(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記判定手段は、上記原単位算出手段が算出した原単位が、当該原単位の管理基準値以下の場合、さらに、上記原単位算出手段が算出した原単位が、過去の原単位を超えているか否かを判定することを特徴とする請求項4に記載のエネルギー管理支援装置。
上記出力手段は、各種設備の原単位の判定結果、および、各種設備が設置されている領域の原単位の判定結果をマトリクス状で表示部に表示し、原単位が管理基準値を超えていることを示す判定結果を強調表示することを特徴とする請求項4に記載のエネルギー管理支援装置。
上記出力手段は、各種設備の原単位、および、各種設備が設置されている領域の原単位の少なくとも1つを時系列で表示部に表示することを特徴とする請求項2に記載のエネルギー管理支援装置。
上記出力手段は、原単位を時系列で表示するとともに、当該原単位の管理基準値および各種物理量の少なくとも1つを表示することを特徴とする請求項7に記載のエネルギー管理支援装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態について
図1から
図15に基づいて説明すると以下の通りである。
【0011】
〔エネルギー管理支援装置の使用態様について〕
まず、
図2に基づいて、本実施形態に係るエネルギー管理支援装置の使用態様について説明する。
図2は、本実施形態に係るエネルギー管理支援装置1の使用態様の一例を示す図である。
【0012】
エネルギー管理支援装置1は、生産設備、空調設備および一般設備のエネルギー使用状況を通知し、各設備および各設備が設置されている建屋全体のエネルギー効率の最適化を支援するものである。
図2に示すにように、本実施形態では、エネルギー管理支援装置1は、建屋6に設置されている生産設備3a〜3d、空調設備4a〜4dおよび一般設備5a〜5dの消費エネルギーを管理するものとする。
【0013】
なお、以下では、生産設備3a〜3dをそれぞれ区別しない場合、生産設備3a〜3dを総称して生産設備3と称する。また、空調設備4a〜4dをそれぞれ区別しない場合、空調設備4a〜4dを総称して空調設備4と称する。また、一般設備5a〜5dをそれぞれ区別しない場合、一般設備5a〜5dを総称して一般設備5と称する。
【0014】
生産設備3は、電気、ガス、燃料等のエネルギーを消費して動作するものであって、製品の生産活動に直接関係する設備である。生産設備6は、例えば、機械・装置類、治工具類、運搬・貯蔵施設等であり、1または複数の機器から成るものである。なお、生産設備3は、動力とも称する。
【0015】
空調設備4は、所定の空間の温湿度等を調整する設備である。空調設備4は、1または複数の熱源機、1または複数の冷温水ポンプ、1または複数の空調機(AHU:Air Handling Unit)等から構成される。なお、冷房の場合、熱源機には、例えば、冷却塔、冷却塔から冷凍機に冷却水を搬送する冷却水ポンプおよび冷凍機が含まれる。
【0016】
一般設備5は、生産設備3および空調設備4以外のエネルギー消費設備である。一般設備5は、例えば、照明設備や端末(PC等)などである。一般的に、生産設備3および空調設備4は、それぞれ独立した電源を備えており、生産設備3および空調設備4とは異なる電源(通常の電源)で動作する電気機器を一般設備5としてもよい。
【0017】
なお、生産設備3、空調設備4および一般設備5は、電気、ガス、燃料等の任意のエネルギーを消費して動作するものである。本実施形態では、各設備は、電気により動作する電気機器から構成されているとする。
【0018】
各種センサ2a〜2dは、各設備に関する物理量を計測(検知)するものである。例えば、各種センサ2a〜2dは、生産設備3、空調設備4および一般設備5の消費エネルギー、設備が設置されている所定の領域に存在する人の数、生産設備3が生産する生産数および生産品質等、並びに、建屋6内の所定の領域の温湿度および外気の温湿度等を計測(検知)する。各種センサ2a〜2dは、任意のネットワーク7(有線通信手段または無線通信手段)によって、エネルギー管理支援装置1とそれぞれ接続している。以下では、各種センサ2a〜2dをそれぞれ区別しない場合、各種センサ2a〜2dを総称して各種センサ2と称する。
【0019】
ここで、建屋への各種センサ2の設置例を
図3に基づいて説明する。
図3は、空調設備4が設置されている建屋における各種センサ2の設置例を示す図である。
【0020】
図3に示すように、空調設備4を構成する冷凍機、ポンプ、AHUに対して電力計が設置されている。また、ポンプからAHUに供給される流体の温度を計測する温度計、並びに、AHUから排出される流体の温度を計測する温度計および当該流体の流量を計測する流量計が設置されている。また、建屋の各階の温湿度を計測する温湿度計、および、屋外の温湿度を計測する温湿度計が設置されている。そして、図示のように、これらの各種センサ2は、エネルギー管理支援装置1とネットワークを介して接続される。
【0021】
なお、本実施形態では、エネルギー管理支援装置1が1つの建屋6に設置されている設備のエネルギーを管理しているが、これに限るものではない。エネルギー管理支援装置1は、複数の建屋6にそれぞれ設置されている設備のエネルギーを管理してもよい。この場合、エネルギー管理支援装置1は、建屋ごとのエネルギーを管理するとともに、複数の建屋の合計のエネルギーも管理することができる。
【0022】
また、エネルギー管理支援装置1は、生産設備3、空調設備4および一般設備5の3種の設備のエネルギーを管理しているがこれに限るものではない。エネルギー管理支援装置1は、複数種別の設備のエネルギーを管理するものであればよい。
【0023】
また、
図2に示す例では、各階に生産設備3、空調設備4および一般設備5がそれぞれ設置されているがこれに限るものではなく、各階に設置されている設備は任意でよい。
【0024】
また、
