(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6074265
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】混合液晶の製造方法および混合液晶
(51)【国際特許分類】
C09K 19/42 20060101AFI20170123BHJP
C09K 19/12 20060101ALI20170123BHJP
C09K 19/30 20060101ALI20170123BHJP
C09K 19/34 20060101ALI20170123BHJP
C07C 43/205 20060101ALI20170123BHJP
C07C 41/16 20060101ALI20170123BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20170123BHJP
C10M 129/68 20060101ALI20170123BHJP
C10M 133/26 20060101ALI20170123BHJP
C10M 129/24 20060101ALI20170123BHJP
C10M 129/16 20060101ALI20170123BHJP
C10M 129/20 20060101ALI20170123BHJP
C10M 133/40 20060101ALI20170123BHJP
C10M 133/16 20060101ALI20170123BHJP
C10N 30/06 20060101ALN20170123BHJP
C10N 40/18 20060101ALN20170123BHJP
【FI】
C09K19/42
C09K19/12
C09K19/30
C09K19/34
C07C43/205 D
C07C41/16
G02F1/13 500
C10M129/68
C10M133/26
C10M129/24
C10M129/16
C10M129/20
C10M133/40
C10M133/16
C10N30:06
C10N40:18
【請求項の数】13
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-288730(P2012-288730)
(22)【出願日】2012年12月28日
(65)【公開番号】特開2014-129494(P2014-129494A)
(43)【公開日】2014年7月10日
【審査請求日】2015年12月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】304023994
【氏名又は名称】国立大学法人山梨大学
(73)【特許権者】
【識別番号】506103636
【氏名又は名称】ウシオケミックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】原本 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】越名 崇文
【審査官】
吉岡 沙織
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−359848(JP,A)
【文献】
特開昭62−187421(JP,A)
【文献】
特公平02−021436(JP,B2)
【文献】
英国特許出願公開第00855242(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 19/
C07B
C07C
C10M
CAplus/REGISTRY(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される化合物と、
X
1−B
1−A−B
1'−X
1' (1)
少なくとも1種の下記式(2)で表される化合物、
C−R
1 (2)
および、少なくとも1種の下記式(3)で表される化合物と、
D−R
2 (3)
を反応させて、下記式(4)、式(5)、式(6)で表される少なくとも3種の化合物を含む混合液晶を製造する方法;
R
1−Y
4−B
1−A−B
1'−Y
4'−R
1 (4)
R
1−Y
5−B
1−A−B
1'−Y
5'−R
2 (5)
R
2−Y
6−B
1−A−B
1'−Y
6'−R
2 (6)
ここで、
Aは、単結合、−C(=O)−O−、−N=N−、−C(=O)−、−CH=CH−、−C≡C−、−O−、または−CH
2−であり、
B
1およびB
1'は、各々独立して、
【化1】
(ただし、2つの結合手のうちいずれがAと結合していてもよい)であり、
X
1およびX
1'は、各々独立して、−OH、−C(=O)−OH、−NH
2、または−C(=O)−(ハロゲン)であり、
R
1およびR
2は、互いに異なり、分岐鎖または直鎖アルキル基であり、
CおよびDは、前記X
1および/またはX
1'と反応し得る基であり、各々独立して、ハロゲン、−OH、−C(=O)−OH、−NH
2、または−C(=O)−(ハロゲン)であり、
Y
4、Y
5、Y
6、Y
4'、Y
5'、およびY
