特許第6074992号(P6074992)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6074992
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】遊技システム
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20170130BHJP
【FI】
   A63F7/02 301C
   A63F7/02 304B
【請求項の数】5
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2012-221554(P2012-221554)
(22)【出願日】2012年10月3日
(65)【公開番号】特開2014-73203(P2014-73203A)
(43)【公開日】2014年4月24日
【審査請求日】2015年9月3日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000150051
【氏名又は名称】株式会社竹屋
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】竹内 正博
(72)【発明者】
【氏名】梁川 誠市
【審査官】 山本 一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−297149(JP,A)
【文献】 特開2001−104613(JP,A)
【文献】 実開平05−056183(JP,U)
【文献】 特開平10−290873(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定数の遊技球を循環可能に封入し、該封入した遊技球を発射装置により遊技領域へ発射して遊技を行う遊技機の遊技システムであって、
前記封入された遊技球の球量を検出する第1封入球量検出手段と、
前記第1封入球量検出手段よりも少ない前記封入された遊技球の球量を検出する第2封入球量検出手段と、
前記遊技機が遊技者に占有されているか否かを判定する占有判定手段と、
前記封入された遊技球の球量が超過状態であるか否かを判定する超過状態判定手段と、
を備え、
前記超過状態判定手段は、
前記第1封入球量検出手段及び/または前記第2封入球量検出手段の検出結果、及び前記占有判定手段の判定結果に基づいて、前記遊技機の占有中または非占有中における前記封入された遊技球の球量の超過状態を判定するものであって、
前記遊技機の占有中における前記超過状態の判定を前記第1封入球量検出手段の検出結果に基づいて行い、
前記遊技機の非占有中における前記超過状態の判定を前記第2封入球量検出手段の検出結果に基づいて行うこと
を特徴とする遊技システム。
【請求項2】
一定数の遊技球を循環可能に封入し、該封入した遊技球を発射装置により遊技領域へ発射して遊技を行う遊技機の遊技システムであって、
前記封入された遊技球の球量を検出する第1封入球量検出手段と、
前記第1封入球量検出手段よりも少ない前記封入された遊技球の球量を検出する第2封入球量検出手段と、
前記遊技機が遊技者に占有されているか否かを判定する占有判定手段と、
前記封入された遊技球の球量が超過状態であるか否かを判定する超過状態判定手段と、
前記第1封入球量検出手段の検出結果に基づき前記超過状態判定手段によって判定した結果が前記超過状態であるときにその旨を報知する第1報知手段と、
前記第2封入球量検出手段の検出結果に基づき前記超過状態判定手段によって判定した結果が前記超過状態であるときにその旨を報知する第2報知手段と、
を備え、
前記超過状態判定手段は、
前記第1封入球量検出手段及び/または前記第2封入球量検出手段の検出結果、及び前記占有判定手段の判定結果に基づいて、前記遊技機の占有中または非占有中における前記封入された遊技球の球量の超過状態を判定すること
を特徴とする遊技システム。
【請求項3】
前記発射装置に遊技球を供給する球循環通路を備え、
前記超過状態判定手段は、前記第1封入球量検出手段及び前記第2封入球量検出手段が、該球循環通路に待機する遊技球を検出することにより前記超過状態を判定するものとし、
前記第1封入球量検出手段は、前記第2封入球量検出手段よりも前記発射装置の発射位置に所定個数分だけ遠い前記球循環通路の上流側の遊技球を検出するようにしたこと
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の遊技システム。
【請求項4】
前記第2封入球量検出手段により遊技球が検出できずに前記第1封入球量検出手段により遊技球が検出できた場合には、前記球循環通路内で玉詰まりがあったとしてその旨を報知する玉詰まり報知手段を備えたことを特徴とする請求項3に記載の遊技システム。
【請求項5】
前記占有判定手段による前記遊技機が遊技者に占有されているか否かの判定は、以下のA乃至Fの何れかを判定することにより行われることを特徴とする請求項1乃至請求項の何れか1項に記載の遊技システム。
A.前記遊技機と対応するユニット装置を設け、該ユニット装置に所定のカードが挿入されているか否か
B.遊技者の持球数が1個以上あるか否か
C.前記発射装置により前記遊技領域へ遊技球が発射されているか否か
D.人を検出する人検出手段を設け、該人検出手段が前記遊技機の前の遊技者を検出したか否か
E.遊技者が操作可能な遊技機占有ボタンを設け、該遊技機占有ボタンが操作されてい
るか否か
F.発射球検出手段またはアウト球検出手段を設け、該発射球検出手段またはアウト球検出手段により遊技球が検出されてから所定時間経過したか否か
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一定数の遊技球を封入循環して遊技を行うパチンコ機等の遊技システムに関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機等の遊技機には、一定数の遊技球を封入循環して遊技を行う「封入式遊技機」と呼ばれる遊技機がある。この封入式遊技機は、金銭の投入等により遊技者に貸し出される貸球数、遊技における入賞により遊技者に払い出される賞球数、遊技に使用された使用球数をそれぞれ計数する計数手段が設けられ、持球数は、貸球数と賞球数とを加算した遊技球数から、使用球数を減算することにより算出され、この算出された持球数は、記憶手段により記憶されて所定の表示装置にてデジタル表示されるように構成されている。従って、封入式遊技機では、表示装置にて表示される持球数が「0」になるまで、遊技者は、遊技を続行することが可能になる。
【0003】
そして、遊技者が遊技を終了するときに持球数がある場合には、精算ボタン等を操作することにより、該持球数のデータが書き込まれて記憶されたカードやコイン等の媒体が、遊技者に発行されるようになっている。遊技者は、この発行された媒体を遊技場の景品カウンター等に持参し、媒体に記憶された持球数のデータを所定の読取機で読み取ってもらうことにより、所望の景品と交換することができるようになっている。
【0004】
ところで、このような封入式遊技機では、上記したような遊技内容のため、封入している一定数の遊技球に何らかの原因で過不足が生じると遊技に支障を来してしまう。そこで、このような不具合を早期に発見して対処するため、特許文献1に示すように、遊技機の封入循環機構に封入された遊技球数の過不足状態を判定する封入球数検出手段を設け、封入球に過不足が生じたときはその旨を報知する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−185069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかして、上記した特許文献1は、遊技機が遊技停止状態(非占有中ともいう)のときを基準として、封入球数検出手段が封入球数の過不足状態を判定するように構成されている。確かに、この構成によれば、非占有中に封入球数が過不足状態になっている遊技機に対しては、適正に対処できるという効果はある。
【0007】
しかしながら、遊技中(占有中ともいう)に、例えば遊技盤面上で玉詰まりが発生したとき、店員等がその玉詰まりを解消する作業に伴って、遊技に支障しない程度に封入球数が僅かに増加することがあり、特許文献1の技術では、このような場合であっても、封入球数検出手段は封入球数が超過状態であると判定してその旨を報知し、その結果、遊技が中断されて遊技者が不快に感じてしまう虞がある。即ち、特許文献1の技術では、遊技中に封入球数の超過状態を適正に判定できないという問題点がある。
【0008】
