(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
回転する回転体(172)の周方向に延びる複数の押動体(182)の間に形成した硬貨保留部(208)に一つずつ硬貨(C)を受け入れ、ベース(108)上を移動される前記硬貨(C)の移動経路(198)に相対配置された撮像装置(166)により前記硬貨(C)を撮像し、前記硬貨(C)の撮像情報(ID)を取得するようにした硬貨画像取得装置(100)において、
前記押動体(182)は前記硬貨(C)の外周面に接して押動する押動部(183)を有すると共に、
前記押動部(183)によって押動される硬貨(C)を少なくとも前記撮像装置(166)に相対する間、前記硬貨(C)の外周面を前記押動部(183)に向けて押し付ける押付体(170)が前記回転体(172)と一体的に設けられたことを特徴とする硬貨画像取得装置。
【実施例1】
【0037】
図1は、本発明の実施例1の硬貨画像取得装置を備える硬貨選別装置の斜視図である。
図2は、本発明の実施例1の硬貨画像取得装置を備える硬貨選別装置の硬貨保留ボウル及び回転体カバーを取り除いた平面図である。
図3は、本発明の実施例1の硬貨画像取得装置を備える硬貨選別装置の保留ボウル、回転体カバー及び回転体を取り外した状態の平面図である。
図4は、本発明の実施例1の硬貨画像取得装置を備える硬貨選別装置のベースに平行であって、回転ディスク及び回転体を横切る所定の面における断面図である。
図5は、
図2において保留ボウル及び回転体カバーを装着した状態のA―A線断面図である。
図6は、
図2において保留ボウル及び回転体カバーを装着した状態のB―B線断面図である。
図7は、
図2において回転体カバーを装着した状態のC―C線断面図である。
図8は、本発明の実施例1の硬貨画像取得装置を備える硬貨選別装置の回転体の斜視図である。
図9は、本発明の実施例1の硬貨画像取得装置を備える硬貨選別装置の回転体の分解斜視図である。
図10は、本発明の実施例1の硬貨画像取得装置を備える硬貨選別装置の回転体の下方からの斜視図である。
図11は、本発明の実施例1の硬貨画像取得装置を備える硬貨選別装置の回転体とベースの位置関係説明用の一部断面側面図である。
図12は、本発明の実施例1の硬貨画像取得装置を備える硬貨選別装置の回転体の平面図である。
図13は、本発明の実施例1の硬貨画像取得装置を備える硬貨選別装置の撮像装置の斜視図である。
図14は、本発明の実施例1の硬貨画像取得装置を備える硬貨選別装置の押動体と撮像装置の位置関係を説明するための拡大図である。
図15は、本発明の実施例1の硬貨画像取得装置を備える硬貨選別装置の撮像装置の概略説明図である。
図16は、本発明の実施例1の硬貨画像取得装置を備える硬貨選別装置の回転体カバーの裏面斜視図である。
図17は、本発明の実施例1の硬貨画像取得装置を備える硬貨選別装置の硬貨押付体駆動用のカムの説明図である。
図18は、本発明の実施例1の硬貨画像取得装置を備える硬貨選別装置の制御ブロック図である。
図19は、本発明の実施例1の硬貨画像取得装置を備える硬貨選別装置の撮像装置の作用を説明するための作用説明図(受入れ直前)である。
図20は、本発明の実施例1の硬貨画像取得装置を備える硬貨選別装置の撮像装置の作用を説明するための作用説明図(硬貨受入れ完了時)である。
図21は、本発明の実施例1の硬貨画像取得装置を備える硬貨選別装置の撮像装置の作用を説明するための作用説明図(硬貨押付開始時)である。
図22は、本発明の実施例1の硬貨画像取得装置を備える硬貨選別装置の撮像装置の作用を説明するための作用説明図(撮像時)である。
図23は、本発明の実施例の硬貨画像取得装置を備える硬貨選別装置の撮像装置の作用を説明するための作用説明図(押付開放途中)である。
図24は、本発明の実施例の硬貨画像取得装置を備える硬貨選別装置の撮像装置の作用を説明するための作用説明図(開放時)である。
図25は、本発明の実施例2の硬貨画像取得装置を備える硬貨選別装置の押動体の平面図である。
図26は、本発明の実施例3の硬貨画像取得装置を備える硬貨選別装置の硬貨振分装置の概略説明図である。
【0038】
本実施例1においては、日本硬貨の100円(小径)硬貨SCと500円(大径)硬貨LCに適応させた例を説明し、小径硬貨SC及び大径硬貨LCを総称して硬貨Cと称し、特に個別に説明する場合は小径硬貨SC、又は、大径硬貨LCとする。
しかしながら、本発明は上記金種に限定されるものではなく、適宜の金種の組み合わせに変更でき、さらに、3金種以上に適応することもできる。また、本発明は硬貨Cの選別のみならず、ゲーム用のメダルの選別装置に適用することもできる。
【0039】
硬貨画像取得装置100を備える硬貨選別装置102は、
図1に示すように、硬貨画像取得装置100によって取得した硬貨Cの表面(又は裏面)の撮像情報IDに基づいて金種判定し、当該判定結果に基づいて振分装置104によって小径硬貨SC若しくは大径硬貨LCに選別する機能を有し、大まかにはフレーム106、ベース108、硬貨整列装置112、硬貨画像取得装置100、及び、振分装置104(
図6)によって構成される。
さらに、本発明においては、撮像情報IDに基づいて真偽判定し、偽貨を選別することもできる。
【0040】
まず、硬貨画像取得装置100について説明する。
最初にフレーム106を主に
図1を参照して説明する。
フレーム106は、ベース108を支持する機能を有し、板金製であって、側面視台形の箱形に形成されている。すなわち、フレーム106の上面は
図1において、右側部(前側)が下方であって、左側部(後側)が上方に位置するように傾斜している。
フレーム106は、その底板114を上位機器の筐体内のスライドベース(図示せず)に対しスライド可能に装着され、メンテナンス等の便に供される。
底板114に対しスライド可能に上面が開放された箱形の硬貨受箱116がフレーム106の下部に装着され、例えば、後述のように大径硬貨LCが保留される。
【0041】
次にベース108を主に
図1及び
図3を参照して説明する。
ベース108は、フレーム106の上面に固定され、硬貨Cの表面又は裏面がスライドしつつ案内されると共に、硬貨整列装置112及び硬貨画像取得装置100が取り付けられる機能を有する。