6'は、各々独立して、−O−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−C(=O)−NH−、または−NH−C(=O)−である。
【請求項2】
X1およびX1'は、−OHであり、
CおよびDは、ハロゲンであり、
Y4、Y5、Y6、Y4'、Y5'、およびY6'は、−O−である、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
X1およびX1'は、−C(=O)−OHであり、
CおよびDは、−OHであり、
Y4、Y5、Y6、Y4'、Y5'、およびY6'は、−C(=O)−O−である、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
X1およびX1'は、−OHであり、
CおよびDは、−C(=O)−OHであり、
Y4、Y5、Y6、Y4'、Y5'、およびY6'は、−O−C(=O)−である、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
X1およびX1'は、−NH2であり、
CおよびDは、−C(=O)−OHであり、
Y4、Y5、Y6、Y4'、Y5'、およびY6'は、−NH−C(=O)−である、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
X1およびX1'は、−C(=O)−OHであり、
CおよびDは、−NH2であり、
Y4、Y5、Y6、Y4'、Y5'、およびY6'は、−C(=O)−NH−である、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
X1およびX1'は、−C(=O)−(ハロゲン)であり、
CおよびDは、−OHであり、
Y4、Y5、Y6、Y4'、Y5'、およびY6'は、−C(=O)−O−である、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
X1およびX1'は、−OHであり、
CおよびDは、−C(=O)−(ハロゲン)であり、
Y4、Y5、Y6、Y4'、Y5'、およびY6'は、−O−C(=O)−である、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
X1およびX1'は、−C(=O)−(ハロゲン)であり、
Cは、−NH2であり、
Dは、−OHであり、
Y4、およびY4'は、−C(=O)−NH−であり、
Y6、およびY6'は、−C(=O)−O−であり、
Y5、およびY5'のいずれか一方は、−C(=O)−NH−であり、他方は、−C(=O)−O−である、
請求項1に記載の方法。
【請求項10】
X1は、−OHであり、
X1'は、−NH2であり、
CおよびDは、−C(=O)−(ハロゲン)であり、
Y4、およびY6は、−O−C(=O)−であり、
Y4'、およびY6'は、−NH−C(=O)−であり、
Y5、およびY5'のいずれか一方は、−O−C(=O)−であり、他方は、−NH−C(=O)−である、
請求項1に記載の方法。
【請求項11】
R1が直鎖アルキル基であり、R2が分枝アルキル基である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
式(3)で表される化合物が2種以上であり、R2が互いに異なる分枝アルキル基である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
Aが単結合であり、
B
1およびB
1'は、
【化2】
であり、
X
1およびX
1'は、−OHであり、
CおよびDは、Brであり、
R
1は、直鎖アルキル基であり、
R
2は、分枝アルキル基であり、
Y
4、Y
5、Y
6、Y
4'、Y
5'、およびY
6'は、−O−である、
請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混合液晶の製造方法、および混合液晶に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶化合物を、磁気テープ、磁気ディスク等の潤滑剤として用いる技術は従来から研究されている。例えば、特許文献1には、液晶分子を含む磁性材を磁気記録媒体に塗布して、磁気記録媒体に潤滑性を付与することが提案されている。このように潤滑性を付与する目的で液晶化合物を用いる場合、所定の用途における温度下で液晶化合物が液晶相を示す必要がある。しかし、単一の液晶化合物は、一般に、液晶相を示す温度領域が狭い。すなわち、潤滑性が得られる温度領域が狭い。
【0003】
このように、単一の液晶化合物は、液晶相を示す温度領域が狭いため、潤滑剤のような潤滑性を得ることを目的とした用途に用いる場合、使用できる温度領域が狭い場合がある。そのため、複数種の液晶化合物を混合して、液晶相を示す温度範囲を広範囲にすることが提案されている。しかし、複数種の液晶化合物をそれぞれ別個に合成して混合することにより混合液晶を得る方法は、製造効率および製造コストの点で実用化に適さない場合がある。また、別個の液晶化合物をそれぞれ計量して混合するため、計量精度が混合液晶の性能に影響する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−39646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、液晶相を示す温度範囲が広範囲である混合液晶を、同時に製造する方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、下記式(1)で表される化合物と、
