特許第6075111号(P6075111)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6075111経路探索装置及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6075111
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】経路探索装置及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/34 20060101AFI20170130BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20170130BHJP
【FI】
   G01C21/34
   G01C21/26 C
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-33242(P2013-33242)
(22)【出願日】2013年2月22日
(65)【公開番号】特開2014-163742(P2014-163742A)
(43)【公開日】2014年9月8日
【審査請求日】2015年9月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】504126112
【氏名又は名称】住友電工システムソリューション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】特許業務法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西村 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】中島 正浩
(72)【発明者】
【氏名】福永 邦彦
【審査官】 白石 剛史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−158322(JP,A)
【文献】 特開2006−275596(JP,A)
【文献】 特開2012−026768(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/34
G01C 21/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリを電源とするモータにより走行可能な車両のために目的地までの経路探索を行う装置であって、
前記目的地から前記バッテリの充電設備まで走行するために必要となる必要電力量を取得する第一処理部と、
前記目的地までの経路探索を行うと共に、この経路探索に基づく経路に沿って走行することにより前記目的地に到着した際のバッテリ残量が、前記必要電力量に対して不足する場合、ユーザ向けの警告情報を生成する第二処理部と、を備え
前記第二処理部は、
前記必要電力量と、目的地におけるバッテリ残量として設定されている設定電力量と、を比較して、当該必要電力量が当該設定電力量を超える場合、当該設定電力量をより大きい値に変更し、更に、前記目的地に到着した際のバッテリ残量が、前記変更した設定電力量を超えるという条件を満たす目的地までの経路の探索を行うことを特徴とする経路探索装置。
【請求項2】
前記第二処理部は、
前記条件を満たさない場合、更に、前記必要電力量よりも大きくかつ前記変更した設定電力量よりも小さい値に、前記設定電力量を更新し、前記目的地に到着した際のバッテリ残量が、当該更新した設定電力量を超えるという条件を満たす目的地までの経路の探索を行う請求項1に記載の経路探索装置。
【請求項3】
前記第二処理部は、
前記条件を満たす経路の探索を、前記設定電力量を変更して、繰り返し実行しても、当該探索が不能である場合、前記警告情報を生成する請求項に記載の経路探索装置。
【請求項4】
バッテリを電源とするモータにより走行可能な車両のために目的地までの経路探索を行う経路探索装置として、コンピュータを、機能させるためのコンピュータプログラムであって、
前記目的地から前記バッテリの充電設備まで走行するために必要となる必要電力量を取得するステップと、
前記目的地までの経路探索を行うステップと、
の経路探索に基づく経路に沿って走行することにより前記目的地に到着した際のバッテリ残量が、前記必要電力量に対して不足する場合、ユーザ向けの警告情報を生成するステップと、
を含み、
前記目的地までの経路探索を行うステップでは、
前記必要電力量と、目的地におけるバッテリ残量として設定されている設定電力量と、を比較して、当該必要電力量が当該設定電力量を超える場合、当該設定電力量をより大きい値に変更し、更に、前記目的地に到着した際のバッテリ残量が、前記変更した設定電力量を超えるという条件を満たす目的地までの経路の探索を行うことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項5】
前記目的地までの経路探索を行うステップでは、
前記条件を満たさない場合、更に、前記必要電力量よりも大きくかつ前記変更した設定電力量よりも小さい値に、前記設定電力量を更新し、前記目的地に到着した際のバッテリ残量が、当該更新した設定電力量を超えるという条件を満たす目的地までの経路の探索を行う請求項4に記載の経路探索装置。
【請求項6】
前記警告情報を生成するステップでは、
