(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6074303
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】折板屋根の補強方法
(51)【国際特許分類】
E04D 13/00 20060101AFI20170123BHJP
E04D 13/18 20140101ALI20170123BHJP
H02S 20/23 20140101ALI20170123BHJP
【FI】
E04D13/00 J
E04D13/18ETD
H02S20/23 A
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-70008(P2013-70008)
(22)【出願日】2013年3月28日
(65)【公開番号】特開2014-194112(P2014-194112A)
(43)【公開日】2014年10月9日
【審査請求日】2015年10月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004673
【氏名又は名称】パナホーム株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000200323
【氏名又は名称】JFE鋼板株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】松澤 浩志
(72)【発明者】
【氏名】下方 豊
(72)【発明者】
【氏名】白石 雅広
【審査官】
五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−268938(JP,A)
【文献】
実公平06−003065(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/00
E04D 13/18
E04D 3/00−3/40
H02S 20/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平にのびる屋根梁と、この屋根梁に固定される折板とを含む折板屋根の補強方法であって、
前記折板屋根に開口部を設ける工程と、
前記開口部から、前記屋根梁と前記折板とをボルト金具を用いて連結する補強部材を配する工程と、
前記開口部を閉じる工程とを含み、
前記屋根梁は、軒先側を棟方向にのびる軒先側の屋根梁を含み、かつ前記折板屋根は、前記軒先側の屋根梁を覆って目隠しする梁カバーを含むとともに、
前記開口部は、前記梁カバーを取り外すことにより形成される軒先側の開口部を含み、
前記補強部材は、軒先側の補強部材を含み、この軒先側の補強部材は、前記軒先側の屋根梁に固定される支持金物と、下部側が該支持金物に固定されかつ上部側が前記折板に固定される補強タイトフレームとを含むことを特徴とする折板屋根の補強方法。
【請求項2】
前記補強タイトフレームは、前記上部側に、前記折板の内面の凹凸に沿って棟方向にのびる折板状の支持部を有することを特徴とする請求項1記載の折板屋根の補強方法。
【請求項3】
前記屋根梁は、両側の軒先の間に配される棟側の屋根梁を含み、
前記開口部は、前記折板における前記棟側の屋根梁の上部位置を切欠くことにより形成される棟側の開口部を含むとともに、
前記補強部材は、前記棟側の屋根梁に配される棟側の補強部材を含み、この棟側の補強部材は、下端側が前記棟側の屋根梁のフランジに固定されかつ上端側が前記折板に固定されることを特徴とする請求項1または2記載の折板屋根の補強方法。
【請求項4】
前記棟側の補強部材は、棟側の屋根梁のフランジと前記折板との間に配される筒状部と、前記折板の上側に配されて前記棟側の開口部を覆う押さえ板と、前記筒状部を貫通するとともに前記押さえ板と前記棟側の屋根梁の前記フランジとを締結するボルト金具とを含むことを特徴とする請求項3記載の折板屋根の補強方法。
【請求項5】
前記屋根梁は、軒先側を棟方向にのびる一対の軒先側の屋根梁と、両側の軒先の間に配される棟側の屋根梁とを含み、
前記各屋根梁に前記補強部材を配する工程を行うとともに、
前記折板屋根の上部に、ソーラパネルを載置するためのレール部材を固定する工程をさらに含み、
前記レール部材を固定する工程は、前記レール部材の両端部を、前記補強部材の前記ボルト金具を用いて前記折板屋根に固定されることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の折板屋根の補強方法。
