特許第6074310号(P6074310)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シナノケンシ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6074310-情報処理装置 図000002
  • 特許6074310-情報処理装置 図000003
  • 特許6074310-情報処理装置 図000004
  • 特許6074310-情報処理装置 図000005
  • 特許6074310-情報処理装置 図000006
  • 特許6074310-情報処理装置 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6074310
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/18 20060101AFI20170123BHJP
   H01R 13/641 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
   G06F1/18 J
   G06F1/18 E
   H01R13/641
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-87227(P2013-87227)
(22)【出願日】2013年4月18日
(65)【公開番号】特開2014-211735(P2014-211735A)
(43)【公開日】2014年11月13日
【審査請求日】2016年2月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000106944
【氏名又は名称】シナノケンシ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077621
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100146075
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 隆志
(74)【代理人】
【識別番号】100092819
【弁理士】
【氏名又は名称】堀米 和春
(74)【代理人】
【識別番号】100141634
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 善博
(74)【代理人】
【識別番号】100141461
【弁理士】
【氏名又は名称】傳田 正彦
(72)【発明者】
【氏名】宮岡 聖次
(72)【発明者】
【氏名】小川 孝廣
【審査官】 塩澤 如正
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−287144(JP,A)
【文献】 特開2012−014844(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/008815(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/116449(WO,A1)
【文献】 登録実用新案第3000303(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3048499(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/16 − G06F 1/18
H01R 13/641
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面又は裏面のいずれかに突起が形成されたプラグと接続可能なコネクタが、筐体に設けられた情報処理装置において、
前記コネクタが設けられている筐体の面と直交する面において、前記コネクタの幅方向の位置と幅方向が同一の位置に形成され、前記プラグの表面又は裏面を載置可能な載置部が形成され、
該載置部には、プラグの表面又は裏面に形成された前記突起を収納可能であって、操作者がプラグを載置部上で前後方向に動かそうとしても動かすことができないか又は抵抗感を感じるような大きさの凹部が形成されていることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記載置部は、
該載置部が形成されている面と、コネクタが設けられている面との間の双方に対して傾斜した傾斜面となるように形成されていることを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記コネクタの開口部において、前記載置部が形成されている面とは異なる面に近い側には、載置部が形成されている面からプラグを移動したときにプラグが当接してコネクタへの挿入位置の位置決めを行う位置決め突起が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部接続用のコネクタを有する情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンやタブレットなど、様々な情報処理装置が開発されているが、情報処理装置には、外部機器などを接続するためのコネクタが設けられていることが多い。コネクタの一例としては、近年普及率が高いUSB(Universal Serial Bus)コネクタなどがある。
