特許第6074680号(P6074680)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社フジシールの特許一覧

<>
  • 特許6074680-印刷体 図000002
  • 特許6074680-印刷体 図000003
  • 特許6074680-印刷体 図000004
  • 特許6074680-印刷体 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6074680
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】印刷体
(51)【国際特許分類】
   B41M 3/06 20060101AFI20170130BHJP
   B41M 1/12 20060101ALI20170130BHJP
   B32B 33/00 20060101ALI20170130BHJP
   G09F 3/02 20060101ALI20170130BHJP
   B65D 65/42 20060101ALI20170130BHJP
【FI】
   B41M3/06 C
   B41M1/12
   B32B33/00
   G09F3/02 F
   G09F3/02 E
   G09F3/02 G
   B65D65/42 A
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-217013(P2012-217013)
(22)【出願日】2012年9月28日
(65)【公開番号】特開2014-69423(P2014-69423A)
(43)【公開日】2014年4月21日
【審査請求日】2015年8月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(72)【発明者】
【氏名】平岡 健
(72)【発明者】
【氏名】池田 雅彦
【審査官】 外川 敬之
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭58−209584(JP,A)
【文献】 特開平11−151853(JP,A)
【文献】 特開2002−096543(JP,A)
【文献】 特開2002−036705(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M 3/06
B32B 33/00
B41M 1/12
B65D 65/42
G09F 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷基材と、
印刷基材に設けられる下地表現領域と、
透明の視認性を有する印刷インキを用いて、下地表現領域の少なくとも一部の領域に、印刷厚さを40μm以上300μm以下として印刷された厚盛印刷層と、
下地表現領域について厚盛印刷層が印刷されない領域に設けられる艶消コーティング層と、
を含み、
艶消コーティング層の厚さは、0.1〜2μmであることを特徴とする印刷体。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷体において、
下地表現領域は、金属色表現層であることを特徴とする印刷体。
【請求項3】
請求項2に記載の印刷体において、
金属色表現層は、アルミニウムを含む層であることを特徴とする印刷体。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1に記載の印刷体において、
艶消コーティング層は、透明樹脂にフィラーを混合したマットニス層であることを特徴とする印刷体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷体に係り、特に包装用印刷体およびラベル印刷体に関する。
【背景技術】
【0002】
物品を包装する軟包体や、容器に貼付するラベルには、包装対象物の内容表示の他に、装飾等の目的のために各種印刷が行われ、印刷体となっている。
【0003】
例えば、特許文献1には、筒状フィルムの装飾等の目的のために設けられる各種印刷層として、文字や絵柄等を表すための表示印刷、白ベタ印刷等の単色ベタ状印刷、艶消し印刷等が、フレキソ印刷、グラビア印刷、凸版輪転印刷、シルク印刷等の公知印刷法を用いて形成されることが述べられている。ここで、艶消し処理は、基材フィルムとして金属蒸着フィルムまたは金属箔の積層フィルムが用いられる場合に金属光沢を押さえたいときに有効であるとされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−281836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
