(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0032】
組成物
本発明の好ましい態様は、3〜6個の炭素原子、好ましくは3〜5個の炭素原子、一定
の非常に好ましい態様においては3個の炭素原子と、少なくとも一つの炭素−炭素二重結
合とを含有する少なくとも一つのフルオロアルケンを含む組成物に関する。本発明のフル
オロアルケン化合物は、少なくとも一つの水素を含有する場合は、便宜上、ハイドロフル
オロ−オレフィン又は“HFO”と呼ぶ場合がある。本発明のHFOは二つの炭素−炭素
二重結合を含み得ると予想されるが、かかる化合物は現時点では推奨されない。少なくと
も一つの塩素原子を含有するHFOに関して、本明細書中でHFCOという表記を使用す
る場合がある。
【0033】
上記のとおり、本組成物は、これまでに具体的に示した各化合物をはじめとする式Iの
化合物を一又はそれより多く含む。一定の好ましい態様において、組成物は以下の式II
:
【0035】
(式中、各Rは、独立して、Cl、F、Br、I、又はHであり、
R’は、(CR
2)
nYであり、
YはCRF
2であり、そして
nは、0、1、2、又は3、好ましくは0又は1であるが、化合物中にBrが存在する
場合は化合物中に水素が存在しないことが一般的には好ましい)
の化合物を含む。一定の態様では、化合物中にBrは存在しない。
【0036】
非常に好ましい態様において、YはCF
3であり、nは0又は1であり(最も好ましく
は、0)、残りのRのうち少なくとも一つはFであり、好ましくは、どのRもBrではな
く、Rが存在する場合は化合物中に水素は存在しない。
【0037】
一般に、上に示した式I、IA及びIIの化合物ならびに特にこれまでに具体的に示し
た化合物は、特に冷媒組成物などの熱伝達組成物、発泡剤組成物、相溶剤、エアゾール、
噴射剤、香味配合物、芳香配合物、溶剤組成物、及び膨張剤組成物をはじめとする、これ
までに述べた応用の各々において、概ね効果的であり、そして有用であると出願人は考え
る。しかし出願人は、驚くべきことに、そして予期せざることに、上記の式に従う構造を
有する化合物の特定のものは、そのような化合物の他のものと比較して、非常に望ましい
低いレベルの毒性を示すことを見出した。容易に認識できるように、この発見は、冷媒組
成物のみならず、上記の式を満足する特定の比較的毒性のある化合物であるいかなる全て
の組成物の配合のためにも、非常に有利かつ有益である可能性がある。特に、比較的低い
毒性レベルは式IIの化合物と関連していて、好ましくはYがCF
3であり、nが0又は
1であり、不飽和末端炭素についた少なくとも一つのRがHであるときに、低い毒性レベ
ルと関連している、と出願人は考える。好ましくは、不飽和末端炭素についた少なくとも
一つのRがHである式IIのかかる好ましい態様において、残りのRのうちの少なくとも
一つはFまたはClである。また、一定の態様において、特に毒性に格別の関心がもたれ
る場合は、不飽和末端炭素上には、一より多いフッ素置換基は存在せず、更により好まし
くは一より多いハロゲン置換基は存在しない。出願人はまた、そのような化合物の全ての
構造異性体、幾何異性体、及び立体異性体は有効で有益な低い毒性を有する、と考える。
【0038】
一定の好ましい態様において、本発明の化合物は、一又はそれより多いC3〜C4のH
FO、好ましくはC3のHFOを含む。一定の態様において、式Iの化合物で、式中、X
がハロゲン置換されたC3のアルキレンであり、zが3であるものをはじめとする、C4
のHFOが好ましいものとして使用される。一定のそのような態様において、Xは、フッ
素及び/又は塩素置換されたC3のアルキレンであり、一定の態様において好ましい、C
3アルキレン基には以下のものがある:
【0040】
したがって、かかる態様は、以下の好ましい化合物:CF
3−CH=CF−CH
3;CF
3−CF=CH−CH
3;CF
3−CH
2−CF=CH
2;CF
3−CH
2−CH=CF
H;及び、これら同士の組合せ及び/又はこれらと式Iにしたがった他の化合物との組合
せを含む。
一定の好ましい態様において、本発明の化合物は、C3〜C4のHFCO、好ましくは
C3のHFCOを含み、より好ましくは、YがCF
3、nが0、不飽和な末端炭素上のR
の少なくとも一つがHであり、残るRのうち少なくとも一つがClであるような式IIの
化合物を含む。HFCO−1233は、かかる好ましい化合物の一例である。
【0041】
非常に好ましい態様において、特に上記の低い毒性の化合物を含む態様において、nは
0である。一定の非常に好ましい態様において、本発明の組成物は、HFO−1234y
f、(シス)HFO−1234ze、及び(トランス)HFO−1234zeをはじめと
する、一又はそれより多いテトラフルオロプロペンを含み、一般的には、HFO−123
4zeが好ましい。
【0042】
(シス)HFO−1234ze及び(トランス)HFO−1234zeの特性は少なく
とも幾つかの点で異なるが、これらの化合物の各々は、単独で、またはその立体異性体を
含む他の化合物とともに、ここで説明している適用、方法およびシステムのそれぞれでの
使用に適合可能であると考えられる。例えば、トランスHFO−1234zeは、その比
較的低い沸点(−19℃)のために、一定のシステムにおいて用いるのに好ましいかもし
れないが、沸点が+9℃である(シス)HFO−1234zeも他の応用に好ましい場合
がある。もちろん、多くの態様においては、シス−及びトランス−異性体の組合せが許容
可能であり、及び/又は、好ましい場合もある。したがって、“HFO−1234ze”
の用語及び1,3,3,3−テトラフルオロプロペンは、両方の立体異性体を指し、そし
てこの用語の使用は、特に断らない限り、シス体とトランス体のそれぞれが、記載された
目的に適用され、及び/又は、有用であるということを示すことを意図している、と理解
すべきである。
【0043】
HFO−1234化合物は公知の物質であり、ケミカルアブストラクツデータベースに
載っている。様々な飽和および不飽和ハロゲン含有C
3化合物の接触蒸気相フッ素化によ
るCF
3CH=CH
2などのフルオロプロペンの製造は、米国特許第2,889,379
号、第4,798,818号、及び第4,465,786号に記載されていて、それらの
各々は参照により本明細書中に援用される。同様に参照により本明細書中に援用される欧
州特許(EP)第974,571号も、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(H
FC−245fa)を、高温において蒸気相中でクロム系触媒と接触させることによって
、あるいは液体相中でKOH、NaOH、Ca(OH)
2、又はMg(OH)
2のアルコ
ール溶液と接触させることによって、1,1,1,3−テトラフルオロプロペンを調製す
ることを開示している。さらに、本発明にしたがう化合物を製造するための方法は、「フ
ルオロプロペンを製造するための方法」と題する係属中の米国特許出願(代理人整理番号
(H0003789(26267))に関連して概略記載されていて、この文献も参照に
より本明細書中に援用される。
【0044】
本発明にしたがって使用するのに好ましい他の化合物としては、ペンタフルオロプロペ
ン(そのすべての異性体(例えば、HFO−1225)を含む)、テトラ−及びペンタ−
フルオロブテン(そのすべての異性体(例えば、HFO−1354及びHFO−1345
)を含む)が挙げられる。もちろん、本組成物は、本発明の広い範囲内にあるか又は本発
明の任意の好ましい範囲内の、任意のふたつ又はそれより多い組合せを含有してもよい。
【0045】
本組成物、特にHFCO−1233及び/又はHFO−1234(HFO−1234z
e、HFO−1234yf、HFO−1234yc、HFO−1234zc、HFO−1
234ye(E)、HFO−1234ye(Z)、HFCO−1233xf、トランスH
FCO−1233zd、及びシスHFCO−1233zdを含む)を含む組成物は、幾つ
もの重要な理由から、有利な特性を有していると考えられる。例えば、本発明のフルオロ
オレフィンは、幾つかの他のハロゲン化種と比較してオゾンの破壊にはほとんど寄与しな
いために、大気の化学的性質には本質的に有害な影響を与えないだろうと、出願人は、少
なくとも一部は数学的モデル化に基づいて、考える。したがって、本発明の好ましい組成
物は、オゾンの破壊には実質上寄与しないという利点を有する。その好ましい組成物はま
た、現在使用されている多くのハイドロフルオロアルカンと比較して、地球温暖化には実
質上寄与しない。
【0046】
もちろん、組成物の特定の属性(例えばコストなど)を調整する他の化合物及び/又は
成分も本組成物中に含めることができ、そのような化合物及び成分は全て、本発明の広い
範囲内に存在する。
【0047】
一定の好ましい形態において、本発明の組成物は、約1500以下の、より好ましくは
約1000以下の、より好ましくは約500以下の、そしてさらに好ましくは約150以
下の地球温暖化係数(Global Warming Potential:GWP)を有する。一定の態様におい
て、本組成物のGWPは約100以下であり、そしてさらに好ましくは約75以下である
。本明細書において用いられている“GWP”は、二酸化炭素について100年の時間範
囲で測定されたものであり、それは「オゾン破壊の科学的評価、2002年、世界気象協
会の地球オゾン調査と監視プロジェクトの報告(The Scientific Assessment of Ozone D
epletion, 2002, a report of the World Meteorological Association’s Global Ozone
Research and Monitoring Project)」において定義されたものであり、この文献は参照
により本明細書中に援用される。
【0048】
一定の好ましい形態において、本組成物はまた、好ましくは0.05以下の、より好ま
しくは0.02以下の、そしてさらに好ましくは約0のオゾン破壊係数(Ozone Depletion
Potential:ODP)を有する。本明細書において用いられている“ODP”は、「オゾ
ン破壊の科学的評価、2002年、世界気象協会の地球オゾン調査と監視プロジェクトの
報告(The Scientific Assessment of Ozone Depletion, 2002, a report of the World
Meteorological Association’s Global Ozone Research and Monitoring Project)」に
おいて定義されたものであり、この文献は参照により本明細書中に援用される。
【0049】
本組成物中に含まれる式Iの化合物(式IA及び式IIの化合物を含む)、特にHFC
O−1233及びHFO−1234、更により好ましくはシス−HFO−1234ze、
トランス−HFO−1234ze、HFO−1234yf、HFO−1234yc、HF
O−1234zc、HFO−1234ye(E)、HFO−1234ye(Z)、HFC
O−1233xf、シスHFC−1233zd、及びトランスHFC−1233zdのう
ち各々ひとつの量は、特定の適用に応じて広範囲に変化する場合があり、この化合物を極
微量よりも多く、100%未満の量含む組成物は本発明の広い範囲内のものである。さら
に、本発明の組成物は共沸性のもの、共沸様のもの、あるいは非共沸性のものであってよ
い。好ましい態様において、本組成物、特に発泡剤組成物及び熱伝達組成物は、式Iの化
合物、特にHFCO−1233及びHFO−1234、より好ましくはシス−HFO−1
234ze、トランス−HFO−1234ze、HFO−1234yf、HFO−123
4yc、HFO−1234zc、HFO−1234ye(E)、HFO−1234ye(
Z)、HFCO−1233xf、シスHFC−1233zd、及びトランスHFCO−1
233zdのいずれか1以上を、約5重量%から約99重量%まで、さらに好ましくは約
5%から約95%までの量で含む。
【0050】
潤滑剤、安定化剤、金属不動態化剤、腐食抑制剤、燃焼抑制剤、及び、組成物の特定の
属性(例えばコストなど)を調節する他の化合物及び/又は成分をはじめとする、多くの
追加の化合物が本組成物中に含まれていてもよく、そのような化合物の存在は全て本発明
の広い範囲内のものである。一定の好ましい態様において、本組成物は、式Iの化合物(
特に、シス−HFO−1234ze、トランス−HFO−1234ze、HFO−123
4yf、HFO−1234yc、HFO−1234zc、HFO−1234ye(E)、
HFO−1234ye(Z)、HFO−1234ze及び/又はHFO−1234yf、
HFCO−1233xf、シスHFC−1233zd、及びトランスHFC−1233z
dのうち任意の一つ又はそれより多くを含む)に加えて、下記のもののうち一つ又はそれ
より多くを含む:
トリクロロフルオロメタン(CFC−11)
ジクロロジフルオロメタン(CFC−12)
ジフルオロメタン(HFC−32)
ペンタフルオロエタン(HFC−125)
1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFC−134)
1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)
ジフルオロエタン(HFC−152a)
1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC−227ea)
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFC−236fa)
1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)
1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc)
水
CO
2
上記のいずれかの成分の相対的な量、及び本組成物に含有し得るいかなる追加の成分の
相対的な量も、組成物についての特定の適用に従って、本発明の広い範囲全体の中で広い
範囲に亘って変更することができ、そのような相対的な量の全てが本発明の範囲内である
と考えられる。
【0051】
したがって、出願人らは、本発明の一定の組成物が数多くの応用において非常に有利に
使用できることを認識した。例えば、本発明に含まれるのは、熱伝達用途、フォーム及び
発泡剤用途、噴射剤用途、噴霧可能な組成物の用途、滅菌用途、エアゾール用途、相溶化
剤用途、香味及び芳香用途、溶媒用途、洗浄用途、膨張剤用途などに関する方法及び組成
物である。当業者であれば、任意かつすべての上記用途で使用するために、過度な実験を
することなく、本組成物を容易に適合させることができると考えられる。
【0052】
本組成物は、冷媒、エアゾール、及び他の応用における、ジクロロジフルオロメタン(
CFC−12)などのCFC、クロロジフルオロメタン(HCFC−22)などのHCF
C、テトラフルオロエタン(HFC−134a)などのHFC、及び、CFC−12と1
,1−ジフルオロエタン(HFC−152a)の組合せ(R−500として知られる73
.8:26.2の質量比のCFC−12:HFC−152aの組合せ)などのHFCとC
FCの組合せの代替として一般的には有用である。
【0053】
熱伝達組成物
本発明の組成物は、一般的には、熱伝達用途、すなわち、気化冷却剤を含む加熱及び/
又は冷却媒体として使用するために適合可能である。
【0054】
気化冷却用途に関して、本発明の組成物は、直接又は間接的に、冷却すべき物体に接触
させ、その後接触させている間に蒸発又は沸騰させた結果、好ましくは、本組成物に基づ
く沸騰ガスが、冷却すべき物体から熱を吸収する。かかる用途において、液体を冷却すべ
き物体に噴霧又は他の方法で適用することにより、本発明の組成物を好ましくは液体形態
で利用することが好ましい場合がある。他の気化冷却用途において、本発明にしたがった
液体組成物を比較的高圧の容器から比較的低圧の環境であって、冷却すべき物体が、本発
明の液体組成物を閉じ込めた容器と直接又は間接的に接触する環境に逃がすことを、逃が
したガスを回収又は再圧縮せずに行うことが好ましい。このタイプの態様の一つの特定の
応用は、飲料、食品アイテム、ノベルティアイテムなどの自己冷却である。本明細書中に
説明する発明の前は、HFC−152a及びHFC−134aなどの従来の組成物がかか
る用途に使用されていた。しかし、最近ではかかる組成物のかかる用途への適用は、これ
らの成分を大気に放出することに起因する環境への負の影響のために、否定的に見られて
いる。例えば、合衆国EPAは、かかる従来の化学物質の前記用途における使用は、これ
らの化学物質の高い地球温暖化特性とその使用の結果生じ得る環境への悪影響のために許
容されないことを決定している。本発明の組成物は、本明細書で説明するように、低い地
球温暖化係数及び低いオゾン破壊係数のためにこの点に関して明確な利点を有している。
加えて、本組成物は、製造の間又は加速寿命試験の間に電気又は電子部品を冷却すること
に関して、実質的な有用性があると期待される。加速寿命試験においては、部品の使用を
シミュレートするために部品が連続して素早く繰り返して加熱及び冷却される。したがっ
て、かかる使用は、半導体及びコンピュータ基板製造産業において特に有利であると考え
られる。この点に関する本組成物の別の利点は、そのような用途に関して使用した場合に
感電しやすい電気特性を示すことと期待される。別の気化冷却用途は、導管を通る流体の
流れを一次的に停止させる方法を含む。好ましくは、かかる方法は、水が流れる水道管な
どの導管を本発明にしたがった液体組成物と接触させて、その中に含まれる液体を凍らせ
るように導管と接触させながら本発明の液体組成物を蒸発させ、それにより導管を通る流
体の流れを一次的に停止させることを含むであろう。かかる方法は、本組成物が適用され
る場所の下流の場所にて、かかる導管又は導管に接続したシステムに関してサービス又は
他の仕事を実施できるようにすることに関して明確な利点を有する。
【0055】
本発明の組成物は、幅広い範囲の量で本発明の化合物を含むことができると企図してい
るが、本発明の冷媒組成物は、式Iにしたがった化合物、より好ましくは、式IA及び/
又は式IIにしたがった化合物、更により好ましくは、 HFO−1234(シス−HF
O−1234ze、トランス−HFO−1234ze、HFO−1234yf、HFO−
1234yc、HFO−1234zc、HFO−1234ye(E)、及びHFO−12
34ye(Z)の任意の一つ又はそれより多くを含む)、又はHFCO−1233(HF
CO−1233xf、シスHFCO−1233zd、及びトランスHFCO−1233z
dのうち任意の一つを含む)を、組成物の少なくとも約50重量%、更により好ましくは
少なくとも約70重量%の量で含むことが一般的には好ましい。
【0056】
一定の態様において、本発明の熱伝達組成物は、トランスHFO−1234ze、より
好ましくは少なくとも約90重量%のトランスHFO−1234ze、より好ましくは少
なくとも約95重量%のトランスHFO−1234ze、更により好ましくは少なくとも
約99重量%のトランスHFO−1234zeを含むことが好ましい。一定の好ましい態
様において、本発明の熱伝達組成物は、少なくとも約80%、更により好ましくは少なく
とも約90重量%のHFO−1234、更により好ましくは、シス−HFO−1234z
e、トランス−HFO−1234ze、HFO−1234yf、HFO−1234yc、
HFO−1234zc、HFO−1234ye(E)、及びHFO−1234ye(Z)
のうち任意の一つ又はそれより多くを含むことが好ましい。
【0057】
本発明の熱伝達組成物は、一定の態様において、シスHFO−1234zeとトランス
HFO−1234zeの組合せを含む。一定の態様において、シス:トランスの重量比は
、1:99以下であり、更により好ましくは0.1:99以下である。一定の好ましい態
様において、シス:トランスの重量比は、約0.1:99〜約10:99、1:99〜約
10:99、より好ましくは約1:99〜約5:95、更により好ましくは約1:99〜
約3:97である。
【0058】
一定の態様において、本発明の熱伝達組成物は、HFCO−1233zd、より好まし
くは少なくとも約90重量%のHFCO−1233zd、より好ましくは少なくとも約9
5重量%のHFCO−1233zd、更により好ましくは少なくとも約99重量%のHF
CO−1233zdを含むことが好ましい。一定の好ましい態様において、本発明の熱伝
達組成物は、少なくとも約80重量%のHFCO−1233zd、更により好ましくは少
なくとも約90重量%のHFCO−1233zd、更により好ましくは、シス−HFCO
−1233zd及びトランス−HFCO−1233zdのうち任意の一つ又はそれより多
くを含むことが好ましい。
【0059】