【0003】
このような情報処理装置におけるコネクタへの外部機器等の接続において接続時の容易を考慮した構成が、例えば特許文献1に開示されている。
特許文献1では、コネクタが情報処理装置の側面に設けられている場合には、コネクタの上下方向に延びる第1案内部と、コネクタの横方向に延びる第2案内部を設けた構成について開示されている。これによれば、外部のプラグを第1案内部又は第2案内部に沿って移動させればコネクタに接続できるという構成となっている。
【0004】
また、特許文献2には、USBコネクタの上方をガイド凹部とし、USBコネクタの横方向を側縁としてUSBプラグを上方から下降させてUSBコネクタに導く構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−287144号公報
【特許文献2】特開2003−345464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
情報処理装置としては、視覚に障害がある人たちが読書を楽しむことが出来るように、本に記載されている文章情報を音声でデジタル録音したDAISY(Digital Accessible Information SYstem)規格によるデジタル録音図書を再生する装置が従来から知られている。
【0007】
デジタル録音図書のユーザとしては、視覚に障害がある人であるため、デジタル録音図書を、視覚に障害がある人であっても認識しやすいように特殊形状の記憶媒体に記録させておくこともある。
しかしながら、特殊形状の記憶媒体だけでなく、一般的に市場に出回っている記憶媒体(例えば、USBメモリなど)にデジタル録音図書を記憶させる場合もある。
【0008】
また、デジタル録音図書を再生する情報処理装置には、他の外部機器を接続する必要が出てくる場合もある。
【0009】
このような場合、デジタル録音図書を再生する情報処理装置に、上述した特許文献1又は特許文献2のような構成を採用すれば、視覚に障害がある場合であってもコネクタの場所を確認しやすいといえる。
しかし、コネクタに接続させるプラグは表と裏が異なる構造となっていることもあり、表と裏を間違えてプラグを差し込もうとしても差し込むことができず、また無理にプラグを差し込もうとするとコネクタとプラグが破損してしまうおそれがあるという課題がある。
【0010】
視覚に障害が無い一般ユーザであっても、プラグの表と裏を確認してコネクタに差し込むことは手間がかかってしまうが、特に視覚に障害がある人にとっては、コネクタとプラグの表と裏の識別はさらに困難である。
このため、プラグの表と裏を間違えないようにコネクタに接続できるような構造が要望されている。
【0011】
そこで本発明は上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは、プラグの表と裏を間違えないようにしてコネクタへの接続が可能な情報処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明にかかる情報処理装置によれば、表面又は裏面のいずれかに突起が形成されたプラグと接続可能なコネクタが、筐体に設けられた情報処理装置において、前記コネクタが設けられている筐体の面と直交する面において、前記コネクタの幅方向の位置と幅方向が同一の位置に形成され、前記プラグの表面又は裏面を載置可能な載置部が形成され、該載置部には、プラグの表面又は裏面に形成された前記突起を収納可能であって、操作者がプラグを載置部上で前後方向に動かそうとしても動かすことができないか又は抵抗感を感じるような大きさの凹部が形成されていることを特徴としている。
この構成を採用することによる作用は以下の通りである。まず、操作者はプラグをコネクタに差し込む前に、プラグを載置部に載置する。プラグの突起を載置部側に向けて載置すると、この状態でプラグを載置部表面に対して平行に移動しようとしても、突起が凹部内に収納されていて移動できない。このように移動できない場合には、突起が載置部の表面に向いている(下向き)ことが操作者は認識できる。また、プラグの突起を載置部とは反対側(上向き)にして載置部に載置すると、プラグを載置部表面に対して平行に移動させようとすると、突起が邪魔にならずにプラグはスムーズに移動する。この場合、操作者は突起が載置部と反対側(上向き)を向いていることが認識できる。
そして、筐体におけるコネクタの向きをプラグの突起が上向きの場合に挿入可能とすることで、載置部に載置したプラグをそのまま載置部の表面に対して平行にずらし、そのままコネクタへ移動させていけば、コネクタにプラグを容易に接続することができる。
【0013】
また、前記載置部は、該載置部が形成されている面と、コネクタが設けられている面との間の双方に対して傾斜した傾斜面となるように形成されていることを特徴としてもよい。
この構成によれば、プラグを載置部上で傾斜方向にずらしていくと、載置部がコネクタ方向に傾斜して形成されているので、コネクタにプラグを容易に接続することができる。
【0014】
また、前記コネクタの開口部において、前記載置部が形成されている面とは異なる面に近い側には、コネクタが設けられている側面から突出する突起部が形成されていることを特徴としてもよい。
