特許第6074452号(P6074452)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6074452
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】圧迫デバイスにおける残留圧力制御
(51)【国際特許分類】
   A61H 7/00 20060101AFI20170123BHJP
【FI】
   A61H7/00 322B
【請求項の数】7
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-94045(P2015-94045)
(22)【出願日】2015年5月1日
(62)【分割の表示】特願2013-171384(P2013-171384)の分割
【原出願日】2013年8月21日
(65)【公開番号】特開2015-163228(P2015-163228A)
(43)【公開日】2015年9月10日
【審査請求日】2015年5月1日
(31)【優先権主張番号】13/629,925
(32)【優先日】2012年9月28日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】マニッシュ デシュパンデ
(72)【発明者】
【氏名】アーナズ マーリ
【審査官】 山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−244755(JP,A)
【文献】 特開2008−011923(JP,A)
【文献】 特開2011−024938(JP,A)
【文献】 特表2007−522889(JP,A)
【文献】 特表2002−526165(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
間欠的空気圧迫を対象者の肢に付与するための圧迫デバイスであって、前記デバイスは、
加圧流体を供給するように構成された制御器(305、405、505)と、
前記制御器と流体連通する多岐管(327、427、527)と、
前記多岐管と流体連通する第一の膨張可能な袋部および第二の膨張可能な袋部(303A、303B、403A、404B、503A、503B)であって、前記多岐管からの前記加圧流体は、前記第一の膨張可能な袋部および前記第二の膨張可能な袋部の各々によって受容可能である、第一の膨張可能な袋部および第二の膨張可能な袋部(303A、303B、403A、404B、503A、503B)と、
前記多岐管および前記第一の膨張可能な袋部と流体連通する第一の弁(323A、423A、523A)であって、前記第一の弁は、前記第一の膨張可能な袋部および前記第二の膨張可能な袋部からの流体を排気するために前記多岐管内の圧力を制御するためのものである、第一の弁(323A、423A、523A)と、
前記多岐管と前記第二の膨張可能な袋部との間に配置され、かつ、前記多岐管および前記第二の膨張可能な袋部と流体連通する第二の弁(323B、423B、523B)であって、前記第二の弁は、前記第二の膨張可能な袋部内の圧力を制御するためのものであり、前記第二の弁は、2方向/2位置常時閉ソレノイド弁である、第二の弁(323B、423B、523B)と
を含み、
前記第一の弁は、前記第一の膨張可能な袋部からの前記加圧流体の流れを制御するために前記制御器によって作動可能であり、前記第二の弁は、前記第二の膨張可能な袋部への前記加圧流体の流れと前記第二の膨張可能な袋部からの前記加圧流体の流れとを制御するために前記制御器によって作動可能である、圧迫デバイス。
【請求項2】
前記多岐管と流体連通する単一の圧力変換器(325、425、525)であって、前記第一の膨張可能な袋部および前記第二の膨張可能な袋部における流体圧力を測定するための単一の圧力変換器(325、425、525)をさらに含む、請求項1に記載の圧迫デバイス。
【請求項3】
前記多岐管と流体連通する逆止弁(529)をさらに含む、請求項2に記載の圧迫デバイス。
【請求項4】
前記第一の膨張可能な袋部は、前記多岐管と開流体連通し、前記第一の弁および前記第二の弁は、前記第一の膨張可能な袋部と前記多岐管との間にはない、請求項1〜3のいずれか一項に記載の圧迫デバイス。
【請求項5】
前記多岐管と流体連通する第三の膨張可能な袋部(303C、403C、503C)で
あって、前記多岐管からの前記加圧流体は、前記第三の膨張可能な袋部によって受容可能である、第三の膨張可能な袋部(303C、403C、503C)と、
前記多岐管と前記第三の膨張可能な袋部との間に配置され、かつ、前記多岐管および前記第三の膨張可能な袋部と流体連通する第三の弁(323C、423C、523C)と
をさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の圧迫デバイス。
【請求項6】
前記第三の弁は、2方向/2位置常時閉ソレノイド弁を含む、
請求項5に記載の圧迫デバイス。
【請求項7】
前記第一の弁は、2方向/2位置常時閉弁を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の圧迫デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本開示は、一般的に圧力制御に関連し、より特定的に圧迫デバイスの袋部における残留圧力を制御することに関連する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
患者の四肢、特に脚における血液の貯留もしくは鬱血は、患者がベッドへ長期間拘束された場合に起こり得る。鬱血は、血栓の形成につながる有意な原因であるので、問題となる。この発生を予防するために、四肢組織における間質空間から流体を動かして、循環を高めることが所望される。
