特許第6075170号(P6075170)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6075170
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】偽造防止印刷物
(51)【国際特許分類】
   B41M 3/14 20060101AFI20170130BHJP
   B42D 25/337 20140101ALI20170130BHJP
【FI】
   B41M3/14
   B42D15/10 337
【請求項の数】11
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2013-82968(P2013-82968)
(22)【出願日】2013年4月11日
(65)【公開番号】特開2014-205260(P2014-205260A)
(43)【公開日】2014年10月30日
【審査請求日】2015年9月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】303017679
【氏名又は名称】独立行政法人 国立印刷局
(72)【発明者】
【氏名】大嶋 一矢
(72)【発明者】
【氏名】山本 友梨絵
【審査官】 外川 敬之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−189690(JP,A)
【文献】 特開2004−202951(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M 3/14
B42D 25/337
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上の少なくとも一部に、第1の不可視画像及び第2の不可視画像を有する画像領域が形成された偽造防止印刷物であって、
前記画像領域は、複数のユニットが規則的にマトリックス状に配列され、
複数配列された各々の前記ユニットは、盛り上がりを有する要素が第1の方向に沿って前記ユニットの中心を含む位置に配置された第1の要素と、前記第1の方向と異なる第2の方向に沿って前記ユニットの中心を含む位置に配置された第2の要素のいずれか一方が選択的に配置されたことで前記第1の不可視画像が形成され、
前記第1の方向及び前記第2の方向と異なる第3の方向に沿って前記ユニットの中心を境に対向するように配置された第3の要素及び第4の要素によって前記第2の不可視画像が形成され、
前記第3の要素前記第4の要素はオンとオフの関係にあり、面積率及び色が同一として配置され、
前記第3の要素により前記第2の不可視画像のポジ画像又はネガ画像が形成され、前記第4の要素により前記第2の不可視画像のネガ画像又はポジ画像が形成されたことを特徴とする偽造防止印刷物。
【請求項2】
前記ユニットは、更に第5の要素が配置され、
前記第5の要素により可視画像が形成されたことを特徴とする請求項1記載の偽造防止印刷物。
【請求項3】
前記第3の方向に沿って複数配列された各々の前記ユニットにおいて前記第3の要素を有する前記ユニットに続いて前記第4の要素を有する前記ユニットが隣接した場合前記第3の要素及び前記第4の要素の間に、前記第3の要素又は前記第4の要素の半分の面積率を有する第6の要素が配置され、
各々の前記ユニットにおいて、前記第4の要素を有する前記ユニットに続いて前記第3の要素を有する前記ユニットが隣接した場合、隣接した前記ユニットに含まれる前記第3の要素もしくは前記第4の要素を削除した上で、前記ユニットの中心に前記第3の要素又は前記第4の要素の半分の面積率を有する第7の要素が配置されたことを特徴とする請求項1又は2記載の偽造防止印刷物。
【請求項4】
基材上の少なくとも一部に、第1の不可視画像、第2の不可視画像及び第3の不可視画像を有する画像領域が形成された偽造防止印刷物であって、
前記画像領域は、複数のユニットが規則的にマトリックス状に配列され、
複数配列された各々の前記ユニットは、盛り上がりを有する要素が第1の方向に沿って前記ユニットの中心を含む位置に配置された第1の要素と、前記第1の方向と異なる第2の方向に沿って前記ユニットの中心を含む位置に配置された第2の要素のいずれか一方が選択的に配置されたことで前記第1の不可視画像が形成され、
前記第1の方向及び前記第2の方向と異なる第3の方向に沿って前記ユニットの中心を境に対向するように配置された第3の要素及び第4の要素によって前記第2の不可視画像が形成され、
前記第3の方向と直交する第4の方向に沿って前記ユニットの中心を境に対向するように配置された第8の要素及び第9の要素によって前記第3の不可視画像が形成され、
前記第3の要素前記第4の要素はオンとオフの関係にあり、面積率及び色が同一として配置され、
前記第3の要素により前記第2の不可視画像のポジ画像又はネガ画像が形成され、前記第4の要素により前記第2の不可視画像のネガ画像又はポジ画像が形成され、
前記第8の要素前記第9の要素はオンとオフの関係にあり、面積率及び色が同一として配置され、
前記第8の要素により前記第3の不可視画像のポジ画像又はネガ画像が形成され、前記第9の要素により前記第3の不可視画像のネガ画像又はポジ画像が形成されたことを特徴とする偽造防止印刷物。
【請求項5】
前記ユニットは、更に第5の要素が配置され、
前記第5の要素により可視画像が形成されたことを特徴とする請求項4記載の偽造防止印刷物。
【請求項6】
前記第3の方向に沿って複数配列された各々の前記ユニットにおいて前記第3の要素を有する前記ユニットに続いて前記第4の要素を有する前記ユニットが隣接した場合前記第3の要素及び前記第4の要素の間に、前記第3の要素又は前記第4の要素の半分の面積率を有する第6の要素が配置され、
前記第4の方向に沿って複数配列された各々の前記ユニットにおいて前記第8の要素を有する前記ユニットに続いて前記第9の要素を有する前記ユニットが隣接した場合前記第8の要素及び前記第9の要素の間に、前記第8の要素又は前記第9の要素の半分の面積率を有する前記第6の要素が配置され、
各々の前記ユニットにおいて、前記第4の要素を有する前記ユニットに続いて前記第3の要素を有する前記ユニットが隣接した場合、隣接した前記ユニットに含まれる前記第3の要素もしくは前記第4の要素を削除した上で、前記ユニットの中心に前記第3の要素又は前記第4の要素の半分の面積率を有する第7の要素が配置され、
各々の前記ユニットにおいて、前記第9の要素を有する前記ユニットに続いて前記第8の要素を有する前記ユニットが隣接した場合、隣接した前記ユニットに含まれる前記第8の要素もしくは前記第9の要素を削除した上で、前記ユニットの中心に前記第8の要素又は前記第9の要素の半分の面積率を有する前記第7の要素が配置されたことを特徴とする請求項4又は5記載の偽造防止印刷物。
