特許第6074662号(P6074662)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6074662
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20170130BHJP
   H01M 8/04746 20160101ALI20170130BHJP
【FI】
   H01M8/04 J
   H01M8/04 Z
   H01M8/04 A
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-544697(P2013-544697)
(86)(22)【出願日】2011年12月13日
(65)【公表番号】特表2013-546155(P2013-546155A)
(43)【公表日】2013年12月26日
(86)【国際出願番号】US2011064659
(87)【国際公開番号】WO2012082747
(87)【国際公開日】20120621
【審査請求日】2014年12月3日
(31)【優先権主張番号】61/422,934
(32)【優先日】2010年12月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504175659
【氏名又は名称】インテリジェント エナジー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】INTELLIGENT ENERGY LIMITED
(73)【特許権者】
【識別番号】515087570
【氏名又は名称】ザ コミッサリア タ レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴズ
(74)【代理人】
【識別番号】100086531
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 俊夫
(72)【発明者】
【氏名】ローゼンスウェ、アレン
(72)【発明者】
【氏名】ラス、カート
(72)【発明者】
【氏名】クレロ、アンドリュー、ジェイ.
【審査官】 久保田 創
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−123163(JP,A)
【文献】 特開2007−242606(JP,A)
【文献】 特開2005−322495(JP,A)
【文献】 特開2007−220620(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3142115(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0248371(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00−8/2485
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
置換可能な水素燃料サプライと、
燃料電池と、
回転可能な平坦円筒本体であってそのエッジの一部に沿ってカムを具備する上記円筒本体、上記円筒本体を貫通するように設けられた少なくとも1つの開口、およびアクチュエータ部分を有するトグルスイッチとを有し、
上記アクチュエータ部分が第1の位置に移動するときに、水素が上記燃料電池に供給され、かつ、電気的なON/OFFスイッチが上記カムによって駆動され、さらに、上記アクチュエータが第2の位置に移動するときに水素が上記燃料電池からパージされ、水素は上記少なくとも1つの開口を介して上記燃料電池に供給され、かつ/または、上記燃料電池からパージされることを特徴とする燃料電池システム。
【請求項2】
上記燃料電池システムはスタンドアローンのバッテリまたは電子装置内にストアされているバッテリを充電するための電気を生成する請求項1記載の燃料電池システム。
【請求項3】
上記燃料電池は少なくとも2つの燃料電池を有し、上記2つの燃料電池のカソード側が相互に対面する請求項1記載の燃料電池システム。
【請求項4】
ファンが上記2つの燃料電池のカソード側に酸化剤を供給する請求項記載の燃料電池システム。
【請求項5】
上記ファンは可変速度である請求項記載の燃料電池システム。
【請求項6】
湿度センサをさらに有する請求項記載の燃料電池システム。
【請求項7】