ベース108は、ステンレス製や耐摩耗性樹脂製の平板であって、フレーム106の上面に固定されることから傾斜している。換言すれば、前下がりに傾斜している。
ベース108の上面には、ベース108とほぼ同一の矩形に形成され、所定の厚み、具体的には取り扱い対象の硬貨Cの中で最も厚い硬貨Cの厚みよりも僅かに厚い厚みを有する周面案内板118が密着固定されている。周面案内板118には、ベース108の下側部分に相対する位置に第1円形穴120が、上側部分に相対する位置には第2円形穴122が形成され、それら第1円形穴120と第2円形穴122とは連通部124によって連通されている。換言すれば、周面案内板118は、第1円形穴120と第2円形穴122とによって、外形が8字状の開口部126が形成されている。
なお、ベース108は必ずしも前下がりに傾斜している必要性はなく、水平に配置することもできる。しがし、ベース108が前下がりに傾斜している場合、ベース108の下側と上側に装置を構成する部品を効率よく配置することができるので、装置全体を小型化できる利点がある。
【0042】
次に硬貨整列装置112を主に
図1〜
図5を参照して説明する。
硬貨整列装置112は、バラ状態の硬貨Cを一つずつ区分けして次の撮像工程に送り出す機能を有している。
したがって、硬貨整列装置112は同様の機能を有する他の装置に変更することが出来る。
本実施例1における硬貨整列装置112は、硬貨をバラ積み状態で保留する保留ボウル128と、保留ボウル128の下部に位置する送り出し装置130とを含んでいる。
保留ボウル128は全体として縦向きの筒形をし、上部は平面視ほぼ蒲鉾形であって、上面開口132は着脱可能な蓋板134によって閉口され、下端部は円形の底孔136に形成され、底孔136の上方側方に開口された受入開口138から硬貨Cが供給される。
保留ボウル128は、硬貨Cをばら積み状態で多数保留する機能を有し、ベース108(詳しくは周面案内板118)の傾斜下部の上面に着脱可能に取り付けられている。
【0043】
次に送り出し装置130を説明する。
送り出し装置130は、保留ボウル128に保留された硬貨Cを一つずつ区分けして送り出す機能を有する。
したがって、送り出し装置130は同様の機能を有する他の装置に変更することが出来る。
本実施例1における送り出し装置130は、全体として硬貨Cの直径よりも僅かに大径であって、卵形の複数の通孔140を有する回転ディスク142である。通孔140は、本実施例1においては4個形成されているが1つであっても良い。しかし、複数である場合、単位時間当たりの硬貨Cの区分け数が多いので、処理速度を上げるには複数であることが好ましい。
【0044】
回転ディスク142は、保留ボウル128の底孔136内に配置され、ベース108の裏面側に固定された減速機144の出力軸146に固定され、減速機144の裏面に固定された電気モータ148によって
図2における反時計方向に所定の速度で回転される。
回転ディスク142は、中央に多角錘形の攪拌部150を有し、底孔136において回転することにより硬貨Cを攪拌し、通孔140に硬貨Cが落下するのを助ける。
【0045】
回転ディスク142は、通孔140の間のリブ152のそれぞれの裏面に押出突条154を有する。
押出突条154は、ベース108の上面に密着固定された所定の厚みを有する周面案内板118の第1円形穴120内において回転移動し、
図2に図示するように、回転ディスク142の中心側から周縁に向かって回転方向後位側へ後退するように湾曲形状をしている。なお、後述の規制ピン155、156が通過できるように押出突条154には溝が形成されている。
通孔140内に落下した硬貨Cは、ベース108に面接触して支えられ、かつ、第1円形穴120の周面によって案内されつつ回転ディスク142の回転によって押出突条154によって押されて移動通路MPを回転ディスク142と共に連れ回りされる。
移動される硬貨Cは、ベース108から突出し、硬貨Cの移動通路MPに位置する規制ピン155、156によって回転ディスク142の周方向、換言すれば、
図2において上方へ案内される。
【0046】
上方に案内された硬貨Cは、連通部124を通って硬貨画像取得装置100へ一つずつ区分けされて送り出される。
回転ディスク142の側方に隣接配置されたローラ158は、硬貨Cによって所定値以上の力が作用した場合、逃げ方向に移動できるように図示しない弾性体によって支持されるが、その移動量は僅かであり、ベース108に対し実質的に固定状態に配置される。
ローラ158は、大凡回転ディスク142に隣接して配置され(一部は回転ディスク142の下方)、送り出された硬貨Cを硬貨画像取得装置100側へ案内する機能を有する。
したがって、ローラ158に代えて固定ガイドにすることもできる。
【0047】
また、
図2において、連通部124の右方に配置された矩形状のものは、金属センサ160であり、連通部124を通過する硬貨Cを検知し、材料信号CMSを出力する。材料信号CMSは、後述するように、撮像装置166による撮像情報IDは取得し得たが、材料信号CMSが出力されない硬貨C、換言すれば、例えば樹脂製の偽貨を排除するために用いられる。
【0048】
次に、硬貨画像取得装置100が主に
図8〜
図17を参照して説明される。
硬貨画像取得装置100は、硬貨移送装置162によって1つずつ移動される硬貨Cの表面又は裏面を撮像装置166によって撮像して撮像情報IDとして取得する機能を有し、当該撮像情報IDは、例えば硬貨Cの真偽、及び、金種判別に用いられる。
本実施例1における硬貨画像取得装置100は、硬貨整列装置112によって一つずつ送り出された硬貨Cを硬貨移送装置162によって積極的に押動する過程において、撮像装置166によって撮像する機能を有する。換言すれば、硬貨画像取得装置100は、少なくとも硬貨Cを硬貨移送装置162によって1つずつ移送する過程において撮像装置166によって撮像する機能を有すればよい。
本実施例1における硬貨画像取得装置100は、硬貨移送装置162、硬貨押付装置164、及び、撮像装置166を含んでいる。
【0049】
まず、硬貨移送装置162が主に
図10及び
図11を参照して説明される。
