特許第6074571号(P6074571)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6074571脊柱を安定化させるための低侵襲的方法および装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6074571
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】脊柱を安定化させるための低侵襲的方法および装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/70 20060101AFI20170130BHJP
【FI】
   A61B17/70
【請求項の数】20
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-547484(P2014-547484)
(86)(22)【出願日】2012年12月14日
(65)【公表番号】特表2015-503953(P2015-503953A)
(43)【公表日】2015年2月5日
(86)【国際出願番号】US2012069751
(87)【国際公開番号】WO2013090721
(87)【国際公開日】20130620
【審査請求日】2015年12月14日
(31)【優先権主張番号】61/614,596
(32)【優先日】2012年3月23日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/588,823
(32)【優先日】2012年1月20日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/735,327
(32)【優先日】2012年12月10日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/570,535
(32)【優先日】2011年12月14日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/614,863
(32)【優先日】2012年3月23日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516350123
【氏名又は名称】イノベイティブ・サージカル・デザインズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】INNOVATIVE SURGICAL DESIGNS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン・イー・ラインハート
(72)【発明者】
【氏名】ウェイン・ビームス
(72)【発明者】
【氏名】エド・モリス
【審査官】 毛利 大輔
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2006/0167455(US,A1)
【文献】 米国特許第05800435(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脊柱を安定させるためのインプラントであって、
椎弓根ねじと、
前記椎弓根ねじに多軸的に可動に接続される一方、その縦軸の周りを完全に回転可能である細長部材であって、その長手方向外面の少なくとも一部の上に雄ねじ山を有する、細長部材と、
一部品上側保持器部分と、前記上側保持器部分とは別の一部品下側保持器部分とを有する二部品保持器であって、前記上側保持器部分及び前記下側保持器部分が、それぞれ、各縦軸に沿った、各縦軸の周りの中央貫通通路を有し、各貫通通路が、それを通して前記細長部材全体を受け入れ、前記上側保持器部分と前記下側保持器部分との各々が、また、1つのインプラントを別のインプラントに固着するために用いられるロッドを受け入れるために、それを貫通する、前記細長部材の縦軸に概して垂直に長手方向に位置合わせされた凹型開口部を有し、
前記上側保持器部分が、前記細長部材の前記雄ねじを係合する雌ねじを有し、前記上側保持器が、前記細長部材のその縦軸の周りの回転によって、前記細長部材の長手方向に沿ってかみ合いながら可動であり、
前記上側保持器部分が、前記上側保持器部分と前記下側保持器部分との間のロッドを固定かつ保持するために、前記細長部材に長手方向に沿って、前記下側保持器部分に向かって、かみ合いながら可動であり、それによって、1つのインプラントの別のインプラントへの固定を行う、二部品保持器と、
を備える、前記インプラント。
【請求項2】
前記細長部材が、前記細長部材の長手部分の、規定のねじり力での剪断を行う、離脱リビールをさらに含む、請求項1に記載のインプラント。
【請求項3】
前記離脱リビールが、前記細長部材を貫通する掘削孔であり、前記上側保持器部分と前記下側保持器部分との間のロッドを固定かつ保持するために、前記上側保持器部分を前記下側保持器部分に向かって移動させた後に、前記離脱リビールを大まかに前記上側保持器部分の近位端部に揃えるように、前記細長部材上に配置されている、請求項2に記載のインプラント。
【請求項4】
1つが前記上側保持器部分を貫通し、1つが前記下側保持器部分を貫通する、前記2つの凹型開口部が、1つのインプラントを別のインプラントに固着するために用いられるロッドを受け入れるための、1つの円形のスロットを形成し、前記スロットが、前記細長部材の縦軸に概して垂直に長手方向に位置合わせされており、前記スロットが、前記細長部材の片側にあり、前記細長部材に直接隣接している、請求項1に記載のインプラント。
【請求項5】
前記上側保持器部分及び前記別の下側保持器部分が、それぞれ、それを貫通する2つの凹型開口部を含み、前記4つの凹型開口部が、2つの直径方向に対向する円形スロットを形成し、各スロットが、1つのインプラントを別のインプラントに固着するために用いられるロッドを受け入れ、前記2つのスロットが、その2つのロッド部分を、前記上側保持器部分と前記下側保持器部分との間で固定かつ保持する、請求項1に記載のインプラント。
【請求項6】
各スロットが、前記細長部材の縦軸に概して垂直に長手方向に位置合わせされ、各スロットが、前記細長部材の直径方向に向かい合った側にあり、前記細長部材に直接隣接している、請求項5に記載のインプラント。
【請求項7】
前記2つのロッド部分が、1つのU字形のロッドを形成し、前記1つのU字形のロッドが、複数のインプラントに沿って伸長し、各インプラントが、前記U字形のロッドの2つの隣接するロッド部分を固定かつ保持する、請求項5に記載のインプラント。
【請求項8】
前記下側保持器部分の前記中央貫通通路が、ねじ山を付けられておらず、前記下側保持器部分が前記細長部材上を自由に摺動できるようにし、前記下側保持器部分の遠位外側が、前記中央貫通通路の外周の周りに凹型を有し、前記上側保持器部分と前記下側保持器部分との間のロッドを固定かつ保持するために移動することに際し、圧下されると、前記下側保持器部分に向かい、前記下側保持器部分に対する、前記細長部材に沿った、前記上側保持器部分のかみ合いながらの移動で、前記凹型が、前記椎弓根ねじの頭部と係合的に一致し、該頭部を締め付ける、請求項1に記載のインプラント。