上記少なくとも1つの開口は燃料開口およびパージ開口を有する請求項1記載の燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、全般的には、燃料電池システムに関し、より具体的には、燃料電池を有し、水素貯蔵装置または水素発生装置を収容するように適合化されたシステムに関する。水素は圧力安定化され燃料電池に搬送され、ここで水素が電気エネルギーに変換され、この電気エネルギーが任意の電子装置を給電するのに使用され、また電池または装置を充電するのに使用されて良い。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、反応物、すなわち燃料および酸素の化学エネルギーを直流(DC)の電気に直接的に変換する装置である。多くの用途において、燃料電池は、化石燃料の燃焼のような従来の発電やリチウムイオン電池のような携帯用蓄電池より効率が良い。具体的には、燃料電池の1つの用途は、携帯電話、パーソナルデジタルアシスタント、パーソナルゲーム機、グローバルポジショニングシステムのような消費者向け電子機器の電気充電器や再充填可能なバッテリ層を補給するための充電装置に燃料を供給することである。
【0003】
既知の燃料電池は、アルカリ燃料電池、高分子電解質燃料電池、リン酸燃料電池、溶融炭酸燃料電池、固体酸化物燃料電池、および酵素燃料電池を含む。燃料電池は一般に水素(H)燃料で稼働し、純粋でない水素燃料を消費しても良い。純粋でない水素燃料は、メタノールを利用する直接メタノール燃料電池(DMFC)や、炭化水素を高温で利用する固体酸化物燃料電池のような直接酸化燃料電池を含む。水素燃料は、圧縮された形態で貯蔵されても良く、アルコールまたは炭化水素、または、他の水素含有物質内に貯蔵されて良く、これは、水素燃料および副産物に改質または変換される。水素は、化学的な水素化物、例えば水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)に貯蔵されても良く、これは水またはアルコールと反応して水素およびその他の副産物を生成する。水素は、また、第1の圧力および温度で、金属水素化物、例えばペンタニッケルランタン(LaNi)の内部に吸収され、第2の圧力および温度で水素を開放しても良い。
【0004】
ほとんどの水素燃料電池は陽子交換膜または高分子電解質膜(PEM)を具備し、これが、水素の陽子を透過可能にし、他方、電子を強制的に外部回路を通じて流し、この外部回路が、有利なことに、セルラー電話、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、コンピュータ、電動工具、その他の電力または電流を使用するデバイスであってよい。燃料電池の反応はつぎのように表される。
燃料電池のアノードでの半反応:
H2 → 2H + 2e
燃料電池のカソードでの半反応:
2(2H + 2e) + O → 2H
【0005】
一般に、PEMはNafion(商標)などのポリマーから作られており、これはDuPontから入手可能であり、厚さが約0.05mm〜約0.50mmの範囲のペルフルオスルホン酸ポリマー、その他の膜である。アノードは、典型的には、白金ルテニウムなどの触媒の薄層によってサポートされたテフロン(Teflonized。テフロンは登録商標)のカーボン紙から製造される。カソードは、典型的には、白金粒子が膜の一面に接着されるガス拡散電極である。
【0006】
一般に、水素燃料源は燃料電池と離れて配置され、典型的には個々の電池のスタックを有する。この構成では、とくに携帯型消費者向け電子装置に関して、制約的なスペースの利用を最適化できない。特許文献は、燃料電池により包囲される燃料源を開示している。米国特許第6,506,511号、US2009/0258266号および米国特許第7,442,462号を参照されたい。ただし、これら文献は、燃料源および燃料電池の間のスペースを最適化しない。したがって、利用可能なスペースの使用を最適化するコンパクトな燃料電池システムに対する要望が依然としてある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,506,511号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開2009/0258266号明細書
【特許文献3】米国特許第7,442,462号明細書
【発明の概要】
【0008】
この発明は、ONおよびOFFの間で切り替わるトグルスイッチ(32)を伴う燃料電池システム(10)に向けられている。OFF位置で、ガスが燃料電池からパージされる。燃料電池(12)は燃料ソース(14)を包囲して良く、燃料電池のカソード側が燃料ソースに対面する。さらに燃料電池(12)および燃料ソース(14)の双方は類似の形状因子を有して利用可能なスペースを最大化させて良い。好ましくは形状因子は実質的に卵形の形状である。燃料電池システムは圧力調整器(26)も具備して良い。
【0009】
添付図面は明細書の一部を形成し、それとの関連で把握されるべきであり、種々の図において類似の参照番号は類似の部分を指し示すものとして用いられている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】この発明の燃料電池システムの断面図である。
図2図1の燃料電池システムとともに使用可能な事例的な水素発生または貯蔵装置の斜視図である。
図3図1の燃料電池充電装置を、その頂部を示すようになして示す、拡大断面図である。
