特許第6074829号(P6074829)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6074829位置情報に基づくIPアドレスを決定するプログラム、装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6074829
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】位置情報に基づくIPアドレスを決定するプログラム、装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/70 20130101AFI20170130BHJP
【FI】
   H04L12/70 B
【請求項の数】11
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-189831(P2016-189831)
(22)【出願日】2016年9月28日
【審査請求日】2016年10月4日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500372717
【氏名又は名称】学校法人福岡工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】100135068
【弁理士】
【氏名又は名称】早原 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】田村 瞳
【審査官】 野元 久道
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−543527(JP,A)
【文献】 国際公開第02/096041(WO,A1)
【文献】 神崎 正英,セマンティックHTML/XHTML 初版,株式会社毎日コミュニケーションズ 中川 信行,2009年 5月30日,第1版,P.319-322
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホストに付与すべきユニキャストのIP(Internet Protocol)アドレスを決定するように、コンピュータを機能させるプログラムにおいて、
IPアドレスは、プレフィックス及びインタフェース識別フィールドから構成されており、
前記ホストの位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記位置情報から、地理範囲を階層的に等分割したN(≧2)次の階層毎に所定ビット数で区分したメッシュコードを生成するメッシュコード生成手段と、
前記メッシュコードを前記インタフェース識別フィールドに含めたIPアドレスを決定するIPアドレス決定手段と
してコンピュータを機能させ、
前記所定ビット数は、n(=1〜N−1)次の階層の地理範囲からn+1(=2〜N)次の階層の地理範囲へm(≧2)等分を表現可能なビット数に、全ビットを"1"とするブロードキャストアドレスと、全ビットを"0"とするネットワークアドレスとを表現可能とする1ビット以上を更に加えたものである
とを特徴とするプログラム。
【請求項2】
前記IPアドレスは、IPv6アドレスであり、
前記プレフィックスに、位置情報埋込型を表す特定のネットワークアドレスを含める
ようにコンピュータを機能させることを特徴とする請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記メッシュコードは、広い地理範囲から狭い地理範囲へ、上位ビットから下位ビットに向かってLongest Matchingを可能とするべく表現されたものである
ようにコンピュータを機能させることを特徴とする請求項1又は2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記位置情報として地理範囲の広さは、前記インタフェース識別フィールドにおけるメッシュコードの長さによって特定され、
n(=1〜N−1)次の階層の地理範囲に対するブロードキャストアドレスとして特定する場合、当該メッシュコードのn+1(=2〜N)次の階層以下の連続するビット列に"1"を埋め込み、
ネットワークアドレスとして特定する場合、当該メッシュコードのn+1次の階層以下の連続するビット列に"0"を埋め込む
ようにコンピュータを機能させることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項5】
前記所定ビット数は、
m=4等分を表現可能な2ビットに、ブロードキャストアドレスとネットワークアドレスとを表現可能とする1ビットを更に加えた3ビットとするか、
又は、
m=4等分を表現可能な2ビットに、ブロードキャストアドレスとネットワークアドレスとを表現可能とする2ビットを更に加えた4ビットとする
ようにコンピュータを機能させることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項6】
前記インタフェース識別フィールドにおける下位所定数のビット列に、当該ホストのMAC(Media Access Control)アドレスの一部、又は、MACアドレスから生成されるホスト識別子を更に含む
ようにコンピュータを機能させることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項7】
前記位置情報は、緯度経度であり、
前記位置情報取得手段は、GPS(Global Positioning System)、基地局測位、アクセスポイント測位若しくは自律航法測位に基づいて、又は、手動設定に基づいて、緯度経度を取得する
