特許第6074503号(P6074503)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6074503
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】ホルダおよび医療用器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 90/00 20160101AFI20170123BHJP
   A61B 17/16 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
   A61B90/00
   A61B17/16
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-523455(P2015-523455)
(86)(22)【出願日】2013年5月24日
(65)【公表番号】特表2015-523164(P2015-523164A)
(43)【公表日】2015年8月13日
(86)【国際出願番号】EP2013060736
(87)【国際公開番号】WO2014016011
(87)【国際公開日】20140130
【審査請求日】2015年11月19日
(31)【優先権主張番号】12177714.8
(32)【優先日】2012年7月24日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515022249
【氏名又は名称】ヴァルデマー リンク ゲーエムベーハー ウント コー カーゲー
【氏名又は名称原語表記】WALDEMAR LINK GmbH & Co.KG
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】ドムシュウィスキー,クラウス
(72)【発明者】
【氏名】バルザリーニ,アモス
(72)【発明者】
【氏名】フライベルク,ドルテ
【審査官】 木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第5957946(US,A)
【文献】 特開2004−159741(JP,A)
【文献】 米国特許第6139214(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00 ― 17/94
A61B 18/00 ― 18/28
A61B 90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用器具の器具シャフトにおける逃げ溝を有する接続端部が接続されるクイックカップリングを備え、
このクイックカップリングは、接続端部を収容可能な第1の軸方向開口部を有する第1のカップリングエレメントと、接続端部に対応した第2の軸方向開口部を有する第2のカップリングエレメントとを備え、
この第2のカップリングエレメントは、第2の軸方向開口部の縁が器具シャフトの接続端部の逃げ溝に係合されたロック位置と、少なくとも接続端部が第1の軸方向開口部および第2の軸方向開口部から抜き差し自在となるように第1の軸方向開口部と第2の軸方向開口部とが直線状に配置された解除位置との間で、第1のカップリングエレメントに対して相対的に、第1軸方向開口部および第2の軸方向開口部の軸方向に対して傾斜方向に移動可能であり、
第1のカップリングエレメントおよび第2のカップリングエレメントは、スプリングユニットを介して互いに一体的に接続されており、
第1のカップリングエレメントおよび第2のカップリングエレメントは、スプリングユニットによってロック位置へ付勢されている
ことを特徴とするホルダ。
【請求項2】
クイックカップリングは、内部で器具シャフトを回転しにくくするために、器具シャフトの接続端部の反対構造に対応した形状の遮断構造を有する
こと特徴とする請求項1記載のホルダ。
【請求項3】
クイックカップリングは、第1のカップリングエレメントの一端部に位置し第1の軸方向開口部に臨む前部を有し、
前部は、器具シャフトの接続端部の反対構造を形成する反対面との接触のための平らな接触面を有し遮断構造を構成する互いに平行で対向して配置された横ブロックを有する
ことを特徴とする請求項2記載のホルダ。
【請求項4】
クイックカップリングは、第1のカップリングエレメントおよび第2のカップリングエレメントが設けられた基体を有し、
この基体は、リセスと、このリセスの外側に位置しリセスに沿って設けられたスプリングユニットと有し、