図2に示す例では、エネルギー管理支援装置1は、建屋6の外部に設置されているが、建屋6内に設置されていてもよい。
【0025】
〔エネルギー管理支援装置の構成〕
本発明に係るエネルギー管理支援装置1は、各種設備について、同一の単位の原単位を算出して、各種設備のエネルギー効率を比較する。これにより、各設備のエネルギー効率の最適化だけではなく、各設備が設置されている建屋全体のエネルギー効率の最適化を容易に図ることができる。
【0026】
次に、エネルギー管理支援装置1の構成について
図1に基づいて説明する。
図1に示すように、エネルギー管理支援装置1は、制御部11、記憶部12、データ入力部13、操作部14および表示部15を備えている。なお、エネルギー管理支援装置1は、通信部、音声入力部、音声出力部等の部材を備えていてもよい。
【0027】
データ入力部13は、各種センサ2が計測(検知)した物理量を示す時系列データ(センサデータ)を取得するためのインターフェースである。上述のように、データ入力部13と各種センサ2とは無線通信手段または有線通信手段によって接続されている。
【0028】
操作部14は、エネルギー管理支援装置1に指示信号を入力し、エネルギー管理支援装置1を操作するためのものである。操作部14は、キーボード、マウス、キーパッド、操作ボタンなどの入力機器等で構成されているものであってもよい。また、操作部14と表示部15とが一体となっているタッチパネルであってもよい。また、操作部14は、エネルギー管理支援装置1と別体のリモートコントローラ等の遠隔制御装置であってもよい。
【0029】
表示部15は、制御部11の指示に従って画像を表示するものである。表示部15は、制御部11の指示に従って画像を表示するものであればよく、例えば、LCD(液晶ディスプレイ)、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイなどを適用することが可能である。なお、本実施形態では、エネルギー管理支援装置1が表示部15を備えているが、これに限るものではない。例えば、エネルギー管理支援装置1は、エネルギー管理支援装置1と別体の表示装置に出力してもよい。
【0030】
制御部11は、記憶部12から一時記憶部(不図示)に読み出されたプログラムを実行することにより、各種の演算を行うと共に、エネルギー管理支援装置1が備える各部を統括的に制御するものである。
【0031】
本実施形態では、制御部11は、機能ブロックとして、センサデータ取得部(取得手段)21、原単位算出部(原単位算出手段)22、建屋データ登録部23、管理基準設定部(管理基準設定手段)24、判定部(判定手段)25および表示制御部(出力手段)26を備える構成である。これらの制御部11の各機能ブロック(21〜26)は、CPU(central processing unit)が、ROM(read only memory)等で実現された記憶装置に記憶されているプログラムをRAM(random access memory)等で実現された一時記憶部に読み出して実行することで実現できる。
【0032】
センサデータ取得部21は、データ入力部13を介して、各種センサ2から出力されるセンサデータを取得するものである。具体的には、センサデータ取得部21は、センサデータとして、生産設備3の消費電力を示す生産電力データ、空調設備4の消費電力を示す空調電力データ、一般設備5の消費電力を示す一般電力データ、設備が設置されている所定の領域に存在する人の数を示す人数データ、生産設備3が生産する生産数および生産品質等を示す生産データ、並びに、建屋6内の所定の領域の温湿度および外気の温湿度等を示す環境データ等を取得する。
【0033】
センサデータ取得部21は、取得したセンサデータを原単位算出部22に出力する。また、センサデータ取得部21は、取得したセンサデータを記憶部12に格納してもよい。
【0034】
なお、センサデータ取得部21は、少なくとも各種設備の消費エネルギーを示すデータを取得すればよい。
【0035】
原単位算出部22は、センサデータ取得部21からセンサデータを取得するとともに、記憶部12から建屋データ(詳細は後述)を読み出し、センサデータおよび建屋データに基づいて、生産設備3、空調設備4および一般設備5の原単位(kWh/m
2)を算出するものである。また、原単位算出部22は、所定の領域(例えば、建屋6全体、或るフロア、或る部屋)の原単位(kWh/m
2)を算出するものである。なお、具体的な原単位の算出方法について、詳細は後述する。
【0036】
原単位算出部22は、算出した生産設備3、空調設備4および一般設備5、並びに、建屋6全体の原単位等を判定部25に出力する。また、原単位算出部22は、算出した原単位を示す原単位データを、時系列データとして記憶部12に格納してもよい。
【0037】
建屋データ登録部23は、ユーザから、生産設備3、空調設備4および一般設備5のグルーピングが操作部14を介して入力されると、各設備のグルーピングを示すグループデータを生成する。また、建屋データ登録部23は、ユーザから、建屋6の各フロアを分割した単位である部屋の床面積が操作部14を介して入力されると、各部屋の床面積を示す床面積データを生成する。建屋データ登録部23は、生成したグループデータおよび床面積データを含む建屋データを記憶部12に格納する。
【0038】
なお、グルーピングに関して、生産設備3、空調設備4および一般設備5をそれぞれフロア単位でグループ化してもよい。例えば、生産設備3を、建屋6の1階の生産設備3a、建屋6の2階の生産設備3b、建屋6の3階の生産設備3c、建屋6の4階の生産設備3dの4つに分類してもよい。さらに、或るフロアにある生産設備3を、製品の生産工程を機能的に分割した単位であるライン単位でグループ化してもよい。例えば、建屋6の2階の生産設備3bを、2つのラインBとラインCとに分類してもよい。さらに、ラインを構成する生産設備3を、1または複数の装置からなる装置群単位でグループ化してもよい。また、或るフロアにある空調設備4および一般設備5を、当該フロアを分割した部屋単位でそれぞれグループ化してもよい。例えば、建屋6の3階に「北A」、「北B」、「南」の3つの部屋がある場合、空調設備4cおよび一般設備5cをそれぞれ部屋単位で3つに分類してもよい。