ようにコンピュータを機能させることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項8】
端末に付与すべきユニキャストのIPアドレスを決定するように、当該端末に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムにおいて、
IPアドレスは、プレフィックス及びインタフェース識別フィールドから構成されており、
前記ホストの位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記位置情報から、地理範囲を階層的に等分割したN(≧2)次の階層毎に所定ビット数で区分したメッシュコードを生成するメッシュコード生成手段と、
前記メッシュコードを前記インタフェース識別フィールドに含めたIPアドレスを決定するIPアドレス決定手段と
してコンピュータを機能させ、
前記所定ビット数は、n(=1〜N−1)次の階層の地理範囲からn+1(=2〜N)次の階層の地理範囲へm(≧2)等分を表現可能なビット数に、全ビットを"1"とするブロードキャストアドレスと、全ビットを"0"とするネットワークアドレスとを表現可能とする1ビット以上を更に加えたものである
とを特徴とするプログラム。
【請求項9】
端末に付与すべきユニキャストのIPアドレスを決定するように、アドレス割当サーバに搭載されたコンピュータを機能させるプログラムにおいて、
IPアドレスは、プレフィックス及びインタフェース識別フィールドから構成されており、
前記端末から、アドレス割当要求を受信するアドレス割当要求受信手段と、
前記端末又は前記アドレス割当サーバの位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記位置情報から、地理範囲を階層的に等分割したN(≧2)次の階層毎に所定ビット数で区分したメッシュコードを生成するメッシュコード生成手段と、
前記メッシュコードを前記インタフェース識別フィールドに含めたIPアドレスを決定するIPアドレス決定手段と、
決定された前記IPアドレスを前記端末へ付与するべく、アドレス割当応答を前記端末へ返信するアドレス割当応答送信手段と
して、アドレス割当サーバに搭載されたコンピュータを機能させ、
前記所定ビット数は、n(=1〜N−1)次の階層の地理範囲からn+1(=2〜N)次の階層の地理範囲へm(≧2)等分を表現可能なビット数に、全ビットを"1"とするブロードキャストアドレスと、全ビットを"0"とするネットワークアドレスとを表現可能とする1ビット以上を更に加えたものである
とを特徴とするプログラム。
【請求項10】
ホストに付与すべきユニキャストのIPアドレスを決定する装置において、
IPアドレスは、プレフィックス及びインタフェース識別フィールドから構成されており、
前記ホストの位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記位置情報から、地理範囲を階層的に等分割したN(≧2)次の階層毎に所定ビット数で区分したメッシュコードを生成するメッシュコード生成手段と、
前記メッシュコードを前記インタフェース識別フィールドに含めたIPアドレスを決定するIPアドレス決定手段と
を有し、
前記所定ビット数は、n(=1〜N−1)次の階層の地理範囲からn+1(=2〜N)次の階層の地理範囲へm(≧2)等分を表現可能なビット数に、全ビットを"1"とするブロードキャストアドレスと、全ビットを"0"とするネットワークアドレスとを表現可能とする1ビット以上を更に加えたものである
とを特徴とする装置。
【請求項11】
ホストに付与すべきユニキャストのIPアドレスを決定する装置のIPアドレス決定方法において、
IPアドレスは、プレフィックス及びインタフェース識別フィールドから構成されており、
前記装置は、
前記ホストの位置情報を取得する第1のステップと、
前記位置情報から、地理範囲を階層的に等分割したN(≧2)次の階層毎に所定ビット数で区分したメッシュコードを生成する第2のステップと、
前記メッシュコードを前記インタフェース識別フィールドに含めたIPアドレスを決定する第3のステップと
を実行し、
前記所定ビット数は、n(=1〜N−1)次の階層の地理範囲からn+1(=2〜N)次の階層の地理範囲へm(≧2)等分を表現可能なビット数に、全ビットを"1"とするブロードキャストアドレスと、全ビットを"0"とするネットワークアドレスとを表現可能とする1ビット以上を更に加えたものである
とを特徴とする装置のIPアドレス決定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置情報に基づくIP(Internet Protocol)アドレスを決定する技術に関する。特に、IPv6のようなアドレス表記を有するIPアドレスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ユーザが所持する携帯端末に対して、位置情報に基づくサービスを提供する技術が普及している。このようなサービスとしては、例えば、目的地までのナビゲーション、位置周辺の店舗検索、位置に基づくゲームなどがある。例えばスマートフォンやタブレットの場合、GPS(Global Positioning System)測位が可能なデバイスを一般的に搭載している。GPSによれば、地球の周回軌道を回る多数の衛星から発信される電波を受信し、その衛星との距離を導出することによって、現在地(緯度及び経度)を測位することができる。携帯端末は、測位した位置情報をアプリケーションサーバへ送信することによって、様々なサービスに基づく情報を受信することができる。