【請求項6】
水平にのびる屋根梁と、この屋根梁に固定される折板とを含む折板屋根の補強方法であって、
前記折板屋根に開口部を設ける工程と、
前記開口部から、前記屋根梁と前記折板とをボルト金具を用いて連結する補強部材を配する工程と、
前記開口部を閉じる工程とを含み、
前記屋根梁は、両側の軒先の間に配される棟側の屋根梁を含み、
前記開口部は、前記折板における前記棟側の屋根梁の上部位置を切欠くことにより形成される棟側の開口部を含むとともに、
前記補強部材は、前記棟側の屋根梁に配される棟側の補強部材を含み、この棟側の補強部材は、下端側が前記棟側の屋根梁のフランジに固定されかつ上端側が前記折板に固定されることを特徴とする折板屋根の補強方法。
【請求項7】
前記棟側の補強部材は、棟側の屋根梁のフランジと前記折板との間に配される筒状部と、前記折板の上側に配されて前記棟側の開口部を覆う押さえ板と、前記筒状部を貫通するとともに前記押さえ板と前記棟側の屋根梁の前記フランジとを締結するボルト金具とを含むことを特徴とする請求項6記載の折板屋根の補強方法。
【請求項8】
前記屋根梁は、軒先側を棟方向にのびる軒先側の屋根梁を含み、かつ前記折板屋根は、前記軒先側の屋根梁を覆って目隠しする梁カバーを含むとともに、
前記開口部は、前記梁カバーを取り外すことにより形成される軒先側の開口部を含むことを特徴とする請求項6記載の折板屋根の補強方法。
【請求項9】
前記屋根梁は、軒先側を棟方向にのびる一対の軒先側の屋根梁と、両側の軒先の間に配される棟側の屋根梁とを含み、
前記各屋根梁に前記補強部材を配する工程を行うとともに、
前記折板屋根の上部に、ソーラパネルを載置するためのレール部材を固定する工程をさらに含み、
前記レール部材を固定する工程は、前記レール部材の両端部を、前記補強部材の前記ボルト金具を用いて前記折板屋根に固定されることを特徴とする請求項6〜8の何れかに記載の折板屋根の補強方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、築年数の経った既存の折板屋根を、構成簡易に補強でき、特に、既存の折板屋根へのソーラパネルの設置を容易に行いうる折板屋根の補強方法に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネルギー化の観点から、折板屋根にソーラパネルを設置する工法が広く提案されている。このような工法として、例えば、折板屋根の折板を支持するタイトフレームに、ソーラパネルのパネル架台を固定したり、或いは折板自体にパネル架台を固定するものが一般的に知られている(例えば特許文献1、2参照。)。
【0003】
しかしながら、折板屋根は、建物の立地条件やメンテナンスによって、その耐久性が大きく相違する。例えば、海に近い地域に建てられている場合、或いは適切なメンテナンス(定期的な塗装処理など。)が行われていない場合には、折板自体やタイトフレームに錆が発生し、屋根強度の低下を招く。
【0004】
従って、築年数の経った既存の折板屋根に、ソーラパネルを取り付ける場合には、強度を十分確保するために、屋根の葺き替え等の改修工事を同時に行う必要が生じるなど、施工期間の延長や、施工コストの大幅な増大を招くという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−30773号公報
【特許文献1】特開2011−032646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、葺き替え工事を行うことなく、築年数の経った既存の折板屋根を、構成簡易に補強でき、既存の折板屋根へのソーラパネルの設置を容易に行いうる折板屋根の補強方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本願
第1の発明は、水平にのびる屋根梁と、この屋根梁に固定される折板とを含む折板屋根の補強方法であって、
前記折板屋根に開口部を設ける工程と、
前記開口部から、前記屋根梁と前記折板とをボルト金具を用いて連結する補強部材を配する工程と、
前記開口部を閉じる工程とを含
み、
前記屋根梁は、軒先側を棟方向にのびる軒先側の屋根梁を含み、かつ前記折板屋根は、前記軒先側の屋根梁を覆って目隠しする梁カバーを含むとともに、
前記開口部は、前記梁カバーを取り外すことにより形成される軒先側の開口部を含み、