【0039】
換言すると、生産設備3、空調設備4および一般設備5をそれぞれ1または複数の階層でグループ化してもよい。具体的には、本実施形態では、生産設備3は、建屋6単位、フロア単位、ライン単位、装置群単位の4階層のそれぞれでグループ化する。また、空調設備4および一般設備5は、それぞれ、建屋6単位、フロア単位、部屋単位の3階層のそれぞれでグループ化する。ここで、各グループには、生産設備3、空調設備4または一般設備5が1または複数含まれている。また、或るグループの階層下のグループをサブグループと称する。例えば、建屋6の生産設備3のサブグループは、1階〜4階の各フロアの生産設備3である。
【0040】
管理基準設定部24は、ユーザから管理基準値が入力されると、管理基準値を示す管理基準データを生成する。管理基準設定部24は、生成した管理基準データを判定部25に出力する。また、管理基準設定部24は、生成した管理基準データを表示制御部26に出力してもよい。また、管理基準設定部24は、生成した管理基準データを記憶部12に格納してもよい。
【0041】
ここで、管理基準値とは、原単位算出部22が算出した原単位の値(原単位値)の良し悪しを判定するための基準値(目標値)である。原単位(kWh/m
2)は、小さいほどよい値である。そのため、設備の原単位の値が管理基準値を超えると、当該設備の効率が悪いことを示し、設備の原単位の値が管理基準値以下の場合、当該設備の効率が良いまたは許容範囲にあることを示す。
【0042】
なお、ユーザが建屋6全体の管理基準値、建屋6全体における生産設備3、空調設備4および一般設備5の管理基準値、並びに、生産設備3、空調設備4および一般設備5のグループ毎の管理基準値を入力し、管理基準設定部24がユーザの入力に基づいて各管理基準値を設定してもよい。また、管理基準設定部24は、ユーザから建屋6全体の管理基準値が入力されると、入力された建屋6全体の管理基準値に基づいて、生産設備3、空調設備4および一般設備5の管理基準値、並びに、生産設備3、空調設備4および一般設備5のグループ毎の管理基準値を算出してもよい。
【0043】
例えば、管理基準設定部24は、建屋6の原単位に対する建屋6全体における各種設備の原単位の割合と、ユーザから入力された建屋6全体の管理基準値とに基づいて、建屋6全体における各種設備の原単位の管理基準値をそれぞれ設定する。具体的には、建屋6の原単位に対する建屋6全体における生産設備3、空調設備4および一般設備5の原単位の割合が、それぞれ、40%、50%、10%であるとする。この場合、建屋6全体の管理基準値として150kWh/m
2が入力されると、生産設備3、空調設備4および一般設備5の原単位の管理基準値を60kWh/m
2,75kWh/m
2,15kWh/m
2として設定する。なお、建屋6の原単位に対する建屋6全体における各種設備の原単位の割合は、記憶部12に格納されている原単位データを参照して、過去の原単位の履歴から算出してもよい。
【0044】
また、例えば、管理基準設定部24は、建屋6の延べ床面積に対する建屋6内の各領域の延べ床面積の割合と、ユーザから入力された建屋6全体の管理基準値とに基づいて、建屋6内の各領域の原単位の管理基準値をそれぞれ設定する。具体的には、建屋6の延べ床面積に対する建屋6内の各領域X,Y,Zの延べ床面積の割合が、それぞれ、30%、40%、30%であるとする。この場合、建屋6全体の管理基準値として150kWh/m
2が入力されると、各領域X,Y,Zの原単位の管理基準値を45kWh/m
2,60kWh/m
2,45kWh/m
2として設定する。
【0045】
また、管理基準設定部24は、記憶部12に格納されている原単位データを参照して、過去の原単位値に基づいて、建屋6全体の管理基準値、建屋6全体における生産設備3、空調設備4および一般設備5の管理基準値、並びに、生産設備3、空調設備4および一般設備5のグループ毎の管理基準値、並びに、建屋6を所定の単位で分割した各領域の管理基準値を設定してもよい。例えば、管理基準設定部24は、過去の原単位値の平均値+αの値をそれぞれの管理基準値として設定してもよい。
【0046】
判定部25は、原単位算出部22が算出した生産設備3、空調設備4および一般設備5、並びに、建屋6全体の原単位の各値がそれぞれ、対応する管理基準値を超えているか否かを判定するものである。判定部25は、判定結果を表示制御部26に出力する。
【0047】
また、判定部25は、原単位算出部22が算出した生産設備3、空調設備4および一般設備5、並びに、建屋6全体の原単位の各値がそれぞれ、前日、前週、前月または前年の原単位値を超えているか否かを判定してもよい。具体的には、判定部25は、当日の一日平均の原単位(kWh/m
2)と、前日、前週、前月または前年の一日平均の原単位(kWh/m
2)とを比較して判定する。また、判定部25は、当日の一日平均の原単位(kWh/m
2)と、前年同月または前年同日の一日平均の原単位(kWh/m
2)とを比較して判定してもよい。
【0048】
表示制御部26は、判定部25から判定結果を取得して、取得した判定結果を表示部15に表示するものである。表示制御部26は、その他、原単位算出部22が算出した原単位の時系列データや、センサデータ取得部21が取得したセンサデータ等を表示してもよい。表示制御部26が表示部15に表示する具体的な表示内容は後述する。
【0049】
なお、本実施形態では、表示制御部26が各種データを表示部に表示してユーザに提示しているが、ユーザに提示する手法はこれに限るものではない。例えば、音などによってユーザに判定結果、原単位等を通知してもよい。
【0050】
