【文献】
Takeshi Hizawa 他,Fabrication of a two-dimensional pH image sensor using a charge transfer technique,Sensors and Actuators B: Chemical,2006年10月12日,Volume 117, Issue 2,Pages 509-515
【文献】
Seung-Ro Lee 他,Fabrication of a highly sensitive penicillin sensor based on charge transfer techniques,Biosensors and Bioelectronics,2009年 3月15日,Volume 24, Issue 7,Pages 1877-1882
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記注入ステップでは、前記ID部における電荷の最低電位を一定として、前記ICG部の電位を前記ID部における電荷の最低電位よりも高くすることにより、前記ID部より前記第1のポテンシャル井戸へ電荷を注入し、前記ICG部の電位を前記ID部における電荷の最低電位より低くすることで、前記ID部より前記第2のポテンシャル井戸へ電荷が注入されないようにする、請求項4に記載の制御方法。
前記注入ステップでは、前記ID部における電荷の最低電位を一定として、前記第1のICG部の電位を前記ID部における電荷の最低電位よりも高くすることにより、前記ID部から前記第1のセンシング部へ電荷を供給し、その後、前記第1のICG部の電位を第1のTG部の電位以下として前記第1のセンシング部に電荷をホールドさせ、
前記第2のICG部の電位を前記ID部における電荷の最低電位より低くして、前記ID部から前記第2のセンシング部への電荷の供給を拒絶する、請求項4に記載の制御方法。
測定対象の化学・物理現象に対応してポテンシャル井戸の底部電位を変化させる少なくとも第1のセンシング部及び第2のセンシング部と、TG部を介して前記各センシング部の電荷を移送し蓄積するFD部とを備え、該FD部に蓄積された電荷に基づき前記化学・物理現象を特定する化学・物理現象検出装置あって、
前記第1のセンシング部及び前記第2のセンシング部に共通に設けられた一つのFD部に蓄積された電荷を検出する検出回路と、
前記第1のセンシング部と前記FD部との間に配置される第1のTG部と、前記第2のセンシング部と前記FD部との間に配置される第2のTG部と、
前記第1のTG部と前記第2のTG部とを同一のタイミングで開くTG部制御部と、
前記第1のTG部及び前記第2のTG部を開く直前において、前記第1のセンシング部のポテンシャル井戸に電荷をホールドし、前記第2のセンシング部のポテンシャル井戸は電荷を空の状態とする、センシング部制御部と、
を備える化学・物理現象検出装置。
前記電荷供給制御部は、前記ID部における電荷の最低電位を一定として、前記第1のICG部の電位を前記ID部における電荷の最低電位よりも高くすることにより、前記ID部から前記第1のセンシング部へ電荷を供給し、
前記第1のICG部の電位を前記第1のTG部の電位以下として前記第1のセンシング部に電荷をホールドさせ、
前記第2のICG部の電位を前記ID部における電荷の最低電位より低くして、前記ID部から前記第2のセンシング部への電荷の供給を拒絶する、請求項9に記載の化学・物理現象検出装置。
前記センシング部制御部は電荷排出制御部を備え、該電荷排出制御部は各センシング部の底部電位より高い電位のドレイン部と、該ドレイン部と前記各センシング部との間にそれぞれ介在される第2のゲート部を備え、
前記第1のセンシング部に連続する第2のゲート部は第1のゲート部より低い電位とし、前記第2のセンシング部に連続する第2のゲート部は前記第2のセンシング部より高い電位とする、請求項7に記載の化学・物理現象検出装置。
【背景技術】
【0002】
化学・物理現象検出装置(この明細書で「検出装置」略することがある)として、フローティングディフュージョン(この明細書で「FD部」と略することがある)を利用したものが提案されている(特許文献1〜8参照)。
この検出装置は、例えば
図1に示すように、センシング部10、電荷供給部20、電荷移動・蓄積部30、電荷量検出部40及び電荷除去部50を備えてなる。
センシング部10は検出対象に応じて電位を変化させる感応膜12と標準電極13を備える。感応膜12の電位変化に応じ、シリコン基板71において対向する領域(p拡散領域72)のポテンシャル井戸15の深さが変化する。
【0003】