【請求項7】
前記第1の方向及び前記第2の方向の角度差が90±15°であることを特徴とする請求項1乃至6記載の偽造防止印刷物。
【請求項8】
前記第1の方向と前記第3の方向、前記第2の方向と前記第3の方向、前記第1の方向と前記第4の方向及び前記第2の方向と前記第4の方向における各々の角度差が45±10°であることを特徴とする請求項4乃至7記載の偽造防止印刷物。
【請求項9】
前記第3の要素及び前記第4の要素と、前記第8の要素及び前記第9の要素の面積率及び色が同一であることを特徴とする請求項4乃至8記載の偽造防止印刷物。
【請求項10】
複数の前記ユニットにおける配列のピッチが1mm以下であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の偽造防止印刷物。
【請求項11】
前記第1の要素及び前記第2の要素は、凹版印刷、スクリーン印刷及びインクジェット印刷から選択されるいずれかによって形成されたことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の偽造防止印刷物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銀行券、株券及び債券等の有価証券や、各種証明書及び重要書類等の偽造防止又は複製防止が必要とされる偽造防止印刷物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、銀行券、株券、債券等の有価証券、各種証明書及び重要書類等では、真正物か偽造物であるかを真偽判別するための技術として、偽造防止技術を盛り込むことが求められている。偽造防止技術の一例としては、インキの盛り上がりを有する画線によってカラーコピー機等を用いた複写を防止する凹版印刷や、それを用いた潜像凹版技術等が代表的である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この潜像凹版は、インキの盛り上がりを有する画線を用いることで効果を奏するものであり、例えば、図20の印刷物1に示すように、印刷模様14の潜像部を成す画線5と背景部を成す画線6が、90度の差異を持った2方向の万線状の画線群によって、同一の画線幅及び画線ピッチで配置されている。
【0004】
この印刷模様14を正面(鉛直方向)から観察した場合、画線5と画線6は、同一の画線幅及び画線ピッチで配置されているため、一様の濃度として観察されることから、施されている潜像模様「P」を容易に認識することができない。一方、図21に示すように、印刷物を傾けて観察すると、画線5は、印刷物1を傾ける角度に対して直交する方向に配列されていることから、インキの盛り上がりを有する画線によって各々の非画線部が隠蔽され、高濃度となるが、画線6は、印刷物を傾ける方向に沿って配列されていることから、印刷物を傾けても各々の非画線部の濃度は変化しない。これにより、潜像模様「P」が顕像となって出現する。
【0005】
また、他の潜像凹版技術として、2方向の万線状の画線群ではなく、インキの盛り上がりの高さを部分的に異ならせることで潜像部と背景部を形成することもできる。
【0006】
また、その他の偽造防止技術として、透明のフィルムに規則的な万線パターンが形成された万線フィルタや、レンチキュラーレンズ等の判別具を重ねることで、不可視画像が出現する技術がある。
【0007】
この判別具を重ねることで不可視画像が出現する技術として、本出願人は、印刷物を目視で観察した場合に視認される可視画像と、判別具を重ねた場合に視認される(出現する)不可視画像がスイッチする印刷物について出願している(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
特許文献2の印刷物は、中心を境に対向するように配置されたオンとオフの関係にある第1の画線要素が、一定の方向に沿って規則的に複数配列されて第1の不可視画像を形成し、同様の関係にある第2の画線要素が、同様の構成で複数配列されて第2の不可視画像を形成し、第1の画線要素及び第2の画線要素は、同一領域上に異なる角度で配置されており、かつ、各画線要素の一部に重複する位置に可視画像を形成する第3の画線要素が配置されたものである。特許文献2の技術は、目視では可視画像のみが視認され、判別具を重ねることによって、第1の画線要素から第1の不可視画像のポジ画像又はネガ画像が出現し、第2の画線要素から第2の不可視画像のポジ画像又はネガ画像が出現するものである。
【0009】
さらに、本出願人は、前述した特許文献1の潜像凹版に、判別具を重ねることで不可視画像を出現させる2つ目の効果を合わせた印刷物について出願している(例えば、特許文献3参照)。
【0010】
特許文献3の印刷物は、潜像凹版を形成する万線パターンに、インキの盛り上がり高さが異なる潜像部と背景部を設けることで、印刷物を傾けて観察した場合に潜像模様を出現させ、さらに、潜像凹版の万線パターン以外の領域に、位相を変調した画線で不可視画像を形成することで、判別具を重ねた場合に不可視画像を出現させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特公昭56−19273号公報
【特許文献2】特許第4635160号公報
【特許文献3】特許第4931265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献1の印刷物は、傾けて観察した場合、潜像部と背景部との互いの濃度差により潜像模様を視認することができるが、単純な濃度差のみによる真偽判別であるため、より高度な偽造防止技術が求められていた。
【0013】
また、特許文献2の印刷物は、判別具によって不可視画像が出現する効果には優れているものの、印刷物をカラーコピー機等の複写機によって複写した場合、その複写物でも同様の効果を再現することから、複写に対する偽造防止効果が乏しいという課題が残されていた。
【0014】
さらに、特許文献3の印刷物は、印刷物を傾けて観察した場合に視認される潜像模様と、判別具を重ねた場合に出現する不可視画像を備えているため、高度な偽造防止技術であるといえるが、画線の中でインキの盛り上がりの高さを部分的に異ならせることで潜像部と背景部を形成しているため、凹版版面、凹版インキ及び印刷速度等の製造条件によっては、適正なインキの盛り上がりの高さを再現することが困難になるという、製造上の課題が残されていた。
【0015】
