特許第6074273号(P6074273)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6074273車両用昇降装置における自動起立後フラッパー緊急ロック装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6074273
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】車両用昇降装置における自動起立後フラッパー緊急ロック装置
(51)【国際特許分類】
   B60P 1/44 20060101AFI20170123BHJP
   B60P 3/00 20060101ALI20170123BHJP
   A61G 3/02 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
   B60P1/44 B
   B60P3/00 N
   A61G3/02 701
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-11550(P2013-11550)
(22)【出願日】2013年1月24日
(65)【公開番号】特開2014-141196(P2014-141196A)
(43)【公開日】2014年8月7日
【審査請求日】2016年1月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】393011692
【氏名又は名称】和光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100069992
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 政義
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 哲也
【審査官】 田合 弘幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−300043(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 1/44
B60P 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラットホームの後端部にバネ動力又は重り動力により自動的に起立する自動起立後フラッパーが装備される車両用昇降装置において、プラットホームの後端部の床板の裏面に、ロックレバーを所要の回動抵抗を付与して回動自在に弾支する軸部を備えたロック軸台が固着配備され、前記自動起立後フラッパーが手動伏倒時に、該自動起立後フラッパーの基端部に前記ロックレバーのロック部の回動通路に対向して該ロック部を嵌挿係合するロック孔が開設されてなる車両用昇降装置における自動起立後フラッパー緊急ロック装置。
【請求項2】
前記ロック軸台は、取付台部の下面に軸部が突設され、軸部の下面に開口する取付ネジ孔が設けられてなる請求項1の車両用昇降装置における自動起立後フラッパー緊急ロック装置。
【請求項3】
前記ロックレバーは、中心に軸受孔が開口され、一方端にロック部、他方端にレバー部形成され、前記ロック軸台の軸部に皿ばね座金、ロックレバー、ボルトの順で所要の回動抵抗を付与して回動自在に弾支されてなる請求項1又は請求項2の車両用昇降装置における自動起立後フラッパー緊急ロック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用昇降装置における自動起立後フラッパー緊急ロック装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、緊急自動車Vの車室に設けた支持台6上にストレッチャーSを案内すべく、車体の後部開口50に臨む支持台6の後端にガイド板44が設けられる。前記ガイド板44は、後方に末広がりに形成され、後下方に傾斜した使用位置と上向きに起立した格納位置との間を回動可能である。また、使用位置にあるガイド板44は、支持台6に向けて前進するストレッチャーSの前端の補助輪30を案内するとともに、ストレッチャーSの支持脚16、17に当接して該支持脚16、17を自動的に折り畳む緊急自動車が開示されている。
【0003】
特許文献2は、軽自動車後部の狭小な荷台の床面60に固着される車椅子固定装置10の後方から延びる後方ベルト11、11は、荷台の後端に回動自在にそれぞれ固着された転向部材12、12により前方へ折り返され、それらの先端に取り付けたフック13を、載置した車椅子50の足掛け棒51と背当て枠52との接合部に係合され、下方向に引っ張られ固定されている、車椅子固定装置が開示されている。
【0004】