【0003】
間欠的空気圧迫(IPC)デバイスが、患者の肢における循環を改善し、血栓の形成を最小化するために使用される。これらのデバイスは、典型的に、一つもしくはそれよりも多くの膨張可能な袋部を有する圧迫スリーブもしくは圧迫被覆物を含んで、肢に対して圧迫的パルスもしくは圧迫療法を提供する。
【0004】
空気圧迫療法は、通常、特定の袋部の中への空気の流れ、およびその中からの空気の流れを制御する空気ポンプおよび弁により提供される。典型的に、袋部の膨張は、圧迫デバイスのマイクロプロセッサーにより制御されて、必要な治療効果を提供する設定圧力に達する。ひとたび設定圧力が達せられると、袋部は、通常、袋部が周囲の圧力に達するまで排気する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(概要)
一つの局面において、圧迫デバイスを制御する方法は、対象者の身体の一部へ圧迫を付与するために加圧されることが可能である膨張可能袋部を有する圧迫デバイスの排気段階を制御する。この方法は、加圧流体を、加圧流体の供給源から対象者の身体の一部の周りに配置された第一の膨張可能袋部へ送達することと、第一の弁を開放することにより、加圧流体を、第一の膨張可能袋部から排気することを含む。この方法は、さらに、第一の膨張可能袋部の排気の間、第一の膨張可能袋部における流体圧力をモニターすることを含む。モニターされた流体圧力に少なくとも部分的に基づき、第一の弁は、選択的に閉鎖され、かつ選択的に再開放されて、第一の膨張可能袋部における流体圧力を制御して、所望される残留圧力範囲内に留まらせる。
【0006】
別の局面において、圧迫デバイスを制御する方法は、対象者の身体の一部(apart)へ圧迫を付与するために加圧されることが可能な膨張可能袋部を含む圧迫デバイスの排気段階を制御することを含む。この方法は、加圧流体を、加圧流体の供給源から対象者の身体の一部の周りに配置された膨張可能袋部へ送達することと、比例弁を部分的に開放することにより、加圧流体を、膨張可能袋部から排気することとを含む。この方法は、さらに、排気の間、膨張可能袋部における流体圧力をモニターすることを含む。膨張可能袋部におけるモニターされた流体圧力に少なくとも部分的に基づき、膨張可能袋部における流体圧力が所望される残留圧力範囲内にある場合、比例弁は閉鎖される。
【0007】
さらに別の局面において、対象者の身体部分へ圧迫療法を付与するための圧迫デバイスであるこのデバイスは、制御器、該制御器と流体連通する第一の膨張可能袋部、および第一の膨張可能袋部と流体連通する第一の3方向/2位置(3−way/2−position)常時開(normally open)弁を含む。この制御器は、加圧流体を供給するように構成され、その加圧流体は、第一の膨張可能袋部により受容可能である。第一の弁は、制御器により作動可能であって、第一の膨張可能袋部からの加圧流体の排気を制御する。
【0008】
なおも別の局面において、対象者の身体部分へ圧迫療法を付与するための圧迫デバイスであるこのデバイスは、制御器、複数の膨張可能袋部、および複数の弁を含む。この制御器は、加圧流体を供給するように構成される。複数の膨張可能袋部は、制御器と流体連通にあり、そして制御器からの加圧流体は、複数の膨張可能袋部の各々により受容可能である。複数の弁の各々は、各膨張可能袋部と流体連通にある。全てよりは少ない複数の弁が、複数の膨張可能袋部から流体を排気する。例えば、この構成は、袋部を排気するために必要とされる弁の数を減らし得、それゆえ、圧迫デバイスの全体寸法を減らし得る。
【0009】
一つもしくはそれよりも多くの局面において、多岐管が、各袋部と流体連通し得、そして単一の圧力変換器が、各袋部における流体圧力を測定するために多岐管と流体連通し得る。いくつかの局面において、逆止弁が、多岐管から上流にあり得、多岐管と流体連通し得る。付加的もしくは代替的に、特定の局面において、この多岐管は、フェイルセーフ孔を定め得る。
【0010】
実施形態は、下記の利点のうちの一つもしくはそれよりも多くを含み得る。
【0011】
いくつかの実施形態において、圧迫デバイスの排気段階を制御する方法は、袋部において計測された流体圧力に少なくとも部分的に基づいて、弁を、選択的に閉鎖し、かつ選択的に再開放して、袋部における流体圧力を制御して、所望される残留圧力範囲内(例えば、周囲の圧力を上回り、かつ対象者を治療するための圧迫圧力を下回る圧力範囲)に留めることを含む。例えば、排気段階の間での袋部内の流体のこのような制御は、後に続く治療の段階の間に袋部を膨張させるために必要である流体(例えば、空気)の量を減らし得る。袋部を膨張させるために必要である流体の量を減らすことは、圧迫プロセスおよび排気プロセスの総サイクル時間を減らし得て、対象者の身体の一部の改善された治療を促進し得る。付加的もしくは代替的に、袋部を膨張させるために必要である流体の量を減らすことは、袋部を膨張させることに関連した空気供給部の寸法を減らし得、そのことは、例えば圧迫デバイスの携帯性を促進し得、および/もしくは対象者の近傍において圧迫デバイスにより取られる空間の量を減らし得る。
【0012】
特定の実施形態において、圧迫デバイスの排気段階を制御する方法は、一つもしくはそれよりも多くの弁を制御して、一つもしくはそれよりも多くの袋部において残留圧力を制御することを含む。いくつかの実施態様において、三つの袋部における残留圧力のこのような制御は、三つの袋部における残留圧力の勾配の使用を促進し得る。例えば、対象者の足首の周りに配置可能な第一の袋部が、約4mmHgの残留圧力を有し得、対象者の下腿の周りに配置可能な第二の袋部が、約2mmHgの残留圧力を有し得、そして対象者の大腿の周りに配置可能な第三の袋部が、約0mmHgの残留圧力を有し得る。残留圧力におけるこのような勾配は、袋部が膨張して対象者へ圧迫圧力の勾配を付与する際に、各々の袋部の各膨張時間および/もしくは各膨張体積を減らし得る。
