(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
血圧の測定方法による分類として、上腕にマンシェットを巻いて測定する非観血的血圧と、血管にカテーテル等を挿入して測定する観血的血圧とがある。このうち、動脈にカテーテル等を挿入して測定される血圧は観血的動脈圧と呼ばれ、ショック時の低血圧状態を含めどのような場合でも測定が可能であり、また時々刻々変化する血圧をリアルタイムかつ連続的に測定することが可能であるため、ICU(Intensive Care Unit;集中治療室)等のクリティカルケアを必要とする場面で使用される。通常の観血的動脈圧の測定は、橈骨動脈にカテーテルを挿入して行われる。
【0003】
また、観血的動脈圧の測定以外にも、例えば心臓カテーテル検査におけるカテーテルの挿入位置として橈骨動脈が選択される場合があり、この場合も橈骨動脈にカテーテルが挿入される。
【0004】
橈骨動脈を穿刺するに際して、手関節の橈骨動脈を上に向けて安定させる必要がある。橈骨動脈が上を向いた状態で安定させる方法として、手関節の背側に小さな枕やタオルを置いて、手関節を背屈させた状態で手をテープで固定する方法が知られている。
【0005】
橈骨動脈を穿刺するためには、手関節を所定の角度背屈させる必要があるが、上述の方法では、手の大きさによって手関節の背屈する角度が異なるため、患者の手の大きさに応じて手関節の背側に置いた枕やタオルの高さを調節しなければならず、橈骨動脈を穿刺するまでに時間がかかるという問題があった。また、手関節の背側だけをかさ上げして支持しているため、姿勢が安定しにくいという問題があった。
【0006】
これに対して、橈骨動脈を穿刺する際に姿勢を維持するための器具として、前腕を載置する枕と、手関節を90°背屈させた状態で掌を固定するバンドとからなる器具が知られている(特許文献1参照)。特許文献1に記載の器具を用いれば、前腕部が長手方向に沿って支持されつつ橈骨動脈が上を向いた状態で安定する。
【0007】
しかし、特許文献1に記載の器具は、掌をバンドで押さえつけることによって手関節を90°背屈させ不自然な姿勢で固定しているため、患者に苦痛を与えることがある。また、掌がバンドで押さえつけられた状態でも、指を屈曲すれば親指と人差指でものをつまむことが可能となる。そのため、この器具が装着されたままの状態で腕を動かし、親指と人差指を使って、体の他の部位に挿入された管や針を自ら抜去(いわゆる「自己抜去」)するおそれがある。この自己抜去は、たとえ患者の意識障害が重篤であっても、起こり得る事象である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、手関節を所定の角度背屈させて安定させることが容易であり、かつ患者の自己抜去を防止する関節抑制具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、凹状に湾曲して形成された内壁面が前腕及び手を収容して手関節を抑制する関節抑制具であって、前記内壁面に設けられ、前腕の後面を支持する前腕支持面と、前記内壁面に設けられ、背屈した状態の手の甲を支持する手背支持面と、前記手背支持面から離隔して配置され、親指を親指以外の四指から分離して支持する親指分離体とを備え、
前記親指分離体が板状に形成されており、前記親指分離体の一の面に親指が支持され、前記親指分離体の他の面と前記手背支持面との間に前記四指が収容され、前記手背支持面の縁と前記親指分離体の先端とが離隔しており、前記手背支持面の縁と前記親指分離体の前記他の面とが開口を形成しており、前記四指が屈曲した場合、前記親指分離体が、前記四指いずれの指先も親指の指先に到達するのを阻止することを特徴とする関節抑制具である。
【0011】
請求項2に記載の発明は、
前記親指分離体の前記一の面が、縦断面視において、前記手背支持面より浅い角度で、前記前腕支持面に対して傾いていることを特徴とする請求項1に記載の関節抑制具である。
【0012】
請求項3に記載の発明は、前記内壁面に対向する外壁面に繋げられて設けられた第一の平面をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の関節抑制具である。
【0013】
請求項4に記載の発明は、前記外壁面から突出する突起体に前記第一の平面が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の関節抑制具である。
【0014】