特許文献3は、周辺情報を検出する第1検出手段を有し、第1検出手段により検出された周辺情報に基づいて自律的に移動を行う車椅子型の移動体10と、移動体10を乗降させる車両30に設けられ、移動体10の周辺情報を検出する第2の検出手段と、第2の検出手段により検出された移動体10の周辺情報を、移動体10に送信する手段と、を移動体乗降システムは備えている。また、移動体10は、第1検出手段により検出された周辺情報と、送信手段から送信された周辺情報と、に基づいて、車両30に自律的に乗降を行う、動体乗降システム及びその制御方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−248874号公報
【特許文献2】特開平11−113966号公報
【特許文献3】特開2011−98617号公報
【0006】
前記特許文献1に開示される発明は、ストレッチャーを搬送する緊急自動車において、ストレッチャーを案内するガイド板を備えた支持台を車室にコンパクトに搭載するとともに、支持台上にストレッチャーを搬入する作業を容易に行えるようにするものである。
【0007】
前記特許文献2に開示される発明は、形状や大きさが多種多様な車椅子であっても簡単に固定でき、解除する時は簡単なボタン操作で行えるともに、電気系故障や緊急時には手動でも固定できようにした車椅子固定装置が提案されるものである。
【0008】
前記特許文献3に開示される発明は、車両により安全に乗降を行うことができる移動体乗降システム及びその制御方法が提案されるものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
車両用昇降装置のプラットホームが上限位置にあるとき、車両のトラブルが発生し、電気の供給がなされなくなった場合、車両用昇降装置においては、通常、車椅子等を使用して乗車している利用者を車両から降車させるエマージェンシー油圧システムを備えているが、このエマージェンシー油圧システムでは、プラットホームの降下は油圧回路を開放することにより重力作用により軽減な労力で行えるが、プラットホームの上昇については、ハンドポンプを操作してプラットホームを地上より車両床面まで上昇させるものであり、バスなどのように多人数の降車では、プラットホームを人数分の回数だけ上昇させる必要があるため、その労力は非常に大きなものとなり、ユーザーには前記エマージェンシー操作を避け、利用者を降車させずに正常車に移動させ、時間的ロス或いは介添人の肉体的疲労を軽減させたいという要望がある。
【0010】
しかるに、従来の構造のプラットホームに備わっているリンク式後フラッパーはプラットホームが下降限の路面等に接地状態の位置でないと倒れないため、リンク式後フラッパーが起立しており、これが障害となって故障車から正常車に利用者を移動させることができなかった。
【0011】
本発明は自動起立後フラッパーが倒れて通行できる開口状態をプラットホームの上限或いは上昇途中において可能とし、故障車から正常車に利用者を移動させるための自動起立後フラッパー緊急ロック装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
プラットホームの後端部にバネ動力又は重り動力により自動的に起立する自動起立後フラッパーが装備される車両用昇降装置において、プラットホームの後端部の床板の裏面に、ロックレバーを所要の回動抵抗を付与して回動自在に弾支する軸部を備えたロック軸台が固着配備され、前記自動起立後フラッパーが手動伏倒時に、該自動起立後フラッパーの基端部に前記ロックレバーのロック部の回動通路に対向して該ロック部を嵌挿係合するロック孔が開設されてなる車両用昇降装置における自動起立後フラッパー緊急ロック装置にある。
【0013】
前記ロック軸台は、取付台部の下面に軸部が突設され、軸部の下面に開口する取付ネジ孔が設けられてなるものとしてよいものである。
【0014】
前記ロックレバーは、中心に軸受孔が開口され、一方端にロック部、他方端にレバー部形成され、前記ロック軸台の軸部に皿ばね座金、ロックレバー、ボルトの順で所要の回動抵抗を付与して回動自在に弾支されてなるものとしてよいものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の車両用昇降装置における自動起立後フラッパー緊急ロック装置は、低減なコストで、車両の電気供給系統が故障した場合等の緊急時において、エマージェンシー油圧システムの最小限の利用で利用者の迅速な車両の乗換を行うことができ、利用者の安全を確保できるものである。
【0016】
本発明の車両用昇降装置における自動起立後フラッパー緊急ロック装置により車両用昇降装置装備車両の利用路面範囲の拡大に寄与するものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の車両用昇降装置における自動起立後フラッパー緊急ロック装置において、自動起立後フラッパーが起立状態を示すプラットホームの部分平面図である。
