特許第6074441号(P6074441)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6074441バッテリ充電ステーションのためのコンバータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6074441
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】バッテリ充電ステーションのためのコンバータ
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20170123BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20170123BHJP
   B60L 11/18 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
   H02J7/02 B
   H02J7/00 P
   B60L11/18 C
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-555149(P2014-555149)
(86)(22)【出願日】2013年1月22日
(65)【公表番号】特表2015-508275(P2015-508275A)
(43)【公表日】2015年3月16日
(86)【国際出願番号】EP2013051151
(87)【国際公開番号】WO2013117425
(87)【国際公開日】20130815
【審査請求日】2015年7月31日
(31)【優先権主張番号】12154014.0
(32)【優先日】2012年2月6日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508346767
【氏名又は名称】アーベーベー・テクノロジー・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アゲラー,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】カナレス,フランシスコ
(72)【発明者】
【氏名】パパフォティオウ,ゲオルギオス
(72)【発明者】
【氏名】リ,ティン・ホ
(72)【発明者】
【氏名】アペルドールン,オスカー
【審査官】 緑川 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−176959(JP,A)
【文献】 特開2009−165247(JP,A)
【文献】 特開2006−311798(JP,A)
【文献】 特開2011−130647(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00−7/12,7/34−7/36
B60L 11/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリ充電ステーション(10)のためのモジュラーコンバータ(12)であって、
前記モジュラーコンバータ(12)は並列接続された少なくとも2つの充電モジュール(30a,30b,30c)を備え、前記充電モジュール(30a,30b,30c)は各々、バッテリ(20)を充電するための出力電流(I,I,I)を生成するようにされており、
各充電モジュール(30a,30b,30c)は、前記充電モジュール(30a,30b,30c)を制御するためのローカルコントローラ(32a,32b,32c)を備え、
充電モジュール(30a,30b,30c)の各ローカルコントローラ(32a,32b,32c)は、グローバル充電電流(I)を求めるようにされ、かつ、前記グローバル充電電流(I)から前記充電モジュール(30a,30b,30c)の出力電流(I,I,I)を求めるようにされている、モジュラーコンバータ(12)。
【請求項2】
各ローカルコントローラ(32a,32b,32c)は、前記モジュラーコンバータ(12)の出力ライン(16)で測定された充電電圧値を受けるようにされており、
各ローカルコントローラ(32a,32b,32c)は、前記充電電圧値から前記グローバル充電電流(I)を求めるようにされている、請求項1に記載のモジュラーコンバータ(12)。
【請求項3】
前記ローカルコントローラ(32a,32b,32c)は同様に設計されている、請求項1〜のうちの一項に記載のモジュラーコンバータ(12)。
【請求項4】
前記充電モジュール(30a,30b,30c)は同様に設計されている、請求項1〜のうちの一項に記載のモジュラーコンバータ(12)。
【請求項5】
充電モジュール(30a,30b,30c)のローカルコントローラ(32a,32b,32c)は、前記充電モジュールに機械的に装着されている、請求項1〜のうちの一項に記載のモジュラーコンバータ(12)。
【請求項6】
前記ローカルコントローラ(32a,32b,32c)は互いに通信可能となるように相互接続されている、請求項1〜のうちの一項に記載のモジュラーコンバータ(12)。
【請求項7】