電荷供給部20はインジェクションダイオード(この明細書で「ID部」と略することがある)部21、インプットコントロールゲート(この明細書で「ICG部」と略することがある)部23を備える。ID部21を電荷でチャージし、かつICG部23の電位を制御することでID部21の電荷をセンシング部10のポテンシャル井戸15へ供給する。
電荷移動・蓄積部30はトランスファーゲート(この明細書で「TG部」と略することがある)部31、フローティングディフュージョン(この明細書で「FD部」と略することがある)部33を備える。TG部31の電圧を変化させることでシリコン基板71において対向する領域のポテンシャルを変化させ、もって、センシング部10のポテンシャル井戸15に充填された電荷をFD部33へ移送し、そこに蓄積する。
【0004】
FD部33に蓄積された電荷は電荷量検出部40で検出される。かかる電荷量検出部40としてソースフォロア型の信号増幅器を用いることができる。
電荷除去部50はリセットゲート(この明細書で、「RG」と略することがある)部51、リセットドレイン(この明細書で、「RD」と略することがある)部53を備える。RG部51の電圧を変化させることでシリコン基板71において対向する領域のポテンシャルを変化させ、もって、FD部33に蓄積された電荷をRD部53へ移送し、そこから排出する。
【0005】
この検出装置の詳細構造及びその動作を、水素イオン濃度を検出対象とするpHセンサを例に採り説明する。以下の説明では電荷として電子を採用し、この電子の移送に適するように基板71の対象部分を適宜ドープしている。
【0006】
pHセンサとしての検出装置1はn型のシリコン基板71を備える。このシリコン基板71の所定領域がp型にドープされ(p-wellの形成)、センシング部10に対応する部分(p型拡散層72)が構成される。p-well領域において、p型拡散領域72を挟むように、n型ドーパントが拡散されて、n
+領域74、75が形成され、更にn
+領域75から所定の距離をおいてn
+領域77が形成される。n
+領域74、75、77はそれぞれID部21、FD部33及びRD部53となる。
p型拡散層72の表面はn型にドープされる(n領域73)。
シリコン基板71の表面には酸化シリコンからなる保護膜81が形成され、その上にICG部23の電極、TG部31の電極及びRG部51の電極が積層される。各電極へ電圧が印加されるとそれに対向する部分のシリコン基板71のポテンシャルが変化する。
センシング部10においては保護膜81の上に窒化シリコン製の感応膜12が積層される。
【0007】
このように構成された検出装置1の基本動作を以下に説明する(
図2参照)。
検出対象である水溶液にセンシング部10を接触させると、水溶液の水素イオン濃度に応じてセンシング部10のポテンシャル井戸15の深さが変化する(ステップ(A))。即ち、水素イオン濃度が大きくなればポテンシャル井戸15が深くなる(底のポテンシャルが高くなる)。
一方、ID部21の電位を下げてここへ電荷をチャージする(ステップ(B)参照)。このとき、ID部21へチャージされた電荷はICG部23を超えてセンシング部10のポテンシャル井戸15を充填する。なお、TG部31のポテンシャルはICG部23より低く、ポテンシャル井戸15へ充填される電荷がTG部31を乗り越えてFD部33へ達することはない。
【0008】
次に、ID部21の電位をあげてID部21から電荷を引き抜くことで、ICG部23ですりきられた電荷がポテンシャル井戸15に残される(ステップ(C)参照)。ここに、ポテンシャル井戸15に残された電荷量は、ポテンシャル井戸15の深さ、即ち検出対象の水素イオン濃度に対応している。
次に、TG部31の電位を上げて、ポテンシャル井戸15に残された電荷をFD部33へ移送する(ステップ(D)参照)。このようにしてFD部33に蓄積された電荷量を電荷量検出部40で検出する(ステップ(E)参照)。その後、RG部51の電位を上げてFD部33の電荷をRD部53へ排出する(ステップ(F)参照)。このRD部53はVDDに接続され、負にチャージされた電荷を吸い上げる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記pH検出装置はシリコン基板上に各種電極や感応膜を形成した構成であるので、これを二次元的に集積することが可能となる。これによりpHの分布を二次元的に検出し、これをイメージとして出力できる。
かかるpHイメージを形成するに際し、各pH検出装置が1−ピクセルを構成するので、pH検出装置の高集積化が望まれる。
図1に示すpH検出装置の回路構成を
図3に示す。