【0003】
また、端末自らが位置情報を測位することなく、インターネットに接続された別途の位置情報管理サーバを用いる技術もある。位置情報管理サーバは、地図上の位置に応じて、周辺の携帯電話用の基地局や無線LAN用のアクセスポイントの情報を対応付けて蓄積したものである。
この技術によれば、携帯端末は、アプリケーションサーバからの問い合わせに応じて、現在通信している基地局やアクセスポイントの周辺情報を送信する。次に、アプリケーションサーバは、その周辺情報を更に、位置情報管理サーバへ送信することによって、当該端末の位置情報を取得する。そして、アプリケーションサーバは、その位置情報に応じたサービス情報を、当該端末へ送信することができる。
このように、端末自らが測位しない場合には、位置情報管理サーバのように、インターネット上の別途のサーバと連携する必要がある。
【0004】
従来、ユーザが所持する携帯端末の地理的な位置情報と、携帯端末のネットワーク上のIPアドレスとは、互いに全く関連性を持たない。一方で、アプリケーションサーバは、携帯端末の位置情報とIPアドレスとを関連付けて管理しなければ、位置情報に応じたコンテンツを、その位置に滞在する携帯端末へ送信することができない。
即ち、アプリケーションサーバは、位置情報の処理負荷や、端末や位置情報管理サーバとの間のやりとりのトラヒック量とが、増加する傾向がある。
【0005】
これに対し、位置情報管理サーバのような別途のサーバを利用することなく、位置情報に基づくデータパケットを送受信する技術もある(例えば特許文献1参照)。この技術によれば、位置情報及び地理範囲情報が、IPアドレスのインタフェース識別フィールドに含められている。
具体的には、IPv6アドレス内に、GPSによる測位情報を含む緯度経度フィールドを設け、距離(範囲)フィールドによって地理範囲の形状を指定している。この技術によれば、当該パケットを受信した端末が、当該パケット内のIPアドレスの緯度経度情報と、予め設定された受信可能IPアドレスの位置情報及び地理範囲情報とを比較して、そのパケットを受信するか否かを判定する。即ち、この技術は、宛先IPアドレスが位置情報を含むものであるという前提の下、ある位置に存在する端末群へ情報を配信することを目的としたものである。そのために、受信側の端末は、既存のIPレイヤに、緯度経度情報及び地理範囲情報を判定する機能を実装する必要がある。
【0006】
また、ユニキャストIPv6アドレスとして、緯度経度情報を含むIPアドレスを生成する技術もある(例えば非特許文献1、2参照)。一般に、GPSによる測位情報には、負の値や、小数点以下の数値も含まれる。この技術によれば、特定のアルゴリズムによって、緯度経度を正規化して正の2進数とし、それらをビットインターリーブ(ビット毎に交互に並べる)によってビット列を並べて、ユニキャストIPv6アドレスを生成している。特に、非特許文献2に記載の技術によれば、マルチキャストアドレスを対象としたものである。
【0007】
尚、IPアドレスのアドレス体系は、32ビットで表記されるIPv4から、128ビットで表記されるIPv6へと移行しつつある。特に、IPv6では、各種拡張ヘッダが規定され、様々な拡張機能を持たせることが容易になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−204286号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】T.Hain、「An IPv6 Geographic Global Unicast Address Format」、draft-hain-ipv6-geo-adde-02、[online]、[平成28年9月20日検索]、インターネット<URL:https://tools.ietf.org/html/draft-hain-ipv6-geo-addr-02>
【非特許文献2】岡田和也、奥田剛、門林雄基、山口英、「位置依存情報配信を目的としたPIv6マルチキャストアドレスの設計と評価」、情報処理学会論文誌、Vol.55 N0.2 619-629(Feb.2014)、[online]、[平成28年9月20日検索]、インターネット<URL:https://ipsj.ixsq.nii.ac.jp/ej/index.php?active_action=repository_view_main_item_detail&page_id=13&block_id=8&item_id=98483&item_no=1>
【非特許文献3】株式会社NTTドコモ、「オープンiエリア」、[online]、[平成28年9月20日検索]、インターネット<URL:https://www.nttdocomo.co.jp/binary/pdf/service/developer/make/content/iarea/domestic/open-iarea.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1に記載の技術によれば、位置情報部が埋め込まれた特有のIPアドレス構成を有する。そのために、そのIPアドレスを含むパケットを処理する全ての装置が、IPレイヤ内でそのアドレス構成を認識する必要がある。また、非特許文献1に記載の技術によれば、GPSの測位情報におけるIPアドレスの生成アルゴリズムを必要し、IPレイヤ内の処理としては煩雑となる。
これらの技術は、パケットを送受信する端末に限られず、事業者網やインターネットに配置された経路制御装置やルータも、その特有のアドレス構成を認識する必要がある。そのために、現状のインターネットで実際に運用することは難しい。