前記ローカルコントローラ(32a,32b,32c)は出力電流を互いにやり取りするようにされている、請求項1〜のうちの一項に記載のモジュラーコンバータ(12)。
【請求項8】
送電網への接続(14)と、
バッテリ(20)との相互接続のための少なくとも1つの接続(22)と、
前記送電網からの電流を前記バッテリ(20)を充電するための充電電流(I)に変換するための、請求項1〜のうちの一項に記載のモジュラーコンバータ(12)とを備える、バッテリ充電ステーション(10)。
【請求項9】
前記バッテリ充電ステーションは車両充電ステーションである、請求項に記載のバッテリ充電ステーション(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明はバッテリ蓄電用途の分野に関する。特に、本発明は、バッテリ充電ステーションのためのモジュラーコンバータ、バッテリ充電ステーション、およびバッテリの充電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
輸送部門がハイブリッド車両または完全に電動の車両の形で電化されると、こういった車両用のバッテリ充電ステーションの需要が増すことになる。このような充電ステーションでは、車両の駆動装置に電力を供給するのに使用されるバッテリまたは蓄電池を、大規模な送電網から得た電気エネルギで充電する場合がある。
【0003】
バッテリの充電は従来、数時間以内というように時間がかかるものである。しかしながら、新たな高速充電アルゴリズムと新たな電力電子変換器の開発が、バッテリを約20分以内で充電することを可能にしている。しかしながら、このような高速充電アルゴリズムは、使用する電気変換器の損失が大きいことによって充電の効率を低下させる場合がある。
【0004】
たとえばE−モビリティの用途のための一般的なバッテリ充電の効率を高めるために、バッテリに供給すべき充電電流の一部を各々が生成する複数の充電モジュールを含むモジュラーコンバータが提案されている。
【0005】
US2004/0189251A1では、充電モジュールの制御用のマスタスレーブ構成が提案されている。バッテリ電圧の測定値は、バッテリ充電情報も格納される中央(マスタ)コントローラに与えられる。次にモジュールのための電流基準値の計算が中央で行なわれ、個々のモジュール各々の電流の基準値に関する情報は、個々の充電モジュールの動作を担当するローカル(スレーブ)コントローラに伝えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発明の説明
しかしながら、コンバータのコントローラのマスタスレーブ構成では、コンバータの充電モジュールの交換が複雑な場合がある。なぜなら、それぞれの充電モジュールを交換しなければならないだけでなく、異なる動作パラメータを有し得る新たな充電モジュールに中央コントローラを適応させる必要があるからである。
【0007】
本発明の目的は、バッテリ充電ステーションの設計およびメンテナンスを簡略化することである。
【0008】
この目的は独立請求項の主題によって達成される。さらなる代表的な実施の形態は従属請求項および以下の説明から明らかである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のある局面は、バッテリを充電するようにされた任意のシステムであればよいバッテリ充電ステーションのためのモジュラーコンバータに関する。たとえば、このバッテリ充電ステーションまたはシステムは、車両のバッテリ、特に、電気またはハイブリッド車両の駆動装置用の電気エネルギを蓄えるのに使用されるバッテリを充電するようにされたものである。
【0010】
本発明のある実施の形態に従うと、モジュラーコンバータは、電気的に並列接続された少なくとも2つまたは複数の充電モジュールを備える。充電モジュールは各々、バッテリ、たとえば車両のバッテリを充電するための(ローカル)出力電流を生成するようにされたものである。充電モジュールが並列接続されているので、ローカル出力電流が合算されてグローバル充電電流になるようにしてもよい。モジュラー方式の使用によって、コンバータのメンテナンスをより簡単に行なうことができ、充電の効率を高めることができる。
【0011】
本発明のある実施の形態に従うと、各充電モジュールは、充電モジュールを制御するため、特にそれぞれの充電モジュールの出力電流を制御するためのローカルコントローラを備える。たとえば、ローカルコントローラは、出力電流の基準値に基づいて充電モジュールのインバータをPWM変調するようにされたものであってもよい。
【0012】
本発明のある実施の形態に従うと、充電モジュールの各ローカルコントローラは、グローバル充電電流を求めるようにされ、かつ、求めたグローバル充電電流から(ローカルコントローラに関連する)それぞれの充電モジュールの出力電流を求めるようにされている。たとえば、すべてのローカルコントローラが、すべてのモジュールの出力電流を決定する同一のアルゴリズムを実行してもよい。
【0013】