【請求項9】
前記細長部材が、前記細長部材の遠位端に固定的に接続され、前記椎弓根ねじの頭部の凹型くぼみ内に存在するスイベル球をさらに含み、それによって、多軸的に可動な接続を前記細長部材と前記椎弓根ねじとの間で提供する、請求項1に記載のインプラント。
【請求項10】
脊柱を安定させるためのインプラントであって、
椎弓根ねじと、
前記椎弓根ねじに多軸的に可動に接続される一方、その縦軸の周りを完全に摺動可能である細長部材であって、その長手方向外面の少なくとも一部の上に雄ねじ山を有し、その遠位端に固定的に接続され、前記椎弓根ねじの頭部の凹型くぼみ内に存在するスイベル球をさらに含み、それによって、前記多軸的に可動な接続を前記細長部材と前記椎弓根ねじとの間で提供する、細長部材と、
一部品上側保持器部分と、前記上側保持器部分とは別の一部品下側保持器部分とを有する二部品保持器であって、前記上側保持器部分及び前記下側保持器部分が、それぞれ、1つのインプラントを別のインプラントに固着するために用いられるロッドを受け入れるために、それを貫通する、前記細長部材の縦軸に概して垂直に長手方向に位置合わせされた凹型開口部を有し、
前記上側保持器部分が、前記細長部材の前記雄ねじ山を係合する雌ねじを有し、前記上側保持器が、前記細長部材のその縦軸の周りの回転によって、前記細長部材の長手方向に沿ってかみ合いながら可動であり、
前記上側保持器部分が、前記上側保持器部分と前記下側保持器部分との間のロッドを固定かつ保持するために、前記下側保持器部分に向かって可動であり、それによって、1つのインプラントの別のインプラントへの固定を行う、二部品保持器と、
を備える、前記インプラント。
【請求項11】
脊柱を安定させるためのインプラントであって、
椎弓根ねじと、
その遠位端に固定的に接続され、前記椎弓根ねじの頭部の凹型くぼみ内に存在するスイベル球を含む細長部材であって、前記椎弓根ねじに多軸的に可動に接続される一方、その縦軸の周りを完全に回転可能であり、その長手方向外面の少なくとも一部の上に雄ねじ山を有する、細長部材と、
一部品上側保持器部分と、前記上側保持器部分とは別の一部品下側保持器部分とを有する二部品保持器であって、
前記上側保持器部分が、前記細長部材の前記雄ねじ山を係合する雌ねじを有し、前記上側固定具が、前記細長部材のその縦軸の周りの回転によって、前記細長部材の長手方向に沿ってかみ合いながら可動であり、
前記下側保持器部分が、前記下側保持器部分が前記細長部材上を自由に摺動できるようにする、ねじ山のない内部通路を含み、前記下側保持器部分の底面が、くぼんでおり、前記上側保持器部分と前記下側保持器部分との間の2つのロッドを固定かつ保持するために、圧下での、前記上側保持器部分の、前記下側保持器部分に向かい、前記下側保持器部分に対する、かみ合いながらの移動で、前記椎弓根ねじの係合するような形にされた頭部への重複する一致と、該頭部に対する締め付けとを提供して、1つのインプラントの別のインプラントへの固定を行い、
前記上側保持器部分及び前記別の下側保持器部分が、それぞれ、それを貫通する、前記細長部材の縦軸に概して垂直に長手方向に位置合わせされた2つの凹型開口部を含み、前記4つの凹型開口部が、2つの直径方向に対向する円形スロットを形成し、各スロットが、1つのインプラントを別のインプラントに固着するために用いられるロッドを受け入れ、前記2つのスロットが、前記上側保持器部分と前記下側保持器部分との間の2つのロッドを固定かつ保持する、二部品保持器と、
各自由端に弾丸状の先端を有するU字形のロッドであって、前記上側保持器部分と前記別の下側保持器部分とのそれぞれが、それらの間の2つのロッド部分を固定し、保ち、前記弾丸状の先端が、別々の、間隔をあけられた、下側保持器部分と上側保持器部分との間へ、前記U字形のロッドの摺動可能な挿入を行い、1つのインプラントを別のインプラントに固定した時に、力の均衡をもたらす、U字形のロッドと、
を備える、前記インプラント。
【請求項12】
各スロットが、前記細長部材の縦軸に概して垂直に長手方向に位置合わせされ、各スロットが、前記細長部材の直径方向に向かい合った側にあり、前記細長部材に直接隣接している、請求項11に記載のインプラント。
【請求項13】
前記細長部材が、前記細長部材の長手部分の、規定のねじり力での剪断を行う、離脱リビールをさらに含む、請求項11に記載のインプラント。
【請求項14】
前記離脱リビールが、前記細長部材を貫通する掘削孔であり、前記2つのロッド部分を、前記上側保持器部分と前記下側保持器部分との間で固定かつ保持するために、前記上側保持器部分を、前記下側保持器部分に向かって移動させ、前記下側保持器部分に対して締め付けた後に、前記離脱リビールを前記上側保持器部分の近位端部に大まかに位置合わせされるように、前記細長部材上に配置される、請求項13に記載のインプラント。
【請求項15】
脊柱を安定させるためのインプラントキットであって、
1つまたは複数のインプラントであって、各インプラントが請求項11に従う、1つまたは複数のインプラントと、
前記1つまたは複数のインプラントの挿入と有限の所定トルクでの締め付けとを行う、ドライバツールと、
前記1つまたは複数のインプラントと、前記ドライバツールとの、梱包と殺菌とを可能にする、ポリマートレイと、
を備える、前記インプラントキット。
【請求項16】
前記トレイが、前記1つまたは複数のインプラントの各々と、前記ドライバツールとに、個々に合うように成形されている、請求項15に記載のインプラントキット。
【請求項17】
ハイブリッドリーマーと、ケーブルフックと、ガイドケーブルと、ロッドとをさらに備える、請求項15に記載のインプラントキット。
【請求項18】
前記ドライブツールが、ドライバシャフトと、高速開放機構を有するトルクハンドルとを含む、請求項15に記載のインプラントキット。
【請求項19】
脊柱を安定させるためのインプラントであって、
椎弓根ねじと、
前記椎弓根ねじに多軸的に可動に接続される一方、その縦軸の周りを完全に回転可能である細長部材であって、その長手方向外面の少なくとも一部の上に雄ねじ山を有する、細長部材と、
一部品上側保持器部分と、前記上側保持器部分とは別の一部品下側保持器部分とを有する二部品保持器であって、1つのインプラントを別のインプラントに固着するために用いられるロッドを受け入れるために、前記上部保持器部分及び前記下側保持器部分が、それぞれ、それを貫通する、前記細長部材の縦軸に概して垂直に長手方向に位置合わせされた凹型開口部を有し、
前記上側保持器部分が、前記細長部材の前記雄ねじ山を係合する雌ねじを有し、前記上側固定具が、前記細長部材のその縦軸の周りの回転によって、前記細長部材の長手方向に沿ってかみ合いながら可動であり、
前記上側保持器部分が、前記上側保持器部分と前記下側保持器部分との間のロッドを固定かつ保持するために、前記下側保持器部分に向かって可動であり、それによって、1つのインプラントの別のインプラントへの固定を行い、
前記下側保持器部分が、ねじ山のない貫通通路を含み、前記下側保持器部分が前記細長部材の上を自由に摺動できるようにし、前記下側保持器部分の遠位外側が、前記貫通通路の外周の周りに凹型を有し、前記上側保持器部分と前記下側保持器部分との間のロッドを固定かつ保持するために、圧下での、前記上側保持器部分の、前記下側保持器部分に対する、前記細長部材上での、かみ合いながらの移動で、前記凹型が、前記椎弓根ねじの頭部と係合的に一致し、該頭部を締め付ける、二部品保持器と、