図2】同じく、図1のA−A線に沿う拡大部分断面図である。
図3】本発明の車両用昇降装置における自動起立後フラッパー緊急ロック装置において、自動起立後フラッパーを倒してロックした状態を示すプラットホームの部分平面図である。
図4】同じく、図3のB−B線に沿う拡大部分断面図である。
図5】同じく、自動起立後フラッパーをロックレバーによりロックした状態の構造を示す拡大部分断面図である。
図6】同じく、自動起立後フラッパー緊急ロック装置の主要部を示す拡大分解部分図である。
図7】従来のリンク式後フラッパーを装備した故障車のプラットホームを正常車の車室の床面に接面させることが不可能であることを示す説明側面図である。
図8】本発明の車両用昇降装置における自動起立後フラッパー緊急ロック装置を装備した故障車のプラットホームを正常車の車室の床面に接面させた状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
プラットホームの後端部にバネ動力又は重り動力により自動的に起立する自動起立後フラッパーが装備される車両用昇降装置において、プラットホームの後端部の床板の裏面に、ロックレバーを、皿ばね座金、ロックレバー、ボルトの順で所要の回動抵抗を付与して回動自在に弾支する軸部を備えたロック軸台が固着配備され、該ロック軸台は、取付台部の下面に軸部が突設され、軸部の下面に開口する取付ネジ孔が設けられ、前記ロックレバーは、中心に軸受孔が開口され、一方端にロック部、他方端にレバー部形成され、自動起立後前記自動起立後フラッパーが手動伏倒時に、該自動起立後フラッパーの基端部に前記ロックレバーのロック部の回動通路に対向して該ロック部を嵌挿係合するロック孔が開設されてなる車両用昇降装置における自動起立後フラッパー緊急ロック装置。
【実施例】
【0019】
本発明の車両用昇降装置における自動起立後フラッパー緊急ロック装置を、実施例を示す図面により説明すると、車両用昇降装置1において、プラットホーム2の後端部にはバネ動力又は重り動力(図示しない。)により自動的に起立する自動起立後フラッパー3が装備される。
【0020】
前記自動起立後フラッパー3は、その左右側部に一体に設けられるブラケット部4、4がプラットホーム2の後端部の左右側部に所要の間隔を置いて対設した左外側軸受板部5a、左内側軸受板部5bと右外側軸受板部6a、右内側軸受板部6bに夫々差し渡された左側支軸7と右側支軸8に回動自在に支承される。
【0021】
前記ブラケット部4、4は、連繋孔9a、9aを夫々先端部に開設した連繋板9、9が一体に接続される。
【0022】
前記左側支軸7、右側支軸8より前方の前記左外側軸受板部5a、左内側軸受板部5bと右外側軸受板部6a、右内側軸受板部6bに両端部が軸受けされ、かつ、図示しないが、バネ動力の一例として、プラットホーム2の前記左内側軸受板部5bに一端が固定されたコイルスプリングの他端に接続されて自動起立後フラッパー3を起立する方向に付勢されて転回軸10が配備される。
【0023】
前記転回軸10には、前記連繋板9、9に対応する接地プレート11、11が、その基端を一体に固着されて配備されると共に、接地プレート11、11の夫々の腕板部12、12に配備された連繋ピン12a、12aが前記連繋板9、9の連繋孔9a、9aに嵌挿連繋されるものである。
【0024】
前記接地プレート11、11の先端には、接地輪13、13が転回自在に軸支されて配備される。
【0025】
前記接地プレート11、11を、図示しないが、前記コイルスプリングに代えて重り部材で構成してもよいものである。
【0026】
本発明の実施例の車両用昇降装置1に設けられる自動起立後フラッパー緊急ロック装置14は、プラットホーム2の後端部の右側縁寄りに床板2aの裏面にロック軸台15が溶着される。
【0027】
ロック軸台15は、図6に示すように、取付台部15aの下面に軸部15bが突設され、軸部15bには取付ネジ孔15cが設けられる。そして、軸部15bに皿ばね座金16、ロックレバー17、最後にボルト18の順で組み付けるものである。
【0028】
前記ロックレバー17は、中心に軸受孔17aが開口され、一方端にロック部17b、他方端にレバー部17cが夫々設けられている。
【0029】
前記自動起立後フラッパー3の基端部を構成する端面板部3aには、その伏倒時に前記ロックレバー17のロック部17bの回動通路に対応してそのロック部17bを嵌挿係合するロック孔19が開設されている。
【0030】
