(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
仕切板により筐体の内部が前後二区画に区画され、前記筐体の前面区画に低発熱部品が配置され、前記筐体の背面区画に複数の高発熱部品が配置される配電盤装置において、
前記背面区画には、上部側に配置される一部の前記高発熱部品で生成される熱を、第1通風経路を介して前記筐体の外側に排出する第1ファンと、下部側に配置される他の一部の前記高発熱部品で生成される熱を、第2通風経路を介して前記筐体の外側に排出する第2ファンと、が配置され、
前記第1通風経路と前記第2通風経路とは、前記筐体の内部において完全独立した経路に形成され、
前記第1通風経路は、前記筐体の内部において通風ダクトを形成することにより形成され、
前記第2通風経路は、前記筐体の内部において前記通風ダクト以外の空間で形成され、
前記通風ダクトは、前記筐体の内部の上部側に形成され、前記第2通風経路を横断し、前記筐体の側面側から横方向に延びる横部分と、前記筐体の上面に向かって延びる縦部分と、前記横部分と前記縦部分を接続する角部分と、からなる
配電盤装置。
仕切板により筐体の内部が前後二区画に区画され、前記筐体の前面区画には、外部より入力される直流電力を交流電力に変換するインバータユニットを含む主回路を構成する主回路部品が前記仕切板に実装され、前記筐体の背面区画には、下部側に前記変換された交流電力を所望電圧の電力に変換する変圧器と前記変圧器の上部側に前記仕切板に実装され前記インバータユニットで生成される熱を伝導する放熱フィンとが配置される配電盤装置において、
前記背面区画には、前記放熱フィンにより伝導される前記インバータユニットで生成される熱を、第1通風経路を介して前記筐体の外側に排出する第1ファンと、前記変圧器で生成される熱を、第2通風経路を介して前記筐体の外側に排出する第2ファンと、が配置され、
前記第1通風経路と前記第2通風経路とは、前記筐体の内部において完全独立した経路に形成され、
前記前面区画には、前記主回路部品の動作を制御し、前記主回路から各種検出信号を取得する制御基板がさらに前記仕切板の中央部に実装され、
前記主回路部品は、電気的な流れに沿ってループ状に前記制御基板の周囲に実装されている
配電盤装置。
仕切板により筐体の内部が前後二区画に区画され、前記筐体の前面区画に低発熱部品が配置され、前記筐体の背面区画に複数の高発熱部品が配置される配電盤装置において、
前記背面区画には、上部側に配置される一部の前記高発熱部品で生成される熱を、第1通風経路を介して前記筐体の外側に排出する第1ファンと、下部側に配置される他の一部の前記高発熱部品で生成される熱を、第2通風経路を介して前記筐体の外側に排出する第2ファンと、が配置され、
前記第1通風経路と前記第2通風経路とは、前記筐体の内部において完全独立した経路に形成され、
前記第1ファンおよび前記第2ファンは、前記筐体の上面に設けられ、
前記第1通風経路内および前記第2通風経路内の空気は、前記第1ファンおよび前記第2ファンにより下側から上側に向けて強制に排出され、
前記第2ファンは、前記第1ファンよりも前記筐体の側面側に設けられ、
前記第1ファンは、排風方向が前記筐体の上面と垂直になるように設けられ、
前記第2ファンは、排風方向が前記筐体の上面と傾斜するように、前記筐体の側面方向の内側に傾けて設けられている
配電盤装置。
【背景技術】
【0002】
直流電力と交流電力とを相互変換する場合や電力の周波数を変えたい場合など、電力の変換には電力変換装置を用いる。たとえば、太陽電池パネルで発電した直流電力を三相交流負荷に供給するためには、太陽電池パネルと三相交流負荷との間にパワ−コンデイショナと称される電力変換装置を介在させる。電力変換装置は一般的に筐体内で組み立てる。組み立てた電力変換装置は配電盤装置となる。
【0003】
従来、配電盤装置は、各種電気部品を盤外で機能ブロック毎に組み立て、組み立てた機能ブロックを筐体の内部に棚構造、多層構造に組み込ことで形成する。組み込んだ機能ブロックは筐体内で配線される。筐体内部で生じる熱は、筐体の外側から取り込んだ空気を、筐体内で流通させることにより、筐体外に排出する。
【0004】
