【実施例】
【0104】
以下に、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。なお、実施例における、「部」および「%」は、「重量部」および「重量%」をそれぞれ表し、Mwは質量平均分子量を意味する。
【0105】
<水酸基価(フェノール性およびアルコール性)の測定方法>
フェノール性およびアルコール性の水酸基価は、樹脂固形1g中に含まれる水酸基の量を、水酸基をアセチル化させたときに水酸基と結合した酢酸を中和するために必要な水酸化カリウムの量(mg)で表したものである。
水酸基価は、JIS K0070に準じて測定し、下記式に示す通り、酸価を考慮して計算する。
【0106】
共栓三角フラスコ中に試料約1gを精密に量り採り、シクロヘキサノン溶媒100mlを加えて溶解する。更にアセチル化剤(無水酢酸25gをピリジンで溶解し、容量100mlとした溶液)を正確に5ml加え、約1時間攪拌した。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30秒間持続する。その後、溶液が淡紅色を呈するまで0.5Nアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定する。
水酸基価は次式により求めた(単位:mgKOH/g)。
水酸基価(mgKOH/g)=[{(b−a)×F×28.05}/S]+D
ただし、
S:試料の採取量(g)
a:0.5Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
b:空実験の0.5Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
F:0.5Nアルコール性水酸化カリウム溶液の力価
D:酸価(mgKOH/g)
<酸価の測定>
共栓三角フラスコ中に試料約1gを精密に量り採り、シクロヘキサノン溶媒100mlを加えて溶解する。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30秒間保持する。その後、溶液が淡紅色を呈するまで0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定する。酸価は次式により求めた(単位:mgKOH/g)。
酸価(mgKOH/g)=(5.611×a×F)/S
ただし、
S:試料の採取量(g)
a:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
F:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の力価
【0107】
<酸無水物価の測定方法>
共栓三角フラスコ中に試料約1gを精密に量り採り、1,4−ジオキサン溶媒100mlを加えて溶解した。これにオクチルアミン、1,4−ジオキサン、水の混合溶液(重量の混合比は1.49/800/80)を10mL加えて15分攪拌し、反応を完了させた。その後、過剰のオクチルアミンを0.02M過塩素酸、1,4−ジオキサンの混合溶液で滴定した。また、試料を加えていない、オクチルアミン、1,4−ジオキサン、水の混合溶液(重量の混合比は1.49/800/80)10mLもブランクとして測定を実施した。酸無水物価は次式により求めた(単位:mgKOH/g)
酸無水物価(mgKOH/g)=0.02×(B−S)×F×56.11/W
B:ブランクの滴定量(mL)
S:試料の滴定量(mL)
W:試料固形量(g)
F:0.02mol/L過塩素酸の力価
【0108】
<質量平均分子量(Mw)の測定方法>
Mwの測定は東ソー株式会社製GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)「HPC−8020」を用いた。GPCは溶媒(THF;テトラヒドロフラン)に溶解した物質をその分子サイズの差によって分離定量する液体クロマトグラフィーである。本発明における測定は、カラムに「LF−604」(昭和電工株式会社製:迅速分析用GPCカラム:6mmID×150mmサイズ)を直列に2本接続して用い、流量0.6ml/min、カラム温度40℃の条件で行い、重量平均分子量(Mw)の決定はポリスチレン換算で行った。
【0109】
[合成例1]
<アクリル樹脂の合成例>
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、導入管、温度計を備えた4口フラスコに、メチルエチルケトン(以下、MEKという)300gを入れ、容器に窒素ガスを注入しながら80℃に加熱して、同温度でメタクリル酸ブチル30g、メタクリル酸メチル28g、メタクリル酸ラウリルとメタクリル酸トリデシルとの1:1(質量比)混合品3g、メタクリル酸12g、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.8gの混合物を1時間かけて滴下して重合反応を行った。滴下終了後、さらに80℃で3時間反応させた後、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1.2部をMEK50gに溶解させたものを添加し、80℃で1時間反応させて、アクリル樹脂溶液を得た。質量平均分子量は5.2万、酸価は78.2mgKOH/gであった。
【0110】
ここで、分子量142のメタクリル酸ブチル30gは0.21molなので、メタクリル酸ブチル30g中にはエステル基が0.21mol含まれる。
以下、同様に、分子量100のメタクリル酸メチル28g中にはエステル基を0.28molが含まれ、
平均分子量261のメタクリル酸ラウリルとメタクリル酸トリデシルとの混合物30g中にはエステル基が0.12mol含まれ、
分子量86のメタクリル酸12g中にはエステル基が0.14mol含まれ、さらに反応性官能基であるカルボキシル基が0.14mol含まれる。
そのため、樹脂100g中に含まれるエステル結合のモル数は、0.74molであり、カルボキシル基は0.14molである。ここから、樹脂1g中の官能基を計算すると、反応性官能基量は1.4mmol/g、その他官能基量は7.4mmol/g、トータル官能基量は、8.8mmol/gとなる。
【0111】
[合成例2〜3]、[比較合成例1〜2]
合成例1と同様の方法で、表1の組成に従って合成を行い、アクリル樹脂を得た。
【0112】
[合成例4]
<ポリエステル樹脂の合成例>
