(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
容器と、自己伸縮性フィルムを有する基材を筒状に形成したストレッチラベルと、を有し、前記容器の外面周囲に前記ストレッチラベルが装着されている筒状ラベル付き容器であって、
前記ストレッチラベルの下方部が、前記容器の底部側に折れ曲がった下方屈曲部とされており、
前記下方屈曲部の内面が、前記容器の底部の外面に熱融着されている、筒状ラベル付き容器。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の具体的な実施態様について適宜図面を参照しつつ説明する。
ストレッチラベル及びその構成部材の「内面」は、筒状体の内側に位置する面を指し、「外面」は、その反対側の面を指す。容器の「外面」は、ストレッチラベルと接触する側の面を指す。
また、本明細書において、「PPP〜QQQ」という記載は、PPP以上QQQ以下を意味する。
なお、各図の具体的な寸法及び縮尺比は、実際のものとは異なっていることに留意されたい。
【0012】
[第1実施形態]
第1実施形態は、加熱することにより、ストレッチラベルの内面の一部分が容器の外面に熱融着され、ストレッチラベルが容器に係合された筒状ラベル付き容器に関する。
【0013】
(ストレッチラベル)
図1及び
図2において、本発明の筒状ラベル付き容器に使用されるストレッチラベル1は、自己伸縮性フィルム21を有する基材2を筒状に形成した筒状体からなる。ストレッチラベル1には、必要に応じて、その周方向に、ミシン目線などの切断用補助線26が形成されている(
図1において、切断用補助線26を一点鎖線で示す)。
ストレッチラベル1は、基材2の第1側端部2aの内面を第2側端部2bの外面に重ね合わせて筒状にし、その重ね合わせ部分を接着することにより重合接着部が形成された筒状体からなる。なお、筒状体の形成方法はこれに限定されず、例えば、基材2の第1側端部2aと第2側端部2bの内面同士又は外面同士を合掌状に重ね合わせ、その重ね合わせ部分を接着することにより筒状体を形成してもよい(図示せず)。このように両側端部2a,2bを合掌状に接着したストレッチラベルは、切断用補助線26でストレッチラベルを分断する際に、前記合掌状の重合接着部が切れ難いことがあるため、その合掌状の重合接着部に、切断用補助線26と同位置にVノッチなどの切込みを形成しておくことが好ましい。
前記重合接着部(第1側端部2aの内面と第2側端部2bの外面)の接着方法としては、ヒートシール或いは接着剤などを用いた接着などが挙げられる。
かかるストレッチラベル1は、径外方向に拡張力を加えることによって伸展して拡径し、(熱などを加えなくても)前記拡張力を解除することによって収縮して元の筒状にほぼ復元する。
【0014】
基材2としては、自己伸縮性フィルム21が用いられ、好ましくは、一部又は全部に熱融着可能な領域を有する自己伸縮性フィルム21が用いられる。以下、基材2の熱融着可能な領域を「基材融着領域」という。
前記自己伸縮性フィルム21は、少なくとも一方向に自己伸縮性を有していればよく、一方向及び他方向(他方向は、フィルムの面内において、前記一方向に対して直交する方向をいう)に自己伸縮性を有していてもよい。なお、自己伸縮性とは、拡張力を加えたときに伸張し、拡張力を解除した後に、ほぼ元のように復元する性質をいう。
【0015】
自己伸縮性フィルム21は、それを筒状体としたときに、その筒状体の周方向に伸張倍率1.25倍以上に伸張可能で(その上限は、例えば、1.8倍)、且つ、1.25倍に伸張後の瞬間歪み(50mm/分)が10.5%以下であるものが好ましい。
【0016】
前記瞬間歪みは、次のようにして測定できる。
自己伸縮性フィルムを、他方向(筒状体の縦方向に相当)に長さ15±0.1mm、一方向(筒状体の周方向に相当)に長さ200mm(標線間距離100±2mm)の長方形に切り取り、サンプル片を作製する。このサンプル片の長辺方向を測定方向として、所定の伸張倍率(1.25倍)になるまで引張り、サンプル片の標線間距離を測定する。
測定は、例えば、クロスヘッド速度一定型又は振子型引張試験機(試験時の伸張速度:50mm/分)を用いて、所定の荷重(N)を加えてサンプル片の標線間距離が伸張倍率1.25倍になるまで伸ばし、この直後に荷重を0(N)に戻したときの標線間距離を読み取る。その測定値を以下の計算式に代入して、瞬間歪み(%)を算出する。