尚、非特許文献2に記載の技術によれば、ある地理的範囲への情報配信のためのマルチキャストアドレスを対象としたものであって、そもそも、ユニキャストアドレスを対象としたものではない。特に、マルチキャストアドレスの場合、特定の地域への情報配信しかできないために、端末のリクエストに応じてその位置情報に応じたコンテンツをレスポンスするような、サーバ−クライアント方式に適用することは難しい。
【0011】
そこで、本発明は、既存のインターネット環境で運用可能であって、ホストの位置情報に基づくユニキャストIPアドレスを決定するプログラム、装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、ホストに付与すべきユニキャストのIP(Internet Protocol)アドレスを決定するように、コンピュータを機能させるプログラムにおいて、
IPアドレスは、プレフィックス及びインタフェース識別フィールドから構成されており、
ホストの位置情報を取得する位置情報取得手段と、
位置情報から、地理範囲を階層的に等分割したN(≧2)次の階層毎に所定ビット数で区分したメッシュコードを生成するメッシュコード生成手段と、
メッシュコードをインタフェース識別フィールドに含めたIPアドレスを決定するIPアドレス決定手段と
してコンピュータを機能させ、
所定ビット数は、n(=1〜N−1)次の階層の地理範囲からn+1(=2〜N)次の階層の地理範囲へm(≧2)等分を表現可能なビット数に、全ビットを"1"とするブロードキャストアドレスと、全ビットを"0"とするネットワークアドレスとを表現可能とする1ビット以上を更に加えたものである
とを特徴とする。
【0013】
本発明のプログラムにおける他の実施形態によれば、
IPアドレスは、IPv6アドレスであり、
プレフィックスに、位置情報埋込型を表す特定のネットワークアドレスを含める
ようにコンピュータを機能させることも好ましい。
【0014】
本発明のプログラムにおける他の実施形態によれば、
メッシュコードは、広い地理範囲から狭い地理範囲へ、上位ビットから下位ビットに向かってLongest Matchingを可能とするべく表現されたものである
ようにコンピュータを機能させることも好ましい。
【0015】
本発明のプログラムにおける他の実施形態によれば、
位置情報として地理範囲の広さは、インタフェース識別フィールドにおけるメッシュコードの長さによって特定され、
n(=1〜N−1)次の階層の地理範囲に対するブロードキャストアドレスとして特定する場合、当該メッシュコードのn+1(=2〜N)次の階層以下の連続するビット列に"1"を埋め込み、
ネットワークアドレスとして特定する場合、当該メッシュコードのn+1次の階層以下の連続するビット列に"0"を埋め込む
ようにコンピュータを機能させることも好ましい。
【0016】
本発明のプログラムにおける他の実施形態によれば、
所定ビット数は、
m=4等分を表現可能な2ビットに、ブロードキャストアドレスとネットワークアドレスとを表現可能とする1ビットを更に加えた3ビットとするか、
又は、
m=4等分を表現可能な2ビットに、ブロードキャストアドレスとネットワークアドレスとを表現可能とする2ビットを更に加えた4ビットとする
ようにコンピュータを機能させることも好ましい。
【0017】
本発明のプログラムにおける他の実施形態によれば、
インタフェース識別フィールドにおける下位所定数のビット列に、当該ホストのMAC(Media Access Control)アドレスの一部、又は、MACアドレスから生成されるホスト識別子を更に含む
ようにコンピュータを機能させることも好ましい。
【0018】
本発明のプログラムにおける他の実施形態によれば、
位置情報は、緯度経度であり、
位置情報取得手段は、GPS(Global Positioning System)、基地局測位、アクセスポイント測位若しくは自律航法測位に基づいて、又は、手動設定に基づいて、緯度経度を取得する
ようにコンピュータを機能させることも好ましい。
【0019】
本発明によれば、端末に付与すべきユニキャストのIPアドレスを決定するように、当該端末に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムにおいて、
IPアドレスは、プレフィックス及びインタフェース識別フィールドから構成されており、
ホストの位置情報を取得する位置情報取得手段と、
位置情報から、地理範囲を階層的に等分割したN(≧2)次の階層毎に所定ビット数で区分したメッシュコードを生成するメッシュコード生成手段と、
メッシュコードをインタフェース識別フィールドに含めたIPアドレスを決定するIPアドレス決定手段と
してコンピュータを機能させ、
所定ビット数は、n(=1〜N−1)次の階層の地理範囲からn+1(=2〜N)次の階層の地理範囲へm(≧2)等分を表現可能なビット数に、全ビットを"1"とするブロードキャストアドレスと、全ビットを"0"とするネットワークアドレスとを表現可能とする1ビット以上を更に加えたものである
とを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、端末に付与すべきユニキャストのIPアドレスを決定するように、アドレス割当サーバに搭載されたコンピュータを機能させるプログラムにおいて、
IPアドレスは、プレフィックス及びインタフェース識別フィールドから構成されており、
端末から、アドレス割当要求を受信するアドレス割当要求受信手段と、
端末又はアドレス割当サーバの位置情報を取得する位置情報取得手段と、
