特許第6074580号(P6074580)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6074580
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】光イメージング用プローブ
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20170130BHJP
【FI】
   A61B1/00 300D
   A61B1/00 300T
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-555869(P2015-555869)
(86)(22)【出願日】2014年12月23日
(86)【国際出願番号】JP2014084003
(87)【国際公開番号】WO2015102081
(87)【国際公開日】20150709
【審査請求日】2016年10月31日
(31)【優先権主張番号】特願2014-642(P2014-642)
(32)【優先日】2014年1月6日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000240477
【氏名又は名称】並木精密宝石株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山崎 大志
(72)【発明者】
【氏名】福島 絵理
(72)【発明者】
【氏名】久郷 智之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 徳和
(72)【発明者】
【氏名】越川 貴之
(72)【発明者】
【氏名】岡本 千尋
(72)【発明者】
【氏名】淺田 隆文
【審査官】 右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009-523581(JP,A)
【文献】 特開2011-240155(JP,A)
【文献】 特開2013-22414(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端側に入射した光を後方側へ導く光イメージング用プローブにおいて、
回転不能に配置され略チューブ状のカテーテルに内蔵された固定側光ファイバーと、
前記固定側光ファイバーの先端側に位置し、第1モータにより回転駆動させられ、光線を回転中心に対して角度を傾けて前方に回転放射する第1光路変換手段と、
前記固定側光ファイバーと、前記第1光路変換手段の間に位置し、回転光コネクターにより光学的に接続され、第2モータにより回転駆動される回転側光ファイバーと、
前記回転側光ファイバーの先端側に、回転中心に対して光路を微小角度傾けて回転放射し、光線を前記第1光路手段に照射する第2光路変換手段を、略同一線上に配置し、
光線を前記固定側光ファイバーから、前記回転光コネクター、前記第2光路変換手段、前記第1光路変換手段の順に透過させ、前方に放射させることを特徴とする光イメージング用プローブ。
【請求項2】
前記第1モータの回転軸は中空形状であり、第1光路変換手段が固定されると共に、中空穴に前記回転側光ファイバーが回転自在に貫通すると共に、
前記第2モータの回転軸も中空形状であり、この穴に前記回転側光ファイバーを固定して回転させることを特徴とする請求項1記載の光イメージング用プローブ。
【請求項3】
前記第1光路変換手段は回転可能なプリズムであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の光イメージング用プローブ。
【請求項4】
前記第2光路変換手段は先端に傾斜する略平面を有するプリズムであることを特徴とする請求項1から3何れか1項記載の光イメージングプローブ。
【請求項5】
前記第1モータの回転角に応じて少なくとも1回転に1回以上のパルスを発生する第1パルス発生手段と、前記第2モータの回転角に応じて少なくとも1回転に1回以上のパルスを発生する第2パルス発生手段を有し、第1及び第2のパルス発生手段からのパルスにより第1及び第2モータの回転速度を調整する制御手段を有し、第1モータの回転速度N1と第2モータの回転速度N2の関係を、N2=N1−X[回転/秒]で回転させることで、第1光路変換手段からN1[回転/秒]の回転速度で前方に放出させる共に、X[往復/秒]の速度で光線の回転中心に対する放出角を変化させることを特徴とする請求項1から4何れか1項記載の光イメージング用プローブ。
