【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、請求項1の特徴を有する医療用器具、特に外科用器具のためのホルダによって解決される。このようなホルダの有利な構成は、従属項である請求項2ないし8に示されている。さらに、本発明における課題解決のその他の観点は、請求項1ないし8いずれか一に記載のホルダ
と、このホルダに着脱自在
な器具シャフトとを備えた医療用器具に関する請求項9や、この請求項9に
従属する請求項10ないし12の構成である。
【0010】
すなわち本発明に係る医療用器具、特に外科用器具のための新型のホルダは、医療用器具の器具シャフトにおける逃げ溝を有する接続端部を接続して収容するためのクイックカップリングを有している。このクイックカップリングは、接続端部
を収容可能な第1の軸方向開口部を有する第1のカップリングエレメントを備えている。また、クイックカップリングは、接続端部
に対応した第2の軸方向開口部を有する第2のカップリングエレメントを備えている。第1
のカップリングエレメントおよび第2のカップリングエレメントは、第2の開口部の縁が器具シャフトの接続端部において逃げ溝に係合してロックするように第1
の開口部と第2の開口部
とが
軸方向に相対的に変位するロック位置から解除位置へ移行するために、開口部の軸方向に対して斜め方向に互いに相対的に
移動可能である。また、解除位置では、第1
の軸方向開口部と第2の軸方向開口部
とが、少なくとも接続端部が
第1の軸方向開口部および第2の軸方向開口部から抜き差し自在となる程度に直線上に離間して配置される。さら
に、第1
のカップリングエレメントおよび第2のカップリングエレメントは、スプリングユニットを介して互いに一体に接続されており、このスプリングユニットは、第1
のカップリングエレメントおよび第2のカップリングエレメントをロック位置に向かって互いに相対的に付勢する。
【0011】
この種の構造のホルダでは、クイックカップリングに、例えばロッキングボールのようなロッキングエレメントを予め備える必要性がない。
すなわち、ホルダでは、第1の軸方向開口部と第2の軸方向開口部とが通常位置として軸方向の延長線に対し互いに斜め方向にずれたロック位置に付勢されることにより、第1
のカップリングエレメントの第1の軸方向開口部と第2のカップリングエレメント
の第2の軸方向開口部
とがオフセット状態となって
、ロック作用を奏する。言い換えると、器具シャフトの接続端部と共に第1の開口部を通じて導かれた医療用器具は、まず、この第1の軸方向開口部を通じて半径方向に固定される。また、軸方向の固定またはロックは、接続端部が第2の開口部も貫通することによって行われる。この場合
、第2の開口部は、その内周縁で接続端部の逃げ溝に接触して係合するとともに、器具シャフトを軸方向にロックするよう
に、軸方向に対し斜めにスライドする。上述
のロック位置においては、さらに軸方向の遊びが存在する。多くの場合、このような軸方向の遊びは、手動ホルダにおいて、追加的な触覚上の補助作用が得られるため、利用者からも望まれていたことである。その他の場合、例えば頭蓋冠部分の硬い骨を穿孔するための器具では、こうした軸方向の遊隙が必要である。すなわち、器具シャフトの後方に向かって軸方向にスライドした位置においてのみ、ばね荷重に抗して器具を押し付けた場合に、穿孔されるべき頭蓋冠へ駆動装置に誘導された回転が作用するためである。しかしこのスライドされた位置は、頭蓋冠が穿孔されると緩んでばねが回転駆動を止めてドリル装置がニュートラルになる。その結果、ドリル駆動がそのまま継続してしまって頭蓋冠の下にある軟組織部分の損傷または脳の損傷が生じることが防止される。
【0012】
その他の本発明に係るホルダの利点は、第1
のカップリングエレメントと第2のカップリングエレメント
とが結合されて一体的に構成されていることである。この構成によって、ホルダの洗浄および殺菌に際して必要な個別部品および小部品への分解が問題とならない。加えて、特に好ましいホルダ、特にクイックカップリングの構造と形成とにより、互いに一体的に接続した部品間に、適切な洗浄器具を使って巧く到達でき、洗浄および殺菌できる適切な中間スペースを確保できる。こうして例えばロッキングボールのボールベアリング面に関して、中間スペースが、完全に洗浄および殺菌し徹底的に洗浄および殺菌するために十分ではなくなってしまう問題、特に中間スペースが極端に狭くなってしまう問題を回避することができる。
【0013】
クイックカップリングは、全体として一体的に形成することが好ましく、簡単に殺菌可能で、また優先的に手術および処置のために十分な生体適合性を有する材料、特に医療
用として使用可能なステンレスのような材料にて形成される。こうした金属の利用(チタンまたはチタン合金のような医療に使用可能なその他の金属も利用可能である)により、比較的薄
い材料を用いて、ロック位置の方向に向かって十分な復元力を生み出すスプリングユニットを、第1
のカップリングエレメントと第2のカップリングエレメント
との一体的な接続に適用する構成が好適である。
【0014】
本発明に係るホルダは、ホルダ内でクイックカップリングに対して器具
が回転して捩れにくく配置するため、器具シャフトの接続端部における反対構造と共に作用する遮断構造を有する構成が好ましい。この種の構成は、特に、ホルダによって回転力または回転モーメントを、例えばドリルまたは拡孔錐といった医療用器具に伝達しなければならない場合に重要である。この種の遮断構造のために考えられる構成は、第1のカップリングエレメントの外側面における
