(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
特開2000−269239号公報(特許文献1)には、吸着コレット(本願の吸着ヘッドに対応する。)を用いて、ICチップ(本願の半導体チップに対応する。)を搬送する技術が記載されている。例えば、特許文献1(明細書段落[0026]、
図6)には、吸着コレットの下端部がICチップのバンプと接触した状態で、ICチップを吸引、保持する技術が記載されている。
【0003】
特開2005−347421号公報(特許文献2)には、吸着ヘッドを用いて、ワークや半導体装置を搬送するなどの技術が記載されている。例えば、特許文献2(明細書段落[0048]、
図8)には、半導体装置に当接し、該半導体装置を保持した状態で吸着ヘッドを上昇させることによって、半導体装置をピックアップする技術が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電子機器の小型化、薄型化に伴い、電子機器に搭載される半導体装置においても、小型化、薄型化が要求されている。このため、例えば、BGA(Ball Grid Array)型の半導体装置では、基体(BGA基板)上にグリッド状に配置されるボールが基体の端部近傍(外周側)にまで配置されるようになってきている。また、例えば、多数の電子部品(チップ部品)が配線基板上に実装される半導体装置では、電子部品が配線基板の端部近傍にまで配置されるようになってきている。このように半導体装置では、基体上のボールや電子部品などの実装部品の実装密度を高めて小型化が図られている。
【0006】
小型化されたBGA型の半導体装置(以下、BGAともいう。)を、吸着ヘッドを用いて吸着(ピックアップ)して搬送する際に、以下のような不具合が生じることを本発明者は見出した。
図8は、本発明者が見出した不具合を説明するための図であり、ワークとしてのBGA100を吸着する吸着ヘッド110を垂直断面で示している。
【0007】
図8に示すように、吸着ヘッド110の先端には、BGA基板101上に配置されたはんだボール102のボールエリア全体を覆う吸着凹部111が形成されている。また、ヘッド110には、吸着凹部111の底部と連通する連通孔112が形成されている。このような吸着ヘッド110は、吸着凹部111ですべてのはんだボール102を覆い、吸着ヘッド110の先端がBGA基板101の端部近傍側基板面と当接して密閉したような状態を形成して、図示しない吸着装置によって連通孔112を介してBGA100を吸着する。
【0008】
しかしながら、例えば、BGA基板101の端部近傍にまではんだボール102を配置した小型化されたBGA100を吸着しようとしたとき、以下のような問題が生じてしまう。すなわち、BGA基板101の端部近傍に吸着ヘッド110の当接領域が狭いと、例えば、はんだボール102と吸着ヘッド110の先端(吸着凹部111の縁部)が干渉し、密閉状態(真空チャンバ)を形成できないため、BGA100を吸着保持できない場合がある。なお、小型化されたBGA100によっては、吸着ヘッド110の先端がBGA基板101と当接することすらできず、吸着保持されない場合もある。
【0009】
これとは別に、特許文献1の技術のように、吸着ヘッド110の先端をはんだボール102に当接しながらBGA100を吸着しようとした場合、はんだボール102間で吸引漏れ(真空漏れ)が発生するため、BGA100を吸着保持できない場合がある。そこで、吸引漏れを低減するために、吸着ヘッド110をスポンジで構成し、はんだボール102間でスポンジとの密着性を向上させることが考えられる。しかしながら、ボールサイズが大きくなったり、ボール配置のピッチが大きくなったりすると、やはり吸引漏れが発生するため、BGA100を吸着保持できないおそれも考えられる。
【0010】
本発明の目的は、基板の端部近傍にまで実装部品が実装された半導体装置であっても、吸着保持することのできる半導体製造装置用吸着ヘッドを提供することにある。本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。本発明の一実施形態における半導体製造装置用吸着ヘッドは、基板上に複数のはんだボールが