硬貨移送装置162は、送り出し装置130から一つずつ送り出された硬貨Cを一つずつ保持して所定の方向へ積極的に押動する機能を有する。
本実施例1において硬貨移送装置162は、硬貨移送体168を含んでいる。
【0050】
次に硬貨移送体168を説明する。
硬貨移送体168は所定の速度で回転し、硬貨整列装置112から一つずつ送り出された硬貨Cを一つずつ所定の位置に保持しつつ強制的に押動する機能を有する。
本実施例1において硬貨移送体168は、底板114の傾斜の上方側に配置され、た円板形の回転体172に形成された4つの押動体182である。
回転体172は、耐摩耗性を有する材料によって形成され、本実施例1においては、ナイロン樹脂によって後述の押動体182、及び、歯車176と共に一体成形されている。しかし、歯車176、及び、押動体182を個別に成形した後、一体化することもできる。なお、回転体172の裏面及び押動体182は黒色等の暗色にすることが好ましい。後述の投光装置242からの投光を可及的に反射させないことにより、良好な撮像情報IDを取得するためである。
回転体172は、ベース108に下端をかしめることにより垂直に立設固定された支軸174に、回転軸線RA回りに形成された軸孔173を嵌め合わせることにより回転自在に支持され、第2円形穴122と同軸に配置され、周面に形成された歯車176を介して回転ディスク142と同期回転される。
すなわち、第1円形穴120と第2円形穴122との間のベース108上に突出する回転軸178は、減速機144によって所定の速度で回転され、その上端部に固定されたピニオンギヤ180が歯車176と噛み合って回転ディスク142と同期して回転される。換言すれば、回転ディスク142と回転体172との回転比は1対1である。よって、歯車176は第2円形穴122の周面の上方に位置し、押動体182が第2円形穴122内に位置している。また、回転体172をピニオンギヤ180との噛み合いから容易に外すため、回転体172の底板175の周面に凹部Mが形成されている。すなわち、この凹部Mの部分において歯車176を底板175に邪魔されずに上方へ引き上げることができ、回転体172の点検保守作業が容易に行える。
【0051】
本実施例1において、回転体172は底板175を有する有底の浅い円筒状に形成され、底板175の中央部から円筒状の軸受177が突出し、円筒状の周壁179との間にリング状の空間181が形成されている。空間181には硬貨押付装置164が配置されている。
空間181の上面は、スクリュー185によって回転体172に固定される円盤形のカバー187によって閉止されている。
回転体172の底板175の裏面188には、回転軸線RAの近傍から周方向へ延在し、かつ、中央部が回転方向後位側へ湾曲する所定の高さを有するV字形の押動体182が4枚プロペラ状に形成されている。
押動体182は、送り出し装置130から一枚ずつ送り出される硬貨Cを受け入れるため、通孔140と同数形成され、全て同一形状である。したがって、本実施例1において押動体182は4つであるが、通孔140が2つの場合、押動体182は2つ形成され、その最小数は1であり、最大は無限であるが、通孔140と押動体182の数は、装置の許容される大きさ、及び、処理速度に基づいて適宜設定される。
【0052】
回転体172の軸孔173回りには、押動体182の下面よりも下方へ僅かに突出された円筒184が形成され、そのリング状下面186はベース108上に載置され、ベース108と摩擦接触する。したがって、
図11に示すように、ベース108と回転体172の裏面188との第1間隔H1は押動体182の第2間隔H2と、押動体182の下面とベース108との間の第3間隔H3の合計と一致する。
そして、第1間隔H1は処理対象硬貨Cの内、最厚硬貨HCの厚みT1よりも僅かに大きく設定され、第3間隔H3は最薄硬貨TCの厚みT2よりも小さく設定される。この設定により、最厚硬貨HCは勿論のこと、最薄硬貨TCであっても、ベース108と裏面188との間、又は、ベース108と押動体182の下面との間に咬み込まれること無く押動体182によって押動され得る。
【0053】
次に押動体182の形状を主に
図14を参照して説明する。
押動体182には、押動部183が形成され、硬貨Cは押動部183によって押されて円弧状の撮像経路TPを移動される。
本実施例1において、押動体182が4つ配置されているが全て同一形状であるので、4つの押動体182の全てに対し同一符号を付して説明する。
押動体182は、円筒184から周方向へ向かって中央部190が内側部192及び外側部194に対して回転方向の後位側に位置するV字型に形成されている。本明細書においてV字型とは、アルファベットのV形よりも広範囲な概念であって、中央部190の頂部196が内側押動部192i及び外側押動部194oに対して回転方向後位側に位置し、かつ、直径の異なる硬貨Cの周面に対し少なくとも2点において接触し、押動する形状を含んでいる。換言すれば、押動体182の中央部190に頂部196が位置し、頂部19
6に対し回転方向の前位に位置する押動体182の内側部192に内側押動部192iが位置し、かつ、外側部194に外側押動部194oが位置する形状を含んでいる。
また、内側とは頂部196を基準にして回転軸線RAに近い側を指し、外側とは頂部196に対し回転軸線RAから遠い側を指す。
なお、押動部183は、本実施例1のように回転体172ではなく、直線移動体に形成される場合も想定されるため、以下、内側押動部192iを第1押動部200i、外側押動部194oを第2押動部202oと称する。
本実施例1において、頂部196はアルファベットのV字のように鋭角的形状ではなく、最小径硬貨たる小径硬貨SCの曲率と同一の最小径円弧縁に形成されている。したがって、本明細書においてV字型とはこのような頂部196の円弧形状をも含む概念である。そして、第1押動部200iと第2押動部202oとは頂部196を通る中心線CLに対し線対称に形成されている。また、第1押動部200iは最大径硬貨たる大径硬貨LCの曲率と同一の最大径円弧縁に形成することができる。
中心線CLは、小径硬貨SCと大径硬貨LCとの中間の中径硬貨MCの周面が第1押動部200iと第2押動部202oに接した場合において、その硬貨中心