前記条件を満たす経路の探索を、前記設定電力量を変更して、繰り返し実行しても、当該探索が不能である場合、前記警告情報を生成する請求項5に記載の経路探索装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路探索装置及びコンピュータプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車の開発が進められているが、搭載するバッテリの性能により、現時点では、その航続距離は短い(200km未満)。したがって、電気自動車は、目的地に到着することができたとしても、その帰る途中でバッテリ残量が不足し、自宅等の出発地に帰着することができない場合がある。
【0003】
また、自動車を目的地へ向かって走行させるために、その目的地までの経路をコンピュータに探索させることが行われている。このような経路の探索技術として、特許文献1に記載のものがある。例えば、電気自動車を所有するユーザが、車載装置に対して目的地を入力すると、その目的地と出発地(現在地)との情報が、経路探索装置として機能するサーバ装置へ送信される。サーバ装置は、所定の探索アルゴリズムに基づいて出発地から目的地までの経路を探索し、推奨経路を決定すると、その推奨経路を示す情報を車載装置へ送信する。この情報を受けた車載装置は、推奨経路をディスプレイ等に表示して、ユーザに報知することができ、そして、推奨経路に沿った経路案内を開始することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−60019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記のとおり、電気自動車の場合、搭載するバッテリの性能により航続距離が短いことから、サーバ装置が電気自動車のために目的地までの経路探索を行う場合、バッテリ残量の管理が重要となる。そこで、サーバ装置は、目的地に到着した時点でのバッテリ充電量(バッテリ残量)を設定し、この設定したバッテリ充電量を残して目的地に到着可能となる経路を探索する。例えば、自宅等の出発地におけるバッテリ充電量の半分の値を、目的地に到着した時点でのバッテリ充電量(バッテリ残量)として設定すれば、出発地と目的地との間を往復することができると考えられる。
【0006】
しかし、出発地におけるバッテリ充電量の半分の値が、目的地に到着した時点でのバッテリ充電量(バッテリ残量)として設定され、目的地までの経路探索の処理が実行されると、実際では、目的地へ到着できたが出発地へ帰着することができない場合が起こりえる。すなわち、出発地から目的地までの往路の多くは下り坂であるが、目的地から出発地までの復路の多くは上り坂となる場合、復路の電力消費量は、往路の電力消費量よりも大きくなる。このため、出発地におけるバッテリ充電量の半分の値のバッテリ充電量を残して目的地に到着できる往路が決定され、この往路に沿って、出発地から走行し、目的地に到着することができても、復路では、バッテリの電力不足によって、出発地まで戻ってくることができない可能性がある。
【0007】
そこで、本発明は、目的地に到着することができても、バッテリの電力不足によって、その目的地から戻ってくることができなくなるというトラブルの発生を防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明は、バッテリを電源とするモータにより走行可能な車両のために目的地までの経路探索を行う装置であって、前記目的地から前記バッテリの充電設備まで走行するために必要となる必要電力量を取得する第一処理部と、前記目的地までの経路探索を行うと共に、この経路探索に基づく経路に沿って走行することにより前記目的地に到着した際のバッテリ残量が、前記必要電力量に対して不足する場合、ユーザ向けの警告情報を生成する第二処理部とを備えていることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、経路探索に基づく目的地までの経路に沿って走行することにより、その目的地に到着した際のバッテリ残量が、目的地からバッテリの充電設備まで走行するために必要となる必要電力量に対して不足する場合、ユーザ向けの警告情報が生成される。このため、この警告情報がユーザに報知されることで、ユーザは、目的地まで到着することができたとしても、その後、バッテリの電力不足が発生する可能性があることを認識することができる。この結果、目的地に到着することができても、バッテリの電力不足によって、その目的地から戻ってくることができなくなるというトラブルの発生を防ぐことが可能となる。なお、前記充電設備は、出発地(現在地)であってもよい。
【0010】
(2)また、前記(1)に記載の経路探索装置による前記第二処理部は、前記経路探索として、前記目的地に到着した際のバッテリ残量が前記必要電力量を超えるという条件を満たす経路の探索を行うのが好ましい。
この場合、経路探索に基づく経路に沿って走行することにより目的地に到着した際のバッテリ残量が、目的地からバッテリの充電設備まで走行するために必要となる必要電力量に対して不足するか否かを判定基準とした経路探索が可能となる。
【0011】
(3)また、前記(1)又は(2)に記載の経路探索装置による前記第二処理部は、前記目的地へと向かう経路を走行することで消費される前記バッテリの消費電力量を取得可能であり、更に、当該消費電力量からバッテリ残量を求め、前記目的地に到着する前に前記バッテリ残量が前記必要電力量未満となる場合に、前記警告情報を生成するのが好ましい。
