特許第6074248号(P6074248)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6074248
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】車両用自動変速機の油圧供給システム
(51)【国際特許分類】
   F16H 61/00 20060101AFI20170123BHJP
【FI】
   F16H61/00
【請求項の数】15
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-271724(P2012-271724)
(22)【出願日】2012年12月12日
(65)【公開番号】特開2014-47919(P2014-47919A)
(43)【公開日】2014年3月17日
【審査請求日】2015年12月10日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0097302
(32)【優先日】2012年9月3日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】魏泰煥
(72)【発明者】
【氏名】黄眞榮
(72)【発明者】
【氏名】趙世煥
【審査官】 西藤 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−082947(JP,A)
【文献】 特開2009−287688(JP,A)
【文献】 特開2006−105038(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 61/00
F16H 61/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オイルパンに貯蔵されたオイルを用いて低圧の油圧および高圧の油圧を生成し、前記低圧の油圧および高圧の油圧をそれぞれ低圧部および高圧部に供給する車両用自動変速機の油圧供給システムにおいて、
前記オイルパンに貯蔵されたオイルを第1吸入流路を通じて吸入し、油圧を生成して第1低圧流路に吐出する低圧用オイルポンプと、
前記第1低圧流路の油圧を安定した油圧に制御する低圧用レギュレーターバルブと、
前記低圧用レギュレーターバルブから供給される油圧を第2低圧流路を通じて伝達を受け、前記油圧を減圧して第3低圧流路を通じて低圧部に供給するレデューシングバルブと、
前記第1低圧流路を通じて前記低圧用オイルポンプから供給される油圧を昇圧させ、昇圧された油圧を高圧流路に吐出する高圧用オイルポンプと、
前記第1低圧流路と高圧流路との間に配置され、選択的に前記第1低圧流路と高圧流路を連結するかまたは連結しないスイッチバルブと、
前記高圧流路を通じて前記高圧用オイルポンプから供給される油圧と、前記スイッチバルブを通じて選択的に供給される前記低圧用オイルポンプの油圧を、安定した油圧に制御して高圧部に供給する高圧用レギュレーターバルブと、
前記オイルパンと前記第1低圧流路を連結する第2吸入流路と、
を含む車両用自動変速機の油圧供給システム。
【請求項2】
前記低圧用オイルポンプはエンジンによって駆動される機械式オイルポンプであり、前記高圧用オイルポンプは電動機によって駆動される電動式オイルポンプであることを特徴とする、請求項1に記載の車両用自動変速機の油圧供給システム。
【請求項3】
前記低圧用レギュレーターバルブが、オン/オフソレノイドバルブからなる第1ソレノイドバルブの制御圧によって制御されることを特徴とする、請求項1に記載の車両用自動変速機の油圧供給システム。
【請求項4】
前記レデューシングバルブが、オン/オフソレノイドバルブからなる第1ソレノイドバルブの制御圧によって制御されることを特徴とする、請求項1に記載の車両用自動変速機の油圧供給システム。
【請求項5】
前記スイッチバルブが、オン/オフソレノイドバルブからなる第1ソレノイドバルブの制御圧によって制御されることを特徴とする、請求項1に記載の車両用自動変速機の油圧供給システム。
【請求項6】