たる中径中心MCCと回転軸線RAとを結ぶ直線SAに対し直交する線である。
この場合において、中径硬貨MCの周面は、第1押動部200iと第2押動部202oのそれぞれの一点によって押動され、頂部196においては接触しない。
最大硬貨LCの場合も中径硬貨MCと同様に、その周面の一部が第1押動部200iと第2押動部202oのそれぞれの一点によって押動され、頂部196とはその周面は接触しない。
したがって、硬貨Cの直径毎に硬貨周面と第1押動部200i及び第2押動部202oとの接点は異なる。
硬貨Cは押動体182の回転によって、第1押動部200i及び第2押動部202oの2点にその周面が接触しつつ押動されて押動体182に対する一定位置を保ちつつ回転体172と共に円形の移動経路198を移動される。換言すれば、中心線CLを挟んで対称に配置された第1押動部200iと第2押動部202oに押動されるので、直径が異なる場合であっても、小径硬貨SCの小径中心SCC、中径硬貨MCの中径中心MCC及び
大径硬貨LCの
大径中心LCC、換言すれば、小径硬貨SC乃至大径硬貨LCの中心は、頂部196を通る中心線CL上に位置する。
さらに、中径中心MCCは中心線CLに対し直角をなすと共に軸線RAを通る直線SA上に大凡位置するように第1押動部200iと第2押動部202oが設定されている。したがって、小径中心SCCは回転体172の回転方向において直線SAの手前(回転方向後位側)に位置し、大径中心LCCは直線SAよりも後側(回転方向前位側)に位置する。換言すれば、小径中心SCC乃至大径中心LCCに位置する硬貨Cの中心線CLに沿った硬貨全体を撮像することにより、硬貨Cの直径判別のための撮像情報IDを取得でき、直線SAに沿う方向、換言すれば、押動体182の周方向は、硬貨Cの全体を撮像せずとも真偽判別及び金種判別が可能である。すなわち、中心線CLに沿った直径全体の撮像情報IDから硬貨Cの中心を求めることができ、直線SAに沿う周方向の画像が直径の一部である場合であっても、その一部の撮像情報IDを中心回りに回動させることにより、基準情報と比較できるからである。
なお、押動体182の間には、回転体172の外周側が開放された受入開口203を有する裏面視大凡楕円形の凹部である硬貨保留室208が形成される。
【0054】
次に押動体182と撮像装置166との位置関係を主に
図14を参照して説明する。
撮像装置166の詳細については後述するが、押動体182との関係では撮像窓204が関係するので、ここでは撮像窓204について説明する。
撮像窓204は、第2円形穴122の撮像底面206(
図3)に配置されている。詳細には、撮像窓204は、連通部124に対し約90度下流の硬貨Cの移動経路198の下面に配置され、硬貨Cの大凡直線的な移動方向CDに沿って縦長矩形に形成されている。すなわち、第1長辺204Rは回転軸線RA側に配置され、対辺の第2長辺204Lは第2円形穴122の僅か内側に配置されているが、その上流側の角部204Uと下流側の角部204Dは周面案内板118の下方に配置されている。第1長辺204Rと第2長辺204Lとの間の中央には便宜的に中央軸線CAを引くことが出来る。換言すれば、中央軸線CAは、回転体172における周方向に対する撮像装置166の中央に位置する。本実施例1において、中央軸線CAに沿う方向の長さは、大径硬貨LCの直径の約1.5倍程度に設定されている。換言すれば、円弧状の撮像経路TPに対する接線方向(移動方向CD)においては硬貨Cの全体を撮像するように設定され、このように設定することにより、小径硬貨SCから大径硬貨LCまでの直径全体の撮像をすることができ、硬貨Cの直径の判別に利用できるからである。直線SAに沿う方向の長さ、換言すれば、第1長辺204Rと第2長
辺204Lとの間隔は、硬貨Cの直径全体を撮像できるように設定する必要はなく、硬貨中心から等距離の範囲において、硬貨Cの一部分の撮像ができるように設定される。装置の小型化のためである。
頂部196は、
図14において
回転軸線RAを通る直線SAが垂立(
図3においては水平)した場合、中央軸線CA上に位置するように設定されている。換言すれば、この場合、中心線CLと中央軸線CAとは重ね合わされる。このタイミングにおいて、頂部196は中央軸線CA上に位置し、第1押動部200iと第2押動部202oは中央軸線CA(中
心線CL)に対して対称に位置する。換言すれば、小径中心SCC、中径中心MCC、及び、大径中心LCCの何れも中央軸線CA上に位置することから、直線SAに沿う方向においては、それら小径中心SCC、中径中心MCC、及び、大径中心LCCから頂部196に対する内側及び外側において等距離の範囲の撮像をすることができ、中央軸線CA(中
心線CL)に沿った方向においては、硬貨Cの直径全体の撮像をすることができる。これにより、撮像情報IDから直径の判別及び硬貨中心から所定範囲の画像の識別を行うことができ、硬貨全体を撮像した場合と比較して遜色ない精度の真偽判別及び金種判別をすることができる。
【0055】
次に硬貨押付装置164を主に
図9及び
図12を参照して説明する。
硬貨押付装置164は、押動体182の押動部183によって押動される硬貨Cを当該押動部183に強制的に押し付ける機能を有し、本実施例1においては押付体170によって構成される。したがって、硬貨押付装置164は、同様の機能を有する他の装置に変更することができる。
【0056】
次に押付体170を説明する。
押付体170は、押動部183によって押動される硬貨Cを当該押動部183に押し付ける機能を有する。したがって、押付体170は同様の機能を有する他の装置に変更することができる。
硬貨押付装置164は押動体182(押動部183)に対応して設けられ、本実施例1においては4つの押動体182にそれぞれ相対する4つの硬貨押付装置164が配置されている。
硬貨押付装置164は全て同一構造であるため、全ての押付体170に対し同一符号を付して説明する。
本実施例1において押付体170は、