瞬間歪み(%)=100×ΔL2/L2。
前記L2は、引張る前のサンプル片の標線間距離(mm)を示し、前記ΔL2は、伸張後に荷重を戻したときのサンプル片の標線間距離の増加(mm)を示す。
なお、永久歪み(%)は、前記引っ張り試験後、試験機から取り外し、23℃の恒温槽で4週間保管した後に上記標線間距離を読み取って算出できる。
【0017】
自己伸縮性フィルム21の材質は特に限定されず、ポリエチレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂などの熱可塑性樹脂を用いることができる。
前記ポリエチレン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、メタロセン系ポリエチレン(メタロセン系触媒を用いた重合により得られる直鎖状低密度ポリエチレン)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、アイオノマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で又は2種以上を併用できる。
自己伸縮性フィルム21は、
図2に示すように単一のフィルムから構成されていてもよいし、特に図示しないが2層以上の積層フィルムから構成されていてもよい。
また、前記ポリエチレン系樹脂は熱融着性を有するので、このような熱融着可能な樹脂を主成分とする自己伸縮性フィルム21は、その内面が熱融着可能である。つまり、ポリエチレン系樹脂を主成分とするフィルムを内面に有する自己伸縮性フィルム21は、その内面全体が基材融着領域となっている。
【0018】
なお、熱融着性を有さない樹脂を主成分とする、自己伸縮性フィルム21を用いることもできる。この場合、熱融着性を有さない自己伸縮性フィルム21に、基材融着領域を形成するため、その自己伸縮性フィルム21の内面の一部又は全部に(自己伸縮性フィルム21の内面のうち、少なくとも容器に熱融着させる部分に)、上記熱融着可能な樹脂を主成分とするフィルムを積層した積層フィルムが用いられる(図示せず)。或いは、その自己伸縮性フィルム21の内面の一部又は全部に、上記熱融着可能な樹脂を主成分とする塗膜が形成されたものが用いられる(図示せず)。
自己伸縮性フィルム21の厚みとしては、特に限定されないが、10μm〜100μmであることが好ましく、より好ましくは15μm〜80μm、特に好ましくは20μm〜50μmである。
【0019】
自己伸縮性フィルム21には、通常、所望のデザインを表示するため、意匠印刷層22が設けられる。
意匠印刷層22は、自己伸縮性フィルム21の外面若しくは内面の何れか一方又は外面及び内面の双方に設けられる。もっとも、意匠印刷層22が容器に熱融着させる部分を覆っていると、基材融着領域が容器に熱融着し難くなる。このような観点から、意匠印刷層22は、
図2に示すように、自己伸縮性フィルム21の外面に設けられていることが好ましい。また、意匠印刷層22を自己伸縮性フィルム21の内面に設ける場合には、容器に熱融着させる部分を除いて、自己伸縮性フィルム21の内面に意匠印刷層22が設けられていることが好ましい。また、自己伸縮性フィルム21の内面に意匠印刷層22を設ける場合において、ストレッチラベル1の位置ずれや抜けをさらに防止するために、基材2の最内面(容器と接触する面)の全体又は一部に、例えば、滑り性の悪い印刷層を設けることもできる。滑り性の悪い印刷層としては、例えば、滑剤を含まない又は滑剤の含有量の低い印刷層や、滑り性の悪いワックス(例えば、ポリプロピレン系ワックス)等を含む印刷層が挙げられる。
【0020】
自己伸縮性フィルム21は、透明又は不透明のいずれでもよい。自己伸縮性フィルム21の内面に意匠印刷層22が設けられる場合には、そのデザインを外側から透視できるようにするため、無色透明又は有色透明のフィルムが用いられる。
前記一方向が周方向となるように、前記基材2を筒状に丸め、基材2の第1側端部2aと第2側端部2bを接着することにより、ストレッチラベル1が構成されている。
【0021】
(容器)
本発明の筒状ラベル付き容器に使用される容器は、特に限定されず、従来公知の様々なものを用いることができる。