第2のカップリングエレメントは、スプリングユニットに対し傾斜して接続されている
ことを特徴とする請求項1ないし3いずれか一記載のホルダ。
【請求項5】
リセスは、角部を有する
ことを特徴とする請求項4記載のホルダ。
【請求項6】
リセスは、雌フランジを有し、
第2のカップリングエレメントは、雄フランジを有し、
これら雌フランジおよび雄フランジは、第1のカップリングエレメントに対する第2のカップリングエレメントの相対移動をロック位置で係止可能である
ことを特徴とする請求項4または5記載のホルダ。
【請求項7】
スプリングユニットは、ホルダの側面に位置し、
第2のカップリングエレメントは、スプリングユニットのばねの付勢力に抗したホルダの軸方向に対して傾斜方向への力により、第1のカップリングエレメントに対してロック位置から解除位置へ移動可能である
ことを特徴とする請求項1ないし6いずれか一記載のホルダ。
【請求項8】
一方側の端部にクイックカップリングが配置され、他方側の端部にグリップ部分を有するシャフト部分が配置されている
ことを特徴とする請求項1ないし7いずれか一記載のホルダ。
【請求項9】
請求項1ないし8いずれか一記載のホルダと、
このホルダのクイックカップリングに接続可能な接続端部を有し前記ホルダに着脱可能な器具シャフトを備え、
この器具シャフトの接続端部に逃げ溝が形成されている
ことを特徴とする医療用器具。
【請求項10】
器具シャフトの接続端部は、器具シャフトの自由端部より基端側に設けられた接続部を有し、
接続部は、少なくとも基端部が逃げ溝より大径で、かつ、基端部から自由端部側へ向かって漸次小径に形成されている。
ことを特徴とする請求項9記載の医療用器具。
【請求項11】
器具シャフトの接続端部の反対構造の反対面を構成する平行な平面を有する
ことを特徴とする請求項9または10記載の医療用器具。
【請求項12】
外科用の器具である
ことを特徴とする請求項9ないし11いずれか一記載の医療用器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、逃げ溝を有する医療用器具の器具シャフトの接続端部を収容するためのクイックカップリングを備えたホルダ、および、そのホルダに接続可能な医療用器具に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のホルダは、少なくとも、装入および使用のために同軸上に保持される医療用器具の固定の際に利用される。同軸上の固定は、ホルダと器具との間の軸方向の遊びを可能にするが、器具を、ホルダから軸方向に例えば非意図的に弛ませることなく、確実にホルダに固定するものである。また多くの場合、モータ駆動により生み出された力や手動で生み出された力が、軸方向だけでなく、医療用器具の回転駆動のためにも伝動されなければならない。このような場合、対応するホルダには、医療用器具の捩じり応力に強い収容のための手段と、ホルダと医療用器具との結合のための手段を追加的に設ける必要がある。
【0003】
この説明および発明の意味する医療用器具とは、特に、穿孔器、フライス盤、やすり、突き錐、のこぎり、およびこれらに類する医療に使用されるツールのことである。しかし、本発明における医療用器具は、特に内部人工器官も含む人工器官の一部としてのインプラント、および、その他のハンドリングのためのホルダを含み、装着、除去、移植およびその他の医療ステップにおいて結合されるべきインプラントに関して、インプラントの一部およびインプラント自体も、外科用器具と解釈できる。
【0004】
この種のホルダは、例えば独国特許出願公開第602004001063号公報の構成が知られている。この文献では、図1に医療用器具として、その器具シャフトの接続端部に、符号78が付けられた、ハドソン(Hudson)・コネクタまたはトリンクル(Trinkle)・アダプタと呼ばれる接続形態の拡孔錐が示されている。この拡孔錐は、固定するためにホルダのクイックカップリングに導入される。このホルダは、締付けスリーブの捩り込みによって器具シャフトの接続端部の逃げ溝に係合するチャック爪を有する締付けチャックのように固定される。この文献の図4には、他の設計例が示されているが、この設計例では、器具シャフトの接続端部のロックはロッキングボールを用いて行われる。
【0005】