図3から明らかなように、1−ピクセル毎に、センシング部:1、トランジスタ:5、入出力配線:7が要求される。
このように1−ピクセル毎に要求される多数の要素は高集積化の妨げになる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねてきた結果、まず、各ピクセルにおいて、ソースフロア回路41及びリセット回路53に関連するトランジスタの共通化を検討した。その結果、
図4に示すとおり、ソースフロア回路41、リセット回路53を構成するトランジスタを共通化することにより、実効的に1−ピクセル当たりのトランジスタ数の低減を図ることができる。
即ち、各ピクセル(センシング部)からFD部へ移送された電荷は共通化されたソースフロア回路141へ送られ、その電荷量に応じた出力が出力線OUTへ出力される。なお、出力のタイミングは読出し線WLに入力される読出し信号に同期する。FD部に蓄積された電荷は、リセット回路153を介してVDD(RD)へ排出される。リセット回路153はRG制御線の信号でオンオフ制御される。
例えば、従来では1−ピクセルあたり5つのトランジスタの実装が必要であったが、2つのピクセルで上記ソースフロア回路等を共通化したとき、実装合計のトランジスタを1ピクセル当たりに換算すると、トランジスタ数が3.5個となる。同様に、4つのピクセルで上記ソースフロア回路等を共通化したとき、実装合計のトランジスタを1ピクセル当たりに換算すると、トランジスタ数は2.75個となる。
よって、実装すべきトランジスタの量が削減されて高集積化に適した構成となる。
【0012】
しかしながら、共通化されたピクセルを協働させると画素密度が低下するので、ピクセル単位での電荷量を検出することが望まれる場合がある。
そのときには、選択されたピクセルのセンシング部のみから電荷がFD部へ移送されるように、TG部を制御することが好ましい。
そのためには、TG部信号を各ピクセルへ割り振ることとなり、その必要上、各ピクセルのTG部へ接続されるTG部制御線を独立させることとなる(
図4参照)。
【0013】
独立したTG部制御線を各ピクセルのTG部へ接続させることは、配線領域の増加につながり、高集積化の支障になりかねない。
本発明者らは、電荷測定が必要なピクセルの選択をTG部信号で行なうことをやめて、TG部の開閉タイミング(センシング部からFD部への電荷の移動のタイミング)は全てのピクセルで同一タイミングとし、他方、センシング部への電荷の注入、排出を別途制御することにより、電荷測定が必要なピクセルのセンシング部のみに電荷をホールド(存在)させ、他方、電荷測定が不要なピクセルは電荷を空の状態にしておけばよいと考えた。
この状態において、全ピクセルのTG部を一斉に開けば、電荷がホールドされているセンシング部のみから電荷がFD部へ移送され、そのピクセルの電荷量が検出される。
このように、TG部の開閉タイミングを同一とすれば、ピクセル毎に独立したTG部制御線を配線する必要が無くなり、もって配線領域の増加を抑制できる。また、センシング部への電荷の注入、排出は電荷供給部20の制御で賄えるので、トランジスタや配線量の増加をきたすことはない。
【0014】
この発明の第1の局面は上記の検討結果から導き出されたものであり、次のように規定される。即ち、
測定対象の化学・物理現象に対応してポテンシャル井戸の底部電位を変化させる複数のセンシング部を備え、
TG部を介して前記各センシング部の電荷を対応するFD部へ移送し、該FD部に蓄積された電荷に基づき前記化学・物理現象を特定する化学・物理現象検出装置の制御方法であって、
前記複数のセンシング部において選択された第1のセンシング部の第1のポテンシャル井戸は電荷をホールドし、選択されない第2のセンシング部の第2のポテンシャル井戸は電荷が空の状態とし、
前記第1のポテンシャル井戸及び前記第2のポテンシャル井戸から同時に一つの前記FD部へ電荷を移送可能状態とする、化学・物理現象検出装置の制御方法。
【0015】
このように規定される第1の局面の制御方法によれば、TG部を同一タイミングで開閉するにあたり、選択されたピクセルのセンシング部(第1のセンシング部)のポテンシャル井戸(第1のポテンシャル井戸)には電荷をホールドさせ、選択されないピクセルのセンシング部(第2のセンシング部)のポテンシャル井戸(第2のポテンシャル井戸)は電荷が空の状態としておくので、全てのTG部を同時に開いても、選択されたピクセルの第1のセンシング部のみより電荷がFD部へ送られ、当該第1のセンシング部の電荷量が検出される。
これにより、ピクセル毎に独立制御されるTG部制御線が不要となり(
図5参照)、配線に要する領域の増大を抑制できる。なお、