本発明は、上記したような課題に鑑みなされたもので、その目的とするところは、非占有中や占有中であったとしても封入球量の超過状態を適正に判定することのできる一定数の遊技球を封入循環して遊技を行う遊技機の遊技システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような問題を解決するために、本発明の遊技機は、請求項1に記載したように、一定数の遊技球を循環可能に封入し、該封入した遊技球を発射装置により遊技領域へ発射して遊技を行う遊技機の遊技システムであって、前記封入された遊技球の球量を検出する第1封入球量検出手段と、前記第1封入球量検出手段よりも少ない前記封入された遊技球の球量を検出する第2封入球量検出手段と、前記遊技機が遊技者に占有されているか否かを判定する占有判定手段と、前記封入された遊技球の球量が超過状態であるか否かを判定する超過状態判定手段と、を備え、前記超過状態判定手段は、前記第1封入球量検出手段及び/または前記第2封入球量検出手段の検出結果、及び前記占有判定手段の判定結果に基づいて、前記遊技機の占有中または非占有中における前記封入された遊技球の球量の超過状態を判定するものであって、前記遊技機の占有中における前記超過状態の判定を前記第1封入球量検出手段の検出結果に基づいて行い、前記遊技機の非占有中における前記超過状態の判定を前記第2封入球量検出手段の検出結果に基づいて行うことを要旨とする。
【0010】
つまり、本発明の遊技システムは、超過状態判定手段が、遊技機の占有中または非占有中における封入された遊技球の球量の超過状態を判定するとき、封入された遊技球の球量を検出する第1封入球量検出手段及び/または、この第1封入球量検出手段よりも少ない封入された遊技球の球量を検出する第2封入球量検出手段の検出結果と、遊技機が遊技者に占有されているか否かを判定する占有判定手段の判定結果に基づいて判定する。従って、このように構成される本発明の遊技システムにおいては、遊技機が非占有中や占有中であったとしても封入球量の超過状態を適正に判定して対処することが可能になる。
【0011】
そして、第1封入球量検出手段、第2封入球量検出手段及び超過状態判定手段の具体的な構成は次のようにするとよい。即ち請求項に記載の遊技システムおいて、前記超過状態判定手段は、前記遊技機の占有中における前記超過状態の判定を前記第1封入球量検出手段の検出結果に基づいて行い、前記遊技機の非占有中における前記超過状態の判定を前記第2封入球量検出手段の検出結果に基づいて行うことを要旨とする。
【0012】
つまり、本発明の遊技システムは、超過状態判定手段が封入した遊技球の超過状態を判定するとき、遊技者に占有されているときは第1封入球量検出手段に基づいて判定し、遊技者に占有されていないときは第2封入球量検出手段に基づいて判定する。即ち、本発明の遊技システムは、遊技者に占有されておらず、遊技停止状態のときを基準として封入球量の超過状態を判定する第2封入球量検出手段とは別に、遊技者に占有され、遊技中のときを基準として封入球量の超過状態を判定する第1封入球量検出手段をさらに備えている。従って、このように構成される本発明の遊技システムにおいては、遊技機が非占有中や占有中であったとしても、より簡単な構成で容易に封入球量の超過状態を適正に判定して対処することが可能になる。
【0013】
また、第1封入球量検出手段及び第2封入球量検出手段の具体的な構成は次のようにしてもよい。即ち請求項3に記載の遊技システムは、請求項1または請求項2に記載の遊技システムにおいて、前記発射装置に遊技球を供給する球循環通路を備え、前記超過状態判定手段は、前記第1封入球量検出手段及び前記第2封入球量検出手段が、該球循環通路に待機する遊技球を検出することにより前記超過状態を判定するものとし、前記第1封入球量検出手段は、前記第2封入球量検出手段よりも前記発射装置の発射位置に所定個数分だけ遠い前記球循環通路の上流側の遊技球を検出するようにしたことを要旨とする。
【0014】
つまり、本発明の遊技システムは、遊技者に占有されているときを基準として封入球量の超過状態を判定する第1封入球量検出手段が、遊技者に占有されておらず、遊技停止状態のときを基準として封入球量の超過状態を判定する第2封入球量超過検出手段よりも、発射位置に所定個数分だけ遠い球循環通路の上流側の遊技球を検出する。
【0015】
ここで、この所定個数は、遊技機に封入された規定の遊技球量に対して、遊技機が遊技者に占有されていても遊技停止状態になっていることや、遊技中の玉詰まりを解消する作業に伴って増加する遊技球量等を考慮し、遊技に支障しない程度に設定すればよい。なお、第2封入球量検出手段は、遊技停止状態において規定量の遊技球が球循環通路に整列した発射装置から最も遠い最後尾の遊技球の1〜数個分後(発射位置に遠い上流側)の範囲内で遊技球を検出するようにすればよい。
【0016】
従って、このように構成される本発明の遊技システムにおいては、遊技中に封入球量の超過状態を判定する場合に、遊技に支障しない程度に封入球量が僅かに増加したぐらいでは、封入球量が超過状態であると判定されないので、その結果、封入球量の超過状態の判定精度が向上し、封入球量の超過状態に係る異常発生時の不要な対処を排除して該異常発生時の対処をより精度よく行うことができる。
【0017】
また、請求項4に記載の遊技システムは、請求項3に記載の遊技システムにおいて、前記第2封入球量検出手段により遊技球が検出できずに前記第1封入球量検出手段により遊技球が検出できた場合には、前記球循環通路内で玉詰まりがあったとしてその旨を報知する玉詰まり報知手段を備えたことを要旨とする。
【0018】
つまり、本発明の遊技システムは、第2封入球量検出手段で下流側の遊技球が検出できないにも拘らず、第1封入球量検出手段で該検出できなかった遊技球より上流側の遊技球が検出できた場合には、球循環通路内において、この下流側の遊技球と上流側の遊技球との間で玉詰まりが発生しているので、その旨を玉詰まり報知手段が報知する。従って、このように構成される本発明の遊技システムにおいては、球循環通路内で玉詰まりが発生したとき迅速に対処することが可能になり、その結果、遊技者へのサービスを向上することができる。
【0019】
また、請求項に記載の遊技システムは、記第1封入球量検出手段の検出結果に基づき前記超過状態判定手段によって判定した結果が前記超過状態であるときにその旨を報知する第1報知手段と、前記第2封入球量検出手段の検出結果に基づき前記超過状態判定手段によって判定した結果が前記超過状態であるときにその旨を報知する第2報知手段とを備えていることを要旨とする。
【0020】
つまり、本発明の遊技システムは、遊技機が占有されているときに、第1報知手段が、封入した遊技球が超過状態であると判定されたときはその旨を報知し、遊技機が占有されていないときに、第2報知手段が、封入した遊技球が超過状態であると判定されたときはその旨を報知する。
【0021】
従って、このように構成される本発明の遊技システムにおいては、第1報知手段により、遊技中に遊技に支障する虞のあるような封入球量の増加があったときは、その旨を報知して迅速に対処することができると共に、第2報知手段により、遊技機で新たな遊技者が遊技を開始するとき等に、超過状態になっているという事態を防止することができる。一方、遊技者が遊技機を占有しているときに、封入された遊技球量の遊技に支障しない僅かな増加に関しては、超過状態になっていないと判定されて第1報知手段は報知を行わないので、その結果、遊技中に遊技に支障しない封入球量の僅かな増加で超過状態に係る報知がなされ、これにより当該遊技機に対して遊技の中断等の対処がなされて遊技者が不快に感じてしまうことを低減することができる。
【0022】
ところで、遊技機が遊技者に占有されているか否かを判定する占有判定手段の構成は種々考えられるが、例えば次のようにしてもよい。即ち請求項に記載の遊技システムは、
請求項1乃至請求項の何れか1項に記載の遊技システムにおいて、前記占有判定手段による前記遊技機が遊技者に占有されているか否かの判定は、以下のA乃至Fの何れかを判定することにより行われることを要旨とする。
【0023】
A.前記遊技機と対応するユニット装置を設け、該ユニット装置に所定のカードが挿入されているか否か
B.遊技者の持球数が1個以上あるか否か
C.前記発射装置により前記遊技領域へ遊技球が発射されているか否か
D.人を検出する人検出手段を設け、該人検出手段が前記遊技機の前の遊技者を検出したか否か
E.遊技者が操作可能な遊技機占有ボタンを設け、該遊技機占有ボタンが操作されているか否か
F.発射球検出手段またはアウト球検出手段を設け、該発射球検出手段またはアウト球検出手段により遊技球が検出されてから所定時間経過したか否か
従って、このように構成される本発明の遊技システムにおいては、遊技機が遊技者に占有されているか否かを判定する占有判定手段を容易に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本実施形態に係わる遊技機1の全体斜視図である。
図2】本実施形態に係わる遊技盤21の正面図である。
図3】本実施形態に係わる表示集合板45の正面図である。
【0026】
図4】本実施形態に係わる打球発射装置43の構成を概略的に示す説明図である。
図5】本実施形態に係わる球供給通路37に設けられた各検出センサ54、55、56、57の位置関係を模式的に示す説明図である。
【0027】
図6】本実施形態に係わる遊技機1の裏側に設けられた遊技機制御装置100の要部ブロック図である。
図7】本実施形態に係わる主制御基板44のCPU80が実行するメイン処理を示すフローチャートである。
【0028】
図8】本実施形態に係わる主制御基板44のCPU80が実行する遊技機非占有処理を示すフローチャートである。
図9】本実施形態に係わる主制御基板44のCPU80が実行する第2報知処理を示すフローチャートである。
【0029】