特に中央コントローラなしで、充電モジュールのすべてのローカルコントローラが関連する充電モジュールの出力電流(基準)をグローバル充電電流(基準)から直接求めるようにされていることが、本発明の中心であることがわかるであろう。中央コントローラの計算知能は充電モジュールのローカルコントローラに分散し得る。このようにして、ローカルコントローラを完全にまたは少なくとも部分的に自律的なものにすることができる。
【0014】
本発明のある実施の形態に従うと、各ローカルコントローラは、コンバータの出力ラインで測定された充電電圧値を受けるようにされている。たとえば、コンバータの出力ラインで、充電電圧またはバッテリ電圧を、測定された値をすべてのローカルコントローラに送る測定装置を用いて測定してもよい。したがって、すべてのローカルコントローラは、グローバル出力または充電電流を局所的に求めるようにされている。
【0015】
本発明のある実施の形態に従うと、各ローカルコントローラは、充電電圧値からグローバル充電電流を求めるようにされている。たとえば、充電電圧と充電電流の関数関係をローカルコントローラによって評価してもよい。さらに、各ローカルコントローラに、充電電圧と充電電流を相互に関連付ける充電プロファイルを格納してもよい。各ローカルコントローラは、充電プロファイルから充電電流を求めるようにされていてもよい。
【0016】
本発明のある実施の形態に従うと、各ローカルコントローラは電圧および/または電流情報をバッテリから受けるようにされ、および/または各ローカルコントローラはバッテリからの電圧および/または電流情報から出力電流を求めるようにされている。ローカルコントローラに格納された充電プロファイルの代わりに、バッテリから直接受けた情報から出力電流を求めてもよい。たとえば、最大電圧値をバッテリから受け、測定された充電電圧値と比較することによってグローバル充電電流を求めてもよい。
【0017】
本発明のある実施の形態に従うと、ローカルコントローラは同様に設計されている。たとえば、ローカルコントローラは、同様に設計されたマイクロプロセッサを備えかつ同一のソフトウェアを格納していてもよい。充電モジュールが同様に設計されていない場合、たとえば、異なる最大出力電流を有し得る場合、動作パラメータ(たとえばそれぞれの充電モジュールの最大出力)のみをローカルコントローラに適応させてもよい。
【0018】
本発明のある実施の形態に従うと、充電モジュールは同様に設計されている。また、充電モジュールは同一の設計、特に同一の出力電力を有するものであってもよい。
【0019】
本発明のある実施の形態に従うと、充電モジュールのローカルコントローラは充電モジュールに機械的に装着されている。たとえば、ローカルコントローラを、関連する充電モジュールと同一の基板上に配置してもよく、および/または関連する充電モジュールの筐体内に配置してもよい。このようにして、充電モジュールをそのローカルコントローラとともに交換することができる。
【0020】
本発明のある実施の形態に従うと、ローカルコントローラは通信可能となるように相互接続されている。たとえば、モジュラーコンバータは通信システムまたは通信ラインを備え、これを介してローカルコントローラはデータをやり取りすることができる。たとえば、ローカルコントローラをリング構造で接続してもよい。特に、ローカルコントローラを、ローカルコントローラ間のマスタスレーブまたは階層の区別なしで接続してもよい。
【0021】
本発明のある実施の形態に従うと、ローカルコントローラは、出力電流の基準値を互いにやり取りするようにされている。よって、ローカルコントローラのうちの1つが、別のローカルコントローラの出力電流を求めてもよく、および/またはローカルコントローラが、これらローカルコントローラのローカル計算値間に相違があるか否か検証してもよい。
【0022】
本発明のさらなる局面は、たとえば車両のバッテリを充電するためのバッテリ充電ステーションまたはバッテリ充電システムに関する。
【0023】
本発明のある実施の形態に従うと、バッテリ充電ステーションは、送電網への接続と、バッテリとの相互接続のための少なくとも1つの接続と、送電網からの電流をバッテリを充電するための電流に変換するためのコンバータとを備える。ガソリンスタンドに匹敵し得るこのような充電ステーションにおいて、電気またはハイブリッド車両を充電することができる、すなわち、バッテリ充電ステーションは車両充電ステーションであってもよい。
【0024】
本発明のさらなる局面は、モジュラーコンバータ、特に、先に説明し以下で説明するモジュラーコンバータを用いてバッテリを充電する方法に関する。
【0025】
本発明のある実施の形態に従うと、この方法は、バッテリを充電するためのグローバル電流を第1のローカルコントローラおよび第2のローカルコントローラによって求めるステップと、第1の充電モジュールのための第1の出力電流を第1のローカルコントローラによってグローバル電流に基づいて計算するステップと、第1の充電モジュールが第1の出力電流を生成するように第1の充電モジュールを第1のローカルコントローラによって制御するステップと、第2の充電モジュールのための第2の出力電流を第2のローカルコントローラによってグローバル電流に基づいて計算するステップと、第2の充電モジュールが第2の出力電流を生成するように第2の充電モジュールを第2のローカルコントローラによって制御するステップとを含む。言い換えると、充電モジュールの出力電流をローカルコントローラによって局所的に計算してもよい。
