【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のある局面は、バッテリを充電するようにされた任意のシステムであればよいバッテリ充電ステーションのためのモジュラーコンバータに関する。たとえば、このバッテリ充電ステーションまたはシステムは、車両のバッテリ、特に、電気またはハイブリッド車両の駆動装置用の電気エネルギを蓄えるのに使用されるバッテリを充電するようにされたものである。
【0010】
本発明のある実施の形態に従うと、モジュラーコンバータは、電気的に並列接続された少なくとも2つまたは複数の充電モジュールを備える。充電モジュールは各々、バッテリ、たとえば車両のバッテリを充電するための(ローカル)出力電流を生成するようにされたものである。充電モジュールが並列接続されているので、ローカル出力電流が合算されてグローバル充電電流になるようにしてもよい。モジュラー方式の使用によって、コンバータのメンテナンスをより簡単に行なうことができ、充電の効率を高めることができる。
【0011】
本発明のある実施の形態に従うと、各充電モジュールは、充電モジュールを制御するため、特にそれぞれの充電モジュールの出力電流を制御するためのローカルコントローラを備える。たとえば、ローカルコントローラは、出力電流の基準値に基づいて充電モジュールのインバータをPWM変調するようにされたものであってもよい。
【0012】
本発明のある実施の形態に従うと、充電モジュールの各ローカルコントローラは、グローバル充電電流を求めるようにされ、かつ、求めたグローバル充電電流から(ローカルコントローラに関連する)それぞれの充電モジュールの出力電流を求めるようにされている。たとえば、すべてのローカルコントローラが、すべてのモジュールの出力電流を決定する同一のアルゴリズムを実行してもよい。
【0013】
特に中央コントローラなしで、充電モジュールのすべてのローカルコントローラが関連する充電モジュールの出力電流(基準)をグローバル充電電流(基準)から直接求めるようにされていることが、本発明の中心であることがわかるであろう。中央コントローラの計算知能は充電モジュールのローカルコントローラに分散し得る。このようにして、ローカルコントローラを完全にまたは少なくとも部分的に自律的なものにすることができる。
【0014】
本発明のある実施の形態に従うと、各ローカルコントローラは、コンバータの出力ラインで測定された充電電圧値を受けるようにされている。たとえば、コンバータの出力ラインで、充電電圧またはバッテリ電圧を、測定された値をすべてのローカルコントローラに送る測定装置を用いて測定してもよい。したがって、すべてのローカルコントローラは、グローバル出力または充電電流を局所的に求めるようにされている。
【0015】
本発明のある実施の形態に従うと、各ローカルコントローラは、充電電圧値からグローバル充電電流を求めるようにされている。たとえば、充電電圧と充電電流の関数関係をローカルコントローラによって評価してもよい。さらに、各ローカルコントローラに、充電電圧と充電電流を相互に関連付ける充電プロファイルを格納してもよい。各ローカルコントローラは、充電プロファイルから充電電流を求めるようにされていてもよい。
【0016】
本発明のある実施の形態に従うと、各ローカルコントローラは電圧および/または電流情報をバッテリから受けるようにされ、および/または各ローカルコントローラはバッテリからの電圧および/または電流情報から出力電流を求めるようにされている。ローカルコントローラに格納された充電プロファイルの代わりに、バッテリから直接受けた情報から出力電流を求めてもよい。たとえば、最大電圧値をバッテリから受け、測定された充電電圧値と比較することによってグローバル充電電流を求めてもよい。
【0017】
本発明のある実施の形態に従うと、ローカルコントローラは同様に設計されている。たとえば、ローカルコントローラは、同様に設計されたマイクロプロセッサを備えかつ同一のソフトウェアを格納していてもよい。充電モジュールが同様に設計されていない場合、たとえば、異なる最大出力電流を有し得る場合、動作パラメータ(たとえばそれぞれの充電モジュールの最大出力)のみをローカルコントローラに適応させてもよい。
【0018】
本発明のある実施の形態に従うと、充電モジュールは同様に設計されている。また、充電モジュールは同一の設計、特に同一の出力電力を有するものであってもよい。
【0019】
本発明のある実施の形態に従うと、充電モジュールのローカルコントローラは充電モジュールに機械的に装着されている。たとえば、ローカルコントローラを、関連する充電モジュールと同一の基板上に配置してもよく、および/または関連する充電モジュールの筐体内に配置してもよい。このようにして、充電モジュールをそのローカルコントローラとともに交換することができる。
【0020】
本発明のある実施の形態に従うと、ローカルコントローラは通信可能となるように相互接続されている。たとえば、モジュラーコンバータは通信システムまたは通信ラインを備え、これを介してローカルコントローラはデータをやり取りすることができる。たとえば、ローカルコントローラをリング構造で接続してもよい。特に、ローカルコントローラを、ローカルコントローラ間のマスタスレーブまたは階層の区別なしで接続してもよい。
【0021】