図10】本実施形態に係わる主制御基板44のCPU80が実行する遊技機占有処理を示すフローチャートである。
図11】本実施形態に係わる主制御基板44のCPU80が実行する第1報知処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、本発明の遊技システムを実施するための形態を図を用いて説明する。図1は、遊技機1の全体斜視図、図2は、遊技盤21の正面図、図3は、表示集合板45の正面図、図4は、打球発射装置43の構成を概略的に示す説明図、図5は、球供給通路37に設けられた各検出センサ54、55、56、57の位置関係を模式的に示す説明図、図6は、遊技機1の裏側に設けられた遊技機制御装置100の要部ブロック図である。
【0031】
遊技機1は、一定数の遊技球を封入循環して遊技を行う遊技機であって(以下、本実施形態では封入球数は30個として説明する)、図示しない遊技島に固定される外枠22と、この外枠22に取り付けられた内枠23とから構成されており、内枠23には、遊技者にパチンコ遊技を提供する着脱自在に装着される遊技盤21と、遊技盤21の前面側に開閉自在に装着されるガラス扉枠17と、ガラス扉枠17の下方に配置される皿ユニット24と、ガラス扉枠17の上方に配置され入賞に対する賞球の払い出しや玉詰まり、異常等を報知する遊技効果ランプ15とが設けられている。なお、ガラス扉枠17の右上部には、後に詳述する第1不足LED150、第1超過LED151、第2不足LED152、第2超過LED153が設けられている。
【0032】
遊技盤21には、後述する打球発射装置43によって打ち出された遊技球を誘導する打球誘導レール3と、打ち出された遊技球が一定範囲内で飛球するよう設けられた遊技領域形成レール4と、打球誘導レール3及び遊技領域形成レール4によって囲われた遊技領域5と、遊技領域5に打ち出された遊技球が再び打球誘導レール3と遊技領域形成レール4の間の発射経路に戻ってファール球が発生するのを防止するファール球防止弁28と、遊技領域5に打ち出された遊技球を不測の方向へ変化を与える風車20と、演出図柄が回転する様子を示す擬似的な表示(以下、スクロール表示ともいう)や所定の遊技状態(例えばリーチ)になったときに様々な演出表示を行う液晶表示ディスプレイ(LCD)等で構成された演出図柄表示装置6と、遊技球が入賞することによって演出図柄表示装置6及び後述の特別図柄表示装置47に演出図柄の変動表示及び特別図柄の変動表示を開始させるチャッカー型の始動入賞口11a、電動チューリップ型の始動入賞口11b(以下、両者を単に始動入賞口11ともいう)と、演出図柄表示装置6が演出図柄(特別図柄表示装置47が特別図柄)の変動表示中又は大当り中に遊技球が始動入賞口11へ入賞した場合に、あと何回変動表示するか(最高4回)を遊技者に報知するための保留記憶の点灯表示を順次行う4つの保留LED25と、演出図柄表示装置6内において所定の画像を表示する表示部30と、この表示部30において3つの演出図柄をそれぞれ個別に表示する左図柄表示部8、中図柄表示部9、右図柄表示部10と、演出図柄表示装置6における表示結果が予め定められた態様(大当り)になった場合、遊技者に有利に開口される大入賞口(アタッカ)7と、遊技球が通過することによって普通図柄表示装置18(図3参照)に普通図柄の変動表示を開始させる普通図柄作動ゲート19と、入賞することによって賞球に相当する後述のクレジット数が与えられる普通入賞口14と、遊技領域5の最下部に設けられた遊技球を回収するアウト口16と、所定の遊技状態になると回転する星型の可動物32と、所定の遊技状態になると下方に移動するオバケ型の3つの可動物31と、所定の遊技状態になると点灯等の表示を行うLEDが集められた表示集合板45とが設けられている。
【0033】
図2を参照して、遊技盤21の背面側には、ファール球防止弁28と対向するように発射球センサ117が設けられている。ファール球防止弁28は、金属等により薄板状に形成され、遊技領域形成レール4に片持ち状に取り付けられている。つまり、ファール球防止弁28は、発射された遊技球が発射経路から遊技領域5に打ち出される場合には、該遊技球に押圧され、所定の角度に撓んで該遊技球の通過を許容し、一方、該遊技球が遊技領域5に打ち出された後は、元の状態に復帰して、遊技領域5に打ち出された遊技球が再び発射経路に戻ってファール球となるのを防止する。そして発射球センサ117は、このファール球防止弁28が所定の角度に撓む度にオンすることで、遊技領域5に打ち出された遊技球、即ち発射された発射球数をカウント(検出)するように構成されている。
【0034】
次に、図3を参照して、遊技領域5の左側中ほどに遊技領域形成レール4に沿って設けられる表示集合板45には、上部に特別図柄を変動表示する7セグメントLEDで構成された特別図柄表示装置47と、特別図柄表示装置47下部の右側に配置され、確率変動状態時に点灯する確変LED48aと時短状態時に点灯する時短LED48bから構成される確変時短表示装置48と、特別図柄表示装置47及び確変時短表示装置48の下側に三連状に配置され、大当りのラウンド数を点灯表示する3つのラウンド表示LED46a、46b、46cから構成されるラウンド表示装置46と、ラウンド表示装置46の下側に配置され、普通図柄を変動表示すると共に、当りである場合に始動入賞口11bとしての電動チューリップの羽根を所定時間開放させる当りLED18aとはずれLED18bで構成される普通図柄表示装置18と、普通図柄表示装置18の下側に配置され、普通図柄表示装置18が普通図柄の変動表示中に遊技球が普通図柄作動ゲート19を通過した場合に、当該変動表示が終了した後に、あと何回変動表示するか(最高4回)を遊技者に報知するための保留記憶の点灯表示を順次行う4つの保留LED26とが設けられている。
【0035】
図1に戻って、内枠23に設けられた皿ユニット24には、遊技者が操作することにより後述する打球発射装置43(発射ソレノイド43a、球送りソレノイド43b)を作動させる打球操作ハンドル2と、遊技球を打球発射装置43に供給するための打球供給皿12と、遊技者が獲得した遊技球数(持球数)の情報等を表示する情報表示部13とが設けられている。
【0036】
打球供給皿12には、遊技者が所定の遊技状態になったときに操作するプッシュ式の演出ボタン51と、遊技機1に隣接して設けられる後述のカードユニット70から挿入したプリペイドカードを返却させる返却ボタン58と、プリペイドカードの残度数を表示する度数表示器が設けられる度数表示基板61と、プリペイドカードの残度数の範囲内で後述のクレジット表示装置33にクレジット数を転送して、遊技機1から打球供給皿12に遊技球を貸球として貸し出す球貸ボタン59とが設けられている。また、打球供給皿12の上面には、遊技球の飛び出しを防止すると共に、遊技者が遊技球に触れることを防止するための透明な蓋12aが設けられている。なお、演出ボタン51は、内部にランプやLED等を設けて所定の遊技状態になったら点灯するように構成してもよい。
【0037】
情報表示部13には、遊技者の持球数(クレジット)を表示するクレジット表示装置33と、遊技者が遊技を終了するときに操作するクレジット精算ボタン35と、クレジット精算ボタン35が操作されたときにクレジット数を書き込んで記憶したクレジットカードを発行するクレジットカード装置36とが設けられている。つまり、クレジットカード装置36は、予め所定枚数の生カードがストックされており、クレジット精算ボタン35操作時に、1枚の生カードにクレジット数が記憶されて排出されるようになっている。クレジット表示装置33は、リアルタイムでクレジット数を1個単位でデジタル表示する、6個の7セグメントLEDで構成される6桁の表示装置であり、遊技球の入賞口への入賞により賞球数に相当するクレジット数が加算されると共に、球貸ボタン59が操作されたときに規定クレジット数(貸球数)が加算される一方で、遊技領域5に打ち出された遊技球数(発射球センサ117により検出された発射球数)に相当するクレジット数が減算されるようになっている。つまり、クレジット表示装置33は、遊技者の持球数を表示するようになっており、遊技機1は、クレジット表示装置33に表示されたクレジット数だけ遊技球が発射可能になっている。
【0038】
なお、上記したプリペイドカードやクレジットカードは限定されるものではなく、例えばコイン等、他の媒体で構成するようにしてもよい。また、上記の説明では、クレジットカード装置36は、クレジットカードを発行するのみの態様で説明したが、これは、クレジットカードを挿入できるように構成してもよい。このように構成した場合には、クレジットカードをクレジットカード装置36に挿入したとき、そのクレジットカードに記憶されたクレジット数がクレジット表示装置33に表示されるようにすることで、遊技者は、プリペイドカードを使用することなく、遊技機1にて遊技をすることが可能となる。さらに、クレジットカードをクレジットカード装置36に挿入できるようにした場合には、プリペイドカードをカードユニット70に、クレジットカードをクレジットカード装置36(遊技機1)に別々に挿入する態様でもよいが、例えば両者をカードユニット70又は遊技機1に挿入して処理する態様にしてもよく、さらにプリペイドカード及びクレジットカードを、両者の機能を持ち合わせた1つの媒体で構成するようにしてもよい。