前記低圧用レギュレーターバルブが、第1低圧流路と連結され、第1再循環流路を通じて第1吸入流路と連結されて、前記第1低圧流路を通じて供給される油圧の一部を第1再循環流路を通じて第1吸入流路に再循環させ、低圧の油圧を安定するように調節することを特徴とする、請求項1に記載の車両用自動変速機の油圧供給システム。
【請求項7】
前記低圧用レギュレーターバルブが、第1ソレノイドバルブの制御圧、弾性部材の弾性力、そして前記第1ソレノイドバルブの制御圧に対抗する第1低圧流路の油圧によって制御されることを特徴とする、請求項1に記載の車両用自動変速機の油圧供給システム。
【請求項8】
前記レデューシングバルブが、第2低圧流路と連結され、第2再循環流路を通じて第1吸入流路と連結されて、前記第2低圧流路を通じて供給される油圧の一部を第2再循環流路を通じて第1吸入流路に再循環させ、低圧の油圧をさらに低くすることを特徴とする、請求項1に記載の車両用自動変速機の油圧供給システム。
【請求項9】
前記レデューシングバルブが、第1ソレノイドバルブの制御圧、弾性部材の弾性力、そして前記第1ソレノイドバルブの制御圧に対抗する第3低圧流路の油圧によって制御されることを特徴とする、請求項1に記載の車両用自動変速機の油圧供給システム。
【請求項10】
前記高圧用レギュレーターバルブが、スイッチバルブを通じて前記第1低圧流路と選択的に連結され、前記高圧流路と直接連結されて、前記第1低圧流路と前記高圧流路から供給される油圧の一部を第3再循環流路を通じて再循環させ、油圧を安定するように調節することを特徴とする、請求項1に記載の車両用自動変速機の油圧供給システム。
【請求項11】
前記第3再循環流路が第3低圧流路と連結されることを特徴とする、請求項10に記載の車両用自動変速機の油圧供給システム。
【請求項12】
前記高圧用レギュレーターバルブが、第2ソレノイドバルブの制御圧、弾性部材の弾性力、そして前記第2ソレノイドバルブの制御圧に対抗する前記第1低圧流路または前記高圧流路の油圧によって制御されることを特徴とする、請求項1に記載の車両用自動変速機の油圧供給システム。
【請求項13】
前記第2ソレノイドバルブが、比例制御ソレノイドバルブからなることを特徴とする、請求項12に記載の車両用自動変速機の油圧供給システム。
【請求項14】
前記スイッチバルブが第1ソレノイドバルブの制御圧によって制御されて、第1ソレノイドバルブがスイッチングオフされると第1低圧流路と高圧流路を分離し、第1ソレノイドバルブがスイッチングオンされると第1低圧流路と高圧流路を連結することを特徴とする、請求項1に記載の車両用自動変速機の油圧供給システム。
【請求項15】
前記第2吸入流路には逆流を防止するチェックバルブが設置されることを特徴とする、請求項1に記載の車両用自動変速機の油圧供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用自動変速機の油圧供給システムに関するものであって、より詳しくは、高圧用オイルポンプの作動停止時、低圧用オイルポンプの油圧を用いて自動変速機の正常的な運転ができるようにして、安全性と信頼性を向上させることができるようにした車両用自動変速機の油圧供給システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、世界的な高油価と排気ガス排出規制が強化されることによって、自動車メーカーは燃費を向上させることができる技術の開発に総力を傾けている。
【0003】
自動変速機における燃費改善は動力伝達効率の向上によって達成でき、前記動力伝達効率の向上はオイルポンプの不必要な消費動力を最少化することによって実現できる。
【0004】
前記のように燃費改善のために最近は、自動変速機に低圧用オイルポンプと高圧用オイルポンプを別途に備えて、前記低圧用オイルポンプで生成された油圧は低圧部(トルクコンバーター、冷却、潤滑)に供給されるようにし、前記高圧用オイルポンプで生成された油圧は高圧部(変速時選択的に作動される摩擦部材)に供給されるようにしている。
【0005】
より具体的には、自動変速機の通常の油圧は前記低圧部が要求する油圧を基準に生成(即ち、低圧用オイルポンプで生成)し、高圧部が要求する一部の油圧のみを高圧用オイルポンプで生成して、前記高圧部に供給するようになっている。