位置情報から、地理範囲を階層的に等分割したN(≧2)次の階層毎に所定ビット数で区分したメッシュコードを生成するメッシュコード生成手段と、
メッシュコードをインタフェース識別フィールドに含めたIPアドレスを決定するIPアドレス決定手段と、
決定されたIPアドレスを端末へ付与するべく、アドレス割当応答を端末へ返信するアドレス割当応答送信手段と
して、アドレス割当サーバに搭載されたコンピュータを機能させ、
所定ビット数は、n(=1〜N−1)次の階層の地理範囲からn+1(=2〜N)次の階層の地理範囲へm(≧2)等分を表現可能なビット数に、全ビットを"1"とするブロードキャストアドレスと、全ビットを"0"とするネットワークアドレスとを表現可能とする1ビット以上を更に加えたものである
とを特徴とする。
【0021】
本発明によれば、ホストに付与すべきユニキャストのIPアドレスを決定する装置において、
IPアドレスは、プレフィックス及びインタフェース識別フィールドから構成されており、
ホストの位置情報を取得する位置情報取得手段と、
位置情報から、地理範囲を階層的に等分割したN(≧2)次の階層毎に所定ビット数で区分したメッシュコードを生成するメッシュコード生成手段と、
メッシュコードをインタフェース識別フィールドに含めたIPアドレスを決定するIPアドレス決定手段と
を有し、
所定ビット数は、n(=1〜N−1)次の階層の地理範囲からn+1(=2〜N)次の階層の地理範囲へm(≧2)等分を表現可能なビット数に、全ビットを"1"とするブロードキャストアドレスと、全ビットを"0"とするネットワークアドレスとを表現可能とする1ビット以上を更に加えたものである
とを特徴とする。
【0022】
本発明によれば、ホストに付与すべきユニキャストのIPアドレスを決定する装置のIPアドレス決定方法において、
IPアドレスは、プレフィックス及びインタフェース識別フィールドから構成されており、
装置は、
ホストの位置情報を取得する第1のステップと、
位置情報から、地理範囲を階層的に等分割したN(≧2)次の階層毎に所定ビット数で区分したメッシュコードを生成する第2のステップと、
メッシュコードをインタフェース識別フィールドに含めたIPアドレスを決定する第3のステップと
を実行し、
所定ビット数は、n(=1〜N−1)次の階層の地理範囲からn+1(=2〜N)次の階層の地理範囲へm(≧2)等分を表現可能なビット数に、全ビットを"1"とするブロードキャストアドレスと、全ビットを"0"とするネットワークアドレスとを表現可能とする1ビット以上を更に加えたものである
とを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明のプログラム、装置及び方法によれば、既存のインターネット環境で運用可能であって、ホストの位置情報に基づくユニキャストIPアドレスを決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明によってIPアドレスを決定するホストの機能構成図である。
図2】日本全国の地理範囲を階層的にメッシュコード化した説明図である。
図3】メッシュコードにおける地理範囲の階層化を表す説明図である。
図4】地図上に区分された地理範囲の階層化を表す説明図である。
図5】本発明における第1のIPv6アドレスの構成図である。
図6】本発明における第2のIPv6アドレスの構成図である。
図7】本発明における第3のIPv6アドレスの構成図である。
図8】本発明におけるDHCPサーバの機能構成図である。
図9】本発明におけるクライアント、DHCPサーバ及びアプリケーションサーバの間のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0026】
図1は、本発明によってIPアドレスを決定するホストの機能構成図である。
【0027】
図1によれば、ホストとしての装置1は、IPパケットを送受信する通信インタフェースを有する。装置1は、パーソナルコンピュータやスマートフォン、タブレット端末、携帯電話機のような端末に限られず、クラウドに配置されたサーバや、プリンタ及びディスク装置のような周辺機器であってもよい。これら装置1は、ホストとしてIPアドレスを保持する。
通信インタフェースは、IPネットワーク(インターネット)に接続可能なものであり、例えば有線/無線LANや携帯電話網に接続可能な通信デバイスである。
【0028】
本発明の装置1は、ホストとして付与すべきユニキャストのIPアドレスを決定するものである。IPアドレスとしては、IPv6アドレスを想定している。装置1は、位置情報取得部11と、メッシュコード生成部12と、IPアドレス決定部13とを有する。これら機能構成部は、装置1に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによって実現される。また、これら機能構成部の処理の流れは、装置1のIPアドレス決定方法としても理解できる。
【0029】
尚、装置1は、既存のIPレイヤを含む通信ソフトウェアや、アプリケーションソフトウェアも当然に実装している。IPレイヤ部は、本発明のIPアドレス決定部13によって決定されたIPアドレスを用いて、相手方ホストとの間で通信インタフェースを介してIPパケットを送受信する。
【0030】
[位置情報取得部11]
位置情報取得部11は、ホストの位置情報を取得する。
位置情報取得部11によれば、静的には、管理者が手動で位置情報を設定するものであればよい。例えば、地図を表示したタッチパネルディスプレイに、現在位置をタッチさせることによって、手動設定として位置情報を取得するものであってもよい。
【0031】