【請求項6】
前記第2光路変換手段は、集光レンズと第1プリズムと第2プリズムとを、略一直線上に配置したことを特徴とする請求項1から5何れか1項記載の光イメージングプローブ。
【請求項7】
前記第1光路変換手段の回転可能なプリズムの略平面と、前記第2光路変換手段のプリズム先端傾斜する略平面とが非平行である請求項1から6何れか1項記載の光イメージングプローブ。
【請求項8】
前記第2光路変換手段は略半球形状の一部に略平面の反射面を有するボールレンズであることを特徴とする請求項1から7何れか1項記載の光イメージングプローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置機械等において被検体で反射させた光を立体的に取り込んで観察するための3次元走査型の光イメージング用プローブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像診断技術(光イメージング技術)は、装置機械、医療などの現場において広く利用されている技術である。例えば、精密機器などの製造現場において、深穴の奥部の検査や画像診断の手法として、一般的なカメラ観察や超音波診断装置に加えて、断層画像や3次元断層画像を撮影する事が可能なX線CT、核磁気共鳴、光の干渉性を利用したOCT画像(光干渉断層撮影)などの方式が研究されると共に活用されている。近年、この断層画像や3次元断層画像撮影は、これら方式の中でも最も微細な撮影画像が得られるOCT画像診断技術の開発が、特に注目されている。
【0003】
OCT画像は光源として波長1300nm(ナノメートル)程度の近赤外線光、又は波長400nm程度のレーザ光を用いる事が多いが、いずれの光線も超音波よりも波長が短いために空間分解能に優れ、断層撮影方式を内視鏡に組込む事で、およそ10μm(ミクロン)以下[超音波診断装置の10分の1以下]の優れた空間分解能が達成できる。
【0004】
また、光源として近赤外線は生体に対して非侵襲性であり、特に医療現場で人体の胃部、小腸部、動脈流等の血管部における患部の発見、診断及び治療への活用が期待されている。これら装置機械用および医療用のOCT画像技術を適用したOCT内視鏡の代表的な構造は、例えば、特許文献1に示されている通りである。
【0005】
ところで、特許文献1に示すOCT内視鏡では、該文献中図8に示すようにモータの回転力を、ベルトを介して回転シャフトに伝達し、さらにチューブ状の光学シース内を通る光ファイバー等からなるフレキシブルシャフトを介してレンズユニットへ伝達するようにしている。そのため、光学シースの内周面とフキシブルシャフトとの擦れにより摩耗粉が発生する事があった。また、前記フレキシブルシャフトの擦れ、撓み、ねじれ、及び前記ベルトの弾性変形等に起因して、回転速度ムラや、回転伝達遅れ、トルク損失の変動等を生じるために、得られるOCT解析画像が乱れ、要求される空間分解能が得られなかった。また、この構成では文献中図26に示す2次元の断層画像は得られるが3次元の画像は得る事ができなかった。
【0006】
また、特許文献2に示すOCT内視鏡では、該文献中図1に示される環状のガイドカテーテルの内部に細長のチューブ状のカテーテルが挿入され、カテーテル内部には、回転および摺動可能で光学的に接続された光ファイバーまたはコアを有し、前記光ファイバーを回転させると共に、文献中図3に示すように長さ方向に移動させて身体組織に照射を行い、OCT解析画像を観察する3次元画像システムである。しかしながらこの構成では、カテーテルの内周面と駆動軸外周面との擦れにより摩耗粉が発生する問題があった。また、駆動軸の擦れ、撓み、ねじれ、に起因して、回転速度ムラや、回転伝達遅れ、トルク損失の変動等を生じるため、得られる解析画像が乱れ、要求される空間分解能が得られなかった。
【0007】