【0006】
そのためにオイルポンプ駆動のための消費動力を最少化することによって、燃費向上を達成することができ、これと共にオイルポンプにかかる負荷を減少させて、騒音および振動減少と耐久性向上を図ることができる。
【0007】
しかし、従来の油圧供給システムでは低圧用オイルポンプで生成された油圧が高圧用オイルポンプに供給されて、高圧用オイルポンプで高圧の油圧として生成されるので、高圧用オイルポンプが故障すれば高圧部に供給される油圧が足りなくて、車両の走行が不能になるという問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の実施形態は、高圧用オイルポンプの故障または作動停止時、低圧用オイルポンプの油圧で油圧供給システムが正常に作動するようにして安全性と信頼性を向上させることができるようにする車両用自動変速機の油圧供給システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一つまたは複数の実施形態による車両用自動変速機の油圧供給システムは、オイルパンに貯蔵されたオイルを用いて低圧の油圧および高圧の油圧を生成し、前記低圧の油圧および高圧の油圧をそれぞれ低圧部および高圧部に供給するようになっている。
【0010】
前記油圧供給システムは、前記オイルパンに貯蔵されたオイルを第1吸入流路を通じて吸入し、油圧を生成して第1低圧流路に吐出する低圧用オイルポンプと、前記第1低圧流路の油圧を安定した油圧に制御する低圧用レギュレーターバルブと、前記低圧用レギュレーターバルブから供給される油圧を第2低圧流路を通じて伝達を受け、前記油圧を減圧して第3低圧流路を通じて低圧部に供給するレデューシングバルブと、前記第1低圧流路を通じて前記低圧用オイルポンプから供給される油圧を昇圧させ、昇圧された油圧を高圧流路に吐出する高圧用オイルポンプと、前記第1低圧流路と高圧流路との間に配置され、選択的に前記第1低圧流路と高圧流路を連結するかまたは連結しないスイッチバルブと、前記高圧流路を通じて前記高圧用オイルポンプから供給される油圧と、前記スイッチバルブを通じて選択的に供給される前記低圧用オイルポンプの油圧を、安定した油圧に制御して高圧部に供給する高圧用レギュレーターバルブと、前記オイルパンと前記第1低圧流路を連結する第2吸入流路と、を含むことができる。
【0011】
前記低圧用オイルポンプはエンジンによって駆動される機械式オイルポンプであり、前記高圧用オイルポンプは電動機によって駆動される電動式オイルポンプであり得る。
【0012】
前記低圧用レギュレーターバルブは、オン/オフソレノイドバルブからなる第1ソレノイドバルブの制御圧によって制御できる。
【0013】
前記レデューシングバルブは、オン/オフソレノイドバルブからなる第1ソレノイドバルブの制御圧によって制御できる。
【0014】
前記スイッチバルブは、オン/オフソレノイドバルブからなる第1ソレノイドバルブの制御圧によって制御できる。
【0015】
前記低圧用レギュレーターバルブは、第1低圧流路と連結され、第1再循環流路を通じて第1吸入流路と連結されて、前記第1低圧流路を通じて供給される油圧の一部を第1再循環流路を通じて第1吸入流路に再循環させ、低圧の油圧を安定するように調節することができる。
【0016】
前記低圧用レギュレーターバルブは、第1ソレノイドバルブの制御圧、弾性部材の弾性力、そして前記第1ソレノイドバルブの制御圧に対抗する第1低圧流路の油圧によって制御できる。
【0017】
前記レデューシングバルブは、第2低圧流路と連結され、第2再循環流路を通じて第1吸入流路と連結されて、前記第2低圧流路を通じて供給される油圧の一部を第2再循環流路を通じて第1吸入流路に再循環させ、低圧の油圧をさらに低くすることができる。
【0018】
前記レデューシングバルブは、第1ソレノイドバルブの制御圧、弾性部材の弾性力、そして前記第1ソレノイドバルブの制御圧に対抗する第3低圧流路の油圧によって制御できる。
【0019】
