特許第6074861号(P6074861)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6074861軸方向に嵌合する複数のコンテナで構成されるモジュール式容器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6074861
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】軸方向に嵌合する複数のコンテナで構成されるモジュール式容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 21/032 20060101AFI20170130BHJP
   B29C 49/06 20060101ALI20170130BHJP
   B29C 49/54 20060101ALI20170130BHJP
【FI】
   B65D21/032
   B29C49/06
   B29C49/54
【請求項の数】11
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-550927(P2013-550927)
(86)(22)【出願日】2012年1月27日
(65)【公表番号】特表2014-504995(P2014-504995A)
(43)【公表日】2014年2月27日
(86)【国際出願番号】FR2012000034
(87)【国際公開番号】WO2012104499
(87)【国際公開日】20120809
【審査請求日】2015年1月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】513191583
【氏名又は名称】ビーティーシー コンセプト
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ボウ メズラグ,モハメッド
(72)【発明者】
【氏名】ブラッシング,ヤン‐ロイグ
【審査官】 長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3084603(JP,U)
【文献】 中国特許出願公開第101372273(CN,A)
【文献】 特開2009−234231(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3034490(JP,U)
【文献】 特表2009−537414(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 21/032
B29C 49/06
B29C 49/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに連続的に軸方向に嵌合する口部を有する複数のコンテナ(1)構成され前記複数のコンテナ(1)のうちの一つのコンテナの底部(2)と、前記一つのコンテナに隣接する別のコンテナの末広がりの頸部(4)から延びる前記口部(3)との間が協働するモジュール式容器であって、
前記コンテナ(1)は、隣接するコンテナと軸方向に嵌合する機構(11、12、16、17)を有し、
前記嵌合機構のうちの少なくとも一方は、コンテナ(1)の口部(3)の周囲に設けられたフランジ(11)として構成され、少なくとももう一方は、前記フランジ(11)を受け入れるくり抜き部として構成され、
前記くり抜き部は、前記コンテナ(1)の前記底部(2)に設けられる外側に開口したキャビティ(8)を備え前記キャビティ(8)は隣接するコンテナ(1)の前記口部(3)を受け入れる凹側の管状スペース(9)を有し、前記凹側の管状スペース(9)は、前記口部(3)から続く前記末広がりの頸部(4)を受け入れる末広がりのポケット(10)につながり、
前記くり抜き部は、前記コンテナ(1)の前記底部(2)にアンダーカット状に設けられた前記管状スペース(9)として形成され、
前記管状スペースは、前記フランジ(11)を径方向に自由な状態で、かつ軸方向には肩部(12)に対して一方向に押圧する状態で受け入れるチャンバ(9)を構成し、前記肩部(12)は、凹側の面(15)とは反対側の前記チャンバ(9)の下部に形成されることを特徴とする容器。
【請求項2】
前記フランジ(11)は、平坦であり、前記コンテナの内部容量を規定している前記コンテナ(1)の壁の厚み(e2)を遙かに上回る厚み(e1)であることを特徴とする、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記肩部(12)は、前記コンテナ(1)の壁を連続的に複数屈曲させて形成され、前記屈曲が前記フランジ(11)を支持する土台(13)を形成し、前記土台(13)は、前記土台(13)と前記末広がりのポケット(10)との間、全体的に軸方向に広がる(H)間隔部(14)につながることを特徴とする、請求項1〜のうちいずれか一項に記載の容器。
【請求項4】
前記コンテナ(1)は、組み立てられた2つのコンテナ(1)間を相対的に不動にする手段を組み入れ、前記手段は、前記フランジ(11)が前記肩部(12)に対してかける押圧と前記末広がりの頸部(4)が前記末広がりのポケット(10)に対してかける押圧との間、前記コンテナ(1)の軸方向における互いに逆方向の押圧と、前記末広がりの頸部(4)および前記末広がりのポケット(10)にそれぞれ備わる、軸方向に広がるレリーフ形状の協働部材(16、17)間の径方向の押圧とが合わさったものであることを特徴とする、請求項1〜のうちいずれか一項に記載の容器。
【請求項5】
前記末広がりの頸部(4)および前記末広がりのポケット(10)は、前記チャンバ(9)内部で前記フランジ(11)が径方向に自由に動くのとは逆に、2つの前記コンテナ(1)間の嵌合を径方向に安定させる協働部材(16、17)を構成することを特徴とする、請求項に記載の容器。
【請求項6】
前記末広がりの頸部(4)および前記末広がりのポケット(10)は、前記コンテナ(1)の間を操作して相対的に回転させるの作用を受けて、組み立てられた2つの前記コンテナ(1)間に軸方向のを生成する、横方向の力に対する協働部材(16、17)を有することを特徴とする、請求項に記載の容器。
【請求項7】
前記安定させる協働部材、前記横方向の力に対する協働部材および前記レリーフ形状の協働部材は、同じものであり隣接するコンテナ(1)の前記末広がりのポケット(10)に設けられた窪み(16)と、前記窪み(16)と協働する、前記コンテナ(1)の末広がりの頸部(4)に設けられた少なくとも1つのボス(17)で構成される、ことを特徴とする、請求項に記載の容器。
【請求項8】