【0013】
上述の課題を解決するために、本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1A)圧迫デバイスを制御する方法であって、該方法が以下:
加圧流体を加圧流体の供給源から対象者の身体の部分の周りに配置された第一の膨張可能袋部へ送達する工程;
第一の弁を開放することにより、該加圧流体を該第一の膨張可能袋部から排気する工程;
該排気する工程の間、該第一の膨張可能袋部における流体圧力をモニターする工程;および
該モニターされた流体圧力に少なくとも部分的に基づき、該第一の弁を選択的に閉鎖および選択的に再開放して、該第一の膨張可能袋部における流体圧力を制御して、所望される残留圧力範囲内に留まらせる工程
を含む、方法。
(項目2A)上記項目のうちのいずれかに記載の方法であって、前記所望される残留圧力範囲が、約1mmHgから約10mmHgに亘る、方法。
(項目3A)上記項目のうちのいずれかに記載の方法であって、前記弁を選択的に閉鎖および再開放する前記工程を繰り返して、前記第一の膨張可能袋部における流体圧力を前記所望される残留圧力範囲内に維持する工程をさらに含む、方法。
(項目4A)上記項目のうちのいずれかに記載の方法であって、前記弁が規則的な時間間隔で選択的に閉鎖および選択的に再開放されて、前記第一の膨張可能袋部における流体圧力を前記所望される残留圧力範囲内に維持する、方法。
(項目5A)上記項目のうちのいずれかに記載の方法であって、前記時間間隔が約200msである、方法。
(項目6A)上記項目のうちのいずれかに記載の方法であって、流体圧力をモニターする前記工程が、前記第一の膨張可能袋部と流体連通する圧力変換器からの信号を受ける工程を含む、方法。
(項目7A)上記項目のうちのいずれかに記載の記載の方法であって、該方法が、
加圧流体を加圧流体の前記供給源から第二の膨張可能袋部および第三の膨張可能袋部へ送達する工程であって、前記第一の膨張可能袋部、該第二の膨張可能袋部、および第三の膨張可能袋部の各々が、前記対象者の身体の各部分の周りに配置される、工程;
該第一の袋部、第二の袋部、および第三の袋部を各第一の弁、第二の弁、および第三の弁を開放することにより排気する工程;および
該第一の弁、第二の弁、および第三の弁を選択的に閉鎖して、該各第一の袋部、第二の袋部、および第三の袋部における流体圧力を所望される残留圧力範囲内に維持する工程
をさらに含む、方法。
(項目8A)上記項目のうちのいずれかに記載の記載の方法であって、前記第一の袋部、第二の袋部、および第三の袋部と流体連通する単一の圧力変換器で、該第一の袋部、第二の袋部、および第三の袋部の各々における流体圧力をモニターする工程をさらに含む、方法。
(項目9A)上記項目のうちのいずれかに記載の方法であって、前記第一の袋部、第二の袋部、および第三の袋部を排気する工程が、前記第一の弁、第二の弁、および第三の弁を逐次的に開放する工程を含む、方法。
(項目10A)上記項目のうちのいずれかに記載の方法であって、前記第一の袋部、第二の袋部、および第三の袋部を排気する工程が、前記第一の弁、第二の弁、および第三の弁を同時に開放する工程を含む、方法。
(項目11A)上記項目のうちのいずれかに記載の方法であって、前記第一の袋部、第二の袋部、および第三の袋部と流体連通する単一の圧力変換器で、該第一の袋部、第二の袋部、および第三の袋部の各々における流体圧力をモニターする工程をさらに含む、方法。
(項目12A)上記項目のうちのいずれかに記載の方法であって:
前記第一の弁が受動逆止弁であり;
該第一の弁を選択的に閉鎖する前記工程が、前記袋部における圧力が下降して該第一の弁のクラッキング圧力を下回る場合、該弁を閉鎖する工程を含み;そして
該第一の弁を選択的に再開放する前記工程が、該袋部における圧力が上昇して該第一の弁の該クラッキング圧力を上回る場合、該第一の弁を開放する工程を含む、方法。
(項目13A)圧迫デバイスを制御する方法であって、該方法が以下:
加圧流体を加圧流体の供給源から対象者の身体の部分の周りに配置された膨張可能袋部へ送達する工程;
比例弁を部分的に開放することにより、加圧流体を該膨張可能袋部から排気する工程;
該排気する工程の間、該膨張可能袋部における流体圧力をモニターする工程;および
該膨張可能袋部における該モニターされた流体圧力に少なくとも部分的に基づき、該膨張可能袋部における流体圧力が所望される残留圧力範囲内にある場合、該比例弁を閉鎖する工程
を含む、方法。
(項目14A)上記項目のうちのいずれかに記載の方法であって、前記所望される残留圧力範囲が、約1mmHgから約10mmHgに亘る、方法。
(項目15A)上記項目のうちのいずれかに記載の方法であって、前記比例弁が前記膨張可能袋部における圧力変化の速度に比例して開放される、方法。
(項目16A)上記項目のうちのいずれかに記載の方法であって、前記比例弁が前記袋部の前記モニターされた圧力と、前記所望される残留圧力範囲における圧力設定点との間の差異に比例して開放される、方法。
(項目17A)圧迫療法を対象者の身体部分へ付与するための圧迫デバイスであって、該デバイスが以下:
加圧流体を供給するように構成された制御器;
該制御器と流体連通する第一の膨張可能袋部であって、該制御器からの該加圧流体が該第一の膨張可能袋部により受容可能である、第一の膨張可能袋部;および
