【実施例】
【0035】
以下、本発明を実施例および比較例を挙げてさらに具体的に説明する。しかし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0036】
<スチレン系エラストマー(A)>
・クレイトンG1643(クレイトンポリマー社製)(以下、「G1643」と略記する。)スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロックポリマー(SEBS)
溶融粘度*1;200mPa・s
・クレイトンG1650(クレイトンポリマー社製)(以下、「G1650」と略記する。)スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロックポリマー(SEBS)
溶融粘度*1;18,000mPa・s
・クレイトンG1652(クレイトンポリマー社製)(以下、「G1652」と略記する。)スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロックポリマー(SEBS)
溶融粘度*1;1,350mPa・s
・クレイトンG1726(クレイトンポリマー社製)(以下、「G1726」と略記する。)スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロックポリマー(SEBS)
溶融粘度*1:180mPa・s
なお、溶融粘度*1は、スチレン系エラストマー濃度25質量%トルエン溶液の25℃での溶融粘度である。溶融粘度の測定は、B型粘度計RB80L(東機産業社製)を用い、ローターNo.3を用いて適した回転数で行った。
【0037】
<酸価が100mgKOH/g以上300mgKOH/g以下であるロジン系粘着付与剤(B)>
・ハリタックF(ハリマ化成社製)、酸価:175mgKOH/g、軟化点:72℃
・KE−604(荒川化学社製)
水添アクリル酸変性ロジン、酸価:240mgKOH/g、軟化点:125℃
【0038】
<<流動点−10℃以下のプロセスオイル100質量%中にパラフィンを50質量%以上含むプロセスオイル(C)>>
・ダイアナプロセスPW−90(出光興産社製)(以下、「PW90」と略記する。)パラフィン系プロセスオイル(パラフィン:71質量%、ナフテン:29質量%、芳香族:0質量%)、流動点:−15℃
・ダイアナプロセスPW−380(出光興産社製)(以下、「PW380」と略記する。)パラフィン系プロセスオイル(パラフィン:73質量%、ナフテン:27質量%、芳香族:0質量%)、流動点:−15℃
【0039】
<<無水マレイン酸をグラフト重合させ、融点が100℃以上のポリプロピレンワックス(D)>>
・リコセンPPMA6252(クラリアントジャパン社製)(以下、「PPMA6252」と略記する。)、酸価:40mgKOH/g、融点:127℃
【0040】
[その他]
<<ロジン系粘着付与剤(B)以外の粘着付与樹脂>>
・YSポリスター(ヤスハラケミカル社製)、テルペンフェノール樹脂(テルペンフェノール共重合体)、酸価:30mgKOH/mg以下、軟化点:50℃以下
【0041】
<パラフィン系プロセスオイル(C)以外のプロセスオイル>>
<<流動点:−10℃以下ではないパラフィン系プロセスオイル>>
・出光ポリブテン100R:水素未添加ポリブテン(出光興産社製)、(パラフィン:100質量%、ナフテン:0質量%、芳香族:0質量%)流動点:−7.5℃
<<パラフィン系以外のプロセスオイル>>
・ダイアナフレシアN−90(出光興産社製)(以下、「N90」と略記する。)ナフテン系プロセスオイル(パラフィン:48質量%、ナフテン:46質量%、芳香族:6質量%)流動点:−32.5℃
【0042】
<<(D)以外のワックス>
[パラフィンワックス]
・HNP−9(日本精蝋社製)、酸価:0mgKOH/g、融点:76℃
・140°Fパラフィン(日本精蝋社製)、酸価:0mgKOH/g、融点:61℃
[合成ポリエチレンワックス]
・POLYWAX655(Baker Petrolite社製)(以下、「PW655」と略記する。)、酸価:0mgKOH/g、融点:90℃
[EAAワックス(エチレン−アクリル酸共重合体)]
・A−C5120(Allied Chemical社製)、酸価:120mgKOH/g、融点:65℃
・A−C5180(Allied Chemical社製)、酸価:180mgKOH/g、融点:50℃以下
[ポリプロピレンワックス]
・NP055(三井化学社製)、酸価:0mgKOH/g、融点:136℃
[融点が100℃未満のポリプロピレンワックス]
・リコセンPPMA1332(クラリアントジャパン社製)(以下、「PPMA1332」と略記する。)、酸価:13mgKOH/g、融点:85℃
【0043】
その他成分
[脂肪酸グリセライド]
・やし油:精製ヤシ油ケミカル(C6−C18)(月島食品工業社製)
[液状ゴム]
・ハイモール4H:ポリイソブチレン(新日本石油社製)
[ポリエチレングリコール]
・PEG−600(三洋化成社製)、数平均分子量:600
・PEG−1000(三洋化成社製)、数平均分子量:1000
・PEG−2000(三洋化成社製)、数平均分子量:2000
・PEG−6000(三洋化成社製)、数平均分子量:6000
・PEG−20000(三洋化成社製)、数平均分子量:20000
【0044】
実施例1
<ホットメルト接着剤の作製方法>