また、特許文献3に記載される発明では、該文献中図2に示されるモータの回転軸の先端に反射鏡を直結するようにしている。しかしながら、この構成では回転する反射鏡を用いて2次元の断層画像は得られるが、3次元の画像は得る事ができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】日本特許第3885114号公報
【特許文献2】日本特許第4520993号公報
【特許文献3】日本特許第4461216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記従来事情に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、回転伝達遅れやトルク損失等の発生を軽減することで、光線を回転放射する回転機構の回転ムラや軸振れ、擦れ、回転伝達遅れを防ぐとともに、回転方向だけでなく前方方向に一定範囲の3次元の走査と立体観察画像を得ることができ、これらの課題が同時に解決できる3次元走査型光イメージング用プローブを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための一手段は、先端側に入射した光を後方側へ導く光イメージング用プローブにおいて、回転不能に配置され略チューブ状のカテーテルに内蔵された固定側光ファイバーと、前記固定側光ファイバーの先端側に位置し、第1モータにより回転駆動させられ、光線を回転中心に対して角度を傾けて前方に回転放射する第1光路変換手段と、前記固定側光ファイバーと、前記第1光路変換手段の間に位置し、回転光コネクターにより光学的に接続され、第2モータにより回転駆動される回転側光ファイバーと、前記回転側光ファイバーの先端側に、回転中心に対して光路を微小角度傾けて回転放射し、光線を前記第1光路手段に向けて照射する第2光路変換手段を略同一線上に配置し、第1光路変換手段と第2光路変換手段の2個モータの回転数を制御することで光線の放射角度を変化させ、光線を前方の3次元領域に放射することにより、高画質な立体観察画像を得るものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、内視鏡装置等のカテーテル内で光ファイバーが擦れることがなく、回転伝達遅れやトルク損失等の発生が軽減される。更に第1光路変換手段と第2光路変換手段のそれぞれが独立して回転することで光線を前方の3次元領域に放射が行え、近赤外光又はレーザ光等を用いるOCT内視鏡において空間分解能が高い3次元の観察画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る光イメージング用プローブの断面図
図2】同光イメージング用プローブの第1モータのパルス発生部説明図
図3】同光イメージング用プローブの第2モータのパルス発生部説明図
図4】同光イメージング用プローブの動作説明図
図5】同光イメージング用プローブの動作説明図
図6】同光イメージング用プローブの動作説明図
図7】同光イメージング用プローブの放射範囲説明図
図8】同光イメージング用プローブの3次元走査範囲説明図
図9】同光イメージング用プローブを用いたガイドカテーテル説明図
図10】同光イメージング用プローブを用いた内視鏡画像装置構成図
図11】同光イメージング用プローブの動作タイミングチャ−ト
図12】同光イメージング用プローブの深穴走査説明図
図13】同光イメージング用プローブの第2モータ断面図
図14】同光イメージング用プローブの第2光路変換手段変形応用例説明図
図15】同光イメージング用プローブの第2光路変換手段変形応用例説明図
【発明を実施するための形態】
【0013】
本実施の形態の光イメージング用プローブの第1の特徴は、先端側に入射した光を後方側へ導く光イメージング用プローブにおいて、回転不能に配置され略チューブ状のカテーテルに内蔵された固定側光ファイバーと、前記固定側光ファイバーの先端側に位置し、第1モータにより回転駆動させられ、光線を回転中心に対して角度を傾けて前方に回転放射する第1光路変換手段と、前記固定側光ファイバーと、前記第1光路変換手段の間に位置し、回転光コネクターにより光学的に接続され、第2モータにより回転駆動される回転側光ファイバーと、前記回転側光ファイバーの先端側に、回転中心に対して光路を微小角度傾けて回転放射し、光線を前記第1光路手段に照射する第2光路変換手段を、略同一線上に配置し、光線を固定側光ファイバーから、回転光コネクター、第2光路変換手段、第1光路変換手段の順に透過させ、前方に放射させるよう構成した。