本発明の熱伝達組成物は、一定の態様において、シスHFCO−1233zd及びトラ
ンスHFCO−1233zdの組合せを含む。一定の態様において、シス:トランスの重
量比は、約30:70〜約5:95、更により好ましくは約20:80〜約5:95であ
り、一定の態様において10:90の比が特に好ましい。
【0060】
本発明にしたがって使用されるハイドロフルオロオレフィンの相対量は、好ましくは、
必要とされる熱伝達性能、特に冷却能力を有し、好ましくは同時に不燃性である熱伝達流
体を生成するように選択される。本明細書における、不燃性の用語は、ASTM E−6
81による測定に基づき、空気中に含まれる流体がそのすべての割合において不燃性であ
ることを指す。
【0061】
本発明の組成物は、組成物に特定の機能性を与えるかまたはそれを高める目的で、ある
いは、ある場合には組成物のコストを下げるために、他の成分を含んでいてもよい。例え
ば、本発明に従う冷媒組成物、特に蒸気圧縮装置において用いられる組成物は、潤滑剤を
、一般に組成物の約30〜約50重量%の量で含む。さらに、本組成物は、共冷媒、又は
相溶剤(例えばプロパン)を、潤滑剤の相溶性および/または溶解性を高める目的で含ん
でいてもよい。プロパン、ブタンおよびペンタンを含むそのような相溶剤は、好ましくは
組成物の約0.5〜約5重量%の量で存在する。油の溶解性を高めるために、界面活性剤
と可溶化剤を組み合わせたものを本組成物に添加してもよく、このことは米国特許第6,51
6,837号に開示されていて、その開示は本明細書中に参考文献として援用される。一般に
用いられる冷却潤滑剤でハイドロフルオロカーボン(HFC)冷媒とともに冷却機械類に
おいて用いられるポリオールエステル(POE)、ポリアルキレングリコール(PAG)
、PAG油、シリコーン油、鉱油、アルキルベンゼン(AB)およびポリ(アルファ−オ
レフィン)(PAO)などを、本発明の冷媒組成物とともに用いてもよい。商業的に入手
可能な鉱油としては、WitcoからのWitco LP 250(登録商標)、Shrieve ChemicalからのZ
erol 300(登録商標)、WitcoからのSunisco 3GS、及びCalumetからのCalumet R015が挙
げられる。商業的に入手可能なアルキルベンゼン潤滑剤としては、Zerol 150(登録商標
)が挙げられる。商業的に入手可能なエステルとしては、Emery 2917(登録商標)及びHa
tcol 2370(登録商標)として入手可能なネオペンチルグリコールジペラルゴネートが挙
げられる。他の有用なエステルとしては、リン酸エステル、二塩基酸エステル、及びフル
オロエステルが挙げられる。一部の場合において、炭化水素をベースする油は、ヨードカ
ーボンから構成される冷媒に対して充分な溶解性を有し、ヨードカーボンと炭化水素油の
組合せは、他のタイプの潤滑剤よりも安定である。したがって、かかる組合せは有利であ
る。好ましい潤滑剤としては、ポリアルキレングリコール及びエステルが挙げられる。一
定の態様においては、これらは現在、自動車用空調などの特定の応用において使用されて
いることからポリアルキレングリコールが非常に好ましい。もちろん、異なるタイプの潤
滑剤の異なる混合物を使用してもよい。
【0062】
一定の好ましい態様において、熱伝達組成物は、約10重量%〜約95重量%の式Iの
化合物、より好ましくは式IA及び/又は式IIの化合物、更により好ましくは一つ又は
それより多いHFO−1234化合物と、約5重量%〜約90重量%の補助剤、特に一定
の態様においては、共冷媒(HFC−152、HFC−125、及び/又はCF
3Iなど
)を含む。共冷媒の用語の使用は、当該化合物の式Iの化合物との相対的な性能に関して
限定する意味で本明細書中において使用することを意図するものではなくむしろ、所望の
用途における組成物の所望の熱伝達特徴に寄与する、冷媒組成物中の他の成分を一般的に
示すために使用する。かかる一定の態様において、共冷媒は、一つ又はそれより多いHF
C及び/又はトリフルオロヨードメタンなどの一つ又はそれより多いフルオロヨードC1
〜C3化合物、及びこれら同士や他の成分との組合せを含み、好ましくは本質的にこれら
からなる。
【0063】
共冷媒がHFC、好ましくは、HFC−125を含む好ましい態様において、組成物は
、熱伝達組成物全体の約50重量%〜約95重量%、より好ましくは約60重量%〜約9
0重量%、更により好ましくは約70重量%〜約90重量%の量でHFCを含む。かかる
態様において、本発明の化合物は、好ましくは、熱伝達組成物全体の約5重量%〜約50
重量%、より好ましくは約10重量%〜約40重量%、更により好ましくは、約10重量
%〜約30重量%の量の、HFO−1234、HFCO−1233、及びこれらの組合せ
、更により好ましくは、シス−HFO−1234ze、トランス−HFO−1234ze
、HFO−1234yf、HFO−1234yc、HFO−1234zc、HFO−12
34ye(E)、HFO−1234ye(Z)、シスHFCO−1233zd、及びトラ
ンスHFCO−1233zdのうち一つ又はそれより多くを含み、更により好ましくは本
質的にこれらからなる。
【0064】
共冷媒がフルオロヨードカーボン、好ましくは、CF
3Iを含む好ましい態様において
、組成物は、熱伝達組成物全体の約15重量%〜約50重量%、より好ましくは約20重
量%〜約40重量%、更により好ましくは約25重量%〜約35重量%の量でフルオロヨ
ードカーボンを含む。かかる態様において、本発明の化合物は、好ましくは、熱伝達組成
物全体の約50重量%〜約90重量%、より好ましくは約60重量%〜約80重量%、更
により好ましくは、約65重量%〜約75重量%の量の、HFO−1234、HFCO−
1233、及びこれらの組合せ、更により好ましくは、シス−HFO−1234ze、ト
ランス−HFO−1234ze、HFO−1234yf、HFO−1234yc、HFO
−1234zc、HFO−1234ye(E)、HFO−1234ye(Z)、シスHF
CO−1233zd、及びトランスHFCO−1233zdのうち一つ又はそれより多く
を含み、更により好ましくは本質的にこれらからなる。
【0065】
これゆえに、本方法、システム、及び組成物は、一般に多種多様な熱伝達システム、特
に空調(定置用及び自動車用空調システムの両方を含む)、冷却、ヒートポンプシステム
などの冷却システムに関して使用するために適合可能である。一定の好ましい態様におい
ては、本発明の組成物を、例えばHFC−134aなどのHFC冷媒、又は例えばHCF
C−22などのHCFC冷媒を用いて使用するために当初設計された冷却システムにおい
て使用する。本発明の好ましい組成物は、慣用的なHFC冷媒と同程度に低いかそれより
低いGWP、かかる冷媒と同程度に高いかそれより高い能力、及び、かかる冷媒と実質的
に同様であるか実質的に匹敵する、好ましくは同程度に高いか又はそれより高い能力、を
はじめとする、HFC−134a及び他のHFC冷媒の所望の特徴の多くを示す傾向があ
る。特に、出願人らは、本組成物の一定の好ましい態様は、比較的低い、好ましくは10
00未満、より好ましくは約500未満、及び更により好ましくは約150未満の地球温
暖化係数(“GWP”)を示す傾向があることを認識した。加えて、参照により本明細書
中に援用される同時係属する特許出願に記載される共沸混合物様組成物を含む一定の本組
成物の比較的定沸の性質により、多くの用途において冷媒として使用するための、R−4
04A、又はHFC−32、HFC−125、及びHFC−134aの組合せ(HFC−
32:HFC−125:HFC−134aがおよそ23:25:52の重量比である組合
せはR−407Cと呼ばれる)などの一定の慣用的なHFCよりも更により望ましいもの
となっている。本発明の熱伝達組成物は、HFC−134、HFC−152a、HFC−
22、R−12、及びR−500の代替として特に好ましい。
【0066】
一定の他の好ましい態様において、本組成物は、CFC冷媒に関して使用するために当
初設計された冷却システムにおいて使用する。好ましい本発明の冷却組成物は、鉱油、ポ
リアルキルベンゼン油、ポリアルキレングリコール油などのCFC冷媒に関して慣用的に
使用された潤滑剤を含有する冷却システムにおいて使用してもよく、又は、HFC冷媒に
関して従来使用された他の潤滑剤とともに使用してもよい。本明細書において“冷却シス
テム”の用語は、冷媒を使用して冷却をもたらす任意のシステム又は装置、あるいはその
ようなシステム又は装置の任意の部分又は部品の総称である。かかる冷却システムとして
は、例えば、空調、電気冷蔵庫、チラー(遠心圧縮機を用いるチラーを含む)、輸送冷却
システム、商業的な冷却システムなどが挙げられる。
多くの現行の冷却システムは現在、現行の冷媒と関連して用いることに適合しているが
、本発明の組成物は、システムに改造を施すかまたは施さずに、多くのそのようなシステ
ムにおいて用いるように適合させうると考えられる。多くの適用において、本発明の組成
物は、現在一定の冷媒を用いているより小さいシステムにおける代替物として、例えば、
小さい冷却容量が要求され、それにより比較的小さな排気量の圧縮機が必然的に必要とさ
れるようなシステムにおける代替物として、有利なものになるであろう。さらに、例えば
効率上の理由から、高い容量の冷媒に代えて本発明の低容量の冷媒組成物を用いるのが望
ましいような態様においては、本発明の組成物のそのような態様は有利なものになる可能
性がある。従って、特定の態様においては、本発明の組成物を使用することが好ましく、
特に、本発明の組成物をかなりの割合で含む組成物、そして幾つかの態様においては本質
的にそれらからなる組成物を、以下の現行の冷媒、すなわち、HFC−134a;CFC
−12;HCFC−22;HFC−152a;ペンタフルオロエタン(HFC−125)
、トリフルオロエタン(HFC−143a)及びテトラフルオロエタン(HFC−134
a)の組合せ(HFC−125:HFC−143a:HFC−134aの組合せで重量比
が約44:52:4のものは、R−404Aと呼ばれている);HFC−32、HFC−
125及びHFC−134aの組合せ(HFC−32:HFC−125:HFC−134
aの組合せで重量比が約23:25:52のものは、R−407Cと呼ばれている);フ
ッ化メチレン(HFC−32)及びペンタフルオロエタン(HFC−125)の組合せ(
HFC−32:HFC−125の組合せで重量比が約50:50のものは、R−410A
と呼ばれている);CFC−12及び1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a)の
組合せ(CFC−12:HFC−152aの組合せで重量比が73.8:26.2のもの
は、R−500と呼ばれている);及びHFC−125及びHFC−143aの組合せ(
HFC−125:HFC−143aの組合せで重量比が約50:50のものは、R−50
7Aと呼ばれている);などの代替物として使用することが好ましい。ある一定の態様に
おいては、本発明の組成物を、HFC−32:HFC−125:HFC−134aの組合
せで重量比が約20:40:40のもの(R−407Aと呼ばれる)又は重量比が約15
:15:70のもの(R−407Dと呼ばれる)から形成される冷媒の代替物に関連して
使用することもまた有益である。本明細書の他の場所で説明するように、本発明の組成物
は、上述した組成物の、エアゾール、発泡剤などの他の用途における代替物としても適し
ていると考えられる。
ある一定の用途においては、本発明の冷媒は、より大きな排気量の圧縮機の有効利用を
潜在的に可能にし、このことによって、結果的に、HFC−134aのような他の冷媒よ
りも、より良いエネルギー効率を与えることができる。従って、本発明の冷媒組成物は、
自動車の空調システム及び装置、商業用冷蔵システム及び装置、チラー、住宅用冷蔵庫及
び冷凍庫、一般的な空調システム、ヒートポンプなどを含む、代替冷媒が用いられる用途
において、エネルギー面で競争上の優位性をもたらす可能性がある。
【0067】
多くの現行の冷却システムは現在、現行の冷媒と関連して用いることに適合しているが
、本発明の組成物は、システムに改造を施すかまたは施さずに、多くのそのようなシステ
ムにおいて用いるように適合させうると考えられる。多くの適用において、本発明の組成
物は、現在は比較的高い容量を有する冷媒を用いているシステムにおける代替物として、
有利なものになるであろう。さらに、例えばコスト上の理由から、高い容量の冷媒に代え
て本発明の低容量の冷媒組成物を用いるのが望ましいような態様においては、本発明の組
成物のそのような態様は有利なものになる可能性がある。従って、特定の態様においては
、本発明の組成物、特にHFO−1234(好ましくは、シス−HFO−1234ze、
トランス−HFO−1234ze、HFO−1234yf、HFO−1234yc、HF
O−1234zc、HFO−1234ye(E)、及びHFO−1234ye(Z)のう
ち一つ又はそれより多く)をかなりの割合で含む組成物、そして幾つかの態様においては
本質的にそれらからなる組成物を、HFC−134aなどの現行の冷媒の代替物として用
いるのが好ましい。特定の適用においては、本発明の冷媒は大きな排気量の圧縮機を使用
可能とする利益をもたらす可能性があり、それによってHFC−134aなどの他の冷媒
よりも高いエネルギー効率が得られる。従って、本発明の冷媒組成物、特にシス−HFO
−1234ze、トランス−HFO−1234ze、HFO−1234yf、HFO−1
234yc、HFO−1234zc、HFO−1234ye(E)、及びHFO−123
4ye(Z)のうち一つ又はそれより多くを含む組成物は、代替冷媒が用いられる適用に
ついて、エネルギー面で競争上の優位性をもたらす可能性がある。
【0068】
本組成物、特にシス−HFO−1234ze、トランス−HFO−1234ze、HF
O−1234yf、HFO−1234yc、HFO−1234zc、HFO−1234y
e(E)、及びHFO−1234ye(Z)のうち一つ又はそれより多くを含む組成物は
また、商業用の空調システムに関して典型的に用いられるチラーにおいて、(もともとの
システムにおける場合と、CFC−11、CFC−12、HCFC−22、HFC−13
4a、HFC−152a、R−500、及びR−507Aなどの冷媒の代替物として用い
られる場合のいずれも)利点を有すると考えられる。そのような態様の一定のものにおい
ては、本組成物、特にHFO−1234yf及び/又はHFO−1234zeを含むもの
の中に、約0.5〜約30%、一定の場合により好ましくは、0.5重量%〜約15重量
%、更により好ましくは重量基準で約0.5〜約10%の補助的な燃焼抑制剤を含むのが
好ましい。なお、この点に関して、本組成物の一定のHFO−1234及び/又はHFO
−1225成分は、一定の態様において、組成物中の他の成分に関して燃焼抑制剤として
作用し得る。これゆえに、組成物中において燃焼抑制機能を有するHFO−1234及び
HFO−1225以外の成分は、本明細書中において補助的燃焼抑制剤と呼ばれる場合が
ある。
【0069】
一定の好ましい態様において、本組成物は、式Iの化合物(特に、HFO−1234(
シス−HFO−1234ze、トランス−HFO−1234ze、HFO−1234yf
、HFO−1234yc、HFO−1234zc、HFO−1234ye(E)、及びH
FO−1234ye(Z)を含む)、及びHFCO−1233(特にシス−HFCO−1
233zd及びトランス−HFCO−1233zdを含む)を含む)に加えて、主として
熱伝達性、コストなどへの影響から配合され得る一又はそれより多い以下の追加の化合物
を含む。これゆえに、以下の成分は、共熱伝達流体(又は冷却操作の場合は共冷媒)とし
て組成物中に配合してもよい:
トリクロロフルオロメタン(CFC−11)
ジクロロジフルオロメタン(CFC−12)
ジフルオロメタン(HFC−32)
ペンタフルオロエタン(HFC−125)
1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFC−134)
1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)
ジフルオロエタン(HFC−152a)
1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC−227ea)
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFC−236fa)
1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)
1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc)
水
CO
2
発泡剤、フォーム、及び起泡可能組成物
発泡剤もまた、本組成物の一つ又はそれより多くを含むか、あるいはそれを構成してい
てよい。上述したように、本発明の組成物は本発明の化合物を、広範に亘る異なる量で含
むことができる。しかしながら、本発明による発泡剤として用いるのに好ましい組成物に
ついては、式Iの化合物、更により好ましくは式IA及び/又は式IIの化合物が、組成
物の少なくとも約5重量%、より好ましくは少なくとも約15重量%の量で存在するのが
一般的に好ましい。一定の好ましい態様において、発泡剤は、本組成物の少なくとも約5
0重量%を含み、一定の態様においては、発泡剤は、本質的に本組成物からなる。一定の
好ましい態様において、本発明の発泡剤組成物は、HFO−1234(好ましくは、シス
−HFO−1234ze、トランス−HFO−1234ze、HFO−1234yf、H
FO−1234yc、HFO−1234zc、HFO−1234ye(E)、及びHFO
−1234ye(Z)のうち一つ又はそれより多く)及びHFCO−1233(好ましく
は、シスHFCO−1233zd及びトランスHFCO−1233zdのうち任意の一つ
又はそれより多く)をはじめとする、式Iの化合物に加えて、一又はそれより多い共発泡
剤、充填材、蒸気圧調節剤、燃焼抑制剤、安定化剤、及び同様の補助剤を含む。本発明に
したがった共発泡剤は、物理的発泡剤、化学的発泡剤(好ましくは、一定の態様において
水を含む)、又は、物理的発泡剤と化学的発泡剤の特性の組合せを有する発泡剤を含むこ
とができる。式Iの化合物ならびに共発泡剤を含む、本組成物中に含まれる発泡剤は、発
泡剤と認められるために必要な特性に加えて、諸特性を示すことができることは理解され
るだろう。例えば、本発明の発泡剤組成物は、上述の式Iの化合物をはじめとする成分を
含むことができ、これらの成分は、発泡剤組成物又は起泡可能な組成物に添加されて、そ
の組成物に何らかの有益な特性を付与すると考えられている。例えば、式Iの化合物、又
は共発泡剤をポリマー改質剤又は粘度低減調節剤として作用させることは本発明の範囲に
含まれる。
【0070】
例として、一又はそれより多い以下の成分を、一定の好ましい本発明の発泡剤中に広い
範囲の量で含ませることができる:炭化水素、ハイドロフルオロカーボン(HFC)、エ
ーテル、アルコール、アルデヒド、ケトン、ギ酸メチル、ギ酸、水、トランス−1,2−
ジクロロエチレン、二酸化炭素、及びこれらの任意の二つ又はそれより多くの組合せ。エ
ーテルの中では、一定の態様において、1〜6個の炭素原子を有するエーテルを使用する
ことが好ましい。アルコールの中では、一定の態様において、1〜4個の炭素原子を有す
るアルコールを使用することが好ましい。アルデヒドの中では、一定の態様において、1
〜4個の炭素原子を有するアルデヒドを使用することが好ましい。
【0071】
1.エーテル
一定の非常に好ましい態様において、本発明の組成物、特に発泡剤組成物は、少なくと
もひとつのエーテル、好ましくは当該組成物中において共発泡剤として機能するものを含
む。
【0072】
本発明のこの側面にしたがって使用されるエーテルは、フッ素化されたエーテル(FE
)、より好ましくはひとつ又はそれより多いハイドロ−フッ素化されたエーテル(HFE
)、更により好ましくは以下の式(III):
【0074】
(式中、
a=1−6、より好ましくは2−5、更により好ましくは3−5、
b=1−12、より好ましくは1−6、更により好ましくは3−6、
c=1−12、より好ましくは1−6、更により好ましくは2−6、
d=1−2、
e=0−5、より好ましくは1−3、
f=0−5、より好ましくは0−2であり、
そして式中、前記C
aのひとつは前記C
dのひとつと結合してシクロフルオロエーテルを
形成してもよい)によるひとつ又はそれより多いC3−C5のハイドロ−フッ素化された
エーテルを含む。
【0075】
本発明の一定の好ましい態様は、本明細書中に記載されるような少なくともひとつのフ
ルオロアルケン、好ましくは一定の態様においてHFCO−1233xdなどのクロロフ
ルオロアルケンと、2−8個、好ましくは2−7個、更により好ましくは2−6個の炭素
原子、そして一定の態様において最も好ましくは3個の炭素原子を含有する少なくともひ