本実施形態の筒状ラベル付き容器は、ストレッチラベルの内面の一部分が容器の外面に熱融着されるので、その容器の外面は、ストレッチラベルの基材融着領域に熱融着可能であるものが好ましい。
容器の外形も特に限定されず、ストレッチラベルの主たる装着部位となる容器の胴部が、略円柱状、略楕円柱状や略四角柱状などの柱状、略円錐台状、略楕円錐台状や略四角錐台状などの錐台状などでもよい。従来、このような形状の胴部にストレッチラベルを装着すると位置ずれや抜けを生じるので、ストレッチラベルを装着できなかったが、本発明によれば、このような容器にも適用できる。
もっとも、ストレッチラベルの装着位置のずれ及び抜けを確実に防止するため、後述するように、最大径部、上方狭窄部及び下方狭窄部を有する胴部を有する容器が好ましい。
【0022】
本実施形態に1つの好ましい容器3を、
図3及び
図4に示す。この容器3は、少なくとも胴部32において可撓性を有する。可撓性は、手の力で容易に変形する性質をいう。
容器3の材質は特に限定されず、ポリエチレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂などの熱可塑性樹脂を用いることができる。
ポリエチレン系樹脂としては、上記自己伸縮性フィルム21の材質で例示したようなものが挙げられる。
容器3の層構造は、単一層でもよいし、複層でもよい。
【0023】
単一の層構造の容器3は、自己伸縮性フィルム21の基材融着領域に熱融着可能な樹脂(例えば、ポリエチレン系樹脂)から構成される。
複層の積層体からなる容器3は、その外面に、自己伸縮性フィルムの基材融着領域に熱融着可能な樹脂からなる層を有し、その内面又は中間に、ガスバリア性を有する層を有することが好ましい。前記複層の容器3としては、例えば、外面から内面に向かって順に、低密度ポリエチレン樹脂層、低密度ポリエチレンと接着ポリオレフィンとエチレン・ビニルアルコール共重合樹脂との混合樹脂層、接着ポリオレフィン樹脂層、エチレン・ビニルアルコール共重合樹脂層、接着ポリオレフィン樹脂層、低密度ポリエチレンと接着ポリオレフィンとエチレン・ビニルアルコール共重合樹脂との混合樹脂層、低密度ポリエチレン樹脂層からなる積層体から構成される(図示せず)。
【0024】
容器3は、底部31と、底部31の上方に形成され且つ内容物を収容する胴部32と、胴部32の上方に形成され且つ内容物を注出する注出部33と、を有する。
具体的には、容器3の底部31は、容器3を自立させるときの接地面となる部分である。前記底部31の形状(容器3の下から見たときの底部31の輪郭)は、特に限定されないが、略楕円形状、略円形状、略長方形状、略正方形状などが挙げられる。図示例では、底部31の形状は、略楕円形状である。
【0025】
容器3の胴部32は、容器3の中で最も大きな周長を有する最大径部322と、最大径部322の上方及び下方に形成され且つ最大径部322よりも窄んだ上方狭窄部321及び下方狭窄部323と、を有する。前記最大径部322は、容器3の任意の位置における断面(水平な方向で切断した断面)の周長が最も大きい部分を指す。
容器3の胴部32の最大径部322の外形(最大径部322を水平な方向で切断した断面の外形)は、特に限定されず、略楕円形状、略円形状、略長方形状、略正方形状などが挙げられる。図示例では、胴部32の最大径部322の外形は、略楕円形状である。
略楕円形状の最大径部322は、容器3の正面壁32aに対して鉛直方向から見たときに、容器3の横幅の中で最も大きな横幅を有する。
なお、例えば、最大径部322の外形が略円形状の場合には、容器3の周囲のいずれの方向から見ても同じ横幅を有する。
【0026】
上方狭窄部321は、最大径部322と注出部33の間の部分である。
上方狭窄部321は、最大径部322から離れるに従い(換言すると、上方に向かうに従い)その周長が小さくなっている。上方狭窄部321の断面(水平な方向で切断した断面)の外形は、最大径部322の近傍において最大径部322の断面の外形と相似又は略同様な形状であり、注出部33に近づくに従って注出部33の断面の外形と相似又は略同様な形状になっている。
【0027】
図3に示すように、上方狭窄部321の外形は、胴部32の正面壁32aに対して鉛直方向から見たとき、最大径部322から注出部33に向かって緩やかな曲線を成し、注出部33に向かうに従ってその横幅が徐々に小さくなっている。なお、胴部32の正面壁32aは、胴部32に対して鉛直方向から胴部を見たときに、