請求項5に記載の発明は、発泡樹脂で一体に成形されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の関節抑制具である。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の関節抑制具と、前記第一の平面と平行な第二の平面を有し、前記関節抑制具の前記突起体を収容して前記関節抑制具と合体する台座とを備えることを特徴とする関節抑制台である。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、装着することで手関節を所定の角度背屈させて安定させ
、患者が安楽な姿勢を維持することができ、単純な形状でありながら、確実に親指と親指以外の四指の指先の接触を阻止することができ、管や針を指でつまんで自己抜去することが阻止される関節抑制具を提供することができる。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、
患者の手関節及び親指が自然な姿勢で維持され、患者に苦痛を与えることのない関節抑制具を提供することができる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、転がることなく安定した姿勢を維持することができる関節抑制具を提供することができる。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、転がることなく安定した姿勢を維持するとともに、突起体の大きさを変えることで高さを調整することができる関節抑制具を提供することができる。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、軽量であり、患者に快適な触感を与え、安価かつリサイクル可能であり、廃棄が容易な関節抑制具を提供することができる。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、段階的に高さを調整することができ、患者が使用している治療台に応じて高さを変えることが可能な関節抑制台を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明の実施形態について図面に基づき説明する。なお、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な実施形態であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0024】
(第一実施形態)
本発明の第一実施形態に係る関節抑制具について、
図1〜4に基づき説明する。
図1は、本発明の第一実施形態に係る関節抑制具を示す図であり、(a)は内壁面を見る斜視図、(b)は外壁面を見る斜視図である。
図2は、本発明の第一実施形態に係る関節抑制具を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は左側面図である。
図3は、本発明の第一実施形態に係る関節抑制具を示す図であり、(a)は
図2(a)におけるA−A断面図、(b)は
図2(a)におけるB−B断面図、(c)は
図2(a)におけるC−C断面図、(d)は
図2(a)におけるD−D断面図である。
図4は、本発明の第一実施形態に係る関節抑制具の使用状態であって、左腕の手関節に装着された関節抑制具を示す図であり、(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)は正面図、(d)は斜視図である。
【0025】
本実施形態に係る関節抑制具100は、橈骨動脈を穿刺される患者の手関節に装着されることにより、手関節の動きを抑制するよう構成されている。関節抑制具100は、
図1(a),(b)に示すように、前腕及び手を収容するよう凹状に湾曲して形成された内壁面10と、内壁面10に対向する外壁面20を備えている。本実施形態に係る関節抑制具100は発泡スチロールで成形されており、内壁面10と外壁面20とで規定される肉厚によって、形状が維持されている。内壁面10は、使用時に前腕及び手に接する面である。内壁面10と外壁面20とは、
図1(a)及び
図3(a),(b),(c)に示すように、縁面71,72により接続されている。また本実施形態に係る関節抑制具100は、
図2(a)におけるD−D線に関して対称の形状を有している。
【0026】
図1(a)、
図2(a)に示すように、内壁面10には、前腕の後面を支持する前腕支持面11が基端側に、手の甲を支持する手背支持面12が先端側に設けられている。
図3(d)に示すような縦断面視で、前腕支持面11と手背支持面12とは、