この場合、目的地に到着する前にバッテリ残量が前記必要電力量未満となる場合が、前記(1)に記載の、バッテリ残量が必要電力量に対して不足する場合であり、この場合に、警告情報が生成される。
【0012】
(4)また、前記(1)に記載の経路探索装置による前記第二処理部は、前記必要電力量と、目的地におけるバッテリ残量として設定されている設定電力量と、を比較して、当該必要電力量が当該設定電力量を超える場合、当該設定電力量をより大きい値に変更し、更に、前記目的地に到着した際のバッテリ残量が、前記変更した設定電力量を超えるという条件を満たす経路の探索を行うのが好ましい。
この場合、必要電力量と設定電力量とを比較して、必要電力量が設定電力量を超える場合が、前記(1)に記載の、バッテリ残量が必要電力量に対して不足する場合となる。
【0013】
(5)そして、前記(4)の場合において、前記第二処理部は、前記条件を満たす経路が見つからない場合、前記警告情報を生成するのが好ましい。
この場合、設定電力量を変更し、目的地に到着した際のバッテリ残量が、変更した設定電力量を超えるという条件を満たす目的地までの経路が探索され、この条件を満たす経路が見つからない場合に、警告情報が生成される。
【0014】
(6)また、本発明は、バッテリを電源とするモータにより走行可能な車両のために目的地までの経路探索を行う経路探索装置として、コンピュータを、機能させるためのコンピュータプログラムであって、前記目的地から前記バッテリの充電設備まで走行するために必要となる必要電力量を取得するステップと、前記目的地までの経路探索を行うと共に、この経路探索に基づく経路に沿って走行することにより前記目的地に到着した際のバッテリ残量が、前記必要電力量に対して不足する場合、ユーザ向けの警告情報を生成するステップとを含むことを特徴とする。
本発明によれば、前記(1)の経路探索装置と同様の作用効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、経路探索に基づく目的地までの経路に沿って走行することにより、その目的地に到着した際のバッテリ残量が、目的地からバッテリの充電設備まで走行するために必要となる必要電力量に対して不足する場合、ユーザ向けの警告情報が生成される。このため、この警告情報がユーザに報知されることで、目的地に到着することができても、バッテリの電力不足によって、その目的地から戻ってくることができなくなるというトラブルの発生を防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】経路探索装置を備えた情報システムの一例を示すブロック図である。
図2】経路探索装置の処理を示すフローチャートである。
図3】演算装置が行う経路探索(その1)のフローチャートである。
図4】経路探索装置によって探索される経路を示すイメージ図である。
図5】演算装置が行う経路探索(その2)のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
〔1.情報システム〕
図1は、経路探索装置1を備えた情報システムの一例を示している。本実施形態の情報システムは、車載装置3とサーバ装置5とを備えて構成されている。
車載装置3は、車両2に搭載され無線通信機能を有する装置である。サーバ装置5は、無線通信を行う路側通信機4を介して、車載装置3との間で通信が可能である。なお、車載装置3は、車両2に固定的に搭載された装置に限らず、車両2上で用いられる装置であればよく、例えば、車両2のドライバ(搭乗者)等のユーザが所有するスマートフォン等の携帯端末であってもよい。
【0018】
車両2は、充電可能なバッテリ7を有しており、このバッテリ7を電源として駆動するモータ8によって走行する電気自動車である。
なお、以下の実施形態では、この情報システム(経路探索装置1)によるサービスの提供を受けるユーザを、前記車両(電気自動車)2のドライバとする。また、本発明において、バッテリ7の充電量及び残量はそれぞれ電力量を意味する。
【0019】
車載装置3は、無線通信機能の他、入力された情報の処理を行うコンピュータとしての機能を有している。そして、処理した情報を、路側通信機4を介して、サーバ装置5へ送信する。さらに、サーバ装置5が生成した情報(後述する処理結果情報i2)が、路側通信機4を介して、車載装置3へ送信される。
【0020】
車載装置3は、ドライバが各種情報の入力操作を行うための入力部3aと、現在位置の情報を取得可能な位置取得部3bと、表示部3cとを備えている。
入力部3aは、例えばドライバが操作するタッチパネルからなり、ドライバの文字入力等の操作により、出発地や目的地の情報等の様々な情報を車載装置3へ入力することができる。
位置取得部3bは、例えばGPS機能を有した装置からなり、車載装置3(車両2)の現在位置の情報を取得可能である。
表示部3cは、様々な情報を画面表示することができ、本実施形態では、入力部3a(タッチパネル)としての機能を兼ね備えているディスプレイからなる。
また、この車載装置3は、車両2のバッテリ7の残量(残り電力量)や消費電力量等のバッテリ情報や、その他の情報を、車載の機器と無線又は有線による通信を行って、取得可能である。
【0021】
路側通信機4は各地域の道路等に多数設置されている。各路側通信機4は、通信機及び通信制御機を備えており、車載装置3と無線通信可能であり、また、有線(又は無線)によりサーバ装置5と通信可能である。車載装置3がスマートフォン等の携帯端末である場合、路側通信機4は、この携帯端末と無線通信を行う無線基地局となる。