図3に示すように、胴部32の面積が最も大きく見えるときの胴部の壁面を指す。最大径部322が長軸及び短軸を有する形状の場合には、長軸に対して直交方向から見たときの胴部の壁面が、胴部32の正面32aである。なお、胴部32の背面壁32bは、胴部の正面壁の反対側の壁面である。
胴部32の側面壁32cは、胴部32に対して鉛直方向から胴部を見たときに、胴部32の面積が最も小さく見えるときの胴部の壁面を指す。最大径部322が長軸及び短軸を有する形状の場合には、短軸に対して直交する方向から見たときの胴部の壁面が、胴部32の側面壁32cである。側面壁32cは、正面壁32aの両側にそれぞれ存在する。
【0028】
下方狭窄部323は、最大径部322と底部31の間の部分である。下方狭窄部323は、最大径部322から離れるに従い(換言すると、下方に向かうに従い)その周長が小さくなっている。下方狭窄部323の断面(水平な方向で切断した断面)の外形は、最大径部322の近傍において最大径部322の断面の外形と相似又は略同様な形状であり、底部31に近づくに従って底部31の形状と相似又は略同様な形状になっている。
図3に示すように、下方狭窄部323の外形は、容器3の正面壁32aに対して直交方向から見たとき、最大径部322から注出部33に向かって略直角状の曲線を成し、底部31に向かうに従ってその横幅が徐々に小さくなっている。
【0029】
注出部33は、容器3の上端に形成されている。注出部33の形状(容器3の上から見たときの注出部33の輪郭)は、特に限定されず、例えば、略円形状である。なお、通常、注出部33には、注出部33の開口を開閉するためのキャップ部34が着脱自在に取り付けられている。
【0030】
容器3の胴部32における曲げ弾性率は、例えば、50MPa〜700MPaであり、好ましくは、100MPa〜500MPaである。前記曲げ弾性率は、JIS K 7106に準じて測定できる。
【0031】
容器3の肉厚は、胴部32の可撓性を損なわない程度に設定される。
胴部32の正面壁32a及び背面壁32b(以下、肉厚の説明に関して、単に正面壁32aと記す)の肉厚は、胴部32の側面壁32cの肉厚よりも小さく若しくは大きく又はその肉厚と略同じでもよいが、胴部32の正面壁32aの肉厚は、胴部32の側面壁32cの肉厚と略同じが好ましい。例えば、胴部32の正面壁32aの肉厚は、胴部32の側面壁32cの肉厚の0.2倍〜5倍であり、好ましくは0.8倍〜1.2倍である。
また、容器3の底部31の肉厚は、胴部32の側面壁32cの肉厚よりも大きいことが好ましい。容器3の底部31の肉厚は、胴部32の側面壁32cの肉厚の1.0倍を超え15倍以下であり、好ましくは1.1倍〜10倍である。容器3の底部31は、可撓性を有さなくても使用上支障がなく、他方、接地面となる底部31の肉厚を大きくすることにより、容器3の強度が向上する。
【0032】
具体的な寸法例では、容器3の底部31の肉厚は、1mm〜3mmであり、容器3の胴部32の側面壁32cの肉厚は、0.2mm〜2mmであり、容器3の胴部32の正面壁32aの肉厚は、0.2mm〜2mmである。
ただし、前記胴部32の正面壁32aの肉厚は、正面壁32aの肉厚の中の最大値を、胴部32の側面壁32cの肉厚は、側面壁32bの肉厚の中の最大値を、底部31の肉厚は、底部31の肉厚の中の最大値を、それぞれ意味する。胴部32の正面壁32a及び側面壁32c並びに底部31は、一体的に形成されているため、それらの厚みは徐々に変化しているからである。
【0033】
容器3に収容される内容物は特に限定されず、例えば、マヨネーズ、ケチャップなどの粘性流動物が挙げられる。
【0034】
(筒状ラベル付き容器)
図5乃至
図8において、本発明の筒状ラベル付き容器10は、前記容器3と、その容器3の外面周囲に装着された前記ストレッチラベル1と、を有し、そのストレッチラベル1を加熱することにより、ストレッチラベル1には容器3に係合する係合部が設けられており、その係合部を介してストレッチラベル1が容器3に係合している。
【0035】
具体的には、筒状のストレッチラベル1は、少なくとも注出部33から胴部32の周囲を覆うように、注出部33及び胴部32を含む容器3の外面周囲に外嵌され且つ容器3に装着されている。なお、筒状のストレッチラベル1は、重合接着部を容器3の側面壁に対応させて容器3の外面周囲に外嵌し、装着されている(図示せず)。
