特許第6074238号(P6074238)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6074238
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】ファスナー部材
(51)【国際特許分類】
   B65D 63/10 20060101AFI20170123BHJP
   A44B 11/25 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
   B65D63/10 P
   A44B11/25
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-252992(P2012-252992)
(22)【出願日】2012年11月19日
(65)【公開番号】特開2014-101119(P2014-101119A)
(43)【公開日】2014年6月5日
【審査請求日】2015年11月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】505064932
【氏名又は名称】株式会社メックモールド
(73)【特許権者】
【識別番号】000134464
【氏名又は名称】株式会社トスカバノック
(74)【代理人】
【識別番号】100081570
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰芳
(72)【発明者】
【氏名】青木 誠
【審査官】 高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−262305(JP,A)
【文献】 特開2009−143619(JP,A)
【文献】 特開2004−024807(JP,A)
【文献】 特開2002−125730(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/114385(WO,A1)
【文献】 米国特許第05379496(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0293763(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 63/10
A44B 11/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ループ形成材の一端に係止部を備えた挿し込み部を一体的に備え、他端には前記挿し込み部が挿し込まれ、前記係止部が係合される係合部を備えた受部を一体的に備えたファスナー部材であって、前記した挿し込み部の係止部は先端部分に形成され、軸芯方向に沿って突設された突片とし、前記受部の係合部は側面部分に形成された窓孔の受口寄りに形成された前記突片の受溝としてあり、前記した突片は180度ピッチで一対設けられ、前記した受溝も窓孔において180度ピッチで一対形成されており、前記した挿し込み部及び受部は摘んでの操作が行ない易いように偏平部分を形成してあり、前記した少なくとも受部の偏平部分には滑り止めが形成されており、前記した挿し込み部及び受部には挿し込み対応位置を示すマークが施されているファスナー部材において、前記した一対の突片は挿し込み部の軸芯から位置をずらせて挿し込み部の軸芯に対し点対称位置に形成し、受溝も窓孔において中心点から点対称位置に形成してあることを特徴とするファスナー部材。
【請求項2】
前記した突片の側面には突出方向に沿った凹溝が形成されており、受溝の上縁にはその凹溝を受ける突条が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のファスナー部材。
【請求項3】
前記した挿し込み部を受部の受口に挿し込み90度、60度、120度をはじめ任意の角度で回転させ、挿し込み部もしくは受部を引くことで、前記した突片と受溝の係合がなされ、ロック状態とされることを特徴とする請求項1または2に記載のファスナー部材。
【請求項4】
少なくとも前記した挿し込み部には前記した回転方向を示すマークが施されていることを特徴とする請求項3に記載のファスナー部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はファスナー部材に関し、特に商品に価格、品質等を表示したタグを吊持させ、ロック状態を解除して繰り返し装着使用することを可能としたファスナー部材に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、商品にタグを吊持するためのファスナー部材は強靭なループ形成材が用いられ、一旦ロック状態にすると、そのロック状態を解除することができず、商品から取り外すためにはループ形成材を切断する必要があり、この切断によってそのファスナー部材は再使用することはできなくなる。