該第一の膨張可能袋部と流体連通する第一の3方向/2位置常時開弁であって、該第一の弁が、該制御器により作動可能であって該第一の膨張可能袋部から該加圧流体を排気することを制御する、第一の3方向/2位置常時開弁。
を含む、デバイス。
(項目18A)上記項目のうちのいずれかに記載の圧迫デバイスであって、該デバイスが以下:
前記制御器と流体連通する第二の膨張可能袋部であって、該制御器からの前記加圧流体が該第二の膨張可能袋部により受容可能である、第二の膨張可能袋部;
該第二の膨張可能袋部から流体を排気するための、該第二の膨張可能袋部と流体連通する第二の3方向/2位置常時開弁;
該制御器と流体連通する第三の膨張可能袋部であって、該制御器からの該加圧流体が該第三の膨張可能袋部により受容可能である、第三の膨張可能袋部;および
該第三の膨張可能袋部から流体を排気するための、該第三の膨張可能袋部と流体連通する第三の弁;
をさらに含む、デバイス。
(項目19A)上記項目のうちのいずれかに記載の圧迫デバイスであって、前記第三の弁が3方向/2位置常時閉弁である、デバイス。
(項目20A)上記項目のうちのいずれかに記載の圧迫デバイスであって:
前記第一の袋部が、圧迫を前記対象者の足首へ付与するために構成され;
前記第二の袋部が、圧迫を前記対象者の下腿へ付与するために構成され;そして
前記第三の袋部が、圧迫を前記対象者の大腿へ付与するために構成される、
デバイス。
(項目21A)上記項目のうちのいずれかに記載の圧迫デバイスであって、該デバイスが以下:
前記袋部の各々と流体連通する多岐管;および
該袋部の各々における流体圧力を測定するための、該多岐管と流体連通する単一の圧力変換器
をさらに含む、デバイス。
(項目22A)上記項目のうちのいずれかに記載の圧迫デバイスであって、前記多岐管から上流にあり、該多岐管と流体連通する逆止弁をさらに含む、デバイス。
(項目23A)上記項目のうちのいずれかに記載の圧迫デバイスであって、前記多岐管がフェールセーフ孔部を定める、デバイス。
(項目24A)圧迫療法を対象者の身体部分へ付与するための圧迫デバイスであって、該デバイスが以下:
加圧流体を供給するように構成された制御器;
該制御器と流体連通する複数の膨張可能袋部であって、該制御器からの該加圧流体が該複数の膨張可能袋部の各々により受容可能である、複数の膨張可能袋部;および
複数の弁であって、各弁が各膨張可能袋部と流体連通し、全てよりは少ない該複数の弁が流体を該複数の膨張可能袋部から排気する、複数の弁
を含む、デバイス。
(項目25A)上記項目のうちのいずれかに記載の圧迫デバイスであって、該デバイスが以下:
前記複数の袋部の各々と流体連通する多岐管;および
該複数の袋部の各々における流体圧力を測定するための、該多岐管と流体連通する単一の圧力変換器
をさらに含む、デバイス。
(項目26A)上記項目のうちのいずれかに記載の圧迫デバイスであって、前記多岐管から上流にあり、該多岐管と流体連通する逆止弁をさらに含む、デバイス。
(項目27A)上記項目のうちのいずれかに記載の圧迫デバイスであって、前記多岐管がフェールセーフ孔部を定める、デバイス。
(項目1B)圧迫療法を対象者の身体部分へ付与するための圧迫デバイスであって、該デバイスが:
加圧流体を提供するように構成された制御器;
該制御器と流体連通する第一の膨張可能袋部であって、該制御器からの該加圧流体が該第一の膨張可能袋部により受容可能である、第一の膨張可能袋部;および
該第一の膨張可能袋部と流体連通する第一の3方向/2位置常時開弁であって、該第一の弁が、該加圧流体を該第一の膨張可能袋部から排気する工程を制御するように、該制御器により作動可能である、第一の弁
を含む、デバイス。
(項目2B)上記項目のうちのいずれかに記載の圧迫デバイスであって、該デバイスが、
前記制御器と流体連通する第二の膨張可能袋部であって、該制御器からの前記加圧流体が該第二の膨張可能袋部により受容可能である、第二の膨張可能袋部;および
流体を該第二の膨張可能袋部から排気する工程のための、該第二の膨張可能袋部と流体連通する第二の3方向/2位置常時開弁;
該制御器と流体連通する第三の膨張可能袋部であって、該制御器からの該加圧流体が該第三の膨張可能袋部により受容可能である、第三の膨張可能袋部;および
流体を該第三の膨張可能袋部から排気する工程のための、該第三の膨張可能袋部と流体連通する第三の弁;
をさらに含む、デバイス。
(項目3B)上記項目のうちのいずれかに記載の圧迫デバイスであって、前記第三の弁が3方向/2位置常時閉弁である、デバイス。
(項目4B)上記項目のうちのいずれかに記載の圧迫デバイスであって:
前記第一の膨張可能袋部が、圧迫を前記対象者の足首へ付与する工程のために構成されれ;
前記第二の膨張可能袋部が、圧迫を該対象者の下腿へ付与する工程のために構成され;そして
前記第三の膨張可能袋部が、圧迫を該対象者の大腿へ付与する工程のために構成される、デバイス。
(項目5B)上記項目のうちのいずれかに記載の圧迫デバイスであって、該デバイスが以下:
前記袋部の各々と流体連通する多岐管;および
該袋部の各々における流体圧力を測定するための、該多岐管と流体連通する単一の圧力変換器
をさらに含む、デバイス。
(項目6B)上記項目のうちのいずれかに記載の圧迫デバイスであって、前記多岐管から上流にあり、該多岐管と流体連通する逆止弁をさらに含む、デバイス。
(項目7B)上記項目のうちのいずれかに記載の圧迫デバイスであって、前記多岐管がフェールセーフ孔部を定める、デバイス。
(項目8B)上記項目のうちのいずれかに記載の圧迫デバイスであって、前記制御器が、コンピュータ実行可能な命令を実行するように構成されたプロセッサーを有し、該コンピュータ実行可能な命令が、