前記ボス(17)前記窪み(16)との間の接触面は、横断方向に湾曲し、対抗する横方向の押圧斜面(18)を作り、前記斜面は、軸方向に広がり、前記コンテナ(1)の全体的な延長軸(A1)に対して傾斜していることを特徴とする、請求項に記載の容器。
【請求項9】
前記斜面(18)は、前記コンテナ(1)の全体的な延長軸(A1)に対して30°から75°傾斜していることを特徴とする、請求項に記載の容器。
【請求項10】
前記口部(3)は自由端に、取り外し可能なキャップ(7)で容易に開閉できる接合手段(6)を有することを特徴とする、請求項1〜のうちいずれか一項に記載の容器。
【請求項11】
前記フランジ(11)は、前記キャップ(7)の下部に設けられたリングで形成されることを特徴とする、請求項10に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンダーカットを有する口部付きコンテナを製造するために、プリフォームを利用するブロー成形分野のものである。コンテナは、さらに詳細には、複数のこのようなコンテナで構成される容器のモジュールであり、このコンテナは、1つのコンテナの底部と軸方向に隣接する別のコンテナの口部との間が協働して互いに軸沿いに接合するように構成される。本発明は、コンテナの底部に設けたアンダーカットを有するこのようなコンテナを得るために、プリフォームをブロー成形することによる製造方法、および本方法を実施して製造する複数のコンテナからなる容器を目的とする。
【背景技術】
【0002】
コンテナの中で、ボトル状またはこれと同等の状態に構成され、とりわけ液状製品、飲料を収容するようになっている口部付きコンテナが知られている。このようなコンテナは、その近端に、チューブ形態の口部を有し、この口部は、取り外し可能なキャップでとりわけネジ締めを介して容易に開閉できる接合手段を備えている。口部は、コンテナの遠端に向かって延出し、末広がりの頸部に続き、その先は軸方向に胴部に続き、胴部の下部は、遠端に設けられた底部で閉鎖されている。この底部は、外側に向かって開口したキャビティを有していることが多く、このキャビティは、半径方向の補強用翼部を備えていることが好ましい。底部をこのような構成にすることで、可能な限り壁を薄くすることが望まれるコンテナを剛化して、例えばガス入り飲料のようにとりわけ液体に圧力がかかっている場合に、中に入っている液体によってかかる圧力の作用を受けて変形しないようにすることができる。
【0003】
金型内部に設置したプリフォームを利用するブロー成形でこのようなコンテナを形成することが、よくある方法である。この成形技術は、低コストで高生産性の薄壁を有するコンテナを得るのに有利である。金型は、主に少なくとも2つの側部のシェル金型および底部で構成される。シェル金型は、金型を開閉するために横方向に可動式で、その頂点には、ブロー成形作業中に金型内部にプリフォームを保持するために、プリフォームに備わるフランジの捕捉機構を有する。金型の底部は、コンテナの底部に備わる開口したキャビティを形成するために、軸方向に可動式にすることができる。例えば国際特許第02098631号(GOMEZ CAO JOSE LUIS)を参照することができ、この文献には、このような金型を用いるプリフォームをブロー成形して口部付きコンテナを成形する方法が記載されている。
【0004】
上コンテナの底部と下コンテナの口部との間を協働させて軸方向に組み立てることができる複数の口部付きコンテナで構成される容器が提案されている。上コンテナの底部は、下コンテナの末広がりの頸部から延びる口部を収容するキャビティを有し、このキャビティは、末広がりのポケットに続く前記口部を受け入れる管状スペースを備える。上コンテナと下コンテナとの間の組み立ては、それぞれのコンテナに備わる軸方向に協働する嵌合機構同士を協働させることで得られる。コンテナを組み立てる位置では、下コンテナの嵌合機構が、上コンテナに備わる嵌合機構の内部に合体する形で嵌め込まれる。この嵌め込みは、嵌合機構の一方および/またはもう一方が弾性変形することで得られ、とりわけ容器が上コンテナによって支持されている場合に、下コンテナの重量の作用を受けてコンテナが自然と分離しないようにする。コンテナを組み立てるまたは分離するために、オペレータは、応力をかけて嵌合機構の一方および/またはもう一方を変形させ、嵌合機構を協働させるか、または逆に切り離す。
【0005】
例えば欧州特許第1321370号(PICI A.)、中国特許第2820721号(WEN XIAODONG)、国際特許第2009/024004号(HUANG DEGU;DAI RENDE)および国際特許第2007/135292号(BOU−MEZRAG M.)を参照することができ、これらにはこのような容器が記載されている。
【0006】
コンテナ同士の間で達成される組み立ての質と、オペレータがこの組み立てを達成する、または逆にコンテナを分離するための操作上の簡易性との間の対抗性の問題が提起されている。また、嵌合機構の存在を、各々のコンテナに具備される取り外し可能なキャップの存在と両立させるという問題も提起されている。提供されている対策は、コンテナを低コストかつ高生産性で製造するという枠組みで考えられており、コンテナは、とりわけ1回きりの食品用の使用に消費できるものであり、好ましくは最小量の原料で形成できなければならないものと考えられていることを念頭に置かなければならない。このような製造上の制約は、安価で容易に再利用可能な食品用の熱可塑性材料、とりわけポリエチレンテレフタレート(PET)またはその他の同様の熱可塑性材料からできる、プリフォームのブロー成形技術を実施することで解消される。しかし、このようにして得られたコンテナは壊れやすいため、コンテナ同士を軸方向に組み立ててモジュール式容器を構成するためのコンテナの組織構成および機能が脆くなる。また、プリフォームのブロー成形技術に特有である原料の収縮現象、および壁厚が薄くできるだけ均質なコンテナの形成に関わりのある制約も念頭に置かなければならない。コンテナを仕上げるコストを抑え、コンテナを高い生産性で製造できるようにするためには、任意の構成であるプリフォームであって、ブロー成形分野で広く市販され、有利にはキャップのネジ締めによって捕捉する慣れた方式に適合する標準手段を備えたタイプのプリフォームを基に、1つ1つを1回のみのブロー成形で製造するようにすることも望まれる。コンテナを製造する際に嵌合機構を形成することで、1つまたは複数のアンダーカットができることを念頭に置かなければならない。
【0007】