シャフト形のホルダを他の方法で外科用器具に結合するその他の技術は、欧州特許出願公開第0893097号公報および独国特許第2009469号明細書に示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許出願公開第602004001063号公報
【特許文献2】欧州特許出願公開第0893097号公報
【特許文献3】独国特許第2009469号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特に、この種のホルダのように、通常、医療用器具が接続されたホルダが手術および処置の進行中に使用される場合には、定期的に医療用器具自体だけではなく、ホルダも、例えば血液その他の体液、手術中に溶解した組織成分、骨細片、および、骨破片や、それに類したものによって、特にクイックカップリングの部分が汚染される。こうしたホルダは、通常は一回限りで使用するものではなく繰り返し利用可能な器具であるため、使用後で再度利用する前に、適切に洗浄されかつ殺菌されなければならない。そして、通常、ホルダの従来のクイックカップリングに備えられた小部品、特にこの種の部品間における僅かな寸法の隙間や空間は、残滓の無い洗浄および完全な殺菌に際して、特に障害となる。すなわちホルダにおけるこの種のクイックカップリングが分解可能な場合には、洗浄および殺菌を行う者が、これらのクイックカップリングを分解するだけでなく、小部品も洗浄および殺菌のために念入りに取り扱われ、接続する際には、クイックカップリングを再び適切に組み立てなければならない。一方、クイックカップリングが分解可能でない場合には、例えばロッキングボールの座の部分に生じるような小さな隙間や中間スペースに残滓が無いように洗浄しかつ殺菌することは、ほとんど不可能である。そのため、ホルダの再度の使用に際し、その後の医療処置の途中で合併症に繋がる可能性があり、汚染残滓の危険性が考えられる。
【0008】
したがって、本発明の課題は、周知の同種の医療用器具、特に外科用器具のためのホルダを、従来のホルダに対して構造を簡略化でき、かつ、使用後のアフターケアにおいて簡単に洗浄および殺菌できるという趣旨に沿うものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、請求項1の特徴を有する医療用器具、特に外科用器具のためのホルダによって解決される。このようなホルダの有利な構成は、従属項である請求項2ないし8に示されている。さらに、本発明における課題解決のその他の観点は、請求項1ないし8いずれか一に記載のホルダと、このホルダに着脱自在な器具シャフトとを備えた医療用器具に関する請求項9や、この請求項9に従属する請求項10ないし12の構成である。
【0010】
すなわち本発明に係る医療用器具、特に外科用器具のための新型のホルダは、医療用器具の器具シャフトにおける逃げ溝を有する接続端部を接続して収容するためのクイックカップリングを有している。このクイックカップリングは、接続端部を収容可能な第1の軸方向開口部を有する第1のカップリングエレメントを備えている。また、クイックカップリングは、接続端部に対応した第2の軸方向開口部を有する第2のカップリングエレメントを備えている。第1のカップリングエレメントおよび第2のカップリングエレメントは、第2の開口部の縁が器具シャフトの接続端部において逃げ溝に係合してロックするように第1の開口部と第2の開口部軸方向に相対的に変位するロック位置から解除位置へ移行するために、開口部の軸方向に対して斜め方向に互いに相対的に移動可能である。また、解除位置では、第1の軸方向開口部と第2の軸方向開口部が、少なくとも接続端部が第1の軸方向開口部および第2の軸方向開口部から抜き差し自在となる程度に直線上に離間して配置される。さらに、第1のカップリングエレメントおよび第2のカップリングエレメントは、スプリングユニットを介して互いに一体に接続されており、このスプリングユニットは、第1のカップリングエレメントおよび第2のカップリングエレメントをロック位置に向かって互いに相対的に付勢する。
【0011】