図5において、
図4と同一の要素には同一の符号を付してのその説明を省略する。
【0016】
換言すれば、2つのセンシング部のうち一方のセンシング部からの電荷の移送を制御する第1のTG部と他方のセンシング部からの電荷の移送を制御する第2のTG部を同一のタイミングで開くと各センシング部からFD部へ電荷が移送されるので、2つのセンシング部を備える意味がない。
そこで、最初は一方のセンシング部をアクティブとし他方はノンアクティブとし、次には一方をノンアクティブとし他方をアクティブとすれば、第1及び第2のTG部を同時に開いても、それぞれのセンシング部の電荷量を測定することができる。
この発明では、TG部が同一のタイミングで開閉されることを前提として、センシング部を選択的にアクティブ、ノンアクティブとする。なお、アクティブなセンシング部を第1のセンシング部と規定し、ノンアクティブなセンシング部を第2のセンシング部と規定する。物理的に同一のセンシング部であっても、その状態によって第1及び第2のいずれかのセンシング部と規定される。
【0017】
従来の検出装置はセンシング部を常にアクティブにしており、この発明においてもセンシング部をアクティブする方法は従来の技術を用いることができる。
所望の(選択されなかった)センシング部をノンアクティブにする方法は今回新たに提案するものであり、その第1の方法として、一旦は全てのセンシング部へ電荷を供給し、その後、ICG部の電位を高くして所望の(選択されなかった)センシング部から電荷を排出し、もってそのセンシング部ノンアクティブとする。
他の方法として、所望の(選択されなかった)センシング部に対応するICG部の電位を低くして、ID部から当該センシング部へ電荷が供給されること自体を禁止する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、第1のセンシング部にのみ電荷を与え、第2のセンシング部は電荷が空の状態とする方策を説明する。
(第1のセンシング部及び第2のセンシング部へ共に電荷を供給し、その後第2のセンシング部のみから電荷を除去する)
図6によれば、第1及び第2のセンシング部へは、
図2と同様にして、電荷供給部から電荷を供給する(ステップ(A)〜(C))。
その後、第2のセンシング部に対応するICG部の電位をあげて、第2のセンシング部の電荷をID部側へ排出する(ステップ(G))。これにより、第2のセンシング部の第2のポテンシャル井戸の電荷は空の状態になるので、その後、
図2と同様のステップ(D)〜(F)を実行しても、FD部には何ら電荷は移送されない。
図6の例では、ICG部を制御して第2のセンシング部の電荷をID部側へ排出していたが、第2のセンシング部へ別途ドレインを設けて、第2のセンシング部から電荷を当該ドレインへ排出若しくは退避させ、その電荷を空とすることができる。かかる排出用ドレインとして、特許4171820号に記載されているこぶ対策用の除去井戸(容量を充分大きくする)を利用することができる。
【0020】
(第1のセンシング部へのみ選択的に電荷を供給し、第2のセンシング部へは電荷を供給しない)
電荷供給ステップ(
図2のステップ(A)〜(C)参照)を次のように実行する。
(i) 選択されたピクセルにおいてのみ
図2のステップ(A)〜(C)を実行する。
このとき、(i-i)全てのピクセルにおいてICG部を同じ動作とし、選択されたピクセルのみのID部を選択的に動作させ、これから電荷を供給してもよい。
また、(i-ii)全てのピクセルにおいてID部を同じ動作とし、選択されなかった、即ち第2のセンシング部を有するピクセルに対応するICG部の電位を制御(低下させる)することにより、ステップ(B)においてID部からセンシング部への電荷の供給を阻止するようにしてもよい。
上記(i-i)、(i-ii)の動作を実行するとき、ICG部制御ライン又はID部制御ラインを各ピクセルにおいて共通化することができる。
【0021】
図7には他の電荷供給方法を示す。
図7の例では、ID部21には常に電荷がチャージされているものとする。このとき、電荷の最低ポテンシャルは、ポテンシャル井戸15がとり得る最低ポテンシャルより低く、かつTG部の最低ポテンシャルより高いものとする(A図参照)。
次に、ICG部の電位をポテンシャル井戸15の底の電位より高くして、ID部の電荷でポテンシャル井戸15を満たす(B図参照)。なお、ID部には絶えず電荷が供給状態にあり、電荷の最低ポテンシャルは維持されている。
次に、ICG部の電位を低くして、ID部の電荷とポテンシャル井戸15の電荷とをICG部で切り裂いて分離する(C図参照)。そして、TG部の電位を上げてポテンシャル井戸15の電荷をFD部へ移送する(D図参照)。