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、導入管、温度計を備えた4口フラスコに、セバシン酸57.6g、トリメシン酸3.2g、シクロへキサンジメタノール27.5g、1.6−ヘキサンジオール9.7g、テトラブチルチタネート0.012gを仕込み、発熱の温度が一定になるまで撹拌した。温度が安定したら110℃まで昇温し、温度が安定したのを確認してから、30分後に温度を120℃に昇温し、その後、30分ごとに10℃ずつ昇温しながら脱水反応を続けた。温度が230℃になったら、そのままの温度で3時間反応を続け、約2KPaの真空下で、1時間保持した。その後、温度を低下し、ポリエステル樹脂を得た。質量平均分子量は3.2万、酸価は39.8mgKOH/gであった。
【0113】
ここで、2官能の分子量202のセバシン酸57.6gは0.285molなので、セバシン酸57.6g中にはカルボキシル基が0.57mol含まれる。
以下、同様に、分子量210の3官能のトリメシン酸3.2g中にはカルボキシル基が0.045mol含まれ、
分子量144のシクロヘキサンジメタノール27.5g中には、アルコール性水酸基が0.382mol含まれ、
1.6−ヘキサンジオール9.7g中には、アルコール性水酸基が0.164mol含まれる。
つまり、カルボキシル基を0.615mol、アルコール性水酸基を0.546mol含むモノマーを反応させているため、樹脂中のエステル基量は0.546molであり、反応性官能基として残存するアルコール性水酸基は0.069molである。
仕込んだモノマーの合計量は97.9gであることから、樹脂1g中の官能基を計算すると、反応性官能基量は(0.069/97.9)×1000=0.7mmol/g、その他官能基量は(0.546/97.9)×1000=5.6mmol/g、トータル官能基量は、6.3mmol/gとなる。
【0114】
[合成例5〜10]、[比較合成例3]
合成例4と同様の方法で、表2の組成に従って合成を行い、ポリエステル系樹脂を得た。
【0115】
[合成例11]
<ポリウレタン系樹脂の合成例>
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、導入管、温度計を備えた4口フラスコに、1.6−ヘキサンジオール10.6g、C36ダイマージオール(PRIPOL2033:クローダジャパン株式会社、OH価=207mgKOH/g)113.3g、トリレンジイソシアネート44.3g、溶剤としてトルエン240gを仕込み、窒素気流下、攪拌しながら60℃まで昇温し、均一に溶解させた。続いてこのフラスコに、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.016gを投入し、100℃で3時間攪拌し、ウレタン化の反応を行った。次に、トルエン40g、無水トリメリット酸17.6gを投入し、90℃で1時間攪拌後、135℃に昇温し、4時間反応させた。室温まで冷却し、ポリウレタン系樹脂を得た。質量平均分子量は1.1万、酸価は55.3mgKOH/gであった。
【0116】
ここで、2官能の分子量118の1.6−ヘキサンジオール10.6g中には、アルコール性水酸基が0.18mol含まれる。
以下、同様に、2官能の分子量540の36ダイマージオール113.3g中には、アルコール性水酸基が0.42mol含まれ、
2官能の分子量174のトリレンジイソシアネート44.3g中にはイソシアネート基が0.508mol含まれる。
つまり、アルコール性水酸基を0.6mol、イソシアネート基を0.508mol含むモノマーを反応させているため、樹脂中のウレタン基量は0.508molであり、反応性官能基として残存するアルコール性水酸基は0.092molである。
続けて投入した分子量210の無水トリメリット酸は、カルボキシル基を1つ、酸無水物基を1つ有すので、無水トリメリット酸17.6g中には、酸無水物基が0.092mol、カルボキシル基が0.092mol含まれる。この無水トリメリット酸によりアルコール性水酸基は消失し、エステル基が0.092mol生成し、カルボキシル基が0.183mol生成する。
これにより樹脂1g中の官能基を計算すると、反応性官能基量は0.98mmol/g、その他官能基量は3.2mmol/g、トータル官能基量は、4.2mmol/gとなる。
【0117】
[合成例12]、[比較合成例4]
合成例11と同様の方法で、表3の組成に従って合成を行い、ポリウレタン系樹脂を得た。
【0118】
[合成例13]
<ポリウレタンウレア系樹脂の合成例>
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、導入管、温度計を備えた4口フラスコに、1.6−ヘキサンジオール28.4g、ジメチロールブタン酸8.9g、トリレンジイソシアネート55.6g、溶剤としてトルエン122gを仕込み、窒素気流下、攪拌しながら60℃まで昇温し、均一に溶解させた。続いてこのフラスコに、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.008gを投入し、100℃で3時間攪拌し、ウレタン化の反応を行った。次に、80℃に降温してトルエン20gに溶解させたヘキシルアミン1.9gを30分かけて滴下し、その後100℃で6時間攪拌した。室温まで冷却し、ポリウレタンウレア系樹脂を得た。質量平均分子量は1.4万、酸価は34.8mgKOH/gであった。
【0119】
ここで、2官能の分子量118の1.6−ヘキサンジオール28.4中には、アルコール性水酸基が0.48mol含まれ、
2官能の分子量148のジメチロールブタン酸8.9g中には、アルコール性水酸基0.12molとカルボキシル基0.06molが含まれ、
2官能の分子量174のトリレンジイソシアネート55.6g中にはイソシアネート基が0.638mol含まれる。
つまり、アルコール性水酸基を0.6mol、イソシアネート基を0.638mol含むモノマーを反応させているため、樹脂中のウレタン基量は0.6molであり、反応性官能基として残存するイソシアネート基は0.038molである。
続けて投入した1官能の分子量101のヘキシルアミン3.9g中には、アミノ基が0.038mol含まれる。このヘキシルアミンによりイソシアネート基は消失し、ウレア基が0.038mol生成する。
