【実施例】
【0023】
以下、実施例により本発明を詳述するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、各特性は以下の方法で測定した。
【0024】
(表面粗さRa)
(株)キーエンス製ナノスケールハイブリッド顕微鏡VN−8010により、ヘアライン目と垂直方向にコンタクトモードにて200μmのラインスキャンを20箇所行った平均値である。
【0025】
(離型層厚さD)
塗工量/m
2から計算により算出する。
【0026】
(転写評価)
離型フィルムの離型面上に、下記組成の保護層をマイクログラビアコーターにて塗布、乾燥した後の厚さが2μmになるよう塗布し、150℃のオーブンで20秒乾燥させた後、さらに下記組成の接着層をマイクログラビアコーターにて塗布、乾燥した後の厚さが4μmになるよう塗布し、150℃のオーブンで20秒乾燥させた後、アップダウン式転写機(大平工業(株)製VB−10タイプ)により転写温度300℃、転写時間5秒の条件で100mmのアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン重合樹脂(ABS)平面板に熱転写を行った。
【0027】
「保護層」
大日精化工業(株)メタクリル酸エステル「商品名:TM−REX No.35」 80重量部
MEK 8重量部
酢酸エチル 6重量部
トルエン 6重量部。
【0028】
「接着層」
大日精化工業(株)アクリルモノマー共重合体+カーボンブラック「商品名:TM304(墨)(K−3)」 120重量部
MEK 10重量部
酢酸エチル 7.5重量部
トルエン 7.5重量部
メチルイソブチルケトン 5重量部。
【0029】
離型性については、良好に剥離できるものを「○」、
離型層片が離型フィルムから剥れて保護層表面に付着しているが、付着した離型層を粘着テープで容易に除去することが可能なものを「△」、
離型層片が離型フィルムから剥れて保護層表面に付着し、付着した離型層片を粘着テープで容易に除去することができないものを「×」、
または剥離ができなかったものを「××」、
良好に剥離できたが箔の切れが悪く、成型体周辺部に付着したものについては「箔バリ」とした。
【0030】
保護層表面に付着した離型層片を粘着テープで容易に除去することができる、できないの判断は、保護層表面に日東電工(株)製ポリエステル粘着テープ31B(50mm幅)を、5kgのゴムロールを一往復させ貼合した後、引っ張り試験機にて180度方向に300mm/分で剥離し、剥離したポリエステル粘着テープ31Bの粘着面に、離型層片の転写があるか、ないかを蛍光灯透過にて確認した。
この評価を2回実施し、1回目の確認で離型層片が認められたが、2回目の確認で離型層片が認められなかった場合は、成型体表面に付着した離型層片を粘着テープで容易に除去することができる「△」、
1回目・2回目の両方の確認で離型層片が認められた場合は、成型面に付着した離型層片を粘着テープで容易に除去することができない「×」とした。
【0031】
ヘアラインの転写性については、転写されたヘアライン目の凹凸、および緻密で鋭利なヘアライン感があるものは「○」、
ヘアライン目がやや浅いものは「△」、
ヘアライン目が浅いもの、またはヘアライン目の緻密で鋭利なライン感が失われているものは「×」とした。
ヘアラインの浅深・緻密さ・鋭利さについてはLEDライトを使用して観察した。
【0032】
[実施例1]
厚さ50μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(A)(東レ(株)“ルミラー”S10)の片面を、サンドペーパー#240(JIS6252)を密着させた金属ロールに接触・走行させ、表面粗さRa0.5μmのヘアライン加工フィルムを得た。さらにそのヘアライン加工面側に、離型剤として、(株)三羽研究所製メラミン樹脂塗料「商品名:RP−50」(固形分濃度50重量%)とコルコート(株)製テトラエトキシシラン加水分解縮合体「商品名:HAS6」(固形分濃度20重量%)を固形分重量比で70:30となるように調合し、その後、酸触媒として和信化学工業(株)製アシッドホスフェ―ト「商品名:プラスコートDEPクリア」(アシッドホスフェート有効成分97重量%)を離型剤の総固形分量に対し10重量%加えて攪拌し、極端な粘度上昇(ゾル化)が起きる直前に、下記組成の溶剤を適量加え、マイクログラビアコーターにて塗布、乾燥し、その離型層厚さが0.5μmになるよう塗布し、180℃のオーブンで30秒乾燥硬化させ、離型フィルムを得た。
【0033】
「溶剤組成」
トルエン 10重量部
シクロヘキサノン 9重量部
メタノール 1重量部。
【0034】
[実施例2]
実施例1において、メラミン樹脂塗料「RP−50」とテトラエトキシシラン加水分解縮合体「HAS6」の固形分重量比を95:5とした以外は同様にして離型フィルムを得た。
【0035】
[実施例3]
実施例1において、メラミン樹脂塗料「商品名:RP−50」とテトラエトキシシラン加水分解縮合体「商品名:HAS6」の固形分重量比を20:80とした以外は同様にして離型フィルムを得た。
