(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6074498
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】その縁に保護支持ブラケットを有する、ディスプレイ内のカバープレート
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20170123BHJP
C03C 27/04 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
G09F9/00 350Z
G09F9/00 302
G09F9/00 313
G09F9/00 342
C03C27/04 D
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-518548(P2015-518548)
(86)(22)【出願日】2013年6月19日
(65)【公表番号】特表2015-527603(P2015-527603A)
(43)【公表日】2015年9月17日
(86)【国際出願番号】US2013046583
(87)【国際公開番号】WO2013192311
(87)【国際公開日】20131227
【審査請求日】2016年5月26日
(31)【優先権主張番号】13/529,141
(32)【優先日】2012年6月21日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100090468
【弁理士】
【氏名又は名称】佐久間 剛
(72)【発明者】
【氏名】ジェイコブス,ジョシュア マイケル
(72)【発明者】
【氏名】リー,チォンチュン
【審査官】
角田 光法
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2013/187281(WO,A1)
【文献】
国際公開第2013/179815(WO,A1)
【文献】
特開2006−011163(JP,A)
【文献】
特開2009−198755(JP,A)
【文献】
特開2010−139758(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F1/133−1/1335
1/13363
1/1339−1/1341
1/1347
G09F9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイ装置において、
キャビネットと、
ディスプレイパネルと、
第1の主面、第2の主面、および該第1と第2の主面に連結する縁表面を有するディスプレイ用カバープレートであって、前記縁表面が前記ディスプレイ用カバープレートの周囲を画成するディスプレイ用カバープレートと、
第1の部分および第2の部分を含むエッジブラケットであって、前記第1の部分が、前記ディスプレイ用カバープレートの前記第1の主面に隣接しかつ平行に配置され、前記第1の部分が剛性材料であり、前記第2の部分が、前記ディスプレイ用カバープレートの周囲の周りの前記縁表面に隣接しかつ平行に配置されて、前記縁表面の周りに閉じたループを形成するエッジブラケットと、を備え、
前記ディスプレイ用カバープレートの前記第1の主面と前記エッジブラケットの前記第1の部分との間、および前記ディスプレイ用カバープレートの前記縁表面と前記エッジブラケットの前記第2の部分との間に弾性材料が配置されている、ディスプレイ装置。
【請求項2】
前記エッジブラケットの第1の部分が金属からなる、請求項1記載のディスプレイ装置。
【請求項3】
前記第2の部分の1つの表面が、前記ディスプレイ用カバープレートの第1の主面に対して垂直である、請求項1または2記載のディスプレイ装置。
【請求項4】
前記第2の部分が湾曲表面を含む、請求項1から3いずれか1項記載のディスプレイ装置。
【請求項5】
前記第2の部分が、該第2の部分の内部に沿って延在する中空通路を含む、請求項1から4いずれか1項記載のディスプレイ装置。
【請求項6】
前記ディスプレイ用カバープレートが化学強化ガラスからなる、請求項1から5いずれか1項記載のディスプレイ装置。
【請求項7】
前記ディスプレイ用カバープレートが、前記ディスプレイパネルの屈折率と一致する屈折率を有するエポキシにより、該ディスプレイパネルに取り付けられている、請求項1から6いずれか1項記載のディスプレイ装置。
【請求項8】
前記弾性材料が接着剤である、請求項1から7いずれか1項記載のディスプレイ装置。
【請求項9】
ディスプレイ装置において、
キャビネットと、
前記キャビネットに取り付けられたディスプレイパネルと、