図3(d)の仮想点Pで交差するように角度をもって配置されつつ、滑らかなアールを介して接続されている。そのため、内壁面10に前腕及び手が収容された場合、手関節が所定の角度背屈することになる。本実施形態に係る関節抑制具100では、
図3(d)に示すような縦断面視で、前腕支持面11と手背支持面12とは約120°で交差しており、この関節抑制具を装着した場合、手関節は約60°背屈することになる。
【0027】
また、
図1(a)、
図2(a)に示すように、前腕支持面11には長手方向に延びる二本の溝11aが設けられている。溝11aが存在することにより、前腕の後面と長時間接触し続けることによる蒸れが防止される。
【0028】
関節抑制具100には親指分離体30が備えられており、縁面71,72から延びる支持部材61,62により親指分離体30が支持されている。親指分離体30は、内壁面10の手背支持面12から先端側に離隔して配置されている(
図3(d)参照)。親指分離体30は基端30bから先端30aにかけて長手方向に延びる板状に形成されており、一の面31と他の面32とを有している。一の面31は、親指を支持する面である。一の面31の反対側に他の面32が設けられており、凹状に湾曲する手背支持面12の縁と他の面32とにより、開口Hが形成されている(
図1(b)、
図2(a)、
図3(d)参照)。
図3(d)に示す縦断面視で、他の面32と手背支持面12との間の空間は、親指以外の四指を収容する四指収容部Cを構成しており、四指収容部Cは開口Hに繋がっている。
【0029】
親指を支持する一の面31には、幅方向に延びる四本の溝31aが設けられている(
図1(a)、
図2(a)、
図3(d)参照)。他の面32には、幅方向に延びる二本の溝32aと、幅方向に延びる突起32bが設けられている(
図1(b)、
図3(d)参照)。突起32bは溝32aより基端側に配置されている。溝31a,32aは蒸れを防止するために設けられている。
【0030】
図3(d)に示すような縦断面視で、手背支持面12は前腕支持面11に対して傾いているが、親指分離体30の一の面31もまた、前腕支持面11及び手背支持面12両者に対して傾いている。本実施形態に係る関節抑制具100では、
図3(d)において、前腕支持面11と一の面31とは約145°で交差している。すなわち、親指を支持する一の面31は、手の甲を支持する手背支持面12に比べて、約25°浅い角度に設定されている。
【0031】
次に外壁面20について説明する。
図1(b)に示すように、外壁面20は凸状に湾曲しており、凹状に湾曲した内壁面10との間に肉厚が形成されている。そして外壁面20のうち先端側の開口Hの近傍には、平面に形成された第一の平面40aが設けられている。また、
図1(b)に示すように、外壁面20から二つの平行する突起体51,52が突出しており、突起体51,52にはそれぞれ、平面に形成された第一の平面40b,40cが設けられている。
【0032】
図2(b)に示すように、三つの第一の平面40a,40b,40cは、同一の平面上に存在する。そのため、第一の平面40a,40b,40cを下にして置くことで、関節抑制具100を治療台等の水平面に安定して載置することができる。この突起体51,52の大きさ、及び外壁面20における第一の平面40aの位置を調整することによって、関節抑制具100の高さを調整することができる。
【0033】
次に、本実施形態に係る関節抑制具100の使用方法を、
図4に基づき説明する。
図4において符号Lで示されているのは人体の左腕Lであり、関節抑制具100が左手関節に装着されているとともに水平な面に載置されている状態が示されている。
【0034】
図4(b)に示すように、左腕Lの手関節に関節抑制具100が装着されている状態で、前腕の後面Aは、凹状に湾曲する内壁面10の前腕支持面11によって支持されており、手の甲Bは、凹状に湾曲する内壁面10の手背支持面12により支持されている。そのため、左腕Lは前面が上に向いているとともに、前腕支持面11と手背支持面12とが交わる角度で手関節が背屈し、その姿勢で安定する。すなわち、
図4に示すように、橈骨動脈Rが上を向き、橈骨動脈Rへの穿刺が容易な姿勢で安定する。
【0035】
この姿勢において、手の親指Tは、親指分離体30の一の面31により支持されており、親指以外の四指(人差指F1、中指F2、薬指F3、小指F4、
図4(c)参照)は、親指分離体30の他の面32と手背支持面12との間の空間である四指収容部Cに収容される。すなわち、親指分離体30によって、親指Tと四指F1,・・・,F4とが分離される。このとき、親指Tと人差指F1の根元同士が繋がる部分に、親指分離体30の基端30bが当たっている。