例えば、欧州特許第1321370号、中国特許第2820721号および国際特許第2009/024004号によれば、コンテナに備わる嵌合機構は、下コンテナに備わる周辺リムを、上コンテナに備わるキャビティに設けられた溝と合わせる。この嵌合は、オペレータが下コンテナから上コンテナに向かってかける軸方向の圧力で、リムを溝内部に嵌め込むことで実現される。この軸方向の圧力によって、リムが変形し、溝の遠方縁がリムを通り越し、溝の近方縁に当接して溝内部に挟まれるまで動く。コンテナの分離は、軸方向に引っ張ることで溝の遠方縁が変形してリムが引き抜かれることによって達成される。明らかにされている製造上の制約の枠組み内では、このようなコンテナを仕上げるのは困難であり、軸方向に組み立てるのは信頼性がない。中国特許第2820721号および国際特許第2009/024004号には、ネジ締めなど、軸方向に嵌合するロック手段を作製することによって、リムの溝内部への嵌め込みを完全なものにする方法が提供されているが、これによってコンテナの成形方式は複雑になり、かつ/またはPET製プリフォームのブロー成形によって得られる薄壁の形成が不可能になっている。また例を挙げると、国際特許第2007/135292号によれば、コンテナに備わる嵌合機構は、軸方向の押力によって協働し行程終点でストッパを有する斜面で形成される。オペレータがコンテナを組み立てるまたは逆に分離するために行うコンテナの操作は、快適であり、得られる嵌合は十分なものであるが、明らかにされている製造上の制約の枠組み内でPET製プリフォームのブロー成形によってコンテナを仕上げることは、困難であり、不可能でさえある。
【0008】
コンテナの構造、特にコンテナの元となる原料、コンテナの壁の薄さ、およびコンテナを別の同様のコンテナと軸方向に嵌合させるようにした方式は、プリフォームを利用する有利なブロー成形技術に基づく成形による製造と両立させて、明らかにされている制約の枠組み内で、アンダーカットを有する対象物を製造できるものでなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際特許第02098631号
【特許文献2】欧州特許第1321370号
【特許文献3】中国特許第2820721号
【特許文献4】国際特許第2009/024004号
【特許文献5】国際特許第2007/135292号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、底部と口部とを協働させることで互いに軸方向に嵌合する方式を備える口部付きコンテナであって、確実で使用が快適であるコンテナで構成されるモジュール式容器を目的とする。コンテナ同士のこの軸方向の嵌合は、低コストかつ高生産性の有利な製造であっても、原料を節約してできる限り薄いことが望まれる通りに壁が薄くても、コンテナに備わる嵌合機構の形成に有用なアンダーカットがあっても、PETとすることができる熱可塑性材料製のプリフォームをブロー成形することによって達成されることが望まれる。
【0011】
本発明は、プリフォームのブロー成形によってアンダーカットを有するコンテナを成形して製造する方法であって、この方法の実施が、モジュール式容器を構成するために同様のコンテナと軸方向に確実かつ快適に嵌合できるように組織される薄壁のコンテナを得ることと両立できる方法も目的とする。このようなコンテナは、安価で容易に再利用可能な食品用の熱可塑性材料、とりわけポリエチレンテレフタレート(PET)またはその他の同様の熱可塑性材料で、壁をできる限り薄く形成できることが望まれる。
【0012】
本発明は、コンテナの構造的な組織構成と、これらのコンテナを低コストかつ高生産性で得るために実施する製造方式との両立を考慮した上で、このようなコンテナおよび方法を、明らかにされている制約の枠組み内で提供することを狙いとする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、全体的に、モジュール式容器を構成するコンテナの構造的構成を簡易化することからなり、とりわけ軸方向に互いに嵌合するように実施される方式の点で簡易化し、この構成を単純化して、軸沿い単一方向に押圧してこれらのコンテナそれぞれに備わる協働型の嵌合機構同士の間を径方向に自由にする。この軸沿い単一方向の押圧には、嵌合機構間の径方向の捕捉は含まれず、嵌合機構はそれぞれ、コンテナ口部の周囲に設けられたフランジに単純化され、フランジは、軸沿い単一方向に押圧され径方向に自由になることによって、コンテナ底部に設けられたキャビティにアンダーカット状に備わる凹側の管状チャンバの下部に設けられた肩部と協働する。
【0014】
プリフォームのブロー成形技術からコンテナを成形することによる製造は、低コストかつ高生産性で実施される。収縮現象、金型構造に望まれる簡易性および嵌合機構を形成する上での個々の作業など、ブロー成形技術に係る製造上の制約は、コンテナ壁の形成、アンダーカット状キャビティの形成およびフランジの形成とは無関係である。
【0015】
チャンバは、金型を介して得られ、この金型の構造によって、金型に取り付けられた機構同士の軸方向の相対的な移動に基づいて、生産性の高い使用が可能になる。キャビティは、金型のベースに備わる空洞部で形成され、ベースは、末広がりのポケットに続く管状チャンバを形成するように軸方向に可動式に取り付けられる。チャンバは、ピストンと収縮機構との間の軸方向の相対的な動きを基に、アンダーカット状に成形され、収縮機構は、ベースと共に可動式に、ピストンが行き来する内部に取り付けられる。この収縮機構には、径方向に膨張する頭部が備わり、この頭部は、ピストンで操作することができ、末広がりのポケットを形成する空洞部の壁の軸方向の延長部分に突出する。ピストンと収縮機構との間の相対的な動きは、ベース、収縮機構およびピストンで構成されるアセンブリの金型に対する可動性、ならびに弾性戻り手段によって実施され、弾性戻り手段は、ピストンと組み立てられたベースおよび収縮機構を担持するフレームとの間に介在する。連続的に実施される成形作業数は減少し、移動する可動機構の運動性は単純である。
【0016】
フランジの径方向の寸法はどのような寸法であってもよいが、その厚みだけは、軸方向に互いに組み立てられた2つのコンテナ間で得られた嵌合を確実にするのに有益な厚みとする。プリフォームを金型内部に保持するために通常プリフォームに備わっている標準のグリップリングを利用して、フランジを形成することが有利である。このフランジを口部周囲に形成する特殊な作業の実施は回避される。フランジは、厚みがコンテナの壁厚よりも遙かに大きいために頑丈であり、安価で容易に再利用可能な、少量で使用されるPETまたはその他の同様の熱可塑性材料などの食品用の熱可塑性材料から薄く仕上げることができる。
【0017】
