(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記テンション調整手段による前記テンションの調整を所定回数行った直後の前記テンション検出手段による前記テンションの検出において前記テンションが適正になっていないことが検出された場合には前記テンション調整手段による前記テンションの調整を実行しない、請求項1から請求項5のうちの1項に記載のワーク分離装置。
前記テンション調整工程を所定回数行った直後の前記テンション検出工程において前記テンションが適正になっていないことが検出された場合には前記テンション調整工程を実行しない、請求項7に記載のワーク分離方法。
【背景技術】
【0002】
CCDセンサ等の光学電子部品のカバーガラス等に使用される薄い小片のガラス板は、大量生産されてトレー等の整列治具に収納されて、各種の製造組立工程に送られる。
【0003】
このような小片のガラス板を製造する過程では、複数枚のガラス板がばらばらに分散しないように、あらかじめ複数枚のガラス板が粘着テープによって保持されてガラス板集合体とされる。すなわち、複数枚のガラス板が厚さ方向に間隔をおいて整列した状態で、複数枚のガラス板の各々が、対向する二側面に貼着された一対の細長い粘着テープによって挟持される。
【0004】
このガラス板集合体は、光学電子部品等の製造組立工程において、ガラス板が粘着テープから1枚ずつ分離される。ガラス板集合体からガラス板を分離する装置としては、例えば特許文献1に開示されたワーク分離装置が知られている。
【0005】
図6は、特許文献1に開示された従来のワーク分離装置101を示す図である。
図6(a)はワーク分離装置101の側面図であり、
図6(b)はワーク分離装置101の正面図である。
【0006】
ワーク分離装置101において、剥離部材102を支点に折り返された一対の粘着テープ203が送りローラ機構103の一対のローラ103a及びローラ103bによって下方(矢印b方向)に送られると、ガラス板集合体201が吸着チャック106へ向けて上方に移動する。ガラス板集合体201の最上位のガラス板202が一対の粘着テープ203の折り返し部分に達すると、最上位のガラス板202の対向する二側面の各々から粘着テープ203が徐々に剥離する。
【0007】
粘着テープ203が最上位のガラス板202の二側面から剥離するのと併行して、最上位のガラス板202の残りの二側面に解片ローラ104a及び解片ローラ104bが接触して最上位のガラス板202が解片ローラ104aと解片ローラ104bとの間に挟持される。そして、解片ローラ104a及び解片ローラ104bの回転によって最上位のガラス板202が上昇して各粘着テープ203から分離する。分離したガラス板202は吸着チャック106により吸着搬送された後、図示しない搬送機構によって検査ポジションに搬送されて、所定の検査が行われた後にトレー等の整列治具(図示せず)内に収納される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1のワーク分離装置では、以下に述べるような問題点があった。
【0010】
粘着テープ203を最上位のガラス202から剥離する際の剥離位置が適切でない場合、最上位のガラス板202を粘着テープ203から円滑に分離及び搬送できない場合がある。例えば、何らかの原因により粘着テープ203のテンションが緩むと、ローラ機構103によって粘着テープ203を送ったとしても、所定の剥離位置においてガラス板202と粘着テープ203との接着部分に十分な剥離力が作用せず、粘着テープ203をガラス板202から剥離できない場合がある。
【0011】
このように粘着テープ203と接着した状態で最上位のガラス板202が解片ローラ104a及び解片ローラ104bによって挟持及び移動させられると、最上位のガラス板202とともにガラス板集合体201全体が吸着チャック106に接近する方向へ移動してしまう。すなわち、最上位のガラス板202をガラス板集合体201から分離できず、また吸着チャック106で吸着搬送できなくなるおそれがある。
【0012】