前記高圧用レギュレーターバルブは、スイッチバルブを通じて前記第1低圧流路と選択的に連結され、前記高圧流路と直接連結されて、前記第1低圧流路と前記高圧流路から供給される油圧の一部を第3再循環流路を通じて再循環させ、油圧を安定するように調節することができる。
【0020】
前記第3再循環流路は、第3低圧流路と連結できる。
【0021】
前記高圧用レギュレーターバルブは、第2ソレノイドバルブの制御圧、弾性部材の弾性力、そして前記第2ソレノイドバルブの制御圧に対抗する前記第1低圧流路または前記高圧流路の油圧によって制御できる。
【0022】
前記第2ソレノイドバルブは、比例制御ソレノイドバルブからなることができる。
【0023】
前記スイッチバルブは第1ソレノイドバルブの制御圧によって制御されて、第1ソレノイドバルブがスイッチングオフされると第1低圧流路と高圧流路を分離し、第1ソレノイドバルブがスイッチングオンされると第1低圧流路と高圧流路を連結することができる。
【0024】
前記第2吸入流路には逆流を防止するチェックバルブを設置することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の実施形態によれば、前記低圧用オイルポンプは低圧の油圧を生成し、前記高圧用オイルポンプは前記低圧用オイルポンプから供給される油圧の一部を高圧に昇圧して高圧の油圧を生成することによって、オイルポンプの動力損失を最少化し、耐久性が向上し、オイルポンプの騒音および振動が低減する。
【0026】
また、前記高圧用オイルポンプが作動しない場合にも、前記低圧用オイルポンプによって油圧供給システムが正常に運転が可能で、安定性および信頼性を向上させることができる。
【0027】
そして、前記高圧用オイルポンプが独立的に高圧の油圧を生成することができるので、ISG装置が備えられた車両にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施形態による油圧供給システムにおける低圧用オイルポンプおよび高圧用オイルポンプの正常作動状態を示した構成図である。
図2】本発明の実施形態による油圧供給システムにおける高圧用オイルポンプの非正常作動状態を示した構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の好ましい実施形態を添付した図面に基づいて詳細に説明する。
【0030】
但し、本実施形態を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一の参照符号を付与して説明する。
【0031】
下記の説明において構成の名称を第1、第2などで区分したことはその構成の名称が同一であってこれを区分するためであり、必ずしもその順序に限定されるのではない。
【0032】
図1は本発明の実施形態による油圧供給システムにおける低圧用オイルポンプおよび高圧用オイルポンプの正常作動状態を示した構成図である。
【0033】
図1を参照すれば、本発明の実施形態による油圧供給システムは、低圧用オイルポンプ2で生成された低圧の油圧をトルクコンバーターT/C、冷却部、潤滑部などのような低圧部4に供給し、高圧用オイルポンプ6で生成された高圧の油圧を変速に関係する摩擦部材を作動させるための高圧部8に供給することができるように構成される。
【0034】
前記で低圧の油圧はトルクコンバーターT/Cの作動と冷却および潤滑を円滑にする程度の低い圧力を意味し、高圧の油圧は変速時選択的に作動する複数の摩擦部材を円滑に作動させることができる程度の相対的に高い圧力を意味する。
【0035】
前記低圧の油圧は低圧用オイルポンプ2で生成されて、低圧用レギュレーターバルブ10およびレデューシングバルブ12を通じて低圧部4に供給される。
【0036】
前記低圧用オイルポンプ2は、当業者によく知られているように、エンジンの回転動力によって駆動される機械式ポンプからなることができる。
【0037】
前記低圧用オイルポンプ2は第1吸入流路14を通じてオイルパンPと連結され、前記低圧用オイルポンプ2によって生成された低圧の油圧は第1低圧流路16に吐出される。
【0038】
