特許第6074453号(P6074453)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6074453絶縁性平面基板上に導電性パターンを形成する装置、方法、絶縁性平面基板、及びそのチップセット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6074453
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】絶縁性平面基板上に導電性パターンを形成する装置、方法、絶縁性平面基板、及びそのチップセット
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/12 20060101AFI20170123BHJP
【FI】
   H05K3/12 630A
【請求項の数】20
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-95150(P2015-95150)
(22)【出願日】2015年5月7日
(62)【分割の表示】特願2013-232186(P2013-232186)の分割
【原出願日】2008年5月9日
(65)【公開番号】特開2015-135995(P2015-135995A)
(43)【公開日】2015年7月27日
【審査請求日】2015年6月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】501239516
【氏名又は名称】ストラ エンソ オーワイジェイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マイヤラ、ユハ
(72)【発明者】
【氏名】シルヴィエ、ペトリ
【審査官】 井上 信
(56)【参考文献】
【文献】 特開平3−89591(JP,A)
【文献】 特開平1−319992(JP,A)
【文献】 特開平7−254768(JP,A)
【文献】 特開平6−53634(JP,A)
【文献】 特開平2−208995(JP,A)
【文献】 特開平10−848(JP,A)
【文献】 特開平7−86721(JP,A)
【文献】 米国特許第5817374(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動する絶縁性平面基板上に導電性パターンを形成する装置であって、
導電性粒子がそのパターンに従って集まることが可能となるように所定のパターンを絶縁性平面基板上に形成するように構成された少なくとも1つのモジュールであって、前記絶縁性平面基板の破壊点または屈服点は300℃未満であり、前記導電性粒子の融点が300℃未満の材料である、前記モジュールと、
前記導電性粒子を前記絶縁性平面基板に転送するように構成され、前記導電性粒子が前記所定のパターンに従って集まるように配置されるようにする、少なくとも1つの別のモジュールと、
前記導電性粒子を焼結によって前記絶縁性平面基板上に融着させるように構成され、前記導電性粒子が前記所定のパターンに従って融着して前記絶縁性平面基板上に導電性プレーンを形成するように配置されるようにする、焼結モジュールと、
を備え、
電荷が、前記導電性粒子を引き寄せる電界の力を生成するように前記絶縁性平面基板に対して略均一に形成され、前記絶縁性平面基板は前記所定のパターンに応じて引き寄せられた前記導電性粒子をさらに付着させる接着剤からなるカップリング剤が設けられ、前記1つのモジュールは、前記導電性粒子が前記所定のパターンに従って集まることが可能となるような該所定のパターンが前記カップリング剤によって形成されるように、該カップリング剤を前記絶縁性平面基板上に拡散させるように構成された拡散モジュールを備える、装置。
【請求項2】
前記絶縁性平面基板は、繊維ウェブのような繊維ベース生成物を含む、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記繊維ベース生成物は、紙、又は板紙、又はポリマー・フィルムを含む、請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記絶縁性平面基板上の前記導電性プレーンは、電気回路の一部分、電位回路、又はチップセットを含む、前記請求項1から請求項3のいずれか一項記載の装置。
【請求項5】
前記拡散モジュールは、キャノンを含む、請求項1記載の装置。
【請求項6】
前記拡散モジュールは、ロールと、容器と、を備え、前記ロールは、前記カップリング剤を前記容器から前記絶縁性平面基板に転送するように構成される、請求項1記載の装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つのモジュールは、前記所定のパターンに従って前記絶縁性平面基板の表面上に前記電荷を形成するように構成された電気ロールを備える、請求項1記載の装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの別のモジュールは、別の電気ロールを備え、該別の電気ロールは、前記導電性粒子が電磁界の力によって前記別の電気ロールに付着され、前記絶縁性平面基板に転送され、前記絶縁性平面基板の前記表面上に配置された前記電荷によって前記絶縁性平面基板に付着されるように、前記導電性粒子を容器から前記絶縁性平面基板に転送するように構成される、請求項7記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの別のモジュールは、前記導電性粒子が前記所定のパターンに従って前記絶縁性平面基板の表面に転送可能な前記導電性粒子用の容器を備える、請求項1記載の装置。