【0036】
関節抑制具100が手関節に装着されると、手の甲Bは手背支持面12に支持されつつ、親指Tは一の面31に支持される。本実施形態に係る関節抑制具100は、親指を支持する一の面31が、手の甲を支持する手背支持面12に比べて、約25°浅い角度に設定されている。したがって、関節抑制具100が手関節に装着されると、手関節を背屈させた状態で親指が自然な姿勢で維持されるため、患者に苦痛を与えることがない。
【0037】
図4(b)に示すように、掌は、親指分離体30の他の面32と向かい合うように位置している。四指F1,・・・,F4の指先は、自然な状態で、開口Hより先端側かつ他の面32の下方に位置している。この状態において四指F1,・・・,F4を屈曲しても、先端30aを超えて一の面31に到達することはない。また上述のように、親指Tと人差指F1の根元同士が繋がる部分に、親指分離体30の基端30bが当たっているため、四指F1,・・・,F4の指先を伸ばしても先端30aを超えて一の面31に到達することはない。したがって、関節抑制具100が装着されている限り、親指Tと四指F1,・・・,F4の指先が接触することがなく、そのため、体の他の部位に挿入された管や針をつまんで自己抜去するおそれがない。
【0038】
なお、本実施形態に係る関節抑制具100では、親指分離体30が板状に形成されているが、親指Tと四指F1,・・・,F4の指先が接触することが阻止されれば板状に限られず、任意の形状を選択することができる。
【0039】
なお、関節抑制具100の使用状況によっては、内壁面10の前腕支持面11に前腕の後面Aが長期間にわたり接触し続ける場合が生じるが、前腕支持面11に設けられている溝11aにより蒸れが防止されている。また、親指分離体30の一の面31に親指Tが長期間にわたり接触し続ける場合も生じるが、一の面31に設けられている溝31aにより蒸れが防止されている。また、親指分離体30の他の面32に四指F1,・・・,F4の指先が長期間にわたり接触し続ける場合も生じるが、他の面32に設けられている溝32aにより蒸れが防止されている。
【0040】
また、橈骨動脈を穿刺するに際して、手関節の橈骨動脈R近傍に消毒液が塗布される。この時、手関節に塗布された消毒液は、掌から、他の面32に設けられた突起32bに伝って下に落下する(
図3(d)参照)。そのため、消毒液が指先まで伝って他の面32の溝32aに付着することが防止される。
【0041】
なお、本実施形態に係る関節抑制具100は発泡スチロールで成形されているため、軽量であり、患者に快適な触感を与えることができる。また、安価かつリサイクル可能であり、廃棄も容易である。また、関節抑制具100の材質としては、任意の発泡樹脂は勿論、硬質樹脂やその他の材料を選択することも可能である。また、各部位の機能が損なわれない限り、各部位の寸法及び角度は任意に設定することが可能である。例えば、本実施形態に係る関節抑制具100は、
図3(d)に示すような縦断面視で、前腕支持面11と手背支持面12とが約120°で交差しているが、この角度は任意に設定することができ、特に120±15°の範囲で好適に設定することができる。また、
図3(d)に示すような縦断面視で、親指を支持する一の面31は手の甲を支持する手背支持面12に比べて、約25°浅い角度に設定されているが、この角度は任意に設定することができ、特に30±15°の範囲で好適に設定することができる。
【0042】
なお、
図4では関節抑制具100が人体に直接装着されているが、前腕支持面11と前腕の後面Aとの間にガーゼやタオル等を挟んで装着することも勿論可能である。また、
図4では関節抑制具100が左腕Lに装着されている状態が示されているが、同じ関節抑制具100を右腕に装着することも可能である。
【0043】
(第二実施形態)
次に、本発明の第二実施形態に係る関節抑制台について、
図5,6に基づき説明する。
図5は、本発明の第二実施形態に係る関節抑制台であって、第一合体状態で合体した関節抑制具と台座とを示す図であり、(a)は分解斜視図であり、(b)は手関節に装着された状態を示す左側面図である。
図6は、本発明の第二実施形態に係る関節抑制台であって、第二合体状態で合体した関節抑制具と台座とを示す図であり、(a)は分解斜視図であり、(b)は手関節に装着された状態を示す左側面図である。
【0044】
本実施形態に係る関節抑制台は、第一実施形態に係る関節抑制具100と台座200とから構成される。関節抑制具100と台座200とは、合体して関節抑制台を構成するが、これらは二つの合体状態を取り得るよう構成されており、第一合体状態で合体した関節抑制台300と、第二合体状態で合体した関節抑制台400とが選択可能である。