第1の主面、第2の主面、および該第1と第2の主面に対して垂直な縁表面を有するガラス製のディスプレイ用カバープレートと、
前記ディスプレイ用カバープレートの前記第1の主面に隣接しかつ平行に配置された第1の部分であって、切抜き領域を画成する閉じたループの形状にある第1の部分、および前記ディスプレイ用カバープレートの前記縁表面の周りに閉じたループを形成する第2の部分を含むエッジブラケットと、を備え、
前記ディスプレイ用カバープレートの前記第1の主面と前記エッジブラケットの前記第1の部分との間、および前記ディスプレイ用カバープレートの前記縁表面と前記エッジブラケットの前記第2の部分との間に弾性材料が配置されている、ディスプレイ装置。
【請求項10】
ディスプレイ装置において、
キャビネットと、
ディスプレイパネルと、
第1の主面、第2の主面、および該第1と第2の主面に対して垂直な縁表面を有し、前記ディスプレイパネルに接着剤で取り付けられたディスプレイ用カバープレートと、
前記ディスプレイ用カバープレートの前記第1の主面に隣接しかつ平行に配置された第1の部分、および前記ディスプレイ用カバープレートの前記縁表面の周りに閉じたループを形成する第2の部分を含み、前記第2の部分が前記ディスプレイ用カバープレートの前記縁表面に対して外側を向いた湾曲部分を含むエッジブラケットと、を備え、
前記ディスプレイ用カバープレートの前記第1の主面と前記エッジブラケットの前記第1の部分との間、および前記ディスプレイ用カバープレートの前記縁表面と前記エッジブラケットの前記第2の部分との間に弾性材料が配置されている、ディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本出願は、2012年6月21日に出願された米国特許出願第13/529141号に優先権を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本開示は、ディスプレイ用カバープレートを備えたディスプレイ装置に関し、特に、ガラス製ディスプレイ用カバープレートの縁部分が、そのディスプレイ用カバープレートの縁での割れを最小にするブラケットにより保護されているガラス製ディスプレイ用カバープレートに関する。
【背景技術】
【0003】
ここに用いたように、ディスプレイ装置という用語は、以下に限られないが、ラップトップ型、ノート型、タブレット型およびデスクトップ型のコンピュータデバイスを含むコンピュータ;携帯電話、カメラ(ビデオカメラとスチルカメラの両方を含む);およびテレビ(TV)を含むが、これに限られない、ビジュアルコンテンツを表示できる全ての電子装置を包含することが意図されている。先のデバイスの各々は、中に個々の構成要素が入れられる物理的ケースすなわちキャビネット、回路基板、電源、集積電子部品などの回路素子、およびもちろんディスプレイパネル自体を含む多くの構成部品を含んでいる。現在、これらのディスプレイパネルは、液晶ディスプレイ要素、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ要素、またはプラズマディスプレイ要素と、もちろん、これらの要素の多くがその上に配置されるおよび/またはそれにより取り囲まれるガラス製またはプラスチック製基板とを含むフラットディスプレイパネルである。ある場合には、観察者とディスプレイパネルとの間に、保護ディスプレイ用カバープレートが配置されることがある。このディスプレイ用カバープレートは、ディスプレイパネルを機械的損傷から保護するだけでなく、時には、ディスプレイパネルとそれに関連する要素の縁部分を収容するために使用されるエッジベゼルを隠すために使用されることもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このディスプレイ用カバープレートの保護機能にかかわらず、ディスプレイ用カバープレート自体は、特に、切断および/または研削などのディスプレイ用カバープレートを形作るために行われる操作により、ディスプレイ用カバープレートの縁に、引張応力に曝された場合に亀裂源として働く可能性があるきずが残されるので、損傷を受けやすいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