【請求項10】
前記絶縁性平面基板の前記表面上の電荷は、前記導電性粒子を前記表面に引き寄せ、接着剤は、前記所定のパターンに従って前記導電性粒子を前記表面に付着させ、前記接着剤及び前記電荷はいずれも、前記所定のパターンに従って配置される、請求項9記載の装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つの別のモジュールは、電気ロールを更に備え、前記電気ロールは、前記導電性粒子が電磁界の力によって前記電気ロールに付着され、前記絶縁性平面基板に転送され、前記絶縁性平面基板の前記表面上に配置された接着剤によって前記絶縁性平面基板に付着されるように、前記導電性粒子を前記容器から前記絶縁性平面基板に転送するように構成される、請求項9記載の装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つの別のモジュールは、前記所定のパターンに従って前記絶縁性平面基板上に電荷を作成するために、マスクと、電圧源と、電圧ドレインと、を更に備え、前記絶縁性平面基板の前記表面上の前記電荷は、前記導電性粒子を前記表面に引き寄せ、接着剤は、前記導電性粒子を前記所定のパターンに従って前記表面に付着させる、請求項9記載の装置。
【請求項13】
前記接着剤は、前記導電性粒子が前記電荷によって前記所定のパターンに従って引き寄せられ、前記導電性粒子が接着剤によって前記絶縁性平面基板に付着されるように、前記絶縁性平面基板上に均一に分散される、請求項12記載の装置。
【請求項14】
前記焼結モジュールは、2つのロールを備え、前記2つのロールの少なくとも1つのロールは、加熱される、請求項1記載の装置。
【請求項15】
前記焼結モジュールは、ブロア・ヒータを更に備える、請求項14記載の装置。
【請求項16】
移動する絶縁性平面基板上に導電性パターンを形成する方法であって、
導電性粒子がそのパターンに従って集まることが可能となるように所定のパターンを絶縁性平面基板上に形成するステップであって、前記絶縁性平面基板の破壊点または屈服点は300℃未満であり、前記導電性粒子の融点が300℃未満の材料である、前記ステップと、
前記導電性粒子を前記絶縁性平面基板に転送するステップであって、前記導電性粒子が前記所定のパターンに従って集まるように配置され、前記導電性粒子が前記絶縁性平面基板上で焼結され、そして、前記導電性粒子が前記所定のパターンに従って融着して前記絶縁性平面基板上に導電性プレーンを形成する、ステップと、からなる方法であって、ここで、
電荷が、前記導電性粒子を引き寄せる電界の力を生成するように前記絶縁性平面基板に対して略均一に形成され、前記絶縁性平面基板は、前記所定のパターンに応じて引き寄せられた前記導電性粒子をさらに付着させる接着剤からなるカップリング剤が設けられ、前記導電性粒子が前記所定のパターンに従って集まることが可能となるような該所定のパターンが前記カップリング剤によって形成されるように、該カップリング剤前記絶縁性平面基板上に拡散されている、前記方法。
【請求項17】
導電性パターンが形成される移動する絶縁性平面基板であって、
導電性粒子がそのパターンに従って集まることが可能となるように前記絶縁性平面基板上に配置される所定のパターンであって、前記絶縁性平面基板の破壊点または屈服点は300℃未満であり、前記導電性粒子の融点が300℃未満の材料である、前記所定のパターンと、
前記絶縁性平面基板上で焼結される導電性粒子と、
を備え、
前記導電性粒子は、前記所定のパターンに従って融着して前記絶縁性平面基板上に導電性プレーンを形成するように配置され、前記導電性粒子は、前記所定のパターンに従って集まるように配置され、
電荷が、前記導電性粒子を引き寄せる電界の力を生成するように前記絶縁性平面基板に対して略均一に形成され、前記絶縁性平面基板は前記所定のパターンに応じて引き寄せられた前記導電性粒子をさらに付着させる接着剤からなるカップリング剤が設けられ、前記導電性粒子が前記所定のパターンに従って集まることが可能となるような該所定のパターンが前記カップリング剤によって形成されるように、該カップリング剤が拡散モジュールによって前記絶縁性平面基板上に拡散されるようにした、前記絶縁性平面基板。
【請求項18】
導電性粒子がそのパターンに従って集まることが可能となるように移動する絶縁性平面基板上に配置される所定のパターンであって、前記絶縁性平面基板の破壊点または屈服点は300℃未満であり、前記導電性粒子の融点が300℃未満の材料である、前記所定のパターンと、
前記絶縁性平面基板上に導電性プレーンを形成するように焼結される導電性粒子と、