本発明は、前述の課題の解決を目的とするものであり、潜像凹版を潜像部と背景部とで異なる方向の画線群によって形成し、さらに、潜像凹版を形成する画線群以外の領域に、判別具を重ねることで出現する不可視画像を形成した偽造防止印刷物に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の偽造防止印刷物は、基材上の少なくとも一部に、第1の不可視画像及び第2の不可視画像を有する画像領域が形成された偽造防止印刷物であって、画像領域は、複数のユニットが規則的にマトリックス状に配列され、複数配列された各々のユニットは、盛り上がりを有する要素が第1の方向に沿ってユニットの中心を含む位置に配置された第1の要素と、第1の方向と異なる第2の方向に沿ってユニットの中心を含む位置に配置された第2の要素のいずれか一方が選択的に配置されたことで第1の不可視画像が形成され、第1の方向及び第2の方向と異なる第3の方向に沿ってユニットの中心を境に対向するように配置された第3の要素及び第4の要素によって第2の不可視画像が形成され、第3の要素及び第4の要素はオンとオフの関係にあり、面積率及び色が同一として配置され、第3の要素により第2の不可視画像のポジ画像又はネガ画像が形成され、第4の要素により第2の不可視画像のネガ画像又はポジ画像が形成されたことを特徴とする偽造防止印刷物である。
【0017】
また、本発明の偽造防止印刷物におけるユニットは、更に第5の要素が配置され、第5の要素により可視画像が形成されたことを特徴とする偽造防止印刷物である。
【0018】
また、本発明の偽造防止印刷物は、第3の方向に沿って複数配列された各々のユニットにおいて、オフとして配置された第3の要素を有するユニットとオフとして配置された第4の要素を有するユニットのオフ部分が隣接した場合、オフとして配置された第3の要素及び第4の要素の間に、第3の要素又は第4の要素の半分の面積率を有する第6の要素が配置され、各々のユニットにおいて、第3の要素及び第4の要素がオフとして配置された場合、ユニットの中心に第3の要素又は第4の要素の半分の面積率を有する第7の要素が配置されたことを特徴とする偽造防止印刷物である。
【0019】
また、本発明の偽造防止印刷物は、基材上の少なくとも一部に、第1の不可視画像、第2の不可視画像及び第3の不可視画像を有する画像領域が形成された偽造防止印刷物であって、画像領域は、複数のユニットが規則的にマトリックス状に配列され、複数配列された各々のユニットは、盛り上がりを有する要素が第1の方向に沿ってユニットの中心を含む位置に配置された第1の要素と、第1の方向と異なる第2の方向に沿ってユニットの中心を含む位置に配置された第2の要素のいずれか一方が選択的に配置されたことで第1の不可視画像が形成され、第1の方向及び第2の方向と異なる第3の方向に沿ってユニットの中心を境に対向するように配置された第3の要素及び第4の要素によって第2の不可視画像が形成され、第3の方向と直交する第4の方向に沿ってユニットの中心を境に対向するように配置された第8の要素及び第9の要素によって第3の不可視画像が形成され、第3の要素及び第4の要素はオンとオフの関係にあり、面積率及び色が同一として配置され、第3の要素により第2の不可視画像のポジ画像又はネガ画像が形成され、第4の要素により第2の不可視画像のネガ画像又はポジ画像が形成され、第8の要素及び第9の要素はオンとオフの関係にあり、面積率及び色が同一として配置され、第8の要素により第3の不可視画像のポジ画像又はネガ画像が形成され、第9の要素により第3の不可視画像のネガ画像又はポジ画像が形成されたことを特徴とする偽造防止印刷物である。
【0020】
また、本発明の偽造防止印刷物は、第3の方向に沿って複数配列された各々のユニットにおいて、オフとして配置された第3の要素を有するユニット及びオフとして配置された第4の要素を有するユニットのオフ部分が隣接した場合、オフとして配置された第3の要素及び第4の要素の間に、第3の要素又は第4の要素の半分の面積率を有する第6の要素が配置され、第4の方向に沿って複数配列された各々のユニットにおいて、オフとして配置された第8の要素を有するユニット及びオフとして配置された第9の要素を有するユニットのオフ部分が隣接した場合、オフとして配置された第8の要素及び第9の要素の間に、第8の要素又は第9の要素の半分の面積率を有する第6の要素が配置され、各々のユニットにおいて、第3の要素及び第4の要素がオフとして配置された場合、ユニットの中心に第3の要素又は第4の要素の半分の面積率を有する第7の要素が配置され、各々のユニットにおいて、第8の要素及び第9の要素がオフとして配置された場合、ユニットの中心に第8の要素又は第9の要素の半分の面積率を有する第7の要素が配置されたことを特徴とする偽造防止印刷物である。
【0021】
また、本発明の偽造防止印刷物は、第1の方向及び第2の方向の角度差が90±15°であることを特徴とする偽造防止印刷物である。
【0022】
また、本発明の偽造防止印刷物は、第1の方向と第3の方向、第2の方向と第3の方向、第1の方向と第4の方向及び第2の方向と第4の方向における各々の角度差が45±10°であることを特徴とする偽造防止印刷物である。
【0023】
また、本発明の偽造防止印刷物は、第3の要素及び第4の要素と、第8の要素及び第9の要素の面積率及び色が同一であることを特徴とする偽造防止印刷物である。
【0024】
また、本発明の偽造防止印刷物は、複数のユニットにおける配列のピッチが1mm以下であることを特徴とする偽造防止印刷物である。
【0025】
さらに、本発明の偽造防止印刷物における第1の要素及び第2の要素は、凹版印刷、スクリーン印刷及びインクジェット印刷から選択されるいずれかによって形成されたことを特徴とする偽造防止印刷物である。
【発明の効果】
【0026】
本発明の偽造防止印刷物は、銀行券、株券、債券等の有価証券、各種証明書及び重要書類等の印刷物において、該印刷物上の一部に備えられた第1の不可視画像と第2の不可視画像とが、それぞれ異なる真偽判別方法で出現する、すなわち、判別具を用いない場合と判別具を用いる場合とでそれぞれに異なる効果を付与することができることから、真偽判別する側に合わせた段階的で、高度な真偽判別手段を付与することができる。
【0027】
第1の不可視画像は、正面から観察した場合における印刷物の意匠性を損なわないように形成されているが、印刷物を傾けて観察することで第1の不可視画像として出現する効果を有し、かつ、インキの盛り上がりを有する画線が配置されていることから、指感性の有無によって真偽判別することができる。
【0028】
一方、第2の不可視画像は、濃度の不均衡を緩和するための画線構成によって目視では第2の不可視画像が視認され難い状態となっていることから、判別具を持たない偽造者では、第2の不可視画像の存在自体を把握することが困難であり、容易に複製することができないという効果を奏する。