この構成を採用することによって、プラグを載置部に載置してずらして突起の向きを確認し、プラグをコネクタ方向にずらしていった後、もしコネクタを通りすぎてしまったとしても突起部にプラグが当接するので、プラグの移動が突起部で停止し、プラグを確実にコネクタに接続することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、プラグの表と裏を間違えないようにしてコネクタへの接続が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明にかかる情報処理装置の表面の構成を示す平面図である。
図2】情報処理装置の裏面の構成を示す底面図である。
図3】情報処理装置の底面側からみた斜視図である。
図4】プラグの一例を示す説明図である。
図5】情報処理装置の下側面の正面図である。
図6図5のA−A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1に、本実施形態にかかる情報処理装置30の表面側を、図2に裏面側を示す。図3は、情報処理装置30の裏面側から見た斜視図である。
以下で説明する情報処理装置30は、視覚に障害がある人がデジタル録音図書を再生するために用いるオーディオプレーヤがその一例である。
この情報処理装置30は、角が丸く形成された薄い直方体状の筐体31を有している。
【0018】
筐体31の表面31aに操作者が操作するための機能が集約されている。
筐体31の裏面31bには電池(図示せず)を収納するための電池収納部が設けられており、電池収納部は電池カバー32によっておおわれている。
筐体31の表面から見て左側面31cには、メモリーカードが挿入されるメモリーカード挿入口37が設けられている。
また、筐体31の裏面から見て左側面31dには、各種スイッチが設けられている。この右側面31dに設けられているスイッチとしては、誤動作防止用のキーロックスイッチ、音量スイッチ等が挙げられる。
【0019】
筐体31の表面31aには、表面から見て上部側からスピーカ36、表示部34が設けられている。表示部34としては、LCD(Liquid Crystal Display)等を採用することができる。
表示部34の下部側には複数のスイッチが設けられている。これら複数のスイッチは、押しボタンスイッチである。複数の押しボタンスイッチ42〜46の中央には、円形の押しボタンスイッチ40が設けられている。円形の押しボタンスイッチの中央は、再生・停止スイッチが配置され、再生・停止スイッチの周囲4か所には、再生位置を移動するための移動スイッチが配置されている。
【0020】
筐体31の表面から見て下側面35(スピーカ36が設けられている側と反対側の側面)には、外部接続用のコネクタ50が設けられている。
本実施形態では、コネクタの種類としてマイクロUSB(Universal Serial Bus)を採用している。
【0021】
図4にマイクロUSBのプラグの斜視図を示す。
マイクロUSBは、USB規格の一種であり、プラグ60に抜け止め62が設けられている点が特徴となっている。
抜け止め62は、プラグ60のコネクタへの挿入部61の表面又は裏面のいずれか一方から突出している金属製の部材である。本実施形態の抜け止め62は、表面又は裏面の幅方向の左右両側に設けられている。そして、各抜け止め62は、挿入部61に対して上下動するように付勢されており、コネクタへ挿入した時には、コネクタの内壁に押圧されて挿入部61内に収納されるように構成されている。
本実施形態における2つの抜け止め62は、特許請求の範囲でいう突起部に該当する。
【0022】
図5に、情報処理装置の下側面からの側面図を示し、図6に、図5のA−A断面図を示す。
上述したように、筐体31の下側面35にはマイクロUSBのコネクタ50が設けられている。コネクタ50は、筐体31の下側面35のほぼ中央に設けられている。
コネクタ50とプラグ60は、プラグ60の挿入部61の断面形状と、コネクタ50の形状によって挿入の向きが決まっている。ちなみに本実施形態では、プラグ60の抜け止め62が裏面31b側に位置した時に接続可能となるように、コネクタ50が下側面35に設けられている。
【0023】
このように、コネクタ50に対して表裏逆にして(抜け止め62を表面側31aに向けて)プラグ60を挿入しようとしても挿入することができない。そこで、プラグ60の表裏の向きが正いかどうかを操作者が判断するための載置部52が筐体31に設けられている。
【0024】
本実施形態では、載置部52は裏面31bに設けられている。さらに詳細な載置部52の形成位置は、裏面31bにおいて、コネクタ50と同一位置(幅方向に同一)、すなわち幅方向から見て中央に設けられている。
載置部52は、裏面31bと下側面35との間において傾斜面として形成されている。すなわち、裏面31bの表面と下側面35の表面とは直交する位置関係にあるが、載置部52は裏面31bの表面と下側面35の表面との間を連通させる凹みとして、裏面31bの表面と下側面35の表面の両者に対して傾斜する傾斜面となっている。すなわち、操作者はプラグ60を載置した後にそのまま傾斜に沿ってスライドさせていけば、コネクタ50へプラグを誘導させることができる。
【0025】
