特許第6075183号(P6075183)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6075183
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】組付用台車
(51)【国際特許分類】
   B23P 19/00 20060101AFI20170130BHJP
   B23P 21/00 20060101ALI20170130BHJP
   B62D 65/06 20060101ALI20170130BHJP
   B62B 3/06 20060101ALI20170130BHJP
   B62B 5/00 20060101ALI20170130BHJP
【FI】
   B23P19/00 302H
   B23P21/00 303B
   B62D65/06 A
   B62B3/06 B
   B62B5/00 F
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-92120(P2013-92120)
(22)【出願日】2013年4月25日
(65)【公開番号】特開2014-213409(P2014-213409A)
(43)【公開日】2014年11月17日
【審査請求日】2015年8月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】特許業務法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柘植 重義
【審査官】 三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−119047(JP,A)
【文献】 実開昭62−053978(JP,U)
【文献】 特開平02−231280(JP,A)
【文献】 特開平06−171302(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23P 19/00−21/00
B62B 1/00− 5/08
B62D 65/00−65/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車輪が設けられた荷台ベースと、
該荷台ベースに対して昇降可能に取り付けられた昇降ベースと、
該昇降ベースを上記荷台ベースに対して昇降させる昇降手段と、
上記昇降ベースに対して、前後スライドガイドによって前後方向にスライド可能であるとともに、左右スライドガイドによって左右方向にスライド可能であり、かつ、回動ガイドによって上下方向の中心軸線の回りに回動可能であり、組付部品を載置するよう構成された部品載置台と、
上記昇降ベースに対する上記部品載置台の前後方向のスライド、上記昇降ベースに対する上記部品載置台の左右方向のスライド、及び上記昇降ベースに対する上記部品載置台の回動を停止させるためのストッパーと、を備え、
上記組付部品を搬送する際には、上記ストッパーによって上記部品載置台を上記昇降ベースに対する原位置に保持し、上記組付部品を被組付対象に対して着脱する際には、上記ストッパーによる上記部品載置台の保持状態を解除して、上記組付部品が載置された上記部品載置台を上記昇降ベースに対して前後方向及び左右方向にスライドさせ、かつ上記中心軸線回りに回動させることができるよう構成されており、
上記昇降ベースには、上記ストッパーとは別に、上記部品載置台の左右方向に延びる回動中心部の回りに自重によって回動して、該部品載置台の左右方向へのスライドを停止させるとともに、上記回動中心部の回りに持ち上げて回動させて、上記部品載置台の左右方向へのスライドを可能にする左右ストッパーが設けられていることを特徴とする組付用台車。
【請求項2】
請求項に記載の組付用台車において、上記ストッパーは、上記昇降ベースにおける前後方向の2箇所に設けられた前後係止部と、上記部品載置台に設けられ、上記2箇所の前後係止部のいずれに対しても係止可能な前後被係止部とによって構成されており、
上記部品載置台は、前後方向の後方側の上記前後係止部に上記前後被係止部が係止されたときに、上記組付部品を搬送するための上記原位置に保持される一方、前後方向の前方側の上記前後係止部に上記前後被係止部が係止されたときに、上記昇降ベースの前端部から上記部品載置台が前後方向の前方側に突出されて、上記組付部品が保管された保管台から該組付部品を受け取るための突出位置に保持されるよう構成されていることを特徴とする組付用台車。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の組付用台車において、上記前後スライドガイドは、前後方向に延びる前後レールと、該前後レールに対して前後方向にスライドする前後スライダーとによって構成されており、