【0039】
次に、図4を参照しながら、皿ユニット24の背面側に設けられる打球発射装置43の構成について説明する。打球発射装置43は、ベース板41に構成部品が集約して設けられており、その中央部には球供給通路37が形成されている。球供給通路37は、略「つ」の字状に形成され、その上部には、アウト口16に回収された遊技球と入賞口に入賞した遊技球、即ち遊技領域5に打ち出された発射球が流入する幅広状の球入口38が形成されている。なお、この球入口38は、遊技機1の点検で遊技球を抜いたとき等に、遊技球を補給するための球補給口としての機能も兼ねている。
【0040】
球供給通路37の終端部には、球送りソレノイド43bが設けられており、球入口38から流入して球供給通路37を転動流下する遊技球は、この球送りソレノイド43bにより、一旦、球供給通路37内で停止するようになっている。これにより、球供給通路37内には、図4(A)(B)に示すように、複数の遊技球が一列に整列して貯留されることになる。なお、図4(A)は、例えば遊技機1に電源を投入した直後のように、遊技機1で遊技が行われておらず(遊技球が発射されておらず)、遊技機1で使用される全ての遊技球(30個)が球供給通路37内で一列に整列している貯留状態を示し、一方、図4(B)は、遊技機1で遊技が行われており(遊技球が逐次発射されており)、所定数(例えば7個くらい)の遊技球が滞留球として遊技盤21等に滞留しているときの球供給通路37内の遊技球の貯留状態を示している。
【0041】
ここで、球供給通路37には、遊技停止状態で球供給通路37内に遊技球が一列に整列した場合に、発射側から数えて15個目に待機する遊技球を検出する第1不足位置に第1不足球検出センサ54が、27個目に待機する遊技球を検出する第2不足位置に第2不足球検出センサ55が、31個目に待機する遊技球を検出する第2超過位置に第2超過球検出センサ56が、34個目に待機する遊技球を検出する第1超過位置に第1超過球検出センサ57がそれぞれ設けられている。
【0042】
図5に示すように、第1不足球検出センサ54及び第1超過球検出センサ57は、遊技者が遊技機1を占有していると判定されたときに有効となるセンサであり、第2不足球検出センサ55及び第2超過球検出センサ56は、遊技者が遊技機1を占有していないと判定されたときに有効となるセンサである。
【0043】
これらのセンサ54、55、56、57は、球供給通路37の下側に設けられ、球供給通路37において自身の上方に遊技球があるときにオンして、球供給通路37の第1不足位置、第2不足位置、第2超過位置、第1超過位置に遊技球があるか否かを検出するように構成されている。ここで、各センサ54、55、56、57の遊技球の検出態様は、一定時間遊技球を検出したときにオンとなるようになっており、これにより、球供給通路37内に複数の遊技球が一列に整列した状態で、球送りソレノイド43bによる球送り分だけ移動する遊技球はオンとなり、一方、球供給通路37内を転動する整列前の遊技球はオフとなる。なお、各センサ54、55、56、57は、球供給通路37の上側に設けて、自身の下方の遊技球を検出するようにしてもよい。
【0044】
第1不足球検出センサ54は、遊技者が遊技機1を占有しているときに、封入された遊技球数が不足状態になっているか否かを判定するセンサで、第1不足球検出センサ54がオフになったとき、即ち球供給通路37の第1不足位置に遊技球がない場合には、第1不足異常信号が出力されるようになっている。
【0045】
第2不足球検出センサ55は、遊技者が遊技機1を占有していないときに、封入された遊技球数が不足状態になっているか否かを判定するセンサで、第2不足球検出センサ55がオフになったとき、即ち球供給通路37の第2不足位置に遊技球がない場合には、第2不足異常信号が出力されるようになっている。
【0046】
第2超過球検出センサ56は、遊技者が遊技機1を占有していないときに、封入された遊技球数が超過状態になっているか否かを判定するセンサで、第2超過球検出センサ56がオンになったとき、即ち球供給通路37の第2超過位置に遊技球がある場合には、第2超過異常信号が出力されるようになっている。
【0047】
第1超過球検出センサ57は、遊技者が遊技機1を占有しているときに、封入された遊技球数が超過状態になっているか否かを判定するセンサで、第1超過球検出センサ57がオンになったとき、即ち球供給通路37の第1超過位置に遊技球がある場合には、第1超過異常信号が出力されるようになっている。
【0048】
図5から明らかなように、遊技者が遊技機1を占有しているときに有効となる第1不足球検出センサ54と第1超過球検出センサ57とが検出する第1不足位置の遊技球と第1超過位置の遊技球との範囲A(発射側から数えて15個目〜34個目)は、遊技者が遊技機1を占有していないときに有効となる第2不足球検出センサ55と第2超過球検出センサ56とが検出する第2不足位置の遊技球と第2超過位置の遊技球との範囲B(発射側から数えて27個目〜31個目)よりも大きく、且つ、第1超過位置(第1超過球検出センサ57)は第2超過位置(第2超過球検出センサ56)よりも上流側に、第1不足位置(第1不足球検出センサ54)は第2不足位置(第2不足球検出センサ55)よりも下流側に位置し、範囲Aは範囲Bを包含している。
【0049】
このような各センサ54、55、56、57の位置関係は、以下の理由による。即ち、遊技者が遊技機1を占有していないときは、遊技機1は必ず遊技停止状態となっているので、正常であれば、図4(A)に示すように封入されている30個の遊技球全てが球供給通路37内に整列するはずである。ここで、第2不足球検出センサ55及び第2超過球検出センサ56は、遊技者が遊技機1を占有していないときに、封入された遊技球数が過不足状態になっているか否かを判定するセンサなので、従って、第2不足球検出センサ55は、発射側から数えて27個目に待機する遊技球を検出する第2不足位置に、第2超過球検出センサ56は、発射側から数えて31個目に待機する遊技球を検出する第2超過位置に設けるようにしたのである(図5参照)。
【0050】
第2超過球検出センサ56は、規定の封入球数30個より1個多くなったときでも超過状態と判定できるよう、その判定を厳格に行うようになっている。一方、第2不足球検出センサ55は、多少の余裕を持たせ、規定の封入球数30個より4個少なくなったときに不足状態と判定するようになっている。第2不足球検出センサ55も厳格に判定するのであれば、発射側から数えて30個目に待機する遊技球を検出するようにすればよいが、本実施形態では、超過状態よりも不足状態になる方が発生頻度が高いという経験則から、このように設定している。なお、第2不足球検出センサ55の検出は、規定の封入球数30個より1〜7個程度少ない範囲内で、第2超過球検出センサ56の検出は、規定の封入球数30個より1〜3個程度多い範囲内で適宜設定するようにすればよい。
【0051】
次に、遊技者が遊技機1を占有しているときは、遊技機1は遊技状態となっている場合が殆どなので、7個くらいの遊技球が滞留球として遊技盤21等に滞留し、従って正常であれば、図4(B)に示すように封入されている30個の遊技球のうち、23個程度の遊技球が球供給通路37内に整列するはずである。ここで、第1不足球検出センサ54及び第1超過球検出センサ57は、遊技者が遊技機1を占有しているときに、封入された遊技球数が過不足状態になっているか否かを判定するセンサなので、従って、第1不足球検出センサ54は、発射側から数えて15個目に待機する遊技球を検出する第1不足位置に、第1超過球検出センサ57は、発射側から数えて34個目に待機する遊技球を検出する第1超過位置に設けるようにしたのである(図5参照)。
【0052】
第1超過球検出センサ57は、規定の封入球数30個より4個多くなったときに超過状態と判定できるようになっている。これは、遊技者が遊技機1を占有しているときでも遊技を停止するときがあり、さらに、遊技中に遊技盤21上で玉詰まりが発生したとき、店員等がその玉詰まりを解消する作業に伴って封入球数が増加したときや、不正により外部から規格外の遊技球が遊技機1に持ち込まれて封入球数が増加することを考慮したもので、この第1超過球検出センサ57の検出は、第2超過球検出センサ56よりも緩い判定であって、且つ遊技に支障しない程度に設定されている。
【0053】
一方、第1不足球検出センサ54は、規定の封入球数30個より15個少なくなったときに不足状態と判定するようになっている。これは、上記した超過状態よりも不足状態になる方が発生頻度が高いという経験則と、遊技盤21等の滞留球と、さらに、遊技中の玉詰まりを解消する作業に伴って封入球数が減少したときを考慮したもので、この第1不足球検出センサ54の検出は、第2不足球検出センサ55よりも緩い判定であって、且つ遊技に支障しない程度に設定されている。なお、第1不足球検出センサ54の検出は、規定の封入球数30個より12〜18個程度少ない範囲内で、第1超過球検出センサ57の検出は、規定の封入球数30個より4〜7個程度多い範囲内で適宜設定するようにすればよい。
【0054】