加圧流体を、加圧流体の供給源から対象者の身体の部分の周りに配置された前記第一の膨張可能袋部へ送達する工程;
前記排気する工程の間、該加圧流体を該第一の膨張可能袋部から排気する工程;
該排気する工程の間、該第一の膨張可能袋部における流体圧力をモニターする工程;および
該モニターされた流体圧力に少なくとも部分的に基づいて、前記第一の弁を選択的に閉鎖および選択的に再開放して、該第一の膨張可能袋部における流体圧力を制御して、所望される残留圧力範囲内に留まらせる工程
のための命令を含む、デバイス。
(項目9B)上記項目のうちのいずれかに記載の圧迫デバイスであって、前記所望される残留圧力範囲が、約1mmHgから約10mmHgに亘る、デバイス。
(項目10B)上記項目のうちのいずれかに記載の圧迫デバイスであって、前記プロセッサーが、さらに、前記第一の膨張可能袋部における流体圧力を前記所望される残留圧力範囲内に維持するために、前記第一の弁を選択的に閉鎖および再開放する前記工程を繰り返す工程を含むコンピュータ実行可能な命令を実行するように構成される、デバイス。
(項目11B)上記項目のうちのいずれかに記載の圧迫デバイスであって、前記プロセッサーが、さらに、前記第一の弁を規則的な時間間隔で選択的に閉鎖および選択的に再開放して、前記第一の膨張可能袋部における流体圧力を前記所望される残留圧力範囲内に留める工程を含むコンピュータ実行可能な命令を実行するように構成される、デバイス。
(項目12B)上記項目のうちのいずれかに記載の圧迫デバイスであって、前記規則的な時間間隔が約200msである、デバイス。
(項目13B)上記項目のうちのいずれかに記載の圧迫デバイスであって、流体圧力をモニターする工程のための前記コンピュータ実行可能な命令が、前記第一の膨張可能袋部と流体連通する圧力変換器からの信号を受ける工程を含む、デバイス。
【0014】
(摘要)
圧迫デバイスを制御する方法が、圧迫を対象者の身体の部分へ付与するために加圧されることが可能な膨張可能袋部を有する圧迫デバイスの排気段階を制御する。この方法は、加圧流体を加圧流体の供給源から対象者の身体の部分の周りに配置された第一の膨張可能袋部へ送達する工程と、第一の弁を開放することにより加圧流体を第一の膨張可能袋部から排気する工程とを含む。この方法は、第一の膨張可能袋部の排気工程の間に第一の膨張可能袋部における流体圧力をモニターする工程をさらに含む。モニターされた流体圧力に少なくとも部分的に基づいて、第一の弁は、選択的に閉鎖および選択的に再開放されて、第一の膨張可能袋部における流体圧力を制御して、所望される残留圧力範囲内に留める。
【0015】
他の目的および特徴は、説明および図面から、ならびに特許請求の範囲から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、圧迫デバイスの構成図である。
図2図2は、図1の圧迫デバイスの圧力特性のグラフ図である。
図3図3は、専用の弁を各々有する袋部を含む圧迫デバイスの構成図である。
図4図4は、専用の弁および専用の圧力変換器を各々有する袋部を含む圧迫デバイスの構成図である。
図5図5は、共通の多岐管において圧力を制御する弁と、特定の袋部のための専用の弁を含む圧迫デバイスの構成図である。
図6図6は、共通の多岐管において圧力を制御する弁と、特定の袋部のための専用の弁とを含む圧迫デバイスの別の実施形態の構成図である。
図7図7は、受動的逆止弁を含む圧迫デバイスの構成図である。
図8図8は、常時開弁および常時閉弁を含む圧迫デバイスの構成図である。
図9図9は、制御器および圧迫スリーブの斜視図である。
【0017】
図面を通じて、対応する参照文字は、対応する部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
詳細な説明
図1を参照すると、間欠的空気圧迫(IPC)デバイス1の空気回路が、袋部3と、袋部における残留圧力を制御するための制御器5とを含む。IPCデバイス1において、袋部3を含む圧迫スリーブ13が、例えば、管材15を介して、制御器5へ接続されており、その制御器は、圧縮空気を袋部へ提供する空気供給部21(例えば、コンプレッサー)へ作動的に接続されたプロセッサー19を有する。弁23が、スリーブ13と空気供給部21との間に提供される。圧力変換器25が、弁23から下流にあり、袋部3における圧力をモニターする。変換器25は、袋部3へ直接的に、もしくは袋部と流体連通する多岐管(図示せず)へ接続され得る。スリーブ13は、二つもしくはそれよりも多くの袋部を有し得る。例えば、図3において示されるスリーブ113は、三つの袋部を有する。
【0019】
ここで図1および図9を参照すると、制御器5は、ハウジング22の中に配置されている。ハウジング22上の制御パネル24は、例えばパラメータを制御器5へ入力するために、制御部および指示器を含む。出力接続器26が、ハウジング22上に配置され、制御器5と空気供給部21とをスリーブ13へ接続するために、管材15と係合可能である。スリーブ13は、使用中、圧迫を対象者の足首、下腿、および大腿へ各々付与する三つの袋部3を含む。特定の圧迫療法プロトコルを対象者の一部分(例えば、肢)へ付与するために必要とされる場合、スリーブ13がより少ないもしくはより多い袋部を含み得ることが、認識されるべきである。
【0020】