を備え、
前記導電性粒子は、前記所定のパターンに従って融着して前記絶縁性平面基板上に前記導電性プレーンを形成するように配置され、前記導電性粒子は、前記所定のパターンに従って集まるように配置され、
電荷が、前記導電性粒子を引き寄せる電界の力を生成するように前記絶縁性平面基板に対して略均一に形成され、前記絶縁性平面基板は前記所定のパターンに応じて引き寄せられた前記導電性粒子をさらに付着させる接着剤からなるカップリング剤が設けられ、前記導電性粒子が前記所定のパターンに従って集まることが可能となるような該所定のパターンが前記カップリング剤によって形成されるように、該カップリング剤が拡散モジュールによって前記絶縁性平面基板上に拡散される、チップセット。
【請求項19】
前記導電性粒子は乾燥状態で前記絶縁性平面基板に移動されるように構成された、請求項1記載の装置。
【請求項20】
前記絶縁性平面基板上に形成された導電性プレーンが1または複数の連続的な導電性構造体である、請求項1記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁性平面基板上に導電性パターンを形成する装置に関する。更に、本発明は、絶縁性平面基板上に導電性パターンを形成する方法に関する。更に、本発明は、上記に従って形成される導電性パターンを備える絶縁性平面基板に関する。更に、本発明は、上記に従って絶縁性平面基板上に形成されるチップセットに関する。
【背景技術】
【0002】
特に、可撓性基板上のエレクトロニクスの印刷では、ロジスティクス・ソリューション、ディスポーザブル・エレクトロニクス、更にはプリント・ディスプレイ向けの電子部品及び用途が探求されている。今日、プリンテッド・エレクトロニクスの応用分野では、従来の電子部品製造でよく知られる電気めっきやスクリーン印刷等の方法が利用されている。残念ながら、これらの方法は低速であり、多孔性基板及び/又はウェブ状基板にはあまり適さない。電子部品の印刷にはフレキソ・グラビア印刷も使用されている。上述の既知の解決策の問題点は、それらによって作成される構造体の不連続性(20網点のため)、溶媒蒸発、及び多孔性構造における成分吸収(液体材料の場合)である。導電性ポリマーの主な課題は、導電性が不十分であること、及び酸化等の環境影響に対する保護である。
【0003】
また、導電性ペースト、ゲル、及びインクを使用して導電性パターンを印刷する技法もいくつか知られている。しかしながら、これらの既知の導電性パターン印刷技法にはいくつかの問題がある。液相材料の塗布は、処理が複雑になる点、導電性が比較的低い点、及び/又は印刷トレースの解像度の点で望ましくない。組成物に当初含まれる溶媒又は助剤の除去は、時間のかかる工程を要する。
【0004】
上述の既知の解決策では、これらの既知の解決策で使用可能な基板に関していくつかの限界が設定される。これらの解決策はいずれも、非常に高い温度又は基板を弱体化させる局所的圧縮を使用する故に、紙基板、繊維ウェブ基板、板紙基板等にはあまり適さない。一方、成膜マスク、ステンシル、又はxreensは、成膜プロセスが不必要に複雑となり、実現可能な解像度に限界があることから、プロセスの速度、カスタマイズ性、及び柔軟性を目標とする限り望ましいものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、絶縁性平面基板上の導電性パターンの形成を比較的効率的且つ単純な形で実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、
導電性粒子がそのパターンに従って集まることが可能となるような所定のパターンを絶縁性平面基板上に形成するように構成された少なくとも1つのモジュールと、
前記導電性粒子を前記絶縁性平面基板に転送するように構成され、前記導電性粒子が前記所定のパターンに従って集まるように配置されるようにする、少なくとも1つの別のモジュールと、
前記導電性粒子を前記絶縁性平面基板上に融着させるように構成され、前記導電性粒子が前記所定のパターンに従って融着して前記絶縁性平面基板上に導電性プレーンを形成するように配置されるようにする、焼結モジュールと、
を備える装置が提供される。
【0007】
本発明の別の態様によれば、
導電性粒子がそのパターンに従って集まることが可能となるような所定のパターンを絶縁性平面基板上に形成するステップと、
前記導電性粒子を前記絶縁性平面基板に転送し、前記導電性粒子が前記所定のパターンに従って集まるように配置されるようにするステップと、
前記導電性粒子を前記絶縁性平面基板上で焼結させ、前記導電性粒子が前記所定のパターンに従って融着して前記絶縁性平面基板上に導電性プレーンを形成するように配置されるようにするステップと、
を含む方法が提供される。
【0008】
本発明のまた別の態様によれば、絶縁性平面基板であって、
導電性粒子がそのパターンに従って集まることが可能となるように前記絶縁性平面基板上に配置される所定のパターンと、
前記絶縁性平面基板上で焼結される導電性粒子と、
を備え、