また、図4において、49は、球発射口であり、球供給通路37内で整列していた遊技球は、球送りソレノイド43bの駆動により1個ずつ球供給通路37から排出されて球発射口49に流下する。また、図中、43aは、発射ソレノイドであり、球発射口49に流出した遊技球は、発射レール50の発射位置まで流下して停止し、発射ソレノイド43aの駆動により遊技領域5に向かって打ち出される。球送りソレノイド43bと発射ソレノイド43aは、遊技者の打球操作ハンドル2の操作に基づいて交互にタイミングよく駆動制御されることで、遊技球を所定間隔で1個ずつ発射(例えば1分間に100個発射)することが可能になっている。なお、発射される速度が遅くファールとなった(遊技領域5に届かなかった)遊技球は、図示しないリフトや経路を通って、再び球供給通路37に導出され発射されるようになっており、当然ながら、このファール球は、発射球センサ117では検出されることはない。
【0055】
上記したように構成される遊技機1は、プリペイドカード等をカードユニット70に挿入し球貸ボタン59を操作してクレジット表示装置33にクレジット数が表示された後、打球操作ハンドル2の操作により、打球発射装置43から遊技球が発射され、打球誘導レール3と遊技領域形成レール4の間の発射経路を通って遊技球が遊技盤21上の遊技領域5に打ち出される。また、打球発射装置43から発射される速度が遅くファール球防止弁28を通過しない遊技球は、遊技領域5に打ち出されることなくファール球として処理され、再び打球発射装置43から発射される。
【0056】
遊技領域5に打ち出された遊技球は、発射球センサ117により検出され、この検出された遊技球数に相当するクレジット数が発射球数として減算されてクレジット表示装置33に表示される。そして、遊技領域5に打ち出された発射球は遊技領域5を自重により落下し、落下する過程においては、遊技盤21に植設される遊技釘や風車20によって落下する方向に変化を与えられ、始動入賞口11や普通入賞口14に入賞したり、普通図柄作動ゲート19を通過したり、全ての入賞口に入賞しなかった場合には、アウト口16に回収される。そして、これらアウト口16に回収された遊技球と入賞口に入賞した遊技球、即ち遊技領域5に打ち出された発射球は、再び打球発射装置43の球供給通路37に集められ、遊技領域5に向かって打ち出される。
【0057】
遊技球が普通入賞口14に入賞した場合には、後述する左入賞口スイッチ122a、又は右入賞口スイッチ122bにより遊技球が検出され、賞球数に相当するクレジット数が加算されてクレジット表示装置33に表示される。遊技球が始動入賞口11(始動入賞口11a、又は始動入賞口11b)に入賞した場合には、後述する始動入賞口スイッチ116a、又は116bにより遊技球が検出され、賞球数に相当するクレジット数が加算されてクレジット表示装置33に表示される。
【0058】
また、遊技球が始動入賞口11に入賞すると、演出図柄表示装置6の各図柄表示部8、9、10に複数種類(例えば20種類)の演出図柄をスクロール表示させ、所定時間後に左図柄表示部8、右図柄表示部10、中図柄表示部9の順に演出図柄を停止させて確定表示を行い、左図柄表示部8の演出図柄と右図柄表示部10の演出図柄とが停止した時点で大当りを構成する演出図柄の組合せ(例えば、左図柄表示部8の演出図柄と右図柄表示部10の演出図柄とが同一の演出図柄の組合せ)である場合にはリーチとなり、演出図柄表示装置6の表示部30にて所定のリーチアクションが演出表示されるようになっており、その後中図柄表示部9の演出図柄が停止した時点で確定表示された演出図柄が予め定められた大当り演出図柄の組合せである場合には大当りとなり、大入賞口7としてのアタッカを所定の態様で開放するようになっている。そしてこれら以外の演出図柄の組合せである場合には、はずれとなる。なお、遊技球が大入賞口7に入賞した場合には、後述する大入賞口スイッチ123により遊技球が検出され、賞球数に相当するクレジット数が加算されてクレジット表示装置33に表示される。
【0059】
ここで、演出図柄表示装置6に演出図柄を変動表示させる過程で、所定の遊技状態になった場合、例えばリーチになった場合には、所定の割合で演出図柄表示装置6にて遊技者に演出ボタン51を所定の態様で操作させる演出表示が実行されるようになっている。なお、演出図柄表示装置6にて左図柄表示部8、中図柄表示部9、右図柄表示部10の演出図柄を停止させる順序は特に限定するものではなく、また、大当り以外に、中当りや小当りを設け、大入賞口7(アタッカ)を所定の態様で開放するようにしてもよい。
【0060】
また、遊技球が始動入賞口11に入賞した場合には、演出図柄表示装置6が作動するのと同時に特別図柄表示装置47が作動して特別図柄が変動表示され、この特別図柄の変動表示は、演出図柄表示装置6にて変動表示されていた演出図柄が停止して確定表示されたとき、同時に停止して確定表示される。つまり演出図柄表示装置6の変動表示と特別図柄表示装置47の変動表示は同期する。なお、特別図柄表示装置47の変動表示は、7セグメントLEDのセグメントを所定の順序で点灯させていくことで実行している。
【0061】
そして演出図柄表示装置6にて、はずれ又は大当り図柄が確定表示されたときは、特別図柄表示装置47にも予め定められたはずれ又は大当り図柄が表示される。また、特別図柄表示装置47において、はずれのときの特別図柄は1種類であり、一方、大当りの特別図柄は複数種類(例えば20種類)設けられており、これら大当りの特別図柄はそれぞれ大当りの遊技内容(例えばラウンド数、確率変動や時短の有無及び回数等)が異なるようになっている。なお、始動入賞口11aに入賞したときと、始動入賞口11bに入賞したときとで大当りなる確率や、所定の遊技内容の大当りになる確率を異ならせるようにしてもよい。また、特別図柄表示装置47にてはずれの特別図柄や大当りの特別図柄の種類は特に限定されるものではなく、例えば、はずれの特別図柄を複数種類設けるようにしてもよい。
【0062】
また、大当りになると、ラウンド表示装置46のラウンド表示LED46a、46b、46cが当該大当りのラウンド数に応じて点灯する。例えば、今回の大当りの特別図柄が4ラウンド大当りである場合には、大入賞口7の作動中にラウンド表示LED46aが点灯し、大当りの特別図柄が7ラウンド大当りである場合には、大入賞口7の作動中にラウンド表示LED46bが点灯し、大当りの特別図柄が15ラウンド大当りである場合には、大入賞口7の作動中にラウンド表示LED46b、46cが点灯するといった具合である。勿論、これらラウンド表示LED46a、46b、46cが点灯する組合せは、大当りの特別図柄に応じて適宜設定するようにすればよい。
【0063】
さらに、大当りの特別図柄が確率変動大当りである場合には、大入賞口7の作動終了後(大当り遊技終了後)次の大当りになるまで、又は、所定回数特別図柄が変動表示するまで大当りになる確率が上昇する遊技状態(確変状態)になり、この確変状態になっているときは、確変時短表示装置48の確変LED48aが点灯する。また、大当りの特別図柄が時短大当りである場合には、大入賞口7の作動終了後(大当り遊技終了後)次の大当りになるまで、又は、所定回数特別図柄が変動表示するまで特別図柄の変動時間が短縮する遊技状態(時短状態)になり、この時短状態になっているときは確変時短表示装置48の時短LED48bが点灯する。また、大当りの特別図柄が確率変動且つ時短大当りである場合には、大入賞口7の作動終了後(大当り遊技終了後)次の大当りになるまで、又は、所定回数特別図柄が変動表示するまで大当りになる確率が上昇且つ特別図柄の変動時間が短縮する遊技状態(確変時短状態)になり、この確変時短状態になっているときは、確変LED48aと時短LED48bが点灯する。そして、大当りの特別図柄がこれら以外の通常大当りである場合には、確変LED48aと時短LED48bは点灯しない。
【0064】
また、遊技球が普通図柄作動ゲート19を通過した場合には、後述する普通図柄作動ゲートスイッチ121によって遊技球を検出し、普通図柄表示装置18に普通図柄を変動表示させて抽選を行い、所定時間経過後当りLED18aが点灯して所定の当り図柄(例えば「◎」)が確定表示されれば当りとなり、電動チューリップ(始動入賞口11b)の羽根を所定時間開放し、一方所定時間経過後はずれLED18bが点灯して所定のはずれ図柄(例えば「×」)が確定表示されればはずれとなる。なお、遊技状態が確変状態や時短状態になっているときに普通図柄が当りとなったときは、電動チューリップ(始動入賞口11b)の羽根の開放時間を延長するようにしてもよい。この電動チューリップ(始動入賞口11b)の羽根の開放時間を延長する態様は、例えば羽根を複数回開放して開放時間を延長したり、1回の羽根の開放時間を延長したりすればよく、ただしこの場合、所定個数(例えば8個)の遊技球が入賞したら羽根を閉じるようにすればよい。
【0065】
従って、このような遊技機1を遊技する遊技者は、遊技球が始動入賞口11に入賞したときは大当りを期待することができるので、演出表示のない特別図柄表示装置47の特別図柄よりも、極めて演出効果の高い演出図柄表示装置6に変動表示される演出図柄を注視することになる。そして、演出図柄表示装置6に大当りを構成する演出図柄の組合せが停止して遊技状態がリーチになったときは、遊技者が最も期待する瞬間となり、このとき演出図柄表示装置6に演出ボタン51を操作させる演出が表示されたときは、遊技者は大当りを獲得すべく演出ボタン51を懸命に操作することになる。これにより遊技に参加することができるという満足感を遊技者に与えて遊技機1の趣向性が向上する。