前記ストレッチラベル1は、ストレッチラベル1の締め付け力(自己収縮力)によって胴部32に密着している。本実施形態では、ストレッチラベル1の下方領域が容器3に密着し、ストレッチラベル1の上方領域が容器3から離れている。ストレッチラベル1は、胴部32の最大径部322を含んで下方狭窄部323から上方狭窄部321の一部分にまで自己伸縮力により容器3の胴部32に密着している。他方、ストレッチラベル1は、前記上方狭窄部321の一部分から注出部33において、容器3に密着していない。以下、容器3に密着した領域を「密着領域」といい、容器3に密着せずに離れている領域を「離間領域」という。
【0036】
ストレッチラベル1の下方部は、容器3の底部31側に折れ曲がった下方屈曲部4とされている。下方屈曲部4は、リング状(容器3の下から見たときの下方屈曲部4の形状)であり、容器3の底部31の周端部に密着している。従って、容器3の底部31は、ストレッチラベル1の下方屈曲部4によって完全に覆われておらず、底部31の中央領域は露出している。
【0037】
さらに、前記下方屈曲部4の内面は、容器3の底部31の外面に熱融着されている。上述のように、ストレッチラベル1の内面全体が基材融着領域とされ且つ容器3の外面が基材融着領域に熱融着可能な樹脂から構成されているので、下方屈曲部4の外面を加熱加圧することにより、下方屈曲部4の内面が容器3の底部31の外面に熱融着されている。
図7において、底部31に熱融着された下方屈曲部4を、判りやすくするため、網掛けで表している。
この熱融着された下方屈曲部4は、ストレッチラベル1を容器3に係合させる係合部に相当する。この下方屈曲部4を容器3の底部31に熱融着することによって、ストレッチラベル1は、容器3に対する初期装着位置からずれず、さらに、容器3から抜け出ないようになっている。
【0038】
なお、ストレッチラベル1の上端部は、帯状に接着されて封緘されている。すなわち、ストレッチラベル1の上端開口部を、例えば、扁平状にしてラベルの上端部の内面同士を接着することにより、ストレッチラベルの上端部に帯状の封緘部25が形成されている。従って、ストレッチラベル1の上端開口部は、閉塞されている。
図示例では、ストレッチラベル1の上端部に帯状の封緘部25が形成されているが、封緘部25は、ストレッチラベル1の上部(上部は、ストレッチラベル1の上端部又は上端から下方寄りの上端部近傍を含む)に形成されていればよい。例えば、ストレッチラベル1の上端から下方に少し距離を開けた位置に帯状の封緘部25が形成されていてもよい。
また、ストレッチラベル1の密着領域と離間領域の境界又は境界近傍に沿って、ストレッチラベル1の面内には、切断用補助線26が周方向に設けられている。なお、
図5及び
図6において、切断用補助線26を一点鎖線で表している(以下、他の図の一点鎖線も切断用補助線26を示す)。
切断用補助線26としては、その線に沿ってストレッチラベル1が切れやすくなるものであれば特に限定されず、代表的には、ミシン目線が挙げられる。
前記密着領域と離間領域の境界近傍は、例えば、その境界から上下に5mmの範囲内であり、好ましくはその境界から上下に3mmの範囲内である。
もっとも、切断用補助線26は、注出部33を露出させるべく離間領域の全部又は上方部を切り取り易くするために設けられるので、切断用補助線26は、最大径部322から注出部33までの間のいずれかの位置に形成されていればよい。
【0039】
(筒状ラベル付き容器の製法)
本発明の筒状ラベル付き容器10は、例えば、次のような手順で得ることができる。
容器3の上下長さよりも十分に大きい上下長さを有し且つ容器3の下方狭窄部323の周長よりも少し小さい周長を有する筒状のストレッチラベル1を準備する。
拡径装置を用いて、前記筒状のストレッチラベル1の内側から径外方向に拡張力を加えることによって、ストレッチラベル1を拡径させる。拡径させたストレッチラベル1の下端が容器3の底部31よりも少し下方に突出するように位置合わせして、ストレッチラベル1を容器3に外嵌する。
【0040】
次に、前記拡張力を解除することにより、ストレッチラベル1を自己収縮力によって元の状態に復元させる。拡径前の状態(元の状態)に復元したストレッチラベル1は、