第1の軸方向開口部に臨む前部を有するクイックカップリングにおいて、前部の表面を貫く開口部の互いに対向する側に、サイドカバーを配置する構成である。
【0015】
このサイドカバーは前部の表面から外側に向かって延びており、遮断構造を構成し、互いに平行で対向した平らな接触面を有する。接触面は、器具シャフトの接続端部に形成された反対構造の反対面に倣った形状であ
り、接触面と反対構造とは互いに対応している。
【0016】
本発明に係るホルダの優先的な構成において、クイックカップリングは基体を有し、この基体には、第1
のカップリングエレメントおよび第2のカップリングエレメントが一体に成形されている。その際、基体にはリセス(窪み)が設けられ、このリセスは、一方側が基体の壁によって制限され、またこのリセスに沿って、前記壁が対向する他方側
である基体の外側にスプリングユニットが配置され、そしてスプリングユニットに対し角度をつけて
傾斜状に第2のカップリングエレメントが配置されている。この構成は、簡単に製造されるための設計オプションであり、同時にホルダ、特にクイックカップリング部分において簡単に洗浄および殺菌が可能であるという要件を満たすことができる。すなわち、リセスが十分に大きく設けられて、基体の壁とスプリングユニットとの間の中間スペースが洗浄器具の挿入のために十分広く確保されていれば、簡単に洗浄および殺菌できる。またリセスは、同じく角部を有する構成が好ましく、特にその延び(
形状)において、スプリングユニットの角部のある形状と、このスプリングユニットの角部に対応する角度で延び
る第2のカップリングエレメントの角部
の形状とに基づいて構成可能であ
る。
【0017】
さらに、本発明に係るホルダの有利な設計オプションでは、リセスが雌フランジを有し、第2のカップリングエレメントが雄フランジを有し(当然のことながら、逆の構成、すなわちリセスが雄フランジを有し、カップリングエレメントが雌フランジを有する構成でもよい。)、これら雌フランジ
と雄フランジ
とがロック位置で当接することによって、
第1のカップリングエレメントに対する第2のカップリングエレメントの相対
移動をロック位置で係止して、ロッ
ク位置を超えてしまうことを防止するストッパとして作用する構成が好適である。このようなストッパ作用は、誤った操作を防止し、総じて、本発明に係るホルダの安定性と信頼性とを向上できる。
【0018】
本発明のその他の有利な設計では、スプリングユニットをホルダの外側面に配置でき、このような配置により、ロック位置から解除位置に第2のカップリングエレメントを移動させるため、ホルダの縦軸方向に対し斜めに働く力、具体的にはスプリングユニットの減衰効果により働く力、特に圧縮力を、手動でこのホルダの外側面に作用させることができる。言い換えると、スプリングユニットが「圧力スイッチ」として作用し、これを作動させることにより、第1
のカップリングエレメントと第2のカップリングエレメント
との相対位置を、ロック位置から解除位置へ移行でき、解除位置において
は、ホルダに接続された器具をホルダから解除
可能であり、かつ、器具シャフトの接続端部
をホルダのクイックカップリングに導入し固定
可能である。
【0019】
ホルダは、特に回転シャフトを使い手動で作動する構成にしてもよく、この構成では、一方の自由端部にクイックカップリングが配置され、また自由端部とは反対側の他方の端部に、
例えばT字型のグリップ
部分が配置される。しか
し、この種のホルダに限定されておらず、本発明に係るホルダは、その他の形状で手動で操作する設計にしてもよい。例えば軸方向
に作動
する駆動装置
や、回転駆動する駆動装置
を、モータで駆動する器具駆動装置の一部としても実現できる。
【0020】
本発明のその他の構成としては、上述のようなホルダと、ホルダに着脱自在に固定可能な少なくとも一つの医療用器具、特に外科用器具との組み合せも存在する。この
医療用器具は
、接続端部を有する器具シャフトを備え、また、器具シャフトの接続端部に逃げ溝が形成されている。このような組み合せは、ホルダとただ1つの
医療用器具とに限定されるものではなく、ホルダと1つまたは複数の医療用器具との組み合わせにしてもよい。
【0021】
このような組み合せに
おける好ましい設計
は、
医療用器具がその器具シャフトの接続端部
の自由端部より基端側に、器具シャフトの自由端部から円錐形に広がるように厚くなった部分
である接続部を有し、
この接続部は、基端部が逃げ溝より大径である。すなわち、接続部は、基端部から自由端部へ向かって漸次小径に形成されている。また、接続部が、逃げ溝の終端部分で、自由端部と対向し、かつ、器具シャフトにおけるより小さな範囲で僅かに低く段差状に形成されるという利点を有する。この円錐形の厚くなった部分
(接続部)により、クイックカップリングへの器具シャフトの接続端部をより容易に導入できる。
接続部によって、軸方向に向けられた圧縮力が器具シャフトに作用する際、クイックカップリングの第2のカップリングエレメントが、ロック位置から押し出され
解除位置へ移動するとともに、第2のカップリングエレメントが、接続部より基端側の逃げ溝に達し
て、ロック位置でパチンと閉ま
り、接続端部が固定される。
【0022】
回転力または回転モーメントの伝達にとって、上述の
医療用器具が、器具シャフトのその接続端部に、
反対構造の反対面を
構成する平行な平面を有することは有利な構成であ
る。