【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は上記の問題点を解決するもので、健康や環境により配慮した製法で、生産性向上、低コスト化を実現すべく、ペルフルオロアルケニルオキシ基含有アレーン化合物の製造する際に副生するフッ酸をフッ化カルシウムに変換し、反応助剤等とともに簡便且つ効果的に回収、再利用する方法を提供することを目的とする。
【0018】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、一般式(C
3nF
6n−1O)
kAr(式中、nは2又は3の整数、kは1以上の整数、Arは置換基を有することもある芳香族単環及び多環式炭化水素基の中から選ばれる種であることを示す。)で表されるペルフルオロアルケニルオキシ基含有アレーン化合物の製造にあたり、溶媒として非プロトン性極性溶媒、塩基性触媒として三級アミンを用いることにより、フェノール性OH基を少なくとも1個有するアレーン化合物とヘキサフルオロプロペンのオリゴマーとの脱フッ酸反応を高収率で進め、該反応生成溶液にCaCO
3類を加えて副生フッ酸と反応させ、系中にてフッ化カルシウム固形分として安全な物質に変換して簡易に分離回収し、該
作に対するフッ酸の影響をなくすることができ、蒸留等の操作により三級アミン、非プロトン性極性溶媒、未反応オリゴマーを簡易、安全に且つ目的生成物のロスも少なく分離回収できることを見出した。又、これらの回収した化学物質を再利用してペルフルオロアルケニルオキシ基含有アレーン化合物を製造できるとともに、回収したフッ化カルシウムを有効利用できることも見出して、本発明を完成するに至った。
【0019】
すなわち、本発明は、
(イ)(HO)
kAr(式中、kは1以上の整数、Arは置換基を有することもある芳香族単環及び多環式炭化水素基の中から選ばれる種であることを示す。)で表されるフェノール類に対して非プロトン性極性溶媒を溶媒として用いて得られる該フェノール類の溶解液に、三級アミンを1.0〜3.0当量(対該フェノール類のOH基1当量)及び一般式(C
3F
6)
n(式中、nは2又は3の整数を示す。)で表されるヘキサフルオロプロペンのオリゴマーを1.0〜1.3モル(対該フェノール類のOH基1当量)を加えて反応温度0℃〜70℃にて反応を行い、一般式(C
3nF
6n−1O)
kAr(式中、nは2又は3の整数、k及びArは前記と同じ意味を示す。)で表されるペルフルオロアルケニルオキシ基含有アレーン化合物の反応生成混合物を得る工程と、
(ロ)上記(イ)工程で得られるペルフルオロアルケニルオキシ基含有アレーン化合物の反応生成混合物に、CaCO
3、Ca(OH)
2及びCa(HCO
3)
2の群の中から選ばれる少なくとも1種を0.5〜2.0モル(対該フェノール類のOH基1当量)加えて(イ)工程の反応にて副生するフッ酸と反応を行い、フッ化カルシウム分散反応生成混合物を得る工程と、
(ハ)上記(ロ)工程で得られるフッ化カルシウム分散反応生成混合物よりフッ化カルシウム固形分を分離、三級アミン、非プロトン性極性溶媒及び未反応のヘキサフルオロプロペンのオリゴマーを留去して、該ペルフルオロアルケニルオキシ基含有アレーン化合物成分を得る工程と、
を含むことを特徴とする一般式(C
3nF
6n−1O)
kAr(式中、n、k及びArは前記と同じ意味を示す。)で表されるペルフルオロアルケニルオキシ基含有アレーン化合物の製造法である。
【0020】
本発明の(イ)工程に係わるフェノール類は、一般式(HO)
kAr(式中、kは1以上の整数、Arは置換基を有することもある芳香族単環及び多環式炭化水素基の中から選ばれる種であることを示す。)で表される化合物である。
【0021】
該式中において、(HO)