一方で、位置情報取得部11によれば、動的には、GPS、基地局測位、アクセスポイント測位又は自律航法測位のような測位部を用いて、自動的に位置情報を取得するものであってもよい。GPSによれば、GPS衛星からの測位電波を受信することによって、現在の位置情報を取得する。基地局測位によれば、携帯電話網に無線で接続可能な複数の基地局の位置から、現在の位置情報を取得する。アクセスポイント測位も同様に、無線LANやBLE(Bluetooth Low Energy)で接続可能な複数のアクセスポイントの位置から、現在の位置情報を取得する。自律航法測位よれば、例えばPDR(Pedestrian Dead Reckoning)のようなものであって、移動軌跡から、現在の位置情報を取得する。
【0032】
本発明によれば、いずれの方法であっても、地図上の緯度経度を測位できることを要する。位置情報取得部11で取得した位置情報は、メッシュコード生成部12へ出力される。
【0033】
[メッシュコード生成部12]
メッシュコード生成部12は、位置情報取得部11より入力した位置情報から、地理情報のメッシュコードを生成し、そのメッシュコードをIPアドレス決定部13へ出力する。
【0034】
<メッシュコード>
「メッシュコード」とは、下位ビットほど狭い地理範囲を階層的に表す、1次元の地理情報のコードである。これは、広い地理範囲から狭い地理範囲へ、上位ビットから下位ビットに向かってLongest Matchingを可能とするべく表現されたものである
メッシュコードとしては、例えば株式会社NTTドコモが開示している「オープンiエリア」のメッシュコードを用いることができる(例えば非特許文献3参照)。
具体的には、n次メッシュコードの正方形領域に、n+1次メッシュコードとして4等分の正方形領域を含む。同様に、n+1次メッシュコードの正方形領域に、n+2次メッシュコードとして更に4等分の正方形領域を含む。このように、地理範囲が階層化されている。
【0035】
図2は、日本全国の地理範囲を階層的にメッシュコード化した説明図である。
図2によれば、日本全国の地理範囲が、緯度経度に基づいて多数の正方形領域に区分される。最初に区分された正方形領域は、1次メッシュコードと称され、16ビットで表される。
【0036】
図3は、メッシュコードにおける地理範囲の階層化を表す説明図である。
1次メッシュコードの正方形領域は、10km四方を表す2次メッシュコードに区分される。2次メッシュコードの正方形領域は、5km四方を表す3次メッシュコードに区分される。3次メッシュコードの正方形領域は、2.5km四方を表す4次メッシュコードに区分される。このように、10次メッシュコードまで階層的な正方形領域に区分していく。
【0037】
図4は、地図上に区分された地理範囲の階層化を表す説明図である。
図4によれば、1次メッシュコードから10次メッシュコードまで、地理範囲が細かく区分されている。10次メッシュコードでは、39m四方の地域範囲まで特定することできる。「緯度」「経度」の表現ビット数が多いほど、分解能を向上でき、狭い地域範囲を特定することができる。
【0038】
[IPアドレス決定部13]
IPアドレス決定部13は、メッシュコード生成部12より入力したメッシュコードをインタフェース識別フィールドに含めたユニキャストIPアドレスを決定する。決定されたIPアドレスは、IPレイヤ部へ出力される。
【0039】
図5は、本発明における第1のIPv6アドレスの構成図である。
【0040】
IPv6のユニキャストアドレスは、128ビットで構成される。上位64ビットは「プレフィックス」と称され、下位64ビットは「インタフェース識別フィールド」と称される。
【0041】
「プレフィックス」には、位置情報埋込型を表す特定のネットワークアドレスを含める。プレフィックスの扱いは、通常のIPv6と全く同じであって、既存のルータによってネットワークに対する経路制御が可能となる。プレフィックスは、ネットワークにおけるサービス単位に割り当てられたものであり、クライアント・サーバ及び経路制御装置は、その一意のプレフィックスを認識していることを前提とする。
本発明によれば、プレフィックスには、位置情報埋め込み型ネットワークを表すアドレスが特定される必要がある。
【0042】
「インタフェース識別フィールド」は、「メッシュコード」と「ホストMACアドレス」とから構成される。
【0043】
位置情報として地理範囲の広さは、インタフェース識別フィールドにおける「メッシュコード」の長さによって特定される。即ち、メッシュコード長が短いほど、広い地理範囲を表し、メッシュコード長が長くなるほど、狭い地理範囲を表すことができる。これによって、ホストが存在する地理範囲の粒度を、ネットワークアドレス長によって表現することができる。
【0044】
地理範囲に対するブロードキャストアドレスとして特定する場合、当該メッシュコードの下位の連続するビット列に"1"を埋め込む。
ネットワークアドレスとして特定する場合、当該メッシュコードの下位の連続するビット列に"0"を埋め込む。
ブロードキャストアドレス及びネットワークアドレスの機能は、既存のIPアドレスに
基づくものである。
【0045】
本発明によれば、「メッシュコード」として、階層毎に地理範囲を表す各次のメッシュコードのビット数は、等分を表現可能な最少ビット数と共に、少なくとも、全ビットを"1"とするブロードキャストアドレスと、全ビットを"0"とするネットワークアドレスとを表現可能なビット数を含める。
例えば3次から10次の地理範囲は、階層毎に4等分で表現されるとした場合、最少ビット数2ビット(00,01,10,11)で表現することができる。しかしながら、この2ビットをそのまま、IPアドレスに適用した場合、全ビットを"1"とするブロードキャストアドレスや、全ビットを"0"とするネットワークアドレスと区別できなくなる。