末広がりのポケットを作る空洞部の面は、別のコンテナの末広がりの頸部に備わるボスを受け入れる窪みを成形するレリーフを有することができる。協働するこのような窪みおよびボスは、2つのコンテナ間の軸方向および径方向の嵌合の安定性を強固にし、ユーザが容易に操作するこれらのコンテナ間の相対的な回転運動を基に、組み立てられたコンテナを分離する軸方向の応力を引き起こす斜面を形成するために利用される。これらのレリーフに特有の組織構成および成形は、口部およびコンテナのキャビティ内にそれぞれ設けられる嵌合機構の組織構成および成形とは無関係である。
【0018】
肩部は、径方向および軸方向に広がる機構となり、この機構は、凹側の面とは反対側のチャンバの下部に設けられ、隣接するコンテナの口部に設けられたフランジが自然と下がることで頑丈な障害物を得ることができ、これには、PETまたはその他の同様の材料など、容易に再利用可能な食品用の可塑性材料から形成される薄壁を有するコンテナの場合も当てはまる。肩部の頑丈さは、軸方向の広がりによって決まり、フランジに与えられた厚みとは関係なく、必要に応じて容易に適応させることができる。
【0019】
一実施形態によれば、肩部の径方向の広がりは、一定であることが好ましく、肩部の自由片は、幾何学的には周に沿って続いている。一変形例によれば、肩部の径方向の広がりは、可変的であり、肩部の自由片は、鋸歯状の形態であり、チャンバをアンダーカット状に成形して形成される径方向に膨張する頭部を構成するのを容易にするとともに、必要に応じて、肩部の局所的な変形に適応させて2つのコンテナ間の嵌合および分離を達成するようになっている。
【0020】
2つのコンテナ間の嵌合は、ユーザが軸方向に押して肩部の弾性変形を起こすとによって容易に実現され、コンテナ間を分離する逆の作業は、協働するボスおよび窪みで補助される。肩部およびフランジの径方向の寸法は、環状チャンバの径方向の寸法がフランジの寸法を上回って、チャンバがフランジを径方向に自由な状態で受け入れる限り、互いに異なっていてよい。チャンバの径方向の広がりは、組み立てる2つのコンテナ間で達成すべき確実性および軸方向の嵌合の頑丈さの制約とは無関係である。チャンバの径方向の広がりは、別のコンテナの標準キャップを備えた口部を受け入れるのに必要となる通路に応じて、自由に適応させることができる。
【0021】
特に本発明の第1の態様によれば、本発明は、互いに連続的に軸方向に嵌合する口部を有する複数のコンテナであって、コンテナの底部と末広がりの頸部から延びる口部との間が協働するコンテナで構成されるモジュール式容器を目的とする。コンテナは、隣接するコンテナと軸方向に嵌合する機構を有する。嵌合機構のうちの少なくとも一方は、コンテナの口部の周囲に設けられたフランジ状に構成され、少なくとももう一方は、フランジを受け入れるくり抜き状に構成され、このくり抜き部は、隣接するコンテナの底部に設けられる外側に開口したキャビティに備わる。このキャビティは、口部を受け入れる凹側の管状スペースを有し、口部から続く末広がりの頸部を受け入れる末広がりのポケットに続く。
【0022】
本発明によれば、このようなコンテナは、フランジを受け入れるくり抜き部が、口部を受け入れる管状スペースで形成され、コンテナの底部にアンダーカット状に設けられるという点で、原則的に識別可能なものである。この管状スペースは、フランジを径方向に自由な状態で受け入れるチャンバを作り、凹側の面とは反対側のチャンバの下部に形成される肩部に対して軸沿い単一方向に捕捉する。
【0023】
容器のコンテナ同士の組み立て方式は、構造的に単純であり、フランジを受け入れるくり抜き部でフランジを締め付けて捕捉するのではない。プリフォームのブロー成形によってコンテナを成形する方式は、嵌合機構の形成に特有の複雑な操作を実施することに影響を受けるものではなく、フランジを受け入れるくり抜き部は、チャンバをアンダーカット状に形成することに基づいて設けられる。フランジと協働する嵌合機構は、肩部で形成され、この肩部は、空洞部の周囲、および特に径方向に膨張する頭部の周囲で、コンテナの壁を折り曲げる成形によって得られ、頭部は、アンダーカットを成形する収縮機構に備わる。フランジとチャンバとの間の径方向および軸方向の動きが自由であるにもかかわらず、フランジが肩部に対してかける軸方向の押圧で、コンテナ間で確実かつ頑丈な嵌合が達成される。コンテナの壁を折り曲げて肩部を構成することで、肩部に軸方向の広がりを与えることができ、コンテナの壁厚を増大させることなく肩部に頑丈さを与えて、厚みを薄くできる。肩部をこのように構成することで、オペレータがコンテナに対して操作した軸方向の押力の作用を受けて、肩部を変形させることができる。肩部に望まれる頑丈さは、肩部の軸方向の広がりが様々であってよいことから、どのようなコンテナにも容易に適応させることができ、このような様々な広がりは、径方向に膨張する頭部が、末広がりのポケットを作る空洞部の外側に突出する形を変更することで、容易に達成される。フランジの厚みは、肩部の軸方向の広がりとは関係なく、得られたコンテナの壁厚よりも大きくてよい。フランジは、ブロー成形で形成される際に、コンテナの口部の周囲の複製型を取ることによって設けられることができるか、あるいは、好ましくは、ブロー成形によってコンテナが形成される元となるプリフォームの金型によるグリップリングで構成されることができるか、あるいは、コンテナを具備する取り外し可能なキャップの下部に設けられるリングで構成されることができる。キャップを備えた口部がチャンバの方へ入れる限り、フランジおよび肩部の径方向の広がりは無関係であり、口部のフランジは任意のキャップを備える。
【0024】
コンテナは、プリフォームのブロー成形によって成形され、厚みが一定の薄壁を有することができ、安価で容易に再利用可能な食品用の熱可塑性材料、とりわけポリエチレンテレフタレート(PET)またはその他の同様の熱可塑性材料由来のものとすることができ、容器を構成するための2つのコンテナ間で達成される軸方向の嵌合の質に影響を与えることはない。
【0025】
好適な一実施形態によれば、フランジは、平坦であり、コンテナの内部容量を規定しているコンテナの壁の厚みを遙かに上回る厚みであり、例えば有利には、熱可塑性材料のブロー成形によりコンテナの壁を成形する元となるプリフォームのグリップリングで形成される。
【0026】
肩部は、とりわけコンテナの壁で形成され、この壁を連続的に複数屈曲させて壁を折り曲げて形成され、この屈曲がフランジを支持する土台を作り、フランジは、土台と末広がりのポケットとの間を分離する、全体的に軸方向に広がる間隔部に続く。
【0027】
コンテナは、とりわけ組み立てられた2つのコンテナ間を相対的に不動にする手段を組み入れ、この手段は、フランジが肩部に対してかける押圧と末広がりの頸部が末広がりのポケットに対してかける押圧との間で起こる、コンテナの軸方向で対抗する押圧と、末広がりの頸部および末広がりのポケットにそれぞれ備わる、軸方向に広がって協働するレリーフ間の径方向の押圧とが合わさったものである。