図9に示すように、ストレッチラベル1の下方領域が容器3に密着し且つストレッチラベル1の上方領域が容器3から離れていると共に、ストレッチラベル1の下方部27が容器3の底部31から下方に突出する。
この突出したストレッチラベル1の下方部27に、加熱バー9を当て、下方部27を容器3の底部31へと押圧する。すると、ストレッチラベル1の下方部が、加熱加圧によって容器3の底部31側へ折れ曲がると同時に、容器3の底部31に熱融着する。前記ストレッチラベル1の下方部の加熱温度は、自己伸縮性フィルム21を構成する合成樹脂の融点〜その融点+50℃の範囲が好ましく、合成樹脂の融点+5℃以上〜その融点+30℃の範囲がより好ましい。
【0041】
さらに、ストレッチラベル1の上部を帯状に熱融着して封緘部25を形成し、ストレッチラベル1の上端開口部を閉塞する。なお、ストレッチラベル1の上端開口部の閉塞は、ストレッチラベル1を容器3に外嵌する前に行ってもよい。
また、上記製法に代えて、例えば、横ピロー包装機を使用して、横置きした状態の容器3に、ストレッチラベル1を構成する基材2を伸張させた状態で巻付け、基材2の第1側端部2aと第2側端部2bを重ね合わせて、その重ね合わせ部分を接着して重合接着部を形成した後、伸張を解除することにより筒状ラベル付き容器を製造することもできる。
このようにして、
図5乃至
図8に示すような筒状ラベル付き容器10を得ることができる。
なお、
図8において、下方屈曲部4は、容器3の底部31に対して略平行な平坦状に図示されているが、加熱バー9の押圧により、下方屈曲部4は無秩序な皺を生じている場合もあることに留意されたい。
【0042】
本発明の筒状ラベル付き容器10は、例えば、次のようにして使用される。
切断用補助線26を利用して、ストレッチラベル1を分断し、その離間領域を容器3から取り外す。その際、ストレッチラベル1は、係合部にて容器3に係合しているので、ストレッチラベル1の全体が容器3から外れず、離間領域のみを容易に取り外すことができる。
離間領域を取り外した後には、
図10に示すように、ストレッチラベル1のうち密着領域が容器3の胴部に装着されている。
【0043】
内容物を注出部33から注出するため、容器3の胴部32を押し、容器3を変形させる。ストレッチラベル1を構成する自己伸縮性フィルム21は、弾性に富んでいるので、容器3を押した際に容器3に追従して柔軟に変形する。つまり、ストレッチラベル1の密着領域は、容器3の外面の変形に沿って追従するので、ラベルと容器3が擦れ合うことによる乾いた音が生じ難く、使用感に優れた筒状ラベル付き容器10を提供できる。
また、本発明の筒状ラベル付き容器10においては、下方屈曲部4が容器3の底部31に熱融着されているので、使用時にストレッチラベル1が容器3から外れることを確実に防止できる。
【0044】
[第1実施形態の変形例]
上記第1実施形態では、ストレッチラベル1の下方屈曲部4(係合部)が容器3の底部31の周端部のみに係合しているが、下方屈曲部4が容器3の底部31の全体を覆っていてもよい。
例えば、
図11及び
図12に示すように、ストレッチラベル1の下方部のうち、容器3の正面壁32a側の下方部(第1下方部271)が容器3の底部31側に折り曲げられて下方屈曲部4とされ、その折り曲げられた第1下方部271の上に、容器3の背面側の下方部(第2下方部272)が折り曲げられて下方屈曲部4とされ、第1下方部271の外面上に第2下方部272が熱融着されていてもよい。このようにストレッチラベル1の下方部が重なるように折り曲げて熱融着することにより、容器3の底部31全体をストレッチラベル1の下方屈曲部4にて覆うことができる。この場合も、下方屈曲部4(第1下方部271及び第2下方部272)の内面は、容器3の底部31の周端部に、又は底部31の中央部に、又は底部31全体に熱融着されている。
【0045】
また、
図11及び
図12に示す例において、第1下方部271の外面上に第2下方部272を折り曲げた後、容器3の両側面壁32c,32c側の下方部(第3下方部273,273)を、前記第2下方部272の外面上に折り曲げ且つ熱融着してもよい。この場合、
図11に示すように、折り曲げた第3下方部273,273が第1下方部271の両側部及び第2下方部272の両側部に重なり且つその上に熱融着される。