攪拌機を備えたステンレスビーカーに、流動点が−15℃のプロセスオイル100質量%中にパラフィンを50質量%以上含むプロセスオイル(C)としてPW90:25質量部と、その他成分としてPEG1000:2質量部、PEG6000:2質量部を投入し、加熱撹拌した。加熱は内容物が150℃以上にならないように注意して行った。
この溶融物にスチレン系エラストマー(A)として、G1650:10質量部、G1652:10質量部を徐々に加え、添加終了後、次に酸価が100mgKOH/g以上、300mgKOH/g以下であるロジン系粘着付与剤(B)としてハリタックF:46質量部加え、最後に無水マレイン酸をグラフト重合させ、融点が100℃以上のポリプロピレンワックス(D)としてPPMA6252:5質量部を添加して、溶融均一混合物とし、冷却してホットメルト接着剤を作製した。
なお、PPMA6252の量は、(A)〜(D)の合計100質量%中、5.2質量%である。
【0045】
得られたホットメルト接着剤のアルカリ剥離性、ラベル破れ(対PET)、糊残り(対PET)、接着性(接着強度)(対OPP)、保持力(対OPP)を下記の方法により評価した。
実施例1のホットメルト接着剤のアルカリ剥離性、糊残り、ラベル破れはいずれも○であり、接着性(対OPP)は、5.5N/15mm(5℃)、2.0N/15mm(23℃)、1.2N/15mm(40℃)であり、保持力(対OPP)は39770秒だった。
【0046】
<アルカリ剥離性>
サンプル作製方法:厚さ20μmのOPPフィルムに印刷を施したラベルの印刷面にホットメルト接着剤を塗工量20〜30g/m
2、塗工面積15cm
2で塗工(温度条件:150℃)し、ホットメルト接着剤付きラベルを得た。
その後、サクミラベラー社製ラベラーで、速度80bpmにて、150℃で、2L長角PETボトルに、前記ホットメルト接着剤付きラベルを貼り付けた。
次いで、ホットメルト接着剤付きラベルごとPETボトルを、約8mm×8mm角に粉砕して、ラベルが付いた状態のPETのペレットとした。
試験方法:1000ml丸型フラスコに、85〜90℃の1.5質量%水酸化ナトリウム水溶液90gと前記ペレット10gを入れて、600rpmで攪拌(攪拌羽:プロペラ)した。15分後フィルターで濾過し、PETのペレットの状態を目視観察した。
評価基準:ホットメルト接着剤がPETのペレットに残らない場合を○、ラベルがPETのペレットに残ったり、ホットメルト接着剤がPETのペレットに残ったり、PETのペレット同士が再付着した場合を×とした。
【0047】
<ラベル破れ><糊残り>
サンプル作製方法:前記と同様にしてホットメルト接着剤付きラベルを得た。
その後、試験用PETシートに前記ホットメルト接着剤付きラベルを23℃で貼り付けて、ハンドローラーで1往復させて圧着し、15mm幅に断裁した。
試験方法:5℃の恒温室中で、180度角剥離(剥離速度:1000mm/分)で行った。
評価基準:
ラベル破れ:ラベル破れがなかった場合を○、ラベル破れがあった場合を×とした。
糊残り:ホットメルト接着剤がPETシートに残らない場合を○、ホットメルト接着剤がPETシートに残ったり、再付着した場合を×とした。
【0048】
<接着強度>
サンプル作製方法:前記と同様にしてホットメルト接着剤付きラベルを得た。厚さ20μmのOPPフィルムに印刷を施したラベルの非印刷面に前記ホットメルト接着剤付きラベルを23℃で貼り付けて、ハンドローラーで1往復させて圧着し、15mm幅に断裁した。
試験方法:5℃、23℃、40℃の各恒温室中で、180度角剥離(剥離速度:300mm/分)で行った。
評価基準:1.0N/15mm以上の値を示した場合を○、1.0N/15mm未満の値を示した場合を×とした。
【0049】
<保持力>
サンプル作製方法:前記と同様にしてホットメルト接着剤付きラベルを得た。その後、同OPPフィルムの非印刷面に前記ホットメルト接着剤付きラベルを23℃で貼り付けて、ハンドローラーで1往復させて圧着し、接着面積が15×15mm
2になるように断裁した。
試験方法:50℃の恒温室中で、せん断方向に荷重200gの重りを吊るし、落下するまでの時間を測定した。
評価基準:30000秒以上保持した場合を○、30000秒未満保持した場合を×とした。
【0050】
実施例2〜3、比較例1〜23
表1、2に示す質量比にて、スチレン系エラストマー(A)、酸価が100mgKOH/g以上、300mgKOH/g以下であるロジン系粘着付与剤(B)、流動点が−10℃以下のプロセスオイル100質量%中にパラフィンを50質量%以上含むプロセスオイル(C)、無水マレイン酸をグラフト重合させ、融点が100℃以上のポリプロピレンワックス(D)およびその他成分を実施例1と同様に溶融・混合して、ホットメルト接着剤を作製し、同様に評価した。
なお、比較例2におけるPPMA6252の量は、(A)〜(D)の合計100質量%中、4.2質量%である。また、比較例23はホットメルト接着剤100質量%中に含まれる(A)〜(D)の合計量が82.5質量%である。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
表1および表2の実施例1〜3から、本発明のホットメルト接着剤は、PETボトルからラベル破れおよび糊残りすることなく手剥がしすることができ、また高い保持力と接着強度を有し、さらにアルカリ剥離性適性を有する。
一方、比較例1〜23のホットメルト接着剤は、ラベル破れ、糊残り、接着強度および保持力の全てを満足する結果は得られなかった。