電子ディスプレイ装置、特に、以下に限られないが、タブレット型コンピュータおよび携帯電話などの手持ち式ディスプレイ装置の傾向の1つは、より薄く、ある場合には、全体により小さいが、より大きい表示域と組み合わされた、形状因子である。装置全体がより小さいが、より大きい表示域(例えば、より大型の可視ディスプレイパネル)の競合する要件を満足するために、装置の製造業者は、次にベゼルのないデザインを考えてきている。従来のディスプレイ装置において、ディスプレイパネルの縁に沿って、特定の電子部品が分布している。通常は矩形のディスプレイパネルの周囲に形成されたベゼルは、ディスプレイの駆動回路などの縁に配置された電子部品を覆う働きをする。典型的に、このベゼルは、ディスプレイパネルの部分、特に、観察者に面する縁部分も覆い、それによって、観察者に見える表示域を減少させている。なお、ベゼルは、ディスプレイパネルにより生成される表示画像の観察者に対してディスプレイパネルの前に位置する保護ディスプレイ用カバープレートを含む、ディスプレイパネルのガラス要素の縁も保護するであろう。そのようなディスプレイ用カバープレートは、大抵、手持ち式電子装置の初期にはプラスチック板から形成されていたが、化学強化ガラスの傾向が高まってきた。そのような化学強化ガラスには、プラスチック材料と比べて、優れた耐引掻性がある。この耐引掻性は、しばしば、ポケットの中で、鍵、小銭およびディスプレイ用カバープレートと接触し得る他の小さく硬い物体と共に運ばれる携帯電話にとって特別な利点を提示する。それにもかかわらず、ガラス板は大抵、所定のサイズに切断され、この切断プロセスにより、ガラス製カバープレートの縁にきずが生じることがあるので、そのガラス製カバープレートの縁は、これらの縁のきずから起こる割れから生じる破損を受けることがある。例えば、ガラスの割れは、既存のきずが引張応力を経験したときに生じる。そのような引張応力は、ガラスの屈曲から生じ得る。したがって、ガラス製カバープレートが薄くなるにつれて、このカバープレートは屈曲をより受けやすくなり得る。それと同時に、ガラス製カバープレートの縁を保護するおよび/または支持する働きを以前はしていたエッジベゼルのサイズを減少させると、もしくはエッジベゼルを完全になくすと、破損の恐れが高くなるしかない。
【0006】
本出願の発明者等は、ここに開示される支持構造が、ガラス製カバープレートの背後に、特に、画像の観察者に対してディスプレイ用カバープレートの少なくとも縁部分の背後に配置された場合、すなわち、適切な支持構造がディスプレイ用カバープレートの背面に配置されている場合、そのような薄いベゼル、またはベゼルのない装置デザインが利益を得ることがあるのをここに発見した。その支持構造が、ディスプレイ用カバープレートの周囲縁表面にクッションまたはバンパーを提供する部材を1つ以上含む場合には、さらなる利益が考えられる。エッジバンパーを使用したデザインは、ガラス製カバープレート以外の構造が、ガラス製カバープレートの周囲を超えて延在するという意味では正確にはベゼルなしではないが、そのようなバンパー構造は、エッジバンパーが視覚的に邪魔にならないほど適切に薄く作ることができる。
【0007】
したがって、1つの例示の実施の形態において、キャビネットと;ディスプレイパネルと;第1の平坦な主面、第2の平坦な主面、および第1と第2の主面に連結された縁表面を有するディスプレイ用カバープレートと;ディスプレイ用カバープレートの第1の主面に隣接して配置された第1の部分を含むエッジブラケットとを備えたディスプレイ装置が開示されている。このエッジブラケットは、ディスプレイ用カバープレートの周囲に閉じたループを形成する第2の部分をさらに含んでもよい。この第2の部分の表面は、第1の部分の表面に対して垂直であることがある。時には、ディスプレイ用カバープレートは、イオン交換ガラスなどの化学強化ガラスからなる。このディスプレイ装置は、エッジブラケットとディスプレイ用カバープレートとの間に位置する接着剤を含むことがある。その接着剤は、例えば、シリコーン材料などの弾性材料であり得る。ディスプレイ用カバープレートは、ディスプレイパネルの屈折率と実質的に一致する屈折率を有するエポキシにより、ディスプレイパネルに取り付けることができる。時には、エッジブラケットは、第1の主面と実質的に平行な第1の部分を含む。いくつかの実施の形態において、エッジブラケットは、第1の主面に対して垂直な第2の部分を含む。時には、エッジブラケットは、第1の部分に接続された第2の部分を含み、この第2の部分は湾曲表面を含む。エッジブラケットは、第2の部分の内部に沿って延在する中空通路を備えることがある。いくつかの実施の形態において、ディスプレイ用カバープレートとブラケットとの間に弾性材料が配置されている。例えば、ディスプレイ用カバープレートとブラケットとの間に発泡材料が配置されることがある。
【0008】