【0003】
この点に着目して再使用を可能としたファスナー部材(アタッチ部材)を特許文献1として示す。この特許文献1に示される技術は受部に形成された窓孔の縁に挿し込み部に形成されたバネ片を係合させ、ロックを解除する際にはそのバネ片を押し下げて係合を解く構成となっている。
【0004】
ここで、例えば使用対象となる商品が衣服、特に婦人服の場合、タグを一旦商品から外し、試着をすることとなるが、ロック解除できないファスナー部材は一旦取り外すことができないため、多くの場合、安全ピンが使用される。この安全ピンは外した状態ではピン先が尖っており、指先を怪我してしまうこともあり、操作も面倒で、ある程度の指先の力が要求されることになってしまう。この指先の力の要求は、前記したバネ片を押す作業が必要となる特許文献1に記載の技術にも共通する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−143619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする問題点は、従来、ループを形成し、かつ、ロック状態を解除することができるファスナー部材であって、そのロックのための作業、解除のための作業に格別な指先の力や器用さを必要とせず、その作業が何人も容易にかつ、安全にしかも精度よく正確に行うことができるというものが存在していなかったという点である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した問題点を解決するために、本発明に係るファスナー部材はループ形成材の一端に係止部を備えた挿し込み部を一体的に備え、他端には前記挿し込み部が挿し込まれ、前記係止部が係合される係合部を備えた受部を一体的に備えたファスナー部材であって、前記した挿し込み部の係止部は先端部分に形成され、軸芯方向に沿って突設された突片とし、前記受部の係合部は側面部分に形成された窓孔の受口寄りに形成された前記突片の受溝としてあり、前記した突片は180度ピッチで一対設けられ、前記した受溝も窓孔において180度ピッチで一対形成されており、前記した挿し込み部及び受部は摘んでの操作が行ない易いように偏平部分を形成してあり、前記した少なくとも受部の偏平部分には滑り止めが形成されており、前記した挿し込み部及び受部には挿し込み対応位置を示すマークが施されているファスナー部材において、前記した一対の突片は挿し込み部の軸芯から位置をずらせて挿し込み部の軸芯に対し点対称位置に形成し、受溝も窓孔において中心点から点対称位置に形成してあることを特徴としている。
【0008】
また、本発明に係るファスナー部材は前記した突片の側面には突出方向に沿った凹溝が形成されており、受溝の上縁にはその凹溝を受ける突条が形成されていることを特徴としている。
【0009】
さらに、本発明に係るファスナー部材は前記した挿し込み部を受部の受口に挿し込み90度、60度、120度をはじめ任意の角度で回転させ、挿し込み部もしくは受部を引くことで、前記した突片と受溝の係合がなされ、ロック状態とされることを特徴とし、少なくとも前記した挿し込み部には前記した回転方向を示すマークが施されていることを特徴としている。

【発明の効果】
【0010】
本発明に係るファスナー部材は上記のように構成されている。そのため、本発明に係るファスナー部材は何人が取り扱っても容易に安全に使用でき、精度よく正確なロックとその解除をスムーズに行うことができ、その使用用途も多岐に亘るものとなっている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】ロック状態を示す要部の斜視図である。
図2】正面図である。
図3】側面図である。
図4】挿し込み部の斜視図である。
図5】正面図である。
図6】側面図である。
図7】受部の斜視図である。
図8】正面図である。
図9】側面図である。
図10図8中のA−A線断面図である。
図11】他の実施例を示すロック状態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面として示し、実施例で説明したように構成したことで実現した。
【実施例1】
【0013】
次に、本発明の好ましい実施の一例を図面を参照して説明する。図にあって1はループ成形材を示しており、このループ成形材1としては糸を撚った紐、延伸加工されたプラスチックやナイロン、その他伸縮性を有するエラストマー等適宜に採択することができる。
【0014】