本発明は上記問題点に鑑みて創案されたものであり、その目的は、ワークを剥離可能に保持するテープ状のワーク保持体をワークから確実に剥離可能とするワーク分離装置及びワーク分離方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る第1の態様は、少なくとも1つのワークをテープ状のワーク保持体によって剥離可能に保持したワーク供給体から前記少なくとも1つのワークを分離するワーク分離装置であって、前記ワークから前記ワーク保持体を剥離させるテンションを前記ワーク保持体に与えて前記ワークを前記ワーク供給体から分離させる剥離手段と、前記ワーク保持体のテンションを検出するテンション検出手段と、前記検出したテンションに基づいて前記テンションを調整するテンション調整手段とを備えるワーク分離装置である。
【0014】
第1の態様に係るワーク分離装置によれば、ワーク供給体からワーク保持体を剥離させる剥離力及び剥離位置を決める要素であるワーク保持体のテンションをテンション検出手段によって検出し、テンション検出手段が検出したテンションに基づいてテンション調整手段が当該テンションを調整する。したがって、ワーク保持体をワークから剥離させる剥離力及び剥離位置を適正化でき、ワーク保持体をワークから確実に剥離することができる。
【0015】
なお、前記テンション検出手段は、例えば、前記ワーク保持体の一方の面に接離可能な当接部と、前記ワーク保持体の前記一方の面に向けて前記当接部を付勢する付勢手段と、前記当接部の変位を検出する変位センサとを含み、前記当接部の変位に基づいて前記テンションを検出するものとすることができる。
【0016】
この場合、テンション検出手段が簡素な構造であるため、製造コストが安価となる。
【0017】
より具体的には、前記ワーク保持体は、前記当接部を支点として前記テンションが発生する方向に引張屈曲されており、前記テンション調整手段は、前記ワーク保持体の端部を把持し且つ前記テンションが所定閾値以上となるまで引張することにより前記テンションを調整するように構成することができる。
【0018】
なお、第1の態様に係るワーク分離装置は、例えば、前記ワークが板状物であり、前記ワーク保持体は、複数の前記ワークが厚さ方向に所定間隔をおいて整列した状態で前記複数のワークの各々の対向する二側面を保持し、前記ワーク供給体を水平にして前記ワークを分離する場合に適用することができる。
【0019】
なお、第1の態様に係るワーク分離装置は、前記テンション調整手段による前記ワーク保持体のテンションの調整と、前記テンション検出手段による前記ワーク保持体のテンションの検出とを交互に繰り返し実行するとともに、前記テンション調整手段による各々の前記テンションの調整において、前記テンションを微小量調整するように構成されるのが好ましい。
【0020】
この場合、ワークからワーク保持体を剥離させるテンションが目標値を大きく超過することを抑制できる。
【0021】
また、この場合、前記テンション調整手段による前記テンションの調整を所定回数行った直後の前記テンション検出手段による前記テンションの検出において前記テンションが適正になっていないことが検出された場合には前記テンション調整手段による前記テンションの調整を実行しないことが好ましい。
【0022】
この場合、ワークからワーク保持体を剥離させるテンションがセンサの故障等によって検出できなくなっている場合に、ワークからワーク保持体を剥離させるテンションが目標値を大きく超過することを抑制できる。
【0023】
本発明に係る第2の態様は、少なくとも1つのワークをテープ状のワーク保持体によって剥離可能に保持したワーク供給体から前記少なくとも1つのワークを分離するワーク分離方法であって、前記ワークから前記ワーク保持体を剥離させるテンションを前記ワーク保持体に与えて前記ワークを前記ワーク供給体から分離させる剥離工程と、前記ワーク保持体のテンションを検出するテンション検出工程と、前記検出したテンションに基づいて前記テンションを調整するテンション調整工程とを包含するワーク分離方法である。
【0024】