【0022】
サーバ装置5は、コンピュータからなり、コンピュータプログラム及び各種情報を記憶するハードディスク等からなる記憶部15と、路側通信機4と通信を行うための通信インタフェースからなる通信装置16と、演算処理を行う機能を有する演算装置17とを備えている。
【0023】
記憶部15は、各地域の道路地図データ(道路ネットワークデータ)を記憶している道路ネットワークデータベース15aと、交通データ等を蓄積している交通情報データベース15bとを有している。なお、記憶部15は、コンピュータ(サーバ装置5)の内部バスまたは外部インタフェースを介して演算装置17がデータを取得可能なものであればよく、コンピュータに内蔵されている必要はない。
【0024】
道路ネットワークデータベース15aは、道路地図データを有している他に、道路ネットワークを構成する各道路区間(以下、道路リンクという)の長さ、勾配、道路の種類、その他、車両2が各道路リンクを走行するために必要とするバッテリ7の消費電力量を演算(推定)するために必要な静的交通データを有している。また、このデータベース15aに含まれている道路地図データには、車両2のバッテリ7に充電を行う充電設備(以下、充電ステーションという)の情報が含まれている。充電ステーションの情報としては、設置位置の情報、利用可能な時間帯の情報等が含まれている。
【0025】
交通情報データベース15bは、経時的に変化する動的交通データを記憶している。動的交通データとしては、たとえば、道路の渋滞状況、気温、天気、事故の発生、交通規制等の情報がある。動的交通データも、道路リンクを走行するために要するバッテリ7の消費電力量を演算(推定)するために用いられる。
【0026】
〔2.経路探索装置〕
サーバ装置5は、様々な機能を奏する複数の機能部を有しており、これら機能部のうちの一つが経路探索装置1である。サーバ装置5は、CPU及び内部メモリ等を有するコンピュータを有しており、このサーバ装置5を経路探索装置1として機能させるためのコンピュータプログラムが、記憶部15にインストールされている。この経路探索装置1が備えている各機能(取得部18、第一処理部19a、第二処理部19bの機能)は、前記コンピュータプログラムがサーバ装置5(コンピュータ)によって実行されることで発揮される。
【0027】
車載装置3は、出発地(現在地)から目的地までの経路等の情報をサーバ装置5から取得するため、要求情報i1(図1参照)を送信する。要求情報i1は、ドライバが入力部3aを通じて行った操作に基づいて送信されてもよいし、周期的に送信されてもよい。車載装置3は、目的地までの経路を探索処理するために用いられる処理用情報を、要求情報i1に含めて、サーバ装置5へ送信する。
前記処理用情報には、車両2の出発地(現在地)、目的地、時刻(現在時刻(出発時刻)、又は目的地への到着時刻)、バッテリ7の残量(現時点の充電量)、車両2の車両ID(車両2の型式)等の情報が含まれる。
【0028】
サーバ装置5へ送信する現在地は、位置取得部3bによって取得される。なお、現在地の代わりに、別の出発地であってもよく、この場合、出発地は、ドライバが入力部3aを通じて入力される。
時刻は、車載装置3が有している時計機能が出力する時刻情報によって取得される。
目的地は、ドライバが入力部3aを通じて入力した情報から取得される。
バッテリ7の残量(現時点の充電量)は、バッテリ7が有するバッテリ残量監視機能部(図示省略)から取得される。なお、サーバ装置5が車両2の過去の時点におけるバッテリ残量を把握している場合には、車載装置3は、その過去の時点からの消費電力量を示す情報をサーバ装置5に送信するようにしてもよい。この場合、サーバ装置5は、前記過去の時点のバッテリ残量から消費電力量を減算することで、現時点での車両2のバッテリ残量を求めることができる。
【0029】
図2に示すように、サーバ装置5は、車載装置3から送信された要求情報i1を受信すると、取得部18は、その情報iに含まれている、車両2の出発地(現在地)、目的地、時刻(現在時刻(出発時刻)、又は目的地への到着時刻)、バッテリ7の残量(現時点の充電量)、車両2の車両ID(車両2の型式)等の処理用情報を取得する(ステップS1)。
サーバ装置5は、要求情報i1に含まれる前記処理用情報を用いて、車両2が出発地(現在地)から目的地まで走行すべき経路の探索を行う(ステップS2)。この処理は第二処理部19bによって行われる。また、このステップS2では、第一処理部19aによって、バックグランドで、目的地から充電ステーションまでの経路の探索も行われる。なお、この充電ステーションは、目的地から最寄りのものとすることができる。
第二処理部19bは、所定の探索アルゴリズム(例えば、ダイクストラ法)に基づいて出発地から目的地までの経路を探索する。また、第一処理部19aは、所定の探索アルゴリズム(例えば、ダイクストラ法)に基づいて目的地から充電ステーションまでの経路を探索する。
そして、サーバ装置5は、第一及び第二処理部19a,19bによる経路の探索処理の結果を得ると、その結果を示す処理結果情報i2を生成し、その処理結果情報i2を車載装置3へ送信する(ステップS3)。
【0030】
車載装置3は、サーバ装置5から処理結果情報i2を受信すると、その情報i2を用いて表示画像を生成し表示部3cに表示させる。例えば、車載装置3は、出発地(現在地)から目的地まで走行すべき経路(推奨経路)を表示部3cに表示する。さらに、本実施形態では、この推奨経路と併せて、又は、この推奨経路の代わりに、目的地まで到着可能ではあるがバッテリ7の電力不足により出発地(現在地)へ戻ることができない可能性があることを示す情報(警告情報)を、表示部3cに表示することができる。