この種の構造のホルダでは、クイックカップリングに、例えばロッキングボールのようなロッキングエレメントを予め備える必要性がない。すなわち、ホルダでは、第1の軸方向開口部と第2の軸方向開口部とが通常位置として軸方向の延長線に対し互いに斜め方向にずれたロック位置に付勢されることにより、第1のカップリングエレメントの第1の軸方向開口部と第2のカップリングエレメントの第2の軸方向開口部がオフセット状態となって、ロック作用を奏する。言い換えると、器具シャフトの接続端部と共に第1の開口部を通じて導かれた医療用器具は、まず、この第1の軸方向開口部を通じて半径方向に固定される。また、軸方向の固定またはロックは、接続端部が第2の開口部も貫通することによって行われる。この場合、第2の開口部は、その内周縁で接続端部の逃げ溝に接触して係合するとともに、器具シャフトを軸方向にロックするように、軸方向に対し斜めにスライドする。上述のロック位置においては、さらに軸方向の遊びが存在する。多くの場合、このような軸方向の遊びは、手動ホルダにおいて、追加的な触覚上の補助作用が得られるため、利用者からも望まれていたことである。その他の場合、例えば頭蓋冠部分の硬い骨を穿孔するための器具では、こうした軸方向の遊隙が必要である。すなわち、器具シャフトの後方に向かって軸方向にスライドした位置においてのみ、ばね荷重に抗して器具を押し付けた場合に、穿孔されるべき頭蓋冠へ駆動装置に誘導された回転が作用するためである。しかしこのスライドされた位置は、頭蓋冠が穿孔されると緩んでばねが回転駆動を止めてドリル装置がニュートラルになる。その結果、ドリル駆動がそのまま継続してしまって頭蓋冠の下にある軟組織部分の損傷または脳の損傷が生じることが防止される。
【0012】
その他の本発明に係るホルダの利点は、第1のカップリングエレメントと第2のカップリングエレメントが結合されて一体的に構成されていることである。この構成によって、ホルダの洗浄および殺菌に際して必要な個別部品および小部品への分解が問題とならない。加えて、特に好ましいホルダ、特にクイックカップリングの構造と形成とにより、互いに一体的に接続した部品間に、適切な洗浄器具を使って巧く到達でき、洗浄および殺菌できる適切な中間スペースを確保できる。こうして例えばロッキングボールのボールベアリング面に関して、中間スペースが、完全に洗浄および殺菌し徹底的に洗浄および殺菌するために十分ではなくなってしまう問題、特に中間スペースが極端に狭くなってしまう問題を回避することができる。
【0013】
クイックカップリングは、全体として一体的に形成することが好ましく、簡単に殺菌可能で、また優先的に手術および処置のために十分な生体適合性を有する材料、特に医療用として使用可能なステンレスのような材料にて形成される。こうした金属の利用(チタンまたはチタン合金のような医療に使用可能なその他の金属も利用可能である)により、比較的薄い材料を用いて、ロック位置の方向に向かって十分な復元力を生み出すスプリングユニットを、第1のカップリングエレメントと第2のカップリングエレメントの一体的な接続に適用する構成が好適である。
【0014】
本発明に係るホルダは、ホルダ内でクイックカップリングに対して器具回転して捩れにくく配置するため、器具シャフトの接続端部における反対構造と共に作用する遮断構造を有する構成が好ましい。この種の構成は、特に、ホルダによって回転力または回転モーメントを、例えばドリルまたは拡孔錐といった医療用器具に伝達しなければならない場合に重要である。この種の遮断構造のために考えられる構成は、第1のカップリングエレメントの外側面における第1の軸方向開口部に臨む前部を有するクイックカップリングにおいて、前部の表面を貫く開口部の互いに対向する側に、サイドカバーを配置する構成である。
【0015】
このサイドカバーは前部の表面から外側に向かって延びており、遮断構造を構成し、互いに平行で対向した平らな接触面を有する。接触面は、器具シャフトの接続端部に形成された反対構造の反対面に倣った形状であり、接触面と反対構造とは互いに対応している。
【0016】
本発明に係るホルダの優先的な構成において、クイックカップリングは基体を有し、この基体には、第1のカップリングエレメントおよび第2のカップリングエレメントが一体に成形されている。その際、基体にはリセス(窪み)が設けられ、このリセスは、一方側が基体の壁によって制限され、またこのリセスに沿って、前記壁が対向する他方側である基体の外側にスプリングユニットが配置され、そしてスプリングユニットに対し角度をつけて傾斜状に第2のカップリングエレメントが配置されている。この構成は、簡単に製造されるための設計オプションであり、同時にホルダ、特にクイックカップリング部分において簡単に洗浄および殺菌が可能であるという要件を満たすことができる。すなわち、リセスが十分に大きく設けられて、基体の壁とスプリングユニットとの間の中間スペースが洗浄器具の挿入のために十分広く確保されていれば、簡単に洗浄および殺菌できる。またリセスは、同じく角部を有する構成が好ましく、特にその延び(形状)において、スプリングユニットの角部のある形状と、このスプリングユニットの角部に対応する角度で延び第2のカップリングエレメントの角部の形状とに基づいて構成可能であ
