【実施例】
【0028】
以下、具体例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。構成成分の配合量は特に記載のない限り質量%である。なお、本発明で用いた評価方法は次の通りである。
【0029】
造粒性とは、粉末造粒物を手で握った時の質感と造粒の可否を表し、以下の基準に基づいて評価した。
○:適度に水分を有し、手で軽く握るとしばらくその形を維持。べたつきがなく、均一に造粒できる
△:手で軽く握った際、若干べたつき、シリコーン粉末特有のブヨブヨとした質感になるが、造粒することは可能である
×:ペースト状となり、造粒することができない
【0030】
製造時釜内安定性とは、石鹸液中で粉末造粒物を数分間撹拌した時の粉末造粒物の溶解・崩壊の有無を表し以下の基準に基づいて評価した。
○:石鹸製造釜内(70℃)に粉末造粒物を添加し、15分間撹拌後、粉末造粒物が溶解、崩壊していない。
△:石鹸製造釜内(70℃)に粉末造粒物を添加し、15分間撹拌後、一部粉末造粒物が溶解、崩壊する。
×:石鹸製造釜内(70℃)に粉末造粒物を添加し、15分間撹拌後、完全に粉末造粒物が溶解、崩壊する。
【0031】
外観は、本発明の粉末造粒物を石鹸基剤に配合して得られた石鹸を評価した。
○:粉末造粒物が石鹸全体に均一分散し、浮上又は沈降がない。
△:粉末造粒物が石鹸中で凝集或は、若干浮上又は沈降している。
×:粉末造粒物が石鹸中で凝集或は、著しく浮上又は沈降している。
【0032】
理論比重は、以下の式により計算で求められた。
粉末造粒物が成分A、B、C、・・・Nから成る時、
それぞれの成分配合量をA’、B’、C’、・・・N’
それぞれの成分の比重をa,b,c,・・・nとすると、
(理論比重)=100/{(A’/a)+(B’/b)+(C’/c)+・・・+(N’/n)}
但し、A’+B’+C’+・・・N’=100 a,b,c,・・・n>0
【0033】
まず、本発明者らは、ポリエチレン粉末に代替可能な粉末を探索し、検討した。
【0034】
【表1】
【0035】
(*1):フローセンUF-80(住友精化社製)
(*2):ノイシリンNFL2N(富士化学工業社製)
(*3):サイロピュア25(富士シリシア化学社製)
(*4):サンスフェアL51(AGCエスアイテック社製)
(*5):フローライトRE(エーザイフードケミカル社製)
(*6):シリコーンパウダーKSP441(信越化学工業社製)
(*7):VITACEL 20FC(レッテンマイヤー社製)
(*8):セルロスクラブ(LESSONIA社製)
【0036】
本発明者らは、これらの検討から、平均粒径・密度が、ポリエチレン粉末(試験例1−1)と同等であるシリコーン粉末(試験例1−6)が適しているとわかった。
【0037】
次に、本発明者は、シリコーン粉末を主体に、溶剤(エタノール)を添加したところ、粘り気のあるペースト状物質となってしまい、造粒することが不可能であった。
そこで、本発明者らは、シリコーン粉末以外に、表1で検討したその他の粉体原料を配合することにより、ペースト化抑制ができるか検討した。本発明者らは、下記表2に示す配合組成で、以下の製造方法により粉末造粒物を造粒した。
【0038】
(粉末造粒物の製造方法)
粉末造粒物の造粒方法としては、まず、(A)〜(C)成分を、攪拌装置に移し、溶剤を3回に分けて添加し、その都度、攪拌することで混合物を得る。
得られた混合物を、メッシュ(20M)を用いて押し出すことで、造粒する。
そして、造粒物を乾燥させ、溶剤を揮発させる。
そして、メッシュ(60M)を用いて押し出すことで、粉末造粒物を得た。
ここで、20Mとはふるいの目開きが0.701mm、60Mとはふるいの目開きが0.246mmのものをそれぞれ指す。
【0039】
【表2-1】
【0040】
(*9):エチルセルロースN-7(HERCULCS社製)
【0041】
試験例2−1から分かるように、シリコーン粉末のみでは、ペースト状の物質になるため、造粒が困難であった。
試験例2−2〜2−5から分かるように、セルロース粉末、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、増粘性シリカ、球状シリカを配合すると、造粒性が良好であることがわかった。
【0042】
そこで、造粒性が良好であった上記粉末を、石鹸基剤に配合し、その外観について検討した。
【0043】
用いた石鹸の組成(質量%)は以下の通りである。
粉末造粒物 0.200
ラウリン酸 5.00
ミリスチン酸 11.00
パルミチン酸 3.00
ステアリン酸 5.00
イソステアリン酸 2.00
水酸化K 1.00
水酸化Na 4.00
PPG−8グリセリル 5.00
グリセリン 16.00
スクロース 12.00
ソルビトール 2.00
ラウリルグリコールカルボン酸Na 1.500
ラウロアンホ酢酸Na 1.000
PEG−30水添ヒマシ油 8.000
食塩 適量
キレート化剤 適量
エタノール 0〜10
イオン交換水 残部
Total 100.00
【0044】
(粉末造粒物を用いた石鹸の製造方法)
上記方法により得られた粉末造粒物を、石鹸基剤が入っている石鹸製造釜内に公知の手法により添加して得た。
【0045】
【表2-2】
【0046】
これらの試験結果より、石鹸基剤に配合した時の外観も考慮すると、セルロース粉末が優れていることが分かった。
【0047】
次に、本発明者らは、粉末造粒物におけるセルロース粉末の粒径について検討した。
【0048】
【表3】
【0049】
これらの試験例より、セルロース粉末の粒径は、造粒性の点で、20μm以上、300μm未満であることが好ましいことが分かった。
【0050】
次に、本発明者らは、シリコーン粉末の種類について検討した。
【0051】
【表4】
【0052】
試験例4−1〜4−6より、(A)シリコーン粉末の粒径が、2〜30μmであると、シリコーン粉末がセルロースに付着しやすい事から、より均一な造粒物ができるため、造粒性に優れた粉末造粒物が得られることが分かった。
また、粉末造粒物を洗浄剤に配合する場合、(A)シリコーン粉末の比重は、0.92〜0.98であると、石鹸液に配合した時の外観が優れているため好ましい。
【0053】
次に、本発明者は、粉末造粒物におけるシリコーン粉末とセルロース粉末の配合量について検討した。
【0054】
【表5】
【0055】
これらの試験例より、シリコーン粉末の配合量が、25質量%〜75質量%であり、セルロース粉末の配合量が、20質量%〜70質量%であると、造粒性に優れている。