前記補強部材は、軒先側の補強部材を含み、この軒先側の補強部材は、前記軒先側の屋根梁に固定される支持金物と、下部側が該支持金物に固定されかつ上部側が前記折板に固定される補強タイトフレームとを含むことを特徴としている。
【0011】
また
本願第2の発明は、
水平にのびる屋根梁と、この屋根梁に固定される折板とを含む折板屋根の補強方法であって、
前記折板屋根に開口部を設ける工程と、
前記開口部から、前記屋根梁と前記折板とをボルト金具を用いて連結する補強部材を配する工程と、
前記開口部を閉じる工程とを含み、
前記屋根梁は、両側の軒先の間に配される棟側の屋根梁を含み、
前記開口部は、前記折板における前記棟側の屋根梁の上部位置を切欠くことにより形成される棟側の開口部を含むとともに、
前記補強部材は、前記棟側の屋根梁に配される棟側の補強部材を含み、この棟側の補強部材は、下端側が前記棟側の屋根梁のフランジに固定されかつ上端側が前記折板に固定されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明の折板屋根の補強方法は、叙上の如く、屋根梁と折板とを、ボルト金具を用いた補強部材によって別途連結する。そのため、既存のタイトフレームに錆などが生じた場合にも、折板を前記補強部材によって支持させることができ、折板屋根を構成簡易に補強し、屋根強度を十分確保することが可能となる。又ソーラパネルを設置する場合にも、既存の折板やタイトフレームではなく、前記補強部材にソーラパネルを支承させうるため、優れた強度及び耐久性を確保できる。
【0015】
又屋根の葺き替え工事を必要とせず、折板屋根の一部を開口させて、その開口部から補強部材を挿入して屋根梁に取り付ける。そのため作業が大がかりとはならず、しかも作業工数が少なく、短い施工期間で、かつ低コストで作業を行いうる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の補強方法によって補強された折板屋根を有する住宅を略示する斜視である。
【
図2】補強前の折板屋根を示す棟方向と直角な断面図である。
【
図3】折板の屋根梁への取り付け状態を示す斜視図である。
【
図4】軒先側の補強部材の屋根梁への取り付けを説明する分解斜視図である。
【
図5】(A)〜(C)は、軒先側の補強部材の屋根梁への取り付けを説明する断面図である。
【
図6】棟側の補強部材の屋根梁への取り付けを説明する斜視図である。
【
図7】棟側の補強部材の屋根梁への取り付けを説明する断面図である。
【
図8】折板屋根の上部に、ソーラパネルを載置するためのレール部材の取り付けを説明する分解斜視図である。
【
図9】(A)、(B)は、レール部材の取付き状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
図1は、本発明の補強方法によって補強された折板屋根2を具える住宅1の斜視図であって、本例では、前記折板屋根2上に、複数枚のソーラパネル3が設置されている。
【0018】
図2は、補強前の折板屋根2Aを示す断面図であって、水平にのびる屋根梁4と、この屋根梁4に固定される折板5とを含んで構成される。詳しくは、本例の折板屋根2Aは、前記屋根梁4、前記折板5、この折板5を支持するタイトフレーム6、軒先側の屋根梁4Aを覆って目隠しする梁カバー7、及び前記折板5の軒先端を覆って目隠しするパラペット8を含んで構成される。
【0019】
ここで、前記屋根梁4は、軒先側を棟方向Fにのびる一対の軒先側の屋根梁4Aと、両側の軒先の間に配される棟側の屋根梁4Bとを含む。本例では、棟側の屋根梁4Bが1本である場合が示されるが、複数本の棟側の屋根梁4Bが配されていても良い。各前記屋根梁4は、本例では、上下のフランジ10U、10L間を垂直なウエブ10Aで継いだ断面I字状の形鋼材からなる基体10を有する。本例の基体10には、前記下のフランジ10Lの両側縁から垂下する一対の垂下片11、11が一体に設けられ、この垂下片11、11間で、外壁や内壁などを構成するための壁部材12の上端部が固定される。
【0020】
又
図3に示すように、前記折板5は、台形波状に型付けされた鋼板材から形成される。具体的には、前記折板5は、頂面部5a1と斜面部5a2とからなる略台形状の山形部分5Aを、底面部5Bにて順次連結した断面凹凸状をなし、タイトフレーム6を介して前記屋根梁4に固定される。
【0021】