【0017】
さらに、本発明に係るホルダの有利な設計オプションでは、リセスが雌フランジを有し、第2のカップリングエレメントが雄フランジを有し(当然のことながら、逆の構成、すなわちリセスが雄フランジを有し、カップリングエレメントが雌フランジを有する構成でもよい。)、これら雌フランジ雄フランジとがロック位置で当接することによって、第1のカップリングエレメントに対する第2のカップリングエレメントの相対移動をロック位置で係止して、ロッ位置を超えてしまうことを防止するストッパとして作用する構成が好適である。このようなストッパ作用は、誤った操作を防止し、総じて、本発明に係るホルダの安定性と信頼性とを向上できる。
【0018】
本発明のその他の有利な設計では、スプリングユニットをホルダの外側面に配置でき、このような配置により、ロック位置から解除位置に第2のカップリングエレメントを移動させるため、ホルダの縦軸方向に対し斜めに働く力、具体的にはスプリングユニットの減衰効果により働く力、特に圧縮力を、手動でこのホルダの外側面に作用させることができる。言い換えると、スプリングユニットが「圧力スイッチ」として作用し、これを作動させることにより、第1のカップリングエレメントと第2のカップリングエレメントの相対位置を、ロック位置から解除位置へ移行でき、解除位置においては、ホルダに接続された器具をホルダから解除可能であり、かつ、器具シャフトの接続端部をホルダのクイックカップリングに導入し固定可能である
【0019】
ホルダは、特に回転シャフトを使い手動で作動する構成にしてもよく、この構成では、一方の自由端部にクイックカップリングが配置され、また自由端部とは反対側の他方の端部に、例えばT字型のグリップ部分が配置される。しかし、この種のホルダに限定されておらず、本発明に係るホルダは、その他の形状で手動で操作する設計にしてもよい。例えば軸方向に作する駆動装置、回転駆動する駆動装置を、モータで駆動する器具駆動装置の一部としても実現できる。
【0020】
本発明のその他の構成としては、上述のようなホルダと、ホルダに着脱自在に固定可能な少なくとも一つの医療用器具、特に外科用器具との組み合せも存在する。この医療用器具は接続端部を有する器具シャフトを備え、また、器具シャフトの接続端部に逃げ溝が形成されている。このような組み合せは、ホルダとただ1つの医療用器具とに限定されるものではなく、ホルダと1つまたは複数の医療用器具との組み合わせにしてもよい。
【0021】
このような組み合せにおける好ましい設計医療用器具がその器具シャフトの接続端部自由端部より基端側に、器具シャフトの自由端部から円錐形に広がるように厚くなった部分である接続部を有し、この接続部は、基端部が逃げ溝より大径である。すなわち、接続部は、基端部から自由端部へ向かって漸次小径に形成されている。また、接続部が、逃げ溝の終端部分で、自由端部と対向し、かつ、器具シャフトにおけるより小さな範囲で僅かに低く段差状に形成されるという利点を有する。この円錐形の厚くなった部分(接続部)により、クイックカップリングへの器具シャフトの接続端部をより容易に導入できる。接続部によって、軸方向に向けられた圧縮力が器具シャフトに作用する際、クイックカップリングの第2のカップリングエレメントが、ロック位置から押し出され解除位置へ移動するとともに、第2のカップリングエレメントが、接続部より基端側の逃げ溝に達して、ロック位置でパチンと閉まり、接続端部が固定される
【0022】
回転力または回転モーメントの伝達にとって、上述の医療用器具が、器具シャフトのその接続端部に、反対構造の反対面を構成する平行な平面を有することは有利な構成である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1発明に係る医療用器具、特に外科用器具のためのホルダの一実施の形態におけるクイックカップリングを含む側面からの斜視図である。
図21のホルダにおけるクイックカップリングの側面を示す側面図である。
図31のホルダにおける第1の短辺を示す側面図である。
図41のホルダにおいて、図3に示された短辺とは反対側のその他の短辺を示す側面図である。
図51に示すホルダにおいて、クイックカップリングのカップリング側を拡大して示す正面図である。