図4】この発明とともに使用されるトグルスイッチの斜視図である。
図5】この発明の他の実施例を示し、(A)は正面図、(B)は(A)の燃料電池のアノード側の側面図、(C)は(A)の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は燃料電池システム10を示し、これはバッテリ充電器であってよい。図示のとおり、燃料電池システム10は、水素燃料ソース14を収容するように構成された燃料電池12を具備し、この水素燃料ソース14は図2に示される。水素燃料ソース14は、任意の形態で、または先に検討した水素吸収水素化物中に圧縮水素を貯蔵して良く、また、メタノールや他のアルコールや炭化水素のような燃料をリフォーマットして、または、ホウ化水素ナトリウム、アルミニウム水素化物またはマグネシウム水素化物のような金属水素化物と水またはアルコールとの間の反応によって、水素をその場で発生させて良い。事例的な水素ソース14は2010年4月5日に出願された米国デザイン特許出願第29/359,037号、2010年7月2日に出願された米国非仮特許出願第12/829,801号および同第12/829,827号、ならびに公開された国際特許出願第WO2010/051557号および同第WO2010/075410号に説明されており、その内容は参照してすべてここに組み入れる。
【0012】
この発明の第1の実施例に従うと、燃料電池12は好ましくは水素燃料ソース14のまわりをゆるく包み込む寸法とされ、水素燃料ソース14の外側形状と合致する。水素燃料ソース14は、蓋16が図1に示すように開放されているときに、底部から、水素燃料ソース14の水素バルブ18が燃料電池システム10の対応する水素バルブ20に係合するまで、挿入させられる。適切な水素バルブ18および20は、先に検討した公開国際特許出願第WO2010/051557号および同第WO2010/075410号、および、公開国際特許出願第WO2009/026441号および同第WO2009/026439号において検討されている。これらの内容は参照してここに組み入れる。ただし、既知の水素バルブのいずれもこの発明において使用可能である。
【0013】
蓋16は燃料電池システム10の底部22との間でシールを形成せず、必要な酸化剤、例えば、雰囲気待機からの酸素がシステム10に入り込みカソード側で反応するようになっている点に留意されたい。カソード側は燃料電池12の内面表面である。代替的には、酸化剤が貯蔵され、燃料電池12のカソード側に搬送されて良い。オプションとして、バネ24が設けられ、水素燃料ソース14が挿入されるときに圧縮されたエネルギーを蓄え、圧縮されたバネ24がシステム10からの水素燃料ソース14の開放・引き抜きを容易に行えるようにする。
【0014】
水素燃料がバルブ18および20を通じて搬送された後、燃料の圧力は圧力調整器26によって調整される。調整器26は、水素バルブ20の実質的な出口である入口28において種々の圧力で水素燃料を取り入れ、水素燃料が調整器出口30において実質的に安定した圧力で調整器26から出るように圧力を修正する。調整器26を使用する利点は、燃料電池12が実質的に安定した圧力で水素燃料を受取り、この安定した圧力が燃料電池の性能および長寿命化を最大化させる。事例的な調整器は公開された米国特許出願第2006/174952号に説明されており、その内容は参照してここに組み入れ、また、公開された国際特許出願第WO2009/026441号および同第WO2009/026439号に説明されている。
【0015】
燃料システム10内における、調整器出口30からの近傍および下流において、トグルスイッチ32が、図4において最も良く示されるように、ピン34に回転可能に取り付けられる。トグルスイッチ32は少なくとも3つの開口を有する。開口36は、ピン34のまわりにフィットするような寸法および形状を伴ってトグルスイッチ32を回転可能に支持する。燃料開口38は、水素燃料が出口30から燃料電池12のアノード側すなわち外側表面に入ることを可能にするために設けられる。パージ開口40は、過剰な水素を燃料電池12のマニホールド48から排出またはパージ可能にするために設けられ、過剰な水蒸気または水滴の副産物、および/または、他の気体不純物が燃料電池12から除去されて、燃料電池12上の触媒基体に不活性スポットが形成されるのを阻止し、または最小化するようになっている。トグルスイッチ32はさらにラム面42および指操作可能部44を有している。トグルスイッチ32はON位置およびOFF位置の間を回転でき、このON位置は図4に示すようなものであり、この位置では、燃料開口38が調整器出口30および燃料電池入口39に整合して水素がトグルスイッチを通り抜けるようになっている。この位置において、ラム面42は、電気ON−OFFスイッチ43のバイアスされたアームをON位置に押圧する。これは、燃料電池システム10に、燃料が燃料電池12に搬送され電気が生成されていることを通知する。シール部材46は、例えばO−リングであり、燃料開口38と調整器出口30との間に設けられて確実に水素燃料が逃げ出さないようになす。図3に示すように、開口38は角度付けて位置づけられているけれども、開口38は線形でも曲線でも良く、任意の方向に配向されていて良い。