載置部52の幅(裏面から見て左右方向の長さ)は、プラグ60の挿入部61の幅よりやや広くなっており、プラグ60の挿入部61を載置できるようになっている。
そして、載置部52には、プラグ60の挿入部61の抜け止め62を収納できる深さに凹む凹部54が形成されている。凹部54の幅(裏面から見て左右方向の長さ)は、挿入部61に設けられた2つの抜け止め62の幅よりやや広くなっており、2つの抜け止め62を収納できるように形成されている。
【0026】
また、コネクタ50の開口部において、載置部52が形成されていない表面31a側の下側面35表面には、載置部52が形成されている裏面31bからプラグ60を移動したときにプラグ60が当接してコネクタ50への挿入位置の位置決めを行う位置決め突起56が形成されている。
【0027】
位置決め突起56は、筐体31の下側面35から突出して形成されている。また、本実施形態では、コネクタ50は、正面から見ると表面31a側の辺が短く、概略五角形状に形成されている。また、コネクタ50がこのような概略五角形状に形成されているということは、プラグ60の挿入部61もこのような概略五角形状に形成されている。
したがって、位置決め突起56もコネクタ50の表面31a側の形状に合わせて、下側面35を正面から見て、底辺56aと、底辺56aの両端から左右両側の外方に斜めに立ち上がる斜辺56bとを有している。
【0028】
以下、本実施形態の情報処理装置のコネクタへのプラグの接続方法について説明する。
なお、前提として本実施形態では、コネクタ50は、プラグ60の抜け止め62が筐体31の裏面31b側を向いているときにプラグ60が接続されるように設けられている。
すなわち、プラグ60の抜け止め62を筐体31の裏面31b側に向けた状態で、コネクタ50にプラグ60が接続される。
【0029】
操作者がプラグ60を情報処理装置30のコネクタ50に差し込もうとする場合、情報処理装置30の裏面31bを上に向ける。操作者は、情報処理装置30を机上などに配置しても、手で所持していてもよい。
操作者はプラグ60を持って、プラグ60の挿入部61を、情報処理装置30の載置部52に載置する。このとき、挿入部61の平面部分を載置部52の表面に当接するようにする。
【0030】
プラグ60の挿入部61に設けられている抜け止め62が、載置部52側に向いている場合、操作者がプラグ60を載置部52上で前後方向(プラグの挿入方向に沿った方向)に動かそうとすると、抜け止め62が載置部52の凹部54内に入り込んでいるので動かすことができない(あるいは操作者が抵抗感を感じる)。
このように、載置部52上でプラグ60が移動できないことで、操作者は抜け止め62が載置部52側を向いていることを認識できる。すなわち、操作者は、プラグ60の向きが違っていることを認識できる。
【0031】
一方、プラグ60の挿入部61に設けられている抜け止め62が、載置部52側に向いておらず、上方に向いている場合には、操作者がプラグ60を載置部52上で前後方向(プラグの挿入方向に沿った方向)に動かすと何ら抵抗なく動かすことができる。このように、載置部52上でプラグ60が移動することで、操作者は抜け止め62が載置部52とは反対側を向いていることを認識できる。
【0032】
操作者は、そのままプラグ60を下側面35方向に移動させる。移動方向は、載置部52が形成されている箇所からそのまま下側面35方向(鉛直下方向)に移動させるようにしている。
プラグ60の挿入部61の先端部を下側面35に当接させつつ表面31a側に移動させていくと、挿入部61の先端部が位置決め突起56に当接するので、移動動作がここで停止する。操作者は、プラグ60が位置決め突起56へ当接することで、この位置にコネクタ50が設けられていることがわかる。そして、プラグ60の移動が停止した位置において、操作者はプラグ60をコネクタ50に差し込むことができる。
【0033】
なお、上述してきた実施形態では、載置部52は、裏面31b側に設けた構成であった。しかし、載置部52は表面31a側に形成してもよい。
また、コネクタ50を側面ではなく表面31a又は裏面31bに設け、載置部52を側面に設けてもよい。
【0034】
さらに、上述した実施形態では、載置部52に形成した凹部54にプラグ60の抜け止め62が収納されたときには、プラグ60の向きが逆であるとの認識がされる構成であった。
しかし、プラグ60の抜け止め62が載置部52の凹部54に収納され、操作者がプラグ60を動かそうとしても動かない状態のときにプラグ60の向きが正しいと認識させるように、コネクタ50の向きを構成してもよい。
【0035】
また、コネクタとプラグはマイクロUSBに限定するものではなく、プラグとコネクタとの間で表裏の向きが決まっているものであって、プラグの表裏何れかに突起が形成されているものであればよい。
【符号の説明】
【0036】
30 情報処理装置
31 筐体
31a 表面
31b 裏面
31c 左側面
31d 右側面
32 電池カバー
33 電池収納部
34 表示部
35 下側面
36 スピーカ
37 メモリーカード挿入口
40,42,43,44,45,46 押しボタンスイッチ
50 コネクタ
52 載置部
54 凹部
56 位置決め突起
56a 底辺
56b 斜辺
60 プラグ
61 挿入部
図1
図2
図3
図4
図5
図6