k基は、Arで表される置換基を有することもある芳香族単環及び多環式炭化水素基の芳香族環に結合するフェノール性OH基を示す。kは1以上の整数であるが、反応を良好に進め優れた収率を得るには、1〜3の整数であることが好ましい。Arは、置換基を有することもある芳香族単環及び多環式炭化水素基の中から選ばれる種であるが、該芳香族単環及び多環式炭化水素基は、該芳香族単環及び多環式炭化水素の芳香族核上に遊離基があるものであり、該芳香族炭化水素としては、例えばベンゼン、ナフタレン、アントラセン等が挙げられるが、好ましくはベンゼン及びナフタレンである。
【0022】
該置換基としては、例えば、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基等のアルケニル基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、モノアシルアミノ基、ジアシルアミノ基等のモノ、ジ置換アミノ基、N,N−ジアルキルアミド基等のジ置換アミド基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0023】
本発明の(イ)工程に係る(HO)
kAr(式中、kは1以上の整数、Arは置換基を有することもある芳香族単環及び多環式炭化水素基の中から選ばれる種であることを示す。)で表されるフェノール類(以下、フェノール類という。)の溶解液の溶媒として用いる非プロトン性極性溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド類、スルホラン類が挙げられるが、好ましくはN,N−ジメチルホルムアミドである。
【0024】
該N,N−ジメチルホルムアミドは、原料フェノール類に対する相溶性に優れていること、更に、引き続いて行うヘキサフルオロプロペンのオリゴマーからなる脱フッ酸反応の合成溶媒として、合成反応性、生成物との相溶性に優れること、比較的沸点が低く、水と共沸しないため回収が簡易であること等から極めて優れている。
【0025】
尚、かかる非プロトン性極性溶媒として、ヘキサメチルホスホルアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド類、スルホラン類の溶媒は、原料フェノール類に対する相溶性が十分でないこと、回収における取扱いが難しい等のため工業用として利点に乏しい。
【0026】
本発明の(イ)工程に係る三級アミンとしては、脂肪族三級アミンおよび芳香族三級アミンが有用であり、例えば、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、ピリジン、N,N−メチルピペリジン、1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル等が挙げられるが、好ましくは脂肪族三級アミンであり、特に好ましくはトリエチルアミンである。
【0027】
該トリエチルアミンは、一般式(C
3F
6)
n(式中、nは2又は3の整数を示す。)で表されるヘキサフルオロプロペンのオリゴマー中の反応性に優れる異性体への異性化を容易に進めること、本発明に係る製造の脱フッ酸反応の触媒として優れて反応が速やかに進むこと、本発明に係る製造法の(ロ)工程において生成する水を共沸混合物として容易に留去できること、製造プロセスにおいて該化合物の回収が簡易であり該製造に再利用できること、該化合物を排出しないため健康や環境により配慮されること等から本発明に係るペルフルオロアルケニルオキシ基含有アレーン化合物の製造を実用化する上で工業的に特に優れている。
【0028】
又、該ペルフルオロアルケニルオキシ基含有アレーン化合物の合成反応における三級アミンの使用量としては、該フェノール類のOH基1当量に対して該アミノ基1.0〜3.0当量の量比であるが、1.02〜2.1当量の量比で使用することがより好ましい。該量比が、1.0当量より少ない場合には、反応生成物中に不純物として該フェノール類及びその重合物が混在し精製等の工程が煩雑になり工業的に不利になること、又、3.0当量より多い場合には、合成反応において副生反応物が生成しやすいこと等から好ましくない。
【0029】
本発明の(イ)工程に係る一般式(C
3F
6)