を備える、前記インプラント。
【請求項20】
脊柱を安定させるためのインプラントキットであって、
1つまたは複数のインプラントであって、各インプラントが、請求項1または請求項10または請求項19に従う、1つまたは複数のインプラントと、
前記1つまたは複数のインプラントの、挿入と有限の所定トルクでの締め付けとを行う、ドライバツールと、
前記1つまたは複数のインプラントと前記ドライバツールとの、梱包と消毒とを可能にするトレイと、
を備える、前記インプラントキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連発明)
本出願は、2011年12月14日出願の「Minimally Invasive System and Method for Stabilizing the Spinal Column」と題される米国仮出願第61/570,535号、2012年1月20日出願の「Disposable Kit for Minimally Invasive Spine Surgery」と題される米国仮出願第61/588,823号、2012年3月23日出願の「Construct for Stabilization of Spinal Column」と題される米国仮出願第61/614,596号、2012年3月23日出願の「Automatic Instrument and Kit for Spinal Surgery」と題される米国仮出願第61/614,863号、および2012年12月10日出願の「Implants for Stabilizing the Spinal Column」と題される米国仮出願第61/735,327号の優先権の利益を主張する。上記に特定した関連出願は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本発明は、概して矯正脊髄手順およびインプラントに関し、より具体的には、脊柱を安定化させるための低侵襲的方法、インプラント、および機器システムに関する。
【背景技術】
【0003】
脊椎固定術は、1つ以上の椎骨が合体されて椎骨間の動きが低減されるという外科技術である。固定術は、脊髄奇形、脊髄狭窄症、および脊髄すべり症を含むいくつもの脊髄疾患を治療するために活用される。固定術の成功の見込みを最大化するために、脊柱を安定化させ、骨の治癒に役立てるための器具類が内副子としてしばしば用いられる。これらの器具類システムは典型的に、椎弓根の中へと挿入され、アンカーとして機能するねじを活用する。これらのアンカーは次にロッドと組み合わされて脊柱の各側面を安定化させる。多くの椎弓根ねじシステムは複雑であり、いくつもの器具類を活用してねじをアンカー固定し、ロッドを所定の位置に固着する。本明細書に記載の器具類システムおよび方法は、この複雑さを最小化し、最終ユーザへの手術時間を低減する。
【0004】
この種類のインプラントの先行する実施形態は、ねじ上に付けたチューリップヘッド型の設計を活用してきた。これらの実施形態では、安定化ロッドがチューリップヘッドの中へと挿入され、ロックキャップで所定の位置へとロックされた。これらのチューリップヘッドおよびねじの実施形態は典型的に多軸的な動きを包含し、外科医に個別の患者の脊髄の生体構造に合わせてロッドを曲げる柔軟性を与える。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、脊柱を安定化させるためのインプラントおよび機器の独自かつ新たな方法を提供する。一態様では、本発明のインプラントは、椎弓根ねじ、保持器、および細長部材を含む。本態様において、本発明の方法、インプラント、および機器は、ユーザがインプラントを1つの部材として挿入することを可能にするように設計されることができる。
【0006】
本発明の一実施形態では、脊柱を安定化させるためのインプラントは、その近位端部に椎弓根ヘッドを持つ椎弓根ねじを含む。細長部材は、椎弓根ヘッドに固着して接続され、椎弓根ヘッドから近位に、椎弓根ねじから離れて伸長する。細長部材は、その長手方向の外縁の少なくとも一部分にわたって雄ねじ山を有する。また、保持器であって、細長部材にわたって自在に摺動可能であることを提供する、ねじ山を付けられていない内部通路を有する保持器が含まれる。この保持器は、1つのインプラントを別のものに固着するために用いられるロッドを受容するための、それを通る開口部を有する。最後に、ねじ山を付けられた内部通路を有するロックナットが、細長部材の雄ねじ山と係合する。細長部材に遠位に沿った、かつ保持器に対抗するロックナット長手方向の螺動は、保持器と椎弓根ヘッドとの間でロッドを固定および保持し、それにより1つのインプラントを別のものに固着することを提供する。
【0007】
保持器を貫通する開口部は、1つのインプラントを別のものに固着するために用いられるロッドを受容するためのスロットを形成するように構成されることができる。スロットは、インプラントの長手方向軸に概して垂直に、長手方向に保持器内に整列されることができ、このスロットは、細長部材の片側に、かつ細長部材に直接隣接して存在する。別の実施形態では、保持器は、それを通る2つの、直径方向に向かい合った開口部を含むことができ、この2つの開口部は2つの直径方向に向かい合ったスロットを形成し、それぞれのスロットが、1つのインプラントを別のものに固着するために用いられるロッドを受容するように構成される。この2つのスロットは、2つのロッド部分が保持器と椎弓根ヘッドとの間に固定されかつ保持されることを提供する。この別の実施形態では、それぞれのスロットもまた、インプラントの長手方向軸に概して垂直に、長手方向に整列されることができ、それぞれのスロットが、細長部材の直径方向に向かい合った側面上にあり、かつ細長部材に直接隣接する。
【0008】
さらなる実施形態では、細長部材は、規定のねじり力で細長部材の長手部分の剪断を提供する離脱リビール(break-away reveal)を含む。離脱リビールは、細長部材の中の切込み、穴、または貫通穴であることができる。離脱リビールは、保持器と椎弓根ヘッドとの間でロッドを固定および保持するために、ロックナットが保持器に向かって移動した後に、離脱リビールがロックナットの近位端部と概して整列するように細長部材の上に配置されることができる。
【0009】
代替的な実施形態では、細長部材は、椎弓根ねじの近位端部の中のくぼみ内に、または細長部材の遠位端部の中に、逆ねじ用ねじ山を含むことができる。細長部材の遠位端部、または椎弓根ねじの近位端部は、各々のくぼみと係合可能なねじを含む。逆ねじ用ねじ山はそれにより、椎弓根ねじをさらに椎骨の中へと駆動することなく、ロックナットドライバツールがロックナットを椎弓根ねじのヘッドに対して締めるための逆トルクをインプラントに提供することを可能にする。
【0010】