【0016】
トグルスイッチ32を例えば矢印Aの方向に沿ってOFF位置まで回転させて、開口38が調整器出口30と不整合となり水素燃料の流れを中断させるようにできる。また、OFF位置では、ラム面42が、もはや、バイアスされたアームと整合せず、スイッチがOFF位置に切り換えられ、調整器出口30がトグルスイッチ32の固体部分まったく反対となり、水素燃料の流れを停止させる。OFF位置では、他の電気接触が実現されて好ましい遮断手順の開始が通知され、ON位置では、他の電気接触により、好ましい開始手順、他のソフトウェアまたはファームウェアが起動される。それら好ましい手順は「ホット・スワップ」手順を含み、事例的な「ホット・スワップ」手順は米国特許第7,655,331号に開示されており、その内容は参照してここに組み入れる。好ましくはスイッチ43のアームはOFF位置にバイアスされる。この時点で、燃料電池入口39はパージ開口40と整合させられ、未反応の水素が燃料電池12のアノード側から排出可能となる。1実施例において、排気用の開口40はベント47と整合させられ、未使用の水素燃料が排出される。
【0017】
トグルスイッチ32は電気スイッチまたは電子スイッチであってよく、この発明はどのような特定のトグルスイッチに限定されるものではない
【0018】
再度、図1を参照すると、水素燃料は、燃料電池入口39を通過した後、水素マニホールド48に入る。水素マニホールド48は燃料電池12の外側表面またはアノードを包囲している。代替的には、燃料電池のカソード側が燃料電池の外側表面側にあってよく、マニホールド48が水素を燃料電池の内側表面のアノードに供給する。水素および酸素は燃料電池12で反応して電気を生成し、これは上述のとおりである。また、水素マニホールドはバルブ50を具備して良く、これは、システム10が遮断したときに未反応の水素をパージするパージバルブであってよい。これによって、非動作時には水素がアノード側から除去されて、未使用の水素、および/または、生成されるかもしれない任意の毒性の可能性がある気体が触媒基体またはその活性に悪影響を与えないようにする。バルブ50は逆止バルブであってもよく、これは水素マニホールド48の圧力が所定の閾値を超えたときに開となる。バルブ50は、燃料電池反応により生成された水蒸気/水滴の副産物をパージしてもよい。
【0019】
この発明の他の側面によれば、燃料電池システム10は集積回路チップ52を伴っても良く、これは記憶蓄積キャパシティを含んで良い。ICチップ52はプリロードされたソフトウェアを含み、燃料電池システム10の動作を制御してよく、これに限定されないが、好ましい開始、および停止手順、上述のソフトウェアおよびファームウェアを含む。ICチップ52は燃料電池システム10により電力供給される電子装置のためにソフトウェアアップデートを含んでも良い。これに加え、あるいは、代替的に、ICチップ52は、燃料電池タイプ、燃料タイプ、燃料ゲージ、温度ゲージ、燃料濃度ゲージ、燃料純度レベル等の、燃料電池システム10の動作に必要な情報をストアする。燃料電池システム10により給電される電子装置は、それ独自のプロセッサに、ICチップ52上に保持された情報をアクセスさせてよく、ICチップ52に素とあされているソフトウェアを使用して良い。年長電池用途に適切なメモリ装置およびプロセッサは、米国特許第7,655,331号に説明されており、これについては先に参照した。
【0020】
上述のとおり、燃料電池システム10は、電気を必要とする任意の装置を直接に給電できる。燃料電池システムは電力安定化チップを保持して電気出力レベルを制御してよい。そのような電力安定化チップおよび燃料電池システムは公開された米国特許出願第2009/0311561号に説明されており、その内容は参照してここに組み入れる。
【0021】
また、燃料電池システム10は、スタンドアローンの再充電可能バッテリ、または、電子装置内に貯蔵された再充電可能バッテリを再充電する充電装置であってよい。また、燃料電池システム10は、システム10が非動作のときに、出力電圧または電流をバッファするための内部バッテリまたはキャパシタを充電し、または、内部クロックを維持し、または、左端這い電力を供給して良い。例えば、システム10は、燃料電池システム10を再充電可能なバッテリに接続するのに適したUSBスロット54(明瞭化のために内部電気接続は省略した)を有する。
【0022】