これにより樹脂1g中の官能基を計算すると、反応性官能基量は0.62mmol/g、その他官能基量は6.6mmol/g、トータル官能基量は、7.2mmol/gとなる。
【0120】
[合成例14]、[比較合成例5]
<ポリウレタンウレア系樹脂の合成例>
合成例13と同様の方法で、表4の組成に従って合成を行い、ポリウレタンウレア系樹脂を得た。
【0121】
[合成例15]
<ポリアミド系樹脂の合成例>
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、導入管、温度計を備えた4口フラスコに、セバシン酸54.5g、トリメシン酸6.4g、プリアミン1074:クローダジャパン(株)製、C36ダイマージアミン(アミン価:210mgKOH/g)148.4g、イオン交換水を100g仕込み、発熱の温度が一定になるまで撹拌した。温度が安定したら110℃まで昇温し、水の流出を確認してから、30分後に温度を120℃に昇温し、その後、30分ごとに10℃ずつ昇温しながら脱水反応を続けた。温度が230℃になったら、そのままの温度で3時間反応を続け、約2KPaの真空下で、1時間保持した。その後、温度を低下し、ポリアミド樹脂を得た。質量平均分子量は2.8万、酸価は20.0mgKOH/gであった。
【0122】
ここで、2官能の分子量202のセバシン酸202g中には、カルボキシル基が0.54mol含まれ、
3官能の分子量210のトリメシン酸6.3g中には、カルボキシル基が0.09mol含まれ、
2官能の分子量534のプリアミン1074、148.4g中にはアミノ基が0.556mol含まれる。
つまり、カルボキシル基を0.63mol、アミノ基を0.556mol含むモノマーを反応させているため、樹脂中のアミド基量は0.556molであり、反応性官能基として残存するカルボキシル基は0.074molである。10gの水が抜けるので、樹脂1g中の官能基を計算すると、反応性官能基量は0.37mmol/g、その他官能基量は2.79mmol/g、トータル官能基量は、3.2mmol/gとなる。
【0123】
[合成例16〜17]、[比較合成例6]
合成例15と同様の方法で、表5の組成に従って合成を行い、ポリアミド系樹脂を得た。
【0124】
[合成例18]
<ポリイミド系樹脂の合成例>
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、導入管、温度計を備えた4口フラスコに、4,4'-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物「6FDA」88.8g、ダイマージイソシアネート(BASFジャパン株式会社製、NCO%=13.8%)110.1gIPDIヌレート(イソホロンジイソシアネートのヌレート体)6.06gを仕込み、発熱の温度が一定になるまで撹拌した。温度が安定したら110℃まで昇温し、水の流出を確認してから、30分後に温度を120℃に昇温し、その後、30分毎に10℃ずつ昇温しながら脱水反応を続けた。温度が230℃になったら、そのままの温度で3時間反応を続け、約2kPaの真空下で3時間保持した。その後、温度を低下し、ポリイミド樹脂を得た。質量平均分子量は3.4万、酸無水物価は7.5mgKOH/gであった。
【0125】
ここで、2官能の分子量444の6FDA88.8g中には酸無水物基が0.4mol含まれ、
2官能の分子量638のダイマージイソシアネート110.1g中にはイソシアネート基が0.345mol含まれ、
3官能の分子量667のIPDIヌレート6.1g中にはイソシアネート基が0.027mol含まれる。
つまり、酸無水物基を0.4mol、イソシアネート基を0.373mol含むモノマーを反応させているため、樹脂中のイミド基量は1.879molであり、反応性官能基として残存する酸無水物基は0.138molである。6.7gの水が抜けるので、樹脂1g中の官能基を計算すると、反応性官能基量は0.14mmol/g、その他官能基量は1.88mmol/g、トータル官能基量は、2.0mmol/gとなる。
【0126】
[合成例19〜23]、[比較合成例7]
合成例18と同様の方法で、表6の組成に従って合成を行い、ポリイミド系樹脂を得た。
【0127】
[合成例24]
<ポリカーボネート系樹脂の合成例>
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、導入管、温度計を備えた4口フラスコに、炭酸エチレン25.2g、1,4−シクロへキサンジメタノール38.9g、トリメチロールプロパン4.0g、テトラブチルチタネート0.003gを仕込み、常圧、攪拌下、シクロへキサンジメタノールと炭酸エチレンの混合物を留去しながら、エステル交換反応を8時間行なった。この間、30分ごとに10℃ずつ昇温しながら反応温度は190℃まで徐々に昇温させ、留出物の組成はシクロへキサンジメタノールと炭酸エチレンの混合物の共沸組成の近傍となるように調節した。そのままの温度で3時間反応を続け、約2KPaの真空下で、さらに3時間保持した。その後、温度を低下し、ポリカーボネート樹脂を得た。質量平均分子量は1.4万、水酸基価は48.2mgKOH/gであった。
【0128】
ここで、2官能の分子量144の1,4−シクロへキサンジメタノール38.9g中にはアルコール性水酸基が0.54mol含まれ、3官能の分子量134のトリメチロールプロパン4.0gには、アルコール性水酸基0.09mol含まれ、
2官能の分子量88の炭酸エチレン25.2g中にはカーボネート基が0.29mol含まれる。
つまり、アルコール性水酸基を0.63mol、カーボネート基を0.29mol含むモノマーを反応させているため、樹脂中のカーボネート基量は0.29molであり、反応性官能基として残存するアルコール性水酸基は0.059molである。17.7gのエチレングリコールが抜けるので、樹脂1g中の官能基を計算すると、反応性官能基量は1.16mmol/g、その他官能基量は5.67mmol/g、トータル官能基量は、6.8mmol/gとなる。
【0129】
[合成例25]
<ポリカーボネート系樹脂の合成例>