1つの印刷体に各種印刷が混在すると、ときによってそれぞれの印刷効果が十分に発揮できないことが生じる。例えば、立体感の装飾性を強調するためにシルク印刷法を用いて印刷厚さを増してゆくと、無色透明性のインキを用いても、厚さが増すにつれ樹脂の色が少しずつ現れ、また気泡等が発生して、白っぽく視認される。そのような場合、下地に他の絵柄等の印刷層があると、厚盛印刷のあるところとないところの間で絵柄の見た目の感じが異なってきて、意匠の一体感が損なわれる。特に、下地層が金属色の場合、その傾向が強くなる。
【0006】
本発明の目的は、厚盛印刷のあるところとないところの間での意匠の一体感を保持できる印刷体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る印刷体は、印刷基材と、印刷基材に設けられる下地表現領域と、透明の視認性を有する印刷インキを用いて、下地表現領域の少なくとも一部の領域に、印刷厚さを40μm以上300μm以下として印刷された厚盛印刷層と、下地表現領域について厚盛印刷層が印刷されない領域に設けられる艶消コーティング層と、を含み、艶消コーティング層の厚さは、0.1〜2μmであることを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、厚盛印刷層がない領域に艶消コーティングを行うので、厚盛印刷層の有無によって下地表現領域の見た目の相違感を抑制できる。
【0009】
また、本発明に係る印刷体において、下地表現領域は、金属色表現層であることが好ましい。下地表現領域が金属色表現層のときに厚盛印刷層の有無で視認性が大きく異なる場合があるが、厚盛印刷層がない領域に艶消コーティングを行うことで、厚盛印刷層の有無による金属色表現層の見た目の相違感を抑制できる。
【0010】
また、本発明に係る印刷体において、金属色表現層は、アルミニウムを含む層であることが好ましい。これによって、下地層が銀色表現層であるときに、厚盛印刷層の有無によって下地の銀色の見た目の相違感を抑制できる。
【0011】
また、本発明に係る印刷体において、艶消コーティング層は、透明樹脂にフィラーを混合したマットニス層であることが好ましい。このようなコーティングによって厚盛印刷層の有無によって下地表現領域の見た目の相違感を抑制できる。
【発明の効果】
【0012】
上記構成によれば、印刷体において、厚盛印刷のあるところとないところの間での意匠の一体感を保持できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態における印刷体の例を示す図である。
図2図1において、各種印刷の組み合わせの中で、艶消しコーティングが行われる場合を説明する図である。(a)は、図1のA−A線の部分を抜き出した図、(b)は、A−A線に沿った断面図、(c)は、厚盛印刷のみがある場合の断面の拡大図、(d)は、絵柄印刷層の上に厚盛印刷が行われた場合の断面の拡大図、(e)は、銀色表現層の上に厚盛印刷が行われた場合の断面の拡大図である。
図3】本発明の実施の形態における印刷体で、基材層の一方側の面に厚盛印刷層を設け、他方側の表面に銀色表現層を含む下地表現層を設ける例を示す図である。
図4】本発明の実施の形態における印刷体で、厚盛印刷層を設けない領域に艶消しコーティング層を設け、裏面に接着剤を設ける例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に図面を用いて本発明に係る一実施形態につき、詳細に説明する。以下では、印刷体として、透明なプラスチックシートを基材としてその上に厚盛印刷が行われたものを述べるが、これは説明のための例示であって、基材は、紙や合成紙、発泡シート等の不透明なシートであってもよい。また、基材としては、ガセット袋やピロー袋等のパウチやクリアケース、箱、オーバラップ包装、蓋材のような包装体またはその一部を構成する包装用基材、タックラベル、感熱ラベル、インモールドラベル、ロールラベル、シュリンクラベル、巻付シュリンクラベル、ストレッチラベル等のラベル基材等であってもよい。
【0015】
また、下地表現領域がアルミニウムを用いた銀色表現層である場合、すなわち、下地表現領域として銀色表現層が設けられた所定領域を採用した場合について述べるが、これは金属色表現層の一例として説明したもので、銀色の他の金属色であってもよい。例えば、金色表現層、銅色表現層、各色のメタリック色表現層であってもよい。また、金属色表現層でなくても文字意匠、模様意匠、絵柄意匠等が形成された領域、意匠が形成されていない透明領域や無地領域等の下地表現領域であってもよい。