図61に示すホルダの縦断面図である。
図71に示すホルダに収容された医療用器具の接続端部を示す部分断面図である。
図8ないしcは、図1示すホルダにおいて、医療用器具の接続端部を導入した際のクイックカップリングを含む構成を拡大した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の一実施の形態について、図面を参照しながら説明する
【0025】
は、完全な設計図とみなすことはできず、むしろ、本発明に係るホルダの設計例の発明上最も重要な特徴や、その他の重要な特徴の図示に限定される。
【0026】
本発明に係る医療用器具、特に外科用器具のためのホルダは、これらの図において様々な(部分)投影図で示され、また全般的に符号1で表示される。
【0027】
この実施の形態のホルダ1は、シャフト部分2を含め細長く成形されている。このシャフト部分2の一方側の端部である前側端部には、クイックカップリング3が形成されている。このクイックカップリング3は、医療用器具の器具シャフトにおいて、逃げ溝を有しホルダに結合可能な接続端部を収容して接続できる。
【0028】
クイックカップリング3は、第1のカップリングエレメントとしての本体26およびその前部4に、ホルダ1の縦軸6に沿って延びる穴状に形成された第1の軸方向開口部としての受入開口部5を有している。クイックカップリング3は、特に一体的に形成されており、2つの平坦な側面7,8を有し、またこれら側面7,8間に短辺9,10を有している。これら側面7,8および短辺9,10はそれぞれ前部4に向かって開くように楔形に延び、短辺9,10は再び先端に向かって細くなる。短辺9,10は、この先端へ向かって細くなる箇所で前部4において突出した2つの雄フランジ11,12を構成する。
【0029】
第2のカップリングエレメントとしてのカップリングプレート13は、クイックカップリング3を構成する一体的な材料にて形成され、リセスとしてのスロット14を介してクイックカップリング3の本体26から離間したスプリングユニット15と一方側で結合している。スロット14の基端で前部4とは反対側の領域では、スプリングユニット15が、クイックカップリング3の本体26と一体的に接続されている。スプリングユニット15は、短辺9の表面上に位置する平坦面16を有し、この平坦面16は、親指を置くための人間工学的エレメントまたは触覚に関係するエレメントとして構成される。反対側の短辺10には、グリップ凹部17,18,19が設けられている。これらグリップ凹部17,18,19は、使用者の親指が平面16で止まるように、手の指、特に人差し指、中指および薬指を配置する。このように手動により、カップリングプレート13の縦スライドを同じ方向に生じさせるために、スプリングユニット15を反対側である短辺10への方向に移動させることができる。カップリングプレート13とスプリングユニット15とは、上述のように、互いに一体的に接続されており、1つの角部を有している。その結果、カップリングプレート13は、基本的に縦軸6に対し垂直に延びるとともに、この縦軸に沿って延びる受入開口部5の穴と平行方向に延びる。カップリングプレート13は、クイックカップリング3内、正確にはその本体26内のスロット14に対して所定の角度で延びる受入スロット27内に配置されている。受入スロット27内では、カップリングプレート13は受入スロット27に沿って動くことができる。受入スロット27とスロット14とは、互いに所定角度を成してL字型のスロットを形成する。
【0030】
カップリングプレート13には、特に図6に示すように、第2の軸方向開口部としての開口部20が形成されている。この開口部20は、その直線上において同じく軸方向、すなわち延長方向を含め縦軸6に平行に延びているが、スプリングユニット15が開始位置または休止位置にある図6に示す状態では、受入開口部5の中心軸を形成するその中心軸21を含めた縦軸6に対し相対的に移動可能である。受入開口部5は、終端部22に至るまでカップリングプレート13が横断する区域を越えて延びている。また、正面図である図5に示すように、受入開口部5からは、互いに変位した中心軸21および縦軸6と、カップリングプレート13の一部とが認識できる。
【0031】
これに加えて図6に示すように、ホルダ1のシャフト部分2に、めくら穴として設計された受け部23が形成されている。これは、本発明に係るホルダ1をその他の構造、例えば回転駆動装置を備えたモータ器具駆動装置の駆動軸と結合する際、または、例えばホルダ1の縦軸方向に対して斜め、すなわち縦軸6に対し斜め、特に縦軸6に対して垂直に設計されたTグリップと結合する際に利用できる。