グリッド状に実装された半導体装置を吸着する半導体製造装置用吸着ヘッドであって、前記半導体装置を吸着する側に設けられる吸着シートと、前記吸着シートと重ねられ、内部空間が設けられた吸着治具とを備え、前記吸着シートは、前記吸着治具より弾性力が高く、前記吸着シートには、前記はんだボールよりも径が小さく、前記複数のはんだボール
のピッチ配置に対応するピッチ配置で、厚さ方向に貫通する複数のシート孔が
前記複数のはんだボールの数量以下で形成され、前記吸着治具には、前記複数のシート孔のそれぞれと連通し、前記内部空間と連通する複数の治具孔が形成され、前記複数のはんだボールが前記複数のシート孔を塞いで前記複数のシート孔および前記複数の治具孔と通じる前記内部空間が吸引装置で吸引されて、前記半導体装置が吸着されることを特徴とする。
【0012】
これによれば、基板の端部近傍に半導体製造装置用吸着ヘッドの当接領域が確保できないような、
はんだボールの実装密度が高い半導体装置であっても、シート孔を塞いで
はんだボールを吸引することで、該半導体装置を吸着保持することができる。また、シート孔内に
はんだボールの進入が防止され、半導体製造装置用吸着ヘッドからの半導体装置の吸着解除(離隔)も容易に行うことができる。また、半導体製造装置用吸着ヘッドが、基板に接触しなくなるため、基板表面の損傷、汚れの発生を防止することができる。
【0013】
例えば、半導体製造装置において、BGA(半導体装置)の対象範囲を拡げることができる。具体的には、個々のはんだボール(実装部品)を吸引することで、BGAを吸着保持することができ、モールド工程後のダイシング工程に搬送することができる。
【0014】
また、本発明の他の実施形態における半導体製造装置用吸着ヘッドにおいて、前記吸着シートには、前記複数のシート孔がまとまって吸着エリアが形成され、更に該吸着エリアどうしがマトリクス配置され、前記吸着治具には、マトリクス配置された前記吸着エリアの各前記シート孔と連通する前記治具孔が各々形成され、複数の前記半導体装置が、マトリクス配置された前記吸着エリアのそれぞれで吸着されることを特徴とする。これによれば、多数個取り用の複数の半導体装置を一括で吸着保持することができる。
【0015】
また、本発明の他の実施形態における半導体製造装置用吸着ヘッドにおいて、前記吸着シートは、ゴムまたはスポンジから構成されることを特徴とする。このように、吸着シートをゴムまたはスポンジなどの低硬度素材とすると、実装部品の大きさのばらつき、平坦度、また基板の反りがあっても吸着保持することができる。また、吸着シートにクッション性をもたせることで、半導体製造装置用吸着ヘッドに衝撃吸収機構などの他の機構をあえて設ける必要がなくなる。すなわち、半導体製造装置用吸着ヘッドが用いられる半導体製造装置への適応において、設備の改造をする必要がなくなる。
【0016】
また、本発明の他の実施形態における半導体製造装置用吸着ヘッドにおいて、前記シート孔の径が、前記治具孔の径よりも小さいことを特徴とする。これによれば、吸引経路の抵抗が考慮され、半導体製造装置用吸着ヘッドは実装部品を吸引しやすくなる。
【0017】
また、本発明の一実施形態における半導体製造装置用吸着ヘッドの製造方法は、(a)吸着シートに、所定のピッチ配置となるように、厚さ方向に貫通する複数のシート孔を形成する工程と、(b)内部空間が設けられた吸着治具に、前記シート孔と同等の配置となるように、前記内部空間の底部で厚さ方向に貫通する複数の治具孔を形成する工程と、(c)前記複数の治具孔に複数のピンを差し込み、更に該複数のピンをそのまま前記複数のシート孔に差し込んで前記吸着治具と前記吸着シートの位置決めをした後、前記吸着治具に前記吸着シートを貼り付ける工程とを含むことを特徴とする。
【0018】
これによれば、基板の端部近傍にまで実装部品が実装された半導体装置を吸着保持することのできる半導体製造装置用吸着ヘッドを提供することができる。
【0019】
また、本発明の他の実施形態における半導体製造装置用吸着ヘッドの製造方法において、前記(c)工程は、前記複数のピンのうち、第1ピンが他の第2ピンよりも長いものを用い、(c1)前記第1ピンを前記治具の配置中央の前記治具孔および前記吸着シートの配置中央の前記シート孔に差し込んで、前記吸着治具と前記吸着シートの中央の位置決めをする工程と、(c2)前記第1ピンを軸にして前記吸着治具と前記吸着シートを相対的に回動させながら、前記第2ピンを前記治具の配置外周の前記治具孔および前記吸着シートの配置外周の前記シート孔に差し込んで、前記吸着治具と前記吸着シートの全体の位置決めをする工程とを含むことを特徴とする。