【0066】
次に遊技機1の裏側に設けられた遊技機制御装置100を図6を用いて説明する。遊技機制御装置100は図6に示すように構成され、遊技機制御装置100を主に構成する主制御基板44は、図示していないが、入力回路、出力回路、ワンチップマイクロコンピュータ及びこれらを接続するバス(データバス、アドレスバス、コントロールバス等)とを備えており、入力回路を介して取得した各センサやスイッチ等からの信号に基づいて、ワンチップマイクロコンピュータが出力回路に接続されている各種回路や機器等を制御するための所定の制御プログラムを実行する。また、ワンチップマイクロコンピュータは、制御プログラムを実行するCPU80、CPU80が実行する制御プログラムを格納するROM82及びCPU80が処理するデータを一時的に記憶するRAM81が内蔵されている。
【0067】
主制御基板44の入力回路には、電源基板53、クレジット制御基板40及び演出制御基板111と、始動入賞口11に設けられた遊技球の入賞を検出すると演出図柄及び特別図柄の変動開始信号及び賞球数としてのクレジット加算信号を送る始動入賞口11aスイッチ116a、始動入賞口11bスイッチ116bと、普通図柄作動ゲート19に設けられた遊技球の通過を検出すると普通図柄の変動開始信号を送る普通図柄作動ゲートスイッチ121と、大入賞口7に設けられ、大入賞口7を開放することにより大入賞口7内に入賞した遊技球を検出すると賞球数としてのクレジット加算信号を送る大入賞口スイッチ123と、普通入賞口14に入賞した遊技球を検出すると賞球数としてのクレジット加算信号を送る左入賞口スイッチ122a、右入賞口スイッチ122b(左入賞口スイッチ122aは左側の3つの普通入賞口14に、右入賞口スイッチ122bは右側の普通入賞口14に対応)と、遊技領域5に打ち出された発射球を検出すると発射球カウント信号及び発射球数としてのクレジット減算信号を送る発射球センサ117と、球供給通路37に設けられ、遊技者が遊技機1を占有しているときに球供給通路37の第1不足位置に遊技球が検出できない場合に第1不足異常信号を送る第1不足球検出センサ54と、遊技者が遊技機1を占有しているときに球供給通路37の第1超過位置に遊技球を検出すると第1超過異常信号を送る第1超過球検出センサ57と、遊技者が遊技機1を占有していないときに球供給通路37の第2不足位置に遊技球が検出できない場合に第2不足異常信号を送る第2不足球検出センサ55と、遊技者が遊技機1を占有していないときに球供給通路37の第2超過位置に遊技球を検出すると第2超過異常信号を送る第2超過球検出センサ56とが接続されている。
【0068】
主制御基板44の出力回路には、演出制御基板111及びクレジット制御基板40と、大入賞口7としてのアタッカを開口動作するための大入賞口ソレノイド106と、始動入賞口11bとしての電動チューリップを開放動作するための普通電動ソレノイド107と、図示しないドライバ回路を経由して7セグLEDとしての特別図柄表示装置47と、当りLED18a及びはずれLED18bからなる普通図柄表示装置18と、図示しないホール管理コンピュータ等に接続される外部端子板109とが接続されている。
【0069】
クレジット制御基板40及び発射基板42は、上記した主制御基板44と同様に、入出力回路、ワンチップマイクロコンピュータ等を備えて構成されている。クレジット制御基板40の入出力回路には、電源基板53、発射基板42及び主制御基板44と、ガラス扉枠17が開放されると扉開放信号を送る扉開放スイッチ124と、内枠23が開放されると枠開放信号を送る枠開放スイッチ125と、打球発射装置43の発射ソレノイド43aと、プリペイドカードが挿入されているときにカード挿入信号を送るカードユニット70と、情報表示部13の遊技者の持球数を表示するクレジット表示装置33、遊技者が遊技を終了するときに操作されて遊技終了信号を送るクレジット精算ボタン35及びクレジット精算ボタン35が操作されたときにクレジット表示装置33が表示する遊技者の持球数を書き込み記憶したクレジットカードを発行するクレジットカード装置36と、打球供給皿12の遊技者の操作によりプリペイドカードを返却する返却ボタン58、遊技者の操作により貸球数としてのクレジット加算信号を送る球貸ボタン59及びプリペイドカードの残度数を表示する度数表示基板61とが接続されている。
【0070】
また、発射基板42の入出力回路には、クレジット制御基板40と、打球操作ハンドル2が回動操作されて遊技球が発射される時にオンするタッチセンサ119と、打球操作ハンドル2の所定箇所に設けられ押圧操作することにより打球発射装置43の作動をオフさせて遊技球の発射を停止する発射停止スイッチ120と、打球発射装置43の球送りソレノイド43bとが接続されている。
【0071】
演出制御基板111は、上記した主制御基板44と同様に、所定の制御プログラムを実行するCPU、CPUが実行する制御プログラムを格納するROM及びCPUの作業領域を構成するRAM等からなるワンチップマイクロコンピュータを備えている。また、演出制御基板111は、LCDとしての演出図柄表示装置6に演出表示する画像を制御するVDP、VDPが読み出す各コマンドに対応した表示制御データ(変動パターン等)及びキャラクタや図柄や背景等が記憶された画像データ用のCGROM、VDPが処理する画像データ等を一時的に記憶保持するための記憶エリアを備えたVRAMを備えている。これらのCPU、RAM、ROM、VDP、VRAM及びCGROMは、バスにより接続されている。また、バスと接続される入出力回路には、電源が切られた場合でもRAM及びVRAMの記憶内容を所定時間保持可能なRAM、VRAMバックアップ回路が接続されている。
【0072】
即ち、演出制御基板111は、主制御基板44のCPU80からストローブ信号や表示制御用コマンド信号等の制御信号を受け、ストローブ信号が入力されると、表示制御用CPUは表示制御用コマンドを認識する。するとVDPは、この表示制御用コマンドに対応するデータエリアから表示制御データ及びキャラクタや図柄や背景等をCGROMから読み出し、上記画像データを一時記憶するVRAMに格納する。そしてVDPは、この格納された画像データを、表示順がくるとVRAMから読み出し、表示制御用CPUからの指令に応じて所定の態様でLCD(演出図柄表示装置6)に演出表示する。
【0073】
また、演出制御基板111の入出力回路には、演出図柄表示装置6と、操作されたときに操作信号を送る演出ボタン51と、各種の効果音を拡声させるためのスピーカ113と、オバケ型の可動物31を落下動作するための演出モータ105と、星型の可動物32を回転動作するための演出モータ108と、各種のLEDやランプ(例えば、保留LED25や遊技効果ランプ15)と、第1不足球検出センサ54からの第1不足異常信号が入力されると赤色に点滅する第1不足LED150と、第1超過球検出センサ57からの第1超過異常信号が入力されると青色に点滅する第1超過LED151と、第2不足球検出センサ55からの第2不足異常信号が入力されると緑色に点灯する第2不足LED152と、第2超過球検出センサ56からの第2超過異常信号が入力されると黄色に点灯する第2超過LED153と、図示しないホール管理コンピュータ等に接続される外部端子板109とが接続されている。
【0074】
次に、このように構成された遊技機1の遊技システムにて実行される本発明の特徴的な処理について、図7乃至図11を参照しながら詳述する。図7は、主制御基板44のCPU80が実行するメイン処理を示すフローチャート、図8は、主制御基板44のCPU80が実行する遊技機非占有処理を示すフローチャート、図9は、主制御基板44のCPU80が実行する第2報知処理を示すフローチャート、図10は、主制御基板44のCPU80が実行する遊技機占有処理を示すフローチャート、図11は、主制御基板44のCPU80が実行する第1報知処理を示すフローチャートである。なお、これらの処理は遊技機1の電源投入時から所定時間(例えば2msec)毎に繰り返し実行されるようになっている。
【0075】
図7を参照して、本発明の特徴的な主制御基板44のCPU80が実行するメイン処理は、まずステップS12にて、遊技機1に電源が投入されたか否かを判定し、ステップS12にてYESのときはステップS14に移行し、ここで、CPU80は、初期化処理として、スタックの設定や以下の処理に必要な各フラグ、各レジスタ及びRAM81等の記憶エリアの初期化を行う。
【0076】
そして、ステップS16に移行し、遊技者が遊技機1で遊技を行うために、即ち遊技者が当該遊技機1を占有するために、カードユニット70にプリペイドカードを挿入したか否かを判定する。そしてステップS16にてNO、つまりカードユニット70にプリペイドカードが挿入されておらず、即ち遊技者が当該遊技機1を占有しておらず、カードユニット70からカード挿入信号が入力されていないと判定されたときは、ステップS20に移行し、ここで図8に示す遊技機非占有処理を実行する。
【0077】