スリーブ13は、対象者の肢(例えば、脚)の周りに巻かれるように構成される(図9)。この肢へ圧迫パルスを提供するために、制御器5は、弁23を開放し、空気供給部21を活動化させて、袋部における圧力が圧迫サイクルにおける作用にとって適切な値に達するまで、圧縮空気を袋部3へ提供する。スリーブが二つもしくはそれよりも多くの袋部を有する実施形態において、逐次的圧迫療法が、対象者の肢へ付与され得る。加圧が完了した場合、空気供給部21は不活動化され、そして袋部3は、例えば管材15を通して制御器5へ排気を戻すことにより、除圧することが可能にされ得る。空気は、弁23を通して大気へ排気され得る。いくらかの圧力(すなわち、残留圧力)が袋部3において排気後も留まることが所望され得る。袋部3における残留圧力を制御することは、後の加圧のために必要とされる空気を減らすことにより、デバイス1、および特に空気供給部21の流れ必要量を減らす。いくつかの実施形態において、所望される残留圧力範囲は、約0mmHg〜約15mmHg(例えば、約1mmHg〜約10mmHg)である。
【0021】
プロセッサー19は、コンピュータ実行可能な命令を実行して、袋部3を加圧(例えば、膨張)して圧迫圧力を着用者の肢へ提供する。例えば、プロセッサー19は、袋部3を第一の圧迫圧力(例えば、20mmHg)へ加圧する命令を実行し得て、肢における血液を袋部3に覆われた領域(例えば、下腿)から動かし得る。圧迫サイクルのこの段階は、膨張段階として公知である。袋部3を第一の圧迫圧力へ加圧した後、プロセッサー19は、袋部における圧力を残留圧力(例えば、10mmHg)へ減らす命令を実行し得て、血液が袋部に覆われた肢の領域へ再入することを可能にする。圧迫サイクルのこの段階は、排気段階として公知である。排気段階の間、袋部3における圧力は、圧力変換器25により、袋部における圧力が所望される残留圧力(例えば、事前に設定された残留圧力)に達するまで、感知され得る。
【0022】
排気段階の間に袋部3における圧力を制御するために、プロセッサー19は、命令を実行し得て、弁23を作動させて袋部を所望される残留圧力へ排気し得る。例えば、プロセッサー19は、流体が袋部3から排気されている際に、袋部における圧力が事前に設定された残留圧力範囲内になるまで、弁23を開放および閉鎖し得る。
【0023】
図2を参照すると、ひとたび膨張段階を完了すると、プロセッサー19は、弁23を開放するための命令を実行するので、袋部3における圧力は下降し始めて、排気段階を開始する。事前に設定された圧力値P、Pがセットされ得、袋部3における圧力が最低域の圧力P(例えば、最低域の圧力Pは周囲の圧力を上回り得る)に達したことを圧力変換器25が感知するまで、弁23が開放を維持するようにする。変換器25がPもしくはそれよりも小さな圧力を測定した場合、プロセッサー19は、弁23を閉鎖するための命令を実行して、袋部3における圧力を上昇させる。圧力変換器25が、袋部3における圧力が最高域の圧力Pに達するか、もしくは超えたことを感知した場合、プロセッサー19は、弁23を開放するための命令を実行して、袋部における圧力を下降させる。プロセッサー19は、袋部3における圧力がPとPとの間の圧力範囲内で安定するまで、弁をこの態様(すなわち、弁23を繰り返し開放および閉鎖すること)にて操作するための命令を実行し得る。プロセッサー19はまた、プロセッサーへ作動的に接続されたタイマー31を使用して、弁23を規則的な間隔で開放および閉鎖するための命令を実行し得る。例えば、プロセッサー19は、所望される残留圧力が袋部3において維持されるまで、弁23を約200msごとに開放および閉鎖し得る。図2が残留圧を単一の袋部についての時間の関数として図示するが、このプロセスは複数の袋部を有する圧迫デバイスにおいても使用され得ることが、理解される。
【0024】
図3を参照すると、空気回路101は、三つの袋部103A、103B、103Cを含み、その各々は、専用の弁123A、123B、123Cと流体連通する。回路1の部分と概ね対応する回路101の部分が、「100」を足した同じ番号を与えられる。単一の圧力変換器125が、袋部103A、103B、103Cと連通した多岐管127と流体的に連通する。空気供給部121が、圧縮空気を、袋部103A、103B、103Cへ管材115を通じて送達する。回路101は、袋部103A、103B、103Cを、上記で説明されたような所望される残留圧力へ排気し得る。例えば、弁が開放されるたびに、圧力変換器125は、目標とされる残留圧力が達せられるまで、対応する袋部における圧力を測定する。各弁123A、123B、123Cは、3方向/2位置常時閉ソレノイド弁である。これらの弁の各々は、三つのポートを含み、第一の位置において、第一のポート(すなわち、入口ポート)を第二のポート(すなわち、袋部ポート)と流体連通させるように作動可能である。各弁は、さらに、第二の位置において、第二のポートを第三のポート(すなわち、排気ポート)と流体連通させるように作動可能である。各弁123A、123B、123Cの第一のポートは、空気供給部121と流体連通する。各弁123A、123B、123Cの第二のポートは、各袋部103A、103B、103Cと流体連通し、そして第三のポートは、周囲の大気と流体連通する。弁123A、123B、123Cはまた、他のタイプであり得る。
【0025】
各袋部103A、103B、103Cにおける圧力は、共通残留圧力もしくは異なった残留圧力へ制御され得る。各袋部を共通残留圧力へ制御するために、制御器105が、袋部103A、103B、103Cを同じ時に排気して、一様な圧力を多岐管127にて作り出す。多岐管の圧力は、目標とされる残留圧力が達せられるまで、弁123A、123B、123Cを同時に開放および閉鎖することにより制御される。
【0026】
各袋部103A、103B、103Cにおける圧力は、異なった残留圧力へ制御され得る。袋部103A、103B、103Cにおける圧力を異なった残留圧力へ制御するために、制御器105は、各袋部を個別に排気する(例えば、制御器は、各弁を開放および閉鎖するプロセスを個別に制御し得る)。例えば、これは、単一の圧力変換器の使用を促進し得て、各袋部103A、103B、103Cにおける圧力をモニターし得る。