【0026】
本発明のある実施の形態に従うと、グローバル電流は、第1のローカルコントローラまたは第2のローカルコントローラによって求めることもできる。この場合、グローバル電流は第1のローカルコントローラによってのみ求められ第1のローカルコントローラはグローバル電流(基準値)を第2のローカルコントローラに送ればよい。
【0027】
本発明のある実施の形態に従うと、第1の出力電流は第1のローカルコントローラから第2のローカルコントローラに送られ、第2の出力電流は第2のローカルコントローラにおいて第1の出力電流に基づいて計算される。このように、ローカルコントローラをリング状トポロジーで接続してもよく、後続のローカルコントローラは各々、その出力電流を、前のローカルコントローラから受けた情報に基づいて(局所的に)求める。
【0028】
本発明のある実施の形態に従うと、充電モジュールの出力電流は、グローバル電流をモジュラーコンバータの充電モジュールの数で割ることによって計算される。これは、充電モジュールが同一の出力電力を生成するようにされている場合および/またはすべての充電モジュールが同一の効率を有している場合に、可能であろう。
【0029】
本発明のある実施の形態に従うと、出力電流は、充電モジュールの損失が最小にされるように最適化される。ローカルコントローラは、充電モジュールの効率および/または最大出力電力に関する知識を有していてもよく、出力電流をこれらの値に対して最適化してもよい。たとえば、すべてのローカルコントローラは、関連する充電モジュールの効率および/または最大出力電力を記憶してもよい。これらの値はローカルコントローラ間で通信システムを介してやり取りされてもよい。このような最適負荷分散アルゴリズムは、すべての充電モジュールの調和した自律的動作を可能にし、バッテリ充電ステーションの全体的な正しい動作を可能にし得る。
【0030】
本発明のある実施の形態に従うと、出力電流は、出力電流における電流リップルが最適化されるように、たとえば最小にされるように、最適化される。たとえば、出力電流を、特定の出力電流における所望の電流リップルが得られるように最適化してもよく、これはバッテリの寿命を延ばすのに役立つであろう。
【0031】
本発明のある実施の形態に従うと、グローバル電流は、バッテリが放電しバッテリをエネルギ蓄積部として使用できるよう、負になるように求められる。充電ステーションでは、バッテリが充電ステーションに接続されている限り、バッテリを中間エネルギ蓄積部として使用し得ることに注意する必要がある。たとえば、バッテリを、充電ステーションが接続されている送電網をサポートするために使用してもよい。この場合、バッテリに蓄積されている電力はバッテリから充電ステーションに流れ、グローバル充電電流は負である。また、バッテリの放電をローカルコントローラによって制御してもよい。
【0032】
先に説明し以下で説明する方法の特徴が、先に説明し以下で説明するシステムの特徴となり得ることを、理解する必要がある。特に、モジュラーコンバータのローカルコントローラは、先に説明し以下で説明する方法を実行するようにされていてもよい。
【0033】
本発明の上記およびその他の局面は、これから説明する実施の形態から明らかであり明確になるであろう。
【0034】
本発明の主題を、添付の図面に示される代表的な実施の形態を参照する以下の本文においてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明のある実施の形態に従うバッテリ充電ステーションを概略的に示す。
図2】本発明のある実施の形態に従うモジュラーコンバータを概略的に示す。
図3】本発明のある実施の形態に従うバッテリ充電方法のフロー図を示す。
【0036】
図面では原則的に同一の部分には同一の参照符号を付す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
代表的な実施の形態の詳細な説明
図1は、入力ライン14を介して電力系統に接続され充電電流Iを出力ライン16に生成するようにされた電気モジュラーコンバータ12を備える車両充電ステーション10を概略的に示す。通常、入力ライン14の入力電流は三相AC電流である。通常、出力電流IはDC電流である。
【0038】
車両18は、車両18のバッテリ20を出力ライン16に相互接続することによって充電ステーション10に接続されてもよい。特に、充電ステーション10は、ケーブルを接続してバッテリ20を充電するための接続ポイントまたはプラグ22を含んでいてもよい。
【0039】
簡略化のために省略しているが、車両充電ステーション10が通常は複数の出力ライン16および複数の接続ポイント22を有することを理解する必要がある。
【0040】