本発明の実施例の車両用昇降装置1において、プラットホーム2が、図7に示すように、道路面22等から上昇した場合、自動起立後フラッパー3は起立状態にロックされているので、接地プレート11をDの方向へ手で押し上げ、自動起立後フラッパー3の起立ロックを解除する。そして自動起立後フラッパー3を停止するまで倒し、その倒れた状態の自動起立後フラッパー3が起立しないように手で押さえる。
【0031】
前記の操作で、自動起立後フラッパー3は開口状態となり、自動起立後フラッパー3が起立しないように手で押さえながら、プラットホーム2の裏側に設置される自動起立後フラッパー緊急ロック装置14のロックレバー17を所要角回動させ、自動起立後フラッパー3のロック孔19にロック部17bを嵌挿係合して、図4に示すように、自動起立後フラッパー3を倒した状態にロックする。
【0032】
自動起立後フラッパー緊急ロック装置14のロックレバー17は、前述のように組み付けて構成されるから、皿ばね座金の作用で適度の抵抗力が付与されて所要角を回動自在である共に停止位置のロック状態を持続するものである。
【0033】
自動起立後フラッパー3は、この状態で昇降装置1のプラットホーム2が接地していなくても倒れた状態を維持してプラットホーム2の下側の接地プレート11、11の突起もなくなるのである。
【0034】
従来のリンク式後フラッパー装備の車両用昇降装置では、車両の電気供給系統が故障した場合は、図7に示すように、エマージェンシー油圧システムを使用して故障車20のプラットホーム2を最上限まで上昇させてから、正常車21をバックさせて、その車室床面21a上に故障車20のプラットホーム2を接続して利用者の移動通路を確保しようとしても、プラットホーム2の下方に接地プレート11、11を突出するから、これが正常車21に衝突し、正常車21の車室床面21a上に接続できないものであった。
【0035】
本発明の実施例の車両用昇降装置1における自動起立後フラッパー緊急ロック装置14は、前述のように構成されるから、前述のように操作してプラットホーム2の下方に突出する接地プレート11、11を上方に回動して自動的に起立する自動起立後フラッパー3を倒し、 プラットホーム2の厚み中に収納すると共に自動起立後フラッパー緊急ロック装置14のロックレバー17を自動起立後フラッパー3のロック孔19に嵌挿係合して自動起立後フラッパー3を倒してプラットホーム2の後端部の通路を開路した状態にロックできるので、正常車21をバックさせてもプラットホーム2に衝突することがなく、図8に示すように、故障車20のプラットホーム2を正常車21の車室床面21aに深く差し入れることができ、故障車20の車室床面20aと正常車21の車室床面21aを連絡することができ、故障車の利用者は故障車20のプラットホーム2を通じて正常車21に迅速に乗り移ることができるのである。
【0036】
また、本発明の実施例の車両用昇降装置1における自動起立後フラッパー緊急ロック装置14は、前述のように構成されるから、接地面(プラットホーム2の下降限)の路面状況が悪く接地プレート11、11がスムーズに作動せず自動起立後フラッパー3が倒れない場合、プラットホーム2から利用者を降ろすことができないが、プラットホーム2を少し上昇させ、緊急ロック装置14のロックをかけることでこの問題は解決できるものである。
【0037】
本発明の車両用昇降装置における自動起立後フラッパー緊急ロック装置によりエマージェンシー油圧回路の操作による肉体的疲労と降車の時間的ロスを回避できる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の車両用昇降装置における自動起立後フラッパー緊急ロック装置は、低減なコストで、車両の電気供給系統が故障した場合等の緊急時においてエマージェンシー油圧システムの最小限の利用で利用者の迅速な車両の乗換を行うことができ、利用者の安全を確保できるものである。
【0039】
本発明の車両用昇降装置における自動起立後フラッパー緊急ロック装置により車両用昇降装置装備車両の利用路面範囲の拡大に寄与するものである。
【符号の説明】
【0040】
1 車両用昇降装置
2 プラットホーム
2a 床板
3 自動起立後フラッパー
3a 端面板部
4 ブラケット部
5a 左外側軸受板部
5b 左内側軸受板部
6a 右外側軸受板部
6b 右内側軸受板部
7 左側支軸
8 右側支軸
9 連繋板
9a 連繋孔
10 転回軸
11 接地プレート
12 腕板部
12a 連繋ピン
13 接地輪
14 自動起立後フラッパー緊急ロック装置
15 ロック軸台
15a 取付台部
15b 軸部
15c 取付ネジ孔
16 皿ばね座金
17 ロックレバー
17a 軸受孔
17b ロック部
17c レバー部
18 ボルト
19 ロック孔
20 故障車
20a 車室床面
21 正常車
21a 車室床面
22 道路面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8