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、導入管、温度計を備えた4口フラスコに、炭酸エチレン25.2g、1.6−ヘキサンジオール35.5g、テトラブチルチタネート0.003gを仕込み、常圧、攪拌下、1.6ヘキサンジオールと炭酸エチレンの混合物を留去しながら、エステル交換反応を8時間行なった。この間、30分ごとに10℃ずつ昇温しながら反応温度は190℃まで徐々に昇温させ、留出物の組成は1.6−ヘキサンジオールと炭酸エチレンの混合物の共沸組成の近傍となるように調節した。そのままの温度で3時間反応を続け、約2KPaの真空下で、さらに3時間保持した。その後、温度を低下し、無水トリメリット酸2.2g、トルエン30gを添加し、110℃で3時間反応させ、その後、温度を低下し、ポリカーボネート樹脂を得た。質量平均分子量は1.3万、酸価は20.4mgKOH/g、水酸基価は15.3mgKOH/gであった。また、構造から算出される極性官能基量は7.5mmol/gであった。
【0130】
[比較合成例8]
合成例24と同様の方法で、表7の組成に従って合成を行い、ポリカーボネート系樹脂を得た。
【0131】
[合成例26]
<ポリフェニレンエーテル系樹脂の合成例>
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、導入管、温度計を備えた4口フラスコを30℃の恒温水槽中に置いた。塩化銅(I)9.9gをピリジン2.0gに加え、酸素を吹き込みながらかき混ぜ、トルエン5.0gを加えることで、触媒溶液となる銅(II)ピリジン錯体溶液を得た。また、2,6−ジメチルフェノール98.0gと2.2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン30.0gをトルエン3.0gに溶解し、フェノール溶液を得た。その後、30℃に保持し、酸素置換した反応容器内に触媒、フェノール両溶液を滴下混合し、激しくかき混ぜた。モノマー添加開始時から66分後に、酸素を窒素に切り換え、重合を停止させた。反応溶液を0.3gの濃塩酸を含む110gのメタノール中に滴下した。沈殿したポリマーをろ過し、25.0gのメタノール、ついで1.0gの濃塩酸を含む25.0gのメタノール、最後に25.0gのメタノールで洗浄した。120℃で3時間乾燥させ、トルエン50.0g、2−プロパノール50.0gで希釈して、トータル官能基量が0.01mmol/g以上、9.0mmol/g以下の樹脂(A)であるポリフェニレンエーテル樹脂を得た。質量平均分子量は1.5万、フェノール性水酸基価は15.4mgKOH/gであった。
【0132】
ここで、2官能の分子量122の2,6−ジメチルフェノール98.0gg中にはフェノール性水酸基が0.80mol含まれ、2官能の分子量284の2,2−ビス(4−ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパン30.0gには、フェノール性水酸基0.21mol含まれる。
重合した後のフェノール性水酸基とエーテル基の合計量は、初期のフェノール基の合計量となる。固形量は128gのため、1.01/128×1000の計算式によりトータル官能基量は、7.9mmol/gとなる。
【0133】
[合成例27]
<オレフィン系樹脂の合成例>
主鎖合成、水添、酸変性と3段階で合成を完了させた。
<主鎖合成>
乾燥した窒素雰囲気下で、内容量5リットルのステンレスリアクターにシクロヘキサン330gと、スチレンの25重量%シクロヘキサン溶液576g(スチレンとして144g)と、9mmolのn−BuLiと、45mmolのTHFとを加え、50℃で30分間重合した。
次いで、ブタジエン/シクロヘキサンの17.7%溶液を1733g(ブタジエンとして306g)加え、ジャケットの温度を75℃に昇温し1時間重合した。引き続きジメチルジクロルスズ(Me
2 SnCl
2 )4.05mmolを加え、15分間カップリング反応を行い、主鎖を合成した。
【0134】
<水添反応>
窒素置換した反応容器に乾燥、精製したシクロヘキサン1000gを仕込み、ビスシクロペンタジエニルチタニウムジクロリド100mmolを添加し、十分に攪拌しながらトリメチルアルミニウム200mmolを含むn−ヘキサン溶液を添加して、室温にて約3日間反応させ、水素添用触媒を得た。
主鎖合成した樹脂に、上記水素添加用触媒を、前記樹脂100質量部当たりチタン換算で100ppmとなるように添加し、水素圧0.7MPa、温度75℃で水素添加反応を行い、樹脂溶液を得た。上記樹脂溶液は、次の段階のために、真空オーブン中で0.1Torrで24時間乾燥させ、固形分100%の樹脂を取り出した。
【0135】
<酸変性>
上記で得た樹脂100gに対して、無水マレイン酸1g、ベンゾイルパーオキサイド0.1g、イルガノックス1010(BASFジャパン製、酸化防止剤)0.06gをドライブレンドし、ベント付き32ミリの二軸押出機を用いて、さらに混合し、溶融混錬し、ペレット状サンプルを得た。混合、溶融混練時の二軸押出機の温度は、ホッパー下部40℃ 、混合ゾーン80℃、反応ゾーン170℃、ダイス180℃とした。
得られたペレット状サンプル100重量部に、アセトン85重量部、ヘプタン85重量部を加え、耐圧反応器中、85℃で2時間加熱攪拌した。同操作終了後、金網でペレットを回収し、これを140℃ 、0.1Torrで20時間真空乾燥して、オレフィン系樹脂を得た。質量平均分子量は5万、酸無水物価は5.7mgKOH/gであった。
【0136】
ここで、官能基を有さない樹脂100gに対して、酸無水物基0.01molを含む1官能の無マレイン酸1gを添加して、前記樹脂を変性していることから、変性後の樹脂1g中の官能基を計算すると、反応性官能基量は0.1mmol/g、その他官能基量は0mmol/g、トータル官能基量は、0.1mmol/gとなる。
【0137】
[合成例28〜30]
<オレフィン系樹脂の合成例>
合成例27と同様の方法で、表9の組成に従って合成を行い、オレフィン系樹脂を得た。
【0138】
[合成例31]
<オレフィン系樹脂の合成例>
合成例27と同様の方法で、表9の組成に従って合成を行った後、200gの水を加えて、酸無水物を開環させるという操作を加え、オレフィン系樹脂を得た。
【0139】
[合成例32〜33]
<オレフィン系樹脂の合成例>
合成例27と同様の方法で、表9の組成に従って合成を行ったが、2段階目の水添作業を実施せずに、オレフィン系樹脂を得た。
【0140】
[比較合成例9〜10]
<オレフィン系樹脂の合成例>
合成例27と同様の方法で、表9の組成に従って合成を行ったが、3段階目の酸変性作業を実施せずに、オレフィン系樹脂を得た。
【0141】
[合成例34]