上記左右スライドガイドは、左右方向に延びる左右レールと、該左右レールに対して左右方向にスライドする左右スライダーとによって構成されており、
上記回動ガイドは、互いに転がり接触する一対の回動部によって構成されており、
上記昇降ベースに上記左右レールが配設され、該左右レールに係合する上記左右スライダーに上記前後レールが配設され、該前後レールに係合する上記前後スライダーに一方の上記回動部が配設され、該一方の回動部に係合する他方の上記回動部に上記部品載置台が配設されていることを特徴とする組付用台車。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の組付用台車において、上記被組付対象は自動車のメインボディであり、上記組付部品は上記メインボディの開口部に対して開閉可能に設けられるドアであることを特徴とする組付用台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被組付対象に対して組付部品の着脱を行う際に用いる組付用台車に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車の生産工場等において、生産ラインの外部で、自動車のメインボディにドアを取り付けるとき、あるいはメインボディからドアを取り外すときには、二人の作業者によって、重いドアを持ち上げている。そして、一方の手でドアを保持しながら、もう一方の手でドアのヒンジ部に挿し込むボルトをメインボディのネジ穴に締め付けている。あるいは、一方の手でドアを保持しながら、もう一方の手でメインボディのネジ穴に締め付けられたボルトを緩めている。
また、例えば、特許文献1のワーク搬送台車においては、人手で握り操作自在な部材を設けることにより、ワーク支持部に固定するワークの位置を微調整自在にする工夫をしている。このワーク搬送台車は、調整台に昇降自在に設けられたワーク支持手段によってワークを支持し、高さ位置調整機構によって、ワーク支持手段に支持されたワークを所定高さ位置で保持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−58243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、重量物であるドア等の組付部品は、水平方向の組付位置、水平方向の組付角度及び組付高さを調整することは容易ではない。特許文献1においても、ドア等のワークの組付位置、組付角度及び組付高さの調整をする工夫はなされていない。
【0005】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたもので、水平方向の組付位置、水平方向の組付角度及び組付高さを容易に調整することができる組付用台車を提供しようとして得られたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、複数の車輪が設けられた荷台ベースと、
該荷台ベースに対して昇降可能に取り付けられた昇降ベースと、
該昇降ベースを上記荷台ベースに対して昇降させる昇降手段と、
上記昇降ベースに対して、前後スライドガイドによって前後方向にスライド可能であるとともに、左右スライドガイドによって左右方向にスライド可能であり、かつ、回動ガイドによって上下方向の中心軸線の回りに回動可能であり、組付部品を載置するよう構成された部品載置台と、
上記昇降ベースに対する上記部品載置台の前後方向のスライド、上記昇降ベースに対する上記部品載置台の左右方向のスライド、及び上記昇降ベースに対する上記部品載置台の回動を停止させるためのストッパーと、を備え、
上記組付部品を搬送する際には、上記ストッパーによって上記部品載置台を上記昇降ベースに対する原位置に保持し、上記組付部品を被組付対象に対して着脱する際には、上記ストッパーによる上記部品載置台の保持状態を解除して、上記組付部品が載置された上記部品載置台を上記昇降ベースに対して前後方向及び左右方向にスライドさせ、かつ上記中心軸線回りに回動させることができるよう構成されており、