ところが、従来の配電盤装置は、その構造や組立、配線方式の関係上、筐体サイズが大型化しやすく、筐体実装時の作業効率も悪かった。また、筐体内部において、高温で大量の熱を生成するが塵埃に強い電気部品(たとえば、変圧器など)と、低温で少量の熱を生成するが塵埃に弱い電気部品(たとえば、電力変換を行う主回路部品や制御基板など)と、が混在して配置されていた。このため、筐体内部で生成される熱の排出と筐体内部の防塵対策がトレードオフの関係になり、両立させることができなかった。
【0005】
そこで、下記特許文献1では、仕切板で筐体内部を二区画に区分し、発熱及び耐塵性の異なる部品を別区画に配置することにより、筐体内部の排熱と防塵対策を両立させつつ、筐体サイズを小型化し、組立配線およびメンテナンスの利便性を向上させている。
【0006】
また、特許文献1では、背面区画に、底部に配置される発熱部品の熱がその上部に配置される他の発熱部品の冷却に影響しないように仕切りダクトを設けて自然対流を利用した自冷式電力変換装置を提案している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1記載の発明では、自然対流により発熱部品を冷却するため、その冷却効果は電力変換装置が設置される外部環境および発熱部品が発生させる自然対流の強さに左右される。
【0009】
たとえば、夏場や風の無い室内環境においては、自然対流が弱いため、筐体内部に対する放熱効果は低く、有効に発熱部品を冷却できない。また、発熱部品が高温で大量の熱を発生するほど筐体内部における空気の対流が強いが、高温で大量の熱を発生する高発熱部品の冷却には、より大量で急速な空気流動が必要となり、自然対流ではその要求を満たさない場合が多い。
【0010】
さらに、特許文献1記載の発明では、筐体の下部側に設けられた同一の吸気口から吸込んだ空気を仕切りダクトで二つの経路に分けて、上部側に配置される発熱部品を冷却している。このため、上部側に配置された発熱部品に到達するまでの空気の流通経路が長く、発熱部品に対する冷却効果がさらに弱められる。筐体内の発熱部品に対する冷却が不十分だと、発熱部品自体が誤動作することや、筐体内温度上昇により電力変換装置の電力変換効率が低くなることが有り、また、寿命が短くなるという問題がある。
【0011】
したがって、作業の利便性を考慮しながら筐体サイズを小型化しつつ、筐体内部に配置される複数の高発熱部品を効率よく冷却できる配電盤装置が求められる場合、特許文献1記載の筐体の構造および部品配置方式をそのまま採用することはできない。
【0012】
本発明は、上記のような事情に鑑みて成されたものであり、筐体内に配置される複数の高発熱部品を効率よく冷却できる配電盤装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するための本発明に係る配電盤装置は、筐体の内部に、複数の高発熱部品が配置され、第1ファンと第2ファンとを含む。第1ファンは、一部の高発熱部品で生成される熱を、第1通風経路を介して筐体の外側に排出する。第2ファンは、他の一部の高発熱部品で生成される熱を、第2通風経路を介して筐体の外側に排出する。第1通風経路と第2通風経路とは、筐体の内部において完全独立した経路に形成されている。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る配電盤装置によれば、筐体の内部において完全独立に形成された通風経路により、複数の高発熱部品を分けて冷却する。異なる通風経路内を流れる空気が互いに遮断されるため、一方の通風経路内の高発熱部品で生成される熱が他方の通風経路内の高発熱部品の冷却にほぼ影響を与えない。したがって、複数の高発熱部品を効率よく冷却できる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本実施形態に係る配電盤装置の構成および動作について詳細に説明する。本実施形態に係る配電盤装置は、太陽電池パネルで発電した直流電力を交流電力に変換して、三相交流負荷に供給したり商用電源に連系したりするための電力変換装置である。
【0017】
(電力変換装置の構成)