この構成によれば、内視鏡装置等のカテーテル内で光ファイバーが擦れることがなく、回転伝達遅れやトルク損失等の発生が軽減される。更に第1光路変換手段と第2光路変換手段のそれぞれが独立して回転することで光線を前方の3次元領域に放射が行え、近赤外光又はレーザ光等を用いるOCT内視鏡において空間分解能が高い3次元の観察画像を得ることができる。
【0014】
第2の特徴としては、前記第1モータの回転軸は中空形状であり、第1光路変換手段が回転軸に固定され回転すると共に、中空穴に前記回転側光ファイバーが回転自在に貫通し、前記第2モータの回転軸も中空形状であり、この穴に前記回転側光ファイバーを固定して回転させている。
この構成によれば、第1光路変換手段の後方に第1モータ及び第2モータを配置できるので、前方へ放射される光線がモータやモータの電線が障害にならずに放射できるため、広範囲で陰の無い前方の3次元走査が可能である。
【0015】
第3の特徴としては、前記第1光路変換手段は回転可能なプリズムで構成している。
この構成によれば、光線が第1光路変換手段を透過するとともに、広範囲な前方の3次元走査が可能である。
【0016】
第4の特徴としては、前記第2光路変換手段は先端に傾斜する略平面を有するプリズムで構成している。
この構成により、光線が第2光路変換手段により集光され、かつ透過し、さらに回転中心に対して光路を微小角度傾けて回転放射することができる。
【0017】
第5の特徴としては、前記第1モータの回転角に応じて少なくとも1回転に1回以上のパルスを発生する第1パルス発生手段と、前記第2モータの回転角に応じて少なくとも1回転に1回以上のパルスを発生する第2パルス発生手段を有し、第1及び第2のパルス発生手段からのパルスにより第1及び第2モータの回転速度を調整する制御手段を有し、第1モータの回転速度N1と第2モータの回転速度N2の関係を、N2=N1−X[回転/秒]で回転させることで、第1光路変換手段からN1[回転/秒]の回転速度で前方に放出させる共に、X[往復/秒]の速度で光線の回転中心に対する放出角を変化させている。
この構成によれば、第1光路変換手段、及び第2光路変換手段の回転角度の組合せにより、光線を前方の広範囲に放射することができる。
【0018】
第6の特徴としては、前記第2光路変換手段は集光レンズ、第1プリズム、第2プリズムを略一直線上に配置している。
この構成により前記第2光路変換手段は広い角度範囲に光線を放射することができる。
【0019】
第7の特徴としては、前記第1光路変換手段は回転可能なプリズムと前記第2光路変換手段のプリズム先端に傾斜する略平面が非並行に構成した。
非並行であることにより、光路の減衰が防止でき分解能が高い良好な3次元画像が得られる。
【0020】
第8の特徴としては、前記第2光路変換手段は先端に傾斜する略球面を有するプリズムであるか、または略半球形状の一部に略平面の反射面を有するボールレンズにしている。
この構成により、装置がコンパクトに構成できる。
【0021】
次に本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。
【実施例】
【0022】
本発明に関わる3次元走査型光イメージング用プローブの実施形態について説明する。
【0023】
図1図3は本発明に係る光イメージング用プローブの実施形態を示している。
図1は本発明の実施の形態に係る3次元走査型光イメージング用プローブの断面図であり、プローブの後端側から先端側に光線を導く固定側光ファイバー1は十分に長いチューブ状のカテーテル6の内部の略中心に挿通されている。
【0024】
固定側光ファイバー1の先端側には回転側光ファイバー2が回転自在に設けられている。回転側光ファイバー2の先端には、例えば略円柱状の透明体の両面を非平行な略平面でカットした形状のプリズム等からなる第1光路変換手段3(図中では、位置によって3a又は3bで指示している。)が第1モータ12により回転側光ファイバー2とは独立して回転自在に取り付けられ、第1光路変換手段3が回転する事で、光線を例えば図中軸線に対しθ1+θ2の角度を付けて前方に回転放射するよう構成している。
【0025】