とつのフルオロ−エーテル、より好ましくは少なくともひとつのハイドロ−フルオロエー
テルとを含む組成物に関する。本発明のハイドロ−フルオロエーテル化合物は、少なくと
もひとつの水素を含有する場合に、本明細書において、便宜上、ハイドロフルオロ−エー
テル又は“HFE”と呼ばれることがある。
【0076】
本出願人らは、一般に本開示にしたがった、そして特に上述の式(III)にしたがっ
たフルオロエーテルは、一般的に有効であり、本明細書の教示にしたがったフルオロアル
ケン化合物と組み合わせて有用性を示すと考えている。しかし、本出願人らは、フルオロ
エーテルの中から、一定の態様において、特に発泡剤組成物、及びフォーム、及び発泡方
法に関する諸態様において、少なくとも二フッ素化された、より好ましくは少なくとも三
フッ素化された、更により好ましくは少なくとも四フッ素化されたハイドロフルオロエー
テルを利用することが好ましいことを見出した。一定の態様において特に好ましいのは、
3−5個の炭素原子、より好ましくは3−4個の炭素原子、更により好ましくは3個の炭
素原子を有する四フッ素化されたフルオロエーテルである。
【0077】
一定の好ましい態様においては、本発明の化合物は、その任意かつすべての異性体の形
態を含む、1,1,2,2−テトラフルオロエチルメチルエーテル(本明細書中において
、HFE−245pc又はHFE−245cb2と呼ぶことがある)を含む。
【0078】
本組成物に含有される式IIIの化合物、特に1,1,2,2−テトラフルオロエチル
メチルエーテルの量は、特定の応用に依存して、広く変動する可能性があり、極微量より
多く100%未満までの当該化合物を含有する組成物は、本発明の広い範囲内にある。好
ましい態様においては、本組成物、特に発泡剤組成物は、好ましい群の化合物をはじめと
する式IIIの化合物を、約1重量%〜約99重量%、より好ましくは約5重量%〜約9
5重量%、更により好ましくは約40重量%〜約90重量%の量で含む。
【0079】
以下の化合物のうちひとつ又はそれより多くは、本発明の一定の好ましい態様にしたが
って使用するのに好ましい:
【0082】
本発明者らが、上述のHFEのうち任意のふたつ又はそれより多くを本発明の好ましい
側面にしたがって組み合わせて使用してもよいと予測していることは理解すべきである。
例えば、本発明の特定の好ましい態様によって、3Mにより商品名HFE−7100とし
て販売されている材料は、約20%〜約80%のメチルノナフルオロイソブチルエーテル
と約20%〜約80%のメチルノナフルオロブチルエーテルの混合物であると理解されて
いるが、これを本発明の一定の好ましい態様にしたがって有益に使用できることが予測さ
れる。更なる例として、3Mにより商品名HFE−7200として販売される材料は、約
20%〜約80%のエチルノナフルオロイソブチルエーテルと約20%〜約80%のエチ
ルノナフルオロブチルエーテルの混合物であると理解されているが、これを本発明の一定
の好ましい態様にしたがって有益に使用できることが予測される。
【0083】
また、上で挙げたHFEのうち任意のひとつ又はそれより多くを、本明細書中に具体的
に挙げていない他のHFE、及び/又は、指定されたフルオロエーテルがともに共沸混合
物を形成することが知られている他の化合物をはじめとする、他の化合物と組合せて同様
に使用してもよいことは予期している。例えば、以下の化合物は各々、トランス−ジクロ
ロエチレンとともに共沸混合物を形成することが知られており、本発明の目的のために、
そのような共沸混合物の使用は本発明の広い範囲の範囲内であると考慮すべきである:
【0085】
2.ハイドロフルオロカーボン
特定の態様においては、本発明の発泡剤組成物は、共発泡剤として1種又は2種以上の
HFCを含み、より好ましくは、1種又は2種以上の炭素数1から炭素数4のHFCを含
む。例えば、本発明の発泡剤組成物は、ジフルオロメタン(HFC−32)、フルオロエ
タン(HFC−161)、ジフルオロエタン(HFC−152)、トリフルオロエタン(
HFC−143)、テトラフルオロエタン(HFC−134)、ペンタフルオロエタン(
HFC−125)、ペンタフルオロプロパン(HFC−245)、ヘキサフルオロプロパ
ン(HFC−236)、ヘプタフルオロプロパン(HFC−227ea)、ペンタフルオ
ロブタン(HFC−365)、ヘキサフルオロブタン(HFC−356)及び、このよう
なHFCの異性体、の1種又は2種以上を含み得る。
【0086】
ある態様において、以下のHFC異性体の1種又は2種以上は本発明の組成物において共
発泡剤として用いるのに好ましい:
フルオロエタン(HFC−161)
1,1,1,2,2−ペンタフルオロエタン(HFC−125)
1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFC−134)
1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)
1,1,1−トリフルオロエタン(HFC−143a)
1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a)
1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC−227ea)
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFC−236fa)
1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFC−236ea)
1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245eb)
1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245ca)
1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)
1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc)及び
1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロペンタン(HFC−43−1
0−mee)
3.炭化水素
一定の態様においては、特に本発明の発泡剤組成物をはじめとする本発明の組成物は、
ひとつ又はそれより多い炭化水素、より好ましくはC3−C6の炭化水素を含むことが好
ましい。本発泡剤組成物は、一定の好ましい態様においては、例えば、プロパン;イソ−
及びノルマル−ブタン(かかるブタンは各々、熱可塑性フォーム用の発泡剤として使用す
るのに好ましい);イソ−、ノルマル−、ネオ−及び/又はシクロ−ペンタン(かかるペ
ンタンは各々、熱硬化性フォームのための発泡剤として使用するのに好ましい);イソ−
及びノルマル−ヘキサン;及びヘプタンを含んでもよい。
【0087】
特に発泡剤組成物をはじめとする本組成物の一定の好ましい態様は、一又はそれより多
いモノクロロトリフルオロプロペン、特にHFCO−1233zdと、イソ−ペンタン、
ノルマル−ペンタン、シクロペンタン、及びこれらの組合せからなる群から選択される少
なくとも一つの炭化水素とを含み、その組合せとして、約50重量%〜約85重量%のシ
クロペンタン、更により好ましくは約65重量%〜約75重量%のシクロペンタンを含む
組合せが好ましい。
【0088】
4.アルコール
一定の態様においては、特に、本発明の発泡剤組成物をはじめとする本発明の組成物は
、ひとつ又はそれより多いアルコール、好ましくはひとつ又はそれより多いC1−C4の
アルコールを含むことが好ましい。例えば、本発泡剤組成物は、メタノール、エタノール
、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、及
びオクタノールのうちひとつ又はそれより多くを含んでもよい。オクタノールのうち、イ
ソオクタノール(すなわち、2−エチル−1−ヘキサノール)が、発泡剤配合物及び溶媒
組成物において使用するのに好ましい。
【0089】
特に発泡剤組成物をはじめとする本組成物の一定の好ましい態様は、一又はそれより多
いモノクロロトリフルオロプロペン、特にHFCO−1233zdと、メタノール、エタ
ノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、t−ブタノー
ル、及びこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも一つのアルコールとを含む
。
【0090】
5.アルデヒド
一定の態様においては、特に本発明の発泡剤組成物をはじめとする本発明の組成物は、
ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロパナール、ブタナール、及びイソブタナール
をはじめとする、ひとつ又はそれより多くのアルデヒド、特にC1−C4のアルデヒドを
含むことが好ましい。
【0091】
6.ケトン
一定の態様においては、特に本発明の発泡剤組成物、エアゾール及び溶媒組成物をはじ
めとする本発明の組成物は、ひとつ又はそれより多いケトン、好ましくはC1−C4のケ
トンを含むことが好ましい。例えば、本発泡剤組成物は、アセトン、メチルエチルケトン
、及びメチルイソブチルケトンのうちひとつ又はそれより多くを含んでもよい。
【0092】
7.クロロカーボン
一定の態様において、特に本発明の発泡剤組成物をはじめとする本発明の組成物は、一
又はそれより多いクロロカーボン、より好ましくは、C1−C3のクロロカーボンを含む
。本組成物は、一定の好ましい態様において、例えば:1−クロロプロパン;2−クロロ
プロパン;トリクロロエチレン;パークロロエチレン;メテンクロライド;トランス−1
,2ジクロロエチレン、及びこれらの組合せを含んでもよく、一定の態様、特に発泡剤の
態様において、トランス−1,2ジクロロエチレンが特に好ましい。
【0093】
8.他の化合物
一定の態様において、特に本発明の発泡剤組成物をはじめとする本発明の組成物は、水
、CO
2、ギ酸メチル、ギ酸、ジメトキシメタン(DME)、及びこれらの組合せを含む
一つ又はそれより多い追加の化合物を含むことが好ましい。上述のなかで、DMEは、発
泡剤組成物において、また、本発明にしたがったエアゾール組成物中の噴射剤として、特
にHFCO−1233zdと組み合わせて使用するのに特に好ましい。上述のなかでは、
水及びCO
2は、発泡剤において、また、本発明にしたがった噴射剤として、特にHFC
O−1233zdと組み合わせて使用するのに特に好ましい。
【0094】
一定の態様において共発泡剤として使用されることが予期される、上記の任意の追加的
な化合物の相対量、並びに本発明の組成物に含まれ得る、任意の追加的な成分の相対量は
、組成物の特有の用途にしたがって、本発明全体の広い範囲内において大きく異なってよ
く、そして、このような相対量はいずれも、本明細書の範囲に含まれると考えられている
。しかし、本願出願人は、例えば、HFO−1234ze及びHFCO−1233zdの
ような、本発明に記載の式Iの化合物の少なくともいくつかの特有の利点の一つは、この
ような化合物が比較的低い燃焼性及び比較的低い毒性を有することである、と述べる。従
って、ある態様において、本発明の発泡剤組成物は、少なくとも一種の共発泡剤を含み、
そして、式Iに記載の化合物を、全体として不燃性である発泡剤組成物を製造するのに十
分な量だけ含むことが好ましい。従って、このような態様において、式Iの化合物と比較
した共発泡剤の相対量は、少なくとも部分的に、共発泡剤の燃焼性に依存する。
【0095】
本発明の発泡剤組成物は、広い範囲に亘る量の本発明の化合物を含んでよい。しかし、
本発明に記載の発泡剤としての使用に好ましい組成物として、式Iに記載の化合物、そし
て、更に好ましくは、式IIに記載の化合物が、該組成物に対して、少なくとも約1重量
%の量で存在することが好ましく、より好ましくは、少なくとも約5重量%の量で存在す
ることが好ましく、そして、更に好ましくは、少なくとも約15重量%の量で存在するこ
とが好ましい。ある好ましい態様において、発泡剤は、本発明の発泡剤化合物を少なくと
も約50重量%含み、そして、特定の態様においては、発泡剤は、実質的に本発明に記載
の化合物から成る。この点において、1種又は2種以上の共発泡剤の使用は、本発明の新
規で基本的な特徴と矛盾しないことが特筆される。例えば、水は、共発泡剤としてか、又
は、他の共発泡剤(例えば、ペンタン、特にシクロペンタン等のような)と組み合わせて
か、のいずれかにより、非常に多くの態様において用いられるであろうということが意図
されている。
【0096】
本発明の発泡剤組成物は、好ましくは該組成物の少なくとも約15重量%の量で、特に
シス−HFO−1234ze、トランス−HFO−1234ze、HFO−1234yf
、HFO−1234yc、HFO−1234zc、HFO−1234ye(E)、HFO
−1234ye(Z)、トランスHFCO−1233zd、及びシスHFCO−1233
zdをはじめとする、HFO−1234及び/又はHFCO−1233zdの一つ又はそ
れより多く、又はこれらのうち二つ又はそれより多くの組合せを含んでいてよいと予想さ
れている。多くの好ましい態様において、組成物、最も好ましくは、熱硬化性フォームの
使用に向けられた組成物には、水を含む共発泡剤が含まれる。
【0097】
ある好ましい態様において、本発明のフォーム組成物は、約1:99から約50:50
、より好ましくは約10:90から約30:70のシス:トランス重量比で、シスHFO
−1234ze及びトランスHFO1234zeの組み合わせを含む。ある態様において
、約1:99から約10:90、より好ましくは約1:99から約5:95のシス:トラ
ンス重量比で、シスHFO−1234ze及びトランスHFO1234zeの組み合わせ
を用いることが好ましいであろう。勿論、例えば、液体発泡剤と共に用いるのに適した起
泡可能な組成物と共に用いる場合のように、特定の態様においては、シス−異性体がトラ
ンス−異性体より高い濃度で存在する組み合わせを用いることが望ましいであろう。
【0098】
一定の態様において、本発明の発泡剤組成物は、HFCO−1233zd、より好まし
くは少なくとも約90重量%のHFCO−1233zd、より好ましくは少なくとも約9
5重量%のHFCO−1233zd、更により好ましくは少なくとも約99重量%のHF
CO−1233zdを含むことが好ましい。一定の好ましい態様において、本発明の発泡
剤組成物は、少なくとも約80重量%、更により好ましくは少なくとも約90重量%のH
FCO−1233zd、更により好ましくは、シス−HFCO−1233zd及びトラン
ス−HFCO−1233zdの任意の一つ又はそれより多くを含むことが好ましい。
【0099】
本発明の発泡剤組成物は、一定の態様において、シスHFCO−1233zdとトラン
スHFCO−1233zdの組合せを含む。一定の態様において、シス:トランスの重量
比は、約30:70〜約5:95、更により好ましくは約20:80〜約5:95であり
、一定の態様においては、10:90の比が特に好ましい。
【0100】
ある好ましい態様において、発泡剤組成物は、約30重量%から約95重量%、より好
ましくは約30重量%〜約96重量%、より好ましくは約30重量%〜約97重量%、更
により好ましくは約30重量%〜約98重量%、更により好ましくは約30重量%〜約9
9重量%の式Iの化合物、より好ましくは式IIの化合物、そして、更に好ましくは、1
種又は2種以上のHFO−1234及び/又はHFCO−1233(特に、シスHFCO
−1233zd、トランスHFCO−1233zf、及びこれらのすべての組合せを含む
)、及び、約5重量%から約90重量%、より好ましくは、約5重量%から約65重量%
の、1又はそれより多いフルオロエーテルを含む共発泡剤を含む。このような態様のいく
つかにおいては、共発泡剤は、H
2O、HC、HE、HFC、HFE、炭化水素、アルコ
ール(好ましくは、C2、C3及び/又はC4アルコール)、ケトン、CO
2、及びこれ
らのうち任意の2つ以上の組み合わせから選択された化合物を含み、そして好ましくは、
実質的にこれより成る。
【0101】
他の態様において、本発明は、起泡可能な組成物を提供する。本発明の起泡可能な組成
物は、一般的には、フォームを形成することが可能な一又はそれより多い成分を含む。一
定の態様において、当該一又はそれより多い成分は、フォーム及び/又は起泡可能な組成
物を形成することが可能な熱硬化性組成物を含む。熱硬化性組成物の例としては、ポリウ
レタン及びポリイソシアヌレートフォーム組成物、ファノール樹脂フォーム組成物が挙げ
られる。フォームタイプ、特にポリウレタンフォーム組成物に関して、本発明は、硬質フ
ォーム(独立気泡、連続気泡、及びこれらの任意の組合せ)、軟質フォーム、及び、イン
テグラルスキンフォームをはじめとする反硬質フォームも提供する。また、本発明は、噴
霧可能な単一成分フォームを含む単一成分フォームを提供する。
【0102】
反応及び起泡方法は、気泡の大きさを制御、調節し、形成の間フォーム構造を安定化さ
せるのに役立つ触媒や界面活性剤物質などの種々の添加剤を使用することにより、向上さ
せることができる。更に、本発明の発泡剤組成物に関してこれまでに説明したひとつ又は
それより多い任意の追加の成分は、本発明の起泡可能な組成物中に組み込むことができる
と予想される。そのような熱硬化性フォームの態様において、ひとつ又はそれより多い本
組成物は、起泡可能な組成物中において発泡剤として、又は発泡剤の一部として配合され
、または、好ましくは適切な条件下で反応及び/又は発泡してフォーム又はセル状構造物
を形成することができるひとつ又はそれより多い成分を含む、ふたつ又はそれより多い部
分からなる起泡可能な組成物の一部分として配合される。
【0103】
本発明のある別の態様において、当該一つ又はそれより多い成分は、熱可塑性物質、特
に、熱可塑性ポリマー及び/又は樹脂を含む。熱可塑性フォーム成分の例には、例えば、
式Ar−CHCH2で表されるモノビニル芳香族化合物のようなポリオレフィンが含まれ
、ここで、Arは、ポリスチレン(PS)のようなベンゼン系の芳香族炭化水素基である
。本発明に適切なポリオレフィン樹脂の他の例には、ポリエチレン(PE)及びエチレン
コポリマーのようなエチレンホモポリマー、ポリプロピレン(PP)、並びにポリエチレ
ンテレフタレート(PET)、並びにそれらから形成されるフォーム、好ましくは低密度
フォーム、を含む、種々のエチレン樹脂が含まれる。ある態様においては、熱可塑性起泡
可能組成物は、押出し成形可能な組成物である。
【0104】
また、本発明は、本発明の組成物を含む発泡剤を含有するポリマーフォーム配合物から
調製されたフォーム、好ましくは、独立気泡フォームに関する。更に他の態様において、
本発明は、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、及
びポリエチレンテレフタレート(PET)フォーム、好ましくは、低密度フォームなどの
、熱可塑性又はポリオレフィンフォームを含む起泡可能な組成物を提供する。
【0105】
具体的な好ましい組成物
A.1,1,1−トリフルオロ,3−クロロプロペン(HFO−1233zd)を含有
する組成物
本出願人らは、本質的な成分としてトリフルオロモノクロロプロペン、好ましくはCF
3CH=CHCl(トランスHFO−1233zd)と少なくともひとつの追加の化合物
とを含む幾つかの組成物を開発した。そのような組成物において、HFO−1233zd
の量は広く変動する可能性があり、すべての場合において、組成物中の他のすべての成分
の割合が定まった後に当該組成物の残部を構成する。一定の好ましい態様においては、組
成物中のトリフルオロモノクロロプロペン、好ましくは、トランスHFCO−1233z
d、シスHFCO−1233zd、及びこれらの組合せのうち各々の量は、以下の範囲と
することができる:約1重量%〜約99重量%;約80重量%〜約99重量%;約1重量
%〜約20重量%;約1重量%〜約25重量%;約1重量%〜約30重量%;及び約1重
量%〜約50重量%。このタイプの好ましい組成物を、以下に説明するが、すべてのパー
セントは重量基準のパーセントであり、表に示す追加成分に関して“約”の語がつくもの
と理解すべきである。加えて、以下の表は、トランスHFCO−1233zd、シスHF
CO−1233zd、並びに、これら二つの化合物のすべての組合せ及び割合に適用され
ると理解すべきである。
【0110】
共発泡剤がH
2Oである好ましい態様においては、組成物は、重量基準で、全発泡剤組
成物の約5重量%〜約50重量%、より好ましくは約10重量%〜約40重量%、更によ
り好ましくは約10重量%〜約20重量%の量のH
2Oを含む。
【0111】
共発泡剤がCO
2である好ましい態様においては、組成物は、重量基準で、全発泡剤組