n(式中、nは2又は3の整数を示す。)で表されるヘキサフルオロプロペンのオリゴマーとしては、例えば、ヘキサフルオロプロペン2量体(C
6F
12)、ヘキサフルオロプロペン3量体(C
9F
18)及びこれらの異性体が挙げられるが、これらの混合物を用いることもできる。
【0030】
又、該ヘキサフルオロプロペン3量体には、ペルフルオロ(3−イソプロピル−4−メチル−2−ペンテン)とペルフルオロ(3−エチル−2,4−ジメチル−2−ペンテン)の2幾何異性体が存在するが、異性体ペルフルオロ(3−イソプロピル−4−メチル−2−ペンテン)は、本発明に係わる反応条件下において、該異性体の2位結合F原子と原料フェノール性OH基との脱フッ酸反応が極めて容易に進むため特に好ましい。他方、異性体ペルフルオロ(3−エチル−2,4−ジメチル−2−ペンテン)は、通常、それ自体と原料フェノール性OH基との反応は極めて進み難いが、該異性体は、本発明に係わる非プロトン性極性溶媒、三級アミン存在下においては、異性体ペルフルオロ(3−イソプロピル−4−メチル−2−ベンテン)に容易に異性化して、原料フェノール性OH基との反応が良好に進むため、同様に有用であり、これらの異性体混合物を用いることもできる。
【0031】
尚、ヘキサフルオロプロペンをフッ素イオンの存在下スルホラン類を溶媒として2量化または3量化したもの、ヘキサフルオロプロペンの2量体または3量体をフッ素イオンの存在下スルホラン類を溶媒として異性化して得られる化合物は反応性が良好であることから好ましい。
【0032】
かかるヘキサフルオロプロペンのオリゴマーの使用量は、該合成反応が化学量論的には該オリゴマー1モルと該フェノール類のOH基1当量の量比で反応が進むので、反応に用いる該フェノール類のOH基1当量に対して1モルの量比で使用すればよいが、該反応を十分に完結させるには、通常該フェノール類のOH基1当量に対し1.0〜1.3モルの量比で使用するのが好ましい。
【0033】
本発明の(イ)工程に係る合成の反応温度は、0℃〜70℃の範囲である。反応温度が高くなるに従って反応速度が速くなるが、室温で十分速やかに反応させることができ、原料及び生成物の熱重合反応等の副反応を防止する上から5℃〜65℃の範囲で行うことが好ましく、より好ましくは10℃〜60℃の範囲である。
【0034】
該反応は、大気圧下あるいは加圧下で行うことができるが、反応作業、装置の簡便さから大気圧下で行うことが好ましい。
【0035】
更に、反応系は、空気雰囲気下あるいは不活性ガス雰囲気下で行うことができるが、反応生成物の着色を少なくする上から不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。かかる不活性ガスとしては、具体的には窒素、ヘリウム、アルゴン、キセノン等が挙げられるが、特に、経済性の面から窒素が好ましい。
【0036】
次いで、本発明に係る(ロ)工程は、上記の(イ)工程で得られる反応生成混合物に含まれる製造反応にて副生するフッ酸と、CaCO
3、Ca(OH)
2及びCa(HCO
3)
2の群(以下、CaCO
3類という。)の中から選ばれる少なくとも1種とを反応させ、フッ化カルシウムを固形分として生成せしめるが、かかる反応は反応温度0℃〜70℃で行われ、通常、室温にて速やかに反応が進む。又、かかる反応は定量的に進み、副生フッ酸はフッ化カルシウムに全量変換される。
【0037】
該反応生成混合物中の副生フッ酸とCaCO
3類との反応は、フッ化カルシウム固形分を生成する以外に、水、場合によりCO
2ガスを生ずるが、これらは、(ハ)工程においてトリエチルアミン等の三級アミンと水とを共沸蒸留にて留去する方法、ガスとして排気する方法等により簡易に系外に除去することができる。そのため、反応生成混合物中の三級アミン、非プロトン性極性溶媒及び未反応オリゴマーを蒸留等にて分留、除去することが容易になるため、工業的規模での実施に際しては極めて優れている。
【0038】
かかるCaCO
3類としては、CaCO
3、Ca(OH)
2及びCa(HCO
3)