そこで、本発明によれば、階層毎の4等分(例えば3次〜10次の地理範囲)を、3ビット(等分領域2ビット+補足1ビット)で以下のように表す。
000:ネットワークアドレスに対応
001:4等分領域の第1領域
010:4等分領域の第2領域
011:4等分領域の第3領域
100:4等分領域の第4領域
111:ブロードキャストアドレスに対応
【0046】
<ホストMACアドレス>
ホストMACアドレスとして、インタフェース識別フィールドにおける下位所定数のビット列に、当該ホストのMACアドレスの一部、又は、MACアドレスから生成されるホスト識別子を更に含む。
【0047】
図5によれば、MACアドレスの32ビット全部ではなく、下位所定数のビット列として、MACアドレスの下位16ビットを含める。即ち、同じ地理範囲に複数のホストが存在する場合であっても、MACアドレスの少なくとも16ビットによって、そのホストを特定することができる。具体的には、10次の地理範囲となる39m四方の中で、"0000000000000000""1111111111111111"を除く65,534個のユニキャストIPアドレスを決定することできる。
【0048】
図6は、本発明における第2のIPv6アドレスの構成図である。
【0049】
図6によれば、階層毎の4等分(例えば3次〜10次の地理範囲)を、4ビット(等分領域2ビット+補足2ビット)で以下のように表す。
0000:ネットワークアドレスに対応
0001:4等分領域の第1領域
0010:4等分領域の第2領域
0011:4等分領域の第3領域
0100:4等分領域の第4領域
1111:ブロードキャストアドレスに対応
【0050】
また、図6によれば、下位所定数のビット列として、MACアドレスの下位8ビットを含める。又は、MACアドレスから生成される8ビットのホスト識別子を更に含めるものであってもよい。具体的には、32ビットのMACアドレスから、ハッシュ関数を用いて8ビットのホスト識別子を特定するものであってもよい。
8ビットとすることによって、具体的には、10次の地理範囲となる39m四方で、"00000000""11111111"を除く254個のユニキャストIPアドレスを決定することできる。
【0051】
図7は、本発明における第3のIPv6アドレスの構成図である。
【0052】
図7によれば、階層毎の4等分(例えば3次〜10次の地理範囲)を、そのまま2ビットで以下のように表す。
01:4等分領域の第1領域
01:4等分領域の第2領域
01:4等分領域の第3領域
11:4等分領域の第4領域
この場合、「プレフィックス」が位置情報埋込型を表す特定のネットワークアドレスである場合、ブロードキャストアドレス及びネットワークアドレスを使用しないことを前提とする場合にのみ、規定することができる。
【0053】
また、図7によれば、下位所定数のビット列として、MACアドレスの下位24ビットを含める。24ビットとすることによって、ユニキャストアドレスの唯一性を担保することできる。
【0054】
図8は、本発明におけるDHCPサーバの機能構成図である。
図9は、本発明におけるクライアント、DHCPサーバ及びアプリケーションサーバの間のシーケンス図である。
【0055】
DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバとは、インターネットに接続するクライアントに対して、IPアドレスを割り当てるサーバである。クライアントは、DHCPサーバへアクセスすることによって、手動でネットワーク設定をする必要がない。即ち、ゲートウェイサーバ又はDNSサーバのIPアドレス、サブネットマスクなどのネットワーク設定の情報が自動的に設定される。
また、DHCPサーバは、複数のクライアントのネットワーク設定を一元管理することができる。DHCPサーバは、接続していたクライアントが通信を切断することによって、自動的にIPアドレスを回収して、新たに接続してきた他のクライアントへIPアドレスを割り当てることができる。
【0056】
図8によれば、DHCPサーバ1は、前述した位置情報取得部11、メッシュコード生成部12及びIPアドレス決定部13以外に、アドレス割当要求受信部14と、アドレス割当応答部15とを更に有する。
以下では、図9のシーケンスに沿って、図8の機能構成部の処理の流れを説明する。
【0057】
(S10)クライアント2は、DHCPサーバ1を発見するために、Discoverメッセージをブロードキャストする。このとき、クライアント2と同じネットワークに存在するDHCPサーバ1は、そのDiscoverメッセージを受信することができる。DHCPサーバ1のアドレス割当要求受信部14は、通信インタフェースを介してDiscoverメッセージをアドレス割当要求として受信し、アドレスを新規に割り当てるべく位置情報取得部11へ要求する。
【0058】
(S11)DHCPサーバ1は、位置情報取得部11によって位置情報を取得する(前述した位置情報取得部11参照)。このとき、クライアント2へ位置情報を問い合わせて、その位置情報を取得するものであってもよい。
ここで、クライアント2とDHCPサーバ1とが同じネットワークに存在しているとするならば、DHCPサーバ1自体の位置情報をそのまま用いるものであってもよい。一般に、10次の地域範囲でも39m四方であるために、クライアント2とDHCPサーバ1とは同じ地域範囲に存在していると想定できる。
【0059】