第2の態様に係るワーク分離方法によれば、ワークからワーク保持体を剥離させる剥離力及び剥離位置を決める要素であるワーク保持体のテンションをテンション検出工程で検出し、テンション検出工程で検出したテンションに基づいて当該テンションをテンション調整工程で調整する。したがって、ワーク保持体をワークから剥離させる剥離力及び剥離位置を適正化でき、ワーク保持体をワークから確実に剥離することができる。
【0025】
なお、前記テンション調整工程と前記テンション検出工程とを交互に繰り返し実行するとともに、各々の前記テンション調整工程において、前記テンションを微小量調整することが好ましい。
【0026】
この場合、ワーク供給体からワーク保持体を剥離させるテンションが目標値を大きく超過することを抑制できる。
【0027】
また、この場合、前記テンション調整工程を所定回数行った直後の前記テンション検出工程において前記テンションが適正になっていないことが検出された場合には前記テンション調整工程を実行しないことが好ましい。
【0028】
この場合、ワーク供給体からワーク保持体を剥離させるテンションがセンサの故障等によって検出できなくなっている場合に、ワーク供給体からワーク保持体を剥離させるテンションが目標値を大きく超過することを抑制できる。
【発明の効果】
【0029】
本発明のワーク分離装置及びワーク分離方法によれば、ワーク保持体をワークから確実に剥離できる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照して本発明による実施形態を説明する。
図1は、本発明の実施形態のワーク分離装置1を示す概略構成図である。
【0032】
図1に示すワーク分離装置1は、ワーク供給体としてのガラス板集合体201からワークとしてのガラス板202を1枚ずつ分離するために使用される。
【0033】
ガラス板202は、例えば、イメージセンサ等の光学電子部品のカバーガラスとして使用され、矩形状を呈する。ガラス板202の寸法及び質量は任意としてよいが、例えば、厚さが1.2mm未満、質量が0.14g以上である。より具体的には、ガラス板202の寸法は、例えば、1辺が12mm〜70mm程度、厚さが0.4mm〜1.2mm程度、また、ガラス板202の質量は、例えば、0.14g〜10g程度である。
【0034】
なお、説明の都合上、複数枚のガラス板202のうち、吸着チャック70(後述)に近い方から1番目をガラス板202A、2番目をガラス板202B、3番目をガラス板202C、4番目をガラス板202D、5番目をガラス板202Eとする。ガラス板202A、ガラス板202B、及びガラス板202Cは、粘着テープ203から分離しており、ガラス板集合体201には含まれていない。また、ガラス板202D及びガラス板202Eは、粘着テープ203から分離しておらず、ガラス板集合体201に含まれている。
【0035】
ガラス板集合体201に含まれる複数枚のガラス板202は、厚さ方向に間隔をおいて整列した状態で、一対のワーク保持体としての粘着テープ203によって保持されている。すなわち、複数枚のガラス板202の各々の対向する二側面が粘着テープ203によって保持されている。ガラス板集合体201は略角柱状を呈し、その軸線を水平にしてワーク分離装置1に装着される。ガラス板集合体201に含まれる複数枚のガラス板202は、吸着チャック70(後述)に最も近いガラス板202Dから順にガラス板集合体201から分離される。以下の説明においては、ガラス板202Dを「先頭のガラス板202D」と称する。
【0036】
ワーク分離装置1は、一対のガイド部材10と、一対のテンション検出機構20と、一対のテープチャック30と、仮保持機構50と、インデックステーブル60と、4つの吸着チャック70と、各吸着チャック70に設けられた吸着確認センサ75と、先頭検出センサ80とを備える。
【0037】
ガイド部材10は板状に形成され、ガイド部材10の内面でガラス板集合体201を
図1のX方向に摺動自在に案内する。ガイド部材10の一端には、ガイド部材10の外方に突出する剥離部11が設けられている。
【0038】
