特許第6075134号(P6075134)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6075134
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】離型フィルム
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/00 20060101AFI20170130BHJP
   G02B 5/02 20060101ALI20170130BHJP
   B29C 45/16 20060101ALN20170130BHJP
【FI】
   B32B27/00 L
   G02B5/02 C
   !B29C45/16
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-51196(P2013-51196)
(22)【出願日】2013年3月14日
(65)【公開番号】特開2014-176987(P2014-176987A)
(43)【公開日】2014年9月25日
【審査請求日】2016年3月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000222462
【氏名又は名称】東レフィルム加工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100182785
【弁理士】
【氏名又は名称】一條 力
(72)【発明者】
【氏名】道満 光生
(72)【発明者】
【氏名】城本 幸志
(72)【発明者】
【氏名】中野 成
(72)【発明者】
【氏名】笠原 康宏
【審査官】 安積 高靖
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−006368(JP,A)
【文献】 特開2004−330575(JP,A)
【文献】 特開平06−184336(JP,A)
【文献】 特開昭62−158040(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
G02B 5/02
B29C 45/16
C08J 7/04−7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面粗さRaが0.1〜0.9μmの範囲のヘアライン形状の凹凸が設けられたプラスチックフィルム面上に、メラミン樹脂とアルコキシシランの固形分重量比が95:5〜20:80の範囲の混合物からなる離型層が設けられ、該ヘアライン形状の表面粗さRa(μm)に対して、離型層の厚さD(μm)が下記(1)式の関係を満足することを特徴とする離型フィルム。
0.5×Ra≦D≦1.5×Ra (1)
【請求項2】
離型層の厚さDが0.1〜0.9μmの範囲にある請求項1に記載の離型フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成型体表面にハードコート層などの保護層を熱転写する際に、ヘアライン状の意匠を成型体表面に形成するための離型フィルムに関するものであり、より詳細にはヘアライン加工による緻密で鋭利な凹凸形状を忠実に成型体表面に熱転写できる離型フィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ヘアライン加工とは、成型体表面に一方向に伸びる多数の傷を付け、光沢を抑えて高級感を付与する加工である。フィルムにヘアライン加工を施すにはフィルムを走行させながら走行方向と反対方向に回転する研磨用ヤスリ面を有するロールに接触させて研磨する方法が知られており、このヘアライン加工フィルムに印刷・金属蒸着などの加飾加工を施した後にプラスチック成型品等に貼り付ける手法が知られている(特許文献1)。しかし、ヘアライン加工フィルムを成型品に貼り付ける場合、貼付ける前または後に成型品の表面形状に一致するようにヘアライン加工フィルムの余分な部分を除去する必要があり、工程上非常に手間がかかるという問題があった。
【0003】
一方、基材フィルムに離型層を設け、その上にハードコート層などの保護層を必要に応じて印刷や蒸着などの加飾層とともに積層し、接着層等を塗布した後、これらの層を成型体表面に転写する方法が知られている。この場合、成型体の表面形状に一致する部分にのみ圧力と熱をかけることで接着させ、基材フィルムから剥離すれば該接着部分のみを成型体表面に残すことができる。
【0004】
このための離型層に使用する離型剤としては、メラミン樹脂系離型剤、シリコーン系離型剤、フッ素樹脂系離型剤、セルロース誘導体系離型剤、尿素樹脂系離型剤、ポリオレフィン樹脂系離型剤、パラフィン系離型剤及びこれらの複合型離型剤などが知られている(特許文献2)。しかし、基材フィルム上に設けたヘアライン状の形状を離型層表面に再現し、上記熱転写法によりその形状を保護層上に忠実に転写することは容易ではなかった。
【0005】