別の態様において、キャビネットと;ディスプレイパネルと;第1の主面、第2の主面、および第1と第2の主面に対して実質的に垂直な縁表面を有するガラス製ディスプレイ用カバープレートと;ディスプレイ用カバープレートの第1の主面に隣接して配置された第1の部分およびディスプレイ用カバープレートの周囲に閉じたループを形成する、湾曲表面を含む第2の部分を含むエッジブラケットとを備えたディスプレイ装置が開示されている。この第2の部分は、ディスプレイ用カバープレートの縁表面と平行に延在する中空内部通路を含むことがある。そのディスプレイ用カバープレートは、接着剤でディスプレイパネルに取り付けることができる。時には、ディスプレイ用カバープレートとエッジブラケットとの間に弾性材料が配置されている。例えば、この弾性材料は、シリコーン材料などの接着剤、または発泡材料であって差し支えなく、または接着剤を接着剤と共に使用しても差し支えない。時には、エッジブラケット自体が弾性材料を含んでもよい。
【0009】
さらに別の実施の形態において、キャビネットと;このキャビネット内に取り付けられたディスプレイパネルと;第1の主面、第2の主面、および第1と第2の主面に対して実質的に垂直な縁表面を有し、前記ディスプレイパネルに接着剤で取り付けられたディスプレイ用カバープレートと;ディスプレイ用カバープレートの第1の主面に隣接して配置された第1の部分およびディスプレイ用カバープレートの周囲に閉じたループを形成する第2の部分を含むエッジブラケットとを備えたディスプレイ装置が開示されている。このディスプレイパネルは、例えば、有機材料または液晶材料を含んで差し支えない。前記エッジブラケットは、その縁表面と平行に延在する中空通路を含むことができる。いくつかの実施の形態において、エッジブラケットとディスプレイパネルとの間に弾性材料が配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
これらと他の態様は、添付図面を参照して、以下の詳細な説明を読んだときに、よりよく理解される。
【
図1】ディスプレイと、エッジブラケットにより支持されたディスプレイ用カバープレートとを備えたディスプレイ装置の正面図
【
図2】
図1のディスプレイ装置の例示のディスプレイパネルの断面図
【
図3A】エッジブラケットにより支持されたディスプレイ用カバープレートの縁部分を示す、
図1のディスプレイ装置の縁の断面図
【
図3B】ディスプレイ用カバープレートの縁部分の側面図
【
図3C】第1の部分44および第2の部分46の表面の間に配置された半径部分45を有するエッジブラケットの側面図
【
図4】エッジブラケット、接着剤およびディスプレイ用カバープレートを示す、
図1のディスプレイ装置の上面図
【
図5】ディスプレイ用カバープレートの縁部分およびエッジブラケットの拡大断面図
【
図6】ディスプレイ用カバープレートの縁部分および別のエッジブラケットの拡大断面図
【
図7】ディスプレイ用カバープレートの縁部分およびさらに別のエッジブラケットの拡大断面図
【
図8A】弾性材料、および剛性金属板により裏打ちされた弾性材料により支持されたガラス製ディスプレイ用カバープレートの衝撃試験から得られる試験データのグラフ
【
図8B】
図8Aのグラフを得るための試験中に使用されたガラス板および支持部材の第1の構成の断面図
【
図8C】
図8Aのグラフを得るための試験中に使用されたガラス板および支持部材の第2の構成の断面図
【
図9】中央切抜き領域を画成する実質的に平坦なループを示す、エッジブラケットの別の実施の形態の斜視図
【
図10】
図9のエッジブラケットを使用した、本開示による装置の別の実施の形態の一部の縁断面図
【
図11】
図9のエッジブラケットを使用した、本開示による装置のさらに別の実施の形態の一部の縁断面図
【
図12】
図9のエッジブラケットを備えた本開示による装置であって、ディスプレイ用カバープレートの縁表面に隣接して配置された「D」字形バンパー部材をさらに含む装置の別の実施の形態の縁断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここで、例示の実施の形態が示されている添付図面を参照して、実施例を以下にさらに詳しく説明する。できるときはいつでも、同じまたは同様の部品を称するために、図面に亘り同じ参照番号が使用される。しかしながら、態様は、多くの異なる形態で具体化されるであろうし、ここに述べられた実施の形態に制限されるものと解釈すべきではない。
【0012】