X
1−B
1−A−B
1'−X
1' (1)
少なくとも1種の下記式(2)で表される化合物、
C−R
1 (2)
および、少なくとも1種の下記式(3)で表される化合物と、
D−R
2 (3)
を反応させて、下記式(4)、式(5)、式(6)で表される少なくとも3種の化合物を含む混合液晶を製造する方法が提供される;
R
1−Y
4−B
1−A−B
1'−Y
4'−R
1 (4)
R
1−Y
5−B
1−A−B
1'−Y
5'−R
2 (5)
R
2−Y
6−B
1−A−B
1'−Y
6'−R
2 (6)
ここで、
Aは、単結合、−C(=O)−O−、−N=N−、−C(=O)−、−CH=CH−、−C≡C−、−O−、または−CH
2−であり、
B
1およびB
1'は、各々独立して、
【化1】
(ただし、2つの結合手のうちいずれがAと結合していてもよい)
であり、
X
1およびX
1'は、各々独立して、−OH、−C(=O)−OH、−NH
2、または−C(=O)−(ハロゲン)であり、
R
1およびR
2は、互いに異なり、分岐鎖または直鎖アルキル基であり、
CおよびDは、前記X
1および/またはX
1'と反応し得る基であり、各々独立して、ハロゲン、−OH、−C(=O)−OH、−NH
2または−C(=O)−(ハロゲン)であり、
Y
4、Y
5、Y
6、Y
4'、Y
5'、およびY
6'は、各々独立して、−O−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−C(=O)−NH−、または−NH−C(=O)−である。
【0007】
上記混合結晶の製造方法では、少なくとも3種の液晶化合物を、混合物として同時に製造することができる。そのため、数種の液晶化合物を単体として製造し、混合する場合に比べ、製造効率および製造コストを良好にすることができる。また、得られる混合液晶は複数の液晶化合物を含むとともに、式(5)で示される化合物のような、互いに異なる2種のアルキル基を有する非対称の化合物を含む。このような混合液晶の液晶相を示す温度(液晶相温度)領域は、単体の液晶化合物の液晶相温度領域に比べて広く、特に、低温領域側に広い。これは、混合液晶に含まれる液晶化合物がそれぞれ別個の液晶相温度領域を有するためと考えられる。また特に、式(5)で示される化合物のような非対称の化合物が存在することにより、混合液晶の液晶相温度範囲が低温領域側に非常に広く、例えば、−50℃で液晶相を示す。このような混合液晶は、例えば、潤滑剤として用いた場合、低温であっても潤滑性を発揮する。
【0008】
上記混合液晶の製造方法では、理論収率で混合液晶が生成する反応条件を用いることができる。そのため、式(1)〜式(3)で表される原料化合物の使用量を調整することにより、得られる混合液晶に含まれる式(4)〜式(6)で表される液晶化合物の混合比を制御することができる。
【0009】
本発明の一実施形態によると、上記方法において、X
1およびX
1'は、−OHであり、CおよびDは、ハロゲンであり、Y
4、Y
5、Y
6、Y
4'、Y
5'、およびY
6'は、−O−である。
【0010】
本発明の一実施形態によると、上記方法において、X
1およびX
1'は、−C(=O)−OHであり、CおよびDは、−OHであり、Y
4、Y
5、Y
6、Y
4'、Y
5'、およびY
6'は、−C(=O)−O−である。
【0011】
本発明の一実施形態によると、上記方法において、X
1およびX
1'は、−OHであり、CおよびDは、−C(=O)−OHであり、Y
4、Y
5、Y
6、Y
4'、Y
5'、およびY
6'は、−O−C(=O)−である。
【0012】
本発明の一実施形態によると、上記方法において、X
1およびX
1'は、−NH
2であり、CおよびDは、−C(=O)OHであり、Y
4、Y
5、Y
6、Y
4'、Y
5'、およびY
6'は、−NH−C(=O)−である。
【0013】
本発明の一実施形態によると、上記方法において、X
1およびX
1'は、−C(=O)OHであり、CおよびDは、−NH
2であり、Y
4、Y
5、Y
6、Y
4'、Y
5'、およびY
6'は、−C(=O)−NH−である。
【0014】
本発明の一実施形態によると、上記方法において、X
1およびX
1'は、−C(=O)−(ハロゲン)であり、CおよびDは、−OHであり、Y
4、Y
5、Y
6、Y
4'、Y
5'、およびY
6'は、−C(=O)−O−である。
【0015】
本発明の一実施形態によると、上記方法において、X
1およびX
1'は、−OHであり、CおよびDは、−C(=O)−(ハロゲン)であり、Y
4、Y
5、Y
6、Y
4'、Y
5'、およびY
6'は、−O−C(=O)−である。