なお、FD部の電荷量の検出及びその排出は、
図2のステップ(E)及び(F)同様の処理となる。
【0022】
図7に示した電荷の供給方法によれば、
図2のステップ(B)〜(C)にかけてのいわゆるすり切り動作がないので、ポテンシャルのこぶの影響を排除できる。
また、ID部に対する電荷のチャージ、ディスチャージが必要であった
図2の方法に比べて、ICG部のポテンシャルの上げ下げは高速に実行できる。本発明者らの検討によれば、ID部の電荷とポテンシャル井戸15の電荷とを分離するのに要する時間(
図7のステップ(B)〜(C)に要する時間)は、
図2の(B)〜(C)に示すり切りに要する時間の1/2〜1/5に短縮される。
なお、ICG部の電極に図示左右方向に電位傾斜(ID部側で高く、センシング部側で低くする)を設け、ICG部の電極対向領域に存在する電荷をより素早くID部側へ移動させることが好ましい。
【0023】
図7のステップ(A)〜(C)で示す電荷の供給を、選択されたピクセルに対してのみ実行すれば、センシング領域のポテンシャル井戸が電荷で満たされたもの(活性化されたアクティブなピクセル)と、ポテンシャル井戸の電荷が空のもの(活性化されないノンアクティブなピクセル)とが仕分けられる。
このとき、
図7に記載の方法において、ID部は常に一定電位に保たれるので、ID部制御線を各ピクセルで共通化できる。
なお、
図7のステップ(C)の後に、
図5のステップ(G)、(D)〜(F)を続けてもよい。
【0024】
以上のようにして、ポテンシャル井戸に電荷がホールドされている第1のセンシング領域を有するピクセル及びポテンシャル井戸の電荷が空の状態の第2のセンシング領域を有するピクセルのTG部を同時に開いて各センシング部から共通化されたソースフロア回路141へ電荷が供給される。
ピクセルの集積体において、ソースフロア回路141を共通化するピクセルは任意に選択できるものであるが、集積体において共通化したピクセルのグループを均等に分配することが好ましい。
共通化した各ピクセルは共通化要素(ソースフロア回路等)を中心にして、更にそこから延出される配線領域を中心にして、対称的に配置することが好ましい。
このように共通化したピクセルに対して、TG部制御線も共通化して、配線領域の増大を防止する。
【0025】
上記では、ソースフロア回路等を共通化することを前提に説明を進めてきた。しかしながら、当該回路の共通化の有無に拘わらず、TG部制御線を共通化して各ピクセルのTG部の制御を同期化し、センシング部における電荷の有無に基づき、各ピクセルの活性化状態を制御することは、集積化に適した制御方法となる。
【0026】
次のこの発明の実施例について説明をする。
TG制御線を共通化してTGが同一タイミングで開閉する2つのセンシング部を備えた検出装置を単位ユニットUとして、当該単位ユニットを4つ(U11、U12、U21、U22)を備えたアレイ回路を
図9に示す。各単位ユニットUの回路構成は
図5に示すものである。
図8に示す回路で単位ユニットを構成するとき2本のOUTラインが電荷量検出制御部へ連結されることとなる。
図9において、符号301はセンシング部制御部を示し、このセンシング部制御部301は電荷供給制御部303、TG制御部305、電荷量検出制御部311、電荷除去制御部313を備える。センシング制御部301は汎用的なコンピュータ装置で構成することができる。
電荷供給制御部303はICG1、ICG2及びIDに印加する電位を制御する。これにより、各ユニットにおいて、いずれか一方のセンシング部(pixel)をアクティブ(若しくはノンアクティブ)にできる。
TG制御部305はTGラインに接続され、このTGラインは全てのユニットのセンシング部とソースフォロア回路(FD部)と間に配置されるゲート部に接続されてこれらを同一タイミングで開閉する。
電荷量検出制御部311は各センシング部の読出し線WL1、WL2へ読出し信号を印加して、対応する出力ラインOUT1、OUT2の出力を読み取る。出力ラインOUT1,OUT2へソースフォロア回路の出力が出力される。
電荷除去制御部315はRGラインとVDDラインの電位を制御してソースフォロア回路(FD部)に蓄積された電荷を除去する。
【0027】
実施例の検出装置300の動作について説明する。
図10は検出装置300のタイミングチャートであり、
図11は検出装置の動作フローを示し、
図12は、
図11に示す動作フローの各段階における各部位の電位の詳細を示す。
この例では、各ユニットのセンシング部(pixel)へともに電荷を供給し(