【0036】
実施例1〜3により、メラミン樹脂とアルコキシシランの固形分重量比が95:5〜20:80の範囲の混合物からなる離型層により良好な離型性が得られることがわかった。
【0037】
[実施例4]
実施例1において、酸触媒としてDICグラフィックス(株)製パラトルエンスルホン酸「商品名:PL硬化剤C」(パラトルエンスルホン酸有効成分100重量%)を離型剤の総固形分量に対し10%加えて攪拌した以外は同様にして離型フィルムを得た。パラトルエンスルホン酸の硬化触媒としての触媒の効果が弱く、アシッドホスフェートを用いた場合よりも離型層の耐熱性が低く、離型層がかすかに保護層に転写したが修復可能であり実用上は問題なかった。
【0038】
[実施例5]
実施例1において、離型層厚さを0.3μmとした以外は同様にして離型フィルムを得た。
【0039】
[実施例6]
実施例1において、離型層厚さを0.7μmとした以外は同様にして離型フィルムを得た。
【0040】
[実施例7]
実施例1において、ヘアラインの表面粗さをRa0.1μm、離型層厚さを0.08μmとした以外は同様にして離型フィルムを得た。
【0041】
[実施例8]
実施例1において、ヘアラインの表面粗さをRa0.1μm、離型層厚さを0.15μmとした以外は同様にして離型フィルムを得た。
【0042】
[実施例9]
実施例1において、ヘアラインの表面粗さをRa0.9μm、離型層厚さを0.5μmとした以外は同様にして離型フィルムを得た。
【0043】
[実施例10]
実施例1において、ヘアラインの表面粗さをRa0.9μm、離型層厚さを0.9μmとした以外は同様にして離型フィルムを得た。
【0044】
[実施例11]
実施例1において、ヘアラインの表面粗さをRa0.9μm、離型層厚さを1.2μmとした以外は同様にして離型フィルムを得た。
【0045】
実施例5〜11において、離型層の厚さD(μm)が、ヘアラインのRa(μm)に対して0.5×Ra≦D≦1.5×Raの範囲にあることから、離型性およびヘアラインの転写性に優れたものとすることができた。ただし、実施例7においてDが0.08μmと小さく、離型性が十分ではなかったが実用上は問題なかった。なお、実施例7、8において、Ra0.1μmではヘアライン感が十分ではないが用途によっては使用可能である。また、実施例9、10において、Raが0.9μmと大きめであることから剥離の際に剥離抵抗が大きかったが実用範囲内であり、これを改善するために実施例11のように離型層の厚さが0.9μmを超えると、シャープなヘアライン感が低下する傾向となった。
【0046】
[比較例1]
実施例1において、離型剤としてメラミン樹脂塗料「RP−50」のみを使用した以外は同様にして離型フィルムを得た。
【0047】
[比較例2]
実施例1において、離型剤としてメラミン樹脂塗料「RP−50」テトラエトキシシラン加水分解縮合体「HAS6」の固形分重量比を10:90とした以外は同様にして離型フィルムを得た。
【0048】
比較例1、2において、メラミン樹脂とアルコキシシランの固形分重量比が95:5〜20:80の範囲にないことから、離型性が不十分であった。
【0049】
[比較例3]
実施例1において、離型剤として、テトラエトキシシラン加水分解縮合体「HAS6」の代わりに日立化成工業(株)製アクリル樹脂「商品名:ヒタロイド3004」(固形分量50%)を使用した以外は同様にして離型フィルムを得た。メラミン樹脂とアルコキシシランの混合物による離型層ではないことから、離型性が不十分であった。
【0050】
[比較例4]
実施例1において、離型剤として、信越シリコーン(株)製シリコーン樹脂(ポリジメチルシロキサン)「商品名:KS847T」(固形分量30%)に、硬化剤として信越シリコーン社製白金触媒「商品名:CAT PL−50T」を、離型剤の総固形分量に対し3重量%加え、マイクログラビアコーターにて溶媒を加熱除去した後の離型層厚さが0.5μmになるよう塗布し、180℃のオーブンにて30秒乾燥硬化し、離型フィルムを得た。離型性に優れたものであったが、箔バリが発生し実用に耐えなかった。
【0051】
[比較例5]
実施例1において、離型層厚さを0.2μmとした以外は同様にして離型フィルムを得た。離型層厚さDが0.5×Ra未満であり、離型性が不十分であった。
【0052】
[比較例6]
実施例1において、離型層厚さを0.8μmとした以外は同様にして離型フィルムを得た。離型層厚さDが1.5×Raを越えており、シャープなヘアライン間が消失していた。
【0053】
[比較例7]
実施例1において、ヘアラインの表面粗さRaを0.07μm、離型層厚さを0.1μmとした以外は同様にして離型フィルムを得た。Raが小さすぎ、ヘアライン感が不十分であった。
【0054】
[比較例8]
実施例1において、ヘアラインの表面粗さRaを1.0μm、離型層厚さを0.9μmとした以外は同様にして離型フィルムを得た。Raが大きすぎ、剥離抵抗が大きく、離型層の転写があったため実用に耐えなかった。
【0055】
【表1】