<フッ素系樹脂の合成例>
1000mLのステンレス製オートクレーブに、ヘキサフルオロプロピレン35.2g、ピバリン酸ビニル46.5g、ヒドロキシブチルビニルエーテル4.93g、エチルビニルエーテル12.7g、クロトン酸0.7g及びジイソプロピルパーオキシジカーボネート0.8gを仕込み、0℃ に冷却した後、減圧下に脱気した。その後、攪拌下で40℃ に加熱し、24時間反応させ、反応器内圧が5kg/cm
2から2kg/cm
2に下がった時点で反応を停止し、フッ素系樹脂を得た。質量平均分子量は4.8万、酸価は4.6mgKOH/gであった。
【0142】
ここで、分子量128のピバリン酸ビニル46.5g中にはエステル基が0.36mol含まれ、分子量72のエチルビニルエーテル12.7g中にはエステル基が0.18mol含まれ、分子量116のヒドロキシブチルビニルエーテル4.93g中にはアルコール性水酸基およびエステル基が0.042molずつ含まれ、分子量86のクロトン酸0.70g中には、カルボキシル基が0.008mol含まれる。
つまり、アルコール性水酸基を0.042mol、カルボキシル基を0.008mol、エステル基を0.582mol含むモノマーを反応させており、これらの官能基は反応後もそのまま残存する。ここから、樹脂1g中の官能基を計算すると、反応性官能基量は0.5mmol/g、その他官能基量は5.82mmol/g、トータル官能基量は、6.3mmol/gとなる。
【0143】
[合成例35]
<フッ素系樹脂の合成例>
合成例34と同様の方法で、表10の組成に従って合成を行い、フッ素系樹脂を得た。
【0144】
[合成例36]
<スチレン無水マレイン酸系樹脂の合成例>
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、導入管、温度計を備えた4口フラスコに、MEK300gを入れ、容器に窒素ガスを注入しながら80℃に加熱して、同温度でスチレン516.1g、無水マレイン酸48.4g、過酸化ベンゾイル0.2gの混合物を1時間かけて滴下して重合反応を行った。滴下終了後、さらに80℃で3時間反応させた後、過酸化ベンゾイル0.2gをMEK50gに溶解させたものを添加し、80℃で1時間反応させて、スチレン無水マレイン酸系樹脂溶液を得た。質量平均分子量は6.2万、酸無水物価は49.0mgKOH/gであった。
ここで、1官能の分子量98の無水マレイン酸48.4g中には、酸無水物基が0.49mol含まれる。酸無水物基は反応後も残存することから、樹脂1g中の官能基を計算すると、反応性官能基量は0.9mmol/g、その他官能基量は0mmol/g、トータル官能基量は、0.9mmol/gとなる。
【0145】
[合成例37〜38]、[比較合成例11]
<スチレン無水マレイン酸系樹脂の合成例>
合成例36と同様の方法で、表11の組成に従って合成を行い、スチレン無水マレイン酸系樹脂を得た。
【0146】
【表1】
【0147】
【表2】
【0148】
【表3】
【0149】
【表4】
【0150】
【表5】
【0151】
【表6】
【0152】
【表7】
【0153】
【表8】
【0154】
【表9】
【0155】
【表10】
【0156】
【表11】
【0157】
以下、表1〜11において共通
BMA:n−ブチルメタクリレート
MMA:メチルメタクリレート
LMA:ラウリルメタクリレート
TDMA:トリデシルメタクリレート
LMA/TDMA=1/1混合品
tBA:ter-ブチルアクリレート
MAA:メタクリル酸
HEMA:2−ヒドロキエチルメタクリレート
AIBN:アゾビスイソブチロニトリル
プリポール2033:クローダジャパン(株)製、C36ダイマージオール(OH価:207mgKOH/g)
プリポール1009:クローダジャパン(株)製、C36ダイマー酸(酸価:195.0mgKOH/g)
TDI:トリレンジイソシアネート
TMA:無水トリメリット酸
プリアミン1074:クローダジャパン(株)製、C36ダイマージアミン(アミン価:210mgKOH/g)
NBDA:ノルボルナンジアミン
ビスアニリンM:三井化学ファイン(株)製、1,3−ビス[2−(4−アミノフェニル)−2−プロピル]ベンゼン
IPDIヌレート:イソホロンジイソシアネートのヌレート体
ワンダミンHM:新日本理化(株)製、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン
KF−8010:信越シリコーン(株)製、両末端アミノ変性シリコーンオイル(アミン価:430mgKOH/g)
HAB:4,4'−ジアミノー3,3'―ジヒドロキシビフェニル
1,6−HD:1,6−ヘキサンジオール
2,6−DMP:2,6−ジメチルフェノール
BXF:2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン
n−BuLi:ノルマルブチルリチウム
THF:テトラヒドロフラン
【0158】
(実施例1)
合成例1で得られた極性官能基のトータル官能基量が0.01mmol/g以上、9.0mmol/g以下の樹脂(A)の固形分100gに対して、有機金属化合物(B)として、Alキレート化合物「AlキレートA」(川研ファインケミカル株式会社製)を、前記樹脂(A)中の反応性官能基1モルに対して有機金属化合物(B)中の金属が0.3モルとなる量添加し、エポキシ基含有化合物(C)として、jER1031S(三菱化学(株)製、4官能テトラキスフェノール型エポキシ化合物)を、前記樹脂(A)中の反応性官能基1モルに対してエポキシ基含有化合物(C)中のエポキシ基が2モルとなる量添加し、シクロヘキサノン溶剤で固形分濃度が25%になるように溶解して熱硬化性組成物を調整した。
この熱硬化性組成物を剥離処理されたポリエステルフィルム上に、乾燥後の膜厚が30μmとなるように均一に塗工して乾燥させ、接着シートを設けた。次に、剥離処理された別のポリエステルフィルムを前記接着シート上にラミネートし、両面保護フィルム付きの接着シートを得た。
【0159】
[実施例2〜3]
表21に示した組成で、合成例1で得られたアクリル系樹脂の代わりに合成例2、3で得られたアクリル系樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にして、両面保護フィルム付きの接着シートを作成した。
【0160】
[比較例1〜2]