テレビ、デスクトップ型、ラップトップ型、ノート型およびタブレット型のコンピュータ、携帯電話などのディスプレイ装置の美観は、そのようなディスプレイ装置の周囲、特に、見られる画像を形成するディスプレイパネル部分の周囲に典型的に存在するベゼルのサイズと外観の影響を受ける。ディスプレイ装置のベゼルは、多くの場合、ディスプレイパネルの画素を駆動するための電子機器を収容すると同時に、ある特定の場合には、ディスプレイパネルがエッジ照明されている場合にディスプレイ装置の背面照明を提供するために使用される。例えば、LCDテレビのディスプレイパネルは、このディスプレイ装置のベゼル領域内に保持された複数の背面照明用発光ダイオード(LED)を含むことがある。
【0013】
ここ数年に亘るこの傾向はより一層小さいベゼルに向かっている。現在のベゼル幅は3から10mm程度である。しかしながら、非常に大型のディスプレイパネルを有するテレビモデルが、少なくとも2つのへりで2mmほど小さい幅を、他の2つのへりで4mmほど小さい幅を有するベゼル領域を達成した。タブレット型コンピュータおよび携帯電話を含む、コンピュータデバイスおよび通信機器の絶えず減少しているサイズが特に関連している。そのような手持ち式装置の製造業者は、より小さくより薄い装置を製造すると同時に、表示域を最大にすることという相反する圧力に直面している。このジレンマを解決するための手法の1つは、ディスプレイパネルを取り囲むベゼルのサイズを減少させること、またはベゼルをなくすことである。ある場合には、ベゼルが存在してもよいが、ディスプレイ用カバープレートの背後に位置している。しかしながら、より小さいベゼルの製造には、特定の二律背反が伴う。表示域を増大させることはできるが、そのベゼルの以前からの保護機能は、低下するか、または完全になくなる。さらに、ディスプレイパネル自体のガラス、および/またはディスプレイパネルの前面に配置されたディスプレイ用カバープレートがより薄くなるにつれて、ディスプレイパネル、および/またはディスプレイ用カバープレートは、屈曲をより受けやすくなり、そのガラスが低強度のきずを含むならば、結果として、これによりガラスが破損することがある。先に述べたように、このことは、特に、ガラス部材の場合に、ディスプレイおよび/またはカバープレートの縁で特別に厄介なことになり得る。
【0014】
ある用途において、ディスプレイパネルと観察者との間にディスプレイ用カバープレートが配置されており、このディスプレイ用カバープレートは何らかの方法でディスプレイ装置に固定されている。このディスプレイ用カバープレートは、いくつかの目的を果たすであろう。例えば、ある場合には、ディスプレイ用カバープレートは、滑らかであり、ベゼルにより生じるかもしれない不連続により途切れない、実質的に縁から縁までの表面を提供するという点で、純粋に見た目に美しいであろう。時には、ディスプレイ用カバープレートは、カバープレートが縁に沿って導光するようにエッジ照明されることがある。その結果、暗闇では、そのディスプレイ用カバープレートの縁が、光の色にしたがって輝く。例えば、テレビのスイッチを切ったときに、輝く縁を作動させてもよい。ある場合には、ディスプレイ用カバープレートは、ディスプレイパネルのベゼルが画像の裏に隠されるように、プリズムまたは他の光学素子を使用して、表示画像を引き伸ばすように構成してもよい。ある場合には、ディスプレイ用カバープレートは、電子装置の特定の機能を作動させるために、タッチに応答するように構成してもよい。例えば、そのようなタッチ機能性は、以前は、コンピュータデバイスに限られていたが、コンピュータデバイスと通信機器との間の線が曖昧になり、よって、多くの通信機器(例えば、携帯電話)は、強力なプロセッサを含み、数千の利用可能なソフトウェア・アプリケーションの任意の1つ以上を指のタッチで起動するように構築される。
【0015】
しかしながら、そのディスプレイ用カバープレートは、その後ろに配置されたディスプレイパネルにある程度の耐衝撃性を提供することによって、保護機能も果たすであろう。例えば、液晶または有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイパネルは、厚さが1.5mm未満であることがあり、したがって、衝撃損傷を容易に受けやすい。その結果、ディスプレイ用カバープレートは、ディスプレイパネルとその装置の観察者/ユーザとの間のディスプレイパネルの前面に配置されることがある。そのディスプレイ用カバープレートは、衝撃損傷および引掻き傷などのより表面的な損傷の両方からディスプレイパネルを保護する。あるデザインにおいて、ディスプレイ用カバープレートはプラスチックであってよい。しかしながら、近年の傾向では、化学的(例えば、イオン交換)または熱的に強化されたガラスなどの焼入れ(強化)ガラスが好まれている。何故ならば、そのようなガラスは、衝撃損傷から装置(例えば、ディスプレイパネル)を保護する働きをするだけでなく、それ自体としてかなり耐衝撃性であり、したがって、装置の認知された耐用年数を延ばすからである。