図12における平面視大凡L字型に形成された支持レバー214の先端から直角に下向きに形成された板状体であるが、板状体に限られない。支持レバー214の折り曲げ部は、軸受177の近傍のカバー187から空間181内に突出された軸ピン216に回転自在に支持され、所定角度範囲において揺動可能である。押付体170は、軸ピン216に対し軸受177から遠い、周壁179の近傍において軸ピン216を中心に円弧状に形成され、底板175を貫通する長孔218を通って裏面188から下方に突出している。押付体170の裏面188からの突出量は、ベース108に接触せず、かつ、最薄硬貨TCをも押付可能な量に設定されるが、押動体182と同量にすることが好ましい。押付体170は
図4に示すように、大凡頂部196に相対して配置されるが、押付体170の硬貨Cに対する押付け方向は、硬貨Cを回転体172の周縁側から
回転軸線RA側へ押動するようにし、
第1及び第2押動部200i、202oに硬貨Cが押し付けられた場合、硬貨Cの周面との接点は、当該硬貨Cの中心よりも回転体172の周縁側であることが好ましい。硬貨Cを硬貨保留室208の周縁側から受入れ、また、硬貨Cに作用する遠心力によって硬貨Cが硬貨保留部108の周縁側に位置する傾向があるため、押付体170によって硬貨Cの周縁側の円弧面を押すことによって、硬貨Cを
回転軸線RA側へ移動させつつ
第1及び第2押動部200i、202oに押し付けることができるからである。
【0057】
次に押付体170の移動装置212を
図9、12及び
図16乃至
図17を参照して説明する。
移動装置212は、硬貨保留室208に硬貨Cを受け入れる際は硬貨Cの受入の邪魔にならないよう開放位置RPに、硬貨Cを撮像する際は押動部183に硬貨Cを強制的に押し付けるように押付位置PPに移動させる機能を有する。したがって、移動装置212は同様の機能を有する他の装置に変更することができる。
本実施例1において移動装置212は、駆動装置219(
図9参照)及び付勢体220を含んでいる。
【0058】
まず駆動装置219を説明する。
駆動装置219は、少なくとも押付体170を開放位置RPと押付位置PPとに移動させる機能を有する。しかし、押付位置PPとは、厳密な意味での硬貨Cを押動部183へ押付ける意味ではなく、押動部183へ硬貨Cの周面が密着するきっかけとなる位置であればよい。
したがって、駆動装置219は同様の機能を有する他の装置に変更することができる。本実施例1において、駆動装置219はカム222、及び、押付体170に一体化した被動装置224を含んでいる。
【0059】
まずカム222を主に
図16及び
図17を参照して説明する。
カム222は押付体170を所定のタイミングで押付位置PPと開放位置RPとに移動させる機能を有し、板状体の周面によって形成される周面カム、や溝カム等によって構成され得る。
本実施例1においてカム222は、鍋蓋形の回転体カバー226のカバー裏面228に固定されている。詳細には、カム222は板状体によって回転体カバー226がベース108に装着された場合、
回転軸線RAの回りに偏心楕円形を呈するように配置される。したがって、カム222は回転体172に対しては固定状態を呈するため、固定カムである。
カム222の周面は、
図17における右側部分の開放維持部222CRは、
回転軸線RAから第2半径R2の等距離の半円形に形成されている。開放維持部222CRに続いて第2半径R2よりも小半径の第3半径R3まで順次短縮される押付部222P、押付部222Pに続いて第3半径R3から第4半径R4まで角度Dの間、直線的に順次半径が短縮され、さらに、角度Dに続いて所定角Eの間、第4半径R4で形成され、その後角度Fの間、第4半径R4から半径が順次増加する押付維持部222CP、押付維持部222CPに続いて第2半径R2まで順次増加される解放部222Rが形成されている。
なお、回転体カバー226の少なくとも内面は、黒色等の暗色に着色することが好ましい。投光装置242の投射光の反射を抑制して良好な撮像情報IDを得るためである。
【0060】
次に被動装置224を主に
図9及び
図12を参照して説明する。
被動装置224は、カム222の形状にしたがって押付体170を移動させる機能を有する。したがって、被動装置224は同様の機能を有する他の装置に変更することができる。
本実施例1において、被動装置224は支持レバー214の一端部から上向きに突出され、カバー187を貫通して突設された軸受ピン230の上端部に回転自在に取り付けられたカムフォロワ232である。カムフォロワ232は、カバー187に形成された弧状長孔233を介してカバー187の上方に突出配置される。
カムフォロワ232は、付勢体220によってカム222の外周面に押し付けられ、開放維持部222CRに案内される場合、押付体170を硬貨Cの受入に何らの支障を来さない
開放位置RPに位置するように保持され、押付部222Pに案内される場合、開放位置RPから押付位置PPへ徐々に移動され、押付維持部222CPに案内される場合、押付位置PPを継続するよう保持され(厳密には、カムフォロワ232とカム222とは接触せず、硬貨Cの直径によって移動を阻止される位置に保持される)、解放部222Rに案内される場合、押付位置PPから開放位置RPへ徐々に移動される。なお、押付位置PPにおける押付体170の位置は、押し付ける硬貨Cの直径によって位置が異なる。したがって、実際上、カムフォロワ232は、押付部222Pの後半からカム222と接触しないように設定され、付勢体220の付勢力によって硬貨Cを押し付ける。
カムフォロワ2
32は軸ピン216に対し回転方向下流側に位置するので、軸ピン216に対しトレーリング配置になっており、リーディング配置に対し押付体170の移動がスムーズに行われる利点がある。
【0061】
次に付勢体220を説明する。
付勢体220は、押付体170を開放位置RPから押付位置PPへ弾性的に移動させる機能を有する。したがって、付勢体220は同様の機能を有する他の装置、例えば、磁力、ゴム、ガススプリング等に変更することができる。
本実施例1において、付勢体220は線状のスプリング234であり、中間のリング部234Rが軸ピン216に外装され、一端がカムフォロワ232側の支持レバー214の端部に係止され、他端部がカバー187から下向きに突設されたピン237に係止されることにより、
図12において軸ピン216に対し反時計方向に回動力を付与され、押付体170を押付位置PP側へ弾性的に付勢している。この場合、軸ピン216回りを