【0016】
本発明の一実施形態によると、上記方法において、X
1およびX
1'は、−C(=O)−(ハロゲン)であり、Cは、−NH
2であり、Dは、−OHであり、Y
4、およびY
4'は、−C(=O)−NH−であり、Y
6、およびY
6'は、−C(=O)−O−であり、Y
5、およびY
5'のいずれか一方は、−C(=O)−NH−であり、他方は、−C(=O)−O−である。
【0017】
本発明の一実施形態によると、上記方法において、X
1は、−OHであり、X
1'は、−NH
2であり、CおよびDは、−C(=O)−(ハロゲン)であり、Y
4、およびY
6は、−O−C(=O)−であり、Y
4'、およびY
6'は、−NH−C(=O)−であり、Y
5、およびY
5'のいずれか一方は、−O−C(=O)−であり、他方は、−NH−C(=O)−である。
【0018】
本発明の一実施形態によると、上記方法において、R
1が直鎖アルキル基であり、R
2が分枝アルキル基である。
【0019】
本発明の一実施形態によると、上記方法において、式(3)で表される化合物が2種以上であり、R
2が互いに異なる分枝アルキル基である。
【0020】
本発明の一実施形態によると、上記方法において、Aが単結合であり、B
1およびB
1'は、
【化2】
であり、X
1およびX
1'は、−OHであり、CおよびDは、Brであり、R
1は、直鎖アルキル基であり、R
2は、分枝アルキル基であり、Y
4、Y
5、Y
6、Y
4'、Y
5'、およびY
6'は、−O−である。
【0021】
本発明によれば、上記方法により得られる混合液晶であって、上記混合液晶からなる膜を形成した場合、上記膜が液晶構造を示すものである、混合液晶が提供される。
【0022】
本発明の一実施形態によると、上記混合液晶は、−50℃から100℃の温度範囲で、液晶相を示す。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、混合液晶を同時に製造する方法が提供される。また、本発明によれば、液晶相を示す温度領域が広い混合液晶が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明による液晶混合物の製造方法の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0025】
本発明の混合液晶の製造方法は、下記式(1)で表される化合物と、
X
1−B
1−A−B
1'−X
1' (1)
少なくとも1種の下記式(2)で表される化合物、
C−R
1 (2)
および、少なくとも1種の下記式(3)で表される化合物と、
D−R
2 (3)
を反応させて、下記式(4)、式(5)、式(6)で表される少なくとも3種の化合物を含む混合液晶を得ることを特徴とする;
R
1−Y
4−B
1−A−B
1'−Y
4'−R
1 (4)
R
1−Y
5−B
1−A−B
1'−Y
5'−R
2 (5)
R
2−Y
6−B
1−A−B
1'−Y
6'−R
2 (6)
ここで、
Aは、単結合、−C(=O)−O−、−N=N−、−C(=O)−、−CH=CH−、−C≡C−、−O−、または−CH
2−であり、
B
1およびB
1'は、各々独立して、
【化1】
(ただし、2つの結合手のうちいずれがAと結合していてもよい)
であり、
X
1およびX
1'は、各々独立して、−OH、−C(=O)−OH、−NH
2、または−C(=O)−(ハロゲン)であり、
R
1およびR
2は、互いに異なり、分岐鎖または直鎖アルキル基であり、
CおよびDは、前記X
1および/またはX
1'と反応し得る基であり、各々独立して、ハロゲン、−OH、−C(=O)OH、−NH
2、または−C(=O)−(ハロゲン)であり、
Y
4、Y
5、Y
6、Y
4'、Y
5'、およびY
6'は、各々独立して、−O−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−C(=O)−NH−、または−NH−C(=O)−である。
【0026】
式(2)および式(3)におけるCおよびDは、式(1)で表される化合物中のX
1および/またはX
1'と反応して、式(4)〜式(6)で表される化合物を形成し得る置換基である。したがって、式(4)〜式(6)中のY
4、Y
5、Y
6、Y
4'、Y
5'、およびY
6'は、式(1)中のX
1およびX
1'、ならびに/または式(2)中のC、および式(3)中のDに由来する結合基である。
【0027】
ハロゲンとしては、フッ素原子、塩素原子、および臭素原子が挙げられる。
【0028】
直鎖アルキル基としては、炭素数1〜20、好ましくは、炭素数1〜18の直鎖アルキル基が挙げられる。分岐鎖アルキル基としては、炭素数4〜20、好ましくは、炭素数4〜18の分岐鎖アルキル基が挙げられる。
【0029】
液晶化合物の液晶相を示す温度(液晶相温度)領域は上記分岐鎖または直鎖アルキル基の種類に依存する。例えば、分岐鎖アルキル基を用いた場合、得られる液晶化合物の液晶相温度を下げることができる。したがって、置換基は、得られる液晶化合物の所望の液晶相温度を考慮して適宜選択することができる。
【0030】