表21に示した組成で、合成例1で得られたアクリル系樹脂の代わりに比較合成例1、2で得られたアクリル系樹脂を用いた以外は実施例1と同様にして、両面保護フィルム付きの接着シートを作成した。
【0161】
[比較例3]
表21に示した組成で、有機金属化合物(B)を用いなかった以外は、実施例1と同様にして、両面保護フィルム付きの接着シートを作成した。
【0162】
[比較例4]
表21に示した組成で、エポキシ基含有化合物(C)を用いなかった以外は、実施例1と同様にして、両面保護フィルム付きの接着シートを作成した。
【0163】
[実施例4〜10]、[比較例5]
表22に示した組成で、合成例1で得られたアクリル系樹脂の代わりに、合成例4〜10、比較合成例3で得られたポリエステル系樹脂、を用いた以外は、実施例1と同様にして、両面保護フィルム付きの接着シートを作成した。
【0164】
[比較例6]、[比較例7]
表22に示した組成で、有機金属化合物(B)を用いなかったり(比較例6)エポキシ基含有化合物(C)を用いなかったり(比較例7)した以外は、実施例4と同様にして、両面保護フィルム付きの接着シートを作成した。
【0165】
[実施例11〜12]、[比較例8]
表23に示した組成で、合成例1で得られたアクリル系樹脂の代わりに、合成例11〜12、比較合成例4で得られたポリウレタン系樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にして、両面保護フィルム付きの接着シートを作成した。
【0166】
[比較例9]、[比較例10]
表23に示した組成で、有機金属化合物(B)を用いなかったり(比較例9)、エポキシ基含有化合物(C)を用いなかったり(比較例10)した以外は、実施例11と同様にして、両面保護フィルム付きの接着シートを作成した。
【0167】
[実施例13〜14] 、[比較例11]
表24に示した組成で、合成例1で得られたアクリル系樹脂の代わりに、合成例13〜14、比較合成例5で得られたポリウレタンウレア系樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にして、両面保護フィルム付きの接着シートを作成した。
【0168】
[比較例12]、[比較例13]
表24に示した組成で、有機金属化合物(B)を用いなかったり(比較例12)、エポキシ基含有化合物(C)を用いなかったり(比較例13)した以外は、実施例13と同様にして、両面保護フィルム付きの接着シートを作成した。
【0169】
[実施例15〜17]、[比較例14]
表25に示した組成で、合成例1で得られたアクリル系樹脂の代わりに合成例15〜17、比較合成例6で得られたポリアミド系樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にして、両面保護フィルム付きの接着シートを作成した。
【0170】
[比較例15]、[比較例16]
表25に示した組成で、有機金属化合物(B)を用いなかったり(比較例15)、エポキシ基含有化合物(C)を用いなかったり(比較例16)した以外は、実施例15と同様にして、両面保護フィルム付きの接着シートを作成した。
【0171】
[実施例18〜23]、[比較例17]
表26に示した組成で、合成例1で得られたアクリル系樹脂の代わりに合成例18〜23、比較合成例7で得られたポリイミド系樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にして、両面保護フィルム付きの接着シートを作成した。
【0172】
[比較例18]、[比較例19]
表26に示した組成で、有機金属化合物(B)を用いなかったり(比較例18)、エポキシ基含有化合物(C)を用いなかったり(比較例19)した以外は、実施例18と同様にして、両面保護フィルム付きの接着シートを作成した。
【0173】
[実施例24〜25]、[比較例20]
表27に示した組成で、合成例1で得られたアクリル系樹脂の代わりに、合成例24〜25、比較合成例8で得られたポリカーボネート系樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にして、両面保護フィルム付きの接着シートを作成した。
【0174】
[比較例21]、[比較例22]
表27に示した組成で、有機金属化合物(B)を用いなかったり(比較例21)、エポキシ基含有化合物(C)を用いなかったり(比較例22)した以外は、実施例24と同様にして、両面保護フィルム付きの接着シートを作成した。
【0175】
[実施例26]
表28に示した組成で、合成例1で得られたアクリル系樹脂の代わりに、合成例26で得られたポリフェニレンエーテル系樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にして、両面保護フィルム付きの接着シートを作成した。
【0176】
[比較例23]、[比較例24]
表28に示した組成で、有機金属化合物(B)を用いなかったり(比較例23)、エポキシ基含有化合物(C)を用いなかったり(比較例24)した以外は、実施例26と同様にして、両面保護フィルム付きの接着シートを作成した。
【0177】
[実施例27〜33]、[比較例25〜26]
表29に示した組成で、合成例1で得られたアクリル系樹脂の代わりに、合成例27〜33、比較合成例9、10で得られたオレフィン系樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にして、両面保護フィルム付きの接着シートを作成した。
【0178】
[比較例27]、[比較例28]
表30に示した組成で、有機金属化合物(B)を用いなかったり(比較例27)、エポキシ基含有化合物(C)を用いなかったり(比較例28)した以外は、実施例27と同様にして、両面保護フィルム付きの接着シートを作成した。
【0179】
[実施例34〜35]
表31に示した組成で、合成例1で得られたアクリル系樹脂の代わりに、合成例34〜35で得られたフッ素系樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にして、両面保護フィルム付きの接着シートを作成した。
【0180】
[比較例29]、[比較例30]
表31に示した組成で、有機金属化合物(B)を用いなかったり(比較例27)、エポキシ基含有化合物(C)を用いなかったり(比較例28)した以外は、実施例34と同様にして、両面保護フィルム付きの接着シートを作成した。
【0181】