記憶部12は、制御部11が参照するプログラムやデータ等を格納するものであり、例えば、上記のセンサデータ31、原単位データ32、管理基準データ33、建屋データ34等を格納している。
【0051】
〔エネルギー管理支援装置の処理例〕
次に、
図4に基づいて、エネルギー管理支援装置1の処理例について説明する。
図4は、エネルギー管理支援装置1の処理例を示すフローチャートである。
【0052】
図4に示すように、まず、センサデータ取得部21は、データ入力部13を介して、各種センサ2から出力されるセンサデータを取得する(S1)。原単位算出部22は、センサデータおよび建屋データに基づいて、生産設備3、空調設備4および一般設備5、並びに、建屋6全体の原単位を算出する(S2)。次に、判定部25は、原単位算出部22が算出した生産設備3、空調設備4および一般設備5、並びに、建屋6全体の原単位の各値がそれぞれ、対応する管理基準値を超えているか否か等を判定する(S3)。そして、表示制御部26は、その判定結果を表示部15に表示する(S4)。
【0053】
ここで、ユーザから表示内容を変更する指示が入力されると(S5でYES)、表示制御部26は、ユーザの指示に応じて、表示内容を変更して表示する(S6)。
【0054】
なお、表示制御部26が表示する表示画面例について詳細は後述する。
【0055】
〔原単位の算出方法〕
本発明では、各種設備を容易に比較できるようにするために、各種設備の原単位を統一し、設備の消費エネルギーを設備の延べ床面積で除算したものを設備の原単位とする。本実施形態では、各種設備の消費エネルギーは電気エネルギーであるため、原単位の単位は、kWh/m
2とする。なお、消費エネルギーを費用に換算して、設備の消費コストを設備の延べ床面積で除算したものを設備の原単位としてもよい。
【0056】
換言すると、本発明における原単位とは、各種設備が設置されている領域の大きさに対する各種設備の消費エネルギーの大きさである。
【0057】
ここで、設備の延べ床面積とは、生産設備3、空調設備4または一般設備5が設置されている領域の延べ床面積である。例えば、建屋6の3階が「北A」、「北B」、「南」の3部屋に分割されており、「北A」が10m
2、「北B」が15m
2、「南」が20m
2であるとする。また、「北A」には、生産設備3が2つ、空調設備4が2つ、照明設備が3つ設置されており、「北B」には、生産設備3が1つ、空調設備4が3つ、照明設備が3つ設置されており、「南」には、生産設備3が無く、空調設備4が4つ、照明設備が4つ設置されているとする。この場合、3階における各種設備の延べ床面積は、生産設備3が25m
2(「北A」+「北B」)、空調設備4が45m
2(「北A」+「北B」+「南」)、一般設備5が45m
2(「北A」+「北B」+「南」)となる。
【0058】
このようにして、各種設備の原単位を算出し、
図5に示すように、生産設備3の原単位(生産原単位)、空調設備4の原単位(空調原単位)および一般設備5の原単位(一般原単位)の合計を建屋6全体の原単位とする。なお、ここでは、建屋6全体の生産原単位、空調原単位および一般原単位を算出しているが、これに限るものではない。例えば、グループ単位(フロア単位、部屋単位またはライン単位等)の原単位を算出してもよい。
【0059】
また、所定の領域の原単位を算出してもよい。例えば、或るフロアの原単位は、当該フロアに設置されている生産設備3、空調設備4および一般設備5の原単位の合計として算出する。ここでは、所定の領域とは、建屋6全体、建屋6内の或るフロアまたはフロアを分割した或る部屋を意味する。
【0060】
また、生産原単位、空調原単位および一般原単位のそれぞれは、複数の要素で表されるものとする。これに関して、
図6〜
図8に基づいて説明する。なお、ここでは、建屋6はN個の領域に分割されており、建屋6には、生産設備3がL個設置されているとする。
【0061】
まず、
図6に示すように、空調原単位は、「延べ床面積あたりの空調需要」、「建屋の冷房/暖房効率」および「空調設備効率」の積で表される。さらに、「空調設備効率」は、熱源機の効率である「変換効率」、ポンプ等の搬送系の効率である「搬送効率」、および、AHUの効率である「AHU効率」の和である。つまり、空調原単位は、「延べ床面積あたりの空調需要」、「建物の冷房/暖房効率」、「変換効率」、「搬送効率」および「AHU効率」の5つの要素から構成される。
【0062】
具体的に、「延べ床面積あたりの空調需要」は、「単位時間あたりの外気エンタルピと屋内エンタルピとの差」×「建屋の空間体積」/「建屋の延べ床面積」で算出される。また、「建物の冷房/暖房効率」は、「空調負荷」/(「単位時間あたりの外気エンタルピと屋内エンタルピとの差」×「建屋の空間体積」)で算出される。また、「変換効率」は、「熱源機の消費エネルギー」/「空調負荷」で算出される。また、「搬送効率」は、「搬送系の消費エネルギー」/「空調負荷」で算出される。また、「AHU効率」は、「領域iにおけるAHUの消費エネルギー」/「領域iにおける空調負荷」の総和で算出される。
【0063】
なお、
図6に示す例では、建屋6全体の空調原単位の要素を算出するため、「建屋の空間体積」を用いているが、フロア単位または部屋単位の空調原単位の要素を算出する場合、「フロアの空間体積」または「部屋の空間体積」を代わりに用いればよい。
【0064】
次に、
図7に示すように、一般原単位は、「領域iに存在する人あたりの領域iに設置されている一般設備の消費エネルギー」と「延べ床面積あたりの領域iに存在する人数」との積の総和で表される。つまり、一般原単位は、「領域iに存在する人あたりの領域iに設置されている一般設備の消費エネルギー」と「延べ床面積あたりの領域iに存在する人数」との2つの要素から構成される。
【0065】
具体的に、「領域iに存在する人数あたりの領域iに設置されている一般設備の消費エネルギー」は、「領域iに設置されている一般設備の消費エネルギー」/「領域iに存在する人数」で算出される。また、「延べ床面積あたりの領域iに存在する人数」は、「領域iに存在する人数」/「延べ床面積」で算出される。