【0029】
さらに、前述した特許文献3のように、インキの盛り上がりの高さを異ならせることで、第1の不可視画像を形成する必要がないため、製造上の課題がなくなった。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】印刷物1を傾けて観察した場合に出現する第1の不可視画像10と、印刷物1に判別具2を重ねて観察した場合に出現する第2の不可視画像11を示す図
図2】本発明の偽造防止印刷物の一例を示す図
図3】第1の実施の形態における最小単位のユニットを示す図
図4】複数のユニットが規則的にマトリックス状に配列された状態を示す図
図5】第1の実施の形態における印刷物1を正面から観察した場合に視認される画像と、印刷物1を傾けて観察した場合に出現する第1の不可視画像10と、印刷物1に判別具2を重ねて観察した場合に出現する第2の不可視画像11を示す図
図6】第2の実施の形態における最小単位のユニットを示す図
図7】第2の実施の形態における印刷物1を正面から観察した場合に視認される可視画像13を示す図と、画線7が配置されたユニットがマトリックス状に配置されたことで、画像領域4内に可視画像13、第1の不可視画像10及び第2の不可視画像11が形成された状態を示す図
図8】第2の実施の形態における印刷物1を正面から観察した場合に視認される可視画像13と、印刷物1を傾けて観察した場合に出現する第1の不可視画像10と、印刷物1に判別具2を重ねて観察した場合に出現する第2の不可視画像11を示す図
図9】第3の実施の形態における最小単位のユニットを示す図
図10】目視で濃度が不均衡になるのを緩和するための、画線の削除並びに追加を実行するアルゴリズムを示したフローチャート
図11図10のアルゴリズムに従って、ユニット[v]の画線A´[v]が削除された状態を示す図
図12図10のアルゴリズムに従って、画線A又は画線A´の半分の面積率を有する画線a及び画線eが追加された状態を示す図
図13】レンチキュラーレンズの特性によって中心線8に位置する画線Aが膨張して第2の不可視画像11が出現した状態を示す図
図14】第4の実施の形態における最小単位のユニットを示す図
図15】複数のユニットが規則的にマトリックス状に配列されたことで、第2の不可視画像11及び第3の不可視画像12が形成された状態を示す図
図16】目視で濃度が不均衡になるのを緩和するための、画線の削除並びに追加を実行するアルゴリズムを示したフローチャート
図17図10のアルゴリズムに従って、ユニット[v]の画線A´[v]が削除された状態を示す図と、図16のアルゴリズムに従って、ユニット[h]の画線B´[h]が削除された状態を示す図
図18図10のアルゴリズムに従って、画線A又は画線A´の半分の面積率を有する画線a及び画線eが追加された状態を示す図と、図16のアルゴリズムに従って、画線B又は画線B´の半分の面積率を有する画線b及び画線eが追加された状態を示す図
図19図10のアルゴリズムと図16のアルゴリズムの双方を実行したことによって、第2の不可視画像11及び第3の不可視画像12を構成する画線領域4の濃度の不均衡が緩和された状態を示す図
図20】潜像凹版が施された印刷面を正面から観察した場合の図
図21】潜像凹版が施された印刷面を傾けて観察した場合の図
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明を実施するための形態について、図面を用いて説明する。しかしながら、本発明は、以下に述べる実施するための形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲記載における技術的思想の範囲内であれば、その他いろいろな実施の形態が含まれる。
【0032】
本発明の第1乃至第4の実施の形態における偽造防止印刷物(以下「印刷物」という。)は、図1(a)に示すように、印刷物1を傾けて観察した場合に規則的に配列されたインキの盛り上がりを有する画線5及び画線6によって、部分的な濃度変化が生じ、任意の図形及び文字等の第1の不可視画像10が出現することで真偽判別手段として用いることができる。
【0033】
また、図1(b)に示すように、印刷物1に判別具2を重ねることにより、第2の不可視画像11が出現し、更なる真偽判別手段として用いることができる。判別具2は、透明性を有する支持体に複数の直線が万線状に規則的に配列された万線フィルタやレンチキュラーレンズ等である。
【0034】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態における印刷物1について、図面を用いて説明する。図2は、本発明の第1の実施の形態における印刷物1を示すものであり、基材3上の少なくとも一部に複数の不可視画像が形成された画像領域4を備え、画線領域4は、不可視画像を形成する複数の要素が配置されたユニットが規則的にマトリックス状に配列されたことで第1の不可視画像10及び第2の不可視画像11が形成されている。
【0035】
図3は、第1の実施の形態における最小単位のユニットを示すものであり、画線5は、第1の方向に沿ってユニットの中心を含む位置に配置され、画線6は、第2の方向に沿ってユニットの中心を含む位置に配置され、画線A及び画線A´は、第3の方向に沿ってユニットの中心を境に対向するように配置されている。各々のユニットの寸法S1及びS2は、例えば、340μmというように、1mm以下の大きさである。
【0036】
画線5及び画線6は、インキの盛り上がりを有する画線によって同一の面積率及び同一の色によって配置され、各々のユニットにおいて画線5及び画線6のいずれか一方を選択することで、印刷物1を傾けて観察したときに視認される第1の不可視画像10を形成している。なお、第1の実施の形態では、第1の方向に沿って配置された画線5の集合により、第1の不可視画像10の潜像部が形成され、第2の方向に沿って配置された画線6の集合により、第1の不可視画像10の背景部が形成されている。
【0037】
また、各々のユニットの画線A及び画線A´は、同一の面積率及び同一の色で、相互にオンとオフの関係で配置される。このオンとオフの関係とは、いずれか一方の画線が配置される(オン)の場合と、他方が配置される(オフ)関係であり、原則として双方ともに画線が配置される(オン)又は画線が配置されない(オフ)の状態とならないということである。
【0038】