図12に実線で示す位置よりも時計方向へ回転されて押付体170が長孔218の端部に衝突しないように底板175から立設するストッパ235によって係止される。
カムフォロワ2
32がカム222の押付維持部222CPに案内される場合、軸ピン216回りを
図12に実線で示す位置よりも時計方向へ回転されて、硬貨Cの直径との関係で定まる押付位置PPに保持される。カムフォロワ2
32がカム222の押付部222Pに案内される場合、支持レバー214は軸ピン216回りをスプリング234の弾性力によって反時計方向へ回動され、押付位置PPへ移動される。この過程において、硬貨Cはその周面がスプリング234の弾発力によって弾性的に押動部183に押し付けられ、押付体170はそれ以上回動されない。
カムフォロワ2
32がカム222の解放部222Rに案内される場合、カムフォロワ232が解放部222Rによって案内され始めると支持レバー214は支軸216回りをスプリング234の弾性力に反して時計方向へ強制的に回動され、押付体170は開放位置RPへ向かって移動される。これにより、硬貨保留室208に保持されていた硬貨Cは開放され、自由落下が可能になる。
【0062】
次に撮像装置166を主に
図13を参照して説明する。
撮像装置166は、移動経路198を移動する硬貨Cの表面又は裏面を撮像し、撮像情報IDを取得する機能を有する。
したがって、撮像装置166は同様の機能を有する他の装置に変更することができる。
本実施例1において撮像装置166は、ベース108の下方に配置されている。
撮像装置166は撮像窓204を上面に有する矩形箱形の撮像ヘッド236、及び、撮像ヘッド236の中央部から横向きに延在する撮像素子部238によって平面視T字形をしている。
撮像ヘッド236の上面には前述した撮像窓204を構成するガラス240が配置され、このガラス240は移動経路198(撮像経路TP)のベース108の上面と面一になるように配置される。換言すれば、押動体182によって押動される硬貨Cはガラス240上をスライドしつつ移動される。
撮像ヘッド236内には、
図15に示すように、投光装置242、ハーフミラー244、集光レンズ246が配置されている。
【0063】
まず投光装置242を説明する。
投光装置242はハーフミラー244を介して移動経路198を移動する硬貨Cの一面に光を投光する機能を有する。
本実施例1における投光装置242は、面投光装置243であり、例えば、特開2011-248543に開示される構造を採用することができる。
【0064】
次にハーフミラー244を説明する。
本発明に於けるハーフミラー244は、光の一部は反射し、一部は透過する機能を有する。具体的には、投光装置242からの投光は透過し、硬貨Cからの反射光は反射する機能を有する。
換言すれば、ハーフミラー244は、投光装置242からの投光を移動経路198における硬貨Cに対し直角に投光し、かつ、硬貨Cからの反射光を移動経路198と平行な面内に反射させる。
本実施例1において、ハーフミラー244は薄い透明樹脂にクロムを蒸着メッキしたものである。低コスト化のためである。ハーフミラー244は、撮像窓204の下方、換言すれば、ベース108の真下において、移動経路198の面に対し45度の角度で移動経路198から離れるほど下方に位置するよう傾斜配置されている。
したがって、投光装置242からの投射光は、ハーフミラー244及びガラス240を透過して撮像窓204から移動経路198へ上向きに投射される。
硬貨Cからの反射光は、ハーフミラー244によって反射されて横方向の撮像素子部238へ偏向される。
【0065】
次に集光レンズ246を説明する。
集光レンズ246は、ハーフミラー244によって反射された光を所定の小さな範囲に集光する機能を有する。
集光レンズ246は、上記機能から、所定の屈折率を有する凸レンズであり、ハーフミラー244の側方における撮像素子部238の直前に配置され、ハーフミラー244と同様又は小さい直径を有している。
【0066】
次に撮像素子部238を説明する。
撮像素子部238は、ハーフミラー244によって反射され、集光レンズ246によって集光された光束を撮像素子248に到達するまで囲う機能及び撮像素子248支持する機能を有する。
したがって、撮像素子部238は撮像素子248に焦点を結ぶまで所定の長さが必要になるが、本実施例1においては、ベース108の下方、かつ、支軸174の下方、換言すれば、
回転軸線RAの延長線が貫通する位置に配置することで、装置全体を小型化した。
【0067】
次に撮像素子248を説明する。
撮像素子248は集光レンズ246によって集光された像を、撮像する機能を有する。
撮像素子248は、集光レンズ246の横方向であって、撮像素子部238の端部に配置されている。
撮像素子248は、小型化のため、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサが採用される。
【0068】
次に、撮像装置166のタイミング信号出力装置250を主に
図8を参照して説明する。
タイミング信号出力装置250は、移動する硬貨Cに連動し、少なくとも撮像素子248の撮像タイミング、投光装置242の投光タイミング、及び、振分装置104の移動のタイミングを設定するためのタイミング信号を出力する機能を有する。
したがって、タイミング信号出力装置250は同様の機能を有する他の装置に変更することができる。
本実施例1においてタイミング信号出力装置250は、硬貨移送体168、従って押動体182の位置を間接的に検知することによりタイミング信号を出力するが、押動体182の位置を直接的に検知することによりタイミング信号を出力してもよい。
【0069】
本実施例1のタイミング信号出力装置250は、回転体172の周壁179から上方に向けて突出形成した平面視弧状、かつ、側面視矩形状の作用片252、及び、タイミングセンサ254を含んでいる。
作用片252は、押動体182に対応して設けられ、
図8において
回転軸線RAを中心とする円形軌跡を描いて回転する。
タイミングセンサ254は、透過型の光電センサであって、投光部からの投射光を作用片252が遮断を検出した際にタイミング信号TMを出力する。
【0070】
次に、撮像装置166によって撮像した撮上情報IDの判別装置256を