【0016】
以下で述べる材料、寸法、形状、意匠等は、説明のための例示であって、印刷体の仕様、対象用途の仕様等に合わせ適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において一または対応する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0017】
図1は、化粧水を収容する容器に貼付されるフィルムラベルとしての印刷体10を示す図である。印刷体10は、透明な基材12の上に5種類の異なる意匠が印刷されている。
【0018】
文字意匠14は、「Lotion AB」という文字を装飾化して印刷したものである。文字意匠14は、透明な基材12の上に赤色を基調とした多色で「Lotion AB」の装飾化された文字が印刷されている。
【0019】
絵柄意匠16は、化粧水の香りを暗示させるためにバラの花を装飾化して印刷したものである。絵柄意匠16も文字意匠14と同様に、透明な基材12の上に赤色を基調とした多色で、背景色と、バラの花を装飾化した写実的絵柄が印刷されている。ここでは、文字意匠14と絵柄意匠16は意匠としては文字と絵柄の相違はあるが、凸版輪転、グラビア、フレキソ等の周知の印刷方法によって、共に透明な基材12の上に多色印刷されている。
【0020】
模様意匠18は、さわやかな水を暗示させるために流れ模様を装飾化して表現したものである。模様意匠18は、基材12に流れ模様の形にアルミニウム蒸着層を設けて形成される。
【0021】
銀色意匠20は、華やかさと明るさを演出するために、模様意匠18と同様に、基材12の上にアルミニウム蒸着層を設けたものである。ここでは、模様意匠18と異なり、銀色意匠20の領域の全体に一様にアルミニウム蒸着層が設けられ、銀色背景として用いられる。
【0022】
厚盛意匠22は、立体感を出すために、ストライプ状に厚盛印刷を行って、帯状の凹凸を形成したものである。厚盛意匠22は、材質的には無色透明の樹脂インキを用い、基材12の上に、100〜200μmの厚さで、ストライプ模様を印刷したものである。ストライプ模様の印刷は、基材12の全面に渡って行われる。
【0023】
文字意匠14と絵柄意匠16の領域は、基材12の上に多色印刷層が設けられるが、ストライプ模様の印刷は、この多色印刷層の上にも行われる。模様意匠18と銀色意匠20の領域は、基材12の上に銀色表現層が設けられるが、ストライプ模様の印刷は、この銀色表現層の上にも行われる。なお、図1で厚盛意匠22として示したところは、基材12の上に直接にストライプ模様が形成された箇所である。
【0024】
ストライプ模様は、インキが厚盛されるストライプの部分と、インキが印刷されない溝の部分から構成される凹凸縞模様である。凹凸の高さの差がインキの厚盛の高さで、上記の100〜200μmである。この凹凸縞模様を基材12の全面に設けることで、印刷体10の意匠としては立体感とこれに伴う重厚感を出すことができる。
【0025】
このように、印刷体10には、多色印刷、銀色表現層、厚盛印刷が用いられる。このように各種の印刷や表現層が混在すると、ときによってそれぞれの印刷や表現層の効果が十分に発揮できないことが生じる。これを説明するために、図1のA−A線に沿った印刷体10の様子を図2に示す。
【0026】
図2(a)は、図1のA−A線の部分を抜き出した図で、基材12、銀色意匠20、絵柄意匠16、厚盛意匠22が順に配置されている。図2(b)は、A−A線に沿った断面図である。図2(c)から(e)は、意匠の種類の相違に対応する断面の相違を説明する拡大図である。
【0027】
図2(c)は、厚盛意匠22以外には意匠のない透明領域に対応する箇所の断面の拡大図である。ここでは、基材層30の一方側の面に、ストライプ模様の凸部に対応する厚盛印刷層32が設けられる。
【0028】
基材層30は、透明な基材12の層である。基材層30は、ポリエチレンテレフタレートやポリ乳酸等のポリエステル系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体等のスチレン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンや環状オレフィン等のオレフィン系樹脂、ポリカーボネートや塩化ビニル系樹脂等の熱可塑樹脂から選ばれる1種の単独、あるいは2種以上の混合物等を含むフィルムの層である。基材層30の厚さの一例を挙げると、約20〜80μmである。その中でも好ましくは20〜60μm程度の厚さとすることがよい。