このように第3下方部273,273を折り曲げ且つそれらを第1下方部271及び第2下方部272の上に熱融着することによって形成された下方屈曲部4は、容器3の底部31を完全に覆っている。
【0046】
また、
図13及び
図14に示すように、ストレッチラベル1の下方部のうち、容器3の正面側の下方部(第1下方部271)が容器3の底部31側に折り曲げられて下方屈曲部4とされ、且つ容器3の背面側の下方部(第2下方部272)が折り曲げられて下方屈曲部4とされていると共に、第1下方部271と第2下方部272の下端部同士が熱融着され、その熱融着部分がさらに折り曲げられて第1下方部271又は第2下方部272の外面に熱融着されていてもよい。このようにストレッチラベル1の下方部が重なるように折り曲げて熱融着することにより、容器3の底部31全体をストレッチラベル1で覆うことができる。この場合も、下方屈曲部4(第1下方部271及び第2下方部272)の内面は、容器3の底部31の周端部に、又は底部31の中央部に、又は底部31全体に熱融着されている。
このように第1下方部271と第2下方部272の下端部同士を熱融着し且つそれを折り曲げることによって形成された下方屈曲部4は、容器3の底部31を完全に覆っている。
【0047】
図11乃至
図14に示す各変形例の筒状ラベル付き容器10は、上記第1実施形態と同様に、ストレッチラベル1を容器に外嵌した際に、容器3の底部31から下方に突出したストレッチラベル1の下方部を折り畳み又は下端部を熱融着した後、加熱バー9を用いて押圧する方法によって得ることができる。
なお、
図12及び
図14において、下方屈曲部4は、容器3の底部31に対して略平行な平坦状に図示されているが、加熱バー9の押圧により、下方屈曲部4は無秩序な皺を生じている場合もあることに留意されたい。
【0048】
また、
図11乃至
図14に示す各変形例の筒状ラベル付き容器10は、ストレッチラベル1の下方部の外面及び内面の何れもが熱融着可能である必要がある。このため、この各変形例に使用されるストレッチラベル1は、
図15に示すように、自己伸縮性フィルム21の下方部の外面及び内面に、意匠印刷層22が設けられていない基材2(つまり、自己伸縮性フィルムの下方部の外面及び内面が基材融着領域とされている基材)を用いることが好ましい。さらに、ストレッチラベル1の上部を帯状に熱融着して封緘部25を形成する場合には、自己伸縮性フィルム21の上部の少なくとも内面に意匠印刷層が設けられていないことが好ましい。
なお、
図15において、意匠印刷層22が設けられた範囲に、無数の小さなドットを表し、意匠印刷層22が設けられていない範囲を、白地で表している。
【0049】
さらに、上記第1実施形態では、ストレッチラベル1の内面が容器3の底部31に熱融着されているが、容器3の底部31以外に熱融着されていてもよい。
また、上記第1実施形態では、ストレッチラベル1に下方屈曲部4が設けられ且つ下方屈曲部4が容器3の底部31に熱融着されているが、ストレッチラベル1に下方屈曲部4が設けられていなくてもよい。
下方屈曲部4が設けられていない場合、ストレッチラベル1の位置ずれや抜けを防止するため、ストレッチラベル1の一部分が容器3に熱融着される。例えば、
図16及び
図17に示すように、ストレッチラベル1の内面の一部分が、容器3の胴部32の正面壁32a及び背面壁32bに熱融着される。この熱融着部分を、
図16及び
図17において、符号28で示す。なお、熱融着部分28は、胴部32の正面壁32a又は背面壁32bの何れか一方だけに設けられていてもよいし、或いは、胴部32の一方又は双方の側面壁32cに部分的に設けられていてもよい。
【0050】
また、熱融着部分28は、
図16及び
図17のように周方向に長く延設させてもよいし、ストレッチラベル1の上端から下端にわたって縦方向に長く延設させてもよい。例えば、筒状ストレッチラベル1の重合接着部及び/又はそれと180°対面する位置に熱融着部分28を設け、各熱融着部分28を容器3の各側面壁32cに対応させて容器3の外面周囲に外嵌し、装着するのが好ましい(図示せず)。
この場合、容器3にストレッチラベル1を密着させた後、ストレッチラベル1の外面の一部分に加熱バー9を当て、ストレッチラベル1の外面を加熱することにより、前記ストレッチラベル1の内面の一部分を容器3の胴部32に熱融着できる。この熱融着部分28が係合部に相当する。この熱融着部分28において、ストレッチラベル1は容器3に係合するので、装着されたストレッチラベル1の位置ずれや抜けを防止できる。