図18を参照して説明する。
判別装置256は、撮像素子248からの撮像情報IDを基準撮像情報と比較して真贋判別及び金種判別する機能を有する。
したがって、判別装置256は同様の機能を有する他の手段に変更することができる。
【0071】
次に演算装置258を説明する。
演算装置258は、金属センサ160、タイミングセンサ254、判別装置256からの信号を受信し、所定のプログラムに基づいて、投光装置242を発光させると共に後述の振分装置104を作動させる機能を有する。
演算装置258は、例えばマイクロコンピュータによって構成される。
したがって、演算装置258は同様の機能を有する他の手段に変更することができる。
【0072】
次に、この硬貨画像取得装置100の作用を
図19乃至
図24をも参照して説明する。
保留ボウル128内の硬貨Cは、回転ディスク142内の回転によって通孔140内に落下し、その表面又は裏面がベース108に支えられ、かつ、押出突条154に押動されると共に第1円形穴120の周面によって案内されて連通部124側へ移動される。
連通部124においては、規制ピン155、156によって案内されつつ押出突条154によって連通部124へ押し出される。
この硬貨Cが連通部124へ押し出されるタイミングにおいて、硬貨移送装置162の硬貨保留室208が連通部124に相対し、かつ、カムフォロワ232が開放維持部222CRに案内されることから、支持レバー214が軸ピン216回りに最も時計方向に回動された位置にあり、押付体170は開放位置RPに保持され、結果として硬貨Cは連通路124を通って硬貨保留室208へ受入られる(
図19)。
【0073】
受け入れられた硬貨Cは、直ぐさま回転する押動体182によって押動されると共に、カムフォロワ232はカム222の押付部222Pによって案内されることから、支持レバー214がスプリング234の弾発力によって軸ピン216回りを反時計方向へ回動されることから、押付体170は開放位置RPから押付位置PPへ向かって移動を開始する(
図20、21)。
【0074】
そして、硬貨Cが撮像窓204の大凡中央に相対する直前に押付体170による押動によって、硬貨Cの周面が押動部183に押し付けられて押動部183と押付体170との位置関係による所定位置に位置決めされる。本実施例1においては、押付体170によって頂部196を挟んだ第1押動部200iと第2押動部202oへ押し付けられ、硬貨Cは3点によって保持されることから、V字形の頂部196を通る中心線CL上に硬貨Cの中心(小径中心SCC、中径中心MCC、大径中心LCC)が位置する所定の位置に安定的に保持される(
図22)。
【0075】
この後、
図14に示す中心線CLと撮像窓204の中央軸線CAとが重なったタイミングにおいて、タイミングセンサ254からのタイミング信号TMに基づいて、演算装置258が投光装置242を発光させ、撮像素子248によって撮像して撮像情報IDを判別装置256へ出力する。判別装置256は、撮像情報IDに基づいて硬貨Cの真偽判別及び金種判別を行い、演算装置258へ出力する。
演算装置258は真偽判別及び金種情報に基づいて後述の所定の処理を行う。
本実施例1においては、小径硬貨SCであっても、大径硬貨LCであっても、硬貨の小径中心SCC及び大径中心LCCは、頂部196を通る中心線CL上に実質的に位置する。換言すれば、中心線CLと撮像窓204の中央軸線CAとが重なった場合、小径硬貨SCの小径中心SCC、及び、大径硬貨LCの大径中心LCCとも中央軸線CA上に位置することから、撮像窓204の短辺方向、換言すれば、硬貨Cの直線SAに沿う方向の撮像は、撮像窓204の範囲で中央軸線CAを中心として対称に行うことができ、中央軸線CAに沿う方向の撮像は、硬貨Cの直径を含む全体を撮像できる。
なお、撮像タイミングは厳密には、中径硬貨MCの
中径中心MCCが中央軸線CA上に位置するタイミングに設定されていることから、小径硬貨SCが撮像される場合、その小径中心SCCが中央軸線CA上に位置する僅かに前位で撮像される、大径硬貨LCの場合はその大径中心LCCが中央軸線CA上に位置した僅か下流側で撮像さることになるが、これらの場合も実質的に中央軸線CA上に位置しているものとして硬貨Cの真偽判別及び金種判別しても何ら問題はない。
【0076】
次いで、カムフォロワ232が解放部222Rに案内され始めるので、支持レバー214は軸ピン216回りを時計方向に回動されて押付位置PPから
開放位置RPへ向けて強制的に移動され、硬貨Cの押動部183への押付が解除される。これにより、硬貨保留室208における硬貨Cは、自重によって落下し得る状態になる(
図24)。
【0077】
次に硬貨画像取得装置100を備えた硬貨選別装置102を構成する選別孔262を主に
図3及び
図6を参照して説明する。
選別孔262は、硬貨画像取得装置100によって撮像情報IDを取得された硬貨Cを金種別に選別するための振分装置104に案内する機能を有し、本実施例1においては、硬貨画像取得装置100の下流の移動経路198の下側のベース108に開口された弧状の孔である。具体的には、
図3に示すように、撮像窓204に対し約90度の角度において選別孔262の上流側端部262iが形成され、下流側端部262oは撮像窓204の上流側端部と大凡並ぶ位置において形成される。換言すれば、選別孔262と撮像窓204とは
回転軸線RAを挟んで大凡対称に配置されている。当然ながら、その幅は
大径硬貨LCの直径よりも僅かに大きく形成されている。硬貨Cの移動方向に沿った縦方向(高さは)の長さは、大径硬貨LCの直径の1.5倍程度に設定されている。硬貨Cに移動慣性力が作用した場合であっても、硬貨Cがベース108の下方に確実に落下して振分装置104に案内できるようにするためである。
したがって、押動体182によって押動され、撮像窓204を通過した硬貨Cは、撮像窓204に対し約100度回転された位置から選別孔262へ落下し初め、撮像窓204に対し約180回動された位置においては完全に選別孔262内に落下し、選別孔262の下側に連なる振分通路264内に落下する。
【0078】
次に振分通路264を主に
図6を参照して説明する。
振分通路264は、選別孔262に落下した硬貨Cを案内し、振分装置104へ導く機能を有する。