【0045】
まず、第一合体状態について
図5に基づいて説明する。関節抑制台300は、第一実施形態に係る関節抑制具100と台座200とから構成される。台座200は、関節抑制具100と合体可能に構成されており、関節抑制具100と合体する際に突起体51,52をそれぞれ収容する、突起体収容部210,220を備えている。突起体収容部210と突起体収容部220とは対称に構成されているため、
図5(b)に基づいて突起体収容部210について説明する。突起体収容部210は、支持平面211、壁面212及び壁面213により区画されている。関節抑制具100と台座200とが合体した際に、支持平面211、壁面212及び壁面213は突起体51に密着し、特に支持平面211は突起体51の第一の平面40bと密着する。すなわち、突起体51は突起体収容部210に嵌る。これと同様に、突起体52は突起体収容部220に嵌る。
【0046】
また、第一合体状態における台座200は、その底部に平面からなる座面201を有しており、座面201を下にして置くことで、台座200を治療台等の水平面に安定して載置することができる。そして、座面201は支持平面211と平行に構成されている。すなわち、関節抑制具100と台座200とが第一合体状態で合体した関節抑制台300を使用すると、
図5(b)に示すように、関節抑制具100を単体で使用した場合に比べ、橈骨動脈Rが高い状態で配置されることになり、高さの増分は、座面201と支持平面211との間の距離に相当する。
【0047】
次に、第二合体状態について
図6に基づいて説明する。関節抑制台400は、第一実施形態に係る関節抑制具100と台座200とから構成される。関節抑制台400を構成する台座200は、第一合体状態に係る関節抑制台300を構成する台座200と同一であるが、
図5に示した台座200を上下逆に配置して関節抑制具100に合体したものが、第二合体状態に係る関節抑制台400である。
【0048】
台座200は、関節抑制具100と合体可能に構成されており、関節抑制具100と合体する際に突起体51,52をそれぞれ収容する、突起体収容部230,240を備えている。突起体収容部230と突起体収容部240とは対称に構成されているため、
図6(b)に基づいて突起体収容部230について説明する。突起体収容部230は、支持平面231、壁面232及び壁面233により区画されている。関節抑制具100と台座200とが合体した際に、支持平面231、壁面232及び壁面233は突起体51に密着し、特に支持平面231は突起体51の第一の平面40bと密着する。すなわち、突起体51は突起体収容部230に嵌る。これと同様に、突起体52は突起体収容部240に嵌る。
【0049】
また、第二合体状態における台座200は、その底部に平面からなる座面202を有しており、座面202を下にして置くことで、台座200を治療台等の水平面に安定して載置することができる。そして、座面202は支持平面231と平行に構成されている。すなわち、関節抑制具100と台座200とが第二合体状態で合体した関節抑制台400を使用すると、
図6(b)に示すように、関節抑制具100を単体で使用した場合に比べ、橈骨動脈Rが高い状態で配置されることになり、高さの増分は、座面202と支持平面231との間の距離に相当する。
【0050】
座面202を下に向けた第二合体状態の台座200は、座面201を下に向けた第一合体状態の台座200を、上下逆に配置した状態である。すなわち、座面201と座面202とは、台座200の中で対向して配置されている(
図5(a),
図6(a)参照)。
【0051】
また、座面202と支持平面231との間の距離は、座面201と支持平面211との間の距離より長く設定されている(
図5(b)、
図6(b)参照)。したがって、第二合体状態に係る関節抑制台400を使用した場合、第一合体状態に係る関節抑制台300を使用した場合より、橈骨動脈Rが高い位置に配置される。すなわち、関節抑制具100と台座200とを組み合わせることによって、橈骨動脈を三種類の高さに設定することが可能となり、様々な治療台に対応することができる。
【0052】
なお、本実施形態に係る台座200は、関節抑制具100と同様に発泡スチロールで一体に成形されている。発泡スチロール等の発泡樹脂を用いることで、軽量に構成することができ、また安価かつリサイクル可能であり、また廃棄が容易となる。また、発泡樹脂に限らず、硬質樹脂やその他の材料で構成することも可能である。