【0066】
次に、
図8に示すように、生産原単位は、「生産設備kのエネルギー効率」と「生産設備kが設置されている領域の面積あたりの生産効率」との積の総和で表される。つまり、生産原単位は、「生産設備kのエネルギー効率」と「生産設備kが設置されている領域の面積あたりの生産効率」との2つの要素から構成される。
【0067】
具体的に、「生産設備kのエネルギー効率」は、「生産設備kの消費エネルギー」/「生産設備kの総合設備効率」で算出される。また、「生産設備kが設置されている領域の面積あたりの生産効率」は、「生産設備kの総合設備効率」/「生産設備kが設置されている領域の面積」で算出される。
【0068】
ここで、「総合設備効率」は、OEE(Overall Equipment Effectiveness)であり、「稼働率」×「性能」×「品質」で算出されるものである。「稼働率」とは、OEE指標の一部であり、スケジュール上の稼動予定時間のうち実際に生産設備が稼動している時間の割合を表す。また、「性能」とは、OEE指標の一部であり、生産設備の設計上の製造速度に対する実際の製造速度の比率を表す。「品質」とは、OEE指標の一部であり、全生産数に対する良品数の割合を表す。
【0069】
なお、「生産設備kのエネルギー効率」は、設備総合効率を向上させるか、もしくは、消費電力量を下げることで向上する値である。そのため、運用改善(稼働率を上げる・歩留りを上げる)やエネルギー効率の高い設備に入れ替えることなどにより、「生産設備kのエネルギー効率」を改善することができる。
【0070】
また、「生産設備kが設置されている領域の面積あたりの生産効率」は、設備総合効率を向上させるか、もしくは、生産設備の設置面積を減らすことで向上する値である。そのため、運用改善の他、コンパクトな生産設備に変更するなどにより、「生産設備kが設置されている領域の面積あたりの生産効率」を改善することができる。
【0071】
後述するように、エネルギー管理支援装置1が各種設備の原単位の要素の変化をユーザに通知することにより、ユーザは、各種設備の効率低下の原因を容易に分析・特定することができる。
【0072】
〔表示画面例〕
次に、表示制御部26が表示部15に表示する表示画面例について
図9〜
図15に基づいて説明する。
図9〜
図15は、表示制御部26が表示部15に表示する表示画面例を示す図である。なお、以下に示す表示画面は、単なる例示であり、ユーザの目的に応じて適宜変更可能すべきものである。
【0073】
まず、表示制御部26が判定部25が判定した判定結果を表示部15に表示する際の表示画面例(全体監視画面)について
図9に基づいて説明する。ここでは、建屋6全体における各種設備の原単位および建屋6全体の原単位だけではなく、各種設備のグループ毎の原単位および各階および各部屋の原単位(フロア原単位、部屋原単位)を算出するものとする。また、各原単位は、一日の平均の原単位(kWh/m
2)を算出するものとする。
【0074】
このとき、表示制御部26は、
図9に示すように、各種設備と、建屋6の階層をマトリクス状に表示する。このとき、表示制御部26は、判定結果に基づいて、原単位値が管理基準値以下であり、かつ、前日の原単位値以下である場合、該当箇所を青色で表示し、原単位値が管理基準値以下であり、かつ、前日の原単位値を超えている場合、該当箇所を黄色で表示し、原単位値が管理基準値を超えている場合、該当箇所を赤色で表示する。
【0075】
具体的には、
図9に示す例では、建屋6全体の空調原単位、3階の空調原単位、建屋6全体の生産原単位および3階のフロア原単位のセルが黄色で表示されており、2階の生産原単位、2階のフロア原単位および建屋6の原単位が赤色で表示されている。
【0076】
図9に示す全体監視画面が表示されている際に、ユーザが監視単位を変更した場合(前週チェックボックスまたは前月チェックボックスがクリックされた場合)、判定部25は、比較対象を変更して再度判定を行い、表示制御部26に判定結果を通知する。そして、表示制御部26は、通知された判定結果を表示する。なお、判定部25が事前に前日、前週、前月等の比較対象すべてについて判定を行い、表示制御部26に通知していてもよい。この場合、表示制御部26は、ユーザからの操作指示に基づいて、表示画面を変更する。
【0077】
次に、原単位の時間的な変化を示す表示画面例(トレンド監視画面)について
図10に基づいて説明する。
図9に示す全体監視画面が表示されている際に、ユーザがトレンド監視タブをクリックすると、表示制御部26は、
図10に示すトレンド監視画面を表示する。
【0078】
図10に示すように、トレンド監視画面では、当日を含めた6日間の一日平均の原単位を表示する。また、画面の上段に、建屋6全体における生産原単位、空調原単位および一般原単位、並びに、建屋6の原単位を積み上げ棒グラフで示し、画面の下段に、各階のフロア原単位および建屋6の原単位を積み上げ棒グラフで示している。
【0079】
なお、
図10に示す例では、6日間分の原単位を表示しているが、「前日」が選択された場合、当日を含めた7日間(1週間)の一日平均の原単位(7本の棒グラフ)を表示してもよい。また、「前週」が選択された場合、当日の週を含めた5週分の原単位(5本の棒グラフ)を表示してもよい。また、「前月」が選択された場合、当日の月を含めた6か月分の原単位(6本の棒グラフ)を表示してもよい。また、ユーザが「前日」、「前週」、「前月」それぞれのトレンド監視の表示期間を設定してもよい。
【0080】
また、
図9に示す全体監視画面において、黄色または赤色で表示されているものに対しては、トレンド監視画面上において、黄色枠または赤色枠で点滅表示される。具体的には、当日(2012年8月2日)の建屋6全体の空調原単位、建屋6全体の生産原単位および3階のフロア原単位の箇所が黄色枠で点滅表示され、当日(2012年8月2日)2階のフロア原単位の箇所が赤色枠で点滅表示される。
【0081】