2の群の中から選ばれる少なくとも1種であるが、価格的に安価で且つ取扱い易いCaCO
3、Ca(OH)
2が好ましく、更にはCaCO
3がより好ましい。尚、CaCO
3類の代わりに、カルシウムの有機酸塩、塩酸、リン酸等の鉱酸塩を用いた場合には、かかる反応後に有機酸、鉱酸が反応生成混合物に残存し、これらを除去するには煩雑な操作を要するばかりでなく、廃棄物として排出され環境に影響を及ぼすこと、反応生成混合物に残存する有用な三級アミン、非プロトン性極性溶媒及び未反応オリゴマーを分離回収することが難しいこと等のため、工業的に利用することは難しい。
【0039】
尚、かかるCaCO
3類の使用形態は、通称「タンカル」の普通品、重質品、沈降炭酸カルシウム(薬局方)、軽質炭酸カルシウム、コロイド領域の粒度の炭酸カルシウム、消石灰等の固形分、これらの顆粒状、ペレット、ブリケット、ハニカム状等の造粒品及びこれらの水、溶媒による分散液あるいは溶液、重炭酸ソーダ水溶液等として用いることができるが、これらの形態に限定されるものではない。
【0040】
かかるCaCO
3類の使用量は、フッ酸が該フェノール類のOH基と等当量の量比で副生し、且つ該フッ酸1当量はCaCO
3類0.5モル(1当量)と反応が進むため、化学量論的には該フェノール類のOH基1当量に対して0.5モルの量比で使用すればよいが、好ましくは0.5〜2.0モルの量比であり、より好ましくは 0.51〜1.01モルの量比である。
【0041】
本発明の(ロ)工程を行うことにより、腐食性毒物である副生フッ酸をフッ化カルシウム固形分に変換して安定で健康及び環境により優れたものとし、反応目的物及び反応助剤等の分離精製等の操作を簡易に且つ安全に行うことができ、工業的規模での実施に際して著しく優れたものである。
【0042】
本発明に係る(ハ)工程において、(ロ)工程で得られるフッ化カルシウム分散反応生成混合物よりフッ化カルシウム固形分の分離、反応助剤等の留去の操作を行い、該ペルフルオロアルケニルオキシ基含有アレーン化合物成分を得る。かかる分離、留去操作は、フ
反応ヘキサフルオロプロペンのオリゴマーを蒸留にて分留しながら留去し、一般式(C
3nF
6n−1O)
kAr(式中、n、k及びArは前記と同じ意味を示す。)で表されるペルフルオロアルケニルオキシ基含有アレーン化合物成分を得ることができる。尚、該
(ロ)工程を同様に行うこともできる。
【0043】
更に、
(1)(ロ)工程で得られるフッ化カルシウム分散反応生成混合物より三級アミン及び未反応オリゴマーの反応助剤、生成水を共沸蒸留等により予め分留回収した後、フッ化カル
【0044】
(2)(イ)工程で得られる反応生成混合物中に反応生成固形分が存在する場合には、本発明の(ロ)工程を行なった後、フッ化カルシウム固形分と反応生成固形分を分離して、
カルシウム固形分と反応生成固形分は、メタノール、ベンゼン、クロロホルム、アセトン、メチルエチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサフルオロベンゼン、1,1,2−トリフルオロ−1,2,2−トリクロロエタン等の溶媒を用いて、不溶のフッ化カルシウム固形分及び未反応カルシウム塩を分離回収した後、再結晶等の操作により目的生成物を得ることもでき、かかる方法も有用である。尚、該(ハ)工程における該分離操作等の手順は、場合により適宜選定することができ、これらの方法に限定されるものではない。
【0045】
尚、これらの分離、留去等の操作、方法は、反応生成混合物系中の副生フッ酸をフッ化カルシウム固形分に変換することにより、該フッ酸による障害を除去し、操作が簡易で健康及び環境により好ましく行うことが可能になったものであり、更に、反応助剤等を簡易に、効率よく回収でき、実用上、工業的規模において優れたものである。
【0046】
尚、上記の(ハ)工程において、上記の(ロ)工程で得られるフッ化カルシウム分散反応生成混合物よりフッ化カルシウム固形分等を固液分離する操作は、遠心分離器、濾過器等により簡易に行うことができるが、これらの方法に限定されるものではない。