別の実施形態では、ロックナットは、インプラント挿入の間にロックピンの遠位先端を受容するためのくぼみを含む。ロックピンは、駆動ツール内におよび細長部材に沿って長手方向に位置決めされることができる。ロックナットが細長部材を旋回すること、および細長部材に関連することを防ぐ。これは、椎弓根ねじを椎骨の中へと駆動するために、インプラントにトルクを移動するために駆動ツールがインプラントと係合したとき、ロックナットが保持器に対して早く締まり過ぎることを防ぐ。
【0011】
本発明のさらなる実施形態は、細長部材と椎弓根ねじとの間に多軸的な動きを提供する。これは、細長部材の遠位端部に、または椎弓根ねじの近位端部に、各々のカウンタソケット継手とともにスイベル球が提供されることによって達成されることができる。スイベル球および継手は、細長部材が椎弓根ねじのヘッド内に間接接合することを可能にする。さらなる実施形態はまた、2ピース型の保持器(上部および下部保持器部分)をも含む。上部および下部保持器部分は、その間に1つまたは2つのロッドを固着かつ固定することができる。2つのロッドの実施形態は、代わりに1つの部材のU字型のロッドであってもよい。U字型のロッドは、構造全体のよりよい生体力学的な平衡を可能にする。
【0012】
したがって、一実施形態では、脊柱を安定化させるためのインプラントは、椎弓根ねじおよび細長部材、ならびに上部および下部保持器部分を有する保持器を含む。細長部材は、椎弓根ねじに多軸的に可動に接続され、その長手方向の外縁の少なくとも一部分にわたって雄ねじ山を有する。上部保持器部分および下部保持器部分はそれぞれ、1つのインプラントを別のものに固着するために用いられるロッドを受容するための、それらを通る凹型開口部を有する。上部保持器部分は、その長手方向軸を中心とした細長部材の回転によって細長部材の長手方向に沿って螺動するために、細長部材の雄ねじ山と係合するための雌ねじ山が付けられることができる。上部保持器部分はそれにより、1つのインプラントの別のものへの固着を提供するために、下部保持器部分に向かって移動して、上部保持器部分と下部保持器部分との間でロッドを固定および保持する。
【0013】
別の実施形態では、細長部材は、規定のねじり力で細長部材の長手部分の剪断を提供する離脱リビールを含む。離脱リビールはやはり細長部材の中の切込み、穴、または貫通穴であることができる。離脱リビールはまた、上部保持器部分がロッドをその間に固定および保持するために、下部保持器部分に向かって移動した後に、離脱リビールが上部保持器部分の近位端部と概して整列するように細長部材の上に配置されることができる。
【0014】
さらなる実施形態では、細長部材は、その遠位端部に固着して接続されるスイベル球を含む。スイベル球は、椎弓根ねじのヘッドの凹型くぼみ内にあり、それにより細長部材と椎弓根ねじとの間に多軸的に可動の接続を供給する。スイベル球は、椎弓根ねじのヘッドにねじ接続され、溶接され、および/または圧入されるスイベルコネクタヘッドによって椎弓根ねじのヘッドの凹型くぼみ内に可動に固定されることができる。これは、細長部材と椎弓根ねじとの間に多軸的に可動の接続を提供する。ねじ山を付けられている場合、スイベルコネクタヘッドの雌ねじ山は、椎弓根ねじのヘッドの雄ねじ山と係合することができる。
【0015】
また別の実施形態では、上部および下部保持器部分を貫通する凹型開口部は、1つのインプラントを別のものに固着するために用いられるロッドを受容するためのスロットを形成することができる。スロットは、インプラントの長手方向軸に概して垂直に、長手方向に整列されることができ、スロットは、細長部材の片側に、かつ細長部材に直接隣接することができる。代替的に、上部および下部保持器部分はそれぞれ、それらを通る2つの、直径方向に向かい合った凹型開口部を有し、2つの直径方向に向かい合ったスロットを形成し、それぞれのスロットが1つのインプラントを別のものに固着するために用いられるロッドを受容するように構成される。2つのスロットは、2つのロッド部分が上部保持器部分と下部保持器部分との間に固定かつ保持されることを提供する。2つのロッド(または2つのロッド部分)について2つのスロットが提供される場合、それぞれのスロットは、インプラントの長手方向軸に概して垂直に、長手方向に整列されることができ、それぞれのスロットが細長部材の直径方向に向かい合った側に、かつ細長部材に直接隣接して存在する。
【0016】
2つのロッド(または2つのロッド部分)について、2つのスロットが上部および下部部分内に共に提供される場合、2つのロッド部分(インプラントの所の)は、むしろ、1つの、U字型のロッドであってもよい。1つの、U字型のロッドは、複数のインプラントに沿って伸長することができ、それぞれのインプラントがU字型のロッドの2つの隣接するロッド部分を固定かつ保持する。1つの、U字型のロッドは、複数のインプラントの各々の端部に配置されたU字形のベンドを有することができる。
【0017】
またさらなる実施形態では、インプラントはまた、保持ピンを含む。保持ピンは、下部保持器部分と螺合可能であり、近位に伸長し、かつ細長部材に対して長手方向に平行である。保持ピンは、上部保持器部分の中の貫通穴を通り抜けることができる。
【0018】
別の実施形態では、下部保持器部分は、下部保持器部分が細長部材にわたって自在に摺動可能であることを提供する、ねじ山を付けられていない内部通路を有してもよい。下部保持器部分の裏面は、上部保持器部分が下部保持器部分に向かい、これらの間にロッドを固定かつ保持するために移動することに際し、圧下されると、椎弓根ねじの係合するような形状のヘッドに対してはめ合わせおよび締めを提供するために凹面であることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明は、図面と組み合わせてなされる以下の記載を参照してより良く理解されよう。図示を目的として、図面の中には本発明のとある実施形態が示される。図面の中において、全般にわたり、同様の数字は同様の要素を指す。しかしながら、本発明は正確な配列、寸法、および示される器具に制限されないことが理解されるものとする。
【0020】
図1A-1D】本発明の一実施形態に従う、インプラントおよび脊柱を安定化させるためのシステムを横断面で図示したものである。
図2A-2C】本発明の態様に従う、脊柱を安定化させる方法を実施する間に用いられる器具を図示(図2Aは分解図)したものである。
図3】本発明の別の実施形態に従う、脊柱を安定化させるためのインプラントを横断面で図示したものである。
図4】本発明の別の実施形態に従う、脊柱を安定化させるためのシステムを透視図で図示したものであり、本システムは、安定化ロッドがそれらの間に挿入された本発明の2つのインプラントを含む。
図5図4に示される脊柱を安定化させるためのシステムを代替的な透視図で図示したものであり、本システムは、本発明の2つのインプラントであって、それらの間に固定される安定化ロッドと共に挿入された後のインプラントを含む。
図6図4に示される脊柱を安定化させるためのインプラントの一部分を横断面で図示したものである。
図7A-7D】本発明のまた別の実施形態に従う、インプラントおよび脊柱を安定化させるためのシステムを横断面で図示したものである。
図8A-8B】本発明に従う、使い捨て医療器具およびインプラントを収納するためのキットの透視図、垂直断面図を各々図示したものである。