成物の約5重量%〜約60重量%、より好ましくは約20重量%〜約50重量%、更によ
り好ましくは約40重量%〜約50重量%の量のCO
2を含む。
【0112】
共発泡剤がアルコール(好ましくはC2、C3、及び/又は、C4アルコール)である
好ましい態様においては、組成物は、重量基準で、全発泡剤組成物の約5重量%〜約40
重量%、より好ましくは約10重量%〜約40重量%、更により好ましくは約15重量%
〜約25重量%の量のアルコールを含む。
【0113】
HFC共発泡剤を含む組成物について、HFC共発泡剤(好ましくは、C2、C3、C
4、及び/又は、C5のHFC)、更により好ましくはジフルオロメタン(HFC−15
2a)(HFC−152aは、押出熱可塑性物質について特に好ましい)及び/又はペン
タフルオロプロパン(HFC−245)は、好ましくは、全発泡剤組成物の約5重量%〜
約80重量%、より好ましくは全発泡剤組成物の約10重量%〜約75重量%、更により
好ましくは約25重量%〜約75重量%の量で組成物中に存在する。更に、かかる態様に
おいて、HFCは、好ましくはC2−C4のHFCであり、更により好ましくはC3のH
FCであり、一定の態様においては、HFC−245faなどの五フッ素化されたC3の
HFCが非常に好ましい。
【0114】
HFE共発泡剤を含む組成物について、HFE共発泡剤(好ましくは、C2、C3、C
4及び/又はC5のHFE)、更により好ましくはHFE−254(特にHFE−254
pcを含む)は、好ましくは、全発泡剤組成物の約5重量%〜約80重量%、より好まし
くは約10重量%〜約75重量%、更により好ましくは約25重量%〜約75重量%の量
で組成物中に存在する。更に、かかる態様において、HFEは、C2−C4のHFE、更
により好ましくはC3のHFEであり、一定の態様においては、五フッ素化されたC3の
HFEが非常に好ましい。
【0115】
HC共発泡剤を含む組成物について、HC共発泡剤(好ましくはC3、C4、及び/又
はC5のHC)は、好ましくは、全発泡剤組成物の約5重量%〜約80重量%、更により
好ましくは全発泡剤の約20重量%〜約60重量%の量で組成物中に存在する。
【0116】
方法及びシステム
フォームを形成するための、現在知られた利用できる方法及びシステムは、本発明と関
連して使用するために、容易に適合可能であると考えられる。例えば、本発明の方法は、
一般的に、本発明の発泡剤を起泡可能組成物又はフォーム形成組成物に組み入れ、次に、
好ましくは、本発明の発泡剤の体積膨張を引き起こすことを含む工程又は一連の工程によ
り組成物を起泡することを必要とする。全般に、発泡剤の組み入れのため及び起泡のため
の現在使用されているシステム及び装置は、本発明の使用のために容易に適合することが
可能であると考えられる。実際、本発明の利点の一つは、既存の起泡方法及びシステムと
全般的に互換性がある、改善された発泡剤の提供であると考えられている。
【0117】
従って、本発明が、熱硬化性フォーム、熱可塑性フォーム及び現場施工型フォーム(fo
rmed-in-place foam)を含む、あらゆる種類のフォームのための方法及びシステムを含む
ことは、当業者によって理解されるであろう。従って、本発明の1つの側面は、本発明の
発泡剤を、ポリウレタン起泡装置のような従来の起泡装置と共に、従来の処理条件で用い
ることである。故に、本発明の方法は、マスターバッチタイプの操作、混合工程、第3の
ストリーム(stream)への発泡剤の添加、そして、発泡ヘッド(foam head)での発泡剤
の添加を含む。
【0118】
熱可塑性フォームに関して、好ましい方法においては、本発明に記載の発泡剤を、熱可
塑性物質、好ましくはポリオレフィンのような熱可塑性ポリマーに添加し、次いで、熱可
塑性物質を、起泡を起こすのに有効な条件に曝すことが含まれる。例えば、熱可塑性物質
に発泡剤を添加する工程は、熱可塑性物質を含むスクリュー押出し機に発泡剤を添加する
ことを包含してよく、そして、起泡を起こす工程は、熱可塑性物質への圧力を下げること
により発泡剤の膨張を引き起こし、物質の起泡に寄与することを包含する。
【0119】
特に、本明細書に包含される開示に鑑みて、本発明の発泡剤が形成される際の、そして
/又は起泡可能な組成物に添加される際の順序及び手法が、一般的に本発明の実施可能性
に影響を与えないことは、当業者によって理解されるであろう。例えば、押出し成形可能
なフォームの場合、発泡剤の種々の成分、さらには本発明の起泡可能な組成物の成分さえ
もが、押出し成形装置への添加前に混合されていないことも可能であり、又は該成分が押
出し成形装置内の同じ場所に添加されていないことさえも可能である。更に、発泡剤は、
直接添加されるか、又は、それから更に起泡可能な組成物の他の部分に添加されるプレミ
ックスの一部として添加されるかのいずれかが可能である。
【0120】
従って、ある態様においては、発泡剤の成分が押出し成形機で一緒になり、かつ/又は
、この手法によって、より効率的に作動することを見込んで、発泡剤の他の1種又は2種
以上の成分を添加する場所の上流である、押出し成形機の最初の場所で、発泡剤の1種又
は2種以上の成分を添加することが望ましいであろう。それでも、ある態様においては、
発泡剤の2種又は3種以上の成分が前もって組み合わされ、一緒になって起泡可能な組成
物に、直接添加されるか、又は、それから更に起泡可能な組成物の他の部分に添加される
プレミックスの一部として添加される。
【0121】
一定の好ましい態様において、分散剤、気泡安定化剤、界面活性剤、及び他の添加剤も
本発明の発泡剤組成物中に組み込むことができる。界面活性剤は、任意であるが、好まし
くは、気泡安定化剤として使用するために添加される。一部の代表的な材料は、DC-193、
B-8404、及びL-5340の名称で販売されており、一般的には、各々が参照により本明細書中
に援用される米国特許第2,834,748号、2,917,480号、及び2,846
,458号に開示されたものなどの、ポリシロキサンポリオキシアルキレンブロックコポ
リマーである。発泡剤混合物のための他の任意の添加剤としては、トリ(2−クロロエチ
ル)ホスフェート、トリ(2−クロロプロピル)ホスフェート、トリ(2、3−ジブロモ
プロピル)ホスフェート、トリ(1,3−ジクロロプロピル)ホスフェート、ジアンモニ
ウムホスフェート、種々のハロゲン化された芳香族化合物、酸化アンチモン、アルミニウ
ム三水和物、ポリ塩化ビニルなどの燃焼抑制剤が挙げられる。
【0122】
ここに参照によって組み入れられた「ポリウレタンの化学及び技術(Polyurethanes Ch
emistry and Technology)」第1巻及び第2巻, Saunders and Frisch, 1962年, John Wi
ley and Sons,ニューヨーク市,ニューヨーク州に記載されている方法のような、当該分
野でよく知られたいずれの方法も使用することでき、又は、本発明のフォームの態様に従
った使用に適合することができる。
【0123】
噴射剤及びエアゾール組成物
別の面において、本発明は、本発明の組成物を含むかまたは本質的にこの組成物からな
る噴射剤組成物を提供する。一定の好ましい態様において、そのような噴射剤組成物は、
好ましくは、単独で又は他の既知の噴射剤と組み合わせて噴霧可能な組成物である。
【0124】
一の側面において、本組成物は、固体及び/又は液体の物体及び/又は気体の物体をは
じめとする物体について、本発明の組成物を膨張させることにより発生し得る本組成物に
より生ずる力を適用することにより、かかる物体を噴射させるために使用することができ
る。例えば、好ましくは、かかる力は本発明の組成物の相を液体から気体へと変化させる
ことにより、及び/又は、本発明の組成物が加圧容器から出るときの実質的な圧力減少の
結果として放出される力により、少なくとも部分的に提供される。このようにして、本発
明の組成物を使用して、爆発的な力又は持続する力を噴射すべき物体に適用することがで
きる。したがって、本発明は、本発明の組成物を含み、液体又は固体の物体、あるいは気
体の物体のいずれかを所望の量の力で噴射又は移動させるように構成されたシステム、容
器、及び装置を含む。かかる使用の例としては、導管、チャネル、又はノズル中のドレイ
ン、パイプ、又は閉塞物を取り去るための噴射力によって使用することができる容器(加
圧された缶及び同様のデバイス)が挙げられる。別の用途としては、弾丸、ペレット、手
榴弾、ネット、キャニスタ、豆袋、電極、又は他の個々の束縛された又は束縛されていな
い発射物などの、固体の物体を環境、特に周囲空気を貫いて噴射するために、本組成物を
使用することが挙げられる。他の態様においては、本組成物を使用して、ジャイロスコー
プ、遠心機、玩具、又は回転する物体に対して回転動作などの運動を付与したり、あるい
は、花火、紙吹雪、ペレット、弾薬、及び他の固体物体などの固体の物体に対して噴射性
の力を付与したりすることができる。他の用途において、本発明の組成物により提供され
る力を使用して、ロケット又は他の発射物をはじめとする、動いている物体を押したり、
方向を変えたりすることができる。
【0125】
本発明の噴射剤組成物は好ましくは、噴射されるべき材料と、本発明に従う組成物を含
む(あるいは本質的にその組成物からなる、またはその組成物からなる)噴射剤とを含む
。不活性成分、溶剤、およびその他の物質も、噴霧可能な混合物中に存在していてもよい
。好ましくは、この噴霧可能な組成物はエアゾールである。噴霧されるべき適当な材料と
しては、限定するものではないが、消臭剤、香料、ヘアスプレーなどの化粧品、洗浄溶剤
、潤滑剤、さらには抗喘息薬などの医薬物質などが挙げられる。本明細書において医薬物
質との用語は、治療、診断方法、痛みの緩和、及び同様な処置に関して有効な、又は少な
くとも有効であると信じられるあらゆる全ての材料を含む最も広い意味で使用され、例え
ば、薬物及び生物学的に活性な物質を含む。ある好ましい態様において医薬物質は吸入さ
れることに適合されている。薬物またはその他の治療剤は、組成物中に治療量で存在する
のが好ましく、組成物の残部のかなりの部分は本発明の式Iの化合物、好ましくはHFO
−1234、さらに好ましくはシス−HFO−1234ze、トランス−HFO−123
4ze、HFO−1234yf、HFO−1234yc、HFO−1234zc、HFO
−1234ye(E)、及びHFO−1234ye(Z)のうち任意の一つ又はそれより
多くを含む。
【0126】
工業用途、消費者または医療用途のためのエアゾール製品は典型的に、1種以上の噴射
剤とともに、1種以上の有効成分、不活性成分または溶剤を含む。噴射剤は、製品をエア
ゾール化した形態で排出する力を与える。エアゾール製品の幾つかのものは、二酸化炭素
、窒素、亜酸化窒素、さらには空気のような圧縮気体を用いて噴射されるが、大部分の市
販用のエアゾールは液化ガスの噴射剤を用いる。最も一般的に用いられる液化ガス噴射剤
は、ブタン、イソブタン、およびプロパンなどの炭化水素である。ジメチルエーテルとH
FC−152a(1,1−ジフルオロエタン)も、単独で、または炭化水素の噴射剤と混
合して用いられる。あいにくと、これらの液化ガス噴射剤の全てがかなり可燃性なので、
それらをエアゾール配合物の中に組み入れることは多くの場合、可燃性のエアゾール製品
をもたらす。
【0127】
出願人は、エアゾール製品を製造するための不燃性の液化ガス噴射剤に対する継続的な
要求を認識するに至った。本発明は、本発明の組成物、特にそして好ましくはHFO−1
234、さらに好ましくはシス−HFO−1234ze、トランス−HFO−1234z
e、HFO−1234yf、HFO−1234yc、HFO−1234zc、HFO−1
234ye(E)、及びHFO−1234ye(Z)のうち任意の一つ又はそれより多く
を含む組成物であって、例えばスプレー式クリーナーや潤滑剤、およびそれらの類似物を
含む特定の工業用エアゾール製品、および例えば薬品を肺や粘膜に供給するためのものを
含む医薬用エアゾールにおいて用いるための組成物を提供する。この例としては、喘息や
その他の慢性閉塞性肺疾患の治療のためや接近可能な粘膜または鼻腔内に薬物を供給する
ための計量投与吸入器(MDI)がある。従って、本発明は、(人間や動物などの)生物
の病気、疾病および類似の健康に関連する問題を治療するための方法を含み、この方法は
、治療が必要な生物に薬物またはその他の治療成分を含む本発明の組成物を適用すること
を含む。特定の好ましい態様において、本組成物を適用する工程は、本発明の組成物を含
有するMDIを用意すること(例えば、その組成物をMDIの中に導入すること)、そし
て次に、本組成物をMDIから放出することを含む。
【0128】
本発明の組成物、特にシス−HFO−1234ze、トランス−HFO−1234ze
、HFO−1234yf、HFO−1234yc、HFO−1234zc、HFO−12
34ye(E)、及びHFO−1234ye(Z)のうち任意の一つ又はそれより多くを
含むかあるいは本質的にこれらからなる組成物は、地球温暖化に実質的に寄与しない不燃
性の液化ガス噴射剤およびエアゾールを提供することができる。本組成物は、コンタクト
クリーナー、ダスター、潤滑剤スプレー、および類似物などの様々な工業用エアゾールま
たはその他の噴霧可能な組成物や、個人用ケア製品、家庭用品および自動車用製品などの
消費者用エアゾールを製造するために用いることができる。HFO−1234zeは、計
量投与吸入器などの医薬用エアゾールのための噴射剤組成物の重要な成分として用いるの
に特に好ましい。多くの適用における本発明の医薬用エアゾールおよび/または噴射剤お
よび/または噴霧可能な組成物は、式(I)または(II)の化合物(好ましくはシス−
HFO−1234ze、トランス−HFO−1234ze、HFO−1234yf、HF
O−1234yc、HFO−1234zc、HFO−1234ye(E)、及びHFO−
1234ye(Z)のうち任意の一つ又はそれより多く)に加えて、ベータ作用薬、コル
チコステロイドまたはその他の薬物、および任意に、界面活性剤、溶剤、他の噴射剤、香
味剤およびその他の賦形剤などその他の成分を含む。本発明の組成物は、これらの適用に
おいてこれまで用いられた多くの組成物とは異なり、良好な環境特性を有するもので、地
球温暖化の潜在的な誘因とは認識されていない。従って、本組成物は、特定の好ましい態
様において、非常に低い地球温暖化係数を有する本質的に不燃性の液化ガス噴射剤を提供
する。
【0129】
香味剤および芳香剤
本発明の組成物は、香味配合物および芳香配合物の一部として、そして特にこれらのた
めの担体として用いられるときにも利点を提供する。この目的のための本組成物の適性は
、0.39グラムのジャスモンを厚肉のガラス管の中に入れる試験手順によって例証され
た。1.73グラムのR−1234zeがガラス管に添加された。次いで、管は冷凍され
、そして密封された。管が解凍したとき、混合物は一つの液体相を有していた。その溶液
は20重量%のジャスモンと80重量%のR−1234zeを含んでいて、したがって、
香味配合物及び芳香剤のための担体として用いるのに有利であることが確認された。また
、植物から抽出されるものを含めて、生物活性化合物(バイオマスなど)及び芳香の抽出
剤としての可能性も確認された。一定の態様において、超臨界状態である本流体を用いて
抽出用途において本組成物を使用することが好ましい場合がある。超臨界又は近超臨界状
態での本組成物の使用に関わる他の用途は以下に説明する。
【0130】
膨張剤
本発明の組成物の一つの潜在的な利点は、好ましい組成物が殆どの周囲条件において気
体の状態であることである。この特徴により、流される空間の重量を有意に増加させるこ
となく、本発明の組成物を空間に充填することが可能となる。そのうえ、本発明の組成物
は、比較的容易な輸送や貯蔵のために圧縮又は液化することができる。これゆえに、例え
ば、本発明の組成物は、好ましくは、しかし必須ではないが、組成物が出ていき、少なく
ともある時間の間、加圧気体として別の環境へと当該組成物を放出するように適合された
ノズルをその中に有する加圧缶などの、閉じられた容器中に、液体形態で収容されていて
もよい。例えば、かかる応用としては、輸送手段(自動車、トラック、及び航空機を含む
)に関して使用することができるようなタイヤに接続するように適合された缶中に本組成
物を収容することが挙げられる。この態様にしたがった他の例としては、少なくとも一定
の時間、圧力下で気体状の材料を収容するように適合されたエアバッグ又は他の空気袋(
他の保護用空気袋を含む)を膨らませるために、同様のアレンジメントにおいて本組成物
を使用することが挙げられる。缶などの固定容器を使用する代わりに、本発明のこの側面
にしたがえば、液体又は気体のいずれかの形態で本組成物を含有し、かつ、それを通して
、特定の応用に関して必要とされるような加圧された環境中に導入することができる、ホ
ース又は他のシステムを通して、本組成物を適用してもよい。
【0131】
方法及びシステム
本発明の組成物は、冷却システム、空調システムおよびヒートポンプシステムにおいて
用いられる冷媒など、熱を伝達するための方法とシステムにおける熱伝達流体としての用
途を含めて、多くの方法とシステムに関して有用である。本組成物はまた、エアゾールを
発生させるシステムと方法、好ましくはそのようなシステムと方法におけるエアゾール噴
射剤を含むかまたはそれからなるエアゾールを発生させるシステムと方法において用いる
のに有利である。フォームを形成する方法および炎を消しそして抑える方法も、本発明の
特定の面に含まれる。本発明はまた、特定の面において、そのような方法とシステムにお
いて本組成物が溶剤組成物として用いられている物品から残留物を除去する方法も提供す
る。
【0132】
熱伝達方法及びシステム
好ましい熱伝達方法は、一般的には、本発明の組成物を提供し、そして顕熱伝達、相変
化熱伝達、又はこれらの組合せのいずれかにより組成物に対して又は組成物から熱を伝達
させることを含む。例えば、一定の好ましい態様において、本組成物は、本発明の冷媒を
含む冷却システム、及び、本発明の組成物を凝縮及び/又は蒸発させることにより加熱又
は冷却を生じる方法を提供する。一定の好ましい態様において、他の流体を直接又は間接
的に、あるいは物体を直接又は間接的に冷却することを含む、冷却するための方法は、本
発明の組成物を含む冷媒組成物を凝縮し、その後に、前記冷媒組成物を冷却すべき物品の
近傍で蒸発させることを含む。本明細書において、“物体”とは、無生物だけでなく、一
般に動物の組織、そして特にヒトの組織を含む生体組織を現す。例えば、本発明の一定の
側面は、鎮痛法、予備麻酔、又は、治療すべき物体の温度を低くすることを伴う治療の一
部などの、一又はそれより多い治療目的のために、本組成物をヒトの組織に対して適用す
ることを伴う。一定の態様において、物体への適用は、圧力下で、好ましくは、一方向放
出弁及び/又はノズルを有する加圧容器中に、液体形態の本組成物を加圧状態で提供し、
そして組成物を物体に噴霧するか、さもなければ他の方法で適用することによりその液体
を加圧容器から放出することを含む。液体が、噴霧された表面から蒸発するときに、表面
が冷却される。
【0133】
流体又は物体を加熱するための一定の好ましい方法は、本発明の組成物を含む冷媒組成
物を加熱すべき流体又は物体の近傍で凝縮し、その後に前記冷媒組成物を蒸発させること
を含む。本明細書中の開示に照らせば、当業者は、過度な実験をすることなく、本発明に
したがって容易に物品を加熱及び冷却することができる。
【0134】
出願人らは、本発明のシステム及び方法において、重要な冷却システムの性能パラメー
タの多くがR−134aに関するパラメータと比較的近いことを見出した。多くの現存す
る冷却システムは、R−134aに関して、又はR−134aと同様の特性をもつ他の冷
媒に関して設計されていることから、システムに対する比較的最小限の変更によってR−
134a又は同様の冷媒の代替として使用することができる低GWP及び/又は低オゾン
破壊性の冷媒の実質的な利点を当業者は認識するだろう。一定の態様において、本発明は
、システムの実質的な変更をすることなく、現存するシステムにおける熱伝達流体(冷媒
など)を本発明の組成物により置換することを含む改良方法を提供することを企図してい
る。一定の好ましい態様において、置換工程は、熱伝達流体としての本発明の組成物を受
け入れるためのシステムの実質的な再設計を必要とせず、また装置の主要なアイテムを置
換する必要が無いという意味において、ドロップイン置換である。一定の好ましい態様に
おいて、本方法は、システムの能力が置換前のシステム能力の少なくとも約70%、好ま
しくは少なくとも約85%、更により好ましくは少なくとも約90%であるドロップイン
置換を含む。一定の好ましい態様において、本方法は、システムの吸引圧力及び/又は放
出圧力、更により好ましくはその両方が、置換前の吸引圧力及び/又は放出圧力の少なく
とも約70%、より好ましくは少なくとも約90%、更により好ましくは少なくとも約9