(S12)DHCPサーバ1は、メッシュコード生成部12によって、その位置情報から、地理範囲を階層的に表した地理情報のメッシュコードを生成する(前述したメッシュコード生成部12参照)。
【0060】
(S13)DHCPサーバ1は、IPアドレス決定部13によって、そのメッシュコードから、インタフェース識別フィールドに含めたIPアドレスを決定する(前述したIPアドレス決定部13参照)。
【0061】
(S14)DHCPサーバ1は、アドレス割当応答送信部15によって、決定されたIPアドレスを含むOFFERメッセージを、クライアント2へ返信する。
【0062】
(S15)これに対し、クライアント2は、OFFERメッセージに基づくIPアドレスを受け入れるために、REQUESTメッセージをDHCPサーバ1へ送信する。
【0063】
(S16)これに対し、DHCPサーバ1は、そのIPアドレスをクライアント2へ割り当てて、クライアント2へACKメッセージを送信する。DHCPサーバ1は、そのIPアドレス及びリース期間をアドレステーブルに登録して「割当済み」とする。
【0064】
(S20)その後、クライアント2は、サーバ3へ、例えばHTTPのRequestのようなコンテンツ要求を、IPアドレスを含むデータパケットで送信することができる。
(S21)サーバ3は、クライアント2から受信したデータパケットにおける送信元IPアドレスのプレフィックスから、位置情報埋込型のIPアドレスであることを知る。
(S22)サーバ3は、位置情報埋込型のIPアドレスであっても、既存のIPアドレスと同様のユニキャストアドレスとして処理する。サーバ3は、地域毎の情報をメッシュコードに対応付けて管理しているものとし、クライアント2の送信元IPアドレス内のメッシュコード部分をLongest Matchingにより解析することによって、クライアント2へ応答すべきコンテンツを検索する。
(S23)サーバ3は、そのコンテンツを含むデータパケットをクライアント2へ応答する。このデータパケットにおける宛先IPアドレスは、コンテンツ要求を送信した位置情報埋込型の送信元IPアドレスとなる。
【0065】
本発明のプログラム、装置及び方法によれば、既存のインターネット環境で運用可能であって、ホストの位置情報に基づくユニキャストIPアドレスを決定することができる。
【0066】
本発明によれば、クライアントが位置情報をサーバへ送信することなく、クライアントからの送信元IPアドレス自体に、位置情報が埋め込まれている。そのために、ホストに固有のIPアドレスと異なって、位置に固有のIPアドレスを、ユニキャストアドレスとして用いることができる。これによって、サーバは、ユニキャストアドレスを位置に対応付けて管理することができ、位置情報管理サーバのような別途の管理コストも必要としない。
【0067】
また、本発明によって決定されたIPアドレスは、プレフィックスを特定するだけで、既存のIPネットワークでそのまま利用することができる。ブロードキャストアドレス及びネットワークアドレスにも対応し、IPネットワーク内に配置されるルータもそのまま利用することができる。即ち、位置情報埋込型のIPアドレス特有の経路制御を実行する必要もない。
このように、本発明は、物理的に配信可能な全てのノードに対して同報送信するブロードキャストや、予め設定されグループに属するノードに対して同報送信するマルチキャストとは、全く異なる概念のものである。
【0068】
更に、本発明によれば、同じ地理範囲に複数のホストが存在する場合であっても、IPアドレスのインタフェース識別フィールドの末尾に、MACアドレスの一部又はホスト識別子を埋め込むことによって、ユニキャストアドレスの唯一性を担保することができる。
【0069】
更に、DHCPサーバが、クライアントに、位置情報埋込型のIPアドレスを割り当てることができるので、クライアント自体が必ずしも測位する必要がない。また、DHCPサーバの位置情報に基づいて、クライアントにIPアドレスを割り当てることができる。
【0070】
前述した本発明の種々の実施形態について、本発明の技術思想及び見地の範囲の種々の変更、修正及び省略は、当業者によれば容易に行うことができる。前述の説明はあくまで例であって、何ら制約しようとするものではない。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物として限定するものにのみ制約される。
【符号の説明】
【0071】
1 装置、ホスト、DHCPサーバ
11 位置情報取得部
12 メッシュコード生成部
13 IPアドレス決定部
14 アドレス割当要求受信部
15 アドレス割当応答送信部
2 クライアント
3 サーバ
【要約】
【課題】既存のインターネット環境で運用可能であって、ホストの位置情報に基づくユニキャストIPアドレスを決定するプログラム、装置及び方法を提供する。
【解決手段】IPアドレスは、プレフィックス及びインタフェース識別フィールドから構成される。プログラムは、ホストの位置情報を取得する位置情報取得手段と、位置情報から、下位ビットほど狭い地理範囲を階層的に表すメッシュコードを生成するメッシュコード生成手段と、メッシュコードを前記インタフェース識別フィールドに含めたIPアドレスを決定するIPアドレス決定手段としてコンピュータを機能させる。IPアドレスは、IPv6アドレスであり、プレフィックスに、位置情報埋込型を表す特定のネットワークアドレスを含める。また、メッシュコードは、広い地理範囲から狭い地理範囲へ、上位ビットから下位ビットに向かってLongest Matchingを可能とするべく表現される。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9