上記昇降ベースには、上記ストッパーとは別に、上記部品載置台の左右方向に延びる回動中心部の回りに自重によって回動して、該部品載置台の左右方向へのスライドを停止させるとともに、上記回動中心部の回りに持ち上げて回動させて、上記部品載置台の左右方向へのスライドを可能にする左右ストッパーが設けられていることを特徴とする組付用台車にある。
【発明の効果】
【0007】
上記組付用台車は、被組付対象に対して組付部品の着脱を行う際に用いる。
組付用台車は、荷台ベースに設けられた複数の車輪によって走行が可能であり、昇降手段によって、部品載置台が配設された昇降ベースを昇降させることができる。これにより、部品載置台に載置する組付部品の高さを任意に調整することができる。また、この高さの調整は、昇降手段によって容易に行うことができる。
また、部品載置台は、前後スライドガイド及び左右スライドガイドによって、前後方向及び左右方向にスライドさせることができ、回動ガイドによって、上下方向の中心軸線の回りに回動させることができる。これにより、部品載置台に載置される組付部品の水平方向の位置及び水平方向の角度を容易に調整することができる。
【0008】
また、組付用台車は、ストッパーを備えていることにより、走行状態と調整状態とに容易に切り換えることができる。
具体的には、組付用台車を走行状態にする際には、ストッパーによって部品載置台を昇降ベースに対する原位置に保持する。これにより、部品載置台に組付部品が載置された状態で走行する際(組付部品を搬送する際)、あるいは部品載置台に組付部品が載置されていない状態で走行する際(空の状態で走行する際)には、部品載置台が昇降ベースに対して動かないようにして、この走行を容易にすることができる。
【0009】
また、組付用台車を調整状態にする際には、ストッパーによる部品載置台の保持状態を解除して、部品載置台が前後方向及び左右方向にスライド可能で、かつ上下方向の中心軸線の回りに回動可能にすることができる。これにより、組付部品を被組付対象に対して組み付ける際、あるいは組付部品を被組付対象から取り外す際には、被組付対象に対する組付部品又は部品載置台の水平方向の組付位置及び水平方向の組付角度の調整を容易にすることができる。
それ故、上記組付用台車によれば、水平方向の組付位置、水平方向の組付角度及び組付高さを容易に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例にかかる、部品載置台が原位置にある組付用台車を、左右方向から見た状態で示す説明図。
図2】実施例にかかる、部品載置台がスライド及び回動可能になった状態の組付用台車を、前方側から見た状態で示す説明図。
図3】実施例にかかる、部品載置台がスライド及び回動可能になった状態の組付用台車を、左右方向から見た状態で示す説明図。
図4】実施例にかかる、部品載置台がスライド及び回動可能になった状態の組付用台車を、後方側から見た状態で示す説明図。
図5】実施例にかかる、部品載置台が突出位置にある組付用台車を、左右方向から見た状態で示す説明図。
図6】実施例にかかる、昇降ベースに設けられた左右ストッパーを示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
上述した組付用台車における好ましい実施の形態につき説明する。
上記組付用台車においては、上記昇降ベースには、上記ストッパーとは別に、上記部品載置台の左右方向に延びる回動中心部の回りに自重によって回動して、該部品載置台の左右方向へのスライドを停止させるとともに、上記回動中心部の回りに持ち上げて回動させて、上記部品載置台の左右方向へのスライドを可能にする左右ストッパーが設けられている。
右ストッパーにより、部品載置台の左右方向へのスライドをさらに安定して停止させることができる。
【0012】
また、上記ストッパーは、上記昇降ベースにおける前後方向の2箇所に設けられた前後係止部と、上記部品載置台に設けられ、上記2箇所の前後係止部のいずれに対しても係止可能な前後被係止部とによって構成されており、上記部品載置台は、前後方向の後方側の上記前後係止部に上記前後被係止部が係止されたときに、上記組付部品を搬送するための上記原位置に保持される一方、前後方向の前方側の上記前後係止部に上記前後被係止部が係止されたときに、上記昇降ベースの前端部から上記部品載置台が前後方向の前方側に突出されて、上記組付部品が保管された保管台から該組付部品を受け取るための突出位置に保持されるよう構成されていてもよい。