さらに、
図10に示すように、棒グラフに重ねて、建屋6の原単位の管理基準値を表示する。
【0082】
また、
図10に示すトレンド監視画面が表示されている際に、ユーザが原単位の表示単位を変更した場合(円/m
2チェックボックスがクリックされた場合)、表示制御部26は、原単位の単位を変更して表示する。
【0083】
このように、全体監視画面およびトレンド監視画面では、建屋6の原単位の増加の主要因と考えられる箇所(赤色セルおよび黄色セル)を示すことができる。基本的に、管理基準値を超えている箇所を優先的に改善すべきであるが、投資対効果や実現性の観点から黄色セルの箇所を改善することが好ましい場合もある。
【0084】
そこで、次に、どの箇所の効率向上に取り組むのが好ましいかを判断するために、原単位の増加箇所を比較する比較分析画面例について
図11および
図12に基づいて説明する。
【0085】
図9に示す全体監視画面が表示されている際に、ユーザが複数のセルを選択すると、表示制御部26は、比較分析画面を表示する。ここでは、
図11に示すように、ユーザが3階の空調原単位の黄色セルと、2階の生産原単位の赤色セルを選択したとする。このとき、表示制御部26が表示する画面例を
図12に示す。
【0086】
図12に示すように、表示制御部26は、画面の左側に、空調設備4、一般設備5および生産設備3の階層構造を表示する。ここでは、ユーザが3階の空調原単位の黄色セルと、2階の生産原単位の赤色セルを選択したため、3階の空調設備のサブグループ(3階の部屋)および2階の生産設備のサブグループ(2階のライン)が表示される。
【0087】
さらに、
図12に示すように、ユーザが選択した3階の各部屋の空調原単位うち、3階の空調原単位に対する割合が最も大きい原単位である部屋が強調して表示される。具体的には、空調設備4の3階の「北A」の文字が太字で表示される。生産設備3に関しても同様に、ユーザが選択した2階の各ラインの生産原単位のうち、2階の生産原単位に対する割合が最も大きい原単位であるラインが強調して表示される。
図12に示す例では、生産設備3の2階の「ラインC」の文字が太字で表示される。
【0088】
また、
図12に示すように、表示制御部26は、画面の右上段に、ユーザが選択した3階の空調原単位および2階の生産原単位を時系列で表示する。また、3階の空調原単位の管理基準値および2階の生産原単位の管理基準値も重畳して表示する。
【0089】
また、
図12に示すように、表示制御部26は、画面の右下段に、ユーザが選択した3階の各部屋の空調原単位うち、3階の空調原単位に対する割合が最も大きい原単位と、ユーザが選択した2階の各ラインの生産原単位のうち、2階の生産原単位に対する割合が最も大きい原単位とを時系列で表示する。
【0090】
このように、原単位の増加箇所およびそのサブグループを比較して表示することにより、どの箇所に対して改善対策を施せばよいかをユーザが容易に判断することができる。ここでは、2階のラインCの生産設備3が急激に増加しているため、2階のラインCの生産設備3が原単位悪化の原因と考え、より詳細な原因を特定するために2階のラインCの生産設備3の原因分析を行うものとする。
【0091】
そこで、次に、より詳細な原因を特定するために、原単位の増加箇所の詳細な原因を分析する原因分析画面例について
図13〜
図15に基づいて説明する。
【0092】
図9に示す全体監視画面が表示されている際に、ユーザが1つのセルを選択すると、表示制御部26は、原因分析画面を表示する。ここでは、
図13に示すように、ユーザが2階の生産原単位の赤色セルを選択したとする。このとき、表示制御部26が表示する画面例を
図14に示す。
【0093】
図14に示すように、表示制御部26は、画面の左側に、空調設備4、一般設備5および生産設備3の階層構造を表示する。ここでは、ユーザが2階の生産原単位の赤色セルを選択したため、2階の生産設備3のサブグループ(2階のライン)が表示される。さらに、2階の「ラインC」の生産設備3のサブグループ(ラインCを構成する装置)が表示される。
【0094】
さらに、
図14に示すように、ユーザが選択した2階の各ラインの生産原単位のうち、2階の生産原単位に対する割合が最も大きい原単位であるラインおよび当該ラインを構成する装置が強調して表示される。
図14に示す例では、生産設備3の2階の「ラインC」並びに「装置A」、「装置B」および「装置C」の文字が太字で表示される。さらに、後述のように、装置Bが原単位の増加の主要因と考えられるため、「装置B」の文字に下線が付されている。
【0095】
また、
図14に示すように、表示制御部26は、画面の右上段に、ユーザが選択した2階の生産原単位のサブグループ(2階のライン)の原単位を積み上げ棒グラフで時系列に表示する。また、2階の生産原単位の管理基準値も重畳して表示する。さらに、ここでは、ラインCの生産設備の原単位の値が管理基準値を超えているため、当日(2012年8月2日)のラインCの生産設備3の原単位の箇所が赤色枠で点滅表示される。
【0096】
また、
図14に示すように、表示制御部26は、画面の右下段に、ラインCを構成する装置A〜Cの原単位を棒グラフで時系列に表示する。また、装置A〜Cの設備総合効率を折れ線グラフで表示する。ここで、当日の装置Bの設備総合効率が予め定めた閾値以下となっているため、装置Bの設備総合効率を示すグラフの当日部分が赤色枠で点滅表示される。
【0097】
このように、原単位の増加箇所の階層下のサブグループの原単位および設備総合効率等の各種物理量を表示することにより、どの箇所に対して改善対策を施せばよいかをユーザが容易に判断することができる。ここでは、2階のラインCの装置Bの設備総合効率が急激に悪化しているため、2階のラインCの装置Bが原単位悪化の原因として特定することができる。
【0098】
また、別例として、ユーザが3階の空調原単位のセルを選択した場合を説明する。このときの原因分析画面例を
図15に示す。
【0099】