前記導電性粒子は、前記所定のパターンに従って融着して前記絶縁性平面基板上に導電性プレーンを形成するように配置され、前記導電性粒子は、前記所定のパターンに従って集まるように配置される、
絶縁性平面基板が提供される。
【0009】
本発明のまた別の態様によれば、
導電性粒子がそのパターンに従って集まることが可能となるように前記絶縁性平面基板上に配置される所定のパターンと、
前記絶縁性平面基板上に導電性プレーンを形成するように焼結される導電性粒子と、
を備え、
前記導電性粒子は、前記所定のパターンに従って融着して前記絶縁性平面基板上に前記導電性プレーンを形成するように配置され、前記導電性粒子は、前記所定のパターンに従って集まるように配置される、
チップセットが提供される。
【0010】
本発明の他の様々な実施形態は、絶縁性平面基板上の導電性プレーンの形成を比較的正確且つ便利な形で実現することができる。
【0011】
以下では単なる例示として、添付図面を参照しながら本発明の他の様々な実施形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】絶縁性平面基板上に導電性パターンを形成するように構成された装置の一部の概要、及び本発明の一実施形態に係るパターンを示す図である。
図2a】本発明の一実施形態に従って導電性粒子が集められ、基板上のカップリング剤に結合される様子を示す、絶縁性平面基板上に導電性パターンを形成するように構成された装置の一部分の断面図である。
図2b】本発明の一実施形態に従って粒子が焼結前に基板に結合されている様子を示す、絶縁性平面基板上に導電性パターンを形成するように構成された装置の一部分の断面図である。
図3】本発明の一実施形態に従って導電性粒子が電界を使用して転送される様子を示す、絶縁性平面基板上に導電性パターンを形成するように構成された装置の一部分の断面図である。
図4a】本発明の一実施形態に従ってカップリング剤を基板に転送する様子を示す、絶縁性平面基板上に導電性パターンを形成するように構成された装置の一部分の断面図である。
図4b】本発明の一実施形態に従ってマスク及び電圧源を使用して所定の電荷を基板に作成する様子を示す、絶縁性平面基板上に導電性パターンを形成するように構成された装置の一部分の断面図である。
図4c】本発明の一実施形態に従って導電性粒子が所定の電荷によって基板に引き寄せられ集められる様子を示す、絶縁性平面基板上に導電性パターンを形成するように構成された装置の一部分の断面図である。
図4d】本発明の一実施形態に従って導電性粒子が焼結前に基板に結合される様子を示す、絶縁性平面基板上に導電性パターンを形成するように構成された装置の一部分の断面図である。
図5】カップリング剤が所定のパターンに従って基板に拡散され、電気ロールが使用される様子を示す、本発明の一実施形態に係る絶縁性平面基板上に導電性パターンを形成するように構成された装置の断面図である。
図6】電気ロールを使用して基板上に荷電パターンを作成し、それに従って導電性粒子を基板に転送する様子を示す、本発明の一実施形態に係る絶縁性平面基板上に導電性パターンを形成するように構成された装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、絶縁性平面基板101上に導電性パターン99を形成するように構成された装置100の一部の概要、及び本発明の一実施形態に係るパターン99を示す図である。本発明の様々な実施形態は、成膜されるパターン99の導電性を高めたときに(微小)粒子102(図1には図示せず)を様々な基板101上に堆積させ、恒久的に取り付け得ることに基づく。このことは、導電性粒子102を所定のパターン99に従って集めることが可能となるように、絶縁性平面基板101上に所定のパターン99を形成するように構成された、装置100の少なくとも1つのモジュールによって達成される。更に、装置100の少なくとも1つの別のモジュールは、導電性粒子を絶縁性平面基板101に転送するように構成され、導電性粒子102が所定のパターンに従って集まるように配置されるようにする。更に、装置100の焼結モジュールは、導電性粒子102を絶縁性平面基板101上に融着(fuse)させるように構成され、導電性粒子102が所定のパターン99に従って融着して絶縁性平面基板101上に導電性プレーン99’を形成するように配置されるようにする。使用される堆積によっては中間段階が不要となる(粒子が乾式堆積される場合、又は堆積材料の乾燥段階が利用される場合(粒子が液体懸濁液に堆積される場合))。
【0014】
本発明の様々な実施形態は、とりわけ乾燥状態の導電性(半導電性も含む)粒子102、例えば粉末状の微小粒子に適している。導電性粒子102は、金属、ポリマー、あるいはその組み合わせであってよい。作成される構造体の解像度は粉末材料の粒径に依存する可能性があるが、堆積及び焼結プロセスでは一般に、材料の組成が重要となる。
【0015】