【0029】
基材層30は、印刷体10の仕様に応じて着色されたものとできる。また、不透明層としてもよい。また、印刷体10の仕様によっては、熱収縮性のフィルム層、高伸縮性のフィルム層としてもよい。また、基材層30の素材として白色または着色された紙シートや合成紙を用いてもよい。
【0030】
厚盛印刷層32は、厚盛印刷しても下地表現が視認できる程度に、無色透明の視認性を有する印刷インキを用いて印刷厚さを100〜200μmとしてストライプ模様を印刷した層である。印刷インキとしては、ベース樹脂がアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂等の紫外線硬化型インキを用いることができる。ベース樹脂は厚盛印刷層32全体の90質量%以上とし、好ましくは95質量%以上とすることがよい。なお、溶剤系のインキを用いてもよい。印刷体10の仕様によっては、有色透明の印刷インキを用いてもよい。また、印刷体10の仕様によっては、厚盛印刷層32の厚さを40〜300μmの範囲としてもよい。印刷方法としては、ロータリスクリーン印刷法、平板スクリーン印刷法が用いられる。
【0031】
厚盛印刷層32は、立体感をより強く出すために、100〜200μmの印刷厚さとしたものである。このように通常よりも厚い印刷厚さとすると、気泡34が厚盛印刷層32の中に発生してそのままとどまり、また、インキ層が厚くなるので、薄いときは無色透明でも、樹脂色が次第に出て、白っぽく視認されるようになる。ここにおける厚盛印刷層32は、透明な基材層30の上に直接に厚盛印刷層32が設けられているものであるので、光の透過が多く、反射が少ない。したがって、後述する銀色表現層38の上の厚盛印刷層32に比べると、さほど白色化が視認されない。
【0032】
図2(d)は、絵柄意匠16に対応する箇所の断面の拡大図である。文字意匠14に対応する箇所の断面の拡大図も同様である。ここでは、基材層30の上に、多色印刷層36が設けられ、多色印刷層36の上にストライプ模様の凸部に対応する厚盛印刷層32が設けられる。
【0033】
多色印刷層36は、目的に応じた色彩インキを基材層30に点状にかつ無数に付着させることで実施される。この点状の色彩インキをドットとして、ドットの大きさと基材層30の単位面積当たりのドット数によって、各色の色表現ができる。印刷体10の絵柄意匠16、文字意匠14は赤色を基調として、その濃淡を表現するものであるので、一般的な赤色インキを用い、ドットの大きさと単位面積当たりのドット数を変化させることで、赤色の濃淡等を表現できる。多色印刷層36の厚さの一例を挙げると、約0.1〜2μm程度である。印刷方法としては、フレキソ、グラビア、凸版輪転、オフセット等の周知の印刷法を用いることができる。
【0034】
厚盛印刷層32は、図2(c)で説明したものと同様であり、100〜200μmと通常の10倍近い印刷厚さとすると、気泡34が厚盛印刷層32の中に発生してそのままとどまり、また、樹脂色が次第に出て、白っぽく視認されるようになることも同様である。多色印刷層36は、インキドットの印刷であるので、透明な基材層30を通しての光の透過がまだ支配的で、インキドットにおける反射の影響が少ない。したがって、後述する銀色表現層38の上の厚盛印刷層32に比べると、さほど白色化が視認されない。
【0035】
図2(e)は、銀色意匠20に対応する箇所の断面の拡大図である。模様意匠18に対応する箇所の断面の拡大図も同様である。ここでは、基材層30の上に、銀色表現層38が設けられ、銀色表現層38の上にストライプ模様の凸部に対応する厚盛印刷層32が設けられる。
【0036】
銀色表現層38は、アルミニウムを含有する層、例えば、アルミニウム蒸着層である。基材層30の所定の領域を銀色表現層38とする方法としては、基材層30の所定の領域に対応した開口部を有するマスク印刷層を用い、このマスク印刷層を基材層30の上に配置しその状態で蒸着装置を用いてアルミニウム層を蒸着し、その後マスク印刷層をリフトオフによって除去することで所定の領域に銀色表現層38を形成する方法が用いられる。また、アルミニウム蒸着層が形成された転写箔をコールドスタンプ方式やホットスタンプ方式により、基材層30の所定の領域に転写する方法を用いることもできる。あるいは、アルミニウム粉末を混入させた樹脂インキを用いて基材層30の上に印刷する方法を用いてもよい。アルミニウム蒸着層の厚さ、アルミニウム粉末を混入させた樹脂インキによる印刷層の厚さは、銀色表現層38の厚さとなる。銀色表現層38の厚さは、形成方法によって異なるが、蒸着層の場合は約40〜100nm、印刷層の場合は約0.5〜5μmである。