図2は、複数のベースパワーモジュールまたは充電モジュール30a、30b、30cを備えるモジュラーコンバータ12を概略的に示す。各充電モジュール30a、30b、30cは、それぞれの充電モジュール30a、30b、30cを制御するローカルコントローラ32a、32b、32cを備える。
【0041】
たとえば、各充電モジュール30a、30b、30cは、入力ライン14からの入力電流を整流するための第1の整流器と、異なる周波数のさらに他のAC電流を生成するためのインバータと、このさらに他のAC電流を整流するための第2の整流器とを備えていてもよい。加えて、各充電モジュール30a、30b、30cは、出力電流の電圧を調整するための単段または多段DC−DC変換器を備えていてもよい。
【0042】
充電モジュール30a、30b、30cのローカルコントローラ32a、32b、32cは、特定の大きさの出力電流I、I、Iが生成されるようにインバータおよびDC−DC変換器を制御するようにされている。充電モジュール30a、30b、30cは並列に接続されているので、出力電流I、I、Iが合算されてグローバル充電電流Iになる。このようにして、ローカルコントローラ32a、32b、32cは充電ステーション10の充電電流Iを制御する。
【0043】
モジュラーコンバータ12がローカルコントローラ32a、32b、32cしか有しておらず充電電流Iを制御するための中央コントローラを有していないことに注目する必要がある。
【0044】
ローカルコントローラ32a、32b、32cは各々、第1の信号ライン34を介して、バッテリ20の実際の電圧を測定するようにされた出力ライン16の測定装置36に接続されている。よって、各ローカルコントローラ32a、32b、32cは、出力ライン16における電圧および/または電流に関する情報を、出力ライン16で測定された充電電圧および/または電流値またはバッテリ電圧値として受けることができる。
【0045】
加えて、ローカルコントローラ32a、32b、32cは、通信システム38を介して互いに通信できるように相互接続されている。通信システム38は、バスシステムであってもよく、または、リングトポロジーを有するものであってもよい。各ローカルコントローラ32a、32b、32cはデータをローカルコントローラ32a、32b、32cのうちの他のローカルコントローラと相互にやり取りしてもよい。
【0046】
充電モジュール30a、30b、30cは、同様に設計されていてもよく、または、個々の最大電力出力を有するものであってもよい。いずれにしても、ローカルコントローラ32a、32b、32cは同様に設計されていてもよく、かつ、関連する充電モジュール30a、30b、30cの動作パラメータ(最大電力出力および効率等)のみが個々にローカルコントローラ32a、32b、32cに設定されていてもよい。
【0047】
充電モジュール30a、30b、30cは、コンバータ12において交換可能なカートリッジのように設計されていてもよい。充電モジュール30a、30b、30cのローカルコントローラ32a、32b、32cを、充電モジュール30a、30b、30cとともに交換できるよう、直接充電モジュール30a、30b、30cに装着してもよい。しかしながら、ローカルコントローラ32a、32b、32cは、関連する充電モジュール30a、30b、30cから離れた場所に配置されてもよい。ローカルコントローラ32a、32b、32cは、光ファイバまたは電気ラインを介して関連する充電モジュール30a、30b、30cに接続されていてもよい。
【0048】
充電ステーションが、バッテリを接続するための接続ポイント22を2つ以上備える場合、モジュラーコンバータ12は、充電モジュールからなる群をこれらの接続ポイントと相互接続するさらなるスイッチを含むことが可能である。このようにして、ある接続ポイントと接続された充電モジュールの数、したがってこの接続ポイントにおける最大出力電力を、調整してもよい。
【0049】
図3は、バッテリ20の充電方法のフロー図を示す。
ステップ100において、充電またはバッテリ電圧が、出力ライン16で、測定装置36によって測定され、各ローカルコントローラ32a、32b、32cに送られる。このバッテリ電圧の測定値は、すべての充電モジュール30a、30b、30cのすべてのローカルコントローラ32a、32b、32cに同時に伝えられてもよい。
【0050】
ステップ102において、グローバル充電電流基準値が求められる。グローバル充電電流基準値は、モジュラーコンバータ12からバッテリ20に与える必要があるグローバル充電電流を特定する。グローバル充電電流基準値は、バッテリを充電するときは正であってもよく、バッテリを放電するときは負であってもよい。
【0051】
グローバル充電電流基準値は、各ローカルコントローラ32a、32b、32cによって個々に求められてもよく、または、ローカルコントローラのうちの1つ32aのみによって求められてもよい、すなわち第1のローカルコントローラ32aによって求められた後にその他のローカルコントローラ32b、32cまたは後続の1つのローカルコントローラ32bに送られてもよい。