基板101は、ほぼ任意の平坦な絶縁性シート、ウェブ、繊維、繊維ウェブ等とすることができる。このプロセスには紙、板紙、及びポリマー・フィルム(プラスチック)がよく適していることが分かっているが、他の同様の非導電性表面を使用することも可能である。紙又は板紙は、塗工紙、非塗工紙、上質紙、あるいは中質紙であってよい。また、多層基板も使用可能である。他の可能な基板としては、例えば織物、不織材料、エレクトロニクス産業における回路基板、成形品、ガラス、壁紙やフロア・コーティングのような建築材料、非焼成セラミックス、焼成セラミックス、(バイオ)ポリマー・ベース及び複合材料が挙げられる。ここで列挙した各基板は、それぞれ独自の応用分野及び利点を有する。特に、本発明の他の一実施形態は、破壊点又は屈服点が300℃未満の基板、特に250℃未満の基板、更には200℃未満の基板に適しており、即ち、少なくとも高い温度に耐えられない様々な紙及びプラスチック・グレードに適している。
【0016】
図2aは、本発明の一実施形態に従って導電性粒子102が集められ、基板101上のカップリング剤103に結合される様子を示す、絶縁性平面基板上101に導電性パターン99を形成するように構成された装置100の一部分の断面図である。図2aは、導電性粒子102を絶縁性平面基板101に転送するように構成された少なくとも1つの別のモジュールの一実施形態を示しており、この場合、導電性粒子102は、所定のパターン99に従って集まるように配置される。容器106は、導電性粒子102を含む。絶縁性平面基板101は、カップリング剤103を含む。本発明の一実施形態では、カップリング剤103は、接着剤等であってよい。カップリング剤103は、粒子がそれ自体に付着し得るように配置される。更に、図2aの実施形態では、カップリング剤103は、基板101上に所定のパターン99(図2には図示せず)を形成する。基板101は、電荷、即ち負電荷105及び正電荷104も含む。
【0017】
他の一実施形態では、電荷104、105は、基板101に対してほぼ均一に(図示せず)形成される。本実施形態では、これらの電荷は、電磁界によって粒子102を基板101に引き寄せる。カップリング剤103は、基板101上のカップリング剤103が配置された場所で、粒子102が基板101に更に付着するようにさせる。カップリング剤103が存在しない他の位置では、粒子は基板101に付着しない。
【0018】
一実施形態では、電荷104、105は、所定のパターン99に従って絶縁性基板101に形成される。したがって、電荷104、105は、ほぼ所定のパターン99に従って配置される。更に、電荷104の位置は、カップリング剤103の位置に対応する。
【0019】
電荷104は、導電性粒子102を図2aの矢印で示すように引き寄せる。導電性粒子102は、電磁界の力によってカップリング剤103に引き寄せられる。カップリング剤103は、導電性粒子102を基板101に付着させる。この付着は、基板101が比較的高い速度で移動している間も実行可能である。
【0020】
図2bは、本発明の一実施形態に従って導電性粒子102が焼結前に基板101に結合されている様子を示す、絶縁性平面基板101上に導電性パターン99’を形成するように構成された装置100の一部分の断面図である。図2bの実施形態では、導電性粒子102は、カップリング剤103によって基板101に付着され結合されている。本実施形態の焼結プロセスは、基板101の両側に配置された焼結ロール107及び108を含む。したがって、導電性粒子102が基板101の表面上に転送された後、粒子102の焼結が行われ、それによって連続的な導電性構造体99’(図2bには図示せず)が形成される。この焼結は、例えば図2bに示すような分離型又は半分離型焼結ニップ内の温度及び圧力下で実行されることが好ましい。分離型焼結ニップは、2つの個別のロール107、108を備え、半分離型焼結ニップは、焼結ロールのカウンタ・ロール(図示せず)として電極ロールを利用する。所望の焼結温度を達成するために、ロール107、108の一方又は両方が加熱される。また、選択された温度に応じて、焼結を発生させるのに十分な圧力が焼結ニップ内で生成される。別法として、ロール・ニップにおける焼結の代わりに、ベルトを使用することも、シュー・ニップ(shoe−nip)のようなロング・ニップを使用することも可能である。これらの他の実施形態では、ニップ長を数ミリメートル、典型的には2〜500mmとし、圧力範囲を10〜20000kPaとすることができる。加熱の構成は、上述のロール・ニップ・システムと同じ原理を使用する。焼結において、所望の導電性(使用材料の特性によっては半導電性も含む)表面パターン99’が形成される。これにより、最終的なチップセット99’を基板101上に形成することができる。
【0021】
(焼結システム)