【0047】
上記の如く分離、回収して得られるフッ化カルシウム固形分は、CaCO
3類以外の固形分、例えば、天然蛍石に不純物として含まれるマグネシウム、ヒ素金属類、人工蛍石に不純物として含まれる二酸化珪素等を含有しない良質なフッ化カルシウム物質として得られ、産業上有用である。更に、高純度のフッ化カルシウムは、該回収固形分を水に分散させた液にCO
2ガスを吹き込むことにより、不純物のCaCO
3類を水に可溶な重炭酸カルシウムに変換し水に溶解させて除去する方法、該回収固形分にフッ酸を流通させて未反応CaCO
3類を反応させフッ化カルシウムに変換して純度を向上させる方法等により得ることができ、光学レンズ等の高機能材料として利用することができる。
【0048】
上記の(ハ)工程にて回収される三級アミン分留液は、通常、高純度であり本発明の製造法において再利用することができ、場合により水を含有することもあるが、かかる場合は、簡易に脱水精製して再利用することができる。
【0049】
例えば、水を含むトリエチルアミン分留液より水を含まない高純度のトリエチルアミンを得るには、(1)該分留液を加温して、好ましくは40〜70℃にて、トリエチルアミン層と水層とに2層分離させて得る方法、(2)該分留液に第三成分として例えばn−ヘキサンを共存させ、蒸留によりn−ヘキサンとの共沸で水を除去した後、引き続き蒸留によって残存するn−ヘキサンを留去して得る方法等により得ることができるが、これらの方法に限定されるものではない。
【0050】
又、上記の(ハ)工程にて回収される未反応のヘキサフルオロプロペンのオリゴマー分留液及び非プロトン性極性溶媒分留液は、各々水等を含むことなく極めて純度が高く、本発明に係わるペルフルオロアルケニルオキシ基含有アレーン化合物の製造法において再利用することができる。
【0051】
本発明に係る一般式(1)で表されるペルフルオロアルケニルオキシ基含有アレーン化合物は、(C
3nF
6n−1O)
kAr(式中、nは2又は3の整数、kは1以上の整数、Arは置換基を有することもある芳香族単環及び多環式炭化水素基の中から選ばれる種であることを示す。)で表される化合物であり、式中、n、k、Arは前記と同じ意味を示す。 尚、式(C
3nF
6n−1O)で表されるペルフルオロアルケニルオキシ基としては、例えば、ペルフルオロ(ヘキセニル)オキシ基、ペルフルオロ(ノネニル)オキシ基及びこれらの異性遊離基が挙げられるが、これらの混合したものでもよい。又、ペルフルオロ(ノネニル)オキシ基としては、本発明に係わるヘキサフルオロプロペン3量体と原料フェノール性OH基との脱フッ酸反応が、主として該幾何異性体のペルフルオロ(3−イソプロピル−4−メチル−2−ペンテン)の2位結合F原子が脱離して反応が進むため、ペルフルオロ(2−イソプロピル−1,3−ジメチル−1−ブテニル)オキシ基結合が生成し、該基が特に有用であるが、これに限定されるものではない。
【0052】
尚、上記の(ハ)工程にて得られるペルフルオロアルケニルオキシ基含有アレーン化合物成分は、不純物が少なく良質な物質として得られ、産業上有用である。更に、高純度のペルフルオロアルケニルオキシ基含有アレーン化合物は、(ハ)工程にて得られる該化合物成分を減圧蒸留して精製する方法、(ハ)工程にて得られる該化合物成分をn−ヘキサン等を展開液としてシリカゲル等を充填したカラムクロマトグラフにて精製する方法、或いは(ハ)工程にて得られる該化合物成分をメタノール、ベンゼン、クロロホルム、アセトン、メチルエチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサフロロベンゼン、1,1,2−トリフルオロ−1,2,2−トリクロロエタン等の溶媒を用いて再結晶する方法等により得ることできるが、これらの方法に限定されるものではない。
【0053】
尚、本発明においては、上記の具体的実施形態に示すものに限らず、目的、用途に応じて本発明の範囲以内で種々変更した実施形態とすることもできる。