5%であるドロップイン置換を含む。一定の好ましい態様において、本方法は、システム
の質量流量が置換前の質量流量の少なくとも約80%、更により好ましくは少なくとも9
0%であるドロップイン置換を含む。
【0135】
一定の態様において、本発明は、好ましくは、冷却すべき物体又は流体の近傍で本冷媒
組成物を蒸発させて本組成物を含む蒸気を生成して、流体又は物体から熱を吸収すること
により冷却することを含む。好ましくは、本方法には、通常は圧縮機又は同様の装置によ
り冷媒蒸気を圧縮して、比較的高圧の本組成物の蒸気を生成する更なる工程が含まれる。
一般的には、蒸気を圧縮する工程により、蒸気に対して熱が加えられ、比較的高圧の蒸気
の温度上昇が引き起こされる。好ましくは、かかる態様において、本方法には、この比較
的高温、高圧の蒸気から、蒸発工程及び圧縮工程により加えられた熱の少なくとも一部を
取り出すことが含まれる。熱取り出し工程には、好ましくは、蒸気が比較的高圧条件にあ
る間に、高温、高圧の蒸気を凝縮して、本発明の組成物を含む比較的高圧の液体を生成す
ることが含まれる。この比較的高圧の液体は、好ましくは、次いで見かけ上、等エンタル
ピー減圧を受けて、比較的低温、低圧の液体を生成する。かかる態様において、この低い
温度の冷媒液体が、次いで、冷却すべき物体又は流体から伝達された熱により蒸発される
。
【0136】
本発明の別の方法態様において、本発明の組成物は、加熱すべき液体又は物体の近傍で
本組成物を含む冷媒を凝縮することを含む、加熱をもたらす方法において使用してもよい
。かかる方法は、これまでに説明したように、上述の冷却サイクルに対して逆のサイクル
であることが多い。
【0137】
フォーム発泡方法
本発明の一つの態様は、フォームを形成する方法、そして好ましくはポリウレタンおよ
びポリイソシアヌレートのフォームを形成する方法に関する。その方法は、概して言えば
、当分野で周知であるように、本発明の発泡剤組成物を用意し、その発泡剤組成物を(直
接または間接に)起泡可能な組成物に添加し、そしてフォームまたは気泡構造物が形成さ
れるのに有効な条件下で起泡可能な組成物を反応させることを含む。例えば「ポリウレタ
ンの化学と技術(Polyurethanes Chemistry and Technology)」Volumes I and II, Saun
ders and Frisch, 1962, John Wiley and Sons, New York, NY, (この記載は参照により
本明細書中に援用される)に記載されているような、当分野で周知のいかなる方法も、本
発明のフォームの態様にしたがって用いるか、使用するために適合させることができる。
一般に、そのような好ましい方法は、イソシアネート、ポリオールまたはポリオールの混
合物、発泡剤または本発明の組成物を1以上含む発泡剤の混合物、および触媒、界面活性
剤、そして任意に難燃剤、着色剤またはその他の添加剤などの他の材料を組み合わせるこ
とによって、ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートのフォームを調製することを含む
。
【0138】
多くの適用において、ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートのフォームのための成
分をプレブレンド配合として用意するのが好都合である。最も典型的には、フォーム配合
物はプレブレンドされて、二つの成分にされる。イソシアネートと、任意の特定の界面活
性剤および発泡剤とは第一の成分を構成し、これは通常「A」成分と呼ばれる。ポリオー
ルまたはポリオールの混合物、界面活性剤、触媒、発泡剤、難燃剤、およびその他のイソ
シアネート反応性成分は第二の成分を構成し、これは通常「B」成分と呼ばれる。従って
、AおよびBの副成分を、小さな調製物を得るための手混合によって、そして好ましくは
ブロック、スラブ、ラミネート、現場注入パネル、およびその他の物品、噴霧されたフォ
ーム、フロスおよび類似物を形成するための機械混合法によって混合することにより、ポ
リウレタンまたはポリイソシアヌレートのフォームが容易に調製される。任意に、難燃剤
、着色剤、補助発泡剤、およびさらに他のポリオールなどの他の成分を、混合ヘッドまた
は反応位置に第三の流れとして添加することができる。しかし、最も好ましくは、これら
は全て上記の一つのB成分の中に組み込まれる。
【0139】
また、本発明の組成物を用いて熱可塑性フォームを製造することもできる。例えば、一
般的なポリスチレンやポリエチレン調製物を通常の方法で組成物に添加し、それにより硬
質のフォームを製造することができる。
【0140】
洗浄方法
本発明はまた、製品、部材、部品、基板、またはその他のあらゆる物品またはその部分
から、その物品に本発明の組成物を適用することによって、汚染物質を除去する方法を提
供する。便宜上、“物品”の用語は、本明細書においては、そのようなあらゆる製品、部
材、部品、基板、および類似物を意味するものとして用いられ、またさらには、それらの
あらゆる表面またはその部分を意味することが意図されている。さらに、“汚染物質”の
用語は、物品の上に存在するあらゆる望ましくない材料または物質を意味することが意図
されていて、そのような物質が物品の上に意図的に置かれている場合であっても、そうで
ある。例えば、半導体デバイスの製造においては、基板の上にフォトレジスト材料を堆積
してエッチング工程のためのマスクを形成し、次いでフォトレジスト材料を基板から除去
するのが一般的である。ここで用いられる“汚染物質”の用語は、そのようなフォトレジ
スト材料に適用され、そしてそれを含むことが意図されている。
【0141】
本発明の好ましい方法は、本組成物を物品に適用することを含む。多くの異なる洗浄法
において本発明の組成物を良好に用いることができると考えられるが、本組成物を超臨界
洗浄法に関して用いるのが、特に有利であると考えられる。超臨界洗浄は米国特許第6,
589,355号に開示されていて、これは本発明の譲受人に譲渡されたが、この特許は
本明細書中に参考文献として援用される。超臨界洗浄の適用については、特定の態様にお
いては、HFO−1234(好ましくは、シス−HFO−1234ze、トランス−HF
O−1234ze、HFO−1234yf、HFO−1234yc、HFO−1234z
c、HFO−1234ye(E)、及びHFO−1234ye(Z)のうち一つ又はそれ
より多く)に加えて、1以上の追加の成分、例えば超臨界洗浄の適用に関する使用のため
に知られているCO
2やその他の追加の成分などを、本洗浄組成物の中に含めるのが好ま
しい。また、特定の態様においては、特定の蒸気脱脂法や溶剤洗浄法に関連して本洗浄組
成物を用いることができて、そしてそれが望ましいかもしれない。
【0142】
可燃性低減方法
特定の他の好ましい態様によれば、本発明は流体の可燃性を低減するための方法を提供
し、前記方法は、前記流体に本発明の化合物または組成物を添加することを含む。広い範
囲で可燃性を有する流体のいかなるものに関する可燃性も、本発明に従って低減するだろ
う。例えば、エチレンオキシド、可燃性ハイドロフルオロカーボン、およびHFC−15
2a、1,1,1−トリフルオロエタン(HFC−143a)、ジフルオロメタン(HF
C−32)、プロパン、ヘキサン、オクタン、および類似物を含めた炭化水素などの流体
に関する可燃性は、本発明に従って低減させることができる。本発明の目的に関して、可
燃性流体とは、例えばASTM E−681などのあらゆる標準的で一般的な試験方法に
よって測定されて空気中で可燃性範囲を示すあらゆる流体であろう。
【0143】
本発明に従って流体の可燃性を低減するために、いかなる適当な量の本化合物または組
成物も添加することができるだろう。当業者であれば認識できるであろうが、添加する量
は、少なくとも一部は、対象の流体の可燃性の程度、およびその可燃性がどの程度まで低
減されるのが望ましいか、に依存するだろう。特定の好ましい態様においては、可燃性流
体に添加される化合物または組成物の量は、得られる流体を実質的に不燃性にするのに有
効な量である。
【0144】
燃焼抑制方法
本発明はさらに、燃焼抑制方法を提供し、その方法は、炎に本発明の化合物または組成
物を含む流体を接触させることを含む。炎を本組成物と接触させるために、いかなる適当
な方法を用いてもよい。例えば、本発明の組成物を炎に噴霧したり、注ぎかけるなどする
ことができ、あるいは炎の少なくとも一部を組成物に浸漬してもよい。ここでの教示を考
慮して、当業者であれば、様々な一般的な燃焼抑制のための装置と方法を、本発明におい
て用いるために容易に適用することができるだろう。
【0145】
滅菌方法
多くの物品、装置、および材料、特に医療分野で用いられるものは、患者や病院職員の
健康と安全などの健康上と安全上の理由から、使用する前に滅菌されなければならない。
本発明は、滅菌されるべき物品、装置または材料を、1以上の滅菌剤と組み合わせて、式
Iの化合物、好ましくはHFO−1234、そしてさらに好ましくはシス−HFO−12
34ze、トランス−HFO−1234ze、HFO−1234yf、HFO−1234
yc、HFO−1234zc、HFO−1234ye(E)、及びHFO−1234ye
(Z)のうち一つ又はそれより多くを含む本発明の化合物または組成物と接触させること
を含む、滅菌方法を提供する。当分野で多くの滅菌剤が知られていて、それらを本発明に
関して用いるために適用することができると考えられるが、特定の好ましい態様において
は、滅菌剤は、エチレンオキシド、ホルムアルデヒド、過酸化水素、二酸化塩素、オゾン
、およびこれらの組み合わせを含む。特定の態様においては、エチレンオキシドが好まし
い滅菌剤である。本明細書に含まれる教示に鑑みて、当業者であれば、本滅菌組成物およ
び方法に関して用いられるべき本化合物と滅菌剤の相対的な割合を容易に決定することが
できるだろう。そしてそのような割合の範囲の全てが、本発明の広い範囲に含まれる。当
業者には知られているように、エチレンオキシドなどの特定の滅菌剤は比較的可燃性の高
い成分であるが、本発明に従う化合物は、組成物中に存在する他の成分とともに、滅菌組
成物の可燃性を許容可能なレベルまで低減させるのに有効な量で、本組成物中に配合され
る。
【0146】
本発明の滅菌方法は高温または低温の滅菌のいずれでもよいが、本発明の方法は、約2
50°Fから約270°Fまでの温度で、好ましくは実質的に密封されたチャンバ―内で
、本発明の化合物または組成物を使用することを含む。そのプロセスは通常、約2時間未
満で完了させうる。しかし、プラスチック物品や電気部品など、物品によってはそのよう
な高温に耐えることができないので、低温の滅菌を必要とする。低温滅菌方法においては
、滅菌されるべき物品は、ほぼ室温から約200°Fまでの温度で、より好ましくはほぼ
室温から約100°Fまでの温度で、本発明の組成物を含む流体にさらされる。
【0147】
本発明の低温滅菌は好ましくは、実質的に密封された、好ましくは気密のチャンバ―内
で行なわれる少なくとも二工程のプロセスである。第一の工程(滅菌工程)において、洗
浄されて気体透過性の袋の中に包まれた物品は、チャンバー内に置かれる。次いで、真空
引きすることによって、あるいは空気を蒸気と置換することによって、チャンバーから空
気が排出される。特定の態様においては、チャンバー内に蒸気を噴射することによって、
好ましくは約30%〜約70%の範囲の相対湿度を達成するのが好ましい。そのような湿
度は滅菌剤の滅菌効果を最大にするだろう。滅菌剤は、所望の相対湿度が達成された後に
チャンバー内に導入される。滅菌剤が包装を透過して物品の隙間に到達するのに十分な一
定の時間が経過した後、滅菌剤と蒸気がチャンバーから排出される。
【0148】
プロセスの好ましい第二の工程(通気工程)において、残留した滅菌剤を除去するため
に、物品は通気される。そのような残留物を除去することは、毒性のある滅菌剤の場合に
特に重要であるが、本発明の実質的に非毒性の化合物が用いられるような場合には、その
工程は任意である。典型的な通気プロセスには、空気洗浄、連続的な通気、およびこれら
二つの組み合わせが含まれる。空気洗浄は回分操作(バッチプロセス)であり、通常はチ
ャンバ―内を比較的短い時間(例えば12分間)排気することと、次いでチャンバ―内に
空気を大気圧以上で導入することを含む。このサイクルは、滅菌剤の所望の除去が達成さ
れるまで、何回でも繰り返される。連続的な通気は典型的には、チャンバ―の一方の側に
ある入口を通して空気を導入することと、次いで、チャンバ―の他方の側にある出口を通
して、この出口にわずかな真空を適用することによって空気を抜き出すことを含む。これ
ら二つの方法は、しばしば組み合わされる。例えば、一般的なやり方は、空気洗浄を行い
、次いで通気サイクルを行うことを含む。
【0149】
超臨界方法
一般に、本明細書で説明する用途及び方法の多くは、超臨界又は近超臨界状態で本組成
物を使用して実行することが可能であると考えられる。例えば、特に、アルカロイド(一
般的に植物源に由来する)、例えば、カフェイン、コデイン、及びパパベリンのような材
料、一般に触媒として有用であるメタロセンなどの有機金属材料、ならびに、ジャスモン
などの芳香剤及び香味剤に関連する使用のために、本明細書中に述べた溶媒及び溶媒抽出
用途で本組成物を利用してもよい。
【0150】
本組成物は、好ましくは、それらの超臨界又は近超臨界状態で、固体担体上での触媒、
特に有機金属触媒の堆積を含む方法と関連して使用することができる。1つの好ましい態
様において、これらの方法は、好ましくは、超臨界又は近超臨界状態でかかる触媒粒子を
本組成物から沈殿させることによって、細かく分割された触媒粒子を発生させる工程を含
む。一定の好ましい態様において、本方法にしたがって調製される触媒は優れた活性を示
すことが予想される。
【0151】
また、本明細書中に説明する一定のMDI方法及びデバイスは、細かく分割された形態
の薬剤を利用してもよいことが企図されており、かかる状況において、本発明は、好まし
くは本組成物中に、好ましくは超臨界又は近超臨界状態で、かかる粒子を溶解することに
よって、アルブテロールなどの細かく分割された薬剤粒子を本流体中に組み込む工程を含
む方法を提供することが企図されている。本流体が超臨界又は近超臨界状態であるときに
、材料の溶解性が比較的低い場合、アルコールなどの添加溶剤を使用することが好ましい
場合がある。
【0152】
また、超臨界又は近超臨界状態の本組成物は、回路基板及び他の電子材料及び物品を洗
浄するために使用してもよい。
【0153】
一定の材料は、特に超臨界又は近超臨界状態である場合、本組成物中での溶解性が非常
に制限されている。かかる状況に関して、二酸化炭素などの別の超臨界又は近超臨界溶媒
において、溶液からかかる低溶解性溶質を沈殿させるための逆溶媒(anti-solvent)とし
て本組成物を使用してもよい。例えば、超臨界二酸化炭素は熱可塑性フォームの押出プロ
セスで多用され、そして本組成物はその中に含まれる一定の材料を沈殿するために使用し
てもよい。
【0154】
また、一定の態様において、超臨界又は近超臨界状態で発泡剤として本組成物を利用す
ることも望ましいと考えられる。
【0155】
また、本方法及びシステムは、本発明にしたがった発泡剤を含有する一成分フォーム、
好ましくはポリウレタンフォームを形成することを含む。一定の好ましい態様において、
発泡剤の一部は、好ましくは、容器内の圧力にて液体であるフォーム形成剤中に溶解させ
ることにより、フォーム形成剤中に含有され、発泡剤の第二の部分は別の気相として存在
する。かかるシステムにおいて、含有される/溶解される発泡剤は、大部分、フォームを
膨張させるために機能し、別の気相がフォーム形成剤に対して推進力を付与するために機
能する。かかる一成分システムは、典型的かつ好ましくは、エアゾールタイプの缶などの
容器中に収納され、これゆえに本発明の発泡剤は、好ましくは、フォームの膨張及び/又
はフォーム/起泡可能な材料を包装容器から運ぶためのエネルギー、そして好ましくはそ
の両方を提供する。一定の態様において、かかるシステム及び方法は、包装容器に完全に
配合された系(好ましくは、イソシアネート/ポリオール系)を充填し、本発明にしたが
った気体の発泡剤を包装容器中に、好ましくは、エアゾールタイプの缶中に組み込むこと
を含む。
【0156】
参照により本明細書中に援用する“Polyurethanes Chemistry and Technology,”Volum
es I and II, Saunders and Frisch, 1962, John Wiley and Sons, New York, NYにおい
て説明されているものなどの、当技術分野においてよく知られている方法のうち任意のも
のを、本発明のフォーム形成態様にしたがって使用又は使用するために適合させてもよい
。
【0157】
また、一定の態様において、超臨界又は近超臨界状態で発泡剤として本組成物を利用す
ることも望ましいと考えられる。
【0158】
フォーム
本発明は、本発明の組成物を含む発泡剤を含むポリマーフォーム配合物により調製され
たあらゆるフォーム(独立気泡フォーム(closed cell foam)、連続気泡フォーム(open
cell foam)、硬質のフォーム、柔軟なフォーム、スキン層付きフォーム等を含むが、こ
れらに限定されない)に関する。本出願人らは、フォーム、特に本発明に記載のポリウレ
タンフォームのような熱硬化性フォームの一つの利点は、好ましくは熱硬化性フォームの
態様と関連して、特にそして好ましくは低温条件下で、例えばK−ファクターまたはラム
ダにより測定することのできる、非常にすぐれた熱特性を達成できる能力であるというこ
とを見出した。本発明のフォームは、特に本発明の熱硬化性フォームは種々の用途に用い
ることができると考えられているが、ある好ましい態様において、本発明は、冷蔵庫用フ
ォーム、冷凍庫用フォーム、冷蔵庫/冷凍庫用フォーム、パネル用フォーム、及び他の低
温又は極低温製造装置を含む、本発明に記載の電化製品用フォームを含む。
【0159】
特定の好ましい態様において、本発明に記載のフォームは、本発明の好ましい発泡剤の
多くに関連する低オゾン層破壊係数及び低地球温暖化係数に加えて、断熱効率(特に、熱
硬化性フォーム)、寸法安定性、圧縮強さ、断熱効率の経時変化を含む1つ又は2つ以上
の非常にすぐれた特徴、性質、及び/又は特性を提供する。ある非常に好ましい態様にお
いて、本発明は、フォーム製品に形成されるフォームのような熱硬化性フォームを提供し
、それは、同じ発泡剤(又は、通常用いられる発泡剤であるHFC−245fa)を同じ
量で用いるが、本発明に記載の式Iの化合物を有さずに作製されたフォームに比べて改善
された熱伝導性を示す。ある非常に好ましい態様において、熱硬化性フォーム、及び好ま
しくは本発明のポリウレタンフォームは、40°Fで、約0.14以下のK−ファクター
(BTU in/hr ft
2 °F)を示し、より好ましくは0.135以下、そして更
に好ましくは0.13以下を示す。更に、ある態様においては、熱硬化性フォーム、及び
好ましくは本発明のポリウレタンフォームは75°Fで、約0.16以下のK−ファクタ
ー(BTU in/hr ft
2 °F)を示し、より好ましくは0.15以下、そして更
に好ましくは0.145以下を示す。
【0160】
他の好ましい態様において、本発明のフォームは、本発明の範囲外の発泡剤により製造
されたフォームと比べて、改善された機械的性質を示す。例えば、本発明のある好ましい
態様は、実質的に同一の条件の下でシクロペンタンより成る発泡剤を使用して製造された
フォームより優れた圧縮強さを有し、そして好ましくは少なくとも相対的に約10%大き
な圧縮強さを有し、そして、更に好ましくは少なくとも相対的に約15%大きな圧縮強さ
を有するフォーム及びフォーム製品を提供する。更に、特定の態様において、発泡剤がH
FC−245faより成ることを除き、実質的に同様の条件の下でフォームを作製するこ
とにより示される圧縮強さにコマーシャルベースで匹敵する圧縮強さを、本発明に従って
製造されたフォームが有することが好ましい。ある好ましい態様において、本発明のフォ
ームは少なくとも約12.5%の降伏(yield)(平行方向及び垂直方向)を示し、そし
て、更に好ましくは、少なくとも約13%の降伏を前記のそれぞれの方向において示す。
【実施例】
【0161】
以下の実施例は本発明を例証する目的で提示されるが、本発明の範囲を限定するもので
はない。
【0162】
実施例1
成績係数(coefficient of performance:COP)は、一般に認められている冷媒性能
の尺度であり、冷媒の蒸発または凝縮を含む特定の加熱または冷却のサイクルにおける冷
媒の相対的な熱力学的効率を表わすのに特に有益である。冷却工学において、この用語は
、蒸気を圧縮する際に圧縮機によって加えられたエネルギーに対する有用な冷却の比率を
表わす。冷媒の能力(capacity)は冷媒が与える冷却または加熱の量を表わし、それは、