前記低圧用レギュレーターバルブ10は第1低圧流路16を通じて前記低圧用オイルポンプ2と連結され、第1再循環流路18を通じて前記第1吸入流路14と連結される。したがって前記低圧用レギュレーターバルブ10は、前記第1低圧流路16から供給される低圧の油圧の一部を前記第1再循環流路18を通じて第1吸入流路14に再循環させながら油圧を安定した低圧に調節する。
【0039】
このために前記低圧用レギュレーターバルブ10は通常のスプールバルブからなることができる。また前記低圧用レギュレーターバルブ10は、オン/オフ制御が行われる第1ソレノイドバルブSOL1の制御圧、弾性部材20の弾性力、そして前記第1ソレノイドバルブSOL1の制御圧に対抗する第1低圧流路16の圧力によって制御できるようになっている。前記弾性部材20の弾性力は第1低圧流路16に要求される圧力に応じて設定される。
【0040】
前記レデューシングバルブ12は、第2低圧流路22を通じて前記低圧用レギュレーターバルブ10から供給される低圧の油圧をさらに低くして、第3低圧流路24を通じて前記低圧部4に供給する。
【0041】
つまり、前記レデューシングバルブ12は、第2低圧流路22と連結され、第2再循環流路23を通じて前記第1吸入流路14と連結される。したがって前記レデューシングバルブ12は、前記第2低圧流路22から供給される低圧の油圧の一部を前記第2再循環流路23を通じて第1吸入流路14に再循環させながら低圧の油圧をさらに低くする。
【0042】
このために前記レデューシングバルブ12は通常のスプールバルブからなることができる。また前記レデューシングバルブ12は、オン/オフ制御が行われる第1ソレノイドバルブSOL1の制御圧、弾性部材26の弾性力、そして前記第1ソレノイドバルブSOL1の制御圧に対抗する第3低圧流路24の圧力によって制御できるようになっている。前記弾性部材26の弾性力は前記低圧部4に要求される圧力に応じて設定される。
【0043】
前記高圧用オイルポンプ6は電動機によって駆動される電動式ポンプからなる。
【0044】
前記高圧用オイルポンプ6は前記第1低圧流路16を通じて供給される低圧の油圧を高圧に昇圧させて、高圧流路28に吐出する。そして前記高圧用オイルポンプ6から高圧流路28に吐出された油圧は、高圧用レギュレーターバルブ30によって安定した高圧の油圧に制御されて高圧部8に供給される。
【0045】
前記高圧用レギュレーターバルブ30は高圧流路28と連結され、第3再循環流路32を通じて前記第3低圧流路24と連結される。これにより前記高圧用レギュレーターバルブ30は、前記高圧流路28を通じて供給される油圧の一部を前記第3再循環流路32を通じて第3低圧流路23に再循環させながら油圧を調節する。
【0046】
このために前記高圧用レギュレーターバルブ30は通常のスプールバルブからなる。また前記高圧用レギュレーターバルブ30は、比例制御を遂行できる第2ソレノイドバルブSOL2の制御圧、弾性部材34の弾性力、そして前記第2ソレノイドバルブSOL2の制御圧に対抗する第1低圧流路16または高圧流路28の油圧によって制御されるようになっている。前記弾性部材34の弾性力は高圧流路28に要求される圧力に応じて設定される。
【0047】
第3再循環流路32を第3低圧流路24に連結したことは、高圧用オイルポンプ6が単独で作動する時、低圧部4側に油圧が供給されるようにするためである。
【0048】
そして、前記第1低圧流路16と前記高圧流路28の間にはスイッチバルブ36が配置される。
【0049】
前記スイッチバルブ36はスプールバルブからなり、オン/オフ制御される第1ソレノイドバルブSOL1によって制御されながら、前記第1低圧流路16の油圧を選択的に前記高圧流路28に伝達できるようになっている。
【0050】
このために前記スイッチバルブ36の一側に前記第1ソレノイドバルブSOL1の制御圧が供給され、前記スイッチバルブ36の他側には弾性部材38が配置される。これにより、前記第1ソレノイドバルブSOL1がスイッチングオフされる場合には前記第1低圧流路16と高圧流路28を連結せず、前記第1ソレノイドバルブSOL1がスイッチングオンされる場合には前記第1低圧流路16を高圧流路28に連結する。
【0051】