図1は、電力変換装置の構成を示す右側面図であり、
図2は、電力変換装置の構成を示す正面図である。
図3は、電力変換装置の構成を示す背面図であり、
図4は、電力変換装置の外観図である。
【0018】
図1〜4に示すように、電力変換装置1は、電力変換用電気部品2、放熱フィン3、仕切板4、通風ダクト形成部材5、ファン6およびファン7を有する。これらの部品は、筐体8に収容され、筐体型の電力変換装置1を構成する。
【0019】
筐体8は、正面板81、ベース82、天井板83、右側面板84、左側面板85および背面板86により六面が囲まれる直方体の形状を有する。
【0020】
電力変換用電気部品2は、電力変換装置1の電力変換機能を実現する。電力変換用電気部品2は、たとえば、主回路部品21、制御基板22、変圧器23、交流用コンデンサー24および平滑電解コンデンサー25などの電気部品を含む。また、電力変換用電気部品2は、上記以外のその他の部品を含むことができる。
【0021】
主回路部品21は、外部から入力される直流電力を交流電力に変換して外部に出力する主回路を構成する。主回路部品21は、たとえば、インバータユニット211、直流電力入力端子212、遮断器213および214、交流電力出力端子215およびその他の各種計器を含む。これらの主回路部品21は、電気的な流れに沿って配線により互いに接続される。
【0022】
インバータユニット211は、直流電力を交流電力に変換する。インバータユニット211は、たとえば、直流電力を交流電力に変換するIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)素子を有する。インバータユニット211は、直流電力を交流電力に変換する際、高温で大量の熱を発生する。
【0023】
直流電力入力端子212は、外部からの直流電力を主回路に接続する。直流電力入力端子212は、たとえば、
図2に示すようなN端子、P端子を有する。交流電力出力端子215は、主回路により変換された交流電力を外部に出力する。交流電力出力端子215は、たとえば、
図2に示すようなR端子、S端子、T端子を有する。
【0024】
遮断器213は、直流電力入力端子212を介して入力された直流電流のインバータユニット211への入力を遮断できる。遮断器214は、交流電力出力端子215を介してインバータユニット211により変換された交流電力の外部への出力を遮断できる。これらの電気部品は、動作時にインバータユニット211よりも低温で少量の熱を発生する。
【0025】
制御基板22は、主回路部品21の動作を制御し、主回路から各種検出信号を取得する。制御基板22は、必要に応じて複数あっても良い。制御基板22間および制御基板22と主回路部品21との間は、配線により接続される。制御基板22は、動作時にインバータユニット211よりも低温で少量の熱を生成する。
【0026】
変圧器23は、インバータユニット211により変換される交流電力の電圧を所望の電圧に変換する。変圧器23は、電圧を変換する際、インバータユニット211と同様に、高温で大量の熱を発生する。
【0027】
交流用コンデンサー24および平滑電解コンデンサー25は、主回路上の電圧を安定させノイズを除去する機能を有する。これらのコンデンサーは、動作時にインバータユニット211ほど高温で大量の熱を発生しないが、その他の主回路部品21や制御基板22よりも多くの熱を発生する。また、これらのコンデンサーは、温度の上昇により部品自体の寿命が短縮されやすい。
【0028】
放熱フィン3は、インバータユニット211に接続され、インバータユニット211で生成される熱を筐体8の内部に放出する。放熱フィン3は、放熱性能を上げるために表面積を広くするため複数のフィンを有する。
【0029】
仕切板4は、主回路部品21、制御基板22、放熱フィン3および平滑電解コンデンサー25を実装する。仕切板4は、正面板81および背面板86と平行し、下部通風口を確保して筐体8の奥行き中ほどに全面に配置される。仕切板4は、筐体8の内部を、前面区画FDと背面区画BDとの前後二区画に区画する。仕切板4には、さらに複数の穴が開口され、各種部品は、上記穴を用いて取付けることで仕切板4に実装できる。仕切板4は、断熱材料で形成されることが好ましい。