[比較例30]
表31に示した組成で、エポキシ基含有化合物(C)を用いなかった以外は、実施例1と同様にして、両面保護フィルム付きの接着シートを作成した。
【0182】
[実施例36〜38]、[比較例31]
表32に示した組成で、合成例1で得られたアクリル系樹脂の代わりに、合成例36〜38で得られたスチレン無水マレイン酸系樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にして、両面保護フィルム付きの接着シートを作成した。
【0183】
[比較例32]、[比較例33]
表32に示した組成で、有機金属化合物(B)を用いなかったり(比較例32)、エポキシ基含有化合物(C)を用いなかったり(比較例33)した以外は、実施例36と同様にして、両面保護フィルム付きの接着シートを作成した。
【0184】
[実施例39〜47]、[実施例48〜56]、[実施例57〜65]、[実施例67〜74]
表33〜36に示した組成で、有機金属化合物(B)及びエポキシ基含有化合物(C)の種類を変更した以外は、実施例15、18、26、27とそれぞれ同様にして、両面保護フィルム付きの接着シートを作成した。
【0185】
[実施例75〜80] 、[実施例81〜86]、[実施例87〜92]、[実施例93〜98]
表37〜40に示した組成で、有機金属化合物(B)の配合量を変更した以外は、実施例15、18、26、27とそれぞれ同様にして、両面保護フィルム付きの接着シートを作成した。
【0186】
[実施例99〜104] 、[実施例105〜110]、[実施例111〜116] 、[実施例117〜122]
表41〜44に示した組成で、エポキシ基含有化合物(C)の配合量を変更した以外は、実施例15、18、26、27とそれぞれ同様にして、両面保護フィルム付きの接着シートを作成した。
【0187】
[実施例123〜127] 、[実施例128〜132]、[実施例133〜137] 、[実施例138〜142]
表45〜48に示した組成で、樹脂(A)の併用を実施した以外は、実施例15、18、26、27とそれぞれ同様にして、両面保護フィルム付きの接着シートを作成した。
【0188】
[実施例143〜151] 、[実施例152〜160]、[実施例161〜169] 、[実施例170〜178]
表49〜52に示した組成で、その他の硬化剤(D)を加えた以外は、実施例15、18、26、27とそれぞれ同様にして、両面保護フィルム付きの接着シートを作成した。
【0189】
以下、表21〜52において共通。
jER1031S:三菱化学(株)製、4官能テトラキスフェノール型エポキシ化合物
jER604:三菱化学(株)製、4官能グリシジルアミン化合物
jER630:三菱化学(株)製、3官能グリシジルアミン化合物
TETRAD−C:三菱ガス化学(株)製、4官能グリシジルアミン化合物
TETRAD−X:三菱ガス化学(株)製、4官能グリシジルアミン化合物
jER306:三菱化学(株)製、ビスフェノールF型エポキシ化合物
BL3175:住化バイエルウレタン(株)製、イソシアヌレート型ブロックイソシアネート
V−07:日清紡(株)製、ポリカルボジイミド化合物
V−03:日清紡(株)製、ポリカルボジイミド化合物
アルミキレートA:川研ファインケミカル(株)製、Alキレート化合物
ASBD:川研ファインケミカル(株)製、Alアルコキシド化合物
TC401:マツモトファインケミカル(株)製、Tiキレート化合物
TA−30:マツモトファインケミカル(株)製、Tiアルコキシド化合物
ZC700:マツモトファインケミカル(株)製、Zrキレート化合物
TC800:マツモトファインケミカル(株)製、Tiアシレート化合物
ケミタイトPZ: (株)日本触媒製、多官能アジリジン化合物
DICY:ジシアンジアミド
CABRUS2:(株)ダイソー製、ポリスルフィド系シランカップリング剤
KBM803:信越シリコーン(株)製、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン
ノクセラーTOT−N:大内新興化学工業株式会社(株)製、チウラムジスルフィド化合物
ノクセラーDM:大内新興化学工業株式会社(株)製、チアゾリルジスルフィド化合物
【0190】
実施例および比較例で得られた接着シートについて、加工性、接着性、耐熱性、屈曲性、電気絶縁性、誘電率、誘電正接を以下の方法で評価した。結果を表21〜52に示す。
【0191】
<評価>
(1)寸法安定性
保護フィルムを除去した、65mm×65mmの大きさの接着シートを、厚さが75μmのポリイミドフィルム[東レ・デュポン(株)製「カプトン300H」]の間に挟み、80℃でラミネートし、続いて160℃、1.0MPaの条件で30分圧着処理を行った。さらに、この試験片を160℃で2時間熱硬化させ、評価用試験片を作成した。この試験片について、圧着処理前と熱硬化後との接着剤層の面積の差を測定し、これをはみ出し面積として加工性を評価した。この加工性は、圧着処理時に接着層が熱によって軟化し、回路基板の位置ズレや配線間の接触を引き起こす度合いを評価するものであり、結果を次の基準で判断した。
A・・・「はみ出し面積 ≦ 100mm
2」
B・・・「100mm
2 < はみ出し面積 ≦ 200mm
2」
C・・・「200mm
2 < はみ出し面積 ≦ 350mm
2」
D・・・「350mm
2 < はみ出し面積 ≦ 500mm
2」
E・・・「500mm
2 < はみ出し面積」
【0192】
(2)接着性
寸法安定性の評価で作成した試験片を幅10mm、長さ65mmに切り出し、23℃相対湿度50%の雰囲気下で、引っ張り速度300mm/minでTピール剥離試験を行い、接着強度(N/cm)を測定した。この試験は、常温使用時における接着層の接着強度を評価するものであり、結果を次の基準で判断した。
A・・・「12(N/cm) < 接着強度」
B・・・「8(N/cm) < 接着強度 ≦ 12(N/cm)」
C・・・「5(N/cm) < 接着強度 ≦ 8(N/cm)」
D・・・「3(N/cm) < 接着強度 ≦ 5(N/cm)」
E・・・「接着強度 ≦ 3(N/cm)」
【0193】
(3)耐熱性