この発明の他の側面によれば、利用可能なスペースを最大化させるために、燃料電池システム10の形状を燃料カートリッジ14の形状に類似させる。換言すると、燃料電池システム10および燃料カートリッジ14は少なくとも、例えば、これら装置の頂部および底部表面を含まない、側面において類似のフォームファクタ(形状因子)を具備する。好ましくは、両装置は図1および図2に示すように卵形(オーバル)形状を伴う。卵形形状は、例えば、円筒または円形形状と較べたときに、所定の体積当たりの表面面積を大きくするという点で、有益である。燃料電池12は表面面積が大きくなればより大きな電気を供給するであろう。さらに、卵形形状は、例えば、卵形形状と同様に大きな表面面積を実現するダイヤモンド断面と比較したときに、より人間光学的である。燃料電池12は内側表面または外側表面にカソードを具備して良い。好ましくは、燃料電池12と燃料サプライ14との間のスペースは最小化される。
【0023】
燃料電池システム10の他の実施例が図5A〜5Cに示される。この実施例において、燃料電池システム10の燃料電池12は、少なくとも一対の燃料電池12aおよび12bを有し、燃料電池12aおよび12bは、それらのカソード側すなわち酸化剤側が互いに対面するように配列され、これは図5Aおよび5Cに示すとおりである。2つのカソード側60の間にスペースが実現され、ファン64が、強制的で制御された雰囲気空気を供給し、酸化剤(酸素)をカソード側60にもたらす。好ましくは、当該スペースに湿度センサが設けられ、燃料電池12aおよび12bの性能を監視し制御する。ファン64は好ましくは電気の生成速度、または水素の消費速度に応じて速度を可変させる。コントローラはICチップ52内に配置でき、これがファン64の速度を制御して良い。ファン64は好ましくは燃料電池12aおよび12bにより給電される。代替的には、ファン64は、少なくとも、燃料電池12aおよび12bが動作状態になるまで、バッテリまたは他の電気緒層装置により給電され、あるいは、ファン64はフルタイムでバッテリは類似の装置により給電されて良い。


【0024】
図1〜4に示す実施例と同様に、この実施例でも、水素燃料ソース14は燃料電池システム10に水素バルブ、圧力調整器、およびトグルスイッチを通じて結合され、これらは集合的に要素66として示され、これにON−OFFスイッチ43が動作的に結合されている。この実施例のマニホールド48は2つの分岐を有し、これが水素燃料を各燃料電池12aおよび12bのアノード68へ運び、これは図5Aおよび5Bに最も良く示される。マニホールド48は好ましくは多数の分岐70を具備して水素燃料をより等しく分散させる。適切な水素分散手法は、また、上述の米国特許出願第2009/0311561号にも説明されている。
【0025】
燃料電池12aおよび12bの双方に結合されているパージ/ベントバルブ50は、第1の実施例で検討したものと同様に、この実施例でも設けられ、これは図示のとおりである。電気部品は、例えば図5Cの要素72のように、取り付けられて良い。図5A〜5Cに示すように、燃料電池システム10は図1〜4の実施例に類似のハウジングに内包されて良い。
【0026】
この発明の設計の利点は、水素燃料ソース14が水素化ホウ素ナトリウムのような金属水素化物と水との間の化学反応により水素燃料を生成するとき、この化学反応は発熱反応であり、生成された熱を、動作時に、燃料電池12の温度および/または湿度を制御するのに利用できるという点である。燃料電池12のカソード側すなわち酸化剤側は燃料電池システム10に対して内側にあるので、環境空気は燃料電池12用により好ましい温度範囲に温められ、環境空気の相対湿度も生成熱により制御できる。
【0027】
この設計の他の利点は、燃料電池12のカソード側を、外部環境へ露出したときに起こり得る物理的な損傷、またはユーザの使用時の直接的な接触から防護できるという点である。なぜならば、カソード側が燃料電池システム10の内部にあるからである。これにより、燃料電池12の長寿命化および性能が増大させられる。燃料電池は空気を吸引し、その性能は環境空気の品質に顕著に影響を受ける。水素燃料ソース14が熱を発生させず、あるいは、燃料電池システム10に対して多くの熱を発生させないときは、水素燃料ソース14はヒートシンクとして動作して良い。さらに、水素燃料ソース14は、例えが、使用時の衝撃の間、燃料電池システム10に対して付加的な構造的な完全性(インティグリティ)を実現して良い。
【0028】
この明細書および例は例示としてのみ意図されており、この発明の本来の範囲および趣旨は以下の特許請求の範囲およびその均等物により示される。この発明の他の実施例が、ここで開示された、この発明の当該明細書およびその実施を考慮して、当業者には明らかであろう。さらに、1つの実施例の要素または特徴を他の実施例に採用できる。
【符号の説明】
【0029】
10 燃料電池システム
12 燃料電池
14 水素燃料ソース
16 蓋
18 水素バルブ
20 水素バルブ
22 底部
24 バネ
26 圧力調整器
28 圧力調整器入口
30 圧力調整器出口
32 トグルスイッチ
34 ピン
36 開口
38 燃料開口
39 燃料電池入口
40 パージ開口
46 シール部材
48 水素マニホールド
50 ベントバルブ
52 集積回路チップ
図1
図2
図3
図4
図5