【0016】
ディスプレイ用カバープレートを形成するために使用できるガラスは、その装置の必要寸法を有するガラスを提供するために典型的に加工される。例えば、ある所定の寸法を有するディスプレイ用カバープレートは、ずっと大きい元のガラス板から切断されてきたであろう。このディスプレイ用カバープレートの厚さは、典型的に、約1mm以下である。適切なディスプレイ用カバープレートの厚さの例としては、約0.7mm以下、約0.5mm以下、または約0.3mm以下が挙げられる。いくつかの実施の形態において、ディスプレイ用カバープレートの厚さは、約100μm以下であってよい。切断プロセスは、ディスプレイ用カバープレートの縁にきずを残すことがある。ディスプレイ用カバープレートの縁の研削または形削りは、これらのきずのいくらかをなくすであろう。しかしながら、研削または研磨操作は、きずの全てをなくすことはできず、ある場合には、実際に、ディスプレイ用カバープレートを形成するガラス板の縁に追加のきずを引き起こすことがある。ガラスは、きずの部位に印加されることがある引張応力の結果として割れることがよく知られている。その引張応力は、きずを成長させ、ガラス板の少なくとも一部に亘り伝搬し得る亀裂を形成することがある。それゆえ、その板の縁に印加されている引張応力を生じ得る屈曲から、ガラス製ディスプレイ用カバープレートの縁を保護する対策を取るべきである。そのような屈曲は、例えば、衝撃から、または自分の携帯電話の上に座ることなどの、より穏やかな力の印加から生じるであろう。
【0017】
ここで
図1を参照すると、ディスプレイパネルを備えた例示のディスプレイ装置10が示されている。ディスプレイ装置10は、ディスプレイパネル14、液晶ディスプレイ(LCD)装置の場合にはバックライトユニット16、およびディスプレイ用カバープレート18を収容するキャビネット12を含むディスプレイ装置構成要素を備えている。ベゼル19を、ディスプレイパネル14の少なくとも縁部分に隣接して配置してもよい。
図2には、例示のディスプレイパネル14、この場合には、LCDディスプレイパネルの単純化された図が示されている。ディスプレイパネル14は、第1の基板20、第2の基板22、第1の基板を第2の基板に接合する、第1と第2の基板の間に配置されたシーリング材24、および層26として集合的に示されている、第1と第2の基板の一方または両方の上に配置された1つ以上の薄膜層、並びにこの場合もやはり、LCD装置の場合には、液晶材料の層28を含むことがある。ディスプレイパネル14は、制限するものではなく、1つ以上の薄いガラス基板を使用して形成される、LCDディスプレイパネル、有機発光材料を含む有機発光ダイオードディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネルなどを含むどの適切なディスプレイパネルであってもよいことに留意すべきである。
【0018】
図1および3Aに示されるように、ディスプレイ用カバープレート18は、平坦な第1の主面30、平坦であり、第1の主面30と実質的に平行な第2の主面32、および第1と第2の主面の間に配置され、ディスプレイ用カバープレートの周囲を形成する縁表面34(
図3Bが、明確にするために、エッジブラケット40のない、ディスプレイ用カバープレート18の一部を示している)を有する平坦なガラス板として構成されている。縁表面34は、平坦、実質的に平坦であってよく、または縁表面34は、形作られてもよい。例えば、ディスプレイ用カバープレートは、縁表面34が湾曲している、または少なくとも湾曲部分を有する、もしくは縁表面34が、突出部分、角度部分(1つ以上の平坦部分)、または上述した形状またはその部分のいずれの組合せを有するように、研削および/または研磨が施されてもよい。縁面がディスプレイ用カバープレートの主面に徐々に移行する湾曲縁面により、容易に損傷し得る鋭い角の形成が回避される。ディスプレイ用カバープレート18は、ディスプレイパネル14と、ディスプレイパネル14により形成される画像の視聴者または観察者Oとの間に配置される。ある場合には、ディスプレイ用カバープレート18は、屈折率が一致するエポキシなどの接着層31によってディスプレイパネル14に接着されてもよい。したがって、ディスプレイ用カバープレート18は、ディスプレイ用カバープレートがディスプレイパネルと均質に見えるように、ディスプレイパネル14の観察者側部分(すなわち、ディスプレイ用カバープレート18に面するディスプレイパネル14の表面)の屈折率に一致するまたはほぼ一致する屈折率を有するであろう。ディスプレイ用カバープレート18は、例えば、イオン交換ガラスなどの化学強化ガラス板であってよい。