この遊技機非占有処理が実行されると、まずステップS22にて、球供給通路37の発射側から数えて15個目に待機する遊技球を検出する第1不足位置に設けられた第1不足球検出センサ54を無効に設定する。次に、ステップS24に移行して、球供給通路37の発射側から数えて34個目に待機する遊技球を検出する第1超過位置に設けられた第1超過球検出センサ57を無効に設定する。次に、ステップS26に移行して、球供給通路37の発射側から数えて27個目に待機する遊技球を検出する第2不足位置に設けられた第2不足球検出センサ55を有効に設定する。次に、ステップS28に移行して、球供給通路37の発射側から数えて31個目に待機する遊技球を検出する第2超過位置に設けられた第2超過球検出センサ56を有効に設定する(図4、5参照)。
【0078】
そして、ステップS28を終えると、ステップS30に移行し、ここで図9に示す第2報知処理を実行する。この第2報知処理が実行されると、まずステップS32にて、第2不足球検出センサ55からの第2不足異常信号が入力されているか否か、つまり遊技者が遊技機1を占有していないときに第2不足球検出センサ55がオフになって、封入された遊技球数が不足状態になっているか否かを判定する。
【0079】
そして、ステップS32にてYESのときは、ステップS34に移行し、遊技者が遊技機1を占有していないときに封入された遊技球数が不足状態になっている旨を報知するため、遊技機1に設けられた第2不足LED152を緑色に点灯する(図1、5参照)。
【0080】
一方、ステップS32にてNOのときは、またはステップS34を終えると、ステップS36に移行し、第2超過球検出センサ56からの第2超過異常信号が入力されているか否か、つまり遊技者が遊技機1を占有していないときに第2超過球検出センサ56がオンになって、封入された遊技球数が超過状態になっているか否かを判定する。
【0081】
そして、ステップS36にてYESのときは、ステップS38に移行し、遊技者が遊技機1を占有していないときに封入された遊技球数が超過状態になっている旨を報知するため、遊技機1に設けられた第2超過LED153を黄色に点灯する(図1、5参照)。なお、ステップS32、S36にて共にYESと判定されたときは、球供給通路37内で玉詰まりがあったとして、その旨を報知するようにしてもよい。そしてステップS38の処理を終えると、またはステップS36にてNOのときは、この第2報知処理を終了し、これにより図8に示す遊技機非占有処理を終了する。
【0082】
図7に戻って、一方ステップS16にてYESのときは、つまり遊技者が遊技機1で遊技を行うために、即ち遊技者が当該遊技機1を占有するために、カードユニット70にプリペイドカードを挿入し、該カードユニット70からカード挿入信号が入力されていると判定されたときは、ステップS40に移行し、ここで図10に示す遊技機占有処理を実行する。
【0083】
この遊技機占有処理が実行されると、まずステップS42にて、球供給通路37の発射側から数えて27個目に待機する遊技球を検出する第2不足位置に設けられた第2不足球検出センサ55を無効に設定する。次に、ステップS44に移行して、球供給通路37の発射側から数えて31個目に待機する遊技球を検出する第2超過位置に設けられた第2超過球検出センサ56を無効に設定する。次に、ステップS46に移行して、球供給通路37の発射側から数えて15個目に待機する遊技球を検出する第1不足位置に設けられた第1不足球検出センサ54を有効に設定する。次に、ステップS48に移行して、球供給通路37の発射側から数えて34個目に待機する遊技球を検出する第1超過位置に設けられた第1超過球検出センサ57を有効に設定する(図4、5参照)。
【0084】
そして、ステップS48を終えると、ステップS50に移行し、ここで図11に示す第1報知処理を実行する。この第1報知処理が実行されると、まずステップS52にて、第1不足球検出センサ54からの第1不足異常信号が入力されているか否か、つまり遊技者が遊技機1を占有しているときに第1不足球検出センサ54がオフになって、封入された遊技球数が不足状態になっているか否かを判定する。
【0085】
そして、ステップS52にてYESのときは、ステップS54に移行し、遊技者が遊技機1を占有しているときに封入された遊技球数が不足状態になっている旨を報知するため、遊技機1に設けられた第1不足LED150を赤色に点滅する(図1、5参照)。
【0086】
一方、ステップS52にてNOのときは、またはステップS54を終えると、ステップS56に移行し、第1超過球検出センサ57からの第1超過異常信号が入力されているか否か、つまり遊技者が遊技機1を占有しているときに第1超過球検出センサ57がオンになって、封入された遊技球数が超過状態になっているか否かを判定する。
【0087】
そして、ステップS56にてYESのときは、ステップS58に移行し、遊技者が遊技機1を占有しているときに封入された遊技球数が超過状態になっている旨を報知するため、遊技機1に設けられた第1超過LED151を青色に点滅する(図1、5参照)。また、ステップS52、S56にて共にYESと判定されたときは、球供給通路37内で玉詰まりがあったとして、その旨を報知するようにしてもよい。
【0088】
なお、第1不足LED150及び第1超過LED151を点滅するのは、点灯よりもよく目立つからであり、これは、遊技者が遊技機1を占有しているときは、占有していないときよりも緊急性が高いからである。また、同様な理由により、緊急性の高い第1不足LED150の不足状態の報知は、第1超過LED151の超過状態の報知よりも目立つ赤色に設定されている。
【0089】
そして、ステップS58の処理を終えると、またはステップS56にてNOのときは、この第1報知処理を終了し、これにより図10に示す遊技機占有処理を終了する。そして図7に戻って、ステップS20の遊技機非占有処理またはステップS40の遊技機占有処理を終えると、上述してきたメイン処理を終了する。
【0090】
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係る封入式の遊技機1は、遊技者が遊技機1を占有していないときは、第2不足球検出センサ55及び第2超過球検出センサ56により、封入された遊技球数の過不足状態の判定を厳格に行い、これにより遊技者が遊技開始前に封入球数が過不足状態になっている遊技機1に対して適正に対処でき、一方、遊技者が遊技機1を占有しているときは、第1不足球検出センサ54及び第1超過球検出センサ57により、遊技者が遊技機1を占有していないときに比して封入された遊技球数の過不足状態の判定を遊技に支障しない程度に緩い判定で行い、これにより遊技中であっても封入球数の過不足状態を適正に判定して対処することが可能になる。
【0091】
即ち、本実施形態に係る封入式の遊技機1は、遊技機1で新たな遊技者が遊技を開始するときに、規定の封入球数が過不足しているという事態を防止することができる一方で、遊技者が遊技機1を占有しているときに、封入された遊技球数の遊技に支障しない僅かな増減に関しては報知を行わないようになっている。その結果、遊技中に遊技に支障しない封入球数の僅かな増減で該封入球数の過不足に係る報知がなされ、これにより当該遊技機1に対して遊技の中断等の対処がなされて遊技者が不快に感じてしまうことを低減することができる。
【0092】
なお、適正とは、正確な遊技球の球量を判定するという意味だけでなく、遊技者が遊技機を占有しているときには異常と判定する遊技球の球量を変更し、必要以上に異常報知や遊技を停止することを防止することも含むものである。
【0093】
以上、本発明の実施形態に係わる遊技機1の遊技システムを図面に基づいて説明してきたが、具体的な構成は実施形態に示したものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加などがあっても本発明に含まれる。例えば、遊技者が遊技機1を占有しているか否かの判定は、カードユニット70にプリペイドカードが挿入されているか否かに基づいて判定するようにしたが、これは以下のようにしてもよい。
【0094】
即ち、遊技者が遊技機1を占有している状態とは、
A.クレジット表示装置33にクレジット数が1以上表示されている(遊技者の持球数が1個以上ある)場合
B.打球操作ハンドル2が回動操作されてタッチセンサ119がオンしている場合
C.遊技機1またはその近傍に赤外線センサ等の人感センサを設け、この人感センサにより遊技機1の前に遊技者がいることが検出されている場合
D.遊技機1またはその近傍に遊技者が操作可能な遊技機占有ボタン等を設け、この遊技機占有ボタンが操作されている場合
E.発射球センサ117または別途球入口38付近に設けたアウト口16に回収された遊技球と入賞口に入賞した遊技球(アウト球)を検出するアウト球センサが、遊技球を検出してから所定時間経過していない場合
等が考えられ、遊技者が遊技機1を占有しているか否かの判定は、これらA〜Eの状態を判定するようにしてもよい。
【0095】
また、ファール球防止弁28近傍に設けた発射球センサ117により、遊技領域5に打ち出された遊技球数を発射球数として検出するようにしたが、これは、遊技球が発射される球発射口49近傍に発射球センサ117を設け、さらにファールとなった遊技球が通る経路にもファール球センサを設け、発射球センサ117が検出した遊技球数からファール球センサが検出した遊技球数を減算した値を、発射球数とするようにしてもよい。
【0096】