【0031】
〔3.経路探索(その1)〕
図3は、演算装置17による経路探索のための処理の手順を示している。図4は、経路探索装置1によって探索される経路を示すイメージ図である。以下において、処理の主体は、特に記載していない場合、第二処理部19bである。
【0032】
前記のとおり、取得部18により、出発地Sの情報、目的地Gの情報、及び、出発地Sにおけるバッテリ7の充電量(残量)Psの情報等の処理用情報が取得されている(図2のステップS1)。
第一処理部19aは、道路ネットワークデータベース15a(図1参照)の道路地図データから、目的地Gに近い(最寄りの)充電ステーションEを抽出する(図3のステップS21)。この充電ステーションEの抽出の処理は、演算装置17におけるバックグランドでの処理であり、ユーザに注目させない。
【0033】
さらに、第一処理部19aは、目的地Gから充電ステーションEまでの経路探索を行い、さらに、目的地Gから充電ステーションEまで走行するために必要となるバッテリ7の必要電力量Q2を取得する(ステップS22)。この必要電力量Q2は、目的地Gから充電ステーションEまでの経路に含まれる各道路リンクでの消費電力量を積算することにより取得することができる。目的地Gから充電ステーションEまでの経路探索の処理、及び、充電ステーションEまでの必要電力量Q2の取得の処理は、バックグランドでの処理であり、ユーザに注目させない。
ここで、目的地Gから充電ステーションEまでの距離に比べて、目的地Gから出発地Sまでの距離の方が小さい(短い)場合、バックグランドで、目的地Gから出発地Sまでの経路探索を行って目的地Gから出発地Sまで走行するために必要となる必要電力量Q3を取得し、以降の処理で必要電力量Q2の代わりに必要電力量Q3用いてもよい。
【0034】
なお、このステップS22及び他のステップにおいて、各道路リンクを走行することによるバッテリ7の消費電力量は、データベース15a,15bに蓄積されている道路地図データ、前記静的交通データ及び前記動的交通データに基づいて推定値として算出される。
例えば、道路ネットワークデータベース15aに蓄積されている道路地図データには、各道路リンクの長さを示す長さ情報が含まれているため、各道路リンクの長さに基づいて、各道路リンクを走行したときの消費電力量の推定値を算出することができる。
また、道路リンク毎の消費電力量の演算は、各道路リンクの長さだけでなく、静的交通データ及び動的交通データ、並びに車載装置3から取得した情報(出発時刻又は到着時刻、車両ID(車両型式))も用いて行われる。すなわち、モータ8によるバッテリ7の消費電力量は、車両2の走行距離だけでなく、道路の勾配によっても変化するため、静的交通データに含まれる道路の勾配の情報も考慮して消費電力量の算出を行う。これにより、より正確な消費電力量を取得することができる。
【0035】
さらに、同じ距離でも事故・渋滞によって消費電力量は変化するため、該当する道路リンクにおける事故・渋滞情報などの動的交通データも考慮した演算を行うことで、より正確な消費電力量を取得することができる。なお、出発時刻又は到着時刻に基づいて、各道路リンクを走行する時間帯における渋滞予測情報を得て、その渋滞予測情報を考慮して消費電力量を求めてもよい。
さらに、車両2の型式、車両2に搭載されている補機(ヘッドライト、ワイパー、エアコン)の稼働状態、車両2の乗車人数も、バッテリ7の消費電力量は影響を受けるため、これらを考慮して、消費電力量を算出してもよい。
【0036】
そして、図3のステップS23では、第二処理部19bが、出発地Sから目的地Gまでの経路の探索処理を、バッテリ7の残量に基づく航続可能距離を考慮して、開始する。この出発地Sから目的地Gまでの経路探索は、演算装置17におけるフォアグランドの処理である。
この探索処理では、出発地Sにおけるバッテリ7の充電量Psから、各道路リンクを走行することで消費する消費電力量を減算し、この演算を目的地Gに到着するまで行い、目的地Gに到着した際のバッテリ7の残量Pgを取得する(ステップS24)。なお、下り坂の道路リンクのように、車両2の回生ブレーキによりバッテリ7へ充電が行われる場合があるが、この場合、前記消費電力量はマイナスの値となる。
【0037】
そして、この探索処理では、この目的地Gに到着した際のバッテリ7の前記残量Pgと、充電ステーションEまでの前記必要電力量Q2とを比較し、バッテリ残量Pgが必要電力量Q2を超える(Pg>Q2)という条件を満たす、出発地Sから目的地Gまでの経路の探索が行われる(ステップS25)。
【0038】
前記条件を満たす経路が存在する場合(ステップS25のYesの場合)、その経路を、出発地Sから目的地Gまで到着可能な経路(推奨経路)として決定し、その推奨経路を示す情報を生成し、これを処理結果情報i2に含める(ステップS26)。
そして、この処理結果情報i2は通信装置16から送信され(図2のステップS3)、車載装置3は、この処理結果情報i2を取得する。すると、車載装置3は、この処理結果情報i2に含まれる推奨経路の情報に基づいて、表示部3c(ディスプレイ)に、その推奨経路を道路地図と併せて画像表示出力する。
【0039】