本発明のある実施の形態に従うと、ローカルコントローラは、出力電流の基準値を互いにやり取りするようにされている。よって、ローカルコントローラのうちの1つが、別のローカルコントローラの出力電流を求めてもよく、および/またはローカルコントローラが、これらローカルコントローラのローカル計算値間に相違があるか否か検証してもよい。
【0022】
本発明のさらなる局面は、たとえば車両のバッテリを充電するためのバッテリ充電ステーションまたはバッテリ充電システムに関する。
【0023】
本発明のある実施の形態に従うと、バッテリ充電ステーションは、送電網への接続と、バッテリとの相互接続のための少なくとも1つの接続と、送電網からの電流をバッテリを充電するための電流に変換するためのコンバータとを備える。ガソリンスタンドに匹敵し得るこのような充電ステーションにおいて、電気またはハイブリッド車両を充電することができる、すなわち、バッテリ充電ステーションは車両充電ステーションであってもよい。
【0024】
本発明のさらなる局面は、モジュラーコンバータ、特に、先に説明し以下で説明するモジュラーコンバータを用いてバッテリを充電する方法に関する。
【0025】
本発明のある実施の形態に従うと、この方法は、バッテリを充電するためのグローバル電流を第1のローカルコントローラおよび第2のローカルコントローラによって求めるステップと、第1の充電モジュールのための第1の出力電流を第1のローカルコントローラによってグローバル電流に基づいて計算するステップと、第1の充電モジュールが第1の出力電流を生成するように第1の充電モジュールを第1のローカルコントローラによって制御するステップと、第2の充電モジュールのための第2の出力電流を第2のローカルコントローラによってグローバル電流に基づいて計算するステップと、第2の充電モジュールが第2の出力電流を生成するように第2の充電モジュールを第2のローカルコントローラによって制御するステップとを含む。言い換えると、充電モジュールの出力電流をローカルコントローラによって局所的に計算してもよい。
【0026】
本発明のある実施の形態に従うと、グローバル電流は、第1のローカルコントローラまたは第2のローカルコントローラによって求めることもできる。この場合、グローバル電流は第1のローカルコントローラによってのみ求められ第1のローカルコントローラはグローバル電流(基準値)を第2のローカルコントローラに送ればよい。
【0027】
本発明のある実施の形態に従うと、第1の出力電流は第1のローカルコントローラから第2のローカルコントローラに送られ、第2の出力電流は第2のローカルコントローラにおいて第1の出力電流に基づいて計算される。このように、ローカルコントローラをリング状トポロジーで接続してもよく、後続のローカルコントローラは各々、その出力電流を、前のローカルコントローラから受けた情報に基づいて(局所的に)求める。
【0028】
本発明のある実施の形態に従うと、充電モジュールの出力電流は、グローバル電流をモジュラーコンバータの充電モジュールの数で割ることによって計算される。これは、充電モジュールが同一の出力電力を生成するようにされている場合および/またはすべての充電モジュールが同一の効率を有している場合に、可能であろう。
【0029】
本発明のある実施の形態に従うと、出力電流は、充電モジュールの損失が最小にされるように最適化される。ローカルコントローラは、充電モジュールの効率および/または最大出力電力に関する知識を有していてもよく、出力電流をこれらの値に対して最適化してもよい。たとえば、すべてのローカルコントローラは、関連する充電モジュールの効率および/または最大出力電力を記憶してもよい。これらの値はローカルコントローラ間で通信システムを介してやり取りされてもよい。このような最適負荷分散アルゴリズムは、すべての充電モジュールの調和した自律的動作を可能にし、バッテリ充電ステーションの全体的な正しい動作を可能にし得る。
【0030】
本発明のある実施の形態に従うと、出力電流は、出力電流における電流リップルが最適化されるように、たとえば最小にされるように、最適化される。たとえば、出力電流を、特定の出力電流における所望の電流リップルが得られるように最適化してもよく、これはバッテリの寿命を延ばすのに役立つであろう。
【0031】
本発明のある実施の形態に従うと、グローバル電流は、バッテリが放電しバッテリをエネルギ蓄積部として使用できるよう、負になるように求められる。充電ステーションでは、バッテリが充電ステーションに接続されている限り、バッテリを中間エネルギ蓄積部として使用し得ることに注意する必要がある。たとえば、バッテリを、充電ステーションが接続されている送電網をサポートするために使用してもよい。この場合、バッテリに蓄積されている電力はバッテリから充電ステーションに流れ、グローバル充電電流は負である。また、バッテリの放電をローカルコントローラによって制御してもよい。
【0032】
先に説明し以下で説明する方法の特徴が、先に説明し以下で説明するシステムの特徴となり得ることを、理解する必要がある。特に、モジュラーコンバータのローカルコントローラは、先に説明し以下で説明する方法を実行するようにされていてもよい。
【0033】
本発明の上記およびその他の局面は、これから説明する実施の形態から明らかであり明確になるであろう。
【0034】
本発明の主題を、添付の図面に示される代表的な実施の形態を参照する以下の本文においてより詳細に説明する。