したがって、振分通路264は同様の機能を有する他の手段に変更することができる。
本実施例1において、振分通路264はベース108の下方において、選別孔262に連続して前下がりに傾斜する断面矩形の通路であり、大径硬貨LCが途中でひっかっかることがない寸法及び表面平滑に形成されている。
【0079】
次に振分装置104を説明する。
振分装置104は、硬貨画像取得装置100を通過し、選別孔262に落下した硬貨Cを判別装置256の金種の判別結果に基づいて金種別に振り分ける機能を有する。
よって、振分装置104は同様の機能を有する他の装置に変更することができる。
本実施例1における振分装置104は、振分通路264に配置されている。
振分装置104は、逸らせ体268、分岐通路270及びアクチュエータ272を含んでいる。
【0080】
まず、分岐通路270が主に
図6を参照して説明される。
分岐通路270は、振分通路264に連通してその下方に形成され、第1分岐通路274及び第2分岐通路276を含んでいる。第1分岐通
路274は底板114の下面に開口し、金庫等に連通される。
第2分岐通路276は硬貨受箱116の先端開口278に開口している。
【0081】
次に逸らせ体268を説明する。
逸らせ体268は、判別装置256からの真偽信号又は金種情報に基づいて異なる通路へ硬貨Cを案内する機能を有する。
したがって、逸らせ体268は同様の機能を有する他の装置に変更することができる。
本実施例1において逸らせ体268は、振分通
路264に配置され、第1分岐通路274又は第2分岐通路276の各入口を選択的に閉止(開口)する機能を有する。
具体的には、逸らせ体268は矩形の板状体であり、下端両端部から突出する揺動軸280(
図18)が振分通路264を形成する側壁に回転自在に支持されている。
逸らせ体268の下端は、第1分岐通路274又は第2分岐通路276を確定する隔壁284の直上に配置されている。したがって、逸らせ体268が
図6における実線示位置に位置する場合、硬貨C(大径硬貨LC)は第2分岐通路276へ案内され、鎖線示位置に位置する場合、硬貨C(小径硬貨SC)は第1分岐通路274へ案内される。
【0082】
次にアクチュエータ272を説明する。
アクチュエータ272は、逸らせ体268を選択的に第1分岐通路274又は第2分岐通路276の入口を閉止するように移動させる機能を有する。
したがって、アクチュエータ272は同様の機能を有する他の装置に変更することができる。
本実施例1において、アクチュエータ272は電磁アクチュエータ282である。
電磁アクチュエータ282のアーマチャは揺動軸280に固定されたレバー286(
図18)の先端部に回動自在に連結され、スプリング288(
図5)によって突出方向に付勢されている。したがって、電磁アクチュエータ282の電磁石が励磁されていない場合、逸らせ体268はスプリング288の弾発力によって第2分岐通路276の入口を閉止している(
図6における鎖線位置)。換言すれば、振分通路26
4と第1分岐通路274とが連通している。
電磁アクチュエータ282の電磁石が励磁された場合、アーマチャはスプリング288に反して引き込まれ、
図6において時計方向へ回動されて第1分岐通路274の入口を閉止する(
図6における実線示)。換言すれば、振分通路264と第2分岐通路276とが連通される。
【0083】
次に硬貨選別装置102の作用を説明する。
例えば、小径硬貨SCが主であって、大径硬貨LCが希に混入している場合を例に説明する。
この場合、予め、小径硬貨SCである場合、第1分岐通路274に案内されるように設定される。すなわち、電磁アクチュエータ282の励磁時間を可及的に少なくして省電力化するためである。また、判別装置256が大径硬貨LCであると判別した場合、所定のタイミングで電磁アクチュエータ282の電磁石を励磁するように演算装置258が制御するようにプログラムされている。
大径硬貨LCであると判別された場合、演算装置258は判別装置256からの判別信号に基づいて電磁アクチュエータ282の電磁石をタイミングセンサ254からのタイミング信号TMに基づいて所定のタイミングで所定時間励磁し、揺動軸280が
図6において時計方向に回動させる。
これにより、逸らせ体268は揺動軸280の回動によって、
図6に実線で示す第1分岐通路274の入口を閉止する位置に移動される。
これにより、大径硬貨LCは第2分岐通路276へ案内され、硬貨受箱116に保留される。
小径硬貨SCである場合、演算装置258は電磁アクチュエータ282を励磁しないので、逸らせ体268は第2分岐通路276の入口を閉止する位置を継続するため、小径硬貨SCは第1分岐通路274へ案内され、金庫に保留される。
【0084】
次に上記の硬貨画像取得装置100を備えた硬貨選別装置102の作用を説明する。
硬貨画像取得装置100の説明は前述と同一なので、説明を省略し、異なる作用、すなわち硬貨選別装置102の作用を説明する。
判別装置256の大径硬貨LC又は小径硬貨SCの判別結果、及び、タイミングセンサ254からのタイミング信号TMに基づいて、演算装置258は電磁アクチュエータ282を制御する。具体的には、大径硬貨LCであると判別しされた場合、電磁アクチュエータ282の電磁石が励磁され、大径硬貨LCの先端が選別孔262の上流側端部262iに達するタイミングにおいて、逸らせ体268が第1分岐通路274の入口を閉止し、大径硬貨LCが第2分岐通路276に達するに十分な時間、当該閉止を継続した後であって、かつ、次の硬貨Cが上流側端部262iに達する前に励磁が中止され、逸らせ体268は第2分岐通路276の入口を閉止する位置に復帰され、次の硬貨Cの選別に備える。
これにより、押動体182によって押動される大径硬貨LCは、選別孔262に達した場合、自重によって選別孔262に落下し、次いで振分通路264から逸らせ体268によって第2分岐通路276へ案内された後、硬貨受箱116内に落下し、保留される。
【0085】
小径硬貨SCが判別された場合、演算装置258は電磁アクチュエータ282を励磁しないので、逸らせ体268は第2振分通路276の入口の閉止を継続するから、当該小径硬貨SCは第1分岐通路274へ案内され、金庫に保留される。