【0051】
また、上記第1実施形態では、熱融着可能な自己伸縮性フィルム21から構成されたストレッチラベル1が容器3に直接熱融着されているが、例えば、ストレッチラベル1と容器3の間に感熱性接着剤を介在させ、感熱性接着剤を介してストレッチラベル1が容器3に熱融着されていてもよい(図示せず)。この場合、ストレッチラベル1の内面の一部分(例えば、下方部の内面)に感熱性接着剤を塗布し、そのストレッチラベル1を容器3に密着させた後、ストレッチラベル1の外面の一部分に加熱バー9を当て、ストレッチラベル1を加熱することにより、感熱性接着剤が熱溶融し、容器3に融着する。
【0052】
[第2実施形態]
第2実施形態は、加熱することにより、ストレッチラベルの下方屈曲部が容器の底部に折れ曲がり、ストレッチラベルの下方屈曲部にて容器に係合された筒状ラベル付き容器に関する。
第2実施形態の説明において、上記第1実施形態と同様の構成についてはその説明を省略し、用語及び図番をそのまま援用する。
【0053】
第2実施形態において使用される容器3及びストレッチラベル1は、第1実施形態で例示したようなものを用いることができる。もっとも、第2実施形態においては、ストレッチラベル1を容器3に熱融着させる必要性がないので、熱融着不能な樹脂から形成されたストレッチラベル1及び容器3を用いてもよい。
【0054】
図18及び
図19に示すように、筒状のストレッチラベル1は、注出部33及び胴部32を含む容器3の外面周囲に外嵌され且つ容器3に装着されている。
前記ストレッチラベル1は、上記第1実施形態と同様に、密着領域と離間領域を有する。
ストレッチラベル1の密着領域の下方部は、容器3の底部31側に折れ曲がった下方屈曲部4とされている。下方屈曲部4は、リング状であり、容器3の底部31の周端部に密着している。従って、容器3の底部31は、ストレッチラベル1の下方屈曲部4によって完全に覆われておらず、底部31の中央領域は露出している。
【0055】
前記下方屈曲部4の内面は、容器3の底部31の外面に熱融着されていないが、下方屈曲部4が容器3の底部31側に折れ曲がっていることにより、ストレッチラベル1の下方部が容器3の底部31に係合されている。
この下方屈曲部4は、ストレッチラベル1を容器3に係合させる係合部に相当する。この下方屈曲部4を容器3の底部31に係合させることによって、ストレッチラベル1は、容器3から抜け出ないようになっている。
このため、第2実施形態の筒状ラベル付き容器10も、ストレッチラベル1が下方屈曲部4にて容器3に係合しているので、容器3が変形してもストレッチラベル1の密着領域が容器3の胴部32から抜け出ることを防止できる。
【0056】
[第2実施形態の変形例]
上記第1実施形態では、ストレッチラベル1の下方屈曲部4(係合部)が容器3の底部31の周端部のみに係合しているが、下方屈曲部4が容器3の底部31の全体を覆っていてもよい。
この形態の具体例は、下方屈曲部が容器の底面に熱融着しないことを除いて、上記第1実施形態の変形例で示した構成と同じであるので、その記載及び
図11乃至
図14を適宜参照されたい。
このように容器3の底部31の全体を覆うように下方屈曲部4を形成することにより、底部31が下方屈曲部4によって略完全に密閉される。例えば、ストレッチラベル1に対して抜け落ちる方向(下方)に力が加わった場合であっても、容器3の底部31と下方屈曲部4の間の空隙が減圧される。よって、下方屈曲部4が容器3の底部31に熱融着されていなくても(又は、ストレッチラベル1の一部が容器3の胴部32に熱融着されていなくても)、ストレッチラベル1が容器3から抜け出ることを確実に防止できる。
【0057】
[他の実施形態]
上記第1及び第2実施形態の筒状ラベル付き容器10は、容器3の注出部33を覆うようにストレッチラベル1が装着されているが、例えば、上記離間領域を有さないようにストレッチラベル1を装着してもよい。
このような筒状ラベル付き容器10は、上記第1及び第2実施形態の切断用補助線26から上の領域(離間領域)が設けられていないものに相当し、
図10に示すような態様のものに相当する。
【0058】
その他、本発明の筒状ラベル付き容器は、上記各実施形態に限定されず、本発明の意図する範囲で様々に設計変更できる。