【実施例】
【0022】
本発明に関わる3次元走査型光イメージング用プローブの実施形態について説明する。
【0023】
図1〜
図3は本発明に係る光イメージング用プローブの実施形態を示している。
図1は本発明の実施の形態に係る3次元走査型光イメージング用プローブの断面図であり、プローブの後端側から先端側に光線を導く固定側光ファイバー1は十分に長いチューブ状のカテーテル6の内部の略中心に挿通されている。
【0024】
固定側光ファイバー1の先端側には回転側光ファイバー2が回転自在に設けられている。回転側光ファイバー2の先端には、例えば略円柱状の透明体の両面を非平行な略平面でカットした形状のプリズム等からなる第1光路変換手段3(図中では、位置によって3a又は3bで指示している。)が第1モータ12により回転側光ファイバー2とは独立して回転自在に取り付けられ、第1光路変換手段3が回転する事で、光線を例えば図中軸線に対しθ1+θ2の角度を付けて前方に回転放射するよう構成している。
【0025】
また、回転側光ファイバー2の先端には、固定側光ファイバー1を透過してきた光線を集光して回転しながら軸線に対し微小の角度(θ1)を付けて第1光路変換手段3に向けて回転放射する第2光路変換手段20が取り付けられている。
図1において第2光路変換手段20は円錐状の集光レンズ20cとプリズム20aを組み合わせて形成されている。
【0026】
回転側光ファイバー2と固定側光ファイバー1は5μm(ミクロン)程度の微小距離を隔てて対向し、回転する遮光板5、光ファイバー固定具4を含めて回転光コネクター22を構成している。回転側光ファイバー2と固定側光ファイバー1の端面は平滑に加工されており、回転側光ファイバー2と固定側光ファイバー1の間は高い透過率が維持でき、ほとんど損失なく光学的に接続されている。
【0027】
第1モータ12はカテーテル6内に内蔵され、ロータ磁石11が取り付けられ、第1軸受9a、9bに支えられた中空回転軸10が回転する。第1モータ12には電線23を通してモータコイル7に電圧が印加され、中空回転軸10のホルダー部10aには前記第1光路変換手段3が取り付けられ回転させている。
【0028】
第2モータ19は、第2軸受18a、18bに支えられた第2回転軸13が可振子14の略中心に開けられた穴に軽圧入され、可振子14の弾性またはバネ性により第2回転軸13との間で安定した摩擦力が発生している。第2モータ19の第2回転軸13は回転側光ファイバー2を中心穴に固定しており、配線された電線17を通してパターン電極16と電歪素子15に電圧が印加され、第2光路変換手段20を回転させる。可振子14はモータケース8に対し回り止めがされており、最も簡単な構造の場合は電線17が回り止めの機能を果たす。
【0029】
第1モータ12には、
図2に示す、回転部材25aと固定部材25bからなる第1パルス発生手段25が設けられ、同様に第2モータ19には、
図3に示す回転部材24aと固定部材24bからなる第2パルス発生手段24が設けられ、それぞれ第1及び第2モータの回転に応じて1回転当たり1回、または複数回のパルス信号を発生している。これらパルスの発生原理は、誘起コイルやホール素子等の磁気センサー、または、光学的シャッターと光センサーによる光学センサー等が用いられる。
【0030】
図1において、光線が放射される第1光路変換手段3の前方には必要に応じて光線が透過可能な透光部材21がカテーテル6に取り付けられている。透光部材21には必要に応じて略球面部21aが形成されており、この球面部21aは必要によりその肉厚は一定ではなくレンズの機能を持たせるため厚さを変化させている。透光部材21は透明な樹脂やガラス等で作られ、必要に応じて表面反射を減らし、光線の全反射を最小に押さえ透過率を高めるためのコーティング等が施されている。
【0031】
図9において、ガイドカテーテル82の先端観察部84にCCDカメラ部83が取り付けられると共に、鉗子チャネルと呼ばれる貫通穴81に、チューブ状のカテーテル6が挿入されている。
【0032】
図1の第1モータ12には