図11のステップ(2)、(7)参照)、その後、所望の(選択されなかった)センシング部のみから電荷を除去し(同じくステップ(3)、(8)参照)、これをノンアクティブ(第2のセンシング部)とする。
ステップ(4)、(9)において同時にTGを開いてセンシング部の電荷を読出し部(FD部、ソースフォロアー回路)へ移送する。
【0028】
上記において、
図10に示すセンシング動作1ではpixel (1,1),(1,3),(2,1),(2,3)の電荷をFDへ転送し、センシング動作2ではpixel (1,2),(1,4),(2,2),(2,4)の電荷をFDへ転送する。センシング動作後の読出し動作期間ではWLnを順次highとしてFDに転送された信号がOUTnから順次出力される。
図11において、FDに転送されたpixel 1(2)の電荷がpixel 2(1)を乗り越えないようにFDの電位がTG=highのポテンシャル以下にならないようにして、クロストークを防止している。
【0029】
実施例の検出装置300の他の動作例を説明する。
図13は検出装置300のタイミングチャートであり、
図14は検出装置の動作フローを示し、
図15は、
図14に示す動作フローの各段階における各部位の電位の詳細を示す。
この例では、各ユニットにおいて選択されたセンシング部(pixel)のみ電荷を供給し(
図14のステップ(2)(3)、(7)(8)参照)、電荷の供給が拒絶されたセンシング部をノンアクティブ(第2のセンシング部)とする。
ステップ(4)、(9)において同時にTGを開いてセンシング部の電荷を読出し部(FD部、ソースフォロアー回路)へ移送する。
【0030】
上記において、
図13に示すセンシング動作1ではpixel (1,1),(1,3),(2,1),(2,3)の電荷をFDへ転送し、センシング動作2ではpixel (1,2),(1,4),(2,2),(2,4)の電荷をFDへ転送する。センシング動作後の読出し動作期間ではWLnを順次highとしてFDに転送された信号がOUTnから順次出力される。
図14において、TGがONの状態では非選択のpixelには電荷が蓄積されていないため、クロストークは発生しない。
ID=Low時に非選pixelに電荷が注入されないように非選択pixelのICGポテンシャルをID=Lowのポテンシャルよりも低く設定する。
【0031】
実施例の検出装置300の他の動作例を説明する。
図16は検出装置300のタイミングチャートであり、
図17は検出装置の動作フローを示し、
図18は、
図17に示す動作フローの各段階における各部位の電位の詳細を示す。
この例では、各ユニットにおいて選択されたセンシング部(pixel)のみに電荷を供給する際に、ICGの電位を低くすることによりIDからの電荷が選択されなかったセンシング部へ供給されないようにしている(
図17のステップ(2)、(7)参照)。他方、選択されたセンシング部の電位よりICGの電位を高くして選択されたセンシング部へ電荷を供給するとともに(ステップ(3)、(8)参照)、その後、ICGの電位を低くして選択されたセンシング部の電荷とID部の電荷を堰分ける。
次にステップ(4)、(9)において同時にTGを開いてセンシング部の電荷を読出し部(FD部、ソースフォロアー回路)へ移送する。
【0032】
上記において、
図16に示すセンシング動作1ではpixel (1,1),(1,3),(2,1),(2,3)の電荷をFDへ転送し、センシング動作2ではpixel (1,2),(1,4),(2,2),(2,4)の電荷をFDへ転送する。センシング動作後の読出し動作期間ではWLnを順次highとしてFDに転送された信号がOUTnから順次出力される。
図17において、TGがONの状態では非選択のpixelには電荷が蓄積されていないため、クロストークは発生しない。
IDの電位を一定にしてICGトランジスタをON−OFFさせて電荷の注入を制御する。
【0033】
化学・物理現象検出装置の感度、検出速度及び集積化などを向上するため下記の変形態様を採ることができる。
(センシング部について)
検出感度を向上するため、
図2の(A)〜(D)のステップを繰り返して、累積的に蓄積されたFD部33の電荷量を検出することができる(特許3623728号参照)。そしてこの文献の記載の内容はこの明細書の内容としてインコーポレートされる。
他方、ICG部による電荷すり切り時に(