剥離部11は、粘着テープ203の折り返し部分に対向して配置されている。剥離部11は、粘着テープ203に矢印a方向のテンションが付与されると、粘着テープ203の一方の面(粘着剤が設けられていない面)に当接して粘着テープ203にガラス板202から剥離する力を与える。剥離部11には貫通孔11aが設けられている。貫通孔11aはテンション検出機構20のバネ23(後述)を摺動自在に収容する。
【0039】
なお、粘着テープ203が紫外線の照射によって粘着力が低下する粘着テープである場合には、粘着テープ203のガラス板202から剥離する部分に紫外線を照射することにより粘着テープ203をガラス板202から容易に剥離し得る。
【0040】
テンション検出機構20は、粘着テープ203の折り返し部分に対向して配置されており、粘着テープ203のテンションを検出する。テンション検出機構20は、移動部21と、当接部22と、バネ23と、変位センサ24とを含む。
【0041】
移動部21は支持部材(図示せず)によって
図1のX方向に移動可能に支持されており、変位センサ24に形成された隙間24aに出入り可能である。
【0042】
当接部22は、バネ23を介して移動部21の一端に支持されており、粘着テープ203の一方の面に接離可能となっている。
【0043】
バネ23は、粘着テープ203の一方の面に接近する方向に当接部22を付勢する。
【0044】
変位センサ24は、例えば、フォトマイクロセンサによって構成される。変位センサ24は移動部21が出入り可能な隙間24aを有する。移動部21が隙間24a内に入り込むと、変位センサ24が作動する。
【0045】
テープチャック30は、一対のチャック爪31、32と、サーボモータ33と、ボールネジ34とを有する。
【0046】
チャック爪31とチャック爪32は、図示しない駆動機構によって接離可能となっており、粘着テープ203の一方の端部を把持する。粘着テープ203は、チャック爪31及びチャック爪32によって、当接部22を支点として略U字状を成す方向に屈曲引張される。粘着テープ203が当該方向に引張されることにより、ガラス板202から粘着テープ203を剥離させるテンションが粘着テープ203に発生する。
【0047】
ボールネジ34はサーボモータ33によって駆動され、チャック爪31とチャック爪32とを
図1のX方向に移動させる。
【0048】
テープチャック30及び剥離部11は、ガラス板202から粘着テープ203を剥離するテンションを粘着テープ203に与えてガラス板202をガラス板集合体201から分離させる。テープチャック30及び剥離部11は、本発明の剥離手段として機能する。
【0049】
次に、
図2及び
図3を参照して、仮保持機構50の詳細を説明する。
図2は
図1に示されたワーク分離装置1をII−II方向に見た図であり、
図3は
図2に示されたワーク分離装置1をIII−III方向に見た図である。
【0050】
図2及び
図3に示すように、仮保持機構50は一対の解片ローラ50a、50bを備える。解片ローラ50a及び解片ローラ50bはゴム等の弾性材により形成されており、互いに背反する方向に回転する。解片ローラ50a及び解片ローラ50bはガラス板集合体201の先頭のガラス板202Dにおける対向する二側面を挟持してガラス板202Dを吸着チャック70(
図1参照)の方向に移送する。
【0051】
本実施形態では、解片ローラ50a及び解片ローラ50bは、ガラス板集合体201の先頭のガラス板202Dだけでなく、ガラス板202Dよりも先にガラス板集合体201から分離した3枚のガラス板202A、ガラス板202B、及びガラス板202Cも同時に挟持する。
【0052】
なお、
図3においては、図面を見やすくするために、ガラス板202を実際の寸法よりも大きく図示しているので、ガラス板202Aとガラス板202Dとが解片ローラ50a及び解片ローラ50bから離れているが、実際には、ガラス板202Aとガラス板202Dは解片ローラ50a及び解片ローラ50bに当接している。
【0053】
再び
図1に戻ってインデックステーブル60と吸着チャック70との詳細を説明する。
【0054】
インデックステーブル60は、モータ(図示せず)によって反時計回りに間欠的に回転して、インデックステーブル60に取り付けられた4つの吸着チャック70の各々をインデックステーブル60の周囲のポジションP1〜ポジションP4に順次配置する。