離型層がシリコーン系離型剤によるものの場合、保護層表面にヘアラインを忠実に再現することはできるが、保護層と離型層間の剥離力が低すぎるため、転写後に剥離する際に、転写すべき部分の周辺が剥がれる現象、いわゆる箔バリが発生するためにこれらを成型体から取り除く手数が必要となることに加え、箔バリが工程内に飛散するため工程汚染の問題があった。
【0006】
また、シリコーン系離型剤を使用した場合には、表面エネルギーを低下させる離型剤成分の移行が不可避である。この離型剤成分は、シリコーン系離型剤塗工後に離型フィルムをロール状に巻上げた際に基材フィルム背面側に移行し、それ以降の工程を汚染する。離型剤成分は、保護層表面やその上に設けられる接着層の表面に移行し、塗工ハジキや各層間の密着性低下、接着層の接着性の低下といった弊害をもたらすことが知られていた。
【0007】
離型層が熱可塑性樹脂系の離型剤や、セルロース誘導体系離型剤によるものでは、高温の熱転写工程において、離型層内または基材フィルム面と離型層間で剥離するために、ヘアラインが忠実に再現できず、また保護層表面に離型層が付着し外観を損ねる問題があった。
【0008】
このため、熱転写時に融解したりすることのない、耐熱性に優れた尿素樹脂系離型剤やメラミン樹脂系離型剤のような熱硬化性樹脂を離型層の離型剤として選ぶ必要があるが、耐熱性が十分ではなかった。メラミン樹脂の耐熱性を向上させる技術として、アルコキシシランを混合し、熱転写リボンの背面層に形成する技術が知られているが、本願目的の用途では適用されていなかった。(特許文献3)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−349581号公報
【特許文献2】特開2006−255894号公報
【特許文献3】特開昭62−158040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、従来技術では達成できなかった上記課題、すなわち成型体表面にハードコート層などの保護層を熱転写する際に、基材フィルム上に設けたヘアライン状の意匠を成型体表面に忠実に形成するための離型フィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、表面粗さRaが0.1〜0.9μmの範囲のヘアライン形状の凹凸が設けられたプラスチックフィルム面上に、メラミン樹脂とアルコキシシランの固形分重量比が95:5〜20:80の範囲の混合物からなる離型層が設けられ、該ヘアライン形状の表面粗さRa(μm)に対して、離型層の厚さD(μm)が下記(1)式の関係を満足する離型フィルムにより上記課題が解決できることを見出した。
0.5×Ra≦D≦1.5×Ra (1)
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、成型体表面にハードコート層などの保護層を熱転写する際に、基材フィルム上に設けたヘアライン状の意匠を成型体表面に忠実に形成することができる。より具体的には、高温での熱転写過程において良好な離型特性を保持し、基材フィルムに施されたヘアライン加工の緻密で鋭利なヘアライン感を損ねることなく成型体表層に転写できる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の離型フィルムにおいて、基材のプラスチックフィルムとしては、たとえばポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム、ナイロンフィルム等の合成高分子フィルムを挙げることができる。これらのうち、耐熱性、機械的強度、寸法安定性に優れているポリエステルフィルムが好ましく、なかでもポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。これらのプラスチックフィルムは、常法によって製造されたものでよく、その厚さは12〜188μmの範囲が好ましく、その表面粗さは特に規定されるものではないか、表面粗さRaが0.01〜0.05μm程度のものを使用する。
【0014】
本発明において、上記基材プラスチックフィルム表面に施されるヘアライン加工による緻密な凹凸の粗さとしては、Raが0.1〜0.9μmの範囲のものとすることが必要である。Raが0.1μm未満では、十分なヘアライン感を得ることができず、ヘアラインのRaが0.9μmを超える場合、凹凸形状によるアンカー効果、すなわち機械的な引っかかり抵抗により剥離力が大きくなりすぎ、離型層を厚くすることで離型性を確保することはできるが、シャープなヘアライン感が喪失することとなる。
【0015】
本発明の離型フィルムにおいて、メラミン樹脂とは、メラミンとアルデヒドの縮合体を加熱により重縮合させた熱硬化樹脂であり、メチル化メラミン樹脂、ブチル化メラミン樹脂、オクチル化メラミン樹脂などが挙げられ、いずれも本発明に使用することができる。
【0016】