図10に示す内視鏡画像装置構成図において、モータドライバ回路86から電力が供給されて回転駆動され、第2モータ19は第2モータドライバ回路87から電圧が印加されて回転駆動される。また、第1モータ12は第1パルス発生手段25からのパルス信号により回転速度を調整し、第2モータ19は第2パルス発生手段24からのパルス信号により回転速度を事前に設定された数値に合わせることができる。
【0033】
次に上述した
図1〜
図3の3次元走査型の光イメージング用プローブについて、その特徴的な作用効果を詳細に説明する。
【0034】
図10において本体85内の光源から発光された近赤外またはレーザ等の光線はガイドカテーテル82内のカテーテル6の中の固定側光ファイバー1の中を通過して進む。
【0035】
光線は、固定側光ファイバー1から⇒回転光コネクター22を通過して、回転側光ファイバー2⇒第2光路変換手段2⇒第1光路変換手段3aに放射される。近赤外線の光線はさらに透光部21を通過し、被検査体の表皮から2〜5ミリメートル程度まで透過し、そこから反射した光線を上記と同じ光路を逆方向に透光部21⇒第1光路変換手段3a⇒第2光路変換手段20a⇒回転側光ファイバー2⇒回転光コネクター22⇒固定側光ファイバー1を通過して光干渉解析部88に導いている。
【0036】
図12においては被検体26の深穴27の奥部において光線を放射することで、表面層27aの厚さや内部欠陥の有無を立体画像で観察している。
【0037】
図1において電線23から電力が供給され、第1モータ12が約1800〜2万rpmの範囲の一定速度で回転するが、固定側光ファイバー1から導かれた光線は回転光コネクター22と回転側光ファイバー2を通過し、第2光路変換手段20aから放出され、第1光路変換手段3aの略平面部で反射し一定の角度方向(
図1においては矢印に示す下向きのθ1+θ2の角度)に方向を変えて回転放射される。この時、第1モータ12の第1パルス発生手段24の角度α1=0度、第2モータ22の第2パルス発生手段24の角度も0度であり、これら2つの角度の位相差を(α1−α2)で表すと0度になっている。
この状態では、光線の放射方向は軸線に対して大きく曲げられており、放射角度は、(θ1+θ2)の下向きになる。
【0038】
次に、
図4に示すように、第1光路変換手段3と第2光路変換手段20が同じ回転速度で回転し、
図1とは180度反対側の図中3bと20bの位置に変わると、第2光路変換手段20bから放出され、第1光路変換手段3bの略平面部で反射し一定の角度方向(
図4においては矢印に示す上向きのθ1+θ2の角度)に方向を変えて回転放射される。この時、第1モータ12の第1パルス発生手段24の角度α1=180度、第2モータ22の第2パルス発生手段24の角度も180度であり、これら2つの角度の位相差(α1−α2)は
図4と同じで有り、0度になっている。この状態では、光線の放射方向は軸線に対して大きく曲げられており、放射角度は、(θ1+θ2)の上方向になる。
【0039】
図4において、第1光路変換手段3bの略平面部の角度Qと、第2光路変換手段20のプリズム20d表面の角度Sは、決して平行面にはせず例えば5度以上の角度を持たせている。これがもし平行面になると光線が全反射し得られるOCD画像が悪化する場合があるからである。第1および第2光路変換手段の回転角度の位相差(α1−α2)が0度の状態で第1および第2光路変換手段が平行でないように設計しておけば、いかなる状態においても、第1および第2光路変換手段の間は平行になる心配が無く、良好な画像が得られる。
【0040】
次に
図5は、第1光路変換手段3aと第2光路変換手段20aの回転速度を異ならせることにより、位相角度が変わった場合の状態を図示している。
図5において、第2光路変換手段20bから軸線に対して角度をもって放出された光線は、第1光路変換手段3aの略平面部で反射し逆の角度方向に方向を戻し、その結果光線はほぼ軸線上を軸線とほぼ平行に回転放射される。この時、第1モータ12の第1パルス発生手段24の角度α1=0度、第2モータ22の第2パルス発生手段24の角度は回転に遅れが生じて−180度であり、これら2つの角度の位相差(α1−α2)は+180度になっている。この状態では、光線の放射角度は、(θ1+θ2)≒0度になる。