冷媒の所定の容積流量に対して圧縮機が熱量を与える性能の尺度を与える。言い換えると
、特定の圧縮機があるとき、冷媒の能力が大きいほど、その冷媒はより大きな冷却能力ま
たは加熱能力を伝えるだろう。特定の操作条件における冷媒のCOPを評価するための一
つの手段は、標準冷却サイクル分析法を用いる冷媒の熱力学的特性からのものである(例
えば、R.C. Downing, FLUOROCARBON REFRIGERANTS HANDBOOK(フルオロカーボン冷媒便覧
), Chapter 3, Prentice-Hall, 1988を参照されたい)。
【0163】
冷却/空調サイクル装置が用意され、このとき、圧縮機の入口温度を約50°Fとする
名目上の等エントロピー圧縮の下で、凝縮器の温度は約150°Fであり、蒸発器の温度
は約−35°Fであった。1.00のCOP値と1.00の能力値および175°Fの排出
温度を有するHFC−134aを基にして、ある範囲の凝縮器温度と蒸発器温度にわたっ
て、本発明の幾つかの組成物についてCOPが測定され、これを下の表1に報告する。
【0164】
【表5】
【0165】
この実施例は、本組成物において用いるための好ましい化合物の特定のものはそれぞれ
、HFC−134aよりも良好なエネルギー効率を有し(1.00と比較して1.02、1
.04および1.13)、そして本冷媒組成物を用いる圧縮機は有利な排出温度をもたらす
であろう(175と比較して158、165および155)、ということを示す。という
のは、この排出温度の結果は、補修管理の問題の低減をもたらすと考えられるからである
。そのうえ、本発明の一態様、すなわち、冷媒組成物が好ましくは少なくとも約70重量
%のHFO−1234yfを含む態様は、R−134aと比較した場合だけでなく、冷媒
が本質的にHFO−1234zeからなる態様と比較した場合でも、相対能力に関して劇
的にすぐれた性能を有することが上の表から明らかである。一定の好ましい態様において
は、したがって、本発明は、物品又は流体を加熱又は冷却するための方法であって、少な
くとも約80重量%、更により好ましくは少なくとも約90重量%のHFO−1234y
fを含む組成物を用いることを含む方法を提供する。かかる冷却システムの能力は、冷媒
としてR−134aを使用する同じシステムの能力の少なくとも約100%、より好まし
くは少なくとも約105%である。
【0166】
実施例2
様々な冷却潤滑剤とのHFO−1225yeおよびHFO−1234zeの混和性を試
験する。試験する潤滑剤は、鉱油(C3)、アルキルベンゼン(Zerol 150)、エステル
オイル(Mobil EAL 22cc及びSolest 120)、ポリアルキレングリコール(PAG)油(1
34aシステムのためのGoodwrench Refrigeration Oil)、及びポリ(アルファ−オレフ
ィン)油(CP-6005-100)である。それぞれの冷媒/オイルの組み合わせについて、三つ
の組成物を試験する。すなわち、5、20および50重量パーセントの潤滑剤と、各々の
残りは試験に供された本発明の化合物である。
【0167】
潤滑剤組成物を肉厚のガラスチューブの中に入れる。ガラスチューブを排気し、本発明
にしたがった冷媒化合物を添加し、次いでチューブをシールする。次いで、ガラスチュー
ブを空気浴環境のチャンバー内に置く。チャンバー内の温度は約−50℃から70℃まで
変化させる。およそ10℃の間隔で、一つ以上の液体相の存在について、チューブの内容
物の目視観察を行う。一より多い液体相が観察された場合、混合物は不混和性であるとさ
れる。一つだけの液体相が観察された場合、混合物は混和性であるとされる。二つの液体
相が観察されたが、しかし液体相のうちの一つが非常に少ない容積だけを占めている場合
、混合物は部分的に混和性であるとされる。
【0168】
ポリアルキレングリコールとエステルオイル潤滑剤は、試験された全ての割合において
、全ての温度範囲にわたって混和性であると判定されたが、ただしポリアルキレングリコ
ールとHFO−1225yeの混合物については、その冷媒混合物は−50℃から−30
℃の温度範囲においては不混和性であると認められ、そして−20℃から50℃の範囲で
は部分的に混和性であった。60℃での冷媒中の50重量パーセントの濃度のPAGにお
いて、その冷媒/PAG混合物は混和性であった。70℃において、冷媒中の5重量パー
セントの潤滑剤から冷媒中の50重量パーセントの潤滑剤まで、それは混和性であった。
【0169】
実施例3
本発明の冷媒化合物及び組成物のPAG潤滑油との適合性を、冷却装置と空調装置にお
いて用いられる金属と接触している状態で、350°Fにおいて試験する。この温度は、
多くの冷却や空調の適用において見出される条件よりもずっと厳しい条件を表わす。
【0170】
アルミニウム、銅及び鋼の試験片(クーポン)を、肉厚のガラスチューブに入れる。2
グラムのオイルをチューブの中に入れる。次いで、ガラスチューブを排気し、そして1グ
ラムの冷媒を添加する。ガラスチューブを350°Fの炉の中に一週間入れ、目視観察を
行う。曝露期間の最後にガラス管を取り出す。
【0171】
この手順は、オイルと本発明の化合物の下記の組み合わせについて行なわれた:
a)HFO−1234zeとGM Goodwrench PAGオイル
b)HFO−1243zfとGM Goodwrench PAGオイル
c)HFO−1234zeとMOPAR-56 PAGオイル
d)HFO−1243zfとMOPAR-56 PAGオイル
e)HFO−1225yeとMOPAR-56 PAGオイル。
【0172】
すべての場合において、ガラスチューブの内容物の外観に極少の変化が存在する。この
ことは、本発明の冷媒化合物と組成物は、冷却装置と空調装置及びこれらのタイプの装置
においてその組成物の中に含まれるかあるいはその組成物とともに用いられることの多い
タイプの潤滑油において見出されるアルミニウム、鋼、及び銅と接触したときに安定であ
る、ということを示す。
【0173】
比較例
アルミニウム、銅、及び鋼の試験片を、鉱油及びCFC−12とともに肉厚のガラスチ
ューブの中に入れ、実施例3におけると同様に、350°Fにおいて一週間加熱する。曝
露期間の最後にガラスチューブを取り出し、目視観察を行う。液体の内容物が黒色に変化
したのが観察され、このことは、チューブの内容物が激しく分解したことを示す。
【0174】
CFC−12と鉱油はこれまで、多くの冷却システムと冷却方法において組み合わせて
選択されてきた。したがって、本発明の冷媒化合物と組成物は、多くの一般的に用いられ
ている潤滑油と一緒に用いるときに、広く用いられている先行技術の冷媒−潤滑油の組合
せよりも、かなり良好な安定性を有する。
【0175】
実施例4−ポリオールフォーム
本実施例は、本発明の好ましい態様のうちの一つにしたがった発泡剤の使用、すなわち
HFO−1234zeの使用、及び本発明にしたがったポリオールフォームの製造を例証
する。ポリオールフォーム配合物の成分は下記の表にしたがって調製する。
【0176】
【表6】
【0177】
フォームは、発泡剤を添加せずに、成分を最初に混合することによって調製する。二つ
のフィッシャー・ポーター管のそれぞれに、約52.6グラムの(発泡剤を含まない)ポ
リオール混合物を充填し、密封し、次いで冷蔵庫の中に置いて冷却し、そしてわずかな真
空を形成した。ガスビュレットを用いて、約17.4グラムのHFO−1234zeを各
々の管に添加し、次いで温水中の超音波浴中に管を置き、そして30分間放置した。得ら
れた溶液は曇っていて、室温において測定した蒸気圧は約70psigの蒸気圧を示し、
このことは、発泡剤が溶液中に溶解していないことを示す。次いで、管を冷凍室の中に2
7°Fにおいて2時間置いた。蒸気圧を再び測定すると14psigであった。約87.
9グラムのイソシアネート混合物を金属容器の中に入れ、そして冷蔵庫の中に置いて約5
0°Fまで冷却した。次いで、ポリオールの管を開け、金属の混合容器の中に秤量した(
約100グラムのポリオールブレンドを用いた)。次いで、冷却した金属容器からイソシ
アネートをすぐにポリオールの中に注ぎ、そして二つのプロペラを有するエアミキサーを
用いて3000RPM(回転/分)で10秒間混合した。この配合物は撹拌するとすぐに
泡立ち始め、次いでこれを8×8×4インチの箱の中に注ぎ込み、そして発泡させた。泡
立ちが起こったため、クリーム時間は測定することができなかった。フォームは4分間の
ゲル化時間と5分間の不粘着時間を有していた。次いで、フォームを室温において二日間
硬化させた。次いで、フォームを、物理的特性を測定するのに適した試料に切断し、それ
は2.14pcfの密度を有していた。kファクターを測定し、次の通りであった。
【0178】
【表7】
【0179】
実施例5−ポリスチレンフォーム
本実施例は、本発明の二つの好ましい態様にしたがった発泡剤の使用、すなわちHFO
−1234ze及びHFO−1234yfの使用、ならびにポリスチレンフォームの製造
を例証する。特定の発泡剤とポリマーでフォームを製造することができるか否か、及びそ
のフォームの性質を決定するための手助けになるように、試験装置と試験手順が決定され
た。粉砕したポリマー(Dow ポリスチレン 685D)と本質的にHFO−1234zeから
なる発泡剤を、容器内で配合した。容器の略図を以下に示す。容器の容積は200cm
3
で、それは二つのパイプフランジと直径2インチで長さ4インチのスケジュール40ステ
ンレス鋼パイプの部分から成っている。容器を炉中に置き、温度を約190°Fから約2
85°Fまで、好ましくはポリスチレンについて265°Fに設定し、そこで温度が平衡
に達するまで放置する。
【0180】
【化7】
【0181】
次いで、容器内の圧力を開放し、発泡したポリマーが直ちに生成される。発泡剤は、そ
れがポリマーに溶解したときにポリマーを可塑化する。この方法を用いてこのように製造
された二つのフォームの得られた密度を、トランスHFO−1234ze及びHFO−1
234yfを用いて製造されたフォームの密度として、表4に示し
図1に表わす。データ
は、本発明にしたがってフォームのポリスチレンを得ることができることを示す。ポリス
チレンに関してR1234zeについてのダイ温度は約250°Fである。
【0182】
【表8】
【0183】
この実施例は、ツインスクリュー型の押出機において形成されるポリスチレンフォーム
について発泡剤としてのHFO−1234zeのみの性能を実証する。この実施例におい
て使用する装置は、以下の特徴を有するLeisthtzツインスクリュー型押出機である:
30mm同時回転スクリュー
L:D比=40:1。
押出機は10個のセクションに分割され、各々が4:1のL:Dを示す。ポリスチレン樹
脂は第一セクションに導入し、発泡剤は第六セクションに導入し、押出物は第十セクショ
ンから出る。押出機は、主として溶融/混合押出機として運転した。その後の冷却押出機
はタンデムで接続し、その設計特徴は、次のとおりであった:
Leistritzツインスクリュー押出機
40mm同時回転スクリュー
L:D比=40:1
ダイ:5.0mm環状。
ポリスチレン樹脂、すなわち、Nova Chemical−Nova 1600と呼ばれる一般的な押出等級の
ポリスチレンをこれまでに示した条件下で押出機に供給する。この樹脂は、375°F〜
525°Fの推奨溶融温度を有する。ダイにおける押出機の圧力は約1320ポンド/平
方インチ(psi)であり、ダイにおける温度は約115℃である。本質的にトランスH
FO−1234zeからなる発泡剤をこれまでに示した位置で押出機に添加し、核剤とし
て発泡剤全体に基いて約0.5重量%のタルクが含まれる。本発明にしたがった10重量
%、12重量%、及び14重量%の濃度の発泡剤を用いてフォームを生成する。生成され
るフォームの密度は約0.1グラム/cm
3〜0.07グラム/cm
3であり、気泡径は
約49〜約68ミクロンである。およそ30ミリメートル径のフォームは視覚的に非常に
良好な品質であり、非常に細かい気泡径であり、目に見える又は明らかなブローホールや
空隙は存在しない。
【0184】
実施例5A−ポリスチレンフォーム
起泡剤が約50重量%のトランスHFO−1234ze及び50重量%のHFC−24
5faを含み、実施例5に示す濃度の核剤を含むことを除いては、実施例5の手順を繰り
返す。発泡剤濃度がおよそ10%及び12%で発泡ポリスチレンを調製する。生成される
フォームの密度は約0.09グラム/cm
3であり、気泡径は約200ミクロンである。
フォームはおよそ30ミリメートル径であり、視覚的に非常に良好な品質で細かい気泡の
構造であり、目に見える又は明らかな空隙は存在しない。
【0185】
実施例5B−ポリスチレンフォーム
起泡剤が約80重量%のトランスHFO−1234ze及び20重量%のHFC−24
5faを含み、実施例5に示す濃度の核剤を含むことを除いては、実施例5の手順を繰り
返す。発泡剤濃度がおよそ10%及び12%で発泡ポリスチレンを調製する。生成される
フォームの密度は約0.08グラム/cm
3であり、気泡径は約120ミクロンである。
フォームはおよそ30ミリメートル径であり、視覚的に非常に良好な品質で細かい気泡の
構造であり、目に見える又は明らかな空隙は存在しない。
【0186】
実施例5C−ポリスチレンフォーム
核剤を省くことを除いては、トランスHFO−1234zeを用いて実施例5の手順を
繰り返す。フォームの密度は0.1グラム/cm
3の範囲であり、気泡径は約400ミク
ロンである。フォームはおよそ30ミリメートル径であり、視覚的に非常に良好な品質で
細かい気泡の構造であり、目に見える又は明らかな空隙は存在しない。
【0187】
実施例6−ポリウレタンフォーム圧縮強度
この実施例は、HFO−1234zeとその異性体を炭化水素共発泡剤と組み合わせて
使用した場合の性能、特に、HFO−1234ze及びシクロペンタン共発泡剤を含む組
成物についてポリウレタンフォームの圧縮強度性能における有用性を実証する。
【0188】
商業的に入手可能な冷却機器タイプのポリウレタンフォーム配合物(フォーム形成剤)
を提供する。ポリオールブレンドは、商業的なポリオール(単数又は複数)、触媒(単数
又は複数)、及び界面活性剤(単数又は複数)から構成された。この配合物を、気体の発
泡剤に関して使用するために適合させる。標準的な商業的ポリウレタン加工装置をフォー
ム形成プロセスのために使用する。発泡剤全体のおよそ60モル%の濃度のHFO−12
34ze(その異性体を含む)及びおよそ40モル%の濃度のシクロペンタンを含む気体
の発泡剤の組合せを形成した。この実施例は、HFO−1234ze(その異性体を含む
)をシクロペンタン共発泡剤と組み合わせた組合せについて物理的特性の性能を例示する
。以下の表5は、HFC−245faからなる発泡剤及びシクロペンタンからなる発泡剤
を用いてつくられたフォームと比較した、本発明の発泡剤を用いて同様な機械でつくられ
たポリウレタンフォームの圧縮強度を報告する。
【0189】
【表9】
【0190】
この実施例により例示されるひとつの予想外の結果は、HFO−1234ze、及びH
FO−1234ze/HFCブレンドを慣用的なフォーム加工装置、特にポリウレタン加
工装置において加工できるということである。このことは、マスターバッチタイプのブレ
ンド装置、気体発泡剤ブレンド装置、発泡剤の第三流の添加、又はフォームヘッドでの発
泡剤添加をはじめとする種々のタイプのシステム及び装置によるフォーム加工を可能とす
ることにおいて、潜在的に非常に有利である。
【0191】
実施例7−ポリウレタンフォームK−ファクター
ポリウレタンフォームを調製し、商業的な“機器タイプ”のポリウレタン配合物として
使用するために適合させる。実施例6において説明した同じフォーム配合物を、フォーム
形成プロセスにおいて使用される同じ標準的な商業的ポリウレタン加工装置に関して使用
する。幾つかの系を調製し、各系は、発泡剤を除いて、同一の成分、システム、及び装置
を使用する。本発明にしたがった発泡剤に加えて、HFC−134a、HFC−245f
a、及びシクロペンタンを各々発泡剤として試験する。各系において、発泡剤を実質的に
同じモル濃度でポリオールブレンド中に添加する。ポリオールブレンドは、商業的なポリ
オール(単数又は複数)、触媒(単数又は複数)、及び界面活性剤(単数又は複数)から
なる。標準的な商業的製造操作、例えば、冷却用途のためのフォームを製造する商業的な
操作にしたがってフォームを調製する。調製したフォームをk−ファクターに関して評価
した。この情報を以下の表3に報告する。ベンチマークの比較目的のために、商業的なデ
ータを参照することができるHFC−134aを用いてフォームを調製した。これらのフ
ォームのk−ファクターを表6に示す。
【0192】
【表10】
【0193】
この実施例は、HFO−1234ze発泡剤をポリウレタン配合物中に置換した場合の
HFO−1234ze及びその異性体のk−ファクターの性能を実証している。HFO−
1234zeをベンチマークのフォームのものと等しいモル濃度で置換した。表6のデー
タは、HFO−1234zeフォームのk−ファクターがHFC−134a又はシクロペ
ンタンフォームよりかなり良好であることを例示している。
【0194】
実施例8−ポリウレタンフォームk−ファクター
この実施例は、ポリウレタンフォームの調製に関して使用される種々のHFC共発泡剤
と組み合わせてHFO−1234ze(その異性体を含む)を含む発泡剤の性能を実証し
ている。発泡剤を除いて、実施例6及び7において使用したのと同じフォーム配合物、装
置、及び手順を使用する。発泡剤全体のおよそ80モル%の濃度のHFO−1234ze
(その異性体を含む)及び発泡剤全体のおよそ20モル%の濃度のHFC−245faを
含む発泡剤を調製する。本発明にしたがった発泡剤に加えて、HFC−134a及びシク
ロペンタンを各々発泡剤として試験した。各系において、発泡剤を実質的に同じモル濃度
でポリオールブレンド中に添加した。次いで、この発泡剤を用いてフォームを形成し、フ
ォームのk−ファクターを測定する。以下の表7は、HFC共発泡剤と組み合わせた場合
のHFO−1234ze(その異性体を含む)の組合せのk−ファクター性能を例示して
いる。
【0195】
【表11】
【0196】
この実施例により例示されるひとつの予想外の結果は、HFO−1234ze、及びH
FO−1234ze/HFCブレンドを慣用的なフォーム加工装置において加工できると
いうことである。このことは、マスターバッチタイプのブレンド装置、気体発泡剤ブレン
ド装置、発泡剤の第三流の添加、又はフォームヘッドでの発泡剤添加をはじめとする種々
のタイプのシステム及び装置によるフォーム加工を可能とすることにおいて、潜在的に非
常に有利である。
【0197】
実施例9−ポリウレタンフォームk−ファクター
この実施例は、ポリウレタンフォームの製造において使用した場合の本発明にしたがっ
た発泡剤の予想外の性能を更に実証する。三つの機器用ポリウレタンフォームをつくり、
各々は、異なる発泡剤を使用することを除いては、実質的に同じ材料、手順、及び装置を
用いて形成した。ポリオール系は、液体発泡剤との使用に適合された商業的に入手可能な
機器タイプの配合物である。フォーム装置を使用してフォームを形成する。発泡剤は、本
質的に等しいモル濃度で使用する。形成後、各フォームをk−ファクターを測定するのに
適するサンプルへと切断し、k−ファクターは以下の表8Bに示すようなものであった。
発泡剤全体を基準とした重量パーセントの発泡剤組成を以下の表8Aに開示する:
【0198】
【表12】
【0199】
【表13】
【0200】
表8Bに報告された結果は、熱硬化性フォームのための共発泡剤としてこれらのレベル
でシクロペンタン及びHFC−245faと組み合わせて本発明の化合物(HFO−12
34ze)を使用することにより、単独で又はHFC−245faとともに使用した場合
のHFO−1234zeのk−ファクター性能に対して有害な影響がなかったことを例示
している。これまで、発泡剤配合物中における実質的な量のシクロペンタンの使用により
k−ファクター性能に有害な影響があったことから、このことは予想外の結果である。
【0201】
実施例10−ポリウレタンフォームk−ファクター
実施例9と同じポリオール配合物及びイソシアネートを用いて更なる実験を行った。フ
ォームはハンドミックスにより調製する。発泡剤は、起泡可能な組成物のうち実施例9の
発泡剤とほぼ同じモル%の式IIにしたがった化合物、すなわち、トランスHFCO−1
233zd(CF
3CH=CHCl)からなる。k−ファクターは以下の表9に示すよう
なものであった。
【0202】
【表14】
【0203】
実施例11−ポリウレタンフォームk−ファクター
実施例9と同じポリオール配合物及びイソシアネートを用いて更なる実験を行った。フ
ォームはハンドミックスにより調製する。発泡剤は、起泡可能な組成物のうち実施例9の
発泡剤とほぼ同じモル%の式IIにしたがった化合物、すなわち、シスHFCO−123
3zd(CF