【0055】
ポジションP1は吸着チャック70がガラス板集合体201に対向する位置(以下「吸着ポジション」と称する。)であり、ポジションP2はガラス板202の検査を行う位置であり、ポジションP3はガラス板202を整列治具に収納する機構にガラス板202を渡す位置であり、ポジションP4は検査により整列治具に収納しないと判定されたガラス板202を回収する位置である。
【0056】
各吸着チャック70は真空ポンプ(図示せず)に接続されており、図示しない駆動機構によって
図1のX方向に移動して、仮保持機構50に保持されたガラス板202を真空吸着する。
【0057】
吸着確認センサ75は、例えばピエゾ方式等の圧力センサにより構成される。吸着確認センサ75が圧力センサにより構成される場合には、吸着確認センサ75は、吸着チャック70に真空吸引圧を導入する配管(図示せず)の途中に取り付けられる。そして、吸着確認センサ75は、配管内の気圧を電気信号に変換して制御装置90(後述)に送信する。吸着チャック70がガラス板202を吸着すると、配管内の気圧が変化する。したがって、吸着確認センサ75が検出した配管内の気圧によって、吸着チャック70がガラス板202を吸着したか否かを検知することができる。
【0058】
先頭検出センサ80は、例えばレーザセンサにより構成される。先頭検出センサ80は、センサ光S.Lを射出して、仮保持機構50によって保持された複数のガラス板202のうち、吸着チャック70に最も近いガラス板202Aが、吸着チャック70によって吸着可能な位置に到達したか否かを検出する。
【0059】
図4は、ワーク分離装置1の制御ブロック図である。本実施形態のワーク分離装置1は、制御装置90を更に備える。
【0060】
制御装置90は、CPU、ROM、及びRAM等を含むマイクロコンピュータにより構成される。制御装置90のCPUは、変位センサ24、吸着確認センサ75、及び先頭検出センサ80から送信されてくる信号を受信する。制御装置90のCPUは、ROMに格納されたプログラムにしたがって、テープチャック30、仮保持機構50、インデックステーブル60、及び吸着チャック70等を制御する。
【0061】
制御装置90のCPUは、変位センサ24が移動部21の存在を検出しなくなった場合、すなわち移動部21が隙間24aの外に出た場合には、粘着テープ203のテンションが所定閾値よりも小さくなった(弛み過ぎ)と判断する。変位センサ24は、移動部21を介して当接部22の変位を検出し、テンション検出機構20は、当該変位に基づいて粘着テープ203のテンションを検出する。そして、制御装置90のCPUは、粘着テープ203の端部を把持したテープチャック30を移動させて粘着テープ203を引張し、テンションが所定閾値以上となる(すなわち、変位センサ24が移動部21を検出する)ように粘着テープ203のテンションを調整する。テンション検出機構20は本発明のテンション検出手段として機能し、テープチャック30及び制御装置90は本発明のテンション調整手段として機能する。
【0062】
次に、
図1〜
図5を参照して、ワーク分離装置1によってガラス板集合体201からガラス板202を分離する方法を説明する。
図5は、ワーク分離装置1によるガラス板202の分離方法を示すフローチャートである。
【0063】
図1に示すように、作業員が、ワーク分離装置1にガラス板集合体201を水平に装着し、一対の粘着テープ203の各々の一方の端部をチャック爪31及びチャック爪32によって挟持させる。
【0064】
次に、吸着チャック70に接続された真空ポンプが作動する。そして、
図5のステップS21に示すように、吸着ポジションP1に位置する吸着チャック70が
図1に二点鎖線で示す位置に移動してガラス板202Aに接近する。
【0065】
次に、ステップS22が実行される。ステップS22において、各テープチャック30のチャック爪31及びチャック爪32が
図1の右方向に所定量移動する。その結果、各粘着テープ203にテンションが付与されて、各粘着テープ203がガラス板集合体201の先頭のガラス板202Dの対向する二側面から剥離し始める。ステップS22は本発明の剥離工程に相当する。