【0037】
厚盛印刷層32は、図2(c)で説明したものと同様であり、100〜200μmと通常よりも厚い印刷厚さとすると、気泡34が厚盛印刷層32の中に発生してそのままとどまり、また、樹脂色が次第に出て、白っぽく視認されるようになることも同様である。銀色表現層38は、アルミニウムの反射色を利用しているので、透明な基材層30を通しての光の透過がほとんどない。したがって、基材層30の上に直接に厚盛印刷層32が設けられる図2(c)の場合や、基材層30の上の多色印刷層36の上に厚盛印刷層32が設けられる図2(d)の場合に比べ、白色化が目立ち、厚盛印刷層32を通して銀色表現層38が白っぽく視認される。厚盛印刷層32はストライプ模様の凸部であるが、ストライプ模様の凹部は、基材層30の上の銀色表現層38であるので、そのままでは明るい銀色に視認される。
【0038】
このように、銀色表現層38は光の反射層であるので、ストライプ模様の凸部である厚盛印刷層32は白っぽい銀色表現層38が視認され、凹部では明るい銀色表現層38が視認される。したがって、立体感を出すために設けられた厚盛印刷層32のために、銀色表現層38の意匠の一体感が失われる。模様意匠18のところにおいても同様に意匠の一体感が失われる。
【0039】
艶消コーティング層40は、ストライプ模様の凹部の銀色表現層38の上に設けられ、そのままでは明るい銀色に視認されるものを艶消し処理するものである。艶消コーティング層40は、厚盛印刷層32の形成の前に、厚盛印刷層32が設けられる領域以外の銀色表現層38の上に形成される。艶消コーティング層40の端部と厚盛印刷層32の端部は重なり合うようにして、銀色表現層38が直接に視認されないようにする。これにより、明るい銀色に視認されるものを、穏やかな銀色に視認されるように変換し、ストライプ模様の凸部において視認される白っぽい銀色との視認感の差を少なくでき、銀色表現層38についての意匠の一体感を保持することができる。
【0040】
艶消コーティング層40は、マットニスと呼ばれる表面保護用艶消しニスを用いることができる。マットニスは、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂等に、アクリルビーズ、シリカビーズ等を所定の割合で混合させた紫外線硬化型塗布材である。溶剤系の塗布材を用いてもよい。所定の混合割合としては、約5〜25質量%とすることができる。コーティング方法としては、フレキソ、グラビア、凸版輪転、オフセット等の周知の印刷方法を用いることができる。艶消コーティング層40の厚さの一例を挙げると、約0.1〜2μmである。好ましくは約0.5〜2μm程度がよい。
【0041】
上記では、基材層30の一方側の面に、厚盛印刷層32、多色印刷層36、銀色表現層38、艶消コーティング層40が設けられるものとして説明した。透明な基材層30を用いる場合、印刷体10の仕様によっては、図3に示すように、基材層30の一方側の面に厚盛印刷層32を設け、基材層30の他方側の面に多色印刷層36や銀色表現層38を設けるものとしてもよい。その場合には、艶消コーティング層40は、厚盛印刷層32と同じ一方側の面に設けられる。
【0042】
このように、印刷体10において、金属色表現層である銀色表現層38の上で、厚盛印刷層32が印刷されない領域に艶消コーティング層40を設けることで、厚盛印刷層32のあるところとないところの間での意匠の一体感を保持することができる。
【0043】
なお、図4に示すように、艶消しコーティング層40は、銀色表現層38のみでなく、透明領域や多色印刷層36にも設けることができる。すなわち、印刷体10の厚盛印刷層32を除いた領域の全体に、艶消しコーティング層40を設けることができる。なお、図3のように基材層30の裏側に銀色表現層38や多色印刷層36を設ける場合も、印刷体10の表側において、厚盛印刷層32を除いた領域の全体に、艶消しコーティング層40を設けることができる。
【0044】
印刷体10がタックラベルの場合は、図4に示されるように、基材層30の裏面側に接着材層42が設けられる。接着剤層42としては、感圧接着剤を用いることができる。図2図3の構造においても、印刷体10がタックラベルの場合は、同様に、基材層30の裏側に接着剤層42を設けることができる。
【符号の説明】
【0045】
10 印刷体、12 基材、14 文字意匠、16 絵柄意匠、18 模様意匠、20 銀色意匠、22 厚盛意匠、30 基材層、32 厚盛印刷層、34 気泡、36 多色印刷層、38 銀色表現層、40 艶消コーティング層、42 接着剤層。
図1
図2
図3
図4