図2のステップ(C)参照)、ICG部とポテンシャル井戸との界面に、感応膜の幅に対応して、小さなポテンシャルのこぶが形成されるおそれがある。このポテンシャルのこぶが存在すると、ポテンシャルのこぶの高さに対応して余計な電荷がセンシング部に残ることとなる。ポテンシャルのこぶの高さが小さくても、既述のように累積的な検出を実行すると、ポテンシャルのこぶに起因して残存した電荷量が無視できなる。そこで、センシング部に隣接して、若しくはセンシング部内に除去井戸を形成し、ポテンシャルのこぶによりセンシング部に残存する電荷を当該除去井戸へ逃がす。これにより、センシング部よりFD部へ移送される電荷量は検出対称値に対応したもののみとなり、即ちポテンシャルのこぶに起因して残存する電荷は移送されなくなり、もって正確な検出が可能となる。
なお、この除去井戸に対応してこのポテンシャルを制御するための制御電極が更に設けられ、この制御電極はICG部やTG部と独立して制御される。
以上、特許4171820号公報を参照されたい。そしてこの文献の記載の内容はこの明細書の内容としてインコーポレートされる。
【0034】
化学量としてのpH検出に用いられる窒化シリコン製の感応膜及び酸化シリコン製の保護膜はともに透光性である。従って、センシング部を開放した空間等で使用したときには、これらの膜を透過した光がシリコン基板において電荷(電子)を発生させる。この電荷が、電荷供給部からセンシング部へ供給された電荷と一緒になって、FD部へ蓄積されると、検出誤差の原因となりかねない。
そこで電荷供給部からセンシング部への電荷供給が無い状態で、センシング部からFD部へ電荷が転送可能なようにTG部の電位を調節し、FD部へ移送された第1の電荷量を検出して保存する手段と、電荷供給部からセンシング部へ電荷の供給がなされた状態で、TG部の電位を調節して、センシング部2の電荷をFD部へ転送し、FD部へ移送された第2の電荷量を検出して保存する手段と、前記第2の電荷量と前記第1の電荷量との差を演算し、得られた電荷量の差にもとづき、検出装置の出力を補正し、もって検出装置の検出結果から光の影響を除去することができる。
以上、特開2008−79306号公報を参照されたい。そしてこの文献の記載の内容はこの明細書の内容としてインコーポレートされる。
【0035】
(光の検出)
センシング部が光に対して活性であることを利用して、光量を検出することができる。
即ち、光の照射によりセンシング部で生成した電荷をFD部へ転送するタイミングを制御することにより、センシング部へ入射した光量を特定できる。この場合、電荷供給部は不要である。
なお、特許4073831号公報に示す分光検出を実行するにはセンシング部へ透光性電極膜を積層することが好ましい。透光性電極膜を感応膜上に積層すると感応膜が検出対象へ接触せず、pH検出ができない。
【0036】
(pH・光の検出)
pH検出装置の基本構造を用いて光量の検出が可能であるので、検出に時間差を設けることにより、一つのチップでpHと光量の両者の検出が可能となる(特許4183789号公報参照)。そしてこの文献の記載の内容はこの明細書の内容としてインコーポレートされる。
電荷移送・蓄積部をpH検出用と光量検出用にそれぞれ配設してもよい(特許4133028号公報)。そしてこの文献の記載の内容はこの明細書の内容としてインコーポレートされる。
pHと光量の同時計測を可能とする装置がWO/2009/081890A1号公報に開示されている。そしてこの文献の記載の内容はこの明細書の内容としてインコーポレートされる。この装置では、電荷としての電子を利用するpH検出用の電荷移動・蓄積部と、光入射によるセンシング部で発生したホールを利用する光量検出用の電荷移動・蓄積部とが並設される。
【0037】
特許4073831号公報に基本動作を示す分光装置において、TG部の電位を制御することにより、透光性電極を何ら用いなくても、センシング部10へ印加する電位を変化させたときと同じ状態が得られる(WO/2010/106800A1号公報参照)。そしてこの文献の記載の内容はこの明細書の内容としてインコーポレートされる。
この分光装置は次のように構成される。即ち、入射光により電荷を発生するセンシング部と、前記センシング部の表面から第1の深さまでに発生した電荷を捕獲する第1の状態と、該表面から第2の深さまでに発生した荷を捕獲する第2の状態とになるようセンシング部を制御する電荷発生制御部と、前記電荷発生部で捕獲された電荷量に応じた信号を出力するFD部と、を備え
電荷発生制御部はセンシング部に隣接して形成され、センシング部のポテンシャル井戸に充填されている電荷の最低電位を規定するTG部を備え、このTG部の電位を制御して前記ポテンシャル井戸に充填されている電荷の最低電位を制御することによりセンシング部を第1の状態又は第2の状態として、入射光によりセンシング部で発生した電荷がゲート部をオーバーフローして前記FD部へ移送される、分光装置。ここに、TG部の電位はICG部の電位より高くすることが好ましい。