これに対して、目的地Gまでどのような経路を走行しても、前記条件を満たさない場合(ステップS25のNoの場合)、すなわち、必要電力量Q2に対して、経路探索に基づく目的地Gまでの経路に沿って出発地Sから目的地Gまで走行することによりその目的地Gに到着した際のバッテリ7の残量Pgが不足する場合、第二処理部19bは、ユーザ向けの警告情報を生成し、生成した警告情報を処理結果情報i2に含める(ステップS27)。
警告情報は、出発地Sにおけるバッテリ7の充電量では、目的地Gに到着可能であるが、その目的地Gから(出発地Sへ)帰着不可能になるおそれがあることを、ドライバに報知するための情報である。
【0040】
そして、この処理結果情報i2は通信装置16から送信され(図2のステップS3)、車載装置3は、この処理結果情報i2を取得する。車載装置3は、取得した処理結果情報i2に含まれる警告情報に基づいて、表示部3c(ディスプレイ)に、帰着不可能になるおそれがあることを示す画像表示を出力する。
【0041】
以上のように、本実施形態では、第二処理部19bは、出発地Sから目的地Gへと向かう経路を走行することで消費されるバッテリ7の消費電力量を取得可能であり、この取得した消費電力量からバッテリ7の残量を求めることができる。そして、目的地Gに到着する前に、このバッテリ7の残量が必要電力量Q2未満となる場合が、前記のような、必要電力量Q2に対して、目的地Gに到着した際のバッテリ7の残量Pgが不足する場合であり、この場合に、警告情報が生成される(図3のステップS27)。そして、その警告情報が、車載装置3へ送信され、警告情報がドライバに報知される。
【0042】
〔4.経路探索(その2)〕
演算装置17による経路探索のための処理は、前記実施形態以外に、他の手順によることができる。図5は、他の手順を示している。以下において、処理の主体は、特に記載していない場合、第二処理部19bである。
前記のとおり、取得部18により、出発地Sの情報、目的地Gの情報、及び、出発地Sにおけるバッテリ7の充電量Psの情報等の処理用情報が取得されている(図2のステップS1)。
【0043】
第一処理部19aは、道路ネットワークデータベース15a(図1参照)の道路地図データから、目的地Gに近い(最寄りの)充電ステーションEを抽出する(図5のステップS121)。なお、この充電ステーションEの検索の処理は、演算装置17におけるバックグランドでの処理であり、ユーザに注目させない。
【0044】
そして、第一処理部19aにより、バッテリ7の残量に基づく航続可能距離を考慮して、出発地S(図4参照)から目的地Gまでの経路の探索処理が行われ、さらに、第二処理部19bにより、目的地Gから前記充電ステーションEまでの経路探索(ステップS222)も行われる。第二処理部19bによる目的地Gまでの経路の探索処理は、演算装置17におけるフォアグランドでの処理であるのに対して、第一処理部19aによる充電ステーションEまでの経路探索の処理については、バックグランドでの処理である。また、ステップS222の処理において、目的地Gから充電ステーションEへと向かい始める出発時刻は、出発地Sから目的地Gに到着した時刻よりも後の時刻であり、この時刻を基準として、前記動的交通データを用いて消費電力量(後述する必要電力量Q2)等の演算が行われる。
【0045】
第二処理部19bによる出発地Sから目的地Gまでの経路探索では、先ず、出発地Sにおけるバッテリの充電量Psから、各道路区間(以下、道路リンクという)を走行することで消費する消費電力量pnを減算し、この演算を目的地Gに到着するまで行い、目的地Gに到着した際のバッテリ7の残量Pgを取得する(ステップS122)。なお、下り坂の道路リンクのように、車両2の回生ブレーキによりバッテリ7へ充電が行われる場合があるが、この場合、消費電力量pnはマイナスの値となる。また、第二処理部19bは、出発地Sから目的地Gまで走行するために必要となるバッテリ7の必要電力量Q1を取得していてもよく、この場合、目的地Gに到着した際のバッテリ7のバッテリ残量Pgは、出発地Sにおけるバッテリの充電量Psから必要電力量Q1を減算することで求めることも可能である。
【0046】
出発地Sから目的地Gに到着するためには複数の経路が候補して存在するが、これら複数の経路の内の、例えば、所要時間が最短となる一つの経路に関して、目的地Gに到着した際のバッテリ残量Pgの値が「12%」であるとして求められたとする。なお、バッテリ7の満充電状態(フル充電状態)を100%としている。
【0047】
そして、この出発地Sから目的地Gまでの経路探索では、目的地Gに到着した際のバッテリ7の残量Pgが、設定電力量Pk−nを超えることが条件とされており、この条件(Pg>Pk−n)を満たす目的地Gまでの経路が、推奨経路として求められる(ステップS123)。なお、前記「設定電力量Pk」は、目的地Sから所要位置まで走行可能とするために必要であるとして設定される、目的地Sにおけるバッテリ7の残量(設定値)であり、様々な値に変更可能である(n=0,1,2,3・・・)。例えば、満充電状態(フル充電状態)を100%とした場合、初期値(n=0)として「10%」の電力量と設定されている。
そして、本実施形態では、求められた前記バッテリ残量Pg「12%」が、設定電力量Pk−1「12%」として設定される。
【0048】
また、バックグランドで、第一処理部19aによって、目的地Gから充電ステーションEまでの経路探索が行われる(ステップS222)と共に、目的地Gからその充電ステーションEまで走行するために必要となるバッテリの必要電力量Q2が取得される(ステップS223)。本実施形態では、この必要電力量Q2が「15%」であったとする。必要電力量Q2は、前記のとおり、充電ステーションEまでの経路に含まれる各道路リンクの消費電力量を積算することで取得される。