【0041】
次に
図6は、
図5の状態から第1光路変換手段3aと第2光路変換手段20aが同じ回転数で180度反対に位置まで回転した状態を図示している。
図6において、第2光路変換手段20aから軸線に対して角度をもって放出された光線は、第1光路変換手段3bの略平面部で反射し逆の角度方向に方向を戻し、その結果光線はほぼ軸線上を軸線とほぼ並行に回転放射される。この時、第1モータ12の第1パルス発生手段24の角度α1=180度、第2モータ22の第2パルス発生手段24の角度は回転に遅れが生じて0度であり、これら2つの角度の位相差(α1−α2)は+180度になっている。この状態においても光線の放射角度は、
図6と同様に(θ1+θ2)≒0度になる。
【0042】
図7は、
図1から
図6を用いて説明した回転位相角(α1−α2)と、光線の前方への放射方向を図示したものである。第1モータ12の第1パルス発生手段24の角度α1と、第2モータ22の第2パルス発生手段24の角度α2の角度の位相差(α1−α2)によって照射方向が変化し、光線は前方に向けて抜けなく、図中半径Rに示される範囲に放射される。
【0043】
図8は光線の放射範囲を立体的に表した図である。光線はカテーテル6の前方Lの所で焦点が合うようピントが調整されているため、図中半径Rの範囲で、角度(θ1+θ2)に示す略円錐状に放射され、3次元的に被検体を走査している。
【0044】
近赤外線またはレーザ等の光線はさらに
図1の透光部21を通過し、被検体表から2〜5mm(ミリメートル)程度まで透過し、そこから反射した光線を透光部21⇒第1光路変換手段3⇒第2光路変換手段20⇒回転側光ファイバー2⇒回転光コネクター22⇒固定側光ファイバー1を通過して光干渉解析部88に導いている。
【0045】
図11は、光発明イメージング用プローブの第1モータ12と第2モータ19の発生パルスタイミングチャ−トであり、図中上側の線図は第1モータ12の第1パルス発生手段25からの発生パルス、図中下側の線図は第2モータ19の第2パルス発生手段24の発生パルスを示し、横軸は時間軸を示している。
図中Stand byに示す時間帯は、第1モータ12と第2モータ19が同一の回転数で回転しながら走査開始信号を待っている状態である。
【0046】
次に、イメージング用プローブの取扱い者の操作によりStart信号が出されると、それと同時に、第1モータ12は、例えばNパルス/秒に表される速度(例えば30回転/秒)で回転し被検体のOCT観察画像データをコンピュータ89に蓄積し始める。
【0047】
これと同時に第2モータ19は、例えば(N−1)パルス/秒(例えば29回転/秒)の速度で回転するため、
図11に示すように放射角度はθ1からθ2まで0.5秒で変化し、1秒後には再度θ1の角度に戻り、光線の3次元放射を完了する。
【0048】
この場合、コンピュータは放射角度がθ1〜θ2に往復する時間内に計2回(2回で1セット)の3次元データを取り込み、欠落のない鮮明な3次元のOCT診断画像を得る。データの取り込みと蓄積が行えた時点で、第1モータ12と第2モータ19は再びStand by状態になり、次のStart信号を待ちながら回転を行う。
【0049】
本発明の3次元走査用OCTプローブのより一層実用的な使い方は、例えば、第1段階は長い血管内に本発明のOCTプローブが送り込まれて行き、この場合、第1モータ12と第2モータ19が同一の回転数で回転しながら本発明のOCTプローブは2次元の360度走査を行い続け、モニタ90に表示された2次元画像から人体内血管近傍の患部の位置を特定する。
【0050】
2次元画像の取り込みは
図2の第1パルス発生手段25、25a、25bからのパルス信号をトリガーにして行われコンピュータ処理によりモニタ90上に表示される。