そして前記高圧用オイルポンプ6は第2吸入流路42を通じてオイルパンPと連結される。前記第2吸入流路40には逆流を防止するチェックバルブ40が配置される。これにより前記高圧用オイルポンプ6は、前記低圧用オイルポンプ2から油圧が供給されない時、直接オイルパンPからオイルを吸入して高圧の油圧を生成することができる。
【0052】
本発明の実施形態による油圧供給システムは、前記低圧用オイルポンプ2と高圧用オイルポンプ6が正常に作動する時には、図1のように、前記低圧用オイルポンプ2で生成された低圧の油圧が低圧部4に供給され、高圧用オイルポンプ6で生成された高圧の油圧は高圧部8に供給される。
【0053】
つまり、2つのオイルポンプ2、6が正常に作動する場合には、前記第1ソレノイドバルブSOL1がスイッチングオフされ、前記第2ソレノイドバルブSOL2は要求される高圧の油圧に応じて比例制御される。
【0054】
前記第1ソレノイドバルブSOL1がスイッチングオフされると、低圧用レギュレーターバルブ10およびレデューシングバルブ12はそれぞれ第1低圧流路16および第3低圧流路24に形成された油圧と、弾性部材20、26の弾性力によってのみ制御され、低圧の油圧を制御する。
【0055】
また、前記第1ソレノイドバルブSOL1がスイッチングオフされると、前記スイッチバルブ36は第1低圧流路16と高圧流路28を分離する。
【0056】
図2は本発明の実施形態による油圧供給システムにおける高圧用オイルポンプの非正常作動状態を示した構成図である。
【0057】
つまり、高圧用オイルポンプ6が故障などによって作動しない時のオイルの流れが示されている。この時、前記第1ソレノイドバルブSOL1はスイッチングオンされる。
【0058】
この時、前記低圧用オイルポンプ2は吐出量を増やして高圧の油圧を生成し、前記低圧用レギュレーターバルブ10とレデューシングバルブ12、そしてスイッチバルブ36には前記第1ソレノイドバルブSOL1の制御圧が供給される。これにより、前記第1低圧流路16には高圧の油圧が形成され、前記低圧用レギュレーターバルブ10にも高圧の油圧が作用する。
【0059】
前記第1低圧流路16に形成された高圧の油圧はスイッチバルブ36を通じて高圧流路28に供給される。そして前記高圧用レギュレーターバルブ30は前記高圧流路28に供給された油圧を制御して高圧部8に供給することによって、高圧部8の作動が円滑に行われるようにする。
【0060】
したがって、前記高圧用オイルポンプ6の非作動時にも低圧用オイルポンプ2によって油圧供給システムの正常的な運転ができるようにすることによって、2つのオイルポンプ2、6を有する油圧供給システムの作動の安全性および信頼性を向上させることができる。
【0061】
そして、ISG(Idle Stop & Go)装置が備えられた車両が一時停車した場合、エンジンの始動が停止した状態で高圧部8に高圧の油圧を供給しなければならない必要性がある場合がある。この時、前記高圧用オイルポンプ6が作動して、第2吸入流路42を通じてオイルパンPのオイルをポンピングして高圧の油圧を生成することによって、前記高圧部8に高圧の油圧を供給することができる。
【0062】
つまり、エンジン始動が停止して前記低圧用オイルポンプ2が作動しなくても、前記高圧用オイルポンプ6の単独作動で高圧部8に高圧の油圧を供給することができる。
【0063】
以上に本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の実施形態から当該発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって容易に変更されて均等であると認められる範囲の全ての変更を含む。
【符号の説明】
【0064】
2 低圧用オイルポンプ
4 低圧部
6 高圧用オイルポンプ
8 高圧部
10 低圧用レギュレーターバルブ
12 レデューシングバルブ
14 第1吸入流路
16 第1低圧流路
18 第1再循環流路
20、26、34 弾性部材
22 第2低圧流路
23 第2再循環流路
24 第3低圧流路
32 第3再循環流路
40 チェックバルブ
42 第2吸入流路
SOL1 第1ソレノイドバルブ
SOL2 第2ソレノイドバルブ
図1
図2