。管保持ファスナ224の第1の補強部材234もまた、第2の隔離部材228によって保持される、より小さい直径の管と比較すると、第1の隔離部材226により保持される管の直径が増大しているため、対応する第2の補強部材240より大きい幅又は厚さを有することができる。
【0035】
本開示の管保持ファスナは、幾つかの利点を提供する。弾性材料の隔離部材の自由延長部60、75、188、190、196、198を設けることにより、管又はケーブルを受ける際に発生する撓みに対する抵抗が低減され、本体のより硬いプラスチック材料から弾性材料が剥がれる可能性も低減される。撓みウィング及び自由延長部の両方を受けるような大きさにされたウィング受けキャビティ61、80を設けることにより、自由延長部のより柔らかい材料は、管又はケーブルの挿入の際に押しつぶされず又は剥がれない。接触端66、84の弾性材料に結合された撓みウィングの自由端に第1及び第2の歯68、70のような歯をさらに設けることにより、この接合部における接触表面積が増大し、それによって、弾性材料が撓みウィングから剥がれる可能性がさらに低減される。本開示の隔離部材は、本開示の管保持ファスナにより保持することができる管のサイズの範囲を与えるように拡大又は縮小することもできる。
【0036】
例示的な実施形態は、本開示が完全なものであり、その範囲を当業者に完全に伝えるように提供される。本開示の実施形態の完全な理解を与えるために、特定の構成要素、装置及び方法の例のような多数の特定の詳細が述べられる。特定の詳細を用いる必要がないこと、例示的な実施形態を多くの異なる形態で具体化できること、及びいずれも本開示の範囲を限定するように解釈すべきではないことが、当業者には明らかであろう。幾つかの例示的な実施形態において、周知のプロセス、周知の装置構造体、及び周知の技術は、詳細には説明されていない。
【0037】
本明細書に用いられる用語は、特定の例示的な実施形態だけを説明するためのものであり、限定することを意図するものではない。本明細書に用いられる場合の単数形を表す不定冠詞及び定冠詞は、文脈により明らかに特段の定めがない限り、複数形も含むことが意図されている。「備える」、「備えている」、「含んでいる」及び「有している」という用語は、包括的なものであり、従って、記載された特徴、整数、ステップ、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を特定するが、1つ又はそれ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらのグループの存在又は追加を排除するものではない。本明細書に説明される方法のステップ、プロセス、及び動作は、実行の順序が具体的に特定されていない限り、必ずしも説明された又は示された特定の順序での実行を必要とすると解釈すべきではない。付加的な又は代替的なステップを用い得ることも理解すべきである。
【0038】
要素又は層が、別の要素又は層「上にある」、これに「係合される」、「接続される」、又は「結合される」と記述されるとき、その要素又は層が、直接他の要素又は層上にあり、これに係合され、接続され、又は若しくは結合されてもよく、又は、介在する要素又は層が存在してもよい。対照的に、要素が別の要素又は層の「直接上に」、「直接係合される」、「直接接続される」、「直接結合される」と述べられるとき、介在する要素又は層が存在することはできない。要素間の関係を説明するために用いられる他の語も、同様に解釈すべきである(例えば、「の間に」に対する「の直接間に」、「隣接して」に対する「直接隣接して」等)。本明細書で用いられる場合の「及び/又は」という用語は、関連した列挙項目のうちの1つ又はそれ以上のあらゆる組み合わせを含む。
【0039】
種々の要素、構成要素、領域、層及び/又は区域を説明するために、第1、第2、第3等の用語を本明細書で用いることがあるが、これらの要素、構成要素、領域、層、及び/又は区域は、これらの用語に限定されるべきではない。これらの用語は、1つの要素、構成要素、領域、層、又は区域と、別の領域、層、又は区域を区別するためだけに用いることができる。「第1」、「第2」及び他の数値用語などの用語は、文脈によって明白に示されない限り、順番又は順序を意味するものではない。従って、以下に説明される第1の要素、構成要素、範囲、層又は区域は、例示的な実施形態の教示を逸脱せずに、第2の要素、構成要素、範囲、層又は区域と呼ぶことができる。
【0040】
説明を簡単にし、図に示されるような別の要素又は特徴部に対する或る要素又は特徴部の関係を説明するために、本明細書において「内側」、「外側」、「下」、「下方」、「下部」、「上方」、「上部」等といった空間的に相対的な用語を用いることができる。空間的に相対的な用語は、図に示される配置方向に加えて、使用又は動作中の装置の異なる配置方向を含むように意図されることがある。例えば、図の装置が逆にされた場合、他の要素又は特徴部の「下方」又は「下」にあるものとして説明された要素は、他の要素又は特徴部の「上方」に配置されることになる。従って、「下方」という例示的な用語は、上方及び下方の両方の配置方向を含むことがある。装置を別な方法で配置することもでき(90度回転させるか、又は他の配置にする)、本明細書で用いられる空間的に相対的な記述は、それに従って解釈されるべきである。
【0041】
実施形態の前述の説明は、例証及び説明のために与えられたものである。これは、網羅的であること又は本開示を限定することを意図するものではない。特定の実施形態の個々の要素又は特徴は、一般に、特定の実施形態に限定されるものではなく、該当する場合には交換可能であり、具体的に示されない又は説明されない場合でも、選択された実施形態において用いることができる。こうした変形は、本開示からの逸脱とみなすべきではなく、全てのこうした変更は、本開示の範囲内に含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0042】
10、170、200、224:管保持ファスナ
12:本体
14、18、178、206、212、232、238:端壁
16:底壁
20、21、22:管
24、26、28、205:保持キャビティ
30、32、34:保持アーム
36、38:保持アーム指示部材
40:底壁延長部
41、42、43、50、52:半円形スリーブ
44、44’:ウェブ
45、58:本体キャビティ
46、172、202、226:第1の隔離部材
48、174、204、228:第2の隔離部材
60、75、86、88、188、190、196、198:自由延長部
61、80、106、108:ウィング受けキャビティ
62:自由端
64、82、90、92、184、186、192、194:撓みウィング
66、66’、84、84’:接触端
68、70:歯
71、78、176、230、236:スリーブ/本体コネクタ
72、85:ウィング接続アーム
74、182、208、210、234:補強部材
94:長手方向弾性リブ
95、95’:第1の部分
96、215:取り付けフランジ
98、216:ファスナ係合部
100:フランジシール
110:パネル
112:シャンク
114:ファスナ
116:シャンク受けキャビティ
118、118’、118’’:シャンク係合部材
120、199:ファスナ識別特徴部
124、126、128、130、132、134、135、136、137:リブ
138、140:シャンクガイド部材
150、150’、173、175:管受け長手方向キャビティ
162、168、218、220:入口チャネル