図15に示すように、表示制御部26は、画面の左側に、空調設備4、一般設備5および生産設備3の階層構造を表示する。ここでは、ユーザが3階の空調原単位のセルを選択したため、3階の空調設備4のサブグループ(3階の部屋)が表示される。
【0100】
さらに、
図15に示すように、ユーザが選択した3階の各部屋の空調原単位のうち、3階の空調原単位に対する割合が最も大きい原単位である部屋が強調して表示される。具体的には、空調設備4の3階の「北A」の文字が太字で表示される。
【0101】
また、
図15に示すように、表示制御部26は、画面の右上段に、建屋6全体の空調原単位を構成する要素のうち、変換効率、搬送効率およびAHU効率の要素値を積み上げ棒グラフで時系列に表示する。さらに、3階の空調原単位を構成する要素であるAHU効率の要素値を重畳して表示する。ここでは、3階の空調原単位を構成する要素であるAHU効率の要素値が予め定めた閾値を下回っているため、当日(2012年8月2日)の3階の空調原単位を構成する要素であるAHU効率の箇所が赤色枠で点滅表示される。
【0102】
また、
図15に示すように、表示制御部26は、画面の右下段に、3階の空調設備3の消費電力量、並びに、3階における外気エンタルピおよび内気エンタルピを時系列で表示する。画面右下段のグラフを参照することにより、当日の3階における内気エンタルピが低下したことによって、AHUの電力量が増えたと判断することができる。
【0103】
なお、このように、表示制御部26は、判定結果や原単位だけではなく、管理基準値や原単位の要素も合わせて表示する。それに加えて、表示制御部26は、センサデータ取得部が取得したセンサデータおよびセンサデータ等から算出される設備総合効率等の各種物理量を表示する。
【0104】
〔ソフトウェアによる実現例〕
エネルギー管理支援装置1の制御ブロック(特に制御部11)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0105】
後者の場合、エネルギー管理支援装置1は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムおよび各種データがコンピュータ(またはCPU)で読み取り可能に記録されたROM(Read Only Memory)または記憶装置(これらを「記録媒体」と称する)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを備えている。そして、コンピュータ(またはCPU)が上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0106】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係るエネルギー管理支援装置は、所定の領域に設置されている空調設備、生産設備および一般設備の少なくとも2種の設備の消費エネルギーを管理するためのエネルギー管理支援装置であって、各種設備の消費エネルギーを取得する取得手段と、上記取得手段が取得した各種設備の消費エネルギーに基づいて、各種設備が設置されている領域の大きさに対する各種設備の消費エネルギーの大きさを、各種設備の原単位としてそれぞれ算出する原単位算出手段と、上記原単位算出手段が算出した少なくとも2種の設備の原単位を出力する出力手段とを備えている。
【0107】
上記の構成によれば、上記原単位算出手段が空調設備、生産設備および一般設備の原単位を統一して算出する。すなわち、各種設備の原単位が同じ指標であるため、各種設備を容易に比較することができる。したがって、ユーザは、上記出力手段が出力する各種設備の原単位を参照することにより、どの設備の効率が悪化しているかの判断や、悪化原因の絞り込みを容易に行うことができるという効果を奏する。
【0108】
本発明の態様2に係るエネルギー管理支援装置は、上記態様1において、原単位の良し悪しを判定するための管理基準値を設定する管理基準設定手段をさらに備え、上記原単位算出手段は、所定の領域の原単位を、当該領域に設置されている各種設備の原単位の合計として算出し、上記管理基準設定手段は、各種設備の原単位の管理基準値または各種設備が設置されている領域の原単位の管理基準値を、上記原単位算出手段が以前に算出した各種設備の原単位に基づいて設定してもよい。
【0109】
上記の構成によれば、上記算出手段は、所定の領域の原単位を、当該領域に設置されている各種設備の原単位の合計として算出する。そのため、各種設備が設置されている建屋、フロア、部屋等の領域単位の効率の良し悪しを判断することができる。また、複数の領域間の比較もすることができる。したがって、ユーザは、どの領域の効率が悪化しているか等を容易に判断することができる。
【0110】
上記の構成によれば、上記管理基準設定手段は、各種設備の原単位の過去の履歴に基づいて、当該各種設備の原単位の管理基準値または当該各種設備が設置されている領域の原単位の管理基準値を設定する。上述のように、領域の原単位を、当該領域に設置されている各種設備の原単位の和としているため、過去の履歴に基づいて、各種設備の原単位の管理基準値だけではなく、領域の原単位の管理基準値も自動で設定することができる。
【0111】
本発明の態様3に係るエネルギー管理支援装置は、上記態様1において、ユーザからの操作指示を受け付ける入力部と、原単位の良し悪しを判定するための管理基準値を設定する管理基準設定手段とをさらに備え、上記原単位算出手段は、所定の領域の原単位を、当該領域に設置されている各種設備の原単位の合計として算出し、ユーザから、各種設備が設置されている領域の原単位の管理基準値が入力されると、上記管理基準設定手段は、上記領域の原単位に対する上記領域内の各種設備の原単位の割合と、入力された管理基準値とに基づいて、上記領域内の各種設備の原単位の管理基準値をそれぞれ設定してもよい。
【0112】