図9】本発明に従う、脊椎の手術において用いられるインプラントおよび椎弓根ねじを駆動および締めるために用いられる自動機器、およびそのコンポーネントを図示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1A図1Dを参照して、脊柱を安定化させるためのインプラント1が示される。インプラント1は、椎弓根ねじ10(下部ねじ山付きシャフト部分)、受容器/保持器50、ねじ山を付けられた細長部材40、およびロックナット60を含む。インプラント1の細長部材40は、完全な構成(椎弓根ねじ10のねじ山を付けられたシャフト、保持器50、細長部材40、およびロックナット60)が1つの部材として椎弓根の中へと打ち込まれ、および細長部材40が椎弓根ねじ10と保持器50との間でロッド90を保持するために、ロックナット60を締めるための力を加えることを可能にするように、様々に理解され得る。
【0022】
インプラント1に関して、下部ねじシャフト部分(椎弓根ねじ)10は、椎骨の中へとねじ込まれることに適合する。椎弓根ねじ10と逆方向に椎弓根ねじ10の近位端部から突き出た細長部材40は、雄ねじ山を含む。細長部材40の雄ねじ山は、ロックナット6との螺合を提供し、保持器50を椎弓根ねじの近位ヘッド10に固定するために、ロックナット6が所定の位置へと締められることを可能にする。椎弓根ねじの近位ヘッド10に対する保持器50の固定が、ロッド90をそれらの間に保持する。
【0023】
本実施形態では、保持器50は、保持器が細長部材にわたって自在に摺動可能であることを提供する、ねじ山を付けられていない内部通路を有する1つの部材であることができる。保持器50の遠位端部の少なくとも一部分は、円形、曲面、または凹面であってもよく、それらの間にロッド90を固定および保持するための、ロックナット60による椎弓根ねじのヘッドに向かう保持器50の移動に際し、圧下されると、椎弓根ねじのヘッドの係合するような形状の近位端部に対して、はめ合わせおよび締めを提供する。保持器50は、ロッド90を受容するための貫通スロットを有することができる。スロットの内側の少なくとも一部分は、圧下されるとロッド90をはめ合わせるように、曲面または円形であってもよい。スロットは、インプラントの長手方向軸に概して垂直に、長手方向に整列されることができ、スロットは細長部材および椎弓根のヘッドの片側に、かつ細長部材および椎弓根のヘッドに直接隣接して存在することができる。
【0024】
細長部材40は、離脱リビール20(図1B)をさらに含むことができ、または代替的には、逆ねじ30を含むことができる。離脱リビール20または逆ねじ30は、挿入および脊柱安定化後に、細長部材40の一部分の除去を提供する。細長部材が離脱特性20を含む実施形態では、細長部材40は、椎弓根ねじ10のねじ山と一致する標準的なねじ山を有する、ねじ山を付けられた外側部分を含むことができる。
【0025】
インプラント1の挿入中、駆動ツール95からインプラント1の椎弓根ねじ10へとトルクを移動するために、ロックナット60が保持器50に対して早く締まり過ぎることを防ぐために、ロックピン70が用いられることができる。ロックピン70は、駆動ツール95内に長手方向に、細長部材40に沿って、その遠位先端がロックナット60の中のくぼみの中へと挿入されて位置決めされることができる(図1Bを参照)。このように位置決めされたロックピン70は、椎弓根ねじ10を椎骨の中へと駆動するために、インプラントにトルクを移動するために、駆動ツール95がロックナット60の外縁と係合したとき、ロックナット60が細長部材40上を旋回すること、および細長部材40に関連することを防ぐ。椎弓根ねじ10の椎骨の中への挿入後、離脱リビール20は、細長部材40の一部分が、とあるトルク下で椎弓根ねじ1から剪断されることを可能にし、細長部材40を低姿勢にする。剪断された低姿勢な細長部材40は、椎弓根ねじ10と保持器50との間でロッド90を保持するためにロックナット60が締められた後(図1Bを参照)、ロックナット60の近位端部に近い高さであることができる。
【0026】
細長部材40の中の離脱リビール20は、その中の切込み、または、穴または貫通穴であることができる。切込みの場合は種々の形状が可能であるが、好ましくはV字切込みである。穴または貫通穴の場合、横断面が種々の形状であることが可能であるが、離脱リビール20には楕円形の貫通穴が好ましい構成である。
【0027】
代替的に、細長部材40は、離脱リビール20ではなく逆ねじ30(図1Dを参照)を含んでもよい。逆ねじ30は、椎弓根ねじ10の近位端部の中にくぼみを伴うことができ、このくぼみは雌逆ねじを含む。細長部材40の遠位端部は、椎弓根ねじ10のくぼみ内の係合のために、はめ合う雄ねじ山部分を含んでもよい。雌逆ねじは、ロックナットドライバツール11(図2Aを参照)が椎弓根ねじ10を椎骨の中へとさらに駆動することなく、ロックナット60が椎弓根ねじのヘッド10に対して締められることができるように、逆トルクを提供することを可能にする。逆ねじはロックナット60を椎弓根ねじのヘッド10に対して締めるために利用されるため、この代替的な実施形態は必ずしもロックピン70を用いる必要があるわけではない。しかしながら、駆動ツール91から椎弓根ねじ10へとトルクを移動するために、ロックピン70はやはり所望され得る。
【0028】
図2A図2Cを参照して、駆動ツール91は、簡易着脱機構97を持つドライバシャフト93およびトルクハンドル94を含む。駆動ツール91(具体的にはトルクハンドル94)は、インプラント1が有限のトルク仕様まで締められることができることを提供する。トルクハンドル94に関連付けられる簡易着脱機構97は、トルクハンドル94がドライバシャフト93から解除されることを可能にする。駆動ツール91上のドライバシャフト93は平滑な外側部材および下位部分からなることができ、下位部分は細長部材40の雄ねじ山とはめ合うための逆雌ねじを持つくぼみを有する。ロックピン70が用いられるかどうかに依存して、駆動ツール91は、ロックピン70の挿入を提供する内部空洞を要しても要しなくてもよい。
【0029】
別の実施形態では、ドライバシャフト93は、椎弓根ねじのヘッド10の外部の外縁と係合するために、内部機械的ドライバ設計(例えば、6角形)を有する遠位先端を持つ中空であってもよい。簡易着脱機構97の遠位端部にある内部くぼみもまた、細長部材40の近位端部と係合するために、機械的ドライバ設計(例えば、6角形、逆ねじ)を有してもよい。ドライバシャフト93は、その遠位先端が椎弓根ねじのヘッドと係合し、簡易着脱機構97の遠位端部にあるくぼみが細長部材40の近位端部に取り付けられる(例えば、螺合される)ように、細長部材40に渡って摺動してもよい。本実施形態では、ドライバシャフト93は、ドライバシャフト93による椎弓根ねじのヘッドの駆動(旋回)を促進するレバーアームと、細長部材40の駆動または旋回をより有限のトルク仕様まで促進するトルクハンドルとを有する。ドライバシャフト93の本実施形態は、細長部材140、240が椎弓根ねじ110、210のヘッド219に関連して回転可動な、図3図7の本発明のインプラントの実施形態を用いたときにも好都合である。
【0030】