また、回転側光ファイバー2の先端には、固定側光ファイバー1を透過してきた光線を集光して回転しながら軸線に対し微小の角度(θ1)を付けて第1光路変換手段3に向けて回転放射する第2光路変換手段20が取り付けられている。図1において第2光路変換手段20は円錐状の集光レンズ20cとプリズム20aを組み合わせて形成されている。
【0026】
回転側光ファイバー2と固定側光ファイバー1は5μm(ミクロン)程度の微小距離を隔てて対向し、回転する遮光板5、光ファイバー固定具4を含めて回転光コネクター22を構成している。回転側光ファイバー2と固定側光ファイバー1の端面は平滑に加工されており、回転側光ファイバー2と固定側光ファイバー1の間は高い透過率が維持でき、ほとんど損失なく光学的に接続されている。
【0027】
第1モータ12はカテーテル6内に内蔵され、ロータ磁石11が取り付けられ、第1軸受9a、9bに支えられた中空回転軸10が回転する。第1モータ12には電線23を通してモータコイル7に電圧が印加され、中空回転軸10のホルダー部10aには前記第1光路変換手段3が取り付けられ回転させている。
【0028】
第2モータ19は、第2軸受18a、18bに支えられた第2回転軸13が可振子14の略中心に開けられた穴に軽圧入され、可振子14の弾性またはバネ性により第2回転軸13との間で安定した摩擦力が発生している。第2モータ19の第2回転軸13は回転側光ファイバー2を中心穴に固定しており、配線された電線17を通してパターン電極16と電歪素子15に電圧が印加され、第2光路変換手段20を回転させる。可振子14はモータケース8に対し回り止めがされており、最も簡単な構造の場合は電線17が回り止めの機能を果たす。
【0029】
第1モータ12には、図2に示す、回転部材25aと固定部材25bからなる第1パルス発生手段25が設けられ、同様に第2モータ19には、図3に示す回転部材24aと固定部材24bからなる第2パルス発生手段24が設けられ、それぞれ第1及び第2モータの回転に応じて1回転当たり1回、または複数回のパルス信号を発生している。これらパルスの発生原理は、誘起コイルやホール素子等の磁気センサー、または、光学的シャッターと光センサーによる光学センサー等が用いられる。
【0030】
図1において、光線が放射される第1光路変換手段3の前方には必要に応じて光線が透過可能な透光部材21がカテーテル6に取り付けられている。透光部材21には必要に応じて略球面部21aが形成されており、この球面部21aは必要によりその肉厚は一定ではなくレンズの機能を持たせるため厚さを変化させている。透光部材21は透明な樹脂やガラス等で作られ、必要に応じて表面反射を減らし、光線の全反射を最小に押さえ透過率を高めるためのコーティング等が施されている。
【0031】
図9において、ガイドカテーテル82の先端観察部84にCCDカメラ部83が取り付けられると共に、鉗子チャネルと呼ばれる貫通穴81に、チューブ状のカテーテル6が挿入されている。
【0032】
図1の第1モータ12には図10に示す内視鏡画像装置構成図において、モータドライバ回路86から電力が供給されて回転駆動され、第2モータ19は第2モータドライバ回路87から電圧が印加されて回転駆動される。また、第1モータ12は第1パルス発生手段25からのパルス信号により回転速度を調整し、第2モータ19は第2パルス発生手段24からのパルス信号により回転速度を事前に設定された数値に合わせることができる。
【0033】
次に上述した図1図3の3次元走査型の光イメージング用プローブについて、その特徴的な作用効果を詳細に説明する。
【0034】
図10において本体85内の光源から発光された近赤外またはレーザ等の光線はガイドカテーテル82内のカテーテル6の中の固定側光ファイバー1の中を通過して進む。
【0035】
光線は、固定側光ファイバー1から⇒回転光コネクター22を通過して、回転側光ファイバー2⇒第2光路変換手段2⇒第1光路変換手段3aに放射される。近赤外線の光線はさらに透光部21を通過し、被検査体の表皮から2〜5ミリメートル程度まで透過し、そこから反射した光線を上記と同じ光路を逆方向に透光部21⇒第1光路変換手段3a⇒第2光路変換手段20a⇒回転側光ファイバー2⇒回転光コネクター22⇒固定側光ファイバー1を通過して光干渉解析部88に導いている。