【0028】
特に、末広がりの頸部および末広がりのポケットは、チャンバ内部でフランジが径方向に自由に動くのとは逆に、組み立てられた2つのコンテナ間の嵌合を径方向に安定性させる協働機関を有することが好ましい。
【0029】
また特に、末広がりの頸部および末広がりのポケットは、オペレータがこれらのコンテナの間を操作して相対的に回転させる応力の作用を受けて、組み立てられた2つのコンテナ間に軸方向の応力を生成する、横方向の応力の協働機関を有することが好ましい。フランジが肩部に対してかける押圧は強いにも関わらず、組み立てられたコンテナを分離する操作は、ユーザがコンテナ間を相対的に回転させる動きによって快適に行われる。
【0030】
有利な一実施形態によれば、安定化機構、横方向押圧機構および協働するレリーフは、同じものであり、それぞれが、コンテナの末広がりの頸部に設けられた少なくとも1つのボスで形成され、このボスは、隣接するコンテナの末広がりのポケットに設けられた窪みと協働する。ボスと窪みとの間を協働させることで、径方向に安定させ、組み立てられた2つのコンテナ間の嵌合を軸方向にブロックし、オペレータが組み立てられたコンテナを快適に操作して分離することができる。協働するボスおよび窪みは、複数あって径方向に分散されていることが好ましい。
【0031】
ボスおよび窪みとの間の接触面の好適な形態によれば、ボスと窪みは、横断方向に湾曲し、対抗する横方向の押圧斜面を作り、この斜面は、軸方向に広がり、コンテナの全体的な延長軸に対して傾斜している。例を挙げると、斜面は、コンテナの全体的な延長軸に対して30°から75°傾斜し、さらに詳細には、頸部およびポケットの末広がりの傾きに応じて45°から60°傾斜する。
【0032】
好ましくは、口部は、その自由端に、取り外し可能なキャップで容易に開閉できる接合手段を有し、例えば、とりわけネジ締めあるいはクリッピングなどによる手段である。このようなキャップおよび接合手段は、口部付きコンテナの分野でとりわけ広く利用されている手段であり、特に、プリフォームを利用するブロー成形によって口部付きコンテナを成形する枠組みで、広く使用される手段である。
【0033】
特定の一実施形態によれば、フランジは、キャップの下部に設けられたリングで形成され、このリングは、コンテナの口部に接合される。
【0034】
本発明の第2の態様によれば、本発明は、ブロー成形によって口部付きコンテナを成形する方法であって、熱可塑性材料製のプリフォームを利用し、全体的に軸方向の向きを決定する金型を使用する方法を目的とする。金型は、
*)シェル金型であって、金型の全体的な向きを決定する軸回りに横方向に可動式に取り付けられ、シェル金型に備わるリングを介してプリフォームを捕捉する機構を備える、シェル金型、
*)ベースであって、金型の全体的な向きを決定する軸に沿って軸方向に可動式に取り付けられ、仕上げるコンテナの底部に、外部に向かって開口するアンダーカットを有するキャビティを形成する手段を具備している、ベース
を有する。キャビティ形成手段は、キャビティを作る空洞部とアンダーカットを形成する収縮機構とが合わさったものであり、アンダーカットを成形する展開位置と、仕上がった口部付きコンテナを離型する引っ込み位置との間を操作可能にするものである。
【0035】
本方法は、口部付きコンテナの成形サイクルを実施するものであり、少なくとも以下の作業が含まれる:
*)プリフォームを金型内部に設置し、シェル金型とベースとを互いに接近させて金型を閉鎖する作業、
*)プリフォームをブロー成形して、仕上げる口部付きコンテナの壁を形成する作業、
*)金型を開け、シェル金型とベースを互いに引き離して、仕上がった口部付きコンテナを離型する作業、および
*)ブロー成形作業の前後それぞれで実施される、展開位置と引っ込み位置との間で収縮機構を操作する作業。
【0036】
本発明によれば、このような成形方法は、ベースと収縮機構の内部を行き来するピストンとの間を、金型の全体的な向きを決定する軸に沿って相対的に移動させて、ピストンが展開位置と引っ込み位置との間を通過するようにする特定の作業を含む。特に、収縮機構を展開位置と引っ込み位置との間で操作する作業は、ベースと収縮機構の内部を行き来するピストンとの間を、金型の全体的な向きを決定する軸に沿って相対的に移動させるそれぞれの操作によって引き起こされる。ピストンとベースとの間を相対的に移動させるこれらの操作によって、収縮機構に備わる全体的に筒状形態の頭部の径方向への膨張と逆の収縮が交互に起こる。この頭部は、成形によって、仕上がるコンテナの底部に、キャビティに備わるアンダーカット状の凹側の管状チャンバを作る。
【0037】
ベースとピストンとの間の相対的な軸方向の移動を基に、収縮機構の頭部は、チャンバと嵌合機構とを一緒に成形する機構を形成し、この嵌合機構は、同様のコンテナの口部に備わる補完嵌合機構と協働することができる。ピストンを軸方向に可動式にすることで、ピストンとベースとの間を相対的に移動させる作業、および、アンダーカット状のチャンバが凹側の面とは反対側の下部に備える肩部で構成される嵌合機構とチャンバとを一緒に形成する作業を、コンテナ成形サイクルに容易に組み入れることができる。この嵌合機構の形成に関わっているチャンバの形成作業は、末広がりのポケットの形成作業とは無関係であり、末広がりのポケットは、仕上がったコンテナの底部に設けられたキャビティに備わるものであり、このために確保された空洞部の面で成形される。コンテナ成形サイクルの過程にある、末広がりのポケットの形成手段とアンダーカット状のチャンバの形成手段との間の様々な操作によって、成形サイクルを簡易にするとともに、末広がりのポケットおよびチャンバに特有の製造耐性ならびに寸法を満たすための実施方式を簡易にすることができる。ピストン、収縮機構およびベースは、軸方向に可動式の同じアセンブリに取り付けられることができ、金型を開ける作業および/または閉鎖する作業の際に操作可能であり、収縮機構に組み立てられたベースとこの収縮機構を操作するピストンとの間で、展開位置と引っ込み位置との間を軸方向に相対的に動かすことを、生産性の高い成形サイクルで容易かつ簡単に実施することができる。コンテナのキャビティに備わる嵌合機構を形成するための成形装置に備わる手段は、構造的に使用が単純であり、メンテナンス作業および故障リスクを抑えた状態で、一貫した生産性に耐え得るものである。
【0038】
成形サイクルは、とりわけ以下の作業を含む:
*)金型を閉鎖する作業の前に、ピストンと成形位置で収縮機構に組み立てられたベースとの間を相対的に移動させて頭部を径方向に膨張させる、初期工程、
*)ブロー成形作業の後で、金型を開ける作業の前に、ピストンと離型位置で収縮機構に組み立てられたベースとの間を相対的に移動させて頭部を径方向に収縮させる、中間工程。