また、本発明の方法において、式(1)で表される化合物と、式(2)で表される化合物および式(3)で表される化合物との反応は、式(4)〜式(6)で表される化合物が生成し得るのに適切な、当業者に周知の技術に従って実施され得る。また、本発明の混合液晶の製造方法により、式(4)〜(6)で表される化合物を理論収率で得ることができる。したがって、式(1)〜(3)で表される化合物の使用量を調整することにより、所望の混合比の式(4)〜式(6)の化合物の混合物を得ることができる。上記置換基は、目的の液晶化合物の種類に依存して適宜選択することが可能である。
【0031】
一つの実施形態によれば、本発明の混合液晶の製造方法において、以下に示すように、X
1およびX
1'が、−OHであり、B
1およびB
1'、ならびにAが上記定義のとおりである式(1)で表される化合物が用いられる場合、CおよびDが、ハロゲンであり、好ましくは臭素原子であり、R
1およびR
2が上記定義のとおりである式(2)および式(3)で表される化合物が好ましく用いられる。この場合、以下に示すように、アルキル化反応により、Y
4、Y
5、Y
6、Y
4'、Y
5'、およびY
6'が、−O−である式(4)〜式(6)の化合物が得られる。
HO−B
1−A−B
1'−OH (1)
+Br−R
1 (2)+Br−R
2 (3)→
R
1−O−B
1−A−B
1'−O−R
1 (4),
R
1−O−B
1−A−B
1'−O−R
2 (5),
R
2−O−B
1−A−B
1'−O−R
2 (6)。
【0032】
一つの実施形態によれば、本発明の混合液晶の製造方法において、以下に示すように、X
1およびX
1'が、−C(=O)−OHであり、B
1およびB
1'、ならびにAが上記定義のとおりである式(1)で表される化合物が用いられる場合、CおよびDが、−OHであり、R
1およびR
2が上記定義のとおりである式(2)および式(3)で表される化合物が好ましく用いられる。この場合、以下に示すように、脱水反応により、Y
4、Y
5、Y
6、Y
4'、Y
5'、およびY
6'が、−C(=O)−O−である式(4)〜式(6)の化合物が得られる。
HO−(O=)C−B
1−A−B
1'−C(=O)−OH (1)
+R
1−OH (2)+R
2−OH (3)→
R
1−O−(O=)C−B
1−A−B
1'−C(=O)−O−R
1 (4),
R
1−O−(O=)C−B
1−A−B
1'−C(=O)−O−R
2 (5),
R
2−O−(O=)C−B
1−A−B
1'−C(=O)−O−R
2 (6)。
【0033】
一つの実施形態によれば、本発明の混合液晶の製造方法において、以下に示すように、X
1およびX
1'が、−OHであり、B
1およびB
1'、ならびにAが上記定義のとおりである式(1)で表される化合物が用いられる場合、CおよびDが、−C(=O)−OHであり、R
1およびR
2が上記定義のとおりである式(2)および式(3)で表される化合物が好ましく用いられる。この場合、以下に示すように、脱水反応により、Y
4、Y
5、Y
6、Y
4'、Y
5'、およびY
6'が、−O−C(=O)−である式(4)〜式(6)の化合物が得られる。
HO−B
1−A−B
1'−OH (1)
+R
1−C(=O)−OH (2)+R
2−C(=O)−OH (3)→
R
1−(O=)C−O−B
1−A−B
1'−O−C(=O)−R
1 (4),
R
1−(O=)C−O−B
1−A−B
1'−O−C(=O)−R
2 (5),
R
2−(O=)C−O−B
1−A−B
1'−O−C(=O)−R
2 (6)。
【0034】
一つの実施形態によれば、本発明の混合液晶の製造方法において、以下に示すように、X
1およびX
1'が、−NH
2であり、B
1およびB
1'、ならびにAが上記定義のとおりである式(1)で表される化合物が用いられる場合、CおよびDが、−C(=O)−OHであり、R
1およびR
2が上記定義のとおりである式(2)および式(3)で表される化合物が好ましく用いられる。この場合、以下に示すように、脱水反応により、Y
4、Y
5、Y
6、Y
4'、Y
5'、およびY
6'が、−NH−C(=O)−である式(4)〜式(6)の化合物が得られる。
H
2N−B
1−A−B
1'−NH
2 (1)
+R
1−C(=O)−OH (2)+R
2−C(=O)−OH (3)→
R
1−(O=)C−NH−B
1−A−B
1'−NH−C(=O)−R
1 (4),
R
1−(O=)C−NH−B
1−A−B
1'−NH−C(=O)−R
2 (5),
R
2−(O=)C−NH−B
1−A−B
1'−NH−C(=O)−R
2 (6)。
【0035】
一つの実施形態によれば、本発明の混合液晶の製造方法において、以下に示すように、X
1およびX
1'が、−C(=O)−OHであり、B
1およびB
1'、ならびにAが上記定義のとおりである式(1)で表される化合物が用いられる場合、CおよびDが、−NH
2であり、R
1およびR
2が上記定義のとおりである式(2)および式(3)で表される化合物が好ましく用いられる。この場合、以下に示すように、脱水反応により、Y
4、Y
5、Y
6、Y
4'、Y