焼結プロセスでは、導電性粒子102が互いに焼結され、それによって連続的な導電性構造体99’が形成される。この焼結手順では、単純に(ロール又はプレート構成の)圧力及び温度を利用することができる。この手順は、使用される導体材料の融解及び焼結温度よりも高い温度にするのに利用される。ロール107及び108のいずれか一方、あるいは焼結ニップのプレート又はベルトを加熱することも可能である。加熱材料の表面材は、大きな変形なしに使用温度(例えば50℃〜250℃)に耐え得るものとすべきである。ロールの表面材は、例えば炭化タングステン、硬質クロム、PTFEカバー及びその誘導体、ならびに固着防止特性(低表面エネルギー)を有するセラミック材料である。加熱ロール108に直接接触する形で焼結を行うことも、基板材料を介して熱を伝達することも可能である。また、ニップ内の熱伝達を高めるために、接触するロール107、108を両方加熱することもできる。基板101に対して導電性粒子102をより良く付着させるために、少なくとも粒子形成パターンが含まれない基板101の表面に接触するロール107又はプレート(第2のロール)が加熱されることが好ましい。粉末に接触するロール108(第1のロール)は、ずっと低い温度とすることができ、加熱せずに冷却することも可能である。
【0022】
図3は、本発明の一実施形態に従って電界を使用して導電性粒子102を転送する様子を示す、絶縁性平面基板101上に導電性パターン99を形成するように構成された装置100の一部分の断面図である。絶縁性平面基板101は、好ましくは導電性粒子102に面する基板101の表面上に配置されるカップリング剤103を備える。図3の実施形態は、電気ロール109を備える。電気ロール109は、電圧源に接続された電極110を備える。ロールの反対側には、導電性粒子102を収容した容器106が位置する。基板101は、これらの2つの間にある。ロール109が回転したときに電極110が基板101に近付くと、電磁界の力が導電性粒子を引き寄せ始め、その結果、導電性粒子102’がカップリング剤103に接触し付着することによって基板101に付着するようになる。電極110’は、導電性粒子102から離れすぎており、したがって導電性粒子102、102’を引き寄せることはない。図3の実施形態では、ロール109の円周上における電極110の位置及びパターンに従って、所定のパターン99を形成することができる。それに加えて又はその代わりに、カップリング剤103を所定のパターンにすることもできる。したがって、このパターンは、カップリング剤103と電極110の両方の組み合わせに従って、又はカップリング剤103のみによって形成される。また、ロール109は、基板101上に付着粒子102’の一定のパターン99を作成するように移動するように適合可能である。更に、電極110は、電極110の電圧を制御することにより、所定のパターン99が形成されるように案内されることができる。
【0023】
図4aは、本発明の一実施形態に従ってカップリング剤103が基板101に転送される様子を示す、絶縁性平面基板101上に導電性パターン99を形成するように構成された装置100の一部分の断面図である。図4aは、カップリング剤103を基板101に転送する2つの代替手法を示す。キャノン111は、カップリング剤103を基板101の表面に発射又は噴霧する。キャノン111は、カップリング剤103を所定のパターン99に従って又はほぼ均一に噴霧するように構成することができる。別法として、カップリング剤103は、ロール112によって基板101に転送されてもよい。ロール112は、カップリング剤103を収容した容器106からカップリング剤を転送する。ロール112は、パターン99を作成するように移動するように制御可能である。また、このロールは、基板101上にパターン99を作成するために、所定の形状又は装飾、即ち所定のパターンを含むこともできる。
【0024】
図4bは、本発明の一実施形態に従ってマスク115ならびに電圧源及びドレイン114、114’を使用して所定の電荷104、105を基板101に作成する様子を示す、絶縁性平面基板101上に導電性パターン99を形成するように構成された装置100の一部分の断面図である。本実施形態では、マスク115は、基板101上の電荷105を用いたパターン99の形成に使用される。基板101は、電圧源114と114’の間に転送される。これにより、基板101に対する一定の位置に電荷104、105を作成する電圧がもたらされる。これにより、マスク115を使用して所定のパターン99に従う電荷104、105が作成される。
【0025】
図4cは、本発明の一実施形態に従って導電性粒子102が所定の電荷104によって基板101に引き寄せられ集められる様子を示す、絶縁性平面基板101上に導電性パターン99を形成するように構成された装置100の一部分の断面図である。基板101は移動可能であり、導電性粒子102を収容した容器106も移動可能である。一般に、基板101は、基板101と容器106との間の距離が実質的に同じであるように容器106と相対的に移動する。基板101は、所定のパターン99に従う電荷104を含む。電荷104は、導電性粒子102を基板101に引き寄せる。基板は、導電性粒子102に面する側にカップリング剤103を含む。したがって、導電性粒子102は、電荷104に向かって集まり、カップリング剤103によって基板101に付着される。それ故、導電性粒子102は、所定のパターン99に従って基板101に付着される。
【0026】