【0049】
そして、第二処理部19bによって、この必要電力量Q2と、前記設定電力量Pk−1とが比較され(ステップS224)、その結果、必要電力量Q2に対して設定電力量Pk−1が不足している場合、つまり、必要電力量Q2が設定電力量Pk−1を超える場合(ステップS225でYesの場合)、この設定電力量Pk−1を、前記必要電力量Q2よりも大きい値Pk−2に更新する(ステップS225)。本実施形態では、必要電力量Q2が「15%」であるのに対して、設定電力量Pk−1が「12%」であるため、必要電力量Q2に対して設定電力量Pk−1が不足しており(ステップS125でYesの場合)、例えば、Pk−1「12%」を、必要電力量Q2「15%」よりも大きい値として、Pk−2「20%」に更新する。
【0050】
そして、第二処理部19bは、更新した設定電力量Pk−2「20%」に基づいて、目的地Gまでの経路の探索処理を行う。つまり、この探索処理では、出発地Sから目的地Gに到着した際のバッテリ7の残量Pgが、更新された設定電力量Pk−2「20%」を超えることが条件とされ、この条件を満たす目的地Gまでの経路を探索する(ステップS123)。
【0051】
このように、目的地Gまでの経路の探索処理では、目的地Gから充電ステーションEまでの必要電力量Q2「15%」と、目的地Gにおけるバッテリ7の残量として設定されている設定電力量Pk−1「12%」とを比較して(ステップS224)、必要電力量Q2「15%」が設定電力量Pk−1「12%」を超える場合(ステップS224でYesの場合)、この設定電力量Pk−1「12%」をより大きい値へ変更(「12%」→「20%」)する(ステップS225)。そして、この変更した設定電力量Pk−2「20%」を、目的地Gに到着した際のバッテリ7の残量Pgが超えるという条件を満たす目的地Gまでの経路を探索する(ステップS123)。
【0052】
前記条件を満たす出発地Sから目的地Gまでの経路が求められた場合(ステップS123でYesの場合)、その経路を、出発地Sから目的地Gまで到着可能な経路(推奨経路)として決定し、その推奨経路を示す情報を生成し、これを処理結果情報i2に含める(ステップS124)。
そして、この処理結果情報i2は通信装置16から送信され(図2のステップS3)、車載装置3は、この処理結果情報i2を取得する。すると、車載装置3は、この処理結果情報i2に含まれる推奨経路の情報に基づいて、表示部3c(ディスプレイ)に、その推奨経路を道路地図と併せて画像表示出力する。
【0053】
これに対して、前記条件を満たさない場合(ステップS123でNoの場合)、設定電力量Pk−2「20%」の値を、必要電力量Q2「15%」よりも大きく、かつ、前回の設定電力量Pk−2「20%」よりも小さい値に更新する(ステップS225)。例えば、Pk−2「20%」を、Pk−3「18%」に更新する。
【0054】
そして、第二処理部19bは、更新した設定電力量Pk−3「18%」に基づいて、目的地Gまでの経路の探索処理を、再度、行う。つまり、この探索処理では、出発地Sから目的地Gに到着した際のバッテリ7の残量Pgが、更新された設定電力量Pk−3「18%」を超えることが条件とされ、この条件を満たす出発地Sから目的地Gまでの経路を探索する(ステップS123)。
【0055】
前記条件を満たす出発地Sから目的地Gまでの経路が求められた場合(ステップS123でYesの場合)、その経路を、出発地Sから目的地Gまで到着可能な経路(推奨経路)として決定し、その推奨経路を示す情報を生成し、これを処理結果情報i2に含める(ステップS124)。その後の処理は、前記と同じである。
【0056】
これに対して、前記条件を満たさない場合(ステップS123でNoの場合)、設定電力量Pk−3「18%」の値を、必要電力量Q2「15%」よりも大きく、かつ、前回の設定電力量Pk−3「18%」よりも小さい値に更新する(ステップS225)。例えば、Pk−3「18%」を、Pk−4「17%」に更新する。
【0057】
そして、更新した設定電力量Pk−4「17%」に基づいて、目的地Gまでの経路の探索処理が、再度、行われる。つまり、この探索処理では、出発地Sから目的地Gに到着した際のバッテリ7の残量Pgが、更新された設定電力量Pk−4「17%」を超えることが条件とされ、この条件を満たす出発地Sから目的地Gまでの経路を探索する(ステップS123)。
【0058】
前記条件を満たす出発地Sから目的地Gまでの経路が求められた場合(ステップS123でYesの場合)、その経路を推奨経路とし、その推奨経路を示す情報を生成し、これを処理結果情報i2に含める(ステップS124)。その後の処理は、前記と同じである。
【0059】
以上のように、出発地Sからから目的地Gまでの経路の探索処理では、前記条件満たす経路の探索(ステップS123)を、設定電力量の値(Pk−n)を変更して(ステップS225)、繰り返し実行する。そして、所定回数繰り返しても、前記条件を満たす経路の探索が不能である場合、つまり、前記条件を満たす経路が見つからない場合(ステップS125でNoの場合)、警告情報が生成され、生成した警告情報を処理結果情報i2に含める(ステップS126)。
警告情報は、出発地Sにおけるバッテリ7の充電量では、目的地Gに到着可能であるが、その目的地Gから(出発地Sへ)帰着不可能になるおそれがあることを、ドライバに報知するための情報である。