5'、およびY
6'が、−C(=O)−NH−である式(4)〜式(6)の化合物が得られる。
HO−(O=)C−B
1−A−B
1'−C(=O)−OH (1)
+R
1−NH
2 (2)+R
2−NH
2(3)→
R
1−NH−(O=)C−B
1−A−B
1'−C(=O)−NH−R
1 (4),
R
1−NH−(O=)C−B
1−A−B
1'−C(=O)−NH−R
2 (5),
R
2−NH−(O=)C−B
1−A−B
1'−C(=O)−NH−R
2 (6)。
【0036】
一つの実施形態によれば、本発明の混合液晶の製造方法において、以下に示すように、X
1およびX
1'が、−C(=O)−(ハロゲン)であり、B
1およびB
1'、ならびにAが上記定義のとおりである式(1)で表される化合物が用いられる場合、CおよびDが、−OHであり、R
1およびR
2が上記定義のとおりである式(2)および式(3)で表される化合物が好ましく用いられる。ハロゲンは、好ましくは塩素原子である。この場合、以下に示すように、Y
4、Y
5、Y
6、Y
4'、Y
5'、およびY
6'が、−C(=O)−O−である式(4)〜式(6)の化合物が得られる。
Cl−(O=)C−B
1−A−B
1'−C(=O)−Cl (1)
+R
1−OH (2)+R
2−OH (3)→
R
1−O−(O=)C−B
1−A−B
1'−C(=O)−O−R
1 (4),
R
1−O−(O=)C−B
1−A−B
1'−C(=O)−O−R
2 (5),
R
2−O−(O=)C−B
1−A−B
1'−C(=O)−O−R
2 (6)。
【0037】
一つの実施形態によれば、本発明の混合液晶の製造方法において、以下に示すように、X
1およびX
1'が、−OHであり、B
1およびB
1'、ならびにAが上記定義のとおりである式(1)で表される化合物が用いられる場合、CおよびDが、−C(=O)−(ハロゲン)であり、R
1およびR
2が上記定義のとおりである式(2)および式(3)で表される化合物が好ましく用いられる。ハロゲンは、好ましくは塩素原子である。この場合、以下に示すように、Y
4、Y
5、Y
6、Y
4'、Y
5'、およびY
6'が、−O−C(=O)−である式(4)〜式(6)の化合物が得られる。
HO−B
1−A−B
1'−OH (1)
+R
1−C(=O)−Cl (2)+R
2−C(=O)−Cl(3)→
R
1−(O=)C−O−B
1−A−B
1'−O−C(=O)−R
1 (4),
R
1−(O=)C−O−B
1−A−B
1'−O−C(=O)−R
2 (5),
R
2−(O=)C−O−B
1−A−B
1'−O−C(=O)−R
2 (6)。
【0038】
一つの実施形態によれば、本発明の混合液晶の製造方法において、以下に示すように、X
1およびX
1'が、−C(=O)−(ハロゲン)であり、B
1およびB
1'、ならびにAが上記定義のとおりである式(1)で表される化合物が用いられる場合、Cが、−NH
2であり、Dが、−OHであり、R
1およびR
2が上記定義のとおりである式(2)および式(3)で表される化合物が好ましく用いられる。ハロゲンは、好ましくは、塩素原子である。この場合、以下に示すように、Y
4、およびY
4'は、−C(=O)−NH−であり、Y
6、およびY
6'は、−C(=O)−O−である式(4)および式(6)の化合物、ならびに、Y
5、およびY
5'のいずれか一方は、−C(=O)−NH−であり、他方は、−C(=O)−O−である式(5−1)および式(5−2)の化合物が得られる。
Cl−(O=)C−B
1−A−B
1' −C(=O)−Cl (1)
+R
1−NH
2 (2)+R
2−OH(3)→
R
1−NH−(O=)C−B
1−A−B
1−C(=O)−NH−R
1 (4),
R
1−NH−(O=)C−B
1−A−B
1'−C(=O)−O−R
2 (5−1),
R
2−O−(O=)C−B
1−A−B
1'−C(=O)−NH−R
1 (5−2),
R
2−O−(O=)C−B
1−A−B
1'−C(=O)−O−R
2 (6)。
【0039】
一つの実施形態によれば、本発明の混合液晶の製造方法において、以下に示すように、X
1は、−OHであり、X
1'は、−NH
2であり、B
1およびB
1'、ならびにAが上記定義のとおりである式(1)で表される化合物が用いられる場合、CおよびDは、−C(=O)−(ハロゲン)であり、R
1およびR
2が上記定義のとおりである式(2)および式(3)で表される化合物が好ましく用いられる。ハロゲンは、好ましくは、塩素原子である。この場合、以下に示すように、Y
4、およびY
6は、−O−C(=O)−であり、Y
4'、およびY
6'は、−NH−C(=O)−である式(4)および式(6)の化合物、ならびに、Y
5、およびY
5'のいずれか一方は、−O−C(=O)−であり、他方は、−NH−C(=O)−である式(5−1)および式(5−2)の化合物が得られる。
HO−B
1−A−B
1'−NH
2 (1)
+R
1−C(=O)−Cl(2)+R
2−C(=O)−Cl(3)→
R
1−(O=)C−O−B
1−A−B
1'−NH−C(=O)−R
1 (4),
R
1−(O=)C−O−B
1−A−B