【0039】
特に、
*)中間工程は、ピストンを金型の外に取り除く操作をする作業であり、収縮機構に組み立てられたベースは、金型の閉鎖位置に保持される。取り除いた状態では、ピストンは、シェル金型同士の間に規定されたスペースから引き抜かれている。
*)初期工程は、金型を開ける作業に伴ってベースと収縮機構を操作する作業である。
【0040】
有利な一実施形態によれば、金型を閉鎖する作業は、両方のシェル金型に向かって、かつ金型の全体的な向きを決定する軸に沿って、ベース、収縮機構および頭部が膨張する成形位置にあるピストンで構成される可動式のアセンブリと共に引き寄せることを含む。中間工程は、ピストンを取り除いた状態に操作する作業と、シェル金型に挟まれたベースおよび収縮機構を、頭部が収縮する離型位置に保持する作業とが合わさったものである。金型を開ける作業によって、ベースおよび収縮機構が共にシェル金型の外側へ自然と解放され、ベースおよび収縮機構は、頭部が膨張する成形位置に共に移動する。
【0041】
本方法は、さらに、仕上げるコンテナの口部の周囲にフランジを形成する作業を含む。このフランジは、別の同様のコンテナに備わる凹側の面とは反対側のチャンバ下部に設けられた肩部と協働する嵌合機構である。フランジ形成作業は、有利には、プリフォームを金型内部に設置した後で、コンテナの壁を形成するブロー成形作業の後に成形することで実現される。特に、このフランジ形成作業は、プリフォームにリングを形成する作業に相当し、フランジは、このフランジを金型内部に保持するためにシェル金型に備わる捕捉機構と協働するように具備される。
【0042】
本発明は、熱可塑性材料製プリフォームからブロー成形によって口部付きコンテナを製造するための装置も目的とする。この装置は、これまでに記載したような方法を実施するように組織され、構造的に簡易で、信頼性があり、持続性があり、一貫した生産性で使用しやすいものである。
【0043】
この装置は、金型の設置枠を備え、この枠には、ベースを担持する可動式アセンブリが、動力式操作手段によって金型の全体的な向きを決定する軸に沿って並進移動するように可動式に取り付けられる。この装置の有利な構成によれば、可動式アセンブリは、
*)ピストンを担持する台座、
*)ベースおよび収縮機構を共に担持するフレームであって、このフレームに、ベースおよび収縮機構が組み立てられ、ベースには収縮機構が軸方向に貫通する、フレーム
*)台座とフレームとの間を、金型の全体的な向きを決定する軸に沿って相対的に可動式にする手段
を有する。これらの可動式手段は、とりわけ金型の全体的な向きを決定する軸に沿って並進移動させる誘導手段を備え、これらの誘導手段は、台座とフレームとの間に介在する。この移動手段は、さらに、フレームと台座との間で、前記成形位置と離型位置との間を相対的に移動させる手段も備える。
【0044】
誘導手段の有利な一実施形態によれば、この誘導手段は、少なくとも1つの支柱を備え、この支柱は、フレームに組み入れられる受け口と協働する台座に担持される。好ましくは、この支柱は、少なくとも2本あり、台座上に径方向に分散し、ピストンに平行に広がる。
【0045】
フレームと台座との間の移動手段は、有利には、
*)金型の閉鎖に利用される可動式アセンブリの前記動力式操作手段であって、フレームを担持する台座に取り付けられ、台座およびフレームを共に金型の閉位置に移動させ、ピストンによって収縮機構を、頭部が膨張する成形位置に相当する展開位置に置くか、台座をピストンが取り除かれた状態の離型位置に移動させるとともに、フレームをシェル金型に挟んで、金型の閉鎖位置で保持するかを、交互に行うことができる、動力式操作手段、
*)フレームおよび台座で対抗するように捕捉される戻し手段であって、シェル金型を金型の開位置に操作することによってフレームが解放される結果、フレームを成形位置に移動させることができる、戻し手段
を備える。
【0046】
有利な一実施形態によれば、金型のベースは、
*)外部に向かって開口した末広がりのポケットの成形壁であって、仕上げるコンテナの底部に成形するキャビティに備わる成形壁、
*)収縮機構の径方向に膨張する頭部であって、成形壁の外側に軸方向に突出し、仕上げるコンテナの底部に成形機構を構成し、アンダーカット状で末広がりのポケットに続く凹側のチャンバの頭部
が合わさったものである。収縮機構および/またはこの収縮機構に備わる膨張性頭部は、肩部の軸方向の広がりを適応するために、頭部が成形壁の外側に突出する位置を調節する手段を具備することができる。
【0047】
本発明は、別の同様の口部付きコンテナと軸方向に嵌合可能な口部付きコンテナも目的とする。この口部付きコンテナは、これまでに記載したような方法および装置の手段を使用することによって製造される。コンテナは、その底部に、外部に開口して末広がりのポケットにつながるキャビティを有し、末広がりのポケットは、凹側の管状スペースに続き、管状スペースは、隣接する同様のコンテナに備わる末広がりの頸部から延びる口部を軸方向に収容できる。コンテナには、さらに、少なくとも1つの同様のコンテナと軸方向に組み立てるための嵌合機構が備わり、この嵌合機構は、少なくとも一方が、コンテナの口部の周囲に設けられるフランジになり、少なくとももう一方が、キャビティに設けられたこのフランジを受け入れるくり抜き部になるように、それぞれ構成される。
【0048】
管状スペースはアンダーカット状のチャンバに構成され、このチャンバは、凹側の面とは反対側の下部に肩部を形成し、肩部は、軸沿い単一方向に押圧して同様のコンテナの口部の周囲に設けられたフランジを径方向に解放するという点で、この容器は原則的に識別可能なものである。
【0049】
フランジは、有利には、口部に備わる周囲リングで形成される。それぞれの実施変形例によれば、このリングは、有利には、プリフォームを捕捉するリングで構成され、このプリフォームをブローイングして成形するコンテナがこのプリフォームからできるか、あるいは、有利には、取り外し可能なキャップの底部に設けられるリングで構成され、キャップは、とりわけネジ締めおよび/またはクリッピングによる容易に開閉できる接合手段を介して、コンテナの口部に取り付けられる。
【0050】
本発明の性質は、安価で容易に再利用可能なPETなどの食品用熱可塑性材料でできた薄壁の口部付きコンテナの形成に特に適応されるものだが、本発明は、コンテナ内部に入れられる予定の中身が何であろうと、また、コンテナの元となる原料が何であろうと、あらゆる口部付きコンテナおよびこのような口部付きコンテナを得るあらゆる方法に適用可能なものであることがわかるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0051】