上記(2)と同様に、幅10mm、長さ65mmに切り出した試験片を、23℃相対湿度50%の雰囲気下で24時間以上保管し、その後、各種温度にて溶融半田にポリイミドフィルム面を接触させて1分間浮かべた。その後、試験片の外観を目視で観察し、硬化接着層の発泡、浮き、剥がれ等の接着異常の有無を評価した。この試験は、半田接触時における硬化接着層の熱安定性を、外観で評価するものであり、耐熱性の良好なものは、外観が変化しないのに対して、耐熱性の悪いものは、半田処理後に発泡や剥がれが発生する。これらの評価結果を次の基準で判断した。
A・・・「300℃でも外観変化全く無し」
B・・・「280℃で外観変化全く無し。300℃では発泡が確認される」
C・・・「260℃でも外観変化全く無し。280℃では発泡が確認される」D・・・「240℃でも外観変化全く無し。260℃では発泡が確認される」E・・・「240℃にて発泡が観察される」
【0194】
(4)屈曲性
硬化性樹脂組成物を、厚さが75μmのポリイミドフィルム[東レ・デュポン(株)製「カプトン300H」]上に、乾燥後の膜厚が30μmになるように均一に塗工して乾燥させ、さらに、この試験片を160℃で2時間熱硬化させ、評価用試験片を作成した。評価用試験片を、硬化塗膜面を外側にして180度折り曲げ、ひび割れが発生するまでの回数を次の基準で評価した。
A・・・「20回屈曲させてもクラック(ひび割れ)が見られない」
B・・・「14回屈曲させてもクラックが見られない。20回までにクラック発生」
C・・・「8回屈曲させてもクラックが見られない。14回までにクラック発生」
D・・・「3回屈曲させてもクラックが見られない。8回までにクラック発生」
E・・・「3回屈曲させるまでにクラック発生」
【0195】
(5)電気絶縁性
保護フィルムを除去した、65mm×65mmの大きさの接着シートを、厚さが25μmのポリイミドフィルム[東レ・デュポン(株)製「カプトン100H」]とポリイミド上に銅回路が形成された櫛型パターン(導体パターン幅/スペース幅=50μm/50μm)プリント配線板との間に挟み、80℃でラミネートし、続いて160℃、1.0MPaの条件で30分圧着処理を行った。さらに、この試験片を160℃で2時間熱硬化させ、評価用試験片を作成した。この試験片の導体回路に、温度130℃、相対湿度85%の雰囲気下で直流電圧50Vを連続的に100時間加え、100時間後の導体間の絶縁抵抗値を測定した。評価基準は以下の通りである。
A・・・絶縁抵抗値10
9Ω以上
B・・・絶縁抵抗値10
8以上10
9Ω未満
C・・・絶縁抵抗値10
7以上10
8Ω未満
D・・・絶縁抵抗値10
6以上10
7Ω未満
E・・・絶縁抵抗値10
6未満
【0196】
(6)誘電率
実施例及び比較例で作成した両面保護フィルム付き接着シートの片側の保護フィルムを除去し、160℃、1.0MPaの条件で1時間熱硬化させ後、両側の保護フィルムを除去し、評価用試験片を作製した。この試験片について、(株)エー・イー・ティー製誘電率測定装置を用い、空洞共振器法により、測定温度23℃、測定周波数5GHzにおける誘電率および誘電正接を求めた。
A・・・誘電率が2.6以下である
B・・・誘電率が2.6より大きく2.8以下である
C・・・誘電率が2.8より大きく3.0以下である
D・・・誘電率が3.0より大きく3.2以下である
E・・・誘電率が3.2より大きい
【0197】
(7)誘電正接
A・・・誘電正接が0.001以下である
B・・・誘電正接が0.001より大きく0.002以下である
C・・・誘電正接が0.002より大きく0.01以下である
D・・・誘電正接が0.01より大きく0.05以下である
E・・・誘電正接が0.05より大きい
【0198】
【表21】
【0199】
【表22】
【0200】
【表23】
【0201】
【表24】
【0202】
【表25】
【0203】
【表26】
【0204】
【表27】
【0205】
【表28】
【0206】
【表29】
【0207】
【表30】
【0208】
【表31】
【0209】
【表32】
【0210】
【表33】
【0211】
【表34】
【0212】
【表35】
【0213】
【表36】
【0214】
【表37】
【0215】
【表38】
【0216】
【表39】
【0217】
【表40】
【0218】
【表41】
【0219】
【表42】
【0220】
【表43】
【0221】
【表44】
【0222】
【表45】
【0223】
【表46】
【0224】
【表47】
【0225】
【表48】
【0226】
【表49】
【0227】
【表50】
【0228】
【表51】
【0229】
【表52】
【0230】
表21〜32に示す実施例と比較例をみてわかる通り、比較例1、2、5、8、11、14、17、20に用いた極性官能基のトータル含有量、即ち、反応性官能基と前記ハロゲン以外のヘテロ原子を有する官能基との合計量が9[mmol/g]より多い樹脂を用いて接着シートを作成すると、誘電率、誘電正接が著しく悪化した。
また、比較例25、26、31からわかるように、極性官能基のトータル含有量が0.01[mmol/g]より少ない樹脂を用いて接着シートを作成すると寸法安定性、接着性、耐熱性、電気絶縁性が著しく悪化した。
また、比較例3、6、9、12、15、18、21、23、27、29、32からわかるように、有機金属化合物(B)を用いずに、エポキシ基含有化合物(C)は用いて接着シートを作成すると、寸法安定性や誘電正接が著しく悪化した。
また、比較例4、7、10、13、16、19、22、24、28、30、33からわかるように、エポキシ基含有化合物(C)を用いずに、有機金属化合物(B)は用いて接着シートを作成すると、接着性、耐熱性が著しく悪化した。
【0231】
一方、実施例に用いた極性官能基のトータル含有量が0.01mmol/g以上、9mmol/g以下である樹脂(A)と特定量の有機金属化合物(B)とエポキシ基含有化合物(C)を含む場合には、全ての物性においてバランスよく良好な結果が得られ、特に比較例で二律背反の関係にあった接着性と低誘電正接の両立、寸法安定性と耐熱性の両立を実現することができた。これは、有機金属化合物(B)とエポキシ基含有化合物(C)の組み合わせにより、硬化時の極性基の発生を抑えることが可能になった結果、樹脂(A)に由来する低誘電率、低誘電正接の特徴を維持しつつ、エポキシ基含有化合物(C)由来の銅との接着性の良さを活かせたためであると考えられる。また、有機金属化合物(B)は樹脂(A)中の反応性官能基と迅速に反応するので、寸法安定性を向上しつつ、樹脂(A)とエポキシ基含有化合物(C)の反応による強固な架橋を形成することで耐熱性が付与できるためであると考えられる。