【0020】
これによれば、実装密度が高い複数の実装部品に対応するシート孔と治具孔との位置合わせを容易に行うことができる。
【0021】
また、本発明の一実施形態における半導体装置の吸着方法は、半導体製造装置用吸着ヘッドを用いて基板上に複数のはんだボールが
グリッド状に実装された半導体装置を吸着する半導体装置の吸着方法であって、前記半導体製造
装置用吸着ヘッドは、前記半導体装置を吸着する側に設けられる吸着シートと、前記吸着シートと重ねられ、内部空間が設けられた吸着治具とを備え、前記吸着シートは、前記吸着治具より弾性力が高く、前記吸着シートには、前記はんだボールよりも径が小さく、前記複数のはんだボール
のピッチ配置に対応するピッチ配置で、厚さ方向に貫通する複数のシート孔が
前記複数のはんだボールの数量以下で形成され、前記吸着治具には、前記複数のシート孔のそれぞれと連通し、前記内部空間と連通する複数の治具孔が形成され、(a)前記シート孔を前記複数のはんだボールで塞ぐように、前記複数のはんだボールに前記吸着シートを当接させる工程と、(b)前記シート孔および前記治具孔と通じる前記内部空間を吸引装置で吸引して減圧空間を形成して、前記複数のはんだボールを介して前記半導体装置を吸着する工程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。本発明の一実施形態によれば、基板の端部近傍にまで実装部品が実装された半導体装置であっても、吸着保持することのできる半導体製造装置用吸着ヘッドを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下の本発明に係る実施形態では、必要な場合に複数のセクションなどに分けて説明するが、原則、それらはお互いに無関係ではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細などの関係にある。このため、全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0025】
また、構成要素の数(個数、数値、量、範囲などを含む)については、特に明示した場合や原理的に明らかに特定の数に限定される場合などを除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。また、構成要素などの形状に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合などを除き、実質的にその形状などに近似または類似するものなどを含むものとする。
【0026】
[実施形態1]
本発明の実施形態における吸着ヘッドは、ダイシング装置、樹脂モールド装置などの半導体製造装置内の各処理機構間で半導体装置を搬送する搬送機構に設けられるものである。
図1に、本実施形態における搬送機構の要部である吸着ヘッド10の断面を示す。この
図1では、1つの吸着ヘッド10が1つのワークであるBGA100(半導体装置)を吸着保持している状態を示している。BGA100では、実装したBGA基板101上に複数のはんだボール102(実装部品)がグリッド状(マトリクス状)に配置して実装されている。このはんだボール102は、BGA100の外部接続端子となり、BGA基板101の内部に実装されている半導体チップなどの電子部品と電気的に接続されている。
【0027】
吸着ヘッド10は、BGA100を吸着する側に設けられる吸着シート11と、吸着シート11と重ねられ、内部空間12dが設けられた吸着治具12とを備えている。吸着治具12が有する固定面12aに、吸着シート11の一方の面11aが両面テープや接着剤などの接続部材(図示せず)によって貼り付けて固定されている。
【0028】
吸着シート11には、吸着治具12よりも弾性力が高いものを用いている。吸着シート11は、例えばゴムまたはスポンジから構成される。ゴム材としては、例えば、天然ゴム、合成ゴム、エラストマー、ウレタンなどがあげられる。また、スポンジ材として、合成樹脂などの独泡スポンジがあげられる。後述するが、吸着シート11は、その弾性力によって、はんだボール102の形状に合わせて変形する。
【0029】