【0030】
通風ダクト形成部材5は、仕切板4と共同で両端に開口部を有する密閉された"L"字状の通風ダクト50を形成する。"L"字状の通風ダクト50は、横部分51、縦部分52および角部分53からなる。横部分51は、筐体8の側面側の開口部から仕切板4に向けて開口面積が徐々に減少する横置きの漏斗状に形成される。縦部分52は、放熱フィン3の奥行きと同じかやや大きめの幅を有し、天井板83に上部開口を有するように、仕切板4と平行に形成される。角部分53は、横部分51と縦部分52とが直角に接続するように形成される。通風ダクト形成部材5は、断熱材料であることが好ましい。
【0031】
ファン6は、通風ダクト50の縦部分52の上部開口にフィットして、排風方向が天井板83と垂直になるように配置される。ファン6は、通風ダクト50内部の空気を積極的に流動させ、筐体8の外側に排出する。ファン6は、通風ダクト50内部に配置される発熱部品を効果的に冷却できる。
図1ではファン6は1台であるが複数あってもよい。
【0032】
ファン7は、筐体8の側面方向の内側に傾けて、排風方向が天井板83に対して傾斜するように天井板83に配置される。ファン7は、通風ダクト50の内部以外の筐体8内部の空気を積極的に流動させ、筐体8の外側に排出する。ファン7は、通風ダクト50の内部以外の筐体8内部に配置される発熱部品を効果的に冷却できる。
図1ではファン7は1台であるが複数あってもよい。
【0033】
また、
図4に示すように、筐体8の正面板81は、扉開閉式になっており、ハンドル91や表示部開口92および第1下部吸気口93が設けられている。また、背面板86は、二枚の背面板861および862からなることもでき、それぞれの背面板861、862に上部吸気口94、第2下部吸気口95が開口される。
【0034】
以上のように構成される電力変換装置1は、電力変換用電気部品2により、外部より入力される直流電力を所望電圧の交流電力に変換して外部へ出力する。電力変換する際、筐体8の内部に放出されるインバータユニット211および変圧器23などにより生成される高温で大量の熱は、ファン6およびファン7により筐体8の外側に排出される。
【0035】
(筐体内各種部品の配置)
筐体8内部に収容される各種部品は、筐体8の内部の温度を上昇させる放熱程度に応じて、それぞれ仕切板4により区画された前面区画FDまたは背面区画BDに配置される。具体的には、筐体8の内部の温度をほぼ上昇させない放熱程度が低い低発熱部品は、前面区画FDに配置され、筐体8の内部の温度を上昇させる放熱程度が低発熱部品よりも高い高発熱部品は、背面区画BDに配置される。
【0036】
図1、2に示すように、主回路部品21、制御基板22は、低発熱部品として、仕切板4に実装されて前面区画FDに配置される。ここで、高温で大量の熱を生成するインバータユニット211も前面区画FDに配置されるが、インバータユニット211で生成される熱は、放熱フィン3を介して筐体8の内部に放出される。このため、インバータユニット211自体は、筐体8の内部において低発熱部品として取り扱われても構わない。
【0037】
一方、
図1、3に示すように、変圧器23、交流用コンデンサー24、平滑電解コンデンサー25および放熱フィン3は、高発熱部品として、背面区画BDに配置される。変圧器23は、ベース82上に配置され、交流用コンデンサー24は、変圧器23の上方に支持具により支持されて配置される。放熱フィン3は、インバータユニット211に接続された状態で仕切板4を貫通して配置される。平滑電解コンデンサー25は、仕切板4に実装されて放熱フィン3の下側に配置される。
【0038】
このように、前面区画FDには、低発熱部品のみが配置され、背面区画BDには、高発熱部品が配置される。低発熱部品は、直接筐体8の内部の温度を上昇させる発熱源ではないため、通常、自然空冷による冷却でも十分で、積極的に冷却する必要はない。一方、高発熱部品は、直接筐体8の内部の温度を上昇させる発熱源であるため、自然空冷による冷却だけでは不十分の場合が多く、積極的に冷却する必要がある。
【0039】