【0060】
そして、この処理結果情報i2は通信装置16から送信され(図2のステップS3)、車載装置3は、この処理結果情報i2を取得する。車載装置3は、取得した処理結果情報i2に含まれる警告情報に基づいて、表示部3c(ディスプレイ)に、帰着不可能になるおそれがあることを示す画像表示を出力する。
【0061】
以上のように、設定電力量Pk(Pkα、Pkβ・・・)の更新と、探索処理とを繰り返し実行しても、前記条件を満たす経路が求められない場合、すなわち、充電ステーションEまでの必要電力量Q2「15%」に対して、経路探索に基づく経路に沿って出発地Sから目的地Gまで走行することによりその目的地Gに到着した際のバッテリ7の残量Pgが不足する場合、目的地Gへ到着できても、その後、充電ステーションEまで到着することが不可能となるおそれがあるため、ユーザ向けの警告情報が生成され、ドライバに対して、その旨の情報を報知する処理が行われる。
【0062】
なお、ステップS222において、目的地Gの近くの充電ステーションEまでの経路探索を行う場合、その目的地Gから充電ステーションEへと向かい始める出発時刻は、目的地Gでの滞在時間によって変化することから、目的地Gの種別によって前記出発時刻を変化させる。例えば、目的地Gが遊園地等の遊技施設であり、また、日帰りのための経路探索の場合、遊技施設の閉園時刻が、前記出発時刻に設定される。また、目的地Gがホテル等の宿泊施設であり、また、宿泊を伴う旅行のための経路探索の場合、明朝のチェックアウト時刻が、前記出発時刻に設定される。なお、目的地Gが不明である場合や、目的地Gからの出発時刻が未定である場合、目的地Gの到着時刻から所要時間おきの複数パターンの出発時刻が設定される。そして、各出発時刻を基準として、動的交通データを用いて、充電ステーションEまでの経路探索及び充電ステーションEまでの消費電力量(必要電力量Q2)等の演算(シミュレーション)が行われる。
【0063】
そして、目的地Gの近くの充電ステーションEの到着予定時刻が、その充電ステーションEの利用可能時間外である場合、その旨を示すユーザ向けの警報情報が生成されるように、この経路探索装置1は構成されていてもよい。そして、このような警告情報が生成されると、前記実施形態と同様に、車載装置3へ、その情報が送信される。つまり、ドライバに対して、その旨の情報を報知する処理が行われる。
【0064】
また、出発地Sから目的地Gまでの経路探索、及び、目的地Gから充電ステーションEまでの経路探索において、前記のとおり、バッテリ7の充電量の情報を考慮するのみならず、その他の一般情報を考慮してもよい。例えば、経路探索処理を実行し車両2が目的地Gへと出発する日に、冬季による道路規制等の季節に応じた道路規制が行われる場合や、気象情報によれば目的地Gへ到着するまでの時間帯に天候悪化による異常規制が行わる場合、通行不能となって目的地Gへ到着することができないことがある。そこで、このような道路規制を示す情報を、経路探索装置1が取得した場合、その旨を示すユーザ向けの警報情報が生成されるように、この経路探索装置1は構成されていてもよい。そして、このような警告情報が生成されると、前記実施形態と同様に、車載装置3へ、その情報が送信される。つまり、ドライバに対して、その旨の情報を報知する処理が行われる。
【0065】
〔5. 経路探索装置1について〕
以上のように、前記各実施形態に係る経路探索装置1によれば、目的地Gからその近くの充電ステーションEまで走行するために必要となるバッテリ7の必要電力量Q2に対して、経路探索に基づく目的地Gまでの経路に沿って走行することによりその目的地Gに到着した際のバッテリ7の残量が、不足する場合に、ユーザ向けの警告情報が生成される。このため、この警告情報がユーザに報知されることで、ユーザは、目的地Gまで到着することができたとしても、その後、バッテリ7の電力不足が発生する可能性があることを認識することができる。この結果、目的地Gに到着することができても、バッテリ7の電力不足によって、その目的地Gから出発地Sへと戻ってくることができなくなるというトラブルの発生を未然に防ぐことが可能となる。
【0066】
なお、今回開示した実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の権利範囲は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された構成と均等の範囲内でのすべての変更が含まれる。
例えば、今回開示した実施形態では、情報システムが車載装置(車両に搭載された装置)を含む構成であったが、必ずしも車載装置(車両に搭載された装置)である必要はなく、自宅やオフィス等に設置されているパーソナルコンピュータや、ユーザが所持するスマートフォンなどの携帯端末であってもよい。この場合、ユーザは、自宅やオフィスなどにおいて、パーソナルコンピュータや携帯端末を操作し、パーソナルコンピュータや携帯端末から、要求情報i1を送信し、サーバ装置5から情報i2を受信する構成となる。
【符号の説明】
【0067】
1:経路探索装置 2:車両 3:車載装置
5:サーバ装置(コンピュータ) 7:バッテリ 8:モータ
17:演算装置 19a:第一処理部 19b:第二処理部
E:充電ステーション(充電設備) S:出発地 G:目的地
Pg:バッテリ残量 Pk:設定電力量 Q1:必要電力量
Q2:必要電力量
図1
図2
図3
図4
図5