次に第2段階ではOCTプローブの押し引きを中止し、カテーテル6を静止させ、第2モータ19に、例えば(N−1)パルス/秒(例えば29回転/秒)の速度で回転さえて光線の3次元放射を行い、OCT装置はモニタ90に分解能の高い3次元画像を表示する事ができ、患部の詳しい観察を行うものである。
【0051】
3次元画像の取り込みは第1パルス発生手段25、25a、25bからのパルス信号と、
図3に示す第2パルス発生手段24、24a、24bからのパルス信号の両方が同時に出された瞬間をトリガーにしてコンピュータ89に取り込まれモニタ90上に表示される。
【0052】
第3段階は、更に本発明のOCTプローブを他の端部へ移動させるものであり、この場合も第1モータ12と第2モータ19が同一の回転数で回転しながら本発明のOCTプローブは2次元の360度全周に渡る走査を行い続け、モニタ90に2次元のOCT画像を表示する。
【0053】
本実施形態では、カテーテル6の後方から先端までの全長に渡る内部で固定側光ファイバー1は、長いカテーテル6の中で回転させないので擦れる事がなく、回転伝達遅れやトルク損失等の発生を防止できる。また、回転側光ファイバー2も中空回転軸1の穴の中で回転自在に配置されており、摺動損失がないので、モータ12の回転ムラは大変少ない。回転速度の性能は一般的な評価尺度では、回転角度をパーセントで表すのであるが、本発明においては0.01%の高性能が達成できている。
【0054】
一方、従来の光ファイバーが擦れる方式の内視鏡プローブの回転ムラは、その約100倍以上の悪い性能しか得られていなかった。
【0055】
図12は、本発明光イメージング用プローブの深穴走査説明図である。
装置機械において、被検体26に深穴27があり、さらにそれら表面が表面層28で覆われている場合等に、カテーテル6は深穴に進入し走査範囲29において、表面層28の被膜厚さの測定、及び内部組織の立体観察、内部欠陥の有無の観察等が行える。
【0056】
図13は、光イメージング用プローブの第2モータ19の断面図である。
カテーテル6の内部の可振子14とモータケース8の間には十分な空間があり、この空間に電線23と電線17が配置されている。このようにして第1モータ12、第2モータ19の配線はスペース効率良く、コンパクトに行える。
【0057】
図14は、同光イメージング用プローブの第2光路変換手段変形応用例説明図であり、前記第2光路変換手段120は先端に傾斜する略球面120aを有するプリズムである。
この構成によれば、第2光路変換手段120が十分に高い光線の透過率と集光性能を発揮することができ、コンパクトで空間分解能が高い3次元の観察画像を得ることができる。
【0058】
図15は、同光イメージング用プローブの第2光路変換手段変形応用例説明図であり、第2光路変換手段220は、集光レンズ220c、第1プリズム220d、第2プリズム220eから構成され、円筒状のカバー220fに納められている。
この構成によれば、第2光路変換手段220は、光線を十分に大きい角度に傾ける事が可能であり、広範囲な3次元の観察画像を得ることができる。
【0059】
図10のOCT3次元操作画像診断装置において最も重要な要求性能は3次元画像を得ること、及び3次元画像の空間分解能を高める事であるが、空間分解能を達成するための要因には、モータ12の回転速度ムラ、中空回転軸10の振れ精度、第1光路変換素子3と、第2光路変換手段20の精度および表面粗さ等がある。
【0060】
この中で影響度が大きいのはモータ12の回転速度ムラであるため、先端部にモータ12を内蔵し、光路変換素子を高精度で、かつ回転速度ムラなく回転させる本発明の内視鏡プローブではたとえば10ミクロン以下の高い3次元の空間分解能を安定して達成できている。
【0061】
本発明によれば、内視鏡装置等のカテーテル内で光ファイバーが相対的な回転をさせないので擦れる事がなく、回転伝達遅れやトルク損失等の発生を軽減され、10ミクロン以下の高い空間分解能で鮮明なOCT解析画像が得られ、また、第2光路変換手段の厚さを意図的に変える事で、光線を軸方向に一定範囲で放射できるため3次元の観察画像を得ることができる。