上記の構成によれば、上記管理基準設定手段は、ユーザから入力された領域の原単位の管理基準値と、上記領域の原単位に対する上記領域内の各種設備の原単位の割合とに基づいて、上記領域内の各種設備の原単位の管理基準値をそれぞれ設定する。
【0113】
従来では、建屋等の領域の原単位および各種設備の原単位の単位がそれぞれ異なっており、基準となるものが異なっているため、管理基準値等の目標値をそれぞれ個別に設定していた。すなわち、管理基準値の設定作業が煩雑であった。
【0114】
しかしながら、本発明では、各原単位が統一されており、領域の原単位を各種設備の原単位の和としているため、ユーザは、領域の原単位の管理基準値を入力するだけで、当該領域に設置されている各種設備の原単位の管理基準値を設定することができる。すなわち、管理基準値の設定が容易になる。
【0115】
本発明の態様4に係るエネルギー管理支援装置は、上記態様2において、上記原単位算出手段が算出した原単位が、当該原単位の管理基準値を超えているか否かを判定する判定手段をさらに備え、上記出力手段は、上記判定手段の判定結果を通知してもよい。
【0116】
上記の構成によれば、上記出力手段は、各種設備の原単位または領域の原単位が、管理基準値を超えているか否かを通知する。そのため、ユーザは、この通知により、どの設備またはどの領域の効率が悪化しているかを容易に特定することができる。
【0117】
本発明の態様5に係るエネルギー管理支援装置は、上記態様4において、上記判定手段は、上記原単位算出手段が算出した原単位が、当該原単位の管理基準値以下の場合、さらに、上記原単位算出手段が算出した原単位が、過去の原単位を超えているか否かを判定してもよい。
【0118】
上記の構成によれば、上記出力手段は、各種設備の原単位または領域の原単位が、管理基準値以下のものに対して、さらに、過去の原単位(例えば、前日の原単位)を超えているか否かを通知する。そのため、ユーザは、この通知により、どの設備またはどの領域の効率が悪化しているかを容易に特定することができる。
【0119】
本発明の態様6に係るエネルギー管理支援装置は、上記態様4において、上記出力手段は、各種設備の原単位の判定結果、および、各種設備が設置されている領域の原単位の判定結果をマトリクス状で表示部に表示し、原単位が管理基準値を超えていることを示す判定結果を強調表示してもよい。
【0120】
本発明の態様7に係るエネルギー管理支援装置は、上記態様2において、上記出力手段は、各種設備の原単位、および、各種設備が設置されている領域の原単位の少なくとも1つを時系列で表示部に表示してもよい。
【0121】
上記の構成によれば、ユーザは、各種設備の原単位および領域の原単位の時間的な変化を容易に把握することができる。よって、ユーザは、どの設備またはどの領域の効率が悪化しているかを容易に特定することができる。
【0122】
本発明の態様8に係るエネルギー管理支援装置は、上記態様7において、各種設備は、それぞれ、1または複数の階層でそれぞれグループ化されており、上記原単位算出手段は、各種設備について、グループ毎の原単位をそれぞれ算出し、上記出力手段は、各種設備の何れかの所定のグループの原単位を時系列で表示部に表示する場合、当該グループの階層下のサブグループの原単位のうち、当該グループの原単位に対する割合が最も大きいサブグループを通知してもよい。
【0123】
上記の構成によれば、ユーザは、例えば、所定のグループの原単位が悪化している場合、通知されたサブグループがその悪化の主要因であると容易に判断することができる。すなわち、所定のグループのうち、どのサブグループに対して改善策を施すべきかを容易に判断することができる。
【0124】
本発明の態様9に係るエネルギー管理支援装置は、上記態様7において、上記出力手段は、原単位を時系列で表示するとともに、当該原単位の管理基準値および各種物理量の少なくとも1つを表示してもよい。
【0125】
上記の構成によれば、ユーザは、各種設備の原単位および領域の原単位が管理基準値を超えているか否かと共に、原単位の変化と各種物理量の変化との因果関係を容易に把握することができる。
【0126】
本発明の態様10に係るエネルギー管理支援装置は、上記態様1において、各種設備の原単位は、それぞれ複数の要素から成り、上記原単位算出手段は、各種設備の原単位を構成する各要素の要素値をそれぞれ算出し、上記出力手段は、上記原単位算出手段が算出した各種設備の原単位を構成する各要素の少なくとも1つの要素値を時系列で表示部に表示してもよい。
【0127】
上記の構成によれば、ユーザは、各種設備の原単位を構成する要素および領域の原単位を構成する要素の時間的な変化を容易に把握することができる。そのため、ユーザは、原単位の悪化原因がどの要素に起因するかを容易に判断することができる。
【0128】
本発明の態様11に係るエネルギー管理支援装置の制御方法は、所定の領域に設置されている空調設備、生産設備および一般設備の少なくとも2種の設備の消費エネルギーを管理するためのエネルギー管理支援装置の制御方法であって、各種設備の消費エネルギーを取得する取得ステップと、上記取得ステップにおいて取得された各種設備の消費エネルギーに基づいて、各種設備が設置されている領域の大きさに対する各種設備の消費エネルギーの大きさを、各種設備の原単位としてそれぞれ算出する原単位算出ステップと、上記原単位算出ステップにおいて算出された少なくとも2種の設備の原単位を出力する出力ステップとを含む。
【0129】
本発明の各態様に係るエネルギー管理支援装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記エネルギー管理支援装置が備える各手段として動作させることにより上記エネルギー管理支援装置をコンピュータにて実現させるエネルギー管理支援装置の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【0130】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。