図4dは、本発明の一実施形態に従って導電性粒子102が焼結前に基板101に結合される様子を示す、絶縁性平面基板101上に導電性パターン99を形成するように構成された装置100の一部分の断面図である。図4dの実施形態では、基板101は、カップリング剤103のほぼ均一な層を含む。導電性粒子102が基板101に転送され、所定のパターン99が形成されている。図4dの実施形態は、その他の点では図2bの実施形態と同様である。
【0027】
図5は、カップリング剤103が所定のパターン99に従って基板101に拡散され、電気ロール109’が使用される様子を示す、本発明の一実施形態に係る絶縁性平面基板101上に導電性パターン99を形成するように構成された装置100の断面図である。図5の実施形態では、基板101は、カップリング剤103を所定のパターン99として含む。したがって、カップリング剤103は、所定のパターン99を作成するように基板101に拡散されている。基板101は前方に移動する。ロール109’は回転する。ロール109’は電圧源+Vを含む。ロール109’’は電圧ドレイン−Vを含む。これにより、ロール109’は、該ロール109’が回転したときに容器106から導電性粒子102を収集し、ロール109’の表面に引き寄せる。ロール109’が回転し基板101が移動すると、導電性粒子102は、カップリング剤103に接触する。導電性粒子102は、カップリング剤103に付着される。したがって、導電性粒子102は、基板101の表面上に所定のパターン99を形成する。カップリング剤103に接触しない導電性粒子102は、基板101に付着されずロール109’の表面上に残る。
【0028】
図6は、電気ロール112、112’、112’’を使用して基板101上に荷電パターン99を作成し、それに従って導電性粒子102を基板101に付着させる様子を示す、本発明の一実施形態に係る絶縁性平面基板101上に導電性パターン99を形成するように構成された装置100の断面図である。電気ロール112は、+Vcorona電圧を生成する電圧源113を含む。ロール112は、電荷105によってパターン99を形成するためのマスクも含む。コロナ電圧には、112’の−Vaccelや電圧ドレイン等、2つ以上の代替が存在する可能性がある。マスクは、マスクの所定のパターンに従って電荷105が基板101上に作成されるように設計される。したがって、図6の実施形態では、マスク及び電荷105によって所定のパターン99が作成される。図6の実施形態は、電気ロール109’も含む。図6の実施形態では、基板101は、カップリング剤103を含まない。基板101は前方に移動し、各ロールは回転する。ロール109’は、接地を含むことができる。更に、電界を生成するドレイン−Vも存在する。これにより、ロール109’は、該ロール109’が回転したときに容器106から導電性粒子102を収集し、ロール109’の表面に引き寄せる。ロール109’が回転し基板101が移動すると、導電性粒子102は、電荷105に接触する。導電性粒子102は、電荷105によって基板101に付着される。したがって、導電性粒子102は、基板101の表面上に付着される。導電性粒子102は、電荷105のパターンに従って、基板101の表面上に所定のパターン99を形成する。電荷105に接触しない導電性粒子102は、基板101に付着されずロール109’の表面上に残る。焼結部分は、ヒータ、例えばラジエータ/IRを含む。更に、焼結部分は、ロール108及び107も含む。焼結プロセスは、図2b及び図4dの実施形態とほぼ同様の動作とすることができる。
【0029】
(導電性粒子)
上述のとおり、本発明のいくつかの実施形態は、導電性粒子102を使用する。導電性粒子の非限定的な例は、金属微小粒子である。他の実施形態では、低融点金属及び金属合金が適用される。特に、スズ‐ビスマス合金がこの用途に適していることが証明されている。この文脈では、低融点金属及び合金には、融点が300℃未満の材料、典型的には50〜250℃、特に100〜200℃の融点の材料が含まれる。適切な金属としては、例えばスズ、ビスマス、インジウム、亜鉛、ニッケル等が挙げられる。上述の金属は、低融点合金を作成する能力を有するので、他の実施形態にも適した好ましい合金成分である。例えば、様々な比率のスズ‐ビスマス、スズ‐ビスマス‐亜鉛、スズ‐ビスマス‐インジウム、又はスズ‐ビスマス‐亜鉛‐インジウムが本発明の他の実施形態でも有利であることが証明されている。合金中のこれらの金属の比率を変更すると、合金の融解挙動が大きく変化する可能性がある。スズ含有合金では、合金中のスズの比率は20〜90wt%、好ましくは30〜70wt%である。15.6wt%のスズ、36.1wt%のビスマス、48.3wt%のインジウムという組成にすると、59℃という低い融点が得られる。それ故、非常に低い温度での応用が可能となる。
【0030】
導電性粒子、例えば金属又は金属合金粒子のサイズは、0.5(より低い値も可能)〜100μm(より高い値も可能)の範囲とすることができ、5つの非常に高い解像度の応用例では、場合によっては1〜20μmの範囲とすることができる。粒子は、ほぼ100%の金属を含むことができる。即ち、これらの他の実施形態を実施する際は、粒子に含められる助剤、粉末に混合される助剤、あるいは基板101上に事前に塗布される助剤は必要とされない。
【0031】