【0019】
図3Aにもっともよく示されるように、ディスプレイ装置10は、ディスプレイ用カバープレート18の縁部分42を支持し、かつ保護するためのエッジブラケット40をさらに備えている。金属などの特定の材料に鋭い曲げ部を形成することは、難しいことがあり、形成された物品の破損をもたらし得る応力区域を与えるので、エッジブラケット40は、
図3Cの助けによりもっともよく見えるように、第1の部分44および第2の部分46の表面の間に配置された半径部分45を含んでもよい。
図4を参照すると、いくつかの例において、エッジブラケット40は、この支持ブラケットがディスプレイ用カバープレート18の長さ寸法と幅寸法よりわずかしか大きくない長さと幅を有する額縁のような形をするように、矩形の周囲を有する閉じたループを形成する。そのような場合、エッジブラケット40は中空内部を画成する。
図3A、3Bおよび5に示されるように、エッジブラケット40の断面は、概して、エッジブラケット40の第1の部分44が縁部分42で(すなわち、観察者Oの反対側から)ディスプレイ用カバープレートの第1の主面30を支持し、第1の部分44に対して垂直な第2の部分46がディスプレイ用カバープレートの縁部分42の縁表面34を覆うように、「L」字形であってよい。
【0020】
ディスプレイ用カバープレートをエッジブラケット内に接着するために、ディスプレイ用カバープレートとエッジブラケットとの間に接着層48を使用してよい。接着層48は、硬化の際に、接着剤がある程度の弾力性を維持するように選択してもよい。接着層48は、両面接着テープからなってもよい。この接着層の厚さは小さいべきである。いくつかの例において、接着層の厚さは約10μm未満である。ある場合には、天然または合成ゴムもしくは他の弾性ポリマーなどの弾性ガスケット材料(図示せず)、または発泡材料をエッジブラケットとディスプレイ用カバープレートとの間に配置してもよい。その弾性材料は、1つ以上の接着層と組み合わせて使用してもよい。
【0021】
キャビネット12の壁52に取り付けられた随意的な取付フランジ50を使用して、エッジブラケット40をキャビネット12に取り付けてもよい。取付フランジ50は、プラスチックまたは金属であってよいが、エッジブラケットを十分に支持するために、剛性であるべきである。エッジブラケット40は、クリップ、ネジまたは溶接、はんだ付けを含むどの他の適切な取付方法によって、もしくは接着剤によって、取付フランジ50に取り付けてもよい。
【0022】
本開示の実施の形態によれば、縁表面34に対して略平行であり、ディスプレイ用カバープレート18の縁表面34を保護するように構成された、エッジブラケット40の第2の部分46は、約1mm以下などの2mm以下ほどである、ディスプレイ用カバープレート18の主面30,32と略平行な寸法で、比較的薄くてよい。
【0023】
図6には、エッジブラケットが部分的にだけ「L字」に似ているエッジブラケット40の別の実施の形態が示されている。
図6の実施の形態において、エッジブラケット40の第1の部分40は、第1の主面30と実質的に平行な表面を含んでいるが、
図4のエッジブラケットは、湾曲部分を含む第2の部分46を含んでいる。例えば、
図6は、「D字」形の第2の部分46を示している。「D字」形の第2の部分46などの湾曲した第2の部分46は、それでも、ディスプレイ用カバープレート18の縁表面34を保護するが、「D字」形の第2の部分46は、
図5に示された「L字」形のエッジブラケットの第2の部分よりも比例して大きい向上した保護を与えるであろう。実際に、
図6のエッジブラケット40は、「D字」形の部材(例えば、「バンパー」)が、「L字」形のエッジブラケットの第2の部分46に形成されている、複合型エッジブラケットであってよい。いくつかの実施の形態において、エッジブラケット40は、例えば、エッジブラケットのディスプレイ用カバープレートを支持する部分に剛性を与えるために金属から形成された第1の部分44、およびディスプレイ用カバープレートへのエッジの損傷を軽減するために弾性材料からなる第2の部分46を有する、多数の材料からなってもよい。
【0024】
図7に示されたさらに別の実施の形態において、
図4に示されたエッジブラケットの「D字」型の部分が、縁表面34に略平行な、エッジブラケットの内部に沿って延在する中空通路62を画成し、よって、断面が、より特徴的な「D字」形状を含む。それゆえ、中空の第2の部分46は、中実の第2の部分46よりも弾性であって、第2の部分46と衝突した際に、第2の部分46が中空通路内に潰れ、その衝撃エネルギーを吸収することのできる歪み帯を実質的に形成するであろう。