【0027】
いくつかの実施形態において、制御器105は、袋部103A、103B、103Cを各残留圧力へ逐次的に排気する。このような実施形態において、第一の袋部103Aは、対応する弁123Aを繰り返し開放および閉鎖することにより排気される。圧力変換器125は、第一の袋部103Aに対応する多岐管127における圧力を測定し、そして袋部は、圧力が第一の袋部に関して所望される残留圧力に達するまで排気され、達した際に、弁123Aは閉鎖される。次いで、制御器105は、第二の袋部103Bに切り替えられ、第二の袋部を、多岐管127における圧力が第二の袋部に関して所望される残留圧力に達するまで排気する。最後に、制御器105は、第三の袋部103Cに切り替えられ、第三の袋部を、多岐管127における圧力が第三の袋部に関して所望される残留圧力に達するまで排気する。制御器105は、目標とされる残留圧力が袋部のいずれかにおいて達せられる前、袋部103A、103B、103Cの間に切り替えられ得る。制御器105はまた、各袋部103A、103B、103Cを同じ残留圧力もしくは異なった残留圧力へ逐次的に排気し得る。付加的もしくは代替的に、制御器105は、袋部103A、103B、103Cの間を非逐次的順番にて切り替えられ得る。
【0028】
図4を参照すると、空気回路201は、各袋部203A、203B、203Cが、各々、専用の弁223A、223B、223Cと、専用の圧力変換器225A、225B、225Cとを有することを除けば、回路101(図3)に類似する。回路1の部分と概ね対応する回路201の部分が、「200」を足した同じ番号を与えられる。
【0029】
各袋部203A、203B、203Cは、各専用の圧力変換器225A、225B、225Cからの圧力表示を使用して、所望される残留圧力へ制御され得る。専用の圧力変換器を有することはまた、制御器205が、各袋部203A、203B、203Cを共通残留圧力もしくは異なった残留圧力へ同時に排気することを可能にする。
【0030】
図5を参照すると、空気回路301は、共通の多岐管327における圧力を制御する第一の弁323A、第二の袋部303B専用の第二の弁323B、および第三の袋部303C専用の第三の弁323Cを含む。単一の圧力変換器325が、多岐管327における残留圧力と、三つの袋部303A、303B、303Cにおける残留圧力とを測定する。第一の弁323Aは、各袋部からの空気を回路から排気するための「排気弁」として機能する。図示される実施形態において、各弁323A、323B、323Cは、2方向/2位置常時閉ソレノイド弁である。これらの弁は、二つのポート、すなわち入口ポートおよび出口ポートを含み、弁がエネルギーを付与されるまで閉鎖される。弁323A、323B、323Cはまた、他のタイプの弁であり得る。回路1の部分と概ね対応する回路301の部分が、「300」を足した同じ番号を与えられる。
【0031】
排気段階の間、制御器305が、第一の弁323Aを使用して、多岐管327における残留圧力と、三つの袋部303A、303B、303Cにおける残留圧力とを制御する。圧迫療法の間、袋部303A、303B、303Cおよび多岐管327はすべて、相互に開き得るか、もしくは特定の例において、療法の間の時限操作のために制御され得る。例えば、第二の弁323Bおよび第三の弁323Cは、制御器305により、排気の間、解放されたままであるように命令され得る。制御器305は、第一の弁323Aを開放および閉鎖し得て、三つの袋部すべてにおける残留圧力を排気段階の間、制御し得る。制御器305はまた、第二の弁323Bおよび第三の弁323Cが、排気の間、開放されたままであることを命令し得、第一の弁323Aを開放および閉鎖し得る。この構成は、各袋部303A、303B、303Cにおける残留圧力の独立制御を可能にしないが、この構成は、単一の圧力変換器325で実施され得、付加的な圧力変換器を必要とする実施形態と比較してコストを減らす。
【0032】
回路301はまた、排気段階の間、排気弁323Aのみの開放を保ち、第二の弁323Bと第三の弁323Cとを独立に開放および閉鎖することにより、操作され得る。これらの実施形態において、第三の弁323Cが閉鎖され、そして第二の弁が制御器305により開放および閉鎖される場合、第一の袋部303Aにおける圧力と第二の袋部303Bにおける圧力とが、多岐管327における圧力へと標準化し、そして第一の袋部における残留圧力と第二の袋部における残留圧力とは同じになる。制御器305が、第二の弁323Bを閉鎖し、第三の弁323Cに切り替えられ場合、第三の弁の開放および閉鎖は、第三の袋部303Cにおける圧力を、多岐管327における圧力へと標準化して、第一の袋部303Aにおける残留圧力と第三の袋部303Cにおける残留圧力とを同じにする。この圧力は、第二の袋部303Bにおける圧力と同じであり得るか、もしくは異なり得る。弁323A、323B、323Cは、圧迫療法時間と比較される排気時間の長さに依って、弁電力消費を最適化するために、常時開もしくは常時閉であり得る。
【0033】
図6を参照すると、空気回路401は、回路301の排気弁323Aが比例制御排気弁423Aで置換されることを除けば、回路301(図5)に類似する。回路1の部分と概ね対応する回路401の部分が、「400」を足した同じ番号を与えられる。
【0034】