一方、吸着治具12は、例えば金属から構成される。吸着治具12が金属で構成されることで、例えば、搬送機構本体側の固定部13(例えば、吸着治具12と同じ金属から構成される。)と吸着治具12とがボルト止めできることとなり、固定部13に容易に吸着ヘッド10を組み付ける(固定する)ことができる。
【0030】
吸着シート11には、一方の面11aから反対側の他方の面11bに、厚さ方向に貫通する複数のシート孔11c(吸着孔)が、孔開け加工によって形成されている。また、複数のシート孔11cは、BGA100のはんだボール102と同等の配置に形成されている。例えば、吸着シート11の面11aに吸着治具12との固定用に両面テープが一様に設けられている場合、両面テープの剥離紙で剛性(強度)を保ちつつ、ウォータージェット加工でシート孔11cを形成することができる。
【0031】
吸着治具12は、内部空間12dを有するように枡状に形成されており、その内部空間12dの底部、すなわち内底面12bから固定面12a(外底面)に、孔開け加工によって厚さ方向に貫通する複数の治具孔12c(吸着孔)が形成されている。
【0032】
複数の治具孔12cは、吸着治具12に吸着シート11が固定された際に、それぞれが吸着シート11の複数のシート孔11cと連通するように形成されている。また、複数の治具孔12cは、枡状の吸着治具12の内部空間12dと連通することとなる。この内部空間12dは、シート孔11cと治具孔12cが連通してはんだボール102を吸引するための、減圧空間として構成される。ここで、吸着ヘッド10では、吸引経路の抵抗を考慮し、吸着シート11のシート孔11cの径が、治具孔12cの径よりも小さい。これにより、はんだボール102を吸引しやすくしている。なお、筒状体の固定部13の内部空間には、例えば、図示しない真空ポンプなどの吸着装置からの吸引経路が接続され、この固定部13の内部空間も減圧空間(真空チャンバ)として構成される。
【0033】
このように構成される吸着ヘッド10では、はんだボール102がシート孔11cを塞いでシート孔11cおよび治具孔12cと通じる内部空間12dが吸引装置で吸引されて、BGA100が吸着される。このような吸着ヘッド10の使用方法(BGA100の吸着方法)によれば、BGA基板101の端部近傍に吸着ヘッド10の当接領域が確保できないような、BGA基板101上のはんだボール102の実装密度が高いBGA100であっても、吸着保持することができる。
【0034】
また、吸着シート11をゴムまたはスポンジなどの低硬度素材とすることで、はんだボール102の大きさのばらつき、平坦度、また基板の反りがあっても確実に吸着保持することができる。また、吸着シート11にクッション性をもたせることで、吸着ヘッド10やこれを備えた搬送機構に衝撃吸収機構などの他の機構をあえて設ける必要がなくなる。すなわち、吸着ヘッド10が用いられるBGA100への適応において、設備の改造をする必要がなくなる。
【0035】
また、はんだボール102の径よりシート孔11cの径を小さくすることで、シート孔11c内にはんだボール102が進入するのを防止できる。例えば、はんだボール12の径が0.8mmに対して、シート孔11cの径を0.4mmとする。このため、シート孔11c内にはんだボール102が進入せず、吸着ヘッド10からのBGA100の吸着解除(離隔)も容易に行うことができる。また、吸着ヘッド10が、BGA基板101に接触しなくなるため、基板表面の損傷、汚れの発生を防止することができる。特に、大径のはんだボール102を有するBGA100の場合、有効に用いることができる。
【0036】
なお、吸着ヘッド10では、ある位置のシート孔11cまたは治具孔12cの少なくともいずれか一方を形成しない構成とすることもできる。これによれば、BGA基板101の反りが大きい場合のように、すべてのはんだボール102を吸引せずに反りの影響の少ない部分に限定し、個別にはんだボール102を吸引してBGA100を吸着することができる。
【0037】
[実施形態2]
前記実施形態1では、1つのBGA100を吸着保持する吸着ヘッド10について説明した。本実施形態では、複数のBGA100を一括で吸着保持する吸着ヘッド10Aについて図面を説明する。
図2に、本実施形態における吸着ヘッド10Aの断面を示す。また、
図3(a)に、吸着シート11Aの断面、
図3(b)に吸着シート11Aの平面を示す。また、