本発明の実施例を添付の図版と関連付けて説明していく。
【0052】
図1】軸方向に嵌合させて組み立てた複数のコンテナからなるモジュール式容器の軸方向断面図である。
図2図1に示した容器の詳細図であり、コンテナの底部と隣接するコンテナの口部との間を協働させた様子を示す図である。
図3図1に示したモジュール式容器が備えるコンテナの側面図である。
図4図1に示したモジュール式容器が備えるコンテナの軸方向断面図である。
図5図3および図4に示したコンテナの先端部を口部から見た図である。
図6図3および図4に示したコンテナの先端部を底部から見た図である。
図7】、プリフォームをブロー成形して図3から図6に示したコンテナを形成するために利用する金型の斜視図である。
図8図3から図6に示したコンテナを成形するために利用した装置が備える可能式アセンブリの斜視図である。
図9図3から図6に示したコンテナを成形するために利用した装置が備える可能式アセンブリの側面図である。
図10図3から図6に示したコンテナを成形するために利用した装置が備える可能式アセンブリの側面図である。
図11図3から図6に示したコンテナのプリフォームをブロー成形する方法を連続的に示す図の1つである。
図12図3から図6に示したコンテナのプリフォームをブロー成形する方法を連続的に示す図の1つである。
図13図3から図6に示したコンテナのプリフォームをブロー成形する方法を連続的に示す図の1つである。
図14図3から図6に示したコンテナのプリフォームをブロー成形する方法を連続的に示す図の1つである。
図15図3から図6に示したコンテナのプリフォームをブロー成形する方法を連続的に示す図の1つである。
図16図3から図6に示したコンテナのプリフォームをブロー成形する方法を連続的に示す図の1つである。
図17図3から図6に示したコンテナが有するアンダーカット状の環状チャンバを形成するための、収縮位置での成形の膨張性頭部の横断面図である。
図18図3から図6に示したコンテナが有するアンダーカット状の環状チャンバを形成するための、膨張位置での成形の膨張性頭部の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
図1には、モジュール式容器が、コンテナ1の底部2と隣接するコンテナ1の口部3との間を協働させて互いに軸方向に連続的に組み立てた複数の同様のコンテナ1で構成されている。全体的な延長軸A1に沿って、各々のコンテナ1は、近端から遠端に向かって、口部3、その先に続く末広がりの頸部4、そして軸方向の延長部5を有し、この延長部の遠端は、底部2で閉鎖される。口部3には、取り外し可能なキャップ7で容易に開閉できる接合手段6が備わり、底部2はそれぞれ、隣接するコンテナ1の末広がりの頸部4に続く口部3を受け入れるキャビティ8を有する。キャビティ8は、口部3を受け入れる凹側である管状チャンバ9で構成され、このチャンバは、口部3から続く末広がりの頸部4を受け入れる末広がりのポケット10に続く。
【0054】
図2から図4では、2つの隣接するコンテナ1同士の組み立ては、コンテナ1の口部3の周囲に設けられたフランジ11を介して、嵌合によって実現され、フランジは、チャンバの凹側の面15とは反対側のチャンバ9の下部に設けられた肩部12と協働する。2つのコンテナ1は、オペレータがコンテナ1の双方に向かってかける軸方向の圧力を基に、力を入れて肩部12がフランジ11を通り越すことによって軸方向に組み立てられる。肩部12は、コンテナ1の壁の連続的な折り目13、14で形成され、この折り目は、フランジ11を軸沿いの単一方向に支持する土台13を作る。この土台13は、肩部12の軸方向延長部Hに続き、この延長部は、土台13とチャンバ9の延長上に設けられた末広がりのポケット10との間に間隔部14を形成する。オペレータが軸方向にかける圧力によって、これに対応するコンテナ1の壁の屈曲領域で肩部12の変形が生じ、この変形によってフランジ11は、チャンバ9の内部に受け入れられるまで移動することができる。フランジ11は、径方向に自由であるとともに、フランジが重力によって自然と肩部12に対して押圧する方向とは逆方向に沿った軸方向に自由な状態で、チャンバ9内に収容される。図示した実施例では、フランジ11は、口部3の周囲に成形によって形成され、有利には、ブロー成形によってコンテナ1を形成する金型に把持されるグリップリングからなり、このグリップリングは、コンテナ1ができる元となるプリフォームに備わっている。フランジ11となるように有効利用されるこのようなリングの厚みe1は、このプリフォームから得られたコンテナ1の壁の厚みe2よりを遙かに上回る。例を挙げると、コンテナ1の壁の厚みe2とフランジ11の厚みe1との厚み差の比率は、約5から10の間である。
【0055】
口部3の周囲のフランジ11の形成方式を簡易化することも狙いとする、フランジ11のもう1つの実施変形例によれば、口部は、キャップ7の下部に設けられたリングで形成されることができる。
【0056】
図3から図6では、フランジ11と肩部12との間を協働させて得られる軸方向の嵌合は、組み立てた2つのコンテナ1が互いに起こす軸方向に対抗する押圧および半径方向の押圧によってロックされる。コンテナのキャビティ8に備わる末広がりのポケット10は、コンテナ1の末広がりの頸部4に備わるボス17を受け入れる窪み16を有する。2つのコンテナ1が組み立てられると、フランジ11が肩部12に対してかける軸沿い単一方向の押力は、末広がりの頸部が末広がりのポケットに対してかける軸沿い単一方向の押力、特にボス17がそれぞれの窪み16に対してかける押力と対抗する。窪み16の内部へボス17を協働させることで、2つのコンテナ1が互いに自然と回転できなくなり、チャンバ9の内部に収容されたフランジ11が軸方向に動く自由が生じる。ボス17と窪み16との間の接触面は、図示した例の半月形のように横断方向に湾曲した形態であり、コンテナ1の全体的な延長軸A1に対して軸方向に傾斜した斜面18に構成され、この斜面は、約45°から60°の角度Bなどである。フランジ11が肩部12にかける軸方向の押力は、できる限り強固で、少なくとも組み立てた2つのコンテナ1が容器の下コンテナ1の重量の作用を受けて自然と分離することのないような十分な押力であることが望まれる。肩部12がフランジ11を通り越すようにするために、オペレータは、組み立てるコンテナ1同士を相対的に押すことによって軸方向の応力を容易にかけることができる。コンテナ1を分離するために付与する逆の軸方向の応力をかける方が、オペレータには困難である。ボス17と窪み16との間の接触面が湾曲形態であり傾斜していることで、コンテナ1同士を相対的に回す動きからこのような逆の軸方向の応力を発生させることができ、これは、オペレータが快適に実行できることである。