このため、電力変換装置1では、背面区画BDにファン6およびファン7を配置することにより、積極的に空気を流動させて高発熱部品を放熱する。したがって、前面区画FDでは、積極的な空気流動が少なく、当該前面区画FDに配置される部品に対する防塵性が向上され、背面区画BDでは、積極的な空気流動により、当該背面区画BDに配置される部品に対する冷却効果が向上される。
【0040】
(主回路部品の配置)
主回路部品21は、
図2の矢印で示すように、電力変換装置1の稼働時の電気的な流れに沿って、左下部、上部、右下部の順に制御基板22の周囲に実装される。制御基板22は、仕切板4の中央部に実装され、制御基板22と配線接続する主回路部品21は、電気的な流れでループ状に仕切板4に実装される。すなわち、仕切板4の前面区画FD側の面において、制御基板22および主回路部品21は、互いに配線が最少で最短となるように配置される。
【0041】
したがって、制御基板22間、主回路部品21間および制御基板22と直接接続する主回路部品21との間の配線の長さに起因するノイズが低減でき、各種電気部品の誤動作を抑制でき、電力変換装置1の動作の安定性が保たれる。また、全体の配線本数が少ないので、筐体8の実装時の配線作業量を大幅に減らすことができ、配線保持具を削減できる。さらに、仕切板4に実装される各種電気部品は平面配置となるため、故障時や保守時の部品交換が容易になる。
【0042】
(通風経路の形成)
図1、3に示すように、背面区画BDにおいて、高発熱部品は上下位置関係を有しながら配置される。上部側には、放熱フィン3および平滑電解コンデンサー25が配置され、下部側には、変圧器23および交流用コンデンサー24が配置される。全ての高発熱部品を同一の通風経路により冷却すると、通風経路の上流側に位置する高発熱部品により生成される熱が、下流側に位置する高発熱部品の冷却に影響を与える。たとえば、変圧器23により生成される熱は、放熱フィン3の冷却を阻害する。
【0043】
このように、異なる位置に配置される高発熱部品を効率的に冷却するために、背面区画BDに形成される通風経路に関しては、次のような工夫を凝らしている。
【0044】
図1に示すように、通風ダクト形成部材5により形成される通風ダクト50は、縦部分52内に放熱フィン3が位置され、角部分53内に平滑電解コンデンサー25が位置されるように配置される。このように形成される通風ダクト50により、筐体8の内部には、高発熱部品を冷却するための通風経路として、完全独立した二つの通風経路54および通風経路55が形成される。
【0045】
通風経路54は、背面板86の上部吸気口94と、ファン6と、を通風ダクト50により接続した経路で、通風ダクト50内に配置された放熱フィン3および平滑電解コンデンサー25を冷却するための経路である。
【0046】
通風経路55は、正面板81の第1下部吸気口93および背面板86の第2下部吸気口95と、ファン7と、を接続した経路で、通風ダクト50の内部以外に配置された変圧器23および交流用コンデンサー24を冷却するための経路である。
【0047】
このように、上部側に位置する高発熱部品と、下部側に位置する高発熱部品とを、完全独立した通風経路54および通風経路55介して、それぞれファン6およびファン7により冷却するため、全ての高発熱部品に対する冷却効果が向上される。
【0048】
(電力変換装置の動作)
電力変換装置1に電源が投入され、図示しない太陽電池パネルから直流電力が
図2に示すN端子、P端子に入力されると、インバータユニット211は、当該直流電力を交流電力に変換する。そして、変換された交流電力は、変圧器23により所望の電圧に変換されて
図2に示すR端子、S端子、T端子を介して外部に出力される。
【0049】
このように電力変換装置1が稼働する際、インバータユニット211および変圧器23は、筐体8の内部において、主な発熱源となる。また、電力変換装置1が変換可能な電力の幅が大きければ大きいほど、インバータユニット211および変圧器23は、大量な熱を発生する。
【0050】
インバータユニット211で生成される熱は、放熱フィン3により背面区画BDに放出される。なお、交流用コンデンサー24および平滑電解コンデンサー25も筐体8の内部に一部熱を放出する。このため、電力変換装置1では、主回路が動作する際には、ファン6およびファン7にも電源が投入され、筐体8の内部で生成される熱を筐体8の外側に排出する。