本発明の離型フィルムにおいて、アルコキシシランとは、ケイ素(Si)原子に、アルコキシ基(−OR:Rはアルキル基、フェニル基)が結合した化合物の総称であり、具体的にはテトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、へキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシランなどであり、メラミン樹脂との重合前にある程度の加水分解縮合を行っておくことが好ましい。加水分解縮合とは、酸またはアルカリ条件下で、アルコキシシランに水を加え、脱アルコールにより進行させる縮合反応のことである。加水分解縮合が不十分だと、メラミン樹脂との混合物において均一な塗膜を得られず外観不良や転写不良が生じることがある。アルコキシシラン加水分解縮合状態におけるシラノールの水酸基と、メラミン樹脂のメラミンとアルデヒドの縮合状態における水酸基とを脱水縮合によるエーテル結合を進行させるために酸触媒を加え、極端な粘度上昇(ゾル化)がみられる直前まで攪拌した後、溶剤で希釈し反応を沈静化させる。
【0017】
こうして得られた酸触媒を含むメラミン樹脂・アルコキシシラン溶液は、塗布後の熱乾燥時には、含有されている酸触媒がメラミン樹脂・アルコキシシランに対する硬化剤として働き、ケイ素とメラミン樹脂由来する極めて高い耐熱性を有した離型層を得ることができ、本発明の目的である熱転写時の高温状態でも優れた離型性を呈する。
【0018】
酸触媒(塗布後の熱乾燥時には硬化剤として働く)としては、パラトルエンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸アミド、アシッドホスフェート(リン酸エステル類)などが使用される。いずれも使用が可能であるが、本発明に使用する酸触媒としては、高酸価であって容易に気化しない特徴を持つアシッドホスフェートが好ましい。アシッドホスフェートとは、酸性リン酸エステル類のことであり、リン酸とアルコールの脱水縮合等で合成することができ、具体的な物質としては、エチルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ブトキシエチルアシッドホスフェートなどが挙げられる。パラトルエンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸アミドにおいても一定の効果を得ることはできるが、塗布後の乾燥時における硬化剤としての効果は弱く、焼成後の塗膜が硬化不足になり、この結果、離型性が不十分となり、離型層が保護層表面に転写するなどの不具合が生じ易い。また、パラトルエンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸アミドの添加量を増やすことで、硬化剤としての効果の弱さを補おうとすると、離型層が脆くなるため、結果としては、余計に離型層が成型体表面への転写しやすくなる。
【0019】
本発明の離型フィルムにおいては、メラミン樹脂とアルコキシシランの固形分重量比は95:5〜20:80の範囲である必要がある。メラミン樹脂とアルコキシシランの固形分重量比95:5の範囲よりアルコキシシランの固形分重量比が下回る場合、耐熱性が不十分となることから離型性が不十分である。またメラミン樹脂とアルコキシシランの固形分重量比20:80の範囲よりアルコキシシランの固形分重量比が上回る場合、アルコキシシランの割合が大きく、やはり離型性が不十分となる。
【0020】
離型層の厚さD(μm)は基材プラスチックフィルムのヘアライン形状の凹凸のRa(μm)に対して、0.5Ra≦D≦1.5Raとすることが重要である。離型層の厚さDが上限の1.5Raを超えると、ヘアラインの凹凸を離型層で埋めることとなり、ヘアライン形状が喪失する。離型層の厚さDが下限の0.5Ra未満となると、離型剤がヘアライン形状の凹凸を十分に覆うことができず、離型層が塗布されていない部分が生じることから離型性が不十分となる。
【0021】
0.5Ra≦D≦1.5Raの範囲内であっても、離型層の厚さDは0.1〜0.9μmの範囲にあることが好ましい。0.9μm以下とすることで、離型層表面にシャープなヘアライン形状を再現しやすい。また、離型層の厚さDを0.1μm以上とすることで、離型層をヘアライン面全面に抜けなく塗工でき、安定した離型性を発揮できる。
【0022】
本発明において、メラミン樹脂・アルコキシシラン重合体による離型層を形成する方法は特に限定はされないが、アルコキシシラン、メラミン樹脂に酸触媒を適量加えた後、一般的な有機溶剤で1〜20重量%に希釈し、ダイレクトグラビアコーター、ダイコーターなどの塗布装置で塗布、乾燥硬化することによって得られる。
【実施例】
【0023】
以下、実施例により本発明を詳述するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、各特性は以下の方法で測定した。
【0024】
(表面粗さRa)
(株)キーエンス製ナノスケールハイブリッド顕微鏡VN−8010により、ヘアライン目と垂直方向にコンタクトモードにて200μmのラインスキャンを20箇所行った平均値である。