【0013】
この場合には、組付用台車を走行させる際には、部品載置台が昇降ベースの前端部から前後方向の前方側に突出せず、この走行の際に部品載置台又は部品載置台に載置された組付部品が、周囲に衝突しにくくすることができる。
一方、保管台から組付部品を部品載置台に受け取る際には、部品載置台を保管台に近づけることができ、保管台から部品載置台への組付部品の移載を容易にすることができる。
【0014】
また、上記前後スライドガイドは、前後方向に延びる前後レールと、該前後レールに対して前後方向にスライドする前後スライダーとによって構成されており、上記左右スライドガイドは、左右方向に延びる左右レールと、該左右レールに対して左右方向にスライドする左右スライダーとによって構成されており、上記回動ガイドは、互いに転がり接触する一対の回動部によって構成されており、上記昇降ベースに上記左右レールが配設され、該左右レールに係合する上記左右スライダーに上記前後レールが配設され、該前後レールに係合する上記前後スライダーに一方の上記回動部が配設され、該一方の回動部に係合する他方の上記回動部に上記部品載置台が配設されていてもよい。
この場合には、水平方向の組付位置、水平方向の組付角度、組付高さの調整が容易である組付用台車を、簡単な構造によって形成することができる。
【0015】
また、上記被組付対象は自動車のメインボディであり、上記組付部品は上記メインボディの開口部に対して開閉可能に設けられるドアであってもよい。
この場合には、組付用台車を用いることにより、メインボディに対するドアの着脱を容易にすることができる。
【実施例】
【0016】
以下に、上記組付用台車にかかる実施例につき、図面を参照して説明する。
本例の組付用台車1は、図1図2に示すごとく、荷台ベース2、昇降ベース3、昇降手段31、部品載置台4及びストッパー5を備えている。
荷台ベース2には、組付用台車1を走行可能にするための複数の車輪21が設けられている。昇降ベース3は、荷台ベース2に対して昇降可能に取り付けられている。昇降手段31は、昇降ベース3を荷台ベース2に対して昇降させるものである。部品載置台4は、組付部品7が載置される台であり、昇降ベース3に対して、前後スライドガイド41によって前後方向Lにスライド可能であるとともに、左右スライドガイド42によって左右方向Wにスライド可能であり、かつ、回動ガイド44によって上下方向Hの中心軸線Cの回りに回動可能である。ストッパー5は、昇降ベース3に対する部品載置台4の前後方向Lのスライド、昇降ベース3に対する部品載置台4の左右方向Wのスライド、及び昇降ベース3に対する部品載置台4の回動を停止させるものである。
【0017】
組付用台車1は、図1図4に示すごとく、組付部品7を搬送する際には、ストッパー5によって部品載置台4を昇降ベース3に対する原位置401に保持するよう構成されている。また、組付用台車1は、図2図3に示すごとく、組付部品7を被組付対象8に対して着脱する際には、ストッパー5による部品載置台4の保持状態を解除して、組付部品7が載置された部品載置台4を昇降ベース3に対して前後方向L及び左右方向Wにスライドさせ、かつ中心軸線Cの回りに回動させることができるよう構成されている。
【0018】
以下に、本例の組付用台車1につき、図1図5を参照して詳説する。
本例の組付用台車1は、作業者によって走行させるものであり、作業者が、被組付対象8としての自動車のメインボディ8に対して、組付部品7としてのドア7を着脱する際に用いる。本例の組付用台車1は、試作自動車に対して性能試験等を行う際にドア7の着脱を行うときに用いる。
図3に示すごとく、メインボディ8には、ドア7を配置する位置に開口部81が形成されており、開口部81の周縁部には、ドア7のヒンジ部71を取り付ける取付部位810が形成されている。ドア7のヒンジ部71には、ボルトを挿通させる挿通穴711が形成されており、開口部81の取付部位810には、ボルトを締め付けるネジ穴811が形成されている。本例のドア7は、メインボディ8の側部に形成された開口部81に組み付けられるサイドドアである。
【0019】
図1図2に示すごとく、荷台ベース2には、その下面の4つの角部に車輪21が設けられている。荷台ベース2の水平方向の一端部には、作業者が組付用台車1を走行させる際に把持するためのハンドル22が設けられている。