図示される実施形態において、比例制御弁423Aは、3方向/3位置ピエゾ弁である。しかしながら、この弁は、3方向/2位置ピエゾ弁(図示せず)もしくは任意の他の適切な比例制御弁であり得る。弁423Aのような比例弁は、部分的に開放および閉鎖され得て、弁を通過する流体の量および速度を変化させ得る。制御器405は、排気段階の間、弁423Aが開放される度合いを制御し得て、袋部403A、403B、403Cにおける残留圧力を制御し得る。制御器405は、排気弁423Aを部分的に開放し得、それで空気が袋部403A、403B、403Cから排気される速度は、袋部/多岐管427における測定圧力と所望される残留圧力との間の差異に比例する。付加的もしくは代替的に、制御器405は、空気が袋部/多岐管から排気される速度が袋部/多岐管における圧力の変化の速度に比例するように、排気弁423Aを部分的に開放し得る。従来のソレノイド弁と比較すると、弁423Aを使用する比例制御は、より少ない電力を使用し、袋部403A、403B、403Cにおける治療圧迫圧力と所望される残留圧力との間のより滑らかな移行を促進し得る。付加的もしくは代替的に、弁423Aを使用する比例制御は、サイクルごとに必要に応じて、袋部403A、403B、404Cにおける残留圧力を修正し得る。ソレノイド弁と比べると、この弁は、繰り返し閉鎖もしくは開放されることを必要とせずに、残留圧力を制御する。
【0035】
図7を参照すると、空気回路501は、受動逆止弁529が排気弁523Aから下流にあることを除けば、回路301(図5)に類似する。制御器505は、逆止弁529を制御して、各袋部503A、503B、503Cにおける残留圧力を制御する。回路1の部分と概ね対応する回路501の部分が、「500」を足した同じ番号を与えられる。
【0036】
排気段階の間、制御器505が排気弁523Aを開放する場合、空気は、多岐管527における圧力が下降して逆止弁のクラッキング圧力(例えば、逆止弁の製造の間に定められた圧力)を下回るまで、逆止弁529を通過する。例えば、クラッキング圧力は、袋部503A、503B、503Cにおける所望される残留圧力に基づいて選択され得る。多岐管527における圧力が下降して逆止弁529のクラッキング圧力を下回る場合、逆止弁は閉鎖して、多岐管における圧力を増加させる。多岐管527における圧力がクラッキング圧力よりも大きなレベルへ上昇する場合、逆止弁529は開放して、多岐管における圧力を減らす。それゆえ、逆止弁529は、そのクラッキング圧力を介して、袋部503A、503B、503Cにおける残留圧力を制御する。
【0037】
図3を再び参照すると、受動逆止弁(図示せず)が、回路201の各弁223A、223B、223Cの出口(例えば、多岐管227と各弁との間)へ付加され得る。三つの逆止弁を使用することにより、各袋部203A、203B、203Cは、共通残留圧力もしくは異なった残留圧力へ制御され得る。逆止弁が受動的であるので、電力が、残留圧力を制御するためには消費されない。逆止弁のクラッキング圧力が固定されたこれらの実施形態において、袋部のための残留圧力は一定値である。
【0038】
図8を参照すると、空気回路601は、弁623Aおよび623Bが3方向/2位置常時開ソレノイド弁であることを除けば、回路101(図3)に類似する。回路1の部分と概ね対応する回路601の部分が、「600」を足した同じ番号を与えられる。弁623Cは、3方向/2位置常時閉ソレノイド弁である。弁623A、623B、623Cは、各々、袋部603A、603B、603Cと関連する。逆止弁629が、空気供給部621と多岐管627との間に配置される。袋部603Aは、対象者の足首への圧迫を可能にし得、袋部603Bは、対象者の下腿への圧迫を可能にし得、そして袋部603Cは、対象者の大腿への圧迫を可能にし得る。袋部603A、603B(例えば、患者の脚の足首および下腿の周りに配置された袋部)と関連した3方向/2位置弁は、残留圧力が膨張段階間でこれらの袋部において保持されることを可能にする。多岐管627における孔部633が、フェールセーフメカニズムを提供し得て、袋部603A、603B、603Cからの流体を排気し得る。孔部633は、多岐管627における小さな開口部であって、弁が排気段階の間に故障した場合、多岐管の排気を助ける。例えば、孔部633は、直径約0.005インチから直径約0.2インチであり得る。
【0039】
修正およびバリエーションが本開示の範囲から離れることなく可能であることは、明白である。
【0040】
本発明もしくはその好ましい実施形態(単数もしくは複数)の要素を紹介する場合、冠詞「一つの(a)」、「一つの(an)」、「この/その(the)」、および「この/その(said)」は、その要素が一つもしくはそれよりも多くあることを意味することを意図される。用語「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」は、包含的であることが意図され、そして列挙された要素以外の付加的な要素があり得ることを意味する。
【0041】
上記を考慮すると、いくつかの目的が達成され、そして他の有益な結果が得られることが見られる。
【0042】
様々な改変が、上記の構築物および方法において本開示の範囲から離れることなく成され得るが、上記の説明において含まれた全ての事項、および添付の図面において示された全ての事項は、例証として解釈され、限定する意味では解釈されないことが意図される。
【符号の説明】
【0043】
1 IPCデバイス
3 袋部
5 制御器
13 圧迫スリーブ
15 管材
19 プロセッサー
21 空気供給部
22 ハウジング
23 弁
24 制御パネル
25 圧力変換器
26 出力接続器
31 タイマー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図9
図7
図8