この画線A及び画線A´を選択的に配置することで、判別具を重ねて観察した際に出現する第2の不可視画像11が形成されるが、各々のユニットにおいて、同一の面積率及び同一の色を有する画線A及び画線A´のいずれかが配置されることで、画像領域4内において濃度の差が生じることなく、濃度が均一な状態として視認されることから、第2の不可視画像11を不可視状態とすることができる。なお、図3では、説明の都合上、画線5及び画線6が配置されたユニットと、画線A及び画線A´が配置されたユニットを別々に示しているが、実際には、画線5及び画線6のいずれか一方と、画線A及び画線A´のいずれか一方が同一のユニット内に配置されている。
【0039】
図4は、前述した構成のユニットを、画像領域4に連続的、かつ、規則的に配列した状態を示すものであり、画線5の集合によって第1の不可視画像10の潜像部を形成し、画線6の集合によって、第1の不可視画像10の背景部を形成している。
【0040】
また、画線Aによって第2の不可視画像11のポジ画像又はネガ画像を形成し、画線A´によって第2の不可視画像11のネガ画像又はポジ画像が形成される。なお、図4において第1の不可視画像10である「P」が視認された状態と、第2の不可視画像11である「A」が出現した状態を示しているが、実際には、印刷物1を傾けて観察した場合に、第1の不可視画像10が視認され、判別具2であるレンチキュラーレンズの中心線8を図3に示すユニットの線L1又は線L2に重ねた場合に、第2の不可視画像11のポジ画像又はネガ画像が出現するものである。
【0041】
第1の実施の形態においては、各々のユニットを45°傾けた状態とし、各々のユニットの横方向(0°)の対角を結ぶ関係を第1の方向として画線5を配置し、第1の方向と直交する縦方向(90°)の対角を結ぶ関係を第2の方向として画線6を配置している。また、第1の方向を基準とし、第1の方向と第2の方向の中間である45°の関係を第3の方向として、画線A及び画線A´を配置している。
【0042】
これらの第1の方向、第2の方向及び第3の方向は、第1の不可視画像10及び第2の不可視画像11の視認性を損なうことなく形成する必要があるため、第1の方向と第2の方向の角度差を90±15°とする必要がある。第1の方向と第2の方向の角度差が90±16°以上となった場合、印刷物1を傾けて観察した場合に画線5又は画線6によって隠蔽される非画線部の量が少なくなり、かつ、背景部となる非画線部が部分的に隠蔽されることから、各々の非画線部における濃度が接近し、第1の不可視画像10を視認させるための濃度が不足するため、好ましくない。第1の不可視画像10の視認性を向上するための更に好ましい形態は、第1の方向と第2の方向の角度差を90°に近づけた形態であることから、第1の方向と第2の方向の角度差は、90±5°とすることが好ましい。
【0043】
また、第1の方向、第2の方向及び第3の方向の角度差は、45±10°とする必要がある。各々の方向の角度差が45±11°以上となった場合、第2の不可視画像11を形成する線L1の方向又は線L2の方向に画線5又は画線6が干渉される状態となり、第2の不可視画像11が出現した際の視認性が低下するため、好ましくない。
【0044】
次に、第1の実施の形態における印刷物1において観察される画像を、図面を用いて説明する。図5(a)は、印刷物1を正面から観察した状態を示すものであり、各々のユニットには、画線5又は画線6と、画線A又は画線A´が配置されているため、濃度が均一な状態として視認される。また、図5(b)は、印刷物1を傾けて観察した状態を示すものであり、画線5は、印刷物1を傾ける角度に対して直交する方向に沿って配列されているため、インキの盛り上がりを有する画線5によって近傍の非画線部が隠蔽され、高濃度として視認される。一方、画線6は、印刷物1を傾ける方向に沿って配列されているため、画線6が近傍の非画線部を隠蔽することがなく、正面から観察した状態と同じ濃度で観察されることから、画線5が配置されたユニットと画線6が配置されたユニットにおいて、濃度差が生じ、第1の不可視画像10である「P」が視認される。
【0045】
図5(c)は、第1の実施の形態における印刷物1に判別具2を重ねることで出現する第2の不可視画像11を示すものであり、各々のユニットにおける線L1上にレンチキュラーレンズの中心線8を重ねて観察することで、各々のユニットにおける画線Aのみが選択的に拡大され、第2の不可視画像11である「A」のポジ画像が出現する。また、各々のユニットにおける線L2上にレンチキュラーレンズの中心線8を重ねて観察することで、各々のユニットにおける画線A´のみが選択的に拡大され、第2の不可視画像11である「A」のネガ画像(図示せず)が出現する。
【0046】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態における印刷物1について、図面を用いて説明する。なお、第2の実施の形態における各々のユニットに配置される画線5、画線6、画線A及び画線A´の構成は、第1の実施の形態と同様の構成であるため、説明を省略する。
【0047】
第1の実施の形態における印刷物1では、同一の面積率及び同一の色を有する画線5又は画線6と、同一の面積率及び同一の色を有する画線A又は画線A´を有する各々のユニットがマトリックス状に配列されるため、印刷物1を正面から観察した場合に画線領域4内において濃度の差が生じることなく、濃度が均一な状態として視認されるが、第2の実施の形態における印刷物1は、図6に示す画線7を配置することで、印刷物1を正面から観察した場合に視認される可視画像13が形成されたものである。
【0048】
図6は、第2の実施の形態における最小単位のユニットを示すものであり、画線5及び画線6が存在しない領域に画線7が配置されている。第2の実施の形態においては、画線5及び画線6と隣接する位置に画線7を配置しているが、画線5及び画線6が存在しない領域であれば、その他の領域に画線7を配置することができる。なお、図6では、説明の都合上、画線5、画線6及び画線7が配置されたユニットと、画線A及び画線A´が配置されたユニットを別々のユニットとして示しているが、実際には、画線5及び画線6のいずれか一方と、画線A及び画線A´のいずれか一方と、画線7が同一のユニット内に配置されている。また、図6では、画線5及び画線6の双方に隣接する領域に画線7が配置された状態としているが、実際には、各々のユニットにおいて画線5及び画線6のいずれか一方が配置されるため、配置された画線5又は画線6に隣接する画線7のみが配置される。
【0049】