【0057】
図7から図16では、図3および図4に示したコンテナを成形するための装置が構成され、特に図7に示した金型101の内部に設置されたプリフォームをブロー成形することで成形される。この金型101は、シェル金型であって、金型101の全体の向きを決定する軸A2が、仕上げるコンテナ1の全体的な延長軸(A1)と一致した状態で、軸A2回りに横方向に可動式に取り付けられるシェル金型102、および金型101の全体の向きを決定するこの軸A2に沿って軸方向に可動式に取り付けられるベース103を有する。シェル金型102はそれぞれ、仕上げるコンテナ1の壁を半分に分ける凹状空洞部104を有する。仕上げるコンテナ1の末広がりの頸部4の上にボス17を成形するための窪み105は、これらの凹状空洞部104の頂点の該当箇所に設けられる。シェル金型102は、その頂点に、金型101内にプリフォーム107を捕捉して保持する溝106または同類の機構を有し、これは、この捕捉・保持のためにプリフォーム107に備わっているリング108を介して行われる。ベース103には、仕上げるコンテナ1の底部2にキャビティ8を形成する手段が備わり、この手段は、末広がりのポケット10およびボス17を受け入れる窪み16の成形壁109を形成するレリーフ状の空洞部を、アンダーカット状のチャンバ9を成形する径方向に膨張性の頭部110とつなげる。径方向に膨張性の頭部110は、成形壁109の外側に軸方向に突出し、収縮機構111の構成要素であり、この収縮機構は、ベース103と共に共通のフレーム112に取り付けられる。
【0058】
収縮機構111、特にこの収縮機構に備わる頭部110は、ピストン113を用いて収縮機構111とピストン113との間を相対的に移動させることによって、手動操作可能なものである。収縮機構111は、管状に構成され、フレーム112に取り付けられ、金型101の全体的な向きを決定する軸A2に沿って向きを決定され、ベース103を軸方向に貫通している。収縮機構111を管状に構成することで、ピストン113が行き来する軸方向の管路114が設けられ、ピストンが引っ込み位置と展開位置との間を移動するようになる。収縮機構111が引っ込み位置にある状態では、膨張性頭部110は、図17に示すように、離型位置に収縮し、収縮機構111が展開位置にある状態では、頭部110は、図18に示すように、ピストン113が軸方向に貫通して成形位置で膨張する。ピストン113は、電動ジャッキまたは同類のモータ機構などの動力式操作手段116によって移動できる台座115で担持される。これらの動力式操作手段116は、金型101の開位置と閉位置との間でベース103を動かすために利用され、特に、フレーム112を担持する台座115で構成される可動式アセンブリであって、フレーム自体がベース103およびフレームを軸方向に貫通する収縮機構111を担持する可動式アセンブリ120を動かすために利用される。台座115には、ベース103および収縮機構111を担持するフレーム112を軸方向に誘導する支柱117が備わり、この支柱は、フレーム112内に設けられた受け口118と協働する。フレーム112と台座115との間には、変形可能な戻し手段119が介在し、この戻し手段の上にフレームと台座が対抗する状態で設置される。このような戻し手段119は、バネ、空圧ジャッキ、または所定の外力の閾値を上回るフレーム112と台座115との間の相対的な移動に耐えるその他のあらゆる保持機構からなるものとすることができる。
【0059】
図11から図16では、図8から図10に示した装置をある方法で実装して、図3および図4に示したコンテナ1を、金型101の内部に設置したプリフォーム107をブローイングして成形している。図11および図16では、装置は、本方法の最初のステップにおける休止位置にあり、このステップでは、収縮機構111は、成形位置で頭部110が膨張して展開位置になる。収縮機構111は、ピストン113を軸方向に収容し、ピストンは、ピストンを行き来させるための管路114内部を台座115から頭部110へ向かって延び、頭部を膨張させる。金型101を閉鎖する動作が命令されると、シェル金型102が互いに接近し、台座115を具備する動力式操作手段116の作動が命令される。ピストン113ならびにベース103および収縮機構111が取り付けられるフレーム112を担持する台座115は、図12に示すように、成形壁109および頭部110を成形位置に持って行くように金型101内部に向かって移動する。金型101が図13に示すような閉位置にあると、プリフォーム107のブローイングが操作されて、図14に示すようにコンテナ1を成形する。コンテナ1の離型は、2ステップで実現される。第1のステップでは、台座115は、図15に示すように、動力式操作手段116によって休止位置に向かって移動する。フレーム112は、シェル金型102同士の間に挟まれた状態に保持されて、金型101内部にベース103および収縮機構111を維持する。ピストン113を金型101から、さらに詳細には頭部110から引き抜くことで、ピストン113と収縮機構111との間の相対的な移動が起こり、頭部は、離型位置で径方向に収縮して、仕上がったコンテナ1を引っ込める。第2のステップでは、図16に示すように、金型101を開ける操作をすると、収縮機構111とピストン113との間の相対的な移動が起こる。金型101を開けると、シェル金型102が捕捉していたフレーム112が解放され、シェル金型は、互いに横方向に離れるように操作される。フレーム112は、シェル金型102がかけていた捕捉から解放されると、戻し手段119がかける引っ張り力の作用を受けて台座115の下部の方へ引きずられる。
【0060】
プリフォーム107は、ブロー成形分野で広く使用されている市販の標準プリフォームであり、好ましくは、金型内部に設置される前に、コンテナ1を可動式のキャップ7で容易に開閉できる接合手段6を備える。本方法の一実施変形例によれば、このような接合手段6は、プリフォーム107のブロー成形によって壁が形成されるのと同時に、コンテナ1の口部3に成形されることができる。
【0061】
本方法を実施することで、容量がありかつ/または特殊な外形であるコンテナ1を製造するために、金型101を容易に適応させることができる。この適応は、シェル金型102を変更し、それに伴い末広がりのポケット10の成形壁109を変更し、場合によっては、膨張性頭部110が成形壁109から突出する位置を調整して、2つのコンテナ1を組み立てるのに付与されるべき嵌合力に応じて肩部12の軸方向延長部Hを適応させることのみで成り立つ。
図1
図2
図3
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