【0066】
また、ステップS22の実行と同時にステップS23が実行される。ステップS23において、仮保持機構50の解片ローラ50a及び解片ローラ50b(
図3参照)が
図3の矢印方向に所定量回転する。その結果、解片ローラ50a及び解片ローラ50bに保持されたガラス板202Aが解片ローラ50a及び解片ローラ50bから離脱して吸着チャック70に吸着される。
【0067】
また、ガラス板集合体201の先頭のガラス板202Dが解片ローラ50aと解片ローラ50bとの間に挟み込まれ、解片ローラ50a及び解片ローラ50bの回転に伴ってガラス板202Dは吸着チャック70の方向に移動する。その結果、ガラス板202Dがガラス板集合体201から分離する。
【0068】
そして、ステップS24が実行される。ステップS24において、制御装置90のCPUは、吸着確認センサ75が作動中か否かを確認する。吸着確認センサ75が作動中でない場合は、ステップS22及びステップS23に戻る。ステップS24で吸着確認センサ75が作動中の場合には、ステップS25が実行される。ステップS25において、制御装置90のCPUは、粘着テープ203のテンションが適正か否かを判定する。
【0069】
すなわち、変位センサ24が作動中の場合には、制御装置90のCPUは、粘着テープ203のテンションが適正と判定する。粘着テープ203のテンションが適正の場合には、粘着テープ203のテンションの調整は行われず、1枚のガラス板202の分離工程が終了する。
【0070】
一方、ステップS25において、変位センサ24が作動していない場合には、制御装置90のCPUは、粘着テープ203のテンションが不適正と判定する。粘着テープ203のテンションが不適正の場合には、ステップS26が実行される。ステップS26において、チャック爪31及びチャック爪32が移動して粘着テープ203のテンションを調整する。ステップS25は本発明のテンション検出工程に相当し、ステップS26は本発明のテンション調整工程に相当する。
【0071】
制御装置90のCPUは、ステップS26において粘着テープ203のテンションを微小量調整するとともに、ステップS25とステップS26とを交互に繰り返し実行することによって、粘着テープ203のテンションを適正値に近づける。それは以下の理由による。
【0072】
すなわち、変位センサ24は、作動中か否かで粘着テープ203のテンションが適正であるか否かを検出する。粘着テープ203のテンションが適正値よりも小さくなった場合には変位センサ24が非作動になるため、粘着テープ203のテンションが適正値よりも小さくなったことを変位センサ24によって検出できる。
【0073】
チャック爪31及びチャック爪32を1度に長距離移動させると、粘着テープ203のテンションが適正値を超過しても変位センサ24が検出できないため、粘着テープ203のテンションが適正値を大きく超過する虞がある。そこで、テンション調整工程を1回実行することによるチャック爪31及びチャック爪32の移動距離を微小量(例えば、0.1mm)として、テンション検出工程とテンション調整工程とを交互に繰り返し実行することにより、粘着テープ203のテンションが適正値を大きく超過するのを抑制できる。すなわち、ガラス板202から粘着テープ203を剥離する剥離位置を適正範囲内に調整することができる。
【0074】
なお、粘着テープ203のテンションを調整する際には、テンション調整工程を所定回数実行した直後に実行するテンション検出工程において、粘着テープ203のテンションが適正になっていない(すなわち、変位センサ24が作動していない)ことが検出された場合にはテンション調整工程を実行しないことが好ましい。すなわち、変位センサ24の故障等によって、粘着テープ203のテンションが適正になっていることを検出できなくなっている場合、テンション調整工程を実行すると、粘着テープ203のテンションが適正値を大きく超過する虞があるからである。
【0075】