前記したループ成形材1の一端にはプラスチック製の挿し込み部2が一体的に備えられている。この挿し込み部2とループ成形材1の一体化は通常インサート成形によって実行される。これは後述するループ成形材1と受部との一体化についても同様である。
【0015】
この挿し込み部2は使用する際に指先で摘み持つ摘み部2aを有しており、この摘み部2aは摘み易いよう偏平形成されているもので、その偏平部分に挟み込まれた部分の挿し込み方向前部には挿し込み位置、即ち、後述する受部との合致位置を示すマーク2bが備えられ、摘み部2aの挿し込み方向前部には後述する回転方向を示すマーク2cが備えられている。
【0016】
また、前記した摘み部2aの先端には受部の受口内へ嵌入される嵌入部3が一体に成形されている。この嵌入部3は略円柱形をしているもので、その先端寄り外面には、相互に180度ピッチで外方に突出する係止用の突片3a、3aを突設しており、この突片3a、3aの突設方向は前記したマーク2bが示す軸芯方向と直交している。さらに、この突片3a、3aの外面にはその突片3a、3aの突設方向と沿う凹溝3b、3bが形成されている。
【0017】
前記したループ成形材1の他端には、前記した挿し込み部2、特に嵌入部3を受け入れる受部4が一体的に備えられている。この受部4も指先で摘み持ち易いように偏平形成されており、その偏平部分には滑り止め4a、4a‥が設けられているもので、その偏平部分に挟まれた部分の前部には、挿し込み部2の摘み部2aに備えられたマーク2bと合わせて方向性を示すマーク4bが備えられている。
【0018】
この受部4は先端に、挿し込み部2の嵌入部3が嵌入される受口5が開口されており、この受口5の開口縁からその内壁面に沿って突片3a、3aが沿うガイド溝5a、5aが形成されている。また、受部4の両側面には、前記受口5と連通する窓孔6、6が設けられているもので、この窓孔6、6の受口5側には、前記した突片3a、3aの受溝6a、6aが形成されている。
【0019】
また、前記した受溝6a、6aの上縁の一方は、内側に向けて突出された突条6b、6bとなっており、この突条6b、6bが突片3a、3aの凹溝3b、3bと噛み合って密なロック状態とする。
【0020】
本実施例に係るファスナー部材は上記のように構成されている。ここで、このファスナー部材の使用方法を説明すると、受部4のマーク4bと挿し込み部2のマーク2bの位置を合わせ、嵌入部3を受口5内に嵌入する。この際、突片3a、3aはガイド溝5a、5aに沿って嵌入する。嵌入部3を受口5の奥端まで嵌入した後に、マーク2cによって挿し込み部2を90度回転させる。この回転時に突片3a、3aはガイド溝5aから外れている。また、前記した嵌入は、ループ成形材1の軸芯方向に対し、挿し込み部2と受部4が90度捻った状態で行うようにすることもでき、その場合、該対応位置にマーク2bとマーク4bが備えられることになる。この角度は90度のほか、任意に設定することができる。これは嵌入後の回転である90度も同様に任意の角度とできる。
【0021】
この90度の回転後、挿し込み部2を引くことによって、突片3a、3aは受溝6a、6aと係合し、ロック状態となり、このロック状態は凹溝3b、3bが突条6b、6bと噛むことでより密に強固なものとなり、同時にロック作用をクリック感で確認できる。このロック状態は窓孔6、6から目視確認することができる。
【0022】
このロック状態の解除は手順を逆とすること、即ち、挿し込み部2を挿し込み、受溝6aから突片3aを外し、元の方向へ90度回転させ、挿し込み部2を引き抜くことでなされる。
【0023】
また、図11として示すのは本願発明の別の実施例であり、この場合は、ループ成形材1の一端が受部4の側面と連結された構成となっており、挿し込み部2の挿し込み方向は、受部4と連結されたループ成形材1の基端と直交方向とされるものである。
【0024】
本実施例に係るファスナー部材は上記のように構成され、使用されるものであり、軽量感も有しているもので、使用用途も多岐となり、例えば縫い包み玩具の値札を付けるボールチェーン等の代替としても使用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明に係るファスナー部材は、実施例として示した形態のほか、挿し込み部2や受部4の外観形状は必要に応じて変更することは勿論可能である。また、突片aと受溝6aは、本実施例では180度ピッチで一対形成してあるが、最低限1つづつ存在していれば実効性を得ることができる。
【符号の説明】
【0026】
1 ループ成形材
2 挿し込み部
2a 摘み部
2b マーク
2c マーク
3 嵌入部
3a 突片
3b 凹溝
4 受部
4a 滑り止め
4b マーク
5 受口
5a ガイド溝
6 窓孔
6a 受溝
6b 突条
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11