3CH=CHCl)からなる。許容可能なフォームが形成され、好ましくは
、k−ファクターは実施例10とほぼ等しいものであることがわかった。
【0204】
実施例12−ポリウレタンフォームk−ファクター
実施例9と同じポリオール配合物及びイソシアネートを用いて更なる実験を行った。フ
ォームはハンドミックスにより調製する。一連の発泡剤は、式IIにしたがった化合物、
すなわち、トランスHFCO−1233zd(CF
3CH=CHCl)と、メタノール、
プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、及びt−ブタノールの
各々との50:50モル比の組合せからなり、各組合せは、起泡可能な組成物に対して実
施例9における発泡剤とほぼ同じモルパーセントで発泡剤組成物中に存在する。許容可能
なフォームが形成され、好ましくは、k−ファクターは上述の実施例9において示したも
のとほぼ等しいか又はそれより良好であることがわかった。
【0205】
実施例13−ポリウレタンフォームk−ファクター
実施例9と同じポリオール配合物及びイソシアネートを用いて更なる実験を行った。フ
ォームはハンドミックスにより調製する。一連の発泡剤は、式IIにしたがった化合物、
すなわち、シスHFCO−1233zd(CF
3CH=CHCl)と、メタノール、プロ
パノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、及びt−ブタノールの各々
との50:50モル比の組合せからなり、各組合せは、起泡可能な組成物に対して実施例
9における発泡剤とほぼ同じモルパーセントで発泡剤組成物中に存在する。許容可能なフ
ォームが形成され、好ましくは、k−ファクターは上述の実施例9において示したものと
ほぼ等しいか又はそれより良好であることがわかった。
【0206】
実施例14−ポリウレタンフォームk−ファクター
実施例9と同じポリオール配合物及びイソシアネートを用いて更なる実験を行った。フ
ォームはハンドミックスにより調製する。一連の発泡剤は、式IIにしたがった化合物、
すなわち、トランスHFCO−1233zd(CF
3CH=CHCl)と、以下の追加の
化合物:イソ−ペンタン、ノルマル−ペンタン、及びシクロペンタンの各々との組合せか
らなる。HFCO−1233zd:追加の化合物のモル比が25:75、50:50、及
び75:25で、各々の追加の化合物の組合せで三種の発泡剤を形成する。各発泡剤組成
物は、起泡可能な組成物に対して実施例9における発泡剤とほぼ同じモルパーセントで存
在する。許容可能なフォームが形成され、好ましくは、k−ファクターは上述の実施例9
において示したものとほぼ等しいか又はそれより良好であることがわかった。
【0207】
実施例15−ポリウレタンフォームk−ファクター
実施例9と同じポリオール配合物及びイソシアネートを用いて更なる実験を行った。フ
ォームはハンドミックスにより調製する。一連の発泡剤は、式IIにしたがった化合物、
すなわち、シスHFCO−1233zd(CF
3CH=CHCl)と、以下の追加の化合
物:イソ−ペンタン、ノルマル−ペンタン、及びシクロペンタンの各々との組合せからな
る。HFCO−1233zd:追加の化合物のモル比が25:75、50:50、及び7
5:25で、各々の追加の化合物の組合せで三種の発泡剤を形成する。各発泡剤組成物は
、起泡可能な組成物に対して実施例9における発泡剤とほぼ同じモルパーセントで存在す
る。許容可能なフォームが形成され、好ましくは、k−ファクターは上述の実施例9にお
いて示したものとほぼ等しいか又はそれより良好であることがわかった。
【0208】
実施例16−ポリウレタンフォームk−ファクター
実施例9と同じポリオール配合物及びイソシアネートを用いて更なる実験を行った。フ
ォームはハンドミックスにより調製する。一連の発泡剤は、式IIにしたがった化合物、
すなわち、トランスHFCO−1233zd(CF
3CH=CHCl)と、以下の追加の
化合物:水及びCO
2の各々との組合せからなる。HFCO−1233zd:追加の化合
物のモル比が25:75、50:50、及び75:25で、各々の追加の化合物の組合せ
で三種の発泡剤を形成する。各発泡剤組成物は、起泡可能な組成物に対して実施例9にお
ける発泡剤とほぼ同じモルパーセントで存在する。許容可能なフォームが形成され、好ま
しくは、k−ファクターは上述の実施例9において示したものとほぼ等しいか又はそれよ
り良好であることがわかった。
【0209】
実施例17−ポリウレタンフォームk−ファクター
実施例9と同じポリオール配合物及びイソシアネートを用いて更なる実験を行った。フ
ォームはハンドミックスにより調製する。一連の発泡剤は、式IIにしたがった化合物、
すなわち、シスHFCO−1233zd(CF
3CH=CHCl)と、以下の追加の化合
物:水及びCO
2の各々との組合せからなる。HFCO−1233zd:追加の化合物の
モル比が25:75、50:50、及び75:25で、各々の追加の化合物の組合せで三
種の発泡剤を形成する。各発泡剤組成物は、起泡可能な組成物に対して実施例9における
発泡剤とほぼ同じモルパーセントで存在する。許容可能なフォームが形成され、好ましく
は、k−ファクターは上述の実施例9において示したものとほぼ等しいか又はそれより良
好であることがわかった。
【0210】
実施例18−ポリウレタンフォームk−ファクター
実施例9と同じポリオール配合物及びイソシアネートを用いて更なる実験を行った。フ
ォームはハンドミックスにより調製する。一連の発泡剤は、式IIにしたがった化合物、
すなわち、トランスHFCO−1233zd(CF
3CH=CHCl)と、HFO−12
34ye−トランス(E)(15℃の沸点を有する)及びHFO−1234ye−シス(
Z)(24℃の沸点を有する)の各々との50:50のモル比の組合せからなる。各組合
せは、起泡可能な組成物に対して実施例9における発泡剤とほぼ同じモルパーセントで発
泡剤組成物中に存在する。許容可能なフォームが形成され、好ましくは、k−ファクター
は上述の実施例9において示したものとほぼ等しいか又はそれより良好であることがわか
った。
【0211】
実施例19−ポリウレタンフォームk−ファクター
実施例9と同じポリオール配合物及びイソシアネートを用いて更なる実験を行った。フ
ォームはハンドミックスにより調製する。一連の発泡剤は、式IIにしたがった化合物、
すなわち、シスHFCO−1233zd(CF
3CH=CHCl)と、HFO−1234
ye−トランス(E)(15℃の沸点を有する)及びHFO−1234ye−シス(Z)
(24℃の沸点を有する)の各々との50:50のモル比の組合せからなる。各組合せは
、起泡可能な組成物に対して実施例9における発泡剤とほぼ同じモルパーセントで発泡剤
組成物中に存在する。許容可能なフォームが形成され、好ましくは、k−ファクターは上
述の実施例9において示したものとほぼ等しいか又はそれより良好であることがわかった
。
【0212】
実施例20−ポリウレタンフォームk−ファクター
実施例9と同じポリオール配合物及びイソシアネートを用いて更なる実験を行った。フ
ォームはハンドミックスにより調製する。発泡剤は、式IIにしたがった化合物、すなわ
ち、トランスHFCO−1233zd(CF
3CH=CHCl)と、トランス−1,2ジ
クロロエチレンとの、75:25のHFCO−1233zd:トランス−1,2ジクロロ
エチレンのモル比の組合せからなり、発泡剤組成物は、起泡可能な組成物に対して実施例
9における発泡剤とほぼ同じモルパーセントである。許容可能なフォームが形成され、好
ましくは、k−ファクターは上述の実施例9において示したものとほぼ等しいか又はそれ
より良好であることがわかった。
【0213】
実施例21−ポリウレタンフォームk−ファクター
実施例9と同じポリオール配合物及びイソシアネートを用いて更なる実験を行った。フ
ォームはハンドミックスにより調製する。発泡剤は、式IIにしたがった化合物、すなわ
ち、シスHFCO−1233zd(CF
3CH=CHCl)と、トランス−1,2ジクロ
ロエチレンとの、75:25のHFCO−1233zd:トランス−1,2ジクロロエチ
レンのモル比の組合せからなり、発泡剤組成物は、起泡可能な組成物に対して実施例9に
おける発泡剤とほぼ同じモルパーセントである。許容可能なフォームが形成され、好まし
くは、k−ファクターは上述の実施例9において示したものとほぼ等しいか又はそれより
良好であることがわかった。
【0214】
実施例22−ポリウレタンフォームk−ファクター
実施例9と同じポリオール配合物及びイソシアネートを用いて更なる実験を行った。フ
ォームはハンドミックスにより調製する。発泡剤は、式IIにしたがった化合物、すなわ
ち、トランスHFCO−1233zd(CF
3CH=CHCl)と、ギ酸メチルとの、7
5:25のモル比の組合せからなり、この組合せは、起泡可能な組成物に対して実施例9
における発泡剤とほぼ同じモルパーセントである。許容可能なフォームが形成され、好ま
しくは、k−ファクターは上述の実施例9において示したものとほぼ等しいか又はそれよ
り良好であることがわかった。
【0215】
実施例23−ポリウレタンフォームk−ファクター
実施例9と同じポリオール配合物及びイソシアネートを用いて更なる実験を行った。フ
ォームはハンドミックスにより調製する。発泡剤は、式IIにしたがった化合物、すなわ
ち、シスHFCO−1233zd(CF
3CH=CHCl)と、ギ酸メチルとの、75:
25のモル比の組合せからなり、この組合せは、起泡可能な組成物に対して実施例9にお
ける発泡剤とほぼ同じモルパーセントである。許容可能なフォームが形成され、好ましく
は、k−ファクターは上述の実施例9において示したものとほぼ等しいか又はそれより良
好であることがわかった。
【0216】
実施例24−ポリウレタンフォームk−ファクター
実施例9と同様なポリオール配合物及びイソシアネートを用いるが、異なる触媒・補助
剤配合物により更なる実験を行った。フォームはハンドミックスにより調製する。発泡剤
は、式IIにしたがった化合物、すなわち、トランスHFCO−1233zd(CF
3C
H=CHCl)からなり、起泡可能な組成物に対して実施例9における発泡剤とほぼ同じ
モルパーセントで発泡剤組成物中に存在する。初期のk−ファクターは、表10Aに示す
とおりであり、7日のk−ファクターは表10Bに示すとおりであることがわかった。
【0217】
【表15】
【0218】
【表16】
【0219】
実施例25−ポリウレタンフォームk−ファクター
実施例9と同じポリオール配合物及びイソシアネートを用いて更なる実験を行った。フ
ォームはハンドミックスにより調製する。発泡剤は、式IAにしたがった化合物、すなわ
ち、HFO−1234ye−トランス(E)(15℃の沸点を有する)からなり、起泡可
能な組成物に対して実施例9における発泡剤とほぼ同じモルパーセントで発泡剤組成物中
に存在する。許容可能なフォームが形成され、好ましくは、k−ファクターは上述の実施
例9において示したものとほぼ等しいか又はそれより良好であることがわかった。
【0220】
実施例26−ポリウレタンフォームk−ファクター
実施例9と同じポリオール配合物及びイソシアネートを用いて更なる実験を行った。フ
ォームはハンドミックスにより調製する。発泡剤は、式IAにしたがった化合物、すなわ
ち、HFO−1234ye−シス(Z)(24℃の沸点を有する)からなり、起泡可能な
組成物に対して実施例9における発泡剤とほぼ同じモルパーセントで発泡剤組成物中に存
在する。許容可能なフォームが形成され、好ましくは、k−ファクターは上述の実施例9
において示したものとほぼ等しいか又はそれより良好であることがわかった。
【0221】
実施例27−溶媒としてのトランスHFCO−1233zd
式IIの化合物、すなわち、トランスHFCO−1233zdをガラス製容器に移した
。ケイ素潤滑剤、特定的には、高粘度(12,500cP)シリコーン油をトランスHF
CO−1233zd溶媒に約10重量%の濃度まで添加した。これにより、均一な単一相
の溶液が得られ、トランスHFCO−1233zdがシリコーンをベースとする潤滑油を
溶解することが実証された。
【0222】
実施例28−溶媒としてのシスHFCO−1233zd
式IIの化合物、すなわち、シスHFCO−1233zdをガラス製容器に移した。ケ
イ素潤滑剤、特定的には、高粘度(12,500cP)シリコーン油をシスHFCO−1
233zd溶媒に約10重量%の濃度まで添加した。これにより、均一な単一相の溶液が
得られ、シスHFCO−1233zdがシリコーンをベースとする潤滑油を溶解すること
が実証された。
【0223】
実施例29−HFCO−1233zd/トランス−1,2−ジクロロエチレン
トランスHFCO−1233zdとトランス−1,2−ジクロロエチレンとの組合せを
25:75〜50:50のトランスHFCO−1233zd:トランス−1,2−ジクロ
ロエチレン重量比で調製する。次いで、各組合せをガラス製容器に添加する。ケイ素潤滑
剤、特定的には、高粘度(12,500cP)シリコーン油を各溶媒に約10重量%の濃
度まで添加する。これにより、均一な単一相の溶液が得られ、この組合せはトランスHF
CO−1233zdのみによる場合と同程度か又はそれより高い程度にシリコーン油を溶
解することが実証された。
【0224】
実施例30−シスHFCO−1233zd/トランス−1,2−ジクロロエチレン
シスHFCO−1233zdとトランス−1,2−ジクロロエチレンとの組合せを25
:75〜50:50のトランスHFCO−1233zd:トランス−1,2−ジクロロエ
チレン重量比で調製する。次いで、各組合せをガラス製容器に添加する。ケイ素潤滑剤、
特定的には、高粘度(12,500cP)シリコーン油を各溶媒に約10重量%の濃度ま
で添加する。これにより、均一な単一相の溶液が得られ、この組合せはシスHFCO−1
233zdのみによる場合と同程度か又はそれより高い程度にシリコーン油を溶解するこ
とが実証された。
【0225】
実施例31−洗浄剤としてのトランスHFCO−1233zd
金属クーポンを、ロジンをベースとするはんだフラックスにより被覆し、乾燥させた。
クーポンを秤量し、次いでトランスHFC−1233zd中に浸漬した。クーポンを取り
出し、乾燥させ、再秤量して、どれだけのはんだフラックスが除去されたかを測定した。
2回の測定で、平均で25重量%のフラックスが除去された。
【0226】
実施例32−洗浄剤としてのシスHFCO−1233zd
金属クーポンを、ロジンをベースとするはんだフラックスにより被覆し、乾燥させた。
クーポンを秤量し、次いでシスHFC−1233zd中に浸漬した。クーポンを取り出し
、乾燥させ、再秤量して、どれだけのはんだフラックスが除去されたかを測定した。2回
の測定で、平均で25重量%のフラックスが除去された。
【0227】
実施例33−洗浄剤としてのトランスHFCO−1233zd/メタノール
金属クーポンを、ロジンをベースとするはんだフラックスにより被覆し、乾燥させた。
クーポンを秤量し、次いでトランスHFC−1233zd及びメタノールを、重量基準で
約1%、約2%、約3%、約5%、及び約10%を含む約1%〜約10%(更により好ま
しくは約1%〜約5%)に亘る幾つかの異なる濃度で含む組成物中に浸漬した。クーポン
を取り出し、乾燥させ、再秤量して、どれだけのはんだフラックスが除去されたかを測定
した。2回の測定で、実施例31において除去されたよりも多い量のフラックスが除去さ
れ、3重量%のメタノールを含有する組成物により約98%のフラックスが除去された。
【0228】
実施例34−洗浄剤としてのシスHFCO−1233zd/メタノール
金属クーポンを、ロジンをベースとするはんだフラックスにより被覆し、乾燥させた。
クーポンを秤量し、次いでシスHFC−1233zd及びメタノールを、重量基準で約1
%、約2%、約3%、約5%、及び約10%を含む約1%〜約10%(更により好ましく
は約1%〜約5%)に亘る幾つかの異なる濃度で含む組成物中に浸漬した。クーポンを取
り出し、乾燥させ、再秤量して、どれだけのはんだフラックスが除去されたかを測定した
。2回の測定で、実施例32において除去されたよりも多い量のフラックスが除去され、
3重量%のメタノールを含有する組成物により約98%のフラックスが除去された。
【0229】
実施例35−抽出剤としてのトランスHFCO−1233zd
薬剤、特定的には抗マラリア剤である植物由来のアルテミニシンをクソニンジン(Arte
misia annua)植物から抽出する。アルテミニシンのサンプルをバイアル中に秤量した。
式IIの化合物、すなわち、トランスHFCO−1233zdを、アルテミニシンが溶解
するまでバイアル中に添加した。結果は、薬剤、特定的には、アルテミニシンなどの植物
由来の薬剤はトランスHFCO−1233zd中におよそ3重量%まで溶解することを示
し、トランスHFCO−1233zdを使用してバイオマスから薬剤を抽出できることが
実証された。
【0230】
実施例36−抽出剤としてのシスHFCO−1233zd
薬剤、特定的には抗マラリア剤である植物由来のアルテミニシンをクソニンジン(Arte
misia annua)植物から抽出する。アルテミニシンのサンプルをバイアル中に秤量した。
式IIの化合物、すなわち、シスHFCO−1233zdを、アルテミニシンが溶解する
までバイアル中に添加した。結果は、薬剤、特定的には、アルテミニシンなどの植物由来
の薬剤はシスHFCO−1233zd中におよそ3重量%まで溶解することを示し、シス
HFCO−1233zdを使用してバイオマスから薬剤を抽出できることが実証された。
【0231】
実施例37−抽出剤としてのトランスHFCO−1233zd/ジクロロエチレン
トランスHFCO−1233zdとトランス−1,2−ジクロロエチレンの50:50
の重量比の組合せを抽出剤として使用することを除いて、実施例35を繰り返す。溶解性
及び抽出効率は、トランスHFCO−1233zdのみによる場合に観察されるのと同程
度に良好であるか、より良好である。
【0232】
実施例38−抽出剤としてのシスHFCO−1233zd/ジクロロエチレン
シスHFCO−1233zdとトランス−1,2−ジクロロエチレンの50:50の重
量比の組合せを抽出剤として使用することを除いて、実施例36を繰り返す。溶解性及び
抽出効率は、シスHFCO−1233zdのみによる場合に観察されるのと同程度に良好
であるか、より良好である。
【0233】
実施例39−溶媒としてのトランスHFCO−1233zdの組合せ
炭化水素潤滑剤、具体的には鉱油を、それぞれ、およそ98:2の重量比のトランスH
FCO−1233zd/メタノール、およそ96:4の重量比のトランスHFCO−12
33zd/ペンタン、及び、およそ92:2:6の重量比のトランスHFCO−1233
zd/メタノール/ペンタンを含有するバイアル中に添加した。すべての場合において、
10重量%より高い鉱油濃度で均一な単一相の溶液が形成された。
【0234】
実施例40−溶媒としてのシスHFCO−1233zdの組合せ
炭化水素潤滑剤、具体的には鉱油を、それぞれ、およそ98:2の重量比のシスHFC
O−1233zd/メタノール、およそ96:4の重量比のシスHFCO−1233zd
/ペンタン、及び、およそ92:2:6の重量比のシスHFCO−1233zd/メタノ
ール/ペンタンを含有するバイアル中に添加した。すべての場合において、10重量%よ
り高い鉱油濃度で均一な単一相の溶液が形成された。
【0235】
実施例41−エアゾールとしてのトランスHFCO−1233zd
トランスHFCO−1233zdをエアゾール缶に添加し、エアゾール弁を適切な場所
にかしめることにより缶をシールし、HFC−134a噴射剤を添加して約14重量%の
134a及び約76重量%のトランスHFCO−1233zdの濃度にすることにより、
噴霧可能なエアゾールを調製した。作動液(hydraulic fluid)を綿棒で金属クーポンに
適用し、クーポンを秤量した。トランスHFCO−1233zdを含有するエアゾールを
金属基板上に10秒間噴霧した。クーポンを乾燥させ、再秤量した。およそ60重量%の
作動液が除去された。
【0236】
実施例42−エアゾールとしてのシスHFCO−1233zd
シスHFCO−1233zdをエアゾール缶に添加し、エアゾール弁を適切な場所にか
しめることにより缶をシールし、HFC−134a噴射剤を添加して約14重量%の13
4a及び約76重量%のシスHFCO−1233zdの濃度にすることにより、噴霧可能
なエアゾールを調製した。作動液(hydraulic fluid)を綿棒で金属クーポンに適用し、
クーポンを秤量した。シスHFCO−1233zdを含有するエアゾールを金属基板上に
10秒間噴霧した。クーポンを乾燥させ、再秤量した。およそ60重量%の作動液が除去
された。
【0237】
実施例43−抽出剤としてのトランスHFCO−1233zd
式IIの化合物、すなわち、トランスHFC−1233zdが、芳香剤、特定的には植
物由来のジャスモンの担体及び抽出剤として許容可能であることを実証する。およそ0.