昇降ベース3は、荷台ベース2と略同じ大きさに形成されており、昇降手段31による推力を受けて稼動するリンク32A,32Bによって、荷台ベース2から上昇するように構成されている。なお、図2図4においては、昇降手段31及びリンク32A,32Bを実線によって示す。
【0020】
昇降手段31は、作業者が踏み込む操作によって駆動される空気圧シリンダー31によって構成されている。リンク32A,32Bは、荷台ベース2における一端部と昇降ベース3における他端部とに掛け渡される第1リンク32Aと、第1リンク32Aに対して回動可能な状態で交わり、荷台ベース2における他端部と昇降ベース3における一端部とに掛け渡される第2リンク32Bとによって構成されている。空気圧シリンダー31による推力は、第1リンク32A及び第2リンク32Bを介して昇降ベース3を上昇させる力に変換される。空気圧シリンダー31は、そのシリンダー室に空気圧ポンプ(図示略)から空気が送られることにより、昇降ベース3を上昇させ、操作部(図示略)の操作によって、シリンダー室から空気が抜かれることによって昇降ベース3を下降させる。
【0021】
空気圧ポンプは、荷台ベース2に設けられており、空気圧ポンプの踏み込み部は、作業者が踏み込むことができる位置に設けられている。操作部は、ハンドル22に取り付けられている。ドア7の組付を行う作業者は、部品載置台4を、目標とする高さよりも高い位置にしておき、ハンドル22に取り付けられた操作部を操作して、部品載置台4を下降させながら、部品載置台4に載置されたドア7の高さ位置を調整する。
【0022】
図2に示すごとく、部品載置台4には、ドア7を保持するための保持枠部46が立設して設けられている。保持枠部46の上部には、ドア7の上端部を挟み込んで支持するための部品支持部47が設けられている。部品支持部47は、ドア7の上端部に合わせて上下にスライドさせる上下支柱471と、上下支柱471に対して水平方向にスライドさせる水平支柱472と、水平支柱472の先端部においてドア7の上端部を挟み込む挟持部473と、挟持部473によるドア7の挟持状態を維持するためのトグルクランプ474とを有している。
【0023】
部品載置台4を前後方向L及び左右方向Wにスライドさせ、上下方向Hの中心軸線Cの回りに回動させる構造は、次のように形成されている。
図1図2に示すごとく、本例の組付用台車1においては、昇降ベース3上に左右スライドガイド42が設けられ、左右スライドガイド42上に前後スライドガイド41が設けられ、前後スライドガイド41上に回動ガイド44が設けられ、回動ガイド44上に部品載置台4が設けられている。
左右スライドガイド42は、左右方向Wに延びる左右レール421と、左右レール421に対して転がり接触する状態で係合して、左右方向Wにスライドする左右スライダー422とによって構成されている。左右レール421は、昇降ベース3における前後2箇所に取り付けられており、各左右レール421における左右スライダー422には、左右スライダー422に対して前後方向Lに掛け渡す状態でベース板43が取り付けられている。
【0024】
前後スライドガイド41は、前後方向Lに延びる前後レール411と、前後レール411に対して転がり接触する状態で係合して、前後方向Lにスライドする前後スライダー412とによって構成されている。前後レール411は、ベース板43の上面において、前後2箇所の左右レール421の上に掛け渡される状態で取り付けられている。
回動ガイド44は、互いに転がり接触する一対の回動部441,442によって構成されている。下方側に位置する回動部441は前後スライダー412に取り付けられており、上方側に位置する回動部442に部品載置台4が取り付けられている。部品載置台4は、原位置401において前後方向Lに長い形状に形成されており、上方側に位置する回動部442は、部品載置台4の略中心部に取り付けられている。図3に示すごとく、ドア7は、その前後方向Lが組付用台車1の前後方向Lに向くように、部品載置台4に載置される。
【0025】
図1に示すごとく、本例のストッパー5は、昇降ベース3における前後方向Lの2箇所に設けられた前後係止部511,512と、部品載置台4に設けられ、2箇所の前後係止部511,512のいずれに対しても係止可能な前後被係止部52とによって構成されている。
前後係止部511,512は、昇降ベース3から立設して水平方向に設けられた係止プレート51における前後方向Lの2箇所に形成された係止穴511,512によって構成されている。前後被係止部52は、部品載置台4の後方側端部において、上下方向Hにスライド可能に設けられたスライドピン52によって構成されている。そして、スライドピン52が係止穴511,512に差し込まれることによって、部品載置台4の前後方向Lの位置及び水平方向における回動位置が固定される。