【0025】
(離型層厚さD)
塗工量/mから計算により算出する。
【0026】
(転写評価)
離型フィルムの離型面上に、下記組成の保護層をマイクログラビアコーターにて塗布、乾燥した後の厚さが2μmになるよう塗布し、150℃のオーブンで20秒乾燥させた後、さらに下記組成の接着層をマイクログラビアコーターにて塗布、乾燥した後の厚さが4μmになるよう塗布し、150℃のオーブンで20秒乾燥させた後、アップダウン式転写機(大平工業(株)製VB−10タイプ)により転写温度300℃、転写時間5秒の条件で100mmのアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン重合樹脂(ABS)平面板に熱転写を行った。
【0027】
「保護層」
大日精化工業(株)メタクリル酸エステル「商品名:TM−REX No.35」 80重量部
MEK 8重量部
酢酸エチル 6重量部
トルエン 6重量部。
【0028】
「接着層」
大日精化工業(株)アクリルモノマー共重合体+カーボンブラック「商品名:TM304(墨)(K−3)」 120重量部
MEK 10重量部
酢酸エチル 7.5重量部
トルエン 7.5重量部
メチルイソブチルケトン 5重量部。
【0029】
離型性については、良好に剥離できるものを「○」、
離型層片が離型フィルムから剥れて保護層表面に付着しているが、付着した離型層を粘着テープで容易に除去することが可能なものを「△」、
離型層片が離型フィルムから剥れて保護層表面に付着し、付着した離型層片を粘着テープで容易に除去することができないものを「×」、
または剥離ができなかったものを「××」、
良好に剥離できたが箔の切れが悪く、成型体周辺部に付着したものについては「箔バリ」とした。
【0030】
保護層表面に付着した離型層片を粘着テープで容易に除去することができる、できないの判断は、保護層表面に日東電工(株)製ポリエステル粘着テープ31B(50mm幅)を、5kgのゴムロールを一往復させ貼合した後、引っ張り試験機にて180度方向に300mm/分で剥離し、剥離したポリエステル粘着テープ31Bの粘着面に、離型層片の転写があるか、ないかを蛍光灯透過にて確認した。
この評価を2回実施し、1回目の確認で離型層片が認められたが、2回目の確認で離型層片が認められなかった場合は、成型体表面に付着した離型層片を粘着テープで容易に除去することができる「△」、
1回目・2回目の両方の確認で離型層片が認められた場合は、成型面に付着した離型層片を粘着テープで容易に除去することができない「×」とした。
【0031】
ヘアラインの転写性については、転写されたヘアライン目の凹凸、および緻密で鋭利なヘアライン感があるものは「○」、
ヘアライン目がやや浅いものは「△」、
ヘアライン目が浅いもの、またはヘアライン目の緻密で鋭利なライン感が失われているものは「×」とした。
ヘアラインの浅深・緻密さ・鋭利さについてはLEDライトを使用して観察した。
【0032】
[実施例1]
厚さ50μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(A)(東レ(株)“ルミラー”S10)の片面を、サンドペーパー#240(JIS6252)を密着させた金属ロールに接触・走行させ、表面粗さRa0.5μmのヘアライン加工フィルムを得た。さらにそのヘアライン加工面側に、離型剤として、(株)三羽研究所製メラミン樹脂塗料「商品名:RP−50」(固形分濃度50重量%)とコルコート(株)製テトラエトキシシラン加水分解縮合体「商品名:HAS6」(固形分濃度20重量%)を固形分重量比で70:30となるように調合し、その後、酸触媒として和信化学工業(株)製アシッドホスフェ―ト「商品名:プラスコートDEPクリア」(アシッドホスフェート有効成分97重量%)を離型剤の総固形分量に対し10重量%加えて攪拌し、極端な粘度上昇(ゾル化)が起きる直前に、下記組成の溶剤を適量加え、マイクログラビアコーターにて塗布、乾燥し、その離型層厚さが0.5μmになるよう塗布し、180℃のオーブンで30秒乾燥硬化させ、離型フィルムを得た。
【0033】
「溶剤組成」
トルエン 10重量部
シクロヘキサノン 9重量部
メタノール 1重量部。
【0034】
[実施例2]
実施例1において、メラミン樹脂塗料「RP−50」とテトラエトキシシラン加水分解縮合体「HAS6」の固形分重量比を95:5とした以外は同様にして離型フィルムを得た。
【0035】
[実施例3]
実施例1において、メラミン樹脂塗料「商品名:RP−50」とテトラエトキシシラン加水分解縮合体「商品名:HAS6」の固形分重量比を20:80とした以外は同様にして離型フィルムを得た。
【0036】
実施例1〜3により、メラミン樹脂とアルコキシシランの固形分重量比が95:5〜20:80の範囲の混合物からなる離型層により良好な離型性が得られることがわかった。
【0037】
[実施例4]