また、打球発射装置43は、遊技機1の下部に設けたが、これは、遊技機1の上部左側に設けるようにしてもよい。このように構成すると、遊技盤21から回収した遊技球(アウト球)を該上部左側に設けた打球発射装置43に揚送する球揚送装置が必要になるが、ファール球防止弁28や打球誘導レール3等が省略できる。また、この場合、発射球センサ117は、ファール球防止弁28の撓みを検出することに替えて、遊技領域5に打ち出された遊技球数を発射球数として直接検出するようにすればよい。
【0097】
また、遊技者が遊技機1を占有しているときに封入された遊技球数が過不足状態になっている旨を報知する第1報知処理における報知手段、及び遊技者が遊技機1を占有していないときに封入された遊技球数が過不足状態になっている旨を報知する第2報知処理における報知手段は、遊技機1の前面(ガラス扉枠17)に設けた第1不足LED150、第1超過LED151、第2不足LED152、第2超過LED153により構成し、これらのLED150、151、152、153を所定の色で且つ所定の点灯態様で駆動させることで、その異常内容が判別できるようにしたが、これは以下のようにしてもよい。
【0098】
即ち、報知手段は演出図柄表示装置6やスピーカ113を使用し、表示や音声で報知するようにしてもよい。例えば、報知内容としては、遊技機占有中であれば「遊技球数が多くなっています。遊技を停止します」「遊技球数が少なくなっています。遊技球を補充してください」、遊技機非占有中であれば「遊技球数が多くなっています。点検してください」「遊技球数が少なくなっています。点検してください」等が考えられ、これらの内容を表示と音声で報知する。そして、異常内容によって、例えば、演出図柄表示装置6にて文字や絵等で表示する場合には、文字色や絵を相違させたり、スピーカ113にて音声で報知する場合には、音声の声色を相違させたりするとよい。
【0099】
或いは、遊技機1に設けられた各種のLEDやランプ(例えば、保留LED25や遊技効果ランプ15)を、異常内容によって、所定の態様で点灯/点滅させて報知するようにしてもよく、さらには、外部端子板109を介してホール管理コンピュータや遊技機1の周辺機器(例えば、呼び出しランプ、台間装置、代表ランプ)に出力してその旨を報知させるようにしてもよい。このようにすれば、遊技場は、異常の内容をさらに容易に把握することができ、当該遊技機1の異常(遊技球の過不足状態)を早期に発見して対処すること可能となる。
【0100】
一方、第1報知処理における報知手段、及び第2報知処理における報知手段は、コスト削減のため、共通の報知手段とするようにしてもよい。例えば、遊技機1の前面(ガラス扉枠17)に上述した4つのLED150、151、152、153に替えて1つの異常LEDを設け、遊技者が遊技機1を占有しているときと占有していないとき、及び封入された遊技球数が不足状態のときと超過状態のときという異常内容を区別することなく、該異常LEDを点灯させて報知するようにしてもよい。或いは、2つの異常LEDを設け、遊技者が遊技機1を占有しているときと占有していないときを区別して、または封入された遊技球数が不足状態のときと超過状態のときを区別して、何れか一方の異常LEDを点灯させて異常内容が判るように報知するようにしてもよい。
【0101】
また、第1報知処理における報知手段により、遊技者が遊技機1を占有しているときに封入された遊技球数が過不足状態になっている旨が報知(第1不足LED150が赤色点滅または第1超過LED151が青色点滅)されたら、強制的に遊技を停止するようにしてもよい。具体的には、第1不足球検出センサ54からの第1不足異常信号または第1超過球検出センサ57からの第1超過異常信号がCPU80に入力されたら、打球発射装置43(発射ソレノイド43a、球送りソレノイド43b)の作動を強制的に停止するようにすればよい。
【0102】
また、第1不足球検出センサ54、第2不足球検出センサ55、第2超過球検出センサ56、第1超過球検出センサ57は、移動自在に構成するとよい。このようにすれば、第1不足位置、第2不足位置、第2超過位置、第1超過位置を所望の位置に容易に変更することができる。
【0103】
例えば、遊技者が遊技機1を占有しているときに有効な第1超過球検出センサ57は、上述した実施形態では規定の封入球数30個より4個多くなった球供給通路37の第1超過位置に設けたが、これは、球供給通路37内でこれ以上遊技球が整列したら、遊技球が溢れたり詰まったりして遊技に支障を来す球供給通路37の所定位置(遊技に支障を来す位置または直前の位置)に設けるようにしてもよい。このようにすれば、遊技者が遊技機1を占有しているときに、容易に封入球数が超過状態であると判定してその旨が報知され難くなり、その結果、遊技が中断されて遊技者が不快に感じてしまうことを低減できる。
【0104】
また、検出手段としての第1不足球検出センサ54、第2不足球検出センサ55、第2超過球検出センサ56、第1超過球検出センサ57は、有効、無効を設定するものについて説明したが、「検出手段」は常に有効であり、例えば以下の表のように、異常正常の判定をするものであってもよいし、これら4つの検出手段を全て使用して玉詰まり(発射側に近い検出手段で検出していないのに発射側から遠い検出手段で検出する場合)等の判定をするものであってもよい。
【0105】
【表1】
【0106】
また、遊技機1は、封入球数は30個として説明したが、これは限定することなく、例えば20〜50個くらいであってもよい。また遊技機1は、上述した実施形態ではパチンコ機で説明したが、これは限定するものではなく、例えばスロットマシンやアレパチ、雀球等の封入式の遊技機に本発明を適用するようにしてもよい。
【0107】
次に特許請求の範囲の構成と、本発明の実施形態との主な対応を説明する。
発射装置は、打球発射装置43に相当し、遊技領域は、遊技領域5に相当し、遊技機は、遊技機1に相当し、第1封入球量検出手段は、第1超過球検出センサ57に相当し、第2封入球量検出手段は、第2超過球検出センサ56に相当し、占有判定手段は、カードユニット70、CPU80が実行するメイン処理のステップS16に相当し、超過状態判定手段は、CPU80が実行する遊技機非占有処理のステップS24、S28、第2報知処理のステップS36、遊技機占有処理のステップS44、S48、第1報知処理のステップS56に相当し、球循環通路は、球供給通路37に相当し、第1報知手段は、第1超過LED151に相当し、第2報知手段は、第2超過LED153に相当し、ユニット装置は、カードユニット70に相当し、発射球検出手段は、発射球センサ117に相当する。
【符号の説明】
【0108】
1…遊技機、 2…打球操作ハンドル、
3…打球誘導レール、 4…遊技領域形成レール、
5…遊技領域、 6…演出図柄表示装置(LCD)、
7…大入賞口(アタッカ)、 8…左図柄表示部、
9…中図柄表示部、 10…右図柄表示部、
11…始動入賞口、 11a…チャッカー型始動入賞口、
11b…電動チューリップ型始動入賞口、 12…打球供給皿、
12a…蓋、 13…情報表示部、
14…普通入賞口、 15…遊技効果ランプ、
16…アウト口、 17…ガラス扉枠、
18…普通図柄表示装置、 18a…当りLED、
18b…はずれLED、 19…普通図柄作動ゲート、
20…風車、 21…遊技盤、
22…外枠、 23…内枠、
24…皿ユニット、 25…保留LED(特別図柄用)、
26…保留LED(普通図柄用)、 28…ファール球防止弁、
30…表示部、 31…可動物(オバケ型)、
32…可動物(星型)、 33…クレジット表示装置、
35…クレジット精算ボタン、 36…クレジットカード装置、
37…球供給通路、 38…球入口、
40…クレジット制御基板、 41…ベース板、
42…発射基板、 43…打球発射装置、
43a…発射ソレノイド、 43b…球送りソレノイド、
44…主制御基板、 45…表示集合板、
46…ラウンド表示装置、 46a、46b、46c…ラウンド表示LED、
47…特別図柄表示装置(7セグメントLED)、 48…確変時短表示装置、
48a…確変LED、 48b…時短LED、
49…球発射口、 50…発射レール、
51…演出ボタン、 53…電源基板、
54…第1不足球検出センサ、 55…第2不足球検出センサ、
56…第2超過球検出センサ、 57…第1超過球検出センサ、
58…返却ボタン、 59…球貸ボタン、
61…度数表示基板、 70…カードユニット、
80…CPU、 81…RAM、
82…ROM、 100…遊技機制御装置、
105…演出モータ、 106…大入賞口ソレノイド、
107…普通電動ソレノイド、 108…演出モータ、
109…外部端子板、 111…演出制御基板、
113…スピーカ、 116a、116b…始動入賞口スイッチ、
117…発射球センサ、 119…タッチセンサ、
120…発射停止スイッチ、 121…普通図柄作動ゲートスイッチ、
122a…左入賞口スイッチ、 122b…右入賞口スイッチ、
123…大入賞口スイッチ、 124…扉開放スイッチ、
125…枠開放スイッチ、 150…第1不足LED、
151…第1超過LED、 152…第2不足LED、
153…第2超過LED
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11