図7(a)は、第2の実施の形態における印刷物1を示すものであり、基材3上に可視画像13、第1の不可視画像10及び第2の不可視画像11が形成された画像領域4を備えている。また、図7(b)は、図6に示すユニットを画像領域4に連続的、かつ、規則的に配列した状態を示すものであり、画線7によって印刷物1を正面から観察した場合に視認される可視画像13が形成されたものである。なお、図7(b)において、第1の不可視画像10である「P」が視認された状態と、第2の不可視画像11である「A」が出現した状態を示しているが、実際には、印刷物1を正面から観察した場合は、可視画像13のみが視認され、第1の不可視画像10及び第2の不可視画像11は視認されない。
【0050】
図8は、第2の実施の形態における印刷物1について、観察方法の違いによって異なる画像が出現する状態を示すものである。図8(a)は、印刷物1を正面から観察した状態である。図8(a)のように、第2の実施の形態における印刷物1は、各々のユニットに画線5又は画線6と、画線A又は画線A´と、画線7が配置されているが、画線5、画線6、画線A及び画線A´は、各々のユニットにおいて濃度が均一な状態となるため、画線7を有するユニットのみが部分的に高濃度となり、可視画像13が視認される。
【0051】
また、図8(b)は、印刷物1を傾けて観察した状態を示すものであり、画線5は、印刷物1を傾ける角度に対して直交する方向に沿って配列されているため、インキの盛り上がりを有する画線5によって近傍の非画線部が隠蔽され、高濃度として視認される。一方、画線6は、印刷物1を傾ける方向に沿って配列されているため、画線6に近傍の非画線部が隠蔽されることなく、正面から観察した状態と同じ濃度で観察されることから、画線5が配置されたユニットと画線6が配置されたユニットにおいて、濃度差が生じ、第1の不可視画像10である「P」が視認される。
【0052】
また、図8(c)は、第2の実施の形態における印刷物1に判別具2を重ねることで出現する第2の不可視画像11を示すものであり、各々のユニットにおける線L1上にレンチキュラーレンズの中心線8を重ねて観察することで、各々のユニットにおける画線Aのみが選択的に拡大され、第2の不可視画像11である「A」のポジ画像が出現する。また、各々のユニットにおける線L2上にレンチキュラーレンズの中心線8を重ねて観察することで、各々のユニットにおける画線A´のみが選択的に拡大され、第2の不可視画像11である「A」のネガ画像(図示せず)が出現する。
【0053】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態における印刷物1について図面を用いて説明する。第3の実施の形態における印刷物1は、第1及び第2の実施の形態における印刷物1において、第2の不可視画像11が若干可視化されてしまうという課題を解消するため、新たな画線を配置するものである。なお、第3の実施の形態において配置する画線5、画線6及び画線7については、第1の実施の形態及び第2の実施の形態と同様であることから、説明を省略する。
【0054】
画線Aがオンとして配置された複数のユニットと、画線A´がオンとして配置された複数のユニットがマトリックス状に配列されることで、隣接する2つのユニットにおいてオンとして配置された画線A´と画線Aが近接する関係、すなわち、左上のユニットに画線A´が配置され、右下のユニットに画線Aが配置される関係となることで、隣接部分の濃度が相対的に濃く見える。また、隣接する2つのユニットにおいてオフとして配置された画線A´と画線Aが隣接した配置される関係、すなわち、左上のユニットにおける画線A´がオフとなり、右下のユニットにおける画線Aがオフとなることで、ユニットの隣接部分の濃度が相対的に淡く見えるといったように、目視では濃度の不均衡が生じる場合がある。
【0055】
図9は、この濃度の不均衡を緩和するため、最小単位のユニットに画線a及び画線eを配置したものである。画線a及び画線eは、ユニットの画線A及び画線A´が配置される方向に沿って配置される。画線a及び画線eは、図10に示すアルゴリズムに従って、マトリックス状に配列された各々のユニットにおいて配置された画線A及び画線A´の条件に合わせて配置され、最小単位であるユニット[v]ごとに、画線の削除並びに追加を実行するものである。なお、[v]は、ユニットを左上から右下方向に数えたステップ数を示すものである。
【0056】
まず、処理f1にて、マトリックス状に配列したユニット[v]において、順次、画線A[v]及び画線A´[v]の検知が行われる。なお、画線A[v]及び画線A´[v]を検知する方法は、例えば、不可視画像11を形成する画像がビットマップ形式の場合、一般的にラベリングと呼ばれる処理によって、画線A[v]又は画線A´[v]を識別しても良い。
【0057】
次に、処理f2にて、ユニット[v]に画線A´[v]を有し、かつ、ユニット[v+1]に画線A[v+1]を有する条件に一致したとき、処理f3にて、ユニット[v]において本来配置される画線A´[v]の削除が行われる。すなわち、図11(a)に示すように、ユニット[v]、ユニット[v+1]及びユニット[v+2]の配置の際、ユニット[v]の画線A´[v]とユニット[v+1]の画線A[v+1]が隣接した場合、図11(b)に示すように、ユニット[v]の画線A´[v]が削除される。また、処理f2の条件に一致しない場合は処理f4に移行する。
【0058】
次に、処理f4にて、ユニット[v]に画線A[v]を有し、かつ、ユニット[v+1]に画線A´[v+1]を有する条件に一致したとき、処理f5にて、ユニット[v]における画線a[v][v+1]の追加を行う。すなわち、図12(b)に示すように、ユニット[v]とユニット[v+1]の中間に、画線A又は画線A´の半分の面積率を有する画線a[v][v+1]が追加される。これにより、ユニット[v]とユニット[v+1]間における目視での濃度の不均衡が緩和される。なお、本発明でいう半分の面積率とは、約半分の面積率を含むものである。
【0059】
次に、処理f6にて、ユニット[v]に画線A´[v]を有し、ユニット[v+1]に画線がなく、かつ、ユニット[v+2]に画線A[v+2]を有する条件に一致したとき、処理f7にて、ユニット[v+1]における画線e[v+1]の追加を行う。すなわち、図12(c)に示すように、ユニット[v+1]の中心を含む位置に、画線A又は画線A´の半分の面積率を有する画線e[v+1]が追加される。これにより、ユニット[v]とユニット[v+2]間における目視での濃度の不均衡が緩和される。
【0060】
次に、処理f8にて、ユニット[v]に画線A´[v]を有し、ユニット[v+1]に画線がなく、かつ、ユニット[v+2]に画線A´[v+2]を有する条件に一致したとき、処理f9にて、ユニット[v]の画線A´[v]とユニット[v+2]の画線A´[v+2]の間に画線e[v+1]及び画線a[v+1][v+2]が追加される。すなわち、図12(d)に示すように、ユニット[v+1]の中心を含む位置に、画線A又は画線A´の半分の面積率を有する画線e[v+1]が追加され、ユニット[v+1]の画線A[v+1]及びユニット[v+2]の画線A´ [v+2]の中間に、画線A又は画線A´の半分の面積率を有する画線a[v+1][v+2]が追加される。これにより、ユニット[v]とユニット[v+2]間における目視での濃度の不均衡が緩和される。