また、テンション検出工程において、粘着テープ203のテンションが適正になっていないことが検出された場合には、不具合が発生していることを示す警報を出力するようワーク分離装置1を構成してもよい。具体的には、スピーカー、モニタ、及びランプなどの警報装置を備え、制御装置90から警報音や警報表示を出力させる。このような構成によれば、不具合の発生を作業者に知らせ、粘着テープ203の位置の修正等の復旧作業を作業者に促すことができる。
【0076】
以上、
図1〜
図5を参照して説明したように、ワーク分離装置1によれば、テンション検出工程とテンション調整工程とを実行するため、粘着テープ203のテンションが適正値よりも小さくなった場合に粘着テープ203のテンションを適正化できる。すなわち、ガラス板202から粘着テープ203を剥離する剥離位置を適正化できる。したがって、解片ローラ50a及び解片ローラ50bがガラス板202Dを挟み込む際に粘着テープ203がガラス板202Dから剥離しておらず、解片ローラ50a及び解片ローラ50bがガラス板集合体201からガラス板202Dをうまく分離させることができない等の不具合の発生を抑制できる。
【0077】
また、テンション検出機構20は、当接部22の移動によって変位センサ24が作動/非作動となる簡素な構造であるので、製造コストが安価である。
【0078】
また、テンション検出機構20は、バネ23が当接部22を粘着テープ203に当接させるため、粘着テープ203にテンションを付与する機能も兼ねており、粘着テープ203の弛みを抑制することもできる。
【0079】
以上、本発明の具体的な実施形態を説明したが、本発明は
図1〜
図5に示された実施形態に限定されるものではなく、本実施形態に種々の改変を施すことができる。
【0080】
例えば、本実施形態では、ワークがガラス板であるが、ガラス板以外のワーク(例えば、セラミック板や金属板)を分離する場合にも本発明を適用可能である。なお、ワークの形状は板状に限定されない。ワークの形状は、球状や多角形状など、いかなる形状でもよい。
【0081】
また、本実施形態では、ワーク保持体が粘着テープであるが、粘着力以外の手段でワークを剥離可能に保持するワーク保持体を用いてもよい。なお、ワーク保持体の形状はテープ状に限定されない。ワーク保持体の形状は、紐状やシート状など、いかなる形状でもよい。
【0082】
また、本実施形態では、ワーク供給体が複数のワークを含んでいるが、ワーク供給体は1つのワークのみを含んでもよい。
【0083】
また、本実施形態では、テンション検出手段はフォトマイクロセンサによって構成されているが、他のセンサ(例えば、近接センサ)によってテンション検出手段を構成してもよい。
【0084】
また、本実施形態では、移動部の変位を検出する変位センサの作動/非作動状態に応じて、ワーク保持体のテンションが適正か否かを検出するが、移動部の変位量を連続的な値として検出するセンサを用いて粘着テープのテンションを連続的な値として検出してもよい。また、テンションの大きさに応じて、チャック爪の移動量を変更してもよい。これらの構成によれば、粘着テープのテンションを高精度に制御することができる。
【0085】
また、本実施形態では、ワーク保持体を挟み込んだ一対のチャック爪を移動させて、ワーク保持体のテンションを調整するが、ワーク保持体を挟み込んだ一対のローラを回転させて、ワーク保持体のテンションを調整してもよい。
【0086】
また、本実施形態では、仮保持機構が複数のワークを同時に保持するが、仮保持機構は1つのワークのみを保持してもよい。
【0087】
また、本実施形態では、ワーク供給体を水平にしてワーク供給体からワークを分離する実施例を説明したが、本発明は、ワーク供給体を水平以外の姿勢(例えば、鉛直)にしてワーク供給体からワークを分離する実施例にも適用可能である。
【0088】
本発明は、光学電子部品のカバーガラス等として用いられるガラス板や、セラミック板、金属板等の板状物のワークの他、板状物以外のワークをワーク供給体から分離する場合にも適用できる。本発明は、比較的重量が大きいワークを分離するワーク分離装置に適用した場合に特に有用である。
【0089】
その他にも、本発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に種々の改変を施すことができる。