図4(a)に、吸着治具12Aの断面、
図4(b)に吸着治具12Aの平面を示す。
【0038】
吸着ヘッド10Aは、BGA100を吸着する側に設けられる吸着シート11Aと、吸着シート11Aが固定される吸着治具12A(吸着プレート)とを備えている。
【0039】
吸着ヘッド10Aでは、吸着シート11Aには、グリッド状に配置(
図3では、7×7)された複数のシート孔11cがまとまって吸着エリア
Gをなし、更に吸着エリア
Gがマトリクス配置(
図3では、3×3)に形成されている。また、吸着シート11Aが固定される吸着治具12Aには、マトリクス配置(
図4では、3×3)された吸着エリア
Gのシート孔11cのそれぞれと連通する複数の治具孔12c(
図4では、1つの吸着エリア
Gで7×7)が形成されている。
【0040】
この吸着ヘッド10Aでは、各吸着エリア
Gにおいて、はんだボール102がシート孔11cを塞いでシート孔11cおよび治具孔12cと通じる内部空間12dが吸引装置で吸引されて、複数のBGA100が一括して吸着される。このような吸着ヘッド10Aの使用方法によれば、BGA基板101の端部近傍に吸着ヘッド10Aの当接領域が確保できないような、BGA基板101上のはんだボール102の実装密度が高い複数のBGA100であっても、吸着ヘッド10は一括で吸着保持することができる。
【0041】
次に、吸着ヘッド10Aの製造方法について図面を参照して説明する。
図5に、ピン20を用いた吸着ヘッド10Aの製造方法を説明するための模式的断面(組立図)を示す。ピン20は、それぞれ連通するシート孔11cおよび治具孔12cに対して、個別に使用されるものである。このピン20は、シート孔11cおよび治具孔12cの径のそれぞれに対応した先端部20a、20bによって段付き状となっている。なお、ピン20は、段付き状のものでなくても、シート孔11cの径に合わせた先端がストレート状のものを使用することもできる。
【0042】
まず、吸着シート11Aに、所定のピッチ配置となるように、厚さ方向に貫通する複数のシート孔11c(吸着孔)を孔開け加工によって形成する。また、吸着治具12Aに、シート孔11cと同等の配置となるように、厚さ方向に貫通する複数の治具孔12c(吸着孔)を孔開け加工によって形成する。
【0043】
続いて、複数の治具孔12cのそれぞれに複数(
図5では、三本)のピン20を差し込み、更に該複数のピン20をそのまま複数のシート孔11cに差し込んで吸着治具12Aと吸着シート11Aの位置決めをする。なお、ピン20の本数は、位置決め精度により増減することもできる。
【0044】
その後、吸着シート11Aの面11aに設けられている両面テープ(図示せず)によって、吸着治具12Aの固定面12aに吸着シート11Aを貼り付ける(固定する)。これにより、吸着ヘッド11Aが略完成する。
【0045】
吸着シート11Aと吸着治具12Aとを位置決めして貼り付ける場合、例えばそれらの平面視の外形で位置決めすることも考えられる。しかしながら、吸着シート11Aの外形を基準とすると、シート孔11cと治具孔12cが直接位置決めされず、ずれるおそれが生じる。
【0046】
そこで、本実施形態のように、吸着治具12Aの治具孔12cへピン20を差し込み、吸着シート11Aのシート孔11cと位置合わせすることにより、貼り付け前の位置決め精度を向上することができる。すなわち、BGA基板101の端部近傍にまではんだボール102が基板実装されたBGA100を吸着保持することのできる吸着ヘッド10Aを提供することができる。このため、吸着治具12Aより一回り大きな専用の貼り付け治具を使用することなく、吸着シート11Aと吸着治具12Aとを位置決めすることができる。また、位置決めに用いたピン20は、他品種間で共用することもできる。
【0047】
なお、複数のピン20を個別ではなく、
図6に示すように、プレート21に複数のピン20を設けたものを使用することもできる。
図6(a)は、プレート21およびピン20の断面図であり、
図6(b)は、プレート21およびピン20の平面図である。
【0048】
[実施形態3]
前記実施形態2では、同じ長さのピン20を用いた吸着ヘッド10Aの製造方法について説明した。本実施形態では、ピン20(第2ピン)と異なる長さのピン20A(第1ピン)を用いた吸着ヘッド10Aの製造方法について図面を参照して説明する。