【0061】
この状態で、判別具2を印刷物1に重ねることによって、画像領域4に施された第2の不可視画像11を出現させることができる。
【0062】
図13に示すように、印刷物上の所定の位置に、レンチキュラーレンズの各レンズの中心線8を画線Aの中心、すなわち、図9における線L1に一致するように載置する。この場合、図13に示すようにレンチキュラーレンズの作用によって画線Aが拡大された状態となるため、画線Aにより構成される第2の不可視画像11を出現させることができる。その際、第1の不可視画像10を構成する画線5及び画線6と、可視画像13を構成する画線7は、レンチキュラーレンズの各レンズの中心線8と一致しないため、視認されることはない。これにより、図8(a)に示す可視画像13が、図8(c)に示すような第2の不可視画像11へとスイッチする。また、画線A´が拡大されるように、レンチキュラーレンズの各レンズの中心線8を図9における線L2と一致するように移動させた場合、画線A´によって、不可視画像11のネガ画像(図示せず)が出現する。
【0063】
(第4の実施の形態)
第4の実施の形態における印刷物1について図面を用いて説明する。図14は、第4の実施の形態における最小単位のユニットを示すものであり、第1乃至第3の実施の形態における印刷物1と異なる構成として、判別具2を重ねる角度を異ならせることで第3の不可視画像12を出現させる画線B及び画線B´が配置されたものである。
【0064】
図14に示す最小単位のユニットは、第2の不可視画像11を形成する画線A及び画線A´と第3の不可視画像12を形成する画線B及び画線B´が配置され、判別具2を重ねる角度を異ならせることで異なる2つの不可視画像が出現する。この図14に示すユニットが、印刷物の表面上においてマトリックス状に規則的に配列される。画線Aと画線A´とは対を成しており、相互にオンとオフの関係にある。一方、画線Bと画線B´とは対を成しており、相互にオンとオフの関係にある。そして、画線Aと画線A´とは面積率が同一であり、かつ、画線Bと画線B´とは面積率が同一である。このような画線A又は画線A´と画線B又は画線B´とが存在することで、通常の可視条件下では第2の不可視画像11及び第3の不可視画像12は視認されず、画線Aのみにより第2の不可視画像11(ポジ画像又はネガ画像)、画線A´のみにより第2の不可視画像11(ネガ画像又はポジ画像)がそれぞれ形成され、さらに、画線Bのみにより第3の不可視画像12(ポジ画像又はネガ画像)、画線B´のみにより第3の不可視画像12(ネガ画像又はポジ画像)がそれぞれ形成されている。
【0065】
このような構成を有するユニットを印刷物1上にマトリックス状に縦横隙間なく、連続的、かつ、規則的に配列すると図15となる。この図15は、ステップ数[h]とステップ数[v]をもってマトリックス状に配列された複数のユニットと、第2の不可視画像11及び第3の不可視画像12の構成が解るように、2つの不可視画像が形成された部分を斜線で簡易的に示した模式図であり、図15(a)及び図15(b)は、同じ印刷領域4において2つの不可視画像が形成されたことを説明するための図である。なお、第2の不可視画像11及び第3の不可視画像12を示す斜線は、2つの不可視画像が形成された位置を説明するためのものであり、実際には、図15(a)及び図15(b)のように第2の不可視画像11及び第3の不可視画像12が目視で視認されるものではない。
【0066】
この状態では、目視で視認した際に画線Aがオンとして配置された複数のユニットと、画線A´がオンとして配置された複数のユニットがマトリックス状に配列されることで、隣接する2つのユニットにおいてオンとして配置された画線A´と画線Aが近接する関係、すなわち、左上のユニットに画線A´が配置され、右下のユニットに画線Aが配置される関係となることで、隣接部分の濃度が相対的に濃く見える。同様に、画線Bがオンとして配置された複数のユニットと、画線B´がオンとして配置された複数のユニットがマトリックス状に配列されることで、隣接する2つのユニットにおいてオンとして配置された画線B´と画線Bが近接する関係、すなわち、左下のユニットに画線B´が配置され、右上のユニットに画線Bが配置される関係となることで、隣接部分の濃度が相対的に濃く見える。
【0067】
また、隣接する2つのユニットにおいてオフとして配置された画線A´と画線Aが隣接して配置される関係、すなわち、左上のユニットにおける画線A´がオフとなり、右下のユニットにおける画線Aがオフとなることで、ユニットの隣接部分の濃度が相対的に淡く見える。同様に、隣接する2つのユニットにおいてオフとして配置された画線B´と画線Bが隣接して配置される関係、すなわち、左下のユニットにおける画線B´がオフとなり、右上のユニットにおける画線Bがオフとなることで、ユニットの隣接部分の濃度が相対的に淡く見えるといった、目視では濃度の不均衡が生じる場合がある。
【0068】
図14は、この濃度の不均衡を緩和するため、画線a、画線e及び画線bが配置したものである。画線aは、ユニットの画線A及び画線A´が配置される方向に沿って配置され、画線bは、ユニットの画線B及び画線B´が配置される方向に沿って配置され、画線eは、双方の方向に沿って配置される。
【0069】
この濃度の不均衡を緩和するため、第2の不可視画像11を形成する画線A及び画線A´に対する処理を、図10に示すアルゴリズムに従って実施し、第3の不可視画像12を形成する画線B及び画線B´に対する処理を、図16に示すアルゴリズムに従って実施し、最小単位のユニット[h,v]ごとに、画線の削除並びに追加を実行するものである。なお、[v]は、ユニットを左上から右下方向に数えたステップ数であり、[h]は、ユニットを左下から右上方向に数えたステップ数を示すものである。
【0070】
まず、図10に示す処理f1にて、マトリックス状に配列したユニット[v]において、順次、画線A[v]及び画線A´[v]の検知が行われ、図16に示す処理f11にて、ユニット[h]において、順次、画線B[h]及び画線B´[h]の検知が行われる。なお、画線A[v]及び画線A´[v]並びに画線B[h]及び画線B´[h]を検知する方法は、例えば、第2の不可視画像11及び第3の不可視画像12を形成する画像がビットマップ形式の場合、一般的にラベリングと呼ばれる処理によって、画線A[v]又は画線A´[v]並びに画線B[h]又は画線B´[h]を識別して削除しても良い。