【0032】
本発明に係るホルダ1のクイックカップリング3は、器具シャフトの接続端部A(図7を参照。)と結合するために構成されている。ここに示された設計および構造では、クイックカップリング3または接続端部Aは、特にいわゆるハドソン(Hudson)・コネクタまたはそれに対応する接続カップリングとして構成されている。
【0033】
ホルダ1のクイックカップリング3と接続端部Aとの接続方法は、図8(a)ないし図8(c)にそれぞれ示されている
【0034】
まず、図8(a)に示す開始状態では、ホルダのクイックカップリング3が、緩和された開始位置または休止位置にあるスプリングユニット15と共に示されている。この位置では、カップリングプレート13内の受入開口部5と開口部20とは、正確な直線状には調整されていない。それどころか、開口部20を制限するカップリングプレート13の部分24は、受入開口部5の領域内に突出し、その限りでは特に受入開口部5の終端部22の上に重なる。部分24では、この拡大図に示すように、カップリングプレート13は、前部4側に位置する開始傾斜部25を備えている。
【0035】
器具シャフトの接続端部Aは、その自由な端部に、直径が先端へ向けて細くなる部分Bとこの部分Bの先端に設けられた接続部Cを有する。また、接続端部Aには、逃げ溝Dが形成される。図8(b)に示すように、接続端部Aが受入開口部5に導入されると、接続部Cがカップリングプレート13の開始傾斜部25に突き当たる。これによって、接続部Cが、上方、すなわち短辺10側へ案内される。スプリングユニット15の弾性と柔軟性とによって、カップリングプレート13はこの短辺10への方向に移動し、その結果、接続部Cが開口部20を通過できる。接続部Cと相互作用する開始傾斜部25の作用は、接続部Cが開口部20を通過可能となる程度に、カップリングプレート13を短辺10の方向にシフトさせるのに十分ではない。そこで、手動により、スプリングユニット15を、スロット14が閉じた状態で反対側である短辺10の方向に押しこむことによって、操作を助長できる。
【0036】
接続部Cがカップリングプレート13内の開口部20を完全に通過し、受入開口部5の終端部22に到達すると、カップリングプレート13は、スプリングユニット15のばねの付勢力によって、その休止位置または開始位置であるロック位置に戻りパチンと係合できる。この状態で、接続端部Aの逃げ溝Dの上にある部分24が、接続端部Aの軸方向、すなわちホルダの縦軸6の方向への移動をロックする。接続端部Aをこのロック状態から解除するには、スプリングユニット15を反対側である短辺10の方向に押し込むことによって、受入開口部5と開口部20とが一直線状に配置されて、接続部Cの通過のための開口部20が露出し接続端部Aを取り外すことができるように、カップリングプレート13をスライドさせる必要がある。
【0037】
上述の実施の形態から、本発明に係るホルダのクイックカップリングが、スプリングユニット15、および、それに対応するロック機能と相互作用する受入開口部5および開口部20の協働によって、更に優先的な一体性によって、簡単に構築されていることが明らかになった。これにより、簡単で丈夫な操作性と、特に使用後の簡単な洗浄可能性および殺菌可能性とを向上できる。なお、上述の実施の形態は、その幅広い範囲において以下の特許請求の範囲で規定されている本発明を制限していない。
【符号の説明】
【0038】
1 ホルダ
2 シャフト部分
3 クイックカップリング
4 前部
第1の軸方向開口部としての受入開口部
6 縦軸
7 側面
8 側面
9 短辺
10 短辺
11 雄フランジ
12 雄フランジ
13 第2のカップリングエレメントとしてのカップリングプレート
14 リセスとしてのスロット
15 スプリングユニット
16 平坦面
17 グリップ凹部
18 グリップ凹部
19 グリップ凹部
20 第2の軸方向開口部としての開口部
21 中心軸
22 終端部
23 受け部
24 部分
25 開始傾斜部
26 第1のカップリングエレメントとしての本体
27 受入スロット
A 接続端部
B 部分
C 接続部
D 逃げ溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8a)】
図8b)】
図8c)】