かかる分光装置により、励起光とこの励起光で励起された蛍光と含む光を分光する場合には、センシング部側から順に第1のFD部と第2のFD部とを設け、第1のFD部の容量を第2のFD部の容量より大きくし、前記センシング部から移送される電荷により第1のFD部は常に満杯の状態となり、該第1のFD部を通過した電荷が蓄積される第2のFD部の電荷量に基づき各光の強さを特定する。第2のFD部は容量が小さいので、検出感度が向上する。
以上、WO/2009/151004号公報を参照されたい。そしてこの文献の記載の内容はこの明細書の内容としてインコーポレートされる。
【0038】
図8にはpH検出用の電荷移送・蓄積部と光量検出用の電荷移送・蓄積部とを備えたときの、集積化に適した回路構成例を示す。
なお、
図5と同一の要素には同一の符号を付してその説明を省略する。この例では第1のセンシング部110と第2のセンシング部210のそれぞれについて、ソースフロア回路143(pH検出用)及びリセット回路153(pH検出用)、並びにソースフロア回路243(光量検出用)及びリセット回路253(光量検出用)が共通化されている。
pH検出用には
図5と同じ動作を行なう。
光量検出も、pH検出と同一構造の電荷移動蓄積部、電荷量検出部及び電荷除去部を備える。光量検出においてはセンシング部へ電荷を供給する必要はない。センシング部が光に反応して生成した電荷をFDへ移送し、その電荷量に応じて光量を特定する。
【0039】
複数のpH検出装置を用いると、それぞれのセンシング部において感度のバラツキが生じる。感度のバラツキの原因として感応膜のチャージアップ等が考えられる。
一般的に、感度のバラツキを校正するには、標準溶液に対する各センシング部の出力信号を求め、その出力信号が正規の出力信号となるように、これをソフトウェア的なデータ処理で校正する。しかしながら、センシング部の数が増えるとデータ処理用PCにかかる負担が大きくなるので、高集積化の阻害要因となる。
そこで、本発明者らは、感度のバラツキをハードウエア的に校正することを考えた。即ち、標準溶液に対する各センシング部の移送電荷量(出力信号)を求め、この移送電荷量と標準センシング部による標準移送電荷量(標準出力信号)との差を求める。ここに、標準センシング部は任意に若しくは理論的に選択することができ、このセンシング部を標準溶液に接触させたときに移送される電荷量を一義的に標準移送電荷量として、全てのセンシング部の出力の基準とする。
各センシング部の移送電荷量と標準移送電荷量との差が相殺されるように、センシング部のポテンシャル井戸の容量を変化させるか、若しくは電荷移送時のTG部のポテンシャルを変化させる。これにより、標準溶液に対して標準センシング部がFD部へ移送させる電荷量と同じ電荷量が校正対象のセンシング部からFD部へ対して移送されることとなる。
ポテンシャル井戸の容量の変化は、例えばICG部の電位、参照電極の電位及び/又はポテンシャル井戸の底部の電位をハードウエア的に調整することで行なえる。TG部の電位調整も同様である。
なお、検出装置に要求される感度によっては、各センシング部を個々に校正する必要はない。例えば、校正対象のセンシング部からの移送電荷量と標準移送電荷量の差を予め定められた範囲(電荷量帯)に分類し、当該範囲毎に校正値を予め定めておく。そして校正対象のポテンシャル井戸の容量を当該校正値で校正する。これにより、ハードウエア的な調整作業が簡素化される。
【0040】
以上をまとめると、次のように規定できる。
検出対象のpH値に対応してポテンシャル井戸の底部電位を変化させる第1のセンシング部及び第2のセンシング部を備え、
TG部を介して各センシング部の電荷を対応するFD部へ移送し、該FD部に蓄積された電荷に基づき検出対象のpHを検出する装置の制御方法であって、
検出対象が第1の状態のとき、第1のセンシング部の第1のポテンシャル井戸及び第2のセンシング部の第2のポテンシャル井戸からそれぞれ第1の量の電荷が対応するFD部へ移送されるように、検出対象において少なくとも一方のセンシング部のポテンシャル井戸の容量を変化させる、及び/又は電荷移送時にTG部の電位を変化させる、pH検出装置の制御方法。
【0041】
上記において、pH検出装置を検出装置の例に取り上げ説明してきた。感応膜を選択することにより測定対象を任意の化学現象、物理現象とすることができる。
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
この明細書に記載した先行文献の記載内容を、この明細書の記載の一部として取り込むことができる。