前記タイトフレーム6は、周知の如く、前記上のフランジ10U上を棟方向Fにのびる基板部13と、この基板部13に一体固定される複数の折板状の支持部14とを具える。本例の前記基板部13は、前記上のフランジ10U上面にボルト固定されるが、溶接されていても良い。又各前記支持部14は、前記折板5の内面の凹凸に沿って台形状に屈曲する。具体的には、支持部14は、前記斜面部5a2の内面に沿う斜辺部14bと、前記頂面部5a1の内面に沿う頂辺部14aとを具える。又前記頂辺部14aの上面には、剣先ボルト15が突出し、この剣先ボルト15を用いて、前記折板5の頂面部5a1が固定される。
【0022】
又前記
図2に示すように、前記梁カバー7は、周知構造をなし、前記軒先側の屋根梁4Aに、ボルト等を介して着脱自在に固定される。この梁カバー7は、前記屋根梁4Aの前面を覆うカバー本体7Aと、このカバー本体7Aに取り付き前記折板5の山形部分5Aを塞ぐ面戸部7Bとを有する。この面戸部7Bには、本例では換気用のルーバーが形成されている。
【0023】
又前記パラペット8も周知構造をなし、前記折板5の頂面部5a1上にボルト等を介して着脱自在に固定される固定板部8Aと、この固定板部8Aの前端に配されかつ前記折板5の軒先端を覆うパラペット本体8Bとを具える。前記パラペット本体8Bには、前記折板5からの雨水を受ける周知の軒樋8B1が設けられる。
【0024】
そして、この既存の折板屋根2Aを、補強部材22を用いた本発明の補強方法によって補強する。
【0025】
前記補強方法は、
(1)前記折板屋根2Aに開口部20を設ける工程S1と、
(2)前記開口部20から、前記屋根梁4と前記折板5とをボルト金具21を用いて連結する補強部材22を配する工程S2と、
(3)前記開口部20を閉じる工程S3とを含む。
【0026】
具体的には、本例の補強方法は、前記折板屋根2Aを、軒先側で補強する軒先側補強方法と、棟側で補強する棟側補強方法とを具える。そして、この軒先側補強方法および棟側補強方法は、それぞれ前記工程S1、S2、S3とを含んで構成される。
【0027】
以下に、軒先側補強方法と、棟側補強方法とを順に説明する。前記軒先側補強方法において、工程S1は、屋根梁4Aの前面側を露出させる開口部20Aを形成する工程であって、本例では、少なくとも前記梁カバー7を取り外すことにより開口部20Aが形成される。本例では、前記パラペット8も取り外される。この工程S1では、梁カバー7を部分的に取り外す、或いは部分的に切除することにより、開口部20Aを形成しても良い。
【0028】
次に、
図4、5(A)〜(C)に示すように、前記工程S2では、軒先側の補強部材22Aが取り付けられる。この軒先側の補強部材22Aは、軒先側の屋根梁4Aに固定される支持金物23と、下部側が該支持金物23に固定されかつ上部側が前記折板5に固定される補強タイトフレーム24とを含む。これら支持金物23と補強タイトフレーム24とは、それぞれ前記開口部20Aから挿入される。
【0029】
前記支持金物23は、本例では、前記屋根梁4Aのウエブ10Aに軒先側からボルト金具21を介して固定される垂直片部23aと、この垂直片部23aに折曲がり部23bを介して連なる水平な取付け片部23cとを具える。前記取付け片部23cは、前記屋根梁4Aの上のフランジ10Uとは略同高さをなし、該上のフランジ10Uとは軒先側で隣り合う。
【0030】
また、前記補強タイトフレーム24は、前記タイトフレーム6と略同構成をなし、取付け片部23c、23c間を跨る基板部25と、この基板部25に一体固定され棟方向に並ぶ複数の折板状の支持部26とを具える。前記基板部25は、前記取付け片部23cの上面にボルト固定される。又、支持部26は、前記折板5の内面の凹凸に沿って台形状に屈曲する。具体的には、支持部26は、前記斜面部5a2の内面に沿う斜辺部26bと、前記頂面部5a1の内面に沿う頂辺部26aとを具える。又、前記頂辺部26aにはネジ孔27が形成され、前記折板5の頂面部5a1にボルト金具21を介して固定される。
【0031】
又工程S3(図示しない。)では、前記開口部20Aを閉じる。この工程S3としては、前記工程S1にて取り外した梁カバー7及びパラペット8を、再度取り付けることで、前記開口部20Aを閉じても良い。しかし、新たな梁カバー7及びパラペット8を用いて前記開口部20Aを閉じることもできる。
【0032】
次に、
図6、7に示すように、棟側補強方法において、工程S1では、前記折板5における前記棟側の屋根梁4Bの上部位置を切欠くことにより開口部20Bを形成する。具体的には、前記開口部20Bは、前記折板5の頂面部5a1に形成され、これにより下方に位置する屋根梁4Bの上のフランジ10Uの一部を露出させる。