椎弓根ねじ10の椎骨の中への挿入後、および脊柱を安定化させるため、複数個の椎弓根ねじ10を互いに関連して固着するためにロッド90が用いられる。ロッド90は、一方または両方の端部にねじ山を付けられた外側部分を持つ硬い金属材料からなることができる(図1Bおよび図2Aを参照)。案内ケーブル80は、ロッド90を引いてそれぞれのインプラント1の保持器50を貫通させるために利用される。案内ケーブル80をロッド90に取り付けるために、ロッド90は、案内ケーブル80の外側部分上の雄ねじ山と係合する雌ねじ山を持つ内側の空洞を含むことができる。案内ケーブル80は代替的に、ロッド90の側面の穴を通って引き入れられ、ロッド90の隣接する端部の穴内で引っかかる、案内ケーブル80の端部の結び目または球によってロッド90に取り付けられてもよい。金属からなることができるケーブルフック96(図2Cを参照)は、案内ケーブル80がそれぞれの保持器50を貫通した後に、1つ前の保持器50から次の保持器50へと脊柱に沿って案内ケーブル80を引くために、案内ケーブル80をとらえるために用いられる。
【0031】
図2Bを参照して、突出した、尖った先端を含むことができるハイブリッドリーマ95は、手順の最初に用いられることができる。他の椎弓根ねじシステムでは、それぞれの椎骨をリーマのために準備するために、尖った先端を持つ針状ピンがまず椎骨の中へと挿入される。リーマツール(reamer tool)が次に、開口部を椎弓根ねじのために準備するために、椎骨開口部を拡張するために挿入されることになる。本発明では、針状ピンおよびリーマは組み合わされて、いま1つの都合のよいステップのために、穿刺されていない椎骨の椎弓根ねじ10のための準備に用いられるハイブリッドリーマ95を形成する。
【0032】
本発明の方法は、いくつもの脊髄疾患の治療のための、脊柱の固着において用いられる。初めに、ハイブリッドリーマ95が椎骨の中へと挿入され、インプラント1の椎弓根ねじ10の挿入のためにその椎弓根を準備する。インプラント1は椎骨の各側面上の椎弓根の中へと、かつおそらく脊柱のいくつもの椎骨の中へと、それぞれが互いに相対距離で挿入される。一態様では、駆動ツール91は、それぞれのインプラント1を椎骨の椎弓根の中へと駆動する力を加えるために、細長部材40のねじ山を付けられた部分を利用する。ロックピン70は、駆動ツール91からのトルク力をインプラント1に移動するために用いられることができ、それによりロックナット60のインプラント1の保持器50に対する不用意な締めを防ぐ。別の態様では、駆動ツール91の中空ドライバシャフト93は、細長部材40にわたって摺動し、ドライバシャフト93の遠位先端にある内部機械的設計(例えば、6角形の)が、椎弓根ねじのヘッドの(ロックピン70を用いる場合はまたはロックナット60の)外縁と係合して、それぞれのインプラント1への力を椎弓根の中へと加える。
【0033】
それぞれの椎弓根ねじ10をそれぞれの椎弓根の中の適切な深さに挿入した後、ロッド90をそれぞれの保持器50に通すために、案内ケーブル80、ロッド90、およびケーブルフック96が用いられる。保持器50は、案内ケーブル80およびそれを通るロッド90が通ることを可能にするために、そこにより大きい開口部が存在するように、初めはきつく締められない。案内ケーブル80およびロッド90の第1の保持器50を貫通した設置の後、ケーブルフック96は次に、案内ケーブル80およびロッド90を引いて後続の保持器を貫通させるために、案内ケーブル80を引っかける。ロッド90が各々の保持器50内に適切に設置された後、案内ケーブル80はロッド90の端部から取り外される。
【0034】
次に、用いられている場合は、ロックピン70が駆動ツール91から解除される。方法の次のステップは、細長部材40が離脱リビール20を使用するか、または逆ねじ30を使用するかに依存する。細長部材40が離脱リビール20を有する場合、ロックピン70を除去することは、次に保持器を椎弓根ねじのヘッド10に対して保持かつ固定するために、駆動ツール91が保持器に対してロックナット60を締めることを可能にし、それにより保持器50内で、およびインプラント1の椎弓根ねじのヘッド10に対してロッド90を固定かつ保持する。したがって、ロックナット60が締められるにつれて、ロックナット60を細長部材40に沿って移動し、ロックナット60が保持器50内でロッド90を椎弓根ねじのヘッド10に対して動かないように留め、ロッド90を所定の位置に固着する。駆動ツール91は除去され、器具は次に、離脱リビール20で細長部材40の一部分を剪断するために用いられることができる。
【0035】
細長部材40が逆ねじ30を有する場合、駆動ツール91からインプラント1の椎弓根ねじ10へとトルクを移動させるために、ロックピン70が用いられても、用いられなくてもよい。用いられる場合、ロックピン70を除去した後、ロックナットドライバツール92が細長部材40の近位のくぼみの中へと挿入される(図2Aを参照)。細長部材40の遠位端部は、椎弓根ねじ10のくぼみ内で係合するための、はめ合わせ雄ねじ山部分を含んでもよい。雌逆ねじは、椎弓根ねじ10を椎骨の中へとさらに駆動することなく、ロックナット60が椎弓根ねじのヘッド10に対して締められることができるように、ロックナットドライバツール11が逆トルクを提供することを可能にする。先と同じく、ロックナット60が締められるにつれて、ロックナット60がロッド90を椎弓根ねじ10および保持器50に対して動かないように留め、ロッド90を所定の位置に固着する。
【0036】
上記のステップを完了した後、この手順は椎骨の反対側の椎弓根に対して繰り返され、また隣接する各々の椎骨について繰り返される。安定化に際して、骨の治癒に役立て、手順を完了するために、生物学的製剤が適用されることができる。
【0037】
図3図6は、脊柱を安定化させるためのインプラント100の代替的な実施形態の態様を図示したものである。図3は、雄ねじ山が付けられている細長部材140、離脱リビール120、2ピース型の保持器(上部保持器151および下部保持器152)、スイベルコネクタヘッド161、スイベル球165(本実施形態では細長部材140の遠位端部に固着して接続される)、および椎弓根ねじ110を含む、インプラント100の一実施形態の横断面を図示したものである。椎弓根ねじ110は、椎骨の椎弓根における使用に適した、雄ねじ山を持つ標準的な椎弓根ねじであることができる。椎弓根ねじ110の近位端部(椎弓根ねじのヘッド110)は、スイベル球165を収納するための凹型の内部くぼみを含む。スイベル球165はそれにより、椎弓根ねじのヘッド内で自由に回転することができ、スイベル球165はまた、細長部材140の椎弓根ねじ110に関連した多軸的な動きを可能にする。
【0038】
図3の実施形態では、雄ねじ山が付けられている細長部材140は、規定のトルクレベルでの剪断を可能にする離脱リビール120を含む。離脱リビールは、下部保持器152に対する締めおよびロッドの固着後に、上部保持器151の近位端部と概して整列するように位置決めされることができる。椎弓根ねじのヘッド110の凹型領域の中へのスイベル球165の設置に際し、スイベルコネクタヘッド161は、スイベルコネクタヘッド161がスイベル球165(およびねじ山を付けられた細長部材140)を所定の位置に可動に保持するように、ねじ山を付けられかつ椎弓根ねじのヘッド110上に溶接される。