【0071】
次に、図10に示す処理f2にて、ユニット[v]に画線A´[v]を有し、かつ、ユニット[v+1]に画線A[v+1]を有する条件に一致したとき、処理f3にて、ユニット[v]において本来配置される画線A´[v]の削除が行われる。すなわち、図17(a)に示すように、ユニット[v]、ユニット[v+1]及びユニット[v+2]の配置の際、ユニット[v]の画線A´[v]とユニット[v+1]の画線A[v+1]が隣接した場合、図17(b)に示すように、ユニット[v]の画線A´[v]が削除される。また、処理f2の条件に一致しない場合は処理f4に移行する。
【0072】
一方、図16に示す処理f12にて、ユニット[h]に画線B´[h]を有し、かつ、ユニット[h+1]に画線B[h+1]を有する条件に一致したとき、処理f13にて、ユニット[h]において本来配置される画線B´[h]の削除が行われる。すなわち、図17(c)に示すように、ユニット[h]、ユニット[h+1]及びユニット[h+2]の配置の際、ユニット[h]の画線B´[h]とユニット[h+1]の画線B[h+1]が隣接している場合、図17(d)に示すように、ユニット[h]の画線B´[h]が削除される。また、処理f12の条件に一致しない場合は処理14に移行する。
【0073】
次に、図10に示す処理f4にて、ユニット[v]に画線A[v]を有し、かつ、ユニット[v+1]に画線A´[v+1]を有する条件に一致したとき、処理f5にて、ユニット[v]の画線A[v]及びユニット[v+1]の画線A´[v+1]の間に画線a[v][v+1]の追加を行う。すなわち、図18(b)に示すように、ユニット[v]の画線A[v]及びユニット[v+1]の画線A´[v+1]の間に、画線A又は画線A´の半分の面積率を有する画線a[v][v+1]が追加される。これにより、ユニット[v]とユニット[v+1]間における目視での濃度の不均衡が緩和される。
【0074】
一方、図16に示す処理f14にて、ユニット[h]に画線B[h]を有し、かつ、ユニット[h+1]に画線B´[h+1]を有する条件に一致したとき、処理f15にて、ユニット[h]の画線B[h]及びユニット[h+1]の画線B´[h+1]の間に画線b[h][h+1]の追加を行う。すなわち、図18(f)に示すように、ユニット[h]とユニット[h+1]の中間に、画線B又は画線B´の半分の面積率を有する画線b[h][h+1]が追加される。これにより、ユニット[h]とユニット[h+1]間における目視での濃度の不均衡が緩和される。
【0075】
次に、図10に示す処理f6にて、ユニット[v]に画線A´[v]を有し、ユニット[v+1]に画線がなく、かつ、ユニット[v+2]に画線A[v+2]を有する条件に一致したとき、処理f7にて、ユニット[v+1]における画線e[v+1]の追加を行う。すなわち、図18(c)に示すように、ユニット[v+1]の中心を含む位置に、画線A又は画線A´の半分の面積率を有する画線e[v+1]が追加される。これにより、ユニット[v]とユニット[v+2]間における目視での濃度の不均衡が緩和される。
【0076】
一方、図16に示す処理f16にて、ユニット[h]に画線B´[h]を有し、ユニット[h+1]に画線がなく、かつ、ユニット[h+2]に画線B[h+2]を有する条件に一致したとき、処理f17にて、ユニット[h+1]における画線e[h+1]の追加を行う。すなわち、図18(g)に示すように、ユニット[h+1]の中心を含む位置に、画線B又は画線B´の半分の面積率を有する画線e[h+1]が追加される。これにより、ユニット[h]とユニット[h+2]間における目視での濃度の不均衡が緩和される。
【0077】
次に、図10に示す処理f8にて、ユニット[v]に画線A´[v]を有し、ユニット[v+1]に画線がなく、かつ、ユニット[v+2]に画線A´[v+2]を有する条件に一致したとき、処理f9にて、ユニット[v]の画線A´[v]及びユニット[v+2]の画線A´[v+2]の間に画線e[v+1]及び画線a[v+1][v+2]の追加を行う。すなわち、図18(d)に示すように、ユニット[v+1]の中心を含む位置に、画線A又は画線A´の半分の面積率を有する画線e[v+1]が追加され、更にはユニット[v+1]の画線A[v+1]及びユニット[v+2]の画線A´[v+2]の中間に、画線A又は画線A´の半分の面積率を有する画線a[v+1][v+2]が追加される。これにより、ユニット[v]とユニット[v+2]間における目視での濃度の不均衡が緩和される。
【0078】
一方、図16に示す処理f18にて、ユニット[h]に画線B´[h]を有し、ユニット[h+1]に画線がなく、かつ、ユニット[h+2]に画線B´[h+2]を有する条件に一致したとき、処理f19にて、ユニット[h]の画線B´[h]及びユニット[h+2]の画線B´[h+2]の間に画線e[h+1]及び画線b[h+1][h+2]の追加を行う。すなわち、図18(h)に示すように、ユニット[h+1]の中心を含む位置に、画線B又は画線B´の半分の面積率を有する画線e[h+1]が追加され、更にはユニット[h+1]の画線B[h+1]及びユニット[h+2]の画線B´[h+2]の中間に、画線B又は画線B´の半分の面積率を有する画線b[h+1][h+2]が追加される。これにより、ユニット[h]とユニット[h+2]間における目視での濃度の不均衡が緩和される。
【0079】
よって、これらの図10における処理f4から処理f8と、図16における処理f14から処理f18が図15の印刷領域4に適用された場合、図19に示す印刷領域4全域において、目視での濃度の不均衡が緩和される。なお、各々のユニットにおいて画線A及び画線A´方向の濃度を緩和する画線eと、画線B及び画線B´方向の濃度を緩和する画線eの双方が配置される、すなわち、各々のユニットにおいて画線A、画線A´、画線B及び画線B´の全ての画線が配置されない場合、配置される画線eの面積率を画線A、画線A´、画線B又は画線B´と同じ面積率までの間で拡大して配置することで、肉眼視での濃度の不均衡が更に緩和される。
【符号の説明】
【0080】
1 印刷物
2 判別具
3 基材
4 画像領域
5 画線
6 画線
7 画線
8 中心線
10 第1の不可視画像
11 第2の不可視画像
12 第3の不可視画像
13 可視画像
14 印刷模様
A 画線
A´ 画線
B 画線
B´ 画線
a 画線
b 画線
e 画線
L1 線
L2 線
L3 線
L4 線
E 観察方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21