【0026】
図1に示すごとく、部品載置台4は、後方側の係止穴511にスライドピン52が係止されたときに、組付用台車1を走行させるための(ドア7を搬送するための)原位置401に保持される。組付用台車1を走行させる際には、部品載置台4を原位置401にすることにより、部品載置台4が昇降ベース3の前端部301から前後方向Lの前方側に突出せず、この走行の際に部品載置台4又は部品載置台4に載置されたドア7が、周囲に衝突しにくくすることができる。
【0027】
一方、図5に示すごとく、部品載置台4は、前方側の係止穴512にスライドピン52が係止されたときに、昇降ベース3の前端部301から部品載置台4が前後方向Lの前方側に突出されて、ドア7が保管された保管台71からドア7を受け取るための突出位置402に保持される。保管台71からドア7を部品載置台4に受け取る際には、部品載置台4を突出位置402にすることにより、部品載置台4を保管台71に近づけることができ、保管台71から部品載置台4へのドア7の移載を容易にすることができる。
【0028】
図3図4に示すごとく、部品載置台4には、昇降ベース3に設けられた回動規制部62に対して係合して、回動ガイド44による部品載置台4の回動を拘束するとともに左右スライドガイド42による部品載置台4の左右方向Wへのスライドを拘束するための拘束部材45が設けられている。拘束部材45は、部品載置台4の下面において、左右一対に設けられたガイド板451によって形成されている。左右一対のガイド板451の後方側端部は、左右方向Wの外方に傾斜して開かれている。
昇降ベース3における回動規制部62を、左右一対のガイド板451の間を通過させることにより、部品載置台4の左右方向Wへのスライド及び上下方向Hの中心軸線Cの回りの回動を停止させて、係止穴511,512に対するスライドピン52の挿入を容易にすることができる。
【0029】
図6に示すごとく、昇降ベース3には、ストッパー5とは別に、部品載置台4の左右方向Wに延びる回動中心部611の回りに自重によって回動して、部品載置台4の左右方向Wへのスライドを停止させるとともに、回動中心部611の回りに持ち上げて回動させて、部品載置台4の左右方向Wへのスライドを可能にする左右ストッパー61が設けられている。同図において、左右ストッパー61が持ち上げられた状態を二点鎖線で示す。
図3図4に示すごとく、左右ストッパー61は、前後レール411が取り付けられたベース板43に対して係合して、部品載置台4が左右方向Wにスライドすることを停止させるよう構成されている。左右ストッパー61は、左右レール421に対して平行に、左右方向Wに延びる回動中心部611を中心に回動可能な回動部材によって構成されている。左右ストッパー61は、後方側の左右レール421に対向する位置に設けられており、左右方向Wの中心位置には、ベース板43のスライドを停止させるための切欠部612を有している。
【0030】
ドア7をメインボディ8に組み付ける際に、部品載置台4を左右方向Wにスライドさせるときには、作業者は、左右ストッパー61を、回動中心部611を中心に上方へ回動させるように持ち上げる。そして、作業者が部品載置台4を組付用台車1の左右方向Wにおける中心位置に戻したときには、左右ストッパー61がその自重によって下方へ回動し、左右ストッパー61における切欠部612にベース板43が配置される。これにより、部品載置台4が左右方向Wにスライドしないようにすることができる。
【0031】
次に、本例の組付用台車1を用いて、メインボディ8に対してドア7を組み付ける場合につき説明するとともに、本例の作用効果につき説明する。
ドア7をメインボディ8に組み付ける際には、作業者は、組付用台車1を、ドア7が保管された保管台71まで走行させる。このとき、図1に示すごとく、スライドピン52を後方側の係止穴511に挿入しておくことにより、部品載置台4を、周囲の構造物等に衝突しないように原位置401にしておくことができる。
【0032】
そして、組付用台車1を保管台71に対向させたときには、作業者は、スライドピン52を後方側の係止穴511から抜き出し、部品載置台4を前方へスライドさせる。そして、図5に示すごとく、スライドピン52を前方側の係止穴512に挿入し、部品載置台4を、突出位置402にして、昇降ベース3の前端部301から前方側に突出させる。これにより、部品載置台4を保管台71に近づけた状態において、保管台71からドア7を部品載置台4へ容易に移載することができる。