【0036】
図12においては被検体26の深穴27の奥部において光線を放射することで、表面層27aの厚さや内部欠陥の有無を立体画像で観察している。
【0037】
図1において電線23から電力が供給され、第1モータ12が約1800〜2万rpmの範囲の一定速度で回転するが、固定側光ファイバー1から導かれた光線は回転光コネクター22と回転側光ファイバー2を通過し、第2光路変換手段20aから放出され、第1光路変換手段3aの略平面部で反射し一定の角度方向(図1においては矢印に示す下向きのθ1+θ2の角度)に方向を変えて回転放射される。この時、第1モータ12の第1パルス発生手段24の角度α1=0度、第2モータ22の第2パルス発生手段24の角度も0度であり、これら2つの角度の位相差を(α1−α2)で表すと0度になっている。
この状態では、光線の放射方向は軸線に対して大きく曲げられており、放射角度は、(θ1+θ2)の下向きになる。
【0038】
次に、図4に示すように、第1光路変換手段3と第2光路変換手段20が同じ回転速度で回転し、図1とは180度反対側の図中3bと20bの位置に変わると、第2光路変換手段20bから放出され、第1光路変換手段3bの略平面部で反射し一定の角度方向(図4においては矢印に示す上向きのθ1+θ2の角度)に方向を変えて回転放射される。この時、第1モータ12の第1パルス発生手段24の角度α1=180度、第2モータ22の第2パルス発生手段24の角度も180度であり、これら2つの角度の位相差(α1−α2)は図4と同じで有り、0度になっている。この状態では、光線の放射方向は軸線に対して大きく曲げられており、放射角度は、(θ1+θ2)の上方向になる。
【0039】
図4において、第1光路変換手段3bの略平面部の角度Qと、第2光路変換手段20のプリズム20d表面の角度Sは、決して平行面にはせず例えば5度以上の角度を持たせている。これがもし平行面になると光線が全反射し得られるOCD画像が悪化する場合があるからである。第1および第2光路変換手段の回転角度の位相差(α1−α2)が0度の状態で第1および第2光路変換手段が平行でないように設計しておけば、いかなる状態においても、第1および第2光路変換手段の間は平行になる心配が無く、良好な画像が得られる。
【0040】
次に図5は、第1光路変換手段3aと第2光路変換手段20aの回転速度を異ならせることにより、位相角度が変わった場合の状態を図示している。
図5において、第2光路変換手段20bから軸線に対して角度をもって放出された光線は、第1光路変換手段3aの略平面部で反射し逆の角度方向に方向を戻し、その結果光線はほぼ軸線上を軸線とほぼ平行に回転放射される。この時、第1モータ12の第1パルス発生手段24の角度α1=0度、第2モータ22の第2パルス発生手段24の角度は回転に遅れが生じて−180度であり、これら2つの角度の位相差(α1−α2)は+180度になっている。この状態では、光線の放射角度は、(θ1+θ2)≒0度になる。
【0041】
次に図6は、図5の状態から第1光路変換手段3aと第2光路変換手段20aが同じ回転数で180度反対に位置まで回転した状態を図示している。
図6において、第2光路変換手段20aから軸線に対して角度をもって放出された光線は、第1光路変換手段3bの略平面部で反射し逆の角度方向に方向を戻し、その結果光線はほぼ軸線上を軸線とほぼ並行に回転放射される。この時、第1モータ12の第1パルス発生手段24の角度α1=180度、第2モータ22の第2パルス発生手段24の角度は回転に遅れが生じて0度であり、これら2つの角度の位相差(α1−α2)は+180度になっている。この状態においても光線の放射角度は、図6と同様に(θ1+θ2)≒0度になる。
【0042】
図7は、図1から図6を用いて説明した回転位相角(α1−α2)と、光線の前方への放射方向を図示したものである。第1モータ12の第1パルス発生手段24の角度α1と、第2モータ22の第2パルス発生手段24の角度α2の角度の位相差(α1−α2)によって照射方向が変化し、光線は前方に向けて抜けなく、図中半径Rに示される範囲に放射される。
【0043】
図8は光線の放射範囲を立体的に表した図である。光線はカテーテル6の前方Lの所で焦点が合うようピントが調整されているため、図中半径Rの範囲で、角度(θ1+θ2)に示す略円錐状に放射され、3次元的に被検体を走査している。