1'−NH−C(=O)−R
2 (5−1),
R
2−(O=)C−O−B
1−A−B
1'−NH−C(=O)−R
1 (5−2),
R
2−(O=)C−O−B
1−A−B
1'−NH−C(=O)−R
2 (6)。
【0040】
上記実施形態に示す反応はいずれも当業者に周知の反応であり、必要に応じて、反応試薬、反応溶媒、反応温度等の反応条件を調整することができる。
例えば、X
1およびX
1'が、−C(=O)−OHである式(1)で表される化合物と、CおよびDが、−OHである式(2)および式(3)で表される化合物との反応においては、まず、式(1)で表されるカルボン酸化合物を、カルボン酸ハロゲン化物とした(下記反応式に示す)後、式(2)および式(3)で表される化合物と反応させて、Y
4、Y
5、Y
6、Y
4'、Y
5'、およびY
6'が、−C(=O)−O−である式(4)〜式(6)の化合物を得ることができる。
HO−(O=)C−B
1−A−B
1'−C(=O)−OH (1)
→(ハロゲン)−(O=)C−B
1−A−B
1'−C(=O)−(ハロゲン) (1')
(ハロゲン)−(O=)C−B
1−A−B
1'−C(=O)−(ハロゲン) (1')
+R
1−OH (2)+R
2−OH (3)→
R
1−O−(O=)C−B
1−A−B
1'−C(=O)−O−R
1 (4),
R
1−O−(O=)C−B
1−A−B
1'−C(=O)−O−R
2 (5),
R
2−O−(O=)C−B
1−A−B
1'−C(=O)−O−R
2 (6)。
上記のカルボン酸ハロゲン化物(1')を得る反応は、当業者に周知であり、例えば、ハロゲンが塩素原子である場合、上記反応としては、塩化チオニル、塩化スルフリル、三塩化リン、五塩化リン、塩化オキサリルを用いる反応が挙げられるが、これらの反応に限定されない。
【0041】
一つの実施形態によれば、本発明の混合液晶の製造方法において、少なくとも1種の式(2)で表される化合物と、少なくとも1種の式(3)で表される化合物が用いられて、式(4)、式(5)および式(6)で表される少なくとも3種の化合物を含む混合液晶が生成される。複数の化合物の混合物とすることにより、得られる混合液晶の液晶相温度範囲を広範囲とすることができる。
【0042】
好ましい実施形態において、R
1が直鎖アルキル基である式(2)で表される化合物と、R
2が分枝アルキル基である式(3)で表される化合物とが用いられる。少なくとも1種の分岐鎖アルキル基を用いることにより、得られる混合液晶の液晶相温度領域を、低温領域側に広げることができる。
【0043】
さらに好ましい実施形態において、R
2が互いに異なる分枝アルキル基である2種以上の式(3)で表される化合物が用いられる。分岐鎖アルキル基を有する化合物を用いることにより、得られる混合液晶の液晶相温度領域を、さらに低温領域側に広げることができる。
【0044】
好ましい実施形態において、本発明の方法で得られる混合液晶は、当該混合液晶を塗布、乾燥して得られる皮膜の形態において、液晶構造を示す。なお、皮膜中の混合液晶が液晶構造を形成しているか否かは、混合液晶を塗布、乾燥して得られた膜を偏光板に挟み、偏光板の面方向から光を当てて目視で確認することができる。混合液晶から構成される膜が光学的に異方性の液晶構造である場合、光は透過する。一方、光学的に等方性の非液晶構造である場合、光は透過しない。
【0045】
本発明の方法により得られる混合液晶は、例えば、潤滑剤等の潤滑性が求められる物品、磁気テープ、ディスク等に適用することができる。
【0046】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外のさまざまな態様を採用することができる。例えば、上記一つの実施形態で得られた混合液晶を別の実施形態で得られた混合液晶と組み合わせて用いることができる。
【実施例】
【0047】
以下に本発明の具体例について、実施例を参照して説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0048】
(実施例1)
(1)混合液晶の製造
以下の反応式に示す反応を行い、混合液晶を得た。
【化3】
【0049】
詳細には、100ml三角フラスコに、4,4'−ビフェノール(11)、8.9g(0.048mol)、炭酸カリウム、20.0g、およびDMF、70mlを加えて混合した。この混合物に、1−ブロモヘキサン(12)、8.0g(0.048mol)および1−ブロモ−2−エチルヘキサン(13)、8.6g(0.048mol)を加え、80℃で24時間攪拌した。この反応溶液に、ジエチルエーテル、300mlを加え、10%冷希塩酸、300mlで洗浄した。得られたエーテル層を、無水硫酸ナトリウムを用いて一晩乾燥した。無水硫酸ナトリウムを吸引濾過により除去し、濾液をエバポレートして残渣を得た。この残渣にヘキサンを加えて50℃〜60℃まで加温した後、ショートカラムで熱時濾過した。得られた濾液をエバポレートして、反応生成物(14)、(15)および(16)を含む混合液晶を得た。この混合液晶の収率は、約95%であった。この混合液晶に含まれる反応生成物の組成比をキャピラリーガスクロマトグラフィーで測定したところ、化合物(14):化合物(15):化合物(16)=1:2:1(重量比)であった。