【0033】
次に、前記工程S2では、下端側が棟側の屋根梁4Bの上のフランジ10Uに固定されかつ上端側が前記折板5に固定される棟側の補強部材22Bが用いられる。詳しくは、棟側の補強部材22Bは、本例では、筒状部30と、押さえ板31と、ボルト金具21とを含んで構成される。前記筒状部30は、例えば、断面が矩形状、円形状等のパイプ体から形成される。この筒状部30は、前記開口部20Bから挿入され、前記屋根梁4Bの上のフランジ10Uと、前記折板5と間に配される。この時、筒状部30の上面は、前記折板5の頂面部5a1の上面と略同高さである。
【0034】
又前記押さえ板31は、前記折板5の上側に配され、前記開口部20Bを被覆する。本例の押さえ板31は、棟方向Fにのびる長尺板状をなし、棟方向Fに並ぶ複数の開口部20Bをそれぞれ被覆する。前記押さえ板31の底面には、ゴム弾性材などのシーリング材が添着されるのが好ましく、これにより前記開口部20Bへの防水性が確保される。なお別途防水処理を施しても良い。
【0035】
又棟側の補強部材22Bのボルト金具21は、前記筒状部30を貫通してのびる長尺なボルト金具であって、前記押さえ板31と屋根梁4Bの前記フランジ10Uとを締結する。これにより、折板5の屋根梁4Bからの外れが防止される。前記ボルト金具21として、片側施工の所謂ワンサイドボルトが好適に採用しうる。
【0036】
又本例では、前記ボルト金具21による押さえ板31の取り付けにより、前記開口部20Bを閉じる工程S3が行われる。
【0037】
そして前記補強方法を用いることで、既存の折板屋根2Aに、ソーラパネル3を強固に設置することが可能となる。
【0038】
この場合、前記屋根梁4A、4Bに、それぞれ補強部材22A、22Bを配する工程S2を行うとともに、折板屋根2の上部に、
図8に示すように、ソーラパネル3を載置するためのレール部材35を固定する工程S4が行われる。この工程S4では、前記レール部材35の両端部を、前記補強部材22のボルト金具21を用いて折板屋根2に固定する。
【0039】
本例のレール部材35は、両側の軒先の間をのびる長尺体である。そして、レール部材35の長さ方向の両端部が、
図9(A)に示すように、軒先側の補強部材22Aのボルト金具21、詳しくは、補強タイトフレーム24の頂辺部26aを、折板5の頂面部5a1に固定するボルト金具21aによって、共止めされる。
【0040】
これに対して、レール部材35の中央側は、
図9(B)に示すように、棟側の補強部材22Bのボルト金具21、詳しくは、前記押さえ板31と屋根梁4Bのフランジ10Uとを締結するボルト金具21bによって共止めされる。
【0041】
なお前記レール部材35としては、本例よりも短く形成し、その両端部の一方を、前記軒先側の補強部材22Aのボルト金具21aで固定し、他方を前記棟側の補強部材22Bのボルト金具21bで固定しても良い。又棟側の屋根梁4Bが複数本ある場合には、レール部材35の両端部を、それぞれ棟側の補強部材22Bのボルト金具21bで固定することもできる。
【0042】
本例のレール部材35は、前記折板5の頂面部5a1上に載置されボルト金具21(21a又は21b)によって補強部材22(22A又は22B)に固定される水平な下の取付け板部35aと、この下の取付け板部35aの一側縁から立ち上がる立片部35bを介して連結される上の取付け板部35cとを有する断面略Z字状をなす。そして前記上の取付け板部35aに、ソーラパネル3の支持枠36がボルト止めされる。
【0043】
このように、ソーラパネル3を設置する場合、前記ソーラパネル3を支持するレール部材35が、補強部材22を介して屋根梁4に支持される。従って、既存のタイトフレーム6が、錆等により強度低下を起こしている場合にも、新設される補強部材22によって強度不足を招くことなくソーラパネル3を安全に支持させることができる。
【0044】
又本発明の補強方法では、屋根の葺き替え工事を必要とせず、折板屋根2の一部を開口させて、その開口部から補強部材22を挿入して屋根梁4に取り付ける。そのため作業工数が少なく、短い施工期間でかつ低コストで作業を行いうる。
【符号の説明】
【0045】
2 折板屋根
3 ソーラパネル
4 屋根梁
4A 軒先側の屋根梁
4B 棟側の屋根梁
5 折板
7 梁カバー
10U フランジ
20 開口部
21 ボルト金具
22 補強部材
23 支持金物
24 補強タイトフレーム
26 支持部
30 筒状部
31 押さえ板
35 レール部材
S1〜S4 工程