【0044】
近赤外線またはレーザ等の光線はさらに図1の透光部21を通過し、被検体表から2〜5mm(ミリメートル)程度まで透過し、そこから反射した光線を透光部21⇒第1光路変換手段3⇒第2光路変換手段20⇒回転側光ファイバー2⇒回転光コネクター22⇒固定側光ファイバー1を通過して光干渉解析部88に導いている。
【0045】
図11は、光発明イメージング用プローブの第1モータ12と第2モータ19の発生パルスタイミングチャ−トであり、図中上側の線図は第1モータ12の第1パルス発生手段25からの発生パルス、図中下側の線図は第2モータ19の第2パルス発生手段24の発生パルスを示し、横軸は時間軸を示している。
図中Stand byに示す時間帯は、第1モータ12と第2モータ19が同一の回転数で回転しながら走査開始信号を待っている状態である。
【0046】
次に、イメージング用プローブの取扱い者の操作によりStart信号が出されると、それと同時に、第1モータ12は、例えばNパルス/秒に表される速度(例えば30回転/秒)で回転し被検体のOCT観察画像データをコンピュータ89に蓄積し始める。
【0047】
これと同時に第2モータ19は、例えば(N−1)パルス/秒(例えば29回転/秒)の速度で回転するため、図11に示すように放射角度はθ1からθ2まで0.5秒で変化し、1秒後には再度θ1の角度に戻り、光線の3次元放射を完了する。
【0048】
この場合、コンピュータは放射角度がθ1〜θ2に往復する時間内に計2回(2回で1セット)の3次元データを取り込み、欠落のない鮮明な3次元のOCT診断画像を得る。データの取り込みと蓄積が行えた時点で、第1モータ12と第2モータ19は再びStand by状態になり、次のStart信号を待ちながら回転を行う。
【0049】
本発明の3次元走査用OCTプローブのより一層実用的な使い方は、例えば、第1段階は長い血管内に本発明のOCTプローブが送り込まれて行き、この場合、第1モータ12と第2モータ19が同一の回転数で回転しながら本発明のOCTプローブは2次元の360度走査を行い続け、モニタ90に表示された2次元画像から人体内血管近傍の患部の位置を特定する。
【0050】
2次元画像の取り込みは図2の第1パルス発生手段25、25a、25bからのパルス信号をトリガーにして行われコンピュータ処理によりモニタ90上に表示される。
次に第2段階ではOCTプローブの押し引きを中止し、カテーテル6を静止させ、第2モータ19に、例えば(N−1)パルス/秒(例えば29回転/秒)の速度で回転さえて光線の3次元放射を行い、OCT装置はモニタ90に分解能の高い3次元画像を表示する事ができ、患部の詳しい観察を行うものである。
【0051】
3次元画像の取り込みは第1パルス発生手段25、25a、25bからのパルス信号と、図3に示す第2パルス発生手段24、24a、24bからのパルス信号の両方が同時に出された瞬間をトリガーにしてコンピュータ89に取り込まれモニタ90上に表示される。
【0052】
第3段階は、更に本発明のOCTプローブを他の端部へ移動させるものであり、この場合も第1モータ12と第2モータ19が同一の回転数で回転しながら本発明のOCTプローブは2次元の360度全周に渡る走査を行い続け、モニタ90に2次元のOCT画像を表示する。
【0053】
本実施形態では、カテーテル6の後方から先端までの全長に渡る内部で固定側光ファイバー1は、長いカテーテル6の中で回転させないので擦れる事がなく、回転伝達遅れやトルク損失等の発生を防止できる。また、回転側光ファイバー2も中空回転軸1の穴の中で回転自在に配置されており、摺動損失がないので、モータ12の回転ムラは大変少ない。回転速度の性能は一般的な評価尺度では、回転角度をパーセントで表すのであるが、本発明においては0.01%の高性能が達成できている。
【0054】
一方、従来の光ファイバーが擦れる方式の内視鏡プローブの回転ムラは、その約100倍以上の悪い性能しか得られていなかった。
【0055】
図12は、本発明光イメージング用プローブの深穴走査説明図である。