【0039】
図4は、椎骨への挿入、ロッド保持、ならびに細長部材140の逆トルクおよび離脱リビール120での剪断に先立つインプラント100を示す、脊椎の安定化のための2つのインプラントの実施形態100を図示したものである。図3の実施形態とともに詳述されるように、雄ねじ山が付けられている細長部材140の遠位端部は、スイベルコネクタヘッド161によって椎弓根ねじのヘッド110内の所定の位置に収容されたスイベル球165を含む。椎弓根ねじのヘッド110内のくぼみは、スイベル球165がその中で自由に回転し得るように、凹形状(スイベル球165に形状が類似する)を有する。この設計は、細長部材140に多軸的な動きおよび椎弓根ねじ110に関連する完全な回転を提供する。
【0040】
本実施形態では、雌ねじ山が付けられている上部保持器151は、その長手方向軸に関連した細長部材140の回転(および椎弓根ねじのヘッド110内のスイベル球165の類似の回転)により、細長部材140を上下に螺動することができる。本実施形態における1つの利点は、上部保持器151が通されるとき、下部保持器152の上の離れた細長部材140上に、上部保持器151と、下部保持器152と、保持ピン175との間に、所望される場合、案内ロッド装置172による助けを受けて、外科医がそれを通してロッド190を通過させるための大きな領域が作成されることである。
【0041】
本実施形態では、概して凹型の(または、あるいは半円の)スロットが、ロッド190を設置するために、上部保持器151および下部保持器152のそれぞれの中に含まれることができる。ロッド190は、本実施形態では、細長部材140の片側に、かつ細長部材に直接隣接して、インプラント100の長手方向軸に概して垂直に位置づけられる。代替的に、上部および下部保持器151、152は、それらの間に2つのロッド190であって、それぞれがインプラント100の長手方向軸に概して垂直に、細長部材140の各側面上に1つ、かつ細長部材140に直接隣接して存在する、2つのロッドの設置を提供することができる。
【0042】
ロッド190が細長部材140、上部保持器151、下部保持器152、および保持ピン175によって作成された領域を通過した後、外科医は細長部材140を回転して上部保持器151を下部保持器152に向かって移動することができ、次にロッド190を上部保持器152と下部保持器152との間に固定する。
【0043】
図5は概して、最終的な、ロッド190がロックされた位置(上部保持器151と下部保持器152との間)にあり、保持ピン175が除去されているが、逆トルクおよび離脱リビール120の配置での細長部材140の近位部分の剪断除去に先立つ、図4のインプラント100を図示したものである。完了に際して、インプラント100およびロッド190は、脊柱を安定化させるシステムを提供する。
【0044】
図6は、最終的な、ロッド190がロックされた位置にある(上部保持器151と下部保持器152との間にロッド190が保持されている)図4の実施形態のインプラント100の横断面を図示したものである。保持ピン175は下部保持器152に挿入され、かつ螺着される。図6はまた、細長部材140の雄ねじ山の遠位端部に配置されるスイベル球165をも示し、スイベル球165は、スイベルコネクタヘッド161によって椎弓根ねじのヘッド110内の所定の位置に収容される。上記で詳述したように、椎弓根ねじのヘッド110内のくぼみは、スイベル球165がその中で自由に回転し得るように、凹形状(スイベル球165に形状が類似する)を有し、細長部材140に多軸的な動きおよび椎弓根ねじ110に関連する完全な回転を提供する。上部保持器151および細長部材140と係合する駆動ツール191も示される。
【0045】
図7A図7Dは、脊柱を安定化させるためのインプラント200の別の実施形態の態様を図示したものである。図7Aは、インプラント200の横断面を図示したものであり、雄ねじ山が付けられている細長部材240、2つの部材としての保持器(上部保持器251および下部保持器252)、スイベルコネクタヘッド261(または椎弓根ねじキャップ)、スイベル球265(本実施形態では細長部材240の遠位端部に固着して接続される)、および椎弓根ねじ210を示す。椎弓根ねじ110は、椎骨の椎弓根における使用に適した、雄ねじ山を持つ標準的な椎弓根ねじであることができる。椎弓根ねじ110の近位端部(椎弓根ねじのヘッド110または椎弓根ねじ球ソケット219)は、スイベル球265を収納するための凹型の内部くぼみを含む。スイベル球265はそれにより、椎弓根ねじのヘッド(椎弓根ねじ球ソケット219)内で自由に回転することができ、スイベル球265はまた、細長部材240の椎弓根ねじ210に関連した多軸的な動きを可能にする。
【0046】
やはり横断面である図7Bは、雄ねじ山が付けられている細長部材240が、規定のねじり力での剪断を可能にする離脱リビール220をも含むことができることを図示したものである。離脱リビール220は、下部保持器252に対する締めおよび単数または複数のロッド290の固着後に、上部保持器251の近位端部と概して整列するように位置決めされることができる。椎弓根ねじ球ソケット219の中へのスイベル球265の設置に際し、スイベルコネクタヘッド(椎弓根ねじキャップ261)は、スイベルコネクタヘッド261がスイベル球265(およびねじ山を付けられた細長部材240)を所定の位置可動に保持するように、ねじ山を付けられかつ椎弓根ねじ球ソケット219上に溶接される。
【0047】
図4図6の実施形態について、下部保持器252および上部保持器251が単数または複数のロッド290を締める役割をし、脊柱の固着を提供する。下部保持器252および上部保持器251は、それらの中に単数または複数のロッド290を収納するための凹空洞を有する。図7A図7Dのインプラント200の実施形態は、しかしながら、上部および下部保持器251、252を含み、それらの間に2つのロッド290の設置を提供し、それぞれのロッド290がインプラント200の長手方向軸に概して垂直に整列される凹空洞の中に収納され、1つの空洞が細長部材240の各側面上に、かつ細長部材240に直接隣接する。
【0048】
図7C図7Dに示されるように、上部保持器251および下部保持器252は、2つのロッド290を保持するように構成されるが、隣接して挿入されるインプラント200は、1つの、U字型のロッド290を保持することができ、このロッドは、U字形のベンド299をその端部に有する。上部保持器251および下部保持器252の凹空洞は、所定の位置にいったん締められると、保持器251、252がU字型のロッド290をそれらの間の所定の位置にロックするような公差とされる。U字型のロッド290は、全体のインプラント200のすべてにわたり力を平衡するように構成される。U字型のロッド290は、遊離端部のそれぞれの上に弾丸状の先端を有し、および各々のもう一方の端部にU字形のベンド299を有する。U字型のロッド290の弾丸状の先端は、下部保持器252と上部保持器251との間に摺動可能に挿入するように構成される。
【0049】