【0025】
ここで、
図8Aを参照すると、ミリ秒で表された時間の関数として、衝撃を受けたディスプレイ用カバープレート18の、ミリメートルで表されたモデル化変位およびディスプレイ用カバープレート内の、MPaで表された計算応力を示すグラフが示されている。2つの構成をモデル化した。
図8Bに示された第1の構成において、150mm×150mmの長さと幅の寸法を有する化学強化ガラス板70がゴム製パッド72により支持され、次に、そのパッドが金属製のテーブル74上に支持されている。このガラス板は、矢印80で表されるように、ガラス板の周囲に隣接した縁部分78内で、ガラス板の露出面76と垂直な衝突角度で衝撃を受ける。曲線82が、ガラス板の中央でのモデル化変位を表し、曲線84がモデル化応力を表している。
【0026】
図8Cに示された第2の構成において、化学強化ガラス板70とゴム製パッド72との間に金属板86が配置されており、ガラス板70は再び、第1の構成と同じ様式で衝撃を受ける。曲線88が、第2の構成におけるガラス板のモデル化変位を表し、曲線90がモデル化応力を表している。
【0027】
図8Aからのデータは、第1の構成において、ガラスが、約2.25mmの安静位からの大きい最大変位、および約550MPaのピーク応力に到達する、同様に大きい応力を経験することを示している。ガラスが弾性表面と剛性金属板の両方により支持されている第2の構成において、ガラス板は、たった約0.75mmのピーク変位、および約100MPa程度の同様に小さい応力を経験する。このように、データは、ガラス板の背後に配置された追加の剛性支持体が、ガラス板の縁に引張応力を誘発し得るガラス板の屈曲を防ぐことを示している。したがって、金属(例えば、鋼鉄)から形成されたエッジブラケットなどの剛性エッジブラケットは、ディスプレイ用カバープレートの変位を効果的に減少させ、それによって、ディスプレイ用カバープレートが衝撃損傷を経験する傾向を低減させることができる。それゆえ、本開示の別の実施の形態が、
図9〜11に関して記載される。
【0028】
図9は、切抜き(中空)領域104を画成する閉じたループの形状にある第1の部分102を最小限として有するエッジブラケット100の斜視図である。すなわち、いくつかの実施の形態において、エッジブラケット100は、ディスプレイ用カバープレートに隣接して配置するための少なくとも1つの滑らかな主面を有する、実質的に平坦な矩形枠である。エッジブラケット100を形成するための適切な材料の例として、金属(例えば、鋼鉄、アルミニウム、チタンまたは剛性の高い他の金属)が挙げられる。
図10は、ディスプレイ用カバープレート18とキャビネット112の一部との間に配置されたエッジブラケット100を有してなるディスプレイ装置110の一部の拡大断面図である。キャビネットは、取付フランジ、棚、またはエッジブラケット100をその上に配置し支持できるどの他の表面を含んでもよい。
図11によれば、ディスプレイ装置110は、ディスプレイ用カバープレートの周囲の周りに閉じたループで配置されたバンパー部材114をさらに備えてもよい。このバンパー部材は、ディスプレイ用カバープレートの縁表面を衝撃損傷から保護する。それゆえ、バンパー部材は、例えば、弾性材料から形成してよい。例えば、バンパー部材は、接着剤などにより、ディスプレイ用カバープレートの縁表面に施されたポリマー材料であってよい。バンパー部材114は、
図12に示されるような「D字」形の本体であってもよい。先の実施の形態におけるように、バンパー部材は、バンパー部材の本体内に位置する開いたまたは閉じた中空通路を含んでもよい。ある場合には、バンパー部材は、バンパー部材114がエッジブラケット100の一体部品であるという点で、エッジブラケット100の第2の部分を構成しており、またはバンパー部材は、直接、または接着層48を介してのいずれかで、エッジブラケット100に連結されてもよい。
【0029】
請求項に記載された発明の精神および範囲から逸脱せずに、様々な改変および変更を行えることが、当業者には明白であろう。
【符号の説明】
【0030】
10,110 ディスプレイ装置
12,112 キャビネット
14 ディスプレイパネル
16 バックライトユニット
18 ディスプレイ用カバープレート
19 ベゼル
20 第1の基板
22 第2の基板
24 シーリング材
30 第1の主面
32 第2の主面
34 縁表面
40,100 エッジブラケット
42,78 縁部分
44 第1の部分
45 半径部分
46 第2の部分
48 接着層
62 中空通路
70 化学強化ガラス板
72 ゴム製パッド
74 金属製のテーブル
86 金属板
104 切抜き領域
114 バンパー部材