装置機械において、被検体26に深穴27があり、さらにそれら表面が表面層28で覆われている場合等に、カテーテル6は深穴に進入し走査範囲29において、表面層28の被膜厚さの測定、及び内部組織の立体観察、内部欠陥の有無の観察等が行える。
【0056】
図13は、光イメージング用プローブの第2モータ19の断面図である。
カテーテル6の内部の可振子14とモータケース8の間には十分な空間があり、この空間に電線23と電線17が配置されている。このようにして第1モータ12、第2モータ19の配線はスペース効率良く、コンパクトに行える。
【0057】
図14は、同光イメージング用プローブの第2光路変換手段変形応用例説明図であり、前記第2光路変換手段120は先端に傾斜する略球面120aを有するプリズムである。
この構成によれば、第2光路変換手段120が十分に高い光線の透過率と集光性能を発揮することができ、コンパクトで空間分解能が高い3次元の観察画像を得ることができる。
【0058】
図15は、同光イメージング用プローブの第2光路変換手段変形応用例説明図であり、第2光路変換手段220は、集光レンズ220c、第1プリズム220d、第2プリズム220eから構成され、円筒状のカバー220fに納められている。
この構成によれば、第2光路変換手段220は、光線を十分に大きい角度に傾ける事が可能であり、広範囲な3次元の観察画像を得ることができる。
【0059】
図10のOCT3次元操作画像診断装置において最も重要な要求性能は3次元画像を得ること、及び3次元画像の空間分解能を高める事であるが、空間分解能を達成するための要因には、モータ12の回転速度ムラ、中空回転軸10の振れ精度、第1光路変換素子3と、第2光路変換手段20の精度および表面粗さ等がある。
【0060】
この中で影響度が大きいのはモータ12の回転速度ムラであるため、先端部にモータ12を内蔵し、光路変換素子を高精度で、かつ回転速度ムラなく回転させる本発明の内視鏡プローブではたとえば10ミクロン以下の高い3次元の空間分解能を安定して達成できている。
【0061】
本発明によれば、内視鏡装置等のカテーテル内で光ファイバーが相対的な回転をさせないので擦れる事がなく、回転伝達遅れやトルク損失等の発生を軽減され、10ミクロン以下の高い空間分解能で鮮明なOCT解析画像が得られ、また、第2光路変換手段の厚さを意図的に変える事で、光線を軸方向に一定範囲で放射できるため3次元の観察画像を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の3次元走査型光イメージング用プローブは、長いチューブ内の光ファイバーを回転させることなく、チューブの先端近傍にモータで速度ムラなく回転する光路変換手段を設けて高精度な回転走査機構を有する事により、OCT画像診断装置の基本性能である空間分解能をおよそ10μm(ミクロン)以下に改善する事が可能である。さらに前方の3次元走査により深穴の底の3次元観察が可能になり工業用OCT診断装置にも適用することができる。また、医療現場での微細な病巣の診断や治療への活用が期待される。
【符号の説明】
【0063】
1 固定側光ファイバー
2 回転側光ファイバー
3、3a、3b 第1光路変換手段(プリズム)
4 光ファイバー固定具
5 遮蔽板
6 カテーテル(チューブ)
7 モータコイル
8 モータケース
9a、9b 第1軸受
10 中空回転軸
10a ホルダー部
11 ロータ磁石
12 第1モータ
13 第2回転軸
14 可振子
15 電歪素子
16 パターン電極
17、23 電線
18a、18b 第2軸受
19 第2モータ
20、20a、20b、120、220 第2光路変換手段
20c、220c 集光レンズ
20d、120a、220d、220e プリズム
21 透光部材
21a 球面部
22 回転光コネクター(光ロータリコネクター)
24、24a、24b 第2パルス発生手段
25、25a、25b 第1パルス発生手段
26 被検体
27 深穴
28 表面層
29 走査範囲
81 鉗子チャネル
82 ガイドカテーテル
83 CCDカメラ部
84 先端観察部
85 本体
86 第1モータドライバ回路
87 第2モータドライバ回路
88 光干渉解析部
89 コンピュータ
90 モニタ
220f カバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15