本実施形態では、下部保持器252は、下部保持器252が細長部材240にわたって自由に摺動できるように、ねじ山を付けられていない内部通路を有することができる。追加的に、下部保持器252の裏面は、圧下されると係合するような形状の椎弓根ねじキャップ261に対するはめ合わせおよび締めを提供するために凹面である。上部保持器251は、雄ねじ山が付けられている細長部材240を螺合するためのねじ山を付けられた内部通路を有する。締めの間、上部保持器251の雌ねじ山および細長部材240の雄ねじ山は、U字型のロッド290および椎弓根ねじキャップ261の上端に対して下部保持器252および上部保持器251を締めるための圧下を共に提供する。圧下後、上部保持器251は、離脱リビール220に近位の細長部材240の一部分を分けるため、ねじり力が細長部材240の中の離脱リビール220の剪断閾値を超過するまでさらに締められる。
【0050】
図3図7の本発明のインプラント100、200の実施形態について、駆動ツール91は、簡易着脱機構97を持つドライバシャフト93およびトルクハンドル94を含む。駆動ツール91は、インプラント100、200が有限のトルク仕様まで締められることができることを提供する。トルクハンドル94に関連付けられる簡易着脱機構97は、トルクハンドル94がドライバシャフト93から解除されることを可能にする。ドライバシャフト93は、椎弓根ねじ110、210のヘッド219の外部の外縁と係合するために、内部機械的ドライバ設計(例えば、6角形)を有する遠位先端を持つ中空である。簡易着脱機構97の遠位端部にある内部くぼみもまた、細長部材140、240の近位端部と係合するために、機械的ドライバ設計(例えば、6角形、逆ねじ)を有してもよい。中空ドライバシャフト93は、細長部材140、240にわたって摺動し、それらの遠位先端が椎弓根ねじのヘッドと係合するようにする。次に、簡易着脱機構97の遠位端部にあるくぼみは、細長部材40の近位端部に取り付けられる(例えば、螺合される)。本実施形態の駆動ツール91ではドライバシャフト93はレバーアームを有して椎弓根ねじ110、210のヘッド219のドライバシャフト93による駆動(旋回)を促進し、およびトルクハンドル94が細長部材140、240の駆動または旋回を促進する。ここで、トルクハンドル94は、上部保持器部分151、251を、それらの間にロッド190、290を固定および固着するために、下部保持器部分152、252に向かって遠位に摺動するために、細長部材140、240を回転させてもよい。上部保持器部分151、251の下部保持器部分152、252に対する最終的な締めとして、別の中空ドライバシャフト93は、ロッド190、290を固着および固定するために、そこへのトルクを特異的に加えるために、上部保持器部分151、251の外部の外縁(または上端)と係合するための内部機械的ドライバ設計(例えば、6角形、のこぎり状)を有する遠位先端を有することができる。
【0051】
図8Aおよび図8Bは、器具を容れるためのポリマー蓋とともに、使い捨て医療器具およびインプラントを収納するための溶接されたポリマートレイ(キット)の透視図、および垂直断面図を各々図示している。このトレイは、インプラントおよび器具を外科的に用いるために滅菌するために、および次に開封および使用に先立つ再汚染を防ぐために、器具およびインプラントを密閉するために、ガンマ線滅菌がトレイに入ることを可能にするために、ポリマーで作られていることができる。このキットは、本明細書に詳述した任意の器具およびインプラントの一群にまたは任意の医療器具およびインプラントに概して合うように溶接されることができる。図8Aおよび図8Bは、器具およびインプラントを収納するための単一の概して開口した空洞を有するトレイを示しているが、別の実施形態は、それぞれの器具およびインプラントに特異的に合うように、特注の大きさの溶接された空洞を有することができる。
【0052】
図9は、脊椎の手術において用いられる自動機器の構成要素を図示したものである。自動機器は、本発明に含まれる椎弓根ねじ、および詳述されるおよびインプラントなどの、脊椎の手術において用いられるインプラントおよび椎弓根ねじを駆動および締めるように特異的に校正および調整された電子モータ310(高トルク/低トルク)を含む。モータ310は、モータ310のギアを制御および変更するためのスイッチ320およびマイクロプロセッサ320を含む。低トルク設定は、本発明のインプラント上に保持器を締めるための中速の毎分回転数、低トルク駆動機能をもたらす。高トルク設定は、各々の細長部材の上に配置された離脱リビールで本発明のインプラントの細長部材の一部分を剪断/離脱する、低速の毎分回転数、高トルク駆動機能をもたらす。自動機器はさらに、1回限り使用される、末端で滅菌されるデバイスであることができる。バッテリパック340は、電子モータ310、スイッチ330、およびマイクロプロセッサ320に電力を供給することができる。自動機器は、所望される通りに、関連するインプラントおよび機器とともに1式のキットとして梱包され、かつ滅菌の現場において1回限り使用されるために滅菌されることができる。
【0053】
再び図3を参照して、本発明のインプラントの一実施形態を横断面で図示しており、図9の自動機器との使用に適した構成の例を1つだけ提供する。上記で詳述したように、インプラント100は、離脱リビール120、上部保持器151、下部保持器152、スイベルコネクタヘッド161、スイベル球165、および椎弓根ねじ110を有するねじ山を付けられた細長部材140を含む。離脱リビール120は、規定のトルクレベルでの細長部材140の一部分の剪断を提供する。自動機器は、その規定のトルクレベルを提供する。
【0054】
現在、ほぼすべての椎弓根ねじは、ある種のトルク制限ハンドルを用いて、椎骨内で手動によって規定の限度まで締められ、およびトルクが与えられている。図3のインプラント100などの、本発明のとある実施形態の多軸的可動性は、椎弓根のヘッド内でのスイベル球165の可動性に由来し、椎弓根ねじ110の椎骨の中への駆動は、好ましくは、概して椎弓根のヘッド(または、本実施形態では、より具体的にスイベルコネクタヘッド165の外縁上)での駆動ツール接続を用いて実施される。図9の自動ドライバは、最終ユーザに締めおよびトルクを与える機能を提供する。この自動機器は、既存のすべて手動のツールである外科用機器からの実質的な改良である。
【0055】
本発明のこれらおよび他の利点は、前述の仕様から当業者には明白となろう。したがって、変更および変形が広範な発明的概念を逸脱することなく上述の実施形態になされ得ることは当業者には認識されよう。例えば、実施形態に含まれるとして上記で詳述されたとある特異的な特徴は、交換可能であり、場合により他の詳述された実施形態の中に含まれると認識される。任意の特定の実施形態の特異的な様相は、説明のみを目的として記載される。よって、本発明が、本明細書に記載の特定の実施形態に制限されず、本発明の範囲および精神の範囲内であるすべての変更および変形を含むことが意図されるということ理解されるべきである。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7A-7D】
図8A
図8B
図9