実施例1において、酸触媒としてDICグラフィックス(株)製パラトルエンスルホン酸「商品名:PL硬化剤C」(パラトルエンスルホン酸有効成分100重量%)を離型剤の総固形分量に対し10%加えて攪拌した以外は同様にして離型フィルムを得た。パラトルエンスルホン酸の硬化触媒としての触媒の効果が弱く、アシッドホスフェートを用いた場合よりも離型層の耐熱性が低く、離型層がかすかに保護層に転写したが修復可能であり実用上は問題なかった。
【0038】
[実施例5]
実施例1において、離型層厚さを0.3μmとした以外は同様にして離型フィルムを得た。
【0039】
[実施例6]
実施例1において、離型層厚さを0.7μmとした以外は同様にして離型フィルムを得た。
【0040】
[実施例7]
実施例1において、ヘアラインの表面粗さをRa0.1μm、離型層厚さを0.08μmとした以外は同様にして離型フィルムを得た。
【0041】
[実施例8]
実施例1において、ヘアラインの表面粗さをRa0.1μm、離型層厚さを0.15μmとした以外は同様にして離型フィルムを得た。
【0042】
[実施例9]
実施例1において、ヘアラインの表面粗さをRa0.9μm、離型層厚さを0.5μmとした以外は同様にして離型フィルムを得た。
【0043】
[実施例10]
実施例1において、ヘアラインの表面粗さをRa0.9μm、離型層厚さを0.9μmとした以外は同様にして離型フィルムを得た。
【0044】
[実施例11]
実施例1において、ヘアラインの表面粗さをRa0.9μm、離型層厚さを1.2μmとした以外は同様にして離型フィルムを得た。
【0045】
実施例5〜11において、離型層の厚さD(μm)が、ヘアラインのRa(μm)に対して0.5×Ra≦D≦1.5×Raの範囲にあることから、離型性およびヘアラインの転写性に優れたものとすることができた。ただし、実施例7においてDが0.08μmと小さく、離型性が十分ではなかったが実用上は問題なかった。なお、実施例7、8において、Ra0.1μmではヘアライン感が十分ではないが用途によっては使用可能である。また、実施例9、10において、Raが0.9μmと大きめであることから剥離の際に剥離抵抗が大きかったが実用範囲内であり、これを改善するために実施例11のように離型層の厚さが0.9μmを超えると、シャープなヘアライン感が低下する傾向となった。
【0046】
[比較例1]
実施例1において、離型剤としてメラミン樹脂塗料「RP−50」のみを使用した以外は同様にして離型フィルムを得た。
【0047】
[比較例2]
実施例1において、離型剤としてメラミン樹脂塗料「RP−50」テトラエトキシシラン加水分解縮合体「HAS6」の固形分重量比を10:90とした以外は同様にして離型フィルムを得た。
【0048】
比較例1、2において、メラミン樹脂とアルコキシシランの固形分重量比が95:5〜20:80の範囲にないことから、離型性が不十分であった。
【0049】
[比較例3]
実施例1において、離型剤として、テトラエトキシシラン加水分解縮合体「HAS6」の代わりに日立化成工業(株)製アクリル樹脂「商品名:ヒタロイド3004」(固形分量50%)を使用した以外は同様にして離型フィルムを得た。メラミン樹脂とアルコキシシランの混合物による離型層ではないことから、離型性が不十分であった。
【0050】
[比較例4]
実施例1において、離型剤として、信越シリコーン(株)製シリコーン樹脂(ポリジメチルシロキサン)「商品名:KS847T」(固形分量30%)に、硬化剤として信越シリコーン社製白金触媒「商品名:CAT PL−50T」を、離型剤の総固形分量に対し3重量%加え、マイクログラビアコーターにて溶媒を加熱除去した後の離型層厚さが0.5μmになるよう塗布し、180℃のオーブンにて30秒乾燥硬化し、離型フィルムを得た。離型性に優れたものであったが、箔バリが発生し実用に耐えなかった。
【0051】
[比較例5]
実施例1において、離型層厚さを0.2μmとした以外は同様にして離型フィルムを得た。離型層厚さDが0.5×Ra未満であり、離型性が不十分であった。
【0052】
[比較例6]
実施例1において、離型層厚さを0.8μmとした以外は同様にして離型フィルムを得た。離型層厚さDが1.5×Raを越えており、シャープなヘアライン間が消失していた。
【0053】
[比較例7]
実施例1において、ヘアラインの表面粗さRaを0.07μm、離型層厚さを0.1μmとした以外は同様にして離型フィルムを得た。Raが小さすぎ、ヘアライン感が不十分であった。
【0054】
[比較例8]
実施例1において、ヘアラインの表面粗さRaを1.0μm、離型層厚さを0.9μmとした以外は同様にして離型フィルムを得た。Raが大きすぎ、剥離抵抗が大きく、離型層の転写があったため実用に耐えなかった。
【0055】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の離型フィルムは、その上に設けた保護層表面に、基材フィルムのヘアライン状の意匠を忠実に再現することができ、保護層を転写した成型体表面の意匠性を向上させることを目的とした、転写箔用途離型フィルムとして利用することができる。