(他の材料)
他の実施形態では、堆積時にポリアニリン(PANI)やポリ(3.4‐エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)のような導電性ポリマーを導電性粒子として使用することもできるが、導電性ポリマーの不融性の故に材料の焼結が困難となる。基本的に、真性導電率を有するポリマーは、通常の溶媒では融解又は溶解しない。しかしながら、これらは、200℃を十分上回ると分解するので、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、エチレン‐アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン‐プロピレン‐ジエン三元共重合体(EPDM)等、様々な合成ポリマーと混合させることが可能となる。これらの複合材料もやはり、半導体レベルの導電性を有する。
【0032】
(粒子容器)
本発明のいくつかの実施形態は、粒子容器106を使用する。粒子容器の一例としては、粉末容器等を挙げることができる。容器106のハウジングは、絶縁性構造体に接触することも、粒子に接触することも、粒子が電荷を獲得する表面に接触することもある。この後、粒子は、例えば電界を利用して転送ロール表面上に転送される。通常、電荷を粒子キャリア内の粒子に均一に分散させるには、一定の閾値電圧が必要となる。閾値電圧のレベルは、粒子のタイプに依存する。ある例では、スズ‐ビスマス合金の電圧は、典型的には約200Vとなる。
【0033】
他の実施形態では、容器106内の均質分散をもたらすために流動化が適用される。これにより、転送ロールに対する粒子の均一な転送及び堆積が保証される。流動化は、空気、機械的振動、及び(導電性粒子による)静電斥力を使用することによって実行可能である。
【0034】
(ロール)
本発明のいくつかの実施形態は、参照符号109、112のような様々なロールを使用する。転送ロールは、電気的に負とすることができる。転送ロールは、転送ロールの表面上に堆積される粒子と電位が異なる電極を備えることができる。この電位差は、ロールやベルト等の表面にある表面電荷によって生成することも可能である。容器と転送ロールとの間の電界は、これらの電極に対して生成される。容器(及びその内部の導電性粒子)と転送ロールとの間で電界が形成されると、その電界によって荷電粒子が転送ロールの表面に転送される。
【0035】
(電極ロール)
本発明のいくつかの実施形態は、帯電したロール109、112を使用する。最も単純な形の電極は、他のシステム構成要素から絶縁され、荷電粒子と逆の電位になる金属ロールを含むロールである。この目的は、基板101の表面に対する粒子102の転送を可能にするために、転送ロール(及びその表面上の粒子)と電極ロールとの間に電界を生成することである。これに加えて、粒子転送では、コロナ帯電を使用して荷電粒子と基板の間の電位差を生成することができる。基板101の片側をコロナ帯電に由来するイオンで帯電させ、基板の反対側を荷電粒子に接触又は近接させ、それによって粒子転送を行うことができる。
【0036】
(剥離システム)
粒子102が基板101の表面に転送された後は、基板101及び粒子102をロールから剥離する必要が生じ得る。基板101の誘電特性(体積抵抗率と表面抵抗率の両方)に応じて、この粒子は、電極ロール109に向かう静電気力を維持する傾向がある。これは、粒子102とロール109の間の電位差に起因する。粒子と電極ロール109の間の静電気力を低減するために、いくつかの措置を講じることができる。第1に、繊維ベース材料(紙及び板紙)を含むウェブの含水率を高めることにより、粒子から繊維ベース・フィルムやポリマー・フィルム等を含むウェブへの電荷転送を可能にすることができる。第2に、交流電流イオナイザを使用して粒子の電荷を中性化することができる。第3に、(例えばウェブを電極ロールに長い期間接触させておくことによって)粒子の電荷が減衰するまで、電位差が安定に維持されるように構成することができる。第4に、粒子を電極に接触させたまま焼結することもできる。紙又は板紙が基板として使用され、且つ水分依存性の剥離処理(moisture−dependent detaching)が利用される場合は、プロセス環境の相対湿度は、好ましくは約20〜90%、典型的には30〜60%である。この相対湿度は、例えば紙の含水率が2〜20%の範囲であることを意味する。これにより、剥離のための適切な電荷減衰時間が荷電粒子に提供される。
【0037】
(派生物及び範囲)
上記の説明は多くの詳細事項を含むが、これらは単に本発明を例示するために提示したものであり、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。また、これらの多くの詳細事項は、1つ又は複数の実施形態において様々な形で組み合わせることができる。したがって、本発明の装置及びプロセスには、本発明の趣旨及び範囲から逸脱しない限り様々な修正及び変更を加えることができることが当業者には理解されるだろう。
図1
図2a
図2b
図3
図4a
図4b
図4c
図4d
図5
図6