【0051】
図5は、筐体8の内部における空気の流動方向を示す図である。黒矢印は、通風経路54を介した空気の流動方向を示し、白矢印は、通風経路55を介した空気の流動方向を示す。
【0052】
図5に示すように、通風経路54内の空気は、ファン6の回転により、背面板86の上部吸気口94から背面区画BDに形成された通風ダクト50に吸込まれる。吸込まれた空気は、通風ダクト50に沿ってファン6に向かって流れ、通風ダクト50内に配置された平滑電解コンデンサー25および放熱フィン3と熱交換する。そして、平滑電解コンデンサー25および放熱フィン3と熱交換して暖められた空気がファン6により天井から筐体8の外側に排出する。
【0053】
他方、通風経路55内の空気は、ファン7の回転により、正面板81の第1下部吸気口93および背面板86の第2下部吸気口95から筐体8の背面区画BDに吸込まれる。第1下部吸気口93から吸込まれた空気は、前面区画FDを通りぬき、仕切板4の下部通風口をくぐって背面区画BDに流れ、第2下部吸気口95から吸込まれた空気は、直接背面区画BDに流れる。
【0054】
背面区画BDに流れ込む空気は、筐体8の下部側から上部側にファン7を向かって流れ、背面区画BDの下部側に配置された変圧器23および交流用コンデンサー24と熱交換する。そして、変圧器23および交流用コンデンサー24と熱交換して暖められる空気が上昇され、ファン7により天井から筐体8の外側に排出する。
【0055】
ここで、
図5に示すように、交流用コンデンサー24の上部空間には、通風経路54を形成する通風ダクト50の横部分51が横断されている。したがって、変圧器23および交流用コンデンサー24の上部空間における通風経路55内の空気は、通風ダクト50の両側の通路空間を通って、ファン7に向かって流れる。
【0056】
上述したように、通風経路54と通風経路55とは、筐体8の内部において完全独立した経路である。このため、通風経路54内に流れる空気と、通風経路55内に流れる空気とは、互いに熱の影響を与えにくい。
【0057】
したがって、通風経路55内の空気が、高発熱部品である変圧器23および交流用コンデンサー24と熱交換して暖められたとしても、当該暖められた空気は、第1通風経路内の空気とは熱交換されにくい。このため、通風経路55内の空気は、通風経路54内に位置される高発熱部品である放熱フィン3および平滑コンデンサー25に対する冷却に影響を与えにくい。すなわち、変圧器23および交流用コンデンサー24に対しても、その上側に配置された放熱フィン3および平滑コンデンサー25に対しても、効率よく冷却できる。
【0058】
また、
図5に示すように、通風経路54内の空気は、開口面積が広い通風経路部分から開口面積が狭い通風経路部分へ流れる。このため、開口面積が狭い経路部分で空気流速が速くなり、冷却効果がさらに向上される。
【0059】
なお、
図5に示すように、通風経路55内の空気は、ファン7に近づくにつれて、空気の流動方向を示す白矢印の指向は、背面板86側に偏る。このため、通風経路55における通風経路54の垂直経路部分の近辺の空間に、変圧器23および交流用コンデンサー24と熱交換して暖められた空気が通ることが抑制される。したがって、通風経路54を形成する通風ダクト50が、断熱材料により形成されなくても、通風経路55内の空気と通風経路54内の空気との熱交換をさらに抑制できる。さらに、電力変換装置1が屋内設置され、背面スペースおよび天井スペースが最小であるとき、ファン7により排出される暖められた空気が背面板86の上部吸気口94に循環してしまうことを防止できる。
【0060】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、これらは本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をこれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で、上記実施形態とは異なる種々の態様で実施することができる。