【0033】
次いで、作業者は、上記と同様にスライドピン52を操作し、部品載置台4を後方側にスライドさせて、部品載置台4を原位置401にする。そして、作業者は、部品載置台4にドア7が載置された状態の組付用台車1を、メインボディ8の開口部81まで走行(移動)させる。
次いで、作業者は、図3に示すごとく、メインボディ8の開口部81における取付部位810に対して、ドア7のヒンジ部71の水平方向の組付位置、水平方向の組付角度、組付高さが合うように、部品載置台4を動かす。
【0034】
このとき、作業者は、部品載置台4上のドア7のヒンジ部71が、開口部81の取付部位810よりも高い位置になるように、昇降手段31によって昇降ベース3を上昇させる。また、スライドピン52を後方側の係止穴511から抜き出して、部品載置台4が前後方向Lにスライド可能な状態にする。また、左右ストッパー61を上方に回動させて、ベース板43及び部品載置台4を左右方向Wにスライド可能な状態にする。
そして、作業者は、同図に示すごとく、ドア7が載置された部品載置台4を前方へスライドさせて、昇降ベース3の回動規制部62から拘束部材45を抜き出し、部品載置台4が、前後方向L及び左右方向Wにスライド可能で、上下方向Hの中心軸線Cの回りに回動可能な状態を形成する。
【0035】
こうして、作業者は、部品載置台4を、前後スライドガイド41及び左右スライドガイド42によって、前後方向L及び左右方向Wにスライドさせることができ、回動ガイド44によって、上下方向Hの中心軸線Cの回りに回動させることができる。これにより、作業者は、部品載置台4に載置されるドア7の水平方向の位置及び水平方向の角度を容易に調整することができる。
また、作業者は、部品載置台4上のドア7のヒンジ部71が、開口部81の取付部位810に正対するように、昇降手段31を操作して昇降ベース3を下降させることができる。これにより、作業者は、部品載置台4に載置されたドア7の高さを任意に調整することができる。
なお、メインボディ8に組み付けられたドア7を取り外す際にも、上記組み付ける場合と同様の操作を行うことができる。
【0036】
このように、本例の組付用台車1は、ストッパー5を構成するスライドピン52等を操作することによって、走行状態と調整状態とに容易に切り換えることができる。
そして、組付用台車1を走行状態にする際には、ストッパー5によって部品載置台4を昇降ベース3に対する原位置401に保持する。これにより、部品載置台4にドア7が載置された状態で走行する際(ドア7を搬送する際)、あるいは部品載置台4にドア7が載置されていない状態で走行する際(空の状態で走行する際)には、部品載置台4が昇降ベース3に対して動かないようにして、この走行を容易にすることができる。
【0037】
また、組付用台車1を調整状態にする際には、ストッパー5による部品載置台4の保持状態を解除して、部品載置台4が前後方向L及び左右方向Wにスライド可能で、かつ上下方向Hの中心軸線Cの回りに回動可能にすることができる。これにより、ドア7をメインボディ8に対して組み付ける際、あるいはドア7をメインボディ8から取り外す際には、メインボディ8に対するドア7又は部品載置台4の水平方向の組付位置及び水平方向の組付角度の調整を容易にすることができる。
それ故、本例の組付用台車1によれば、水平方向の組付位置、水平方向の組付角度及び組付高さを容易に調整することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 組付用台車
2 荷台ベース
21 車輪
3 昇降ベース
31 昇降手段
4 部品載置台
401 原位置
402 突出位置
41 前後スライドガイド
411 前後レール
412 前後スライダー
42 左右スライドガイド
421 左右レール
422 左右スライダー
44 回動ガイド
441,442 回動部
5 ストッパー
511 前後係止部(係止穴)
52 前後被係止部(スライドピン)
61 左右ストッパー
611 回動中心部
7 組付部品(ドア)
71 保管台
8 被組付対象(メインボディ)
L 前後方向
W 左右方向
H 上下方向
C 中心軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6