【0052】
後者の場合、ローカルコントローラ32a、32b、32cは、最初に計算を実行しその結果を他のコントローラ32b、32cにまたは後続の1つのローカルコントローラ32bに送る第1のローカルコントローラ32aを決定してもよい。しかしながら、第1のコントローラ32aの役割は、すべてのローカルコントローラ32a、32b、32cが担い得るものである。
【0053】
いずれの場合も、グローバル充電電流基準値は、ローカルコントローラ32a、32b、32cに格納されていてもよい予め定められた充電プロファイルに基づいて、測定された充電電圧から求めてもよい。これに代えてまたは加えて、グローバル充電電流は、バッテリから直接受けた電圧および/または電流情報に基づいて求めてもよい。ステップ104において、各充電モジュール30a、30b、30cのためのローカル出力電流基準値を、関連するローカルコントローラ32a、32b、32cによって求める。ローカル出力電流基準値は、それぞれの充電モジュール30a、30b、30cの出力電流を特定する。すべてのローカル出力電流基準値を合算してグローバル充電電流基準値としてもよい。
【0054】
たとえば、ある充電モジュール30a、30b、30cのためのローカル出力電流基準値は、関連するローカルコントローラ32a、32b、32cによって、その他のローカルコントローラの出力電流の知識なしで、求められてもよい。これに代えて、第1のローカルコントローラ32aが、その出力電流Iを求め、第1の出力電流Iに対する基準値を第2のローカルコントローラ32bに送ってもよく、第2のローカルコントローラ32bは、第2の出力電流Iを求めるためにこの基準値を用いる。第2の出力電流Iに対する基準値を、第3の出力電流Iを求めるために第3のローカルコントローラ32cに送ってもよい。他も同様である。
【0055】
出力電流基準値を求めることによって、グローバル充電電流基準値を、異なる充電モジュール30a、30b、30c間で分割または分配し、これらモジュール各々が充電のために供給する電力の量を決定する。
【0056】
この分配は、直接的な計算(総またはグローバル充電電流Iを充電モジュール30a、30b、30cの数で除算)を通して行なってもよく、または、全体的なシステム効率最大化、最適動作点および/または出力電流リップルに基づいて各充電モジュール30a、30b、30cの最適動作点を決定するアルゴリズムによって行なってもよい。
【0057】
出力電流基準値は、計算したグローバル充電電流基準値をモジュールの総数で割ることによって計算してもよい。ローカルコントローラ32a、32b、32c間の通信を利用して、この計算がすべてのローカルコントローラ32a、32b、32cにおいて一貫して行なわれることを保証してもよい。
【0058】
これに代えて、出力電流基準値を、充電モジュールの効率特性をさらに考慮する最適化アルゴリズムを採用することによって計算してもよい。具体的には、各充電モジュール30a、30b、30cが、その出力電力P、その効率h、およびその最大電力Pj,maxによって特徴付けられる場合、最適化アルゴリズムの目標は次のように表わすことができる。
【0059】
【数1】
【0060】
すなわち、モジュール損失の合計が最小になるように個々の充電モジュールの電力負担分(したがって充電モジュールのローカル出力電流基準値)を選択し、一方で、(充電電圧およびグローバル充電電流によって決まる)総要求電力を送り、個々の最大電力制約を守る。次に、このアルゴリズムを、各ローカルコントローラ32a、32b、32cが利用できる計算リソースに応じて逐次方式または分散方式で解けばよい。
【0061】
ステップ106において、ローカルコントローラ32a、32b、32cは、関連する充電モジュール30a、30b、30cを制御して、ローカル出力電流基準値に対応する出力電流I、I、Iを生成する。
【0062】
各ローカルコントローラ32a、32b、32cは、上記アルゴリズムを実行するようにされたマイクロプロセッサ、たとえばDSPまたはFPGAを備えていてもよい。
【0063】
本発明を図面に示しここまで詳細に説明してきたが、このような図示および説明は例示的または代表的なものであって限定的なものではないとみなされるべきものであり、本発明は開示されている実施の形態に限定されない。開示されている実施の形態のその他の変形は、当該技術において熟練し特許請求されている発明を実施する当業者が、図面、本開示、および以下の請求項を検討することによって、理解し実施することができるものである。請求項における「comprising(備える)」という用語はその他の要素またはステップを除外するものではなく、冠詞「a」または「an」(1つの)は複数を除外しない。1つのプロセッサまたはコントローラまたはその他のユニットが、請求項に記載の数個の項目の機能を果たし得る。互いに異なる従属請求項に特定の基準が記載されていても、このことは、これらの基準を組合わせたものを効果的に使用できないことを示す訳ではない。請求項における参照符号は、範囲を限定するものであると解釈されてはならない。
図1
図2
図3