【0050】
(液晶相温度範囲の測定)
上記で得られた混合液晶の示差走査熱量測定(DSC)を行った。その結果、この混合液晶のDSC曲線は、−50℃から100℃までの温度範囲にピークが存在せず、上記温度範囲で液晶相を示すことがわかった。したがって、わずか1工程で広範な液晶相温度領域を有する混合液晶を得ることができた。
【0051】
(実施例2〜7)
以下に示すように、1−ブロモヘキサン(12)および1−ブロモ−2−エチルヘキサン(13)を、式(12')および式(13')で示される化合物に換えて、実施例1と同様の反応により、式(14')、式(15')および式(16')で示される化合物を含む混合液晶を作製した。これらの混合結晶の収率は90〜100%であり、いずれもほぼ理論収量で得られた。使用した置換基R
11およびR
12を以下の表に示す。
【化4】
【0052】
【表1】
【0053】
(実施例8)
1−ブロモヘキサン(12)、および1−ブロモ−2−エチルヘキサン(13)の代わりに、1−ブロモヘキサン、1−ブロモオクタン、および1−ブロモドデカンを用いた以外は、実施例1の方法と同様にして、混合液晶を得た。
【0054】
(潤滑剤組成物の調製)
実施例1〜8で得られた混合液晶の摩擦係数を測定するために、潤滑剤組成物を調製した。詳細には、実施例1〜8の混合液晶1.5重量部に対して、下記の非クロム防錆表面処理剤を48.5重量部混合して、ポリトロン製のホモジナイザーPT1200Eで15分間攪拌し、液晶分子を分散、溶解させ、潤滑剤組成物全体に対し3重量%の混合液晶を含む潤滑剤組成物を調製した。
【0055】
上記の非クロム防錆表面処理剤の調製は下記のとおり行った。
エチルシリケート40(多摩化学工業社製、テトラエトキシシランを縮重合した5量体のオリゴマーであり、ケイ素をSiO
2換算量で約40重量%含む)のイソプロピルアルコール(IPA)溶液に、ビニルトリメトキシシラン(東レ 'ダウコーニング社製、SH-6300)を、アルコキシシランが全体の2モル%となるように配合し、得られた混合物を40℃で12時間攪拌し、縮重合させた。ケイ素をSiO
2に換算した場合の含有量が全体に対して20.2重量%となったアルコキシシランオリゴマーのIPA溶液を得た。
【0056】
このアルコキシシランオリゴマーのIPA溶液、52.8重量部に、ポリビニルブチラールの10重量%プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)溶液、3重量部、ホウ酸の1.2重量%IPA溶液、5重量部、IPA、23.8重量部、日本曹達株式会社製のチタンオクチレングリコールキレート化合物(アルコキシ基がイソプロポキシドである化合物)、5.4重量部、PGME、10重量部、およびエチレングリコール−t−ブトキシド、15重量部を混合して、非クロム防錆表面処理剤を得た。
【0057】
(摩擦係数の測定)
上記の潤滑剤組成物を、亜鉛めっきしたM8L55半ねじフランジ付きボルトに、ディップアンドスピン法で塗布した。詳細には、乾燥した白あげ亜鉛めっきM8L55半ねじフランジ付きボルト(活性化処理なし)を、潤滑剤組成物に浸漬し、その後取り出して、遠心分離機に取り付けたステンレス製の籠に入れ、回転半径、約15cm、回転数、約700rpmで約一秒間回転させ、ボルトの表面に付着した余分な潤滑剤組成物を除去した。その後、ボルトを、150℃の乾燥器に入れ30分間乾燥して、潤滑性の皮膜を形成した。
【0058】
このようにして作製した潤滑性の皮膜を有するフランジ付きボルト5本を、岩田製作所製のねじ締め付け試験機を用い、JIS B1084に準拠した「ねじ部品の締め付け試験方法」に従い、ねじ摩擦係数および座面摩擦係数を算出し、総合摩擦係数を算出した。上記摩擦係数は、5本のボルトの測定値の平均値として求めた。結果を以下に示す。なお、上記非クロム防錆表面処理剤自体の総合摩擦係数は、0.27であった。
【0059】
【表2】
【0060】
以上のように、本発明の製造方法により容易に得られる混合液晶は、潤滑剤組成物の添加剤として用いることにより、摩擦係数を低下させることができる。
【0061】
(相状態の評価)
上記の潤滑剤組成物を、プラスチック製フィルムに塗布し、乾燥させて膜を作製した。この膜を単離し、2枚の偏光板で挟み、蛍光灯にかざした。そして、光が透過するか否かを目視で観察し、光を透過した場合は光学的に異方性の液晶構造である、光を透過しない場合は光学的に等方性の非液晶構造である、として判断した。実施例1〜8の混合液晶から作製した膜はいずれも、液晶構造を有していた。
【0062】
(比較例1)
1−ブロモヘキサン(12)、および1−ブロモ−2−エチルヘキサン(13)の代わりに、1−ブロモヘキサン(12)のみを用いた以外は、実施例1の方法と同様にして、液晶化合物(14)を得た。
得られた液晶化合物(14)の示差走査熱量測定(DSC)を行った。その結果、この液晶化合物のDSC曲線は、−50℃付近にピークが存在した。すなわち、−50℃付近で結晶化していた。