図7に、ピン20、20Aを用いた吸着ヘッド10Aの製造方法を説明するための模式的断面を示す。
【0049】
図7に示すように、複数のピンのうちピン20Aが他のピン20よりも長いものを用いる。具体的には、ピン20Aの先端部20aが、ピン20の先端部20aよりも長くなっている。これらピン20、20Aを用いる場合、まず、シート孔11cおよび治具孔12cの配置中央でピン20Aをシート孔11cおよび治具孔12cに差し込んで吸着治具12Aと吸着シート11Aの中央の位置決めをする。
【0050】
続いて、ピン20Aを軸にして吸着治具12Aと吸着シート11Aを相対的に回動させながら、シート孔11cおよび治具孔12cの配置外周でピン20をシート孔11cおよび治具孔12cに差し込んで吸着治具12Aと吸着シート11Aの全体の位置決めをする。その後、吸着シート11Aの面11aに設けられている両面テープ(図示せず)によって、吸着治具12Aの固定面12aに吸着シート11Aを貼り付ける(固定する)。これにより、吸着ヘッド11Aが略完成する。
【0051】
これによれば、実装密度が高い複数のはんだボール102に対応するシート孔11cおよび治具孔12cの位置合わせを容易に行うことができる。すなわち、BGA基板101上のはんだボール102の実装密度が高いBGA100を吸着保持することのできる吸着ヘッド10Aを提供することができる。
【0052】
以上、本発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、代表的なものの新規な特徴およびこれによって得られる作用、効果を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0053】
吸着ヘッド10は、BGA基板101上にはんだボール102が所定のピッチで実装されたBGA100を吸着するものである。この吸着ヘッド10は、BGA100を吸着する側に設けられる吸着シート11と、吸着シート11と重ねられ、内部空間12dが設けられた吸着治具12とを備えている。ここで、吸着シート11は、吸着治具12より弾性力が高い。また、吸着シート11には、はんだボール102と同等のピッチで配置され、厚さ方向に貫通する複数のシート孔11cが形成されている。また、吸着治具12には、複数のシート孔11cのそれぞれと連通し、内部空間12dと連通する複数の治具孔12cが形成されている。そして、はんだボール102がシート孔11cを塞いでシート孔11cおよび治具孔12cと通じる内部空間12dが吸引装置で吸引されて、BGA100が吸着される。
【0054】
これによれば、BGA基板101の端部近傍に吸着ヘッド10の当接領域が確保できないような、BGA基板101上のはんだボール102の実装密度が高いBGA100であっても、はんだボール102を吸引することで、吸着ヘッド10はBGA100を吸着保持することができる。
【0055】
さらに、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0056】
前記実施形態では、半導体装置としてBGA100、基板としてBGA基板101、実装部品としてはんだボール102に適用した場合について説明した。これに限らず、半導体装置として半導体チップ、基板として半導体基板(例えば、Si基板)、実装部品としてはんだボールに適用することも考えられる。また、半導体装置として半導体パッケージ、基板として配線基板、実装部品として電子部品(例えば、半導体チップ、チップコンデンサなど)に適用することも考えられる。
【0057】
また、前記実施形態では、はんだボール102の大きさよりシート孔11cの径が小さい場合について説明した。これに限らず、吸着ヘッド10は、はんだボール102の大きさよりもシート孔11cの径を大きくした構成とし、はんだボール102を包んだ吸着シート11がBGA基板101と当接して、BGA100を吸着することも考えられる。
【0058】
また、前記実施形態では、複数のピン20を用いて吸着治具12Aと吸着シート11Aの位置決めをした場合について説明した。この場合、ピン20が少なくとも2本あれば、例えば、中央の治具孔12cおよびシート孔11cと、端部近傍側の治具孔12cおよびシート孔11cとの二箇所にピン20を用いて、吸着治具12Aと吸着シート11Aの位置決めをすることができる。