39gのジャスモンを肉厚のガラス製チューブに入れ、およそ1.73gのトランスHF
C−1233zdをこのガラス製チューブに添加した。次いで、チューブを凍らせてシー
ルした。チューブの解凍時に、混合物がひとつの液相を有することが分かった。溶液は、
約20重量%のジャスモン及び約80重量%のトランスHFCO−1233zdを含有し
ていた。この結果により、芳香剤、特定的にはジャスモンなどの植物由来の芳香剤はトラ
ンスHFCO−1233zd中におよそ20重量%まで溶解することが示され、トランス
HFCO−1233zdを使用して芳香剤を抽出し保持できることが実証された。
【0238】
実施例44−抽出剤としてのシスHFCO−1233zd
式IIの化合物、すなわち、シスHFC−1233zdが、芳香剤、特定的には植物由
来のジャスモンの担体及び抽出剤として許容可能であることを実証する。およそ0.39
gのジャスモンを肉厚のガラス製チューブに入れ、およそ1.73gのシスHFC−12
33zdをこのガラス製チューブに添加した。次いで、チューブを凍らせてシールした。
チューブの解凍時に、混合物がひとつの液相を有することが分かった。溶液は、約20重
量%のジャスモン及び約80重量%のシスHFCO−1233zdを含有していた。この
結果により、芳香剤、特定的にはジャスモンなどの植物由来の芳香剤はシスHFCO−1
233zd中におよそ20重量%まで溶解することが示され、シスHFCO−1233z
dを使用して芳香剤を抽出し保持できることが実証された。
【0239】
実施例45−溶媒としてのトランスHFCO−1233zd
合成潤滑剤、具体的にはポリアルキレングリコール(PAG)潤滑剤、より具体的には
本質的に2又はそれより多いオキシプロピレン基からなり約37℃で約10〜約200セ
ンチストークスの粘度を有するPAG(出光興産によりND−8の商品名で販売されてい
る)を、トランスHFCO−1233zdを含有するバイアル中に添加する。均一な単一
相の溶液が10重量%より高いPAG濃度で形成される。合成潤滑剤ND−8の割合を以
下の表11に示す。
【0240】
【表17】
【0241】
実施例46−溶媒としてのシスHFCO−1233zdの組合せ
合成潤滑剤、具体的にはポリアルキレングリコール(PAG)潤滑剤、より具体的には
本質的に2又はそれより多いオキシプロピレン基からなり約37℃で約10〜約200セ
ンチストークスの粘度を有するPAG(出光興産によりND−8の商品名で販売されてい
る)を、シスHFCO−1233zdを含有するバイアル中に添加する。均一な単一相の
溶液が10重量%より高いPAG濃度で形成される。
【0242】
実施例47−溶媒としてのトランスHFCO−1233zdの組合せ
上述の実施例45に説明するPAG潤滑剤を、それぞれ、およそ98:2の重量比のト
ランスHFCO−1233zd/メタノール、およそ96:4の重量比のトランスHFC
O−1233zd/ペンタン、及びおよそ92:2:6の重量比のトランスHFCO−1
233zd/メタノール/ペンタンを含有するバイアルに添加する。すべての場合におい
て、均一な単一相の溶液が10重量%より高いPAG油の濃度において形成される。
【0243】
実施例48−溶媒としてのシスHFCO−1233zdの組合せ
上述の実施例45に説明するPAG潤滑剤を、それぞれ、およそ98:2の重量比のシ
スHFCO−1233zd/メタノール、およそ96:4の重量比のシスHFCO−12
33zd/ペンタン、及びおよそ92:2:6の重量比のシスHFCO−1233zd/
メタノール/ペンタンを含有するバイアルに添加する。すべての場合において、均一な単
一相の溶液が10重量%より高いPAG油の濃度において形成される。
【0244】
実施例49−ポリウレタンフォームk−ファクター
実施例9と同じポリオール配合物及びイソシアネートを用いて更なる実験を行った。フ
ォームはハンドミックスにより調製する。一連の発泡剤は、式IIにしたがった化合物、
すなわち、トランスHFCO−1233zd(CF
3CH=CHCl)及びCO
2の超臨
界状態及び/又は近超臨界状態の組合せからなる。HFCO−1233zd:CO
2のモ
ル比が25:75、50:50、及び75:25である三種の発泡剤を形成する。各発泡
剤組成物は、起泡可能な組成物に対して実施例9における発泡剤とほぼ同じモルパーセン
トで存在する。各々の場合において許容可能なフォームが形成され、好ましくは、各々の
組成物についてのk−ファクターは上述の実施例9において示したものとほぼ等しいか又
はそれより良好であることがわかった。
【0245】
実施例50−ポリウレタンフォームk−ファクター
実施例9と同じポリオール配合物及びイソシアネートを用いて更なる実験を行った。フ
ォームはハンドミックスにより調製する。一連の発泡剤は、式IIにしたがった化合物、
すなわち、シスHFCO−1233zd(CF
3CH=CHCl)及びCO
2の超臨界状
態及び/又は近超臨界状態の組合せからなる。HFCO−1233zd:CO
2のモル比
が25:75、50:50、及び75:25である三種の発泡剤を形成する。各発泡剤組
成物は、起泡可能な組成物に対して実施例9における発泡剤とほぼ同じモルパーセントで
存在する。各々の場合において許容可能なフォームが形成され、好ましくは、各々の組成
物についてのk−ファクターは上述の実施例9において示したものとほぼ等しいか又はそ
れより良好であることがわかった。
【0246】
実施例51−ポリウレタンフォームk−ファクター
発泡剤に一定量の水を添加することにより、及び/又は、フォーム配合物に水を添加す
ることにより、及び/又は、本明細書の実施例11〜50の各々に対しておよそフォーム
形成操作のときに添加することにより更なる実験を行う。フォーム配合物の全重量に基い
て約0.5重量%の量で水を添加する。各々の場合において許容可能なフォームが形成さ
れ、各々のフォームについてのk−ファクターは上述の実施例9において示したものとほ
ぼ等しいか又はそれより良好であることがわかった。
【0247】
実施例52
この実施例は、冷媒組成物がHFO−1234を含み、HFO−1234のうち大きな
割合、好ましくは少なくとも約75重量%、更により好ましくは少なくとも約90重量%
がHFO−1234ye(CHF
2−CF=CHF、シス−及びトランス−異性体)であ
る、本発明の一態様の性能を例示する。より特定的には、この実施例は、かかる組成物を
冷却システムである高温ヒートポンプ・有機ランキンサイクルシステムにおいて作動流体
として使用する場合の例示である。第一のシステムの実施例は、蒸発温度が約35°F、
凝縮温度が約150°Fのものである。便宜のため、かかる熱伝達システム、すなわち、
約35°F〜約50°Fの蒸発器温度(ET)、約80°F〜約120°Fの凝縮器温度
(CT)を有するシステムを本明細書中において“チラー”又は“チラーAC”システム
と呼ぶ。比較の目的のためR−123と、少なくとも約90重量%のHFO−1234y
eを含む本発明の冷媒組成物とを用いたかかるシステムの各々の運転を以下の表12に報
告する。
【0248】
【表18】
【0249】
上の表から分かるように、重要な冷却システム性能パラメータの多くは、R−123に
関する5つのパラメータと比較的近い。多くの現存する冷却システムはR−123に関し
て又はR−123と同様の特性をもつ他の冷媒に関して設計されていることから、当業者
は、低GWP及び/又は低オゾン破壊性冷媒がR−123又はシステムに対する改変が比
較的最小である同様の高沸点冷媒の代替として使用できるという実質的な利点を認識する
だろう。一定の態様において、本発明は、現存するシステムにおける冷媒を、実質的な設
計の変更無しで、本発明の組成物により、好ましくは少なくとも約90重量%のHFO−
1234を含む、及び/又は、本質的にHFO−1234からなる組成物により、更によ
り好ましくは、シス−HFO−1234ye、トランス−HFO−1234ye、及びこ
れらのすべての組合せ及び割合のうち任意のひとつ又はそれより多くにより、置換するこ
とを含む更新方法を提供することを企図している。
【0250】
実施例53
この実施例は、冷媒組成物がHFCO−1233を含み、HFCO−1233zdのう
ち大きな割合、好ましくは少なくとも約75重量%、更により好ましくは少なくとも約9
0重量%がHFCO−1233zd(CF
3−CH=CHCl、シス−及びトランス−異
性体)である、本発明の一態様の性能を例示する。より特定的には、この実施例は、かか
る組成物を冷却システムである高温ヒートポンプ・有機ランキンサイクルシステムにおい
て作動流体として使用する場合の例示である。第一のシステムの実施例は、蒸発温度が約
35°F、凝縮温度が約150°Fのものである。便宜のため、かかる熱伝達システム、
すなわち、約35°F〜約50°Fの蒸発器温度(ET)、約80°F〜約120°Fの
凝縮器温度(CT)を有するシステムを本明細書中において“チラー”又は“チラーAC
”システムと呼ぶ。比較の目的のためR−123と、少なくとも約90重量%のHFO−
1233zdを含む本発明の冷媒組成物とを用いたかかるシステムの各々の運転を以下の
表13に報告する。
【0251】
【表19】
【0252】
上の表から分かるように、重要な冷却システム性能パラメータの多くは、R−123に
関する5つのパラメータと比較的近い。多くの現存する冷却システムはR−123に関し
て又はR−123と同様の特性をもつ他の冷媒に関して設計されていることから、当業者
は、低GWP及び/又は低オゾン破壊性冷媒がR−123又はシステムに対する改変が比
較的最小である同様の高沸点冷媒の代替として使用できるという実質的な利点を認識する
だろう。一定の態様において、本発明は、現存するシステムにおける冷媒を、実質的な設
計の変更無しで、本発明の組成物により、好ましくは少なくとも約90重量%のHFO−
1233を含む、及び/又は、本質的にHFO−1233からなる組成物により、更によ
り好ましくは、シス−HFO−1233zd、トランス−HFO−1233zd、及びこ
れらのすべての組合せ及び割合のうち任意のひとつ又はそれより多くにより、置換するこ
とを含む更新方法を提供することを企図している。
【0253】
実施例54
この実施例は、冷媒組成物がHFO−1234を含み、HFO−1234のうち大きな
割合、好ましくは少なくとも約75重量%、更により好ましくは少なくとも約90重量%
がHFO−1234yfである、本発明の一態様の性能を例示する。より特定的には、か
かる組成物を、4つの冷却システムにおけるHFC−134aの代替として使用する。第
一のシステムの実施例は、蒸発器温度(ET)が約20°F、凝縮器温度(CT)が約1
30°Fのものである(実施例54A)。便宜のため、かかる熱伝達システム、すなわち
、約0°F〜約35°Fの蒸発器温度(ET)、約80°F〜約130°Fの凝縮器温度
(CT)を有するシステムを本明細書中において“中温”システムと呼ぶ。第二のシステ
ムは、ETが約−10°F、CTが約110°Fのものである(実施例54B)。便宜の
ため、かかる熱伝達システム、すなわち、約−20°F〜約20°Fの蒸発器温度(ET
)、約80°F〜約130°Fの凝縮器温度(CT)を有するシステムを本明細書中にお
いて“冷却/冷凍”システムと呼ぶ。第三のシステムは、ETが約35°F、CTが約1
50°Fのものである(実施例154)。便宜のため、かかる熱伝達システム、すなわち
、約30°F〜約60°Fの蒸発器温度(ET)、約90°F〜約200°Fの凝縮器温
度(CT)を有するシステムを本明細書中において“自動車用AC”システムと呼ぶ。第
四のシステムは、ETが約40°F、CTが約60°Fのものである(実施例54D)。
便宜のため、かかる熱伝達システム、すなわち、約35°F〜約50°Fの蒸発器温度(
ET)、約80°F〜約120°Fの凝縮器温度(CT)を有するシステムを本明細書中
において“チラー”又は“チラーAC”システムと呼ぶ。R−134aと、少なくとも約
90重量%のHFO−1234yfを含む冷媒とを用いたかかるシステムの各々の運転を
以下の表14A−Dに報告する。
【0254】
【表20】
【0255】
【表21】
【0256】
【表22】
【0257】
【表23】
【0258】
上の表から分かるように、重要な冷却システム性能パラメータの多くは、R−134aに関するパラメータと比較的近い。多くの現存する冷却システムはR−134aに関して又はR−134aと同様の特性をもつ他の冷媒に関して設計されていることから、当業者は、低GWP及び/又は低オゾン破壊性冷媒がR−134a又はシステムに対する改変が比較的最小である同様の高沸点冷媒の代替として使用できるという実質的な利点を認識するだろう。一定の態様において、本発明は、現存するシステムにおける冷媒を、実質的な設計の変更無しで、本発明の組成物により、好ましくは少なくとも約90重量%のHFO−1234を含む、及び/又は、本質的にHFO−1234からなる組成物により、更により好ましくは、シス−HFO−1234ze、トランス−HFO−1234ze、HFO−1234yf、HFO−1234yc、HFO−1234zc、HFO−1234ye(E)、及びHFO−1234ye(Z)のうち任意のひとつ又はそれより多くにより、置換することを含む更新方法を提供することを企図している。一定の好ましい態様においては、置換工程は、本発明の冷媒を適応させるために、システムを実質的に再設計する必要がなく、装置の主要な部材を置換する必要がないという意味で、ドロップイン置換である。
本発明は以下の態様を含む。
[1]
発泡剤、及び/又は、熱伝達組成物、及び/又は、溶媒、及び/又は、洗浄流体、及び/又は、抽出剤、及び/又は、エアゾールとして使用される組成物であって、
以下の式IA又は式II:
【化8】
(式中、各Rは独立して、Cl、F、Br、I、又はHであり、但し式(II)において少なくともひとつのRは塩素であり
wは1又は2であり、
zは1又は2であり、
R’は(CR
2)
nYであり、
YはCRF
2であり、そして、
nは0、1、2、又は3であり、但し化合物中にBrが存在する場合当該化合物は水素を含まない)
から選択される少なくとも第一のフルオロアルケンを含むことを特徴とする、前記組成物。
[2]
ハイドロフルオロカーボン(HFC)、エーテル、アルコール、アルデヒド、ケトン、蟻酸メチル、蟻酸、水、トランス−1,2−ジクロロエチレン、二酸化炭素、ジメトキシメタン(DME)、前記第一のフルオロアルケンとは異なる第二のフルオロアルケン、及びこれらのうち二種又はそれより多くの組合せからなる群から選択される少なくともひとつの追加の成分を更に含む、[1]記載の組成物。
[3]
前記少なくともひとつの第一のフルオロアルケンが、トランス−1,1,1−トリフルオロ−3−クロロ−プロペン(トランスHFCO−1233zd)、シス−1,1,1−トリフルオロ−3−クロロ−プロペン(シスHFCO−1233zd)、及びこれらの組合せのうち少なくともひとつを含む、[2]記載の組成物。
[4]
前記少なくともひとつ追加の成分が、イソ−ペンタン、ノルマル−ペンタン、シクロ−ペンタン、ブタン、及びイソ−ブタン、ならびにこれらの組合せから成る群から選択される少なくともひとつの炭化水素を約15重量%〜約85重量%含む、[3]記載の組成物。
[5]
前記少なくともひとつの追加の成分が、2−エチル−1−ヘキサノール、トランス−1,2−ジクロロエチレン、ジメトキシメタン、前記第一のフルオロアルケンとは異なる第二のフルオロアルケン、蟻酸メチル、及びこれらの二種又はそれより多くの組合せのうち少なくともひとつを含む、[3]記載の組成物。
[6]
前記少なくともひとつの追加の成分が、少なくともひとつのC1−C4アルコールを含む、[3]記載の組成物。
[7]
前記第一のフルオロアルケンが、トランス−1,1,1−トリフルオロ−3−クロロ−プロペン(トランスHFCO−1233zd)及びシス−1,1,1−トリフルオロ−3−クロロ−プロペン(シスHFCO−1233zd)の組合せを約30:70〜約5:95のシス:トランス重量比で含む、[1]記載の組成物。
[8]
前記少なくともひとつの追加の成分が水を含む、[2]記載の組成物。
[9]
前記少なくともひとつの追加の成分がCO
2を含む、[2]記載の組成物。
[10]
(a)式IA:
【化9】
(式中、各Rは独立して、Cl、F、Br、I、又はHであり、wは1又は2であり、そしてzは1又は2であり、但し化合物中にBrが存在する場合は当該化合物は水素を含まない)
の少なくともひとつのフルオロアルケン;及び
(b)潤滑剤、安定化剤、金属不動態化剤、腐食抑制剤、燃焼抑制剤、トリクロロフルオロメタン(CFC−11)、ジクロロジフルオロメタン(CFC−12)、ジフルオロメタン(HFC−32)、ペンタフルオロエタン(HFC−125)、1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFC−134)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)、ジフルオロエタン(HFC−152a)、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC−227ea)、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFC−236fa)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc)、水、CO
2、及びこれらの二種又はそれより多くの組合せからなる群から選択される少なくともひとつの追加の成分
を含む組成物。
[11]
[10]記載の組成物を含む熱伝達流体。
[12]
前記式(IA)の少なくともひとつのフルオロアルケンが、CF
2=CF−CH
2F(HFO−1234yc)、CF
2=CH−CF
2H(HFO−1234zc)、トランス−CHF=CF−CF
2H(HFO−1234ye(E))、シス−CHF=CF−CF
2H(HFO−1234ye(Z))、及びこれらの二種又はそれより多くの組合せから成る群から選択される、[10]記載の組成物。
[13]
前記組成物が、式(IA)の化合物を少なくとも50重量%含む、[10]記載の組成物。
[14]
以下の式IA又は式II:
【化10】
(式中、各Rは独立して、Cl、F、Br、I、又はHであり、但し式(II)において少なくともひとつのRは塩素であり
wは1又は2であり、
zは1又は2であり、
R’は(CR
2)
nYであり、
YはCRF
2であり、そして、
nは0、1、2、又は3であり、但し化合物中にBrが存在する場合当該化合物は水素を含まない)
から選択される化合物と物質を接触させることにより前記物質を溶媒抽出することを含む、溶媒抽出方法。
[15]
前記物質が、少なくともひとつのアルカロイドを含む、[14]記載の方法。
[16]
発泡剤の形態である[2]記載の組成物であって、前記少なくともひとつの追加の成分が、前記組成物の約1重量%〜約